9時前後を狙って築地に通い始めてしばらくになるが、この時間帯の雰囲気は何とも独特だ。晴海通りでは遅い出勤途中のサラリーマン達と、遅出の買い付けを終えて店に戻る業者がすれ違い、場外市場では仕事を終えてくつろぐ労働者たちと、寿司や買い出しにやってきたばかりの観光客が混在する。これから始まる人にこれで終わりの人、それぞれ逆向きの時間の流れが交錯した、不思議な空間である。
この日は昼過ぎまで用事がなく、いつもより時間には余裕がある。そこでいつもの新大橋通りの商店街ではなく、まだ訪れていない晴海通り方面へ足を向けてみることに。少し行ったところにあった、通りに面した「鈴木水産」で朝ご飯とした。店内は結構狭く、カウンター席はさらりと埋まっている様子。別に、店頭をよしずで仕切ったオープンエアの席が設けられており、天気もいいのでこちらに腰を下ろす。
メニューを見ると焼き魚や煮魚、一夜干しなど、素材の味を生かした魚料理が各種揃っている。迷った上で定番の「刺身定食」を注文、するとたった1000円なのに豪華な9品盛りが登場したのには驚いた。水産物の卸問屋直営だけあり、豊富な魚種をまとめて仕入れているおかげという。さっそく、刺身の王者ともいえる2品から箸をのばす。マグロの赤身は鮮やかな飴色の光沢で、厚いのに食感が柔らか。鯛はシコシコと歯ごたえ良く、脂が少なく甘みがたっぷり。ともに量が多めなのがうれしい限りだ。ほかにもコリコリした食感のカンパチ、大きな吸盤が味が深いタコ、ホタテはワタ付きで、もっちりとした甘さ。ほかイカ、青柳、コハダ、カジキ…。どれも鮮度抜群、瑞々しく歯ごたえ、香りがいい。
たっぷりの丼飯をかき込み、アサリのみそ汁を飲み干して、と食べ進める合間、仕切の向こうを足早に行き交うサラリーマンの姿が、時折ちらりと目に入る。平らげて時計を見ると、まだ10時過ぎ。こちらは時間を気にせず、隅田川の川風に涼みながらのんびりと食後のお茶を一杯。ここでも全く逆向きの時間が、よしず1枚を境にして流れている。(2004年5月28日食記)
追記・鈴木水産は04年7月に晴海通りを通りかかった際、店を閉めていた。現在の状況は不明。
この日は昼過ぎまで用事がなく、いつもより時間には余裕がある。そこでいつもの新大橋通りの商店街ではなく、まだ訪れていない晴海通り方面へ足を向けてみることに。少し行ったところにあった、通りