ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

旅で出会ったローカルごはん1…米沢名物同士の絶妙コラボ <牛肉ラーメン>

2005年08月14日 | ◆旅で出会ったローカルごはん
 米沢名物といえば、日本屈指の銘柄牛である「米沢牛」と、細い縮れ麺にあっさり醤油味スープが特徴の「米沢ラーメン」。米沢を訪れる機会があり、いずれもぜひ味わってみようと思ってはいたが、まさか同時に味わうことになるとは…。
 昼食に訪れたのは、松が岬公園(米沢城跡)の近くにある「きよえ食堂」。古い大衆食堂風の店で、暖簾をくぐると壁にはずらりとメニューが貼られている。氷がゴロゴロ浮かんだ冷やしラーメンに、マヨネーズをかけていただく冷やし中華と、山形独自の名物料理?に並び、「うちの自慢は牛肉ラーメン」と店のおばさん。聞くと、醤油スープのラーメンの上にシメジ、ネギと牛薄切り肉がたっぷりのるという。そして肉は何と、米沢牛とのこと。
 ここは地元で評判の米沢ラーメンの店で、手もみの縮れ麺に、井戸水をベースにした醤油味のスープが基本という。運ばれてきた牛肉ラーメンは、塩コショウで味付けした米沢牛がたっぷりのっていて、まず肉からひと切れ。さすがに柔らかく、旨みたっぷりでこれはうまい。脂身もこってり甘く、米沢牛のすき焼き肉をのせて食べているような贅沢さだ。スープが後をひく香りで、飲むと口の中で旨みがふわりと広がり、香りと後味がずっと舌に残る。麺は米沢ラーメンの特徴である、素麺がちぢれたような極細で、ほくほくと柔らかくスープのからみがバツグン。まるでラーメンとは別の麺料理のようだ。
 支払う時に、スープがうまかったとおばちゃんに話すと、「米沢は水、特に湧水がいいからね」。醤油は地元で醸造したものをつかっているという。米沢牛とラーメン。一見奇をてらったようだが、ラーメンはもちろん、肉のうまさも、醤油の良さがあってうまくまとまっているのだろう。(2005年4月16日食記)

旅で出会ったローカルごはん・前書き

2005年08月14日 | ◆旅で出会ったローカルごはん
 仕事柄、日本中あちこちに旅に出ます。最大の目的は、何といっても食べること。訪れた先で出会った特産の食材、それをつかった名物料理を味わえば、旅の喜びもまたひとしおです。
 このカテゴリーでは、各地へ出かけて見つけた、ご当地ならではの料理を食べた感想をはじめ、料理人や生産者に聞いたおもしろ話やうんちくを紹介しています。もちろん豪華な料理に限らず、その土地ならではの郷土料理やローカルフード、お菓子や酒など、とりあげる「食」は全国様々。
 とりあえずここ1~2年で訪れた情報を順次書き込んでいき、出かけることがあればその情報を随時掲載していきます。また紹介した料理について、さらにご存じのことがありましたら、よろしくコメント下さると幸いです。

極楽!築地で朝ごはん3食目・はいばら ~朝からウナギでパワーUP!~

2005年08月14日 | 極楽!築地で朝ごはん
 今日も東銀座駅から、朝の晴海通りを市場へ向けて歩いてくる途中、早足で会社へ急ぐサラリーマンにどんどん抜かれていく。朝早くからご苦労様、自分はこれから、空いてる築地でのんびり朝食…なんて、築地通い4日目にしてようやく余裕、というか少々「通」ぶっているか?
 いつものように築地4丁目交差点を渡り、いざ場外へ。早起き続きで今朝はちょっと朝がつらかったので、ひとつ元気が出る朝ご飯といきたい。すると築地中通りで店頭でウナギを焼いている店を見つけ、煙に誘われて暖簾をくぐった。朝からウナギとは、何という贅沢!。この「はいばら」は、ウナギを扱う商社がやっている食事どころだけあり、各地から厳選されたウナギの品の良さには定評があるという。
 蒲焼きは自家製で、店頭の一角で焼いているため、そこから料理が運ばれてくる。うな肝丼にはウナギの蒲焼きに加え、たっぷりの肝焼きの串が一本丼にのっているのがうれしい。蒲焼きは一度蒸してからタレにつけながら焼いてあり、身は厚く、蒸してあるがくずれない程度に柔らかい。タレは甘め、脂が少な目であっさりしているから、朝からでもどんどん食べられる。そして肝の濃厚な味わいといったら。ねっとり、こりこりしていてほんのり苦みがあり、いかにも体によさそうだ。
 店を出て、1本100円の安売りウーロン茶を見つけてのどを潤す。まだ土用の丑の日には早いが、すでに夏日の日も多く暑くなりそうだ。近いうちにまた、ウナギの朝ご飯のお世話になるかも知れない。(2004年5月14日食記)


極楽!築地で朝ごはん2食目・井上 ~市場風ラーメンとは?~

2005年08月14日 | 極楽!築地で朝ごはん
 築地の市場食の代表的なジャンルのひとつが、ラーメン。忙しい市場で働く人にとっては、サッと頼んでズッとすすり、パッと出ていくにはもってこいの、いわば「市場版ファーストフード」である。
 築地市場のラーメン店の中でも、テレビや雑誌で取り上げられることも多い評判の店が、築地4丁目交差点からすぐのところにある「井上」。創業以来40年以上、中華そば一本で商売しており、トンコツ醤油味のスープに中細の麺、チャーシューにメンマ、カイワレといった具が特徴。この日はもちろん、市場は開いていて、ごった返す新大橋通り沿いの中でも、さらに人だかりがしている店頭風景についひかれ、今日はラーメンで朝ご飯、となった。
 店の間口はとても狭く、座席も数人分しかない。しかし並んで空くのを待つのではなく、注文してすぐに差し出された丼を片手に、通路においたテーブルで立ち食いする仕組みだ。すぐ横の新大橋通りにはトラックが行き交い、路肩にはターレ(市場名物・エンジン付きの運搬車)や小車(手押しの荷車)が駐車中。そんな脇で市場の人と肩を並べて食べるのが、実に市場風だ。
 こぼれるぎりぎりのたっぷりのスープは非常に薄味で、ほんのり塩味を感じるぐらい。早朝の胃には優しいが、仕事後の河岸の労働者には塩気が少々足りないのでは。麺は細いストレートで、腰の強さは程々だが、味がしっかりしてなかなかうまい。具はネギとカイワレがどっさり、そしてゴロゴロとのるチャーシューが迫力モノ、というか朝飯には少々重い。結構固く、薄いのを選んで食べて塊は申し訳ないが残してしまった。
 シンプルなラーメンだが、世間で人気のラーメン屋と比べると、ちょっとおとなしいというか、物足りないというか。これが「市場のラーメン」の特徴なんだろうか。(2004年5月13日食記)
 

極楽!築地で朝ごはん1食目・築地どんぶり市場 ~休市日もやっている、丼勝負の店~

2005年08月14日 | 極楽!築地で朝ごはん
 という訳でゴールデンウィークが明けた5月の上旬に、いざ「築地で朝ご飯」の日々のスタートである。最寄りの東銀座駅から張り切って歩きだしたが、市場に近づくに連れて独特の喧噪どころか、どんどん閑散としてくる。この時間になると、もう買い出しの業者も帰ってしまったのだろうか、などと思いながら、築地市場の玄関口といえる築地4丁目交差点に到着。そして、新大橋通りを挟んだ向かいに初めて見た築地場外市場は…
 どこもシャッターが閉まっていた。築地市場は毎月第2・4水曜日が定休日(休市日)で、今日は第2水曜日。人の気配がないのは、どうやら時間帯のせいだけではなかったようだ。
 とはいえ、休市日でも朝ご飯は食べなければならない。あまり選択肢はないが、新大橋通り沿いで、数軒開いている店の中から選んだのが、この「築地どんぶり市場」。カウンターのみの店で、名の通りマグロや魚介を使った丼で勝負、といった店である。
 狭いカウンターの向こうでは、頑固そうな親父さんを中心に、おばさんと姉さんが客相手に奮闘中…といいたいところだが、他に客の姿はなく手持ちぶさたの様子だ。築地の朝ご飯1食目は、大振りの赤身がたっぷり9枚のった「マグロ丼」。親父さんによると「バチマグロ」とのことで、赤身なので相当さっぱりしているがとても柔らかく、ねっとりした舌触り。脂がのったトロとはまた違った味わいだ。ご飯はゴマと刻み海苔がのっていて、香ばしく食欲をそそる。
 大粒のアサリがたっぷりのみそ汁で締めてほっとひと息。明日は再び仕切直しで、賑やかな市場で、よりどりみどりの食事どころが待っている。(2004年5月12日食記)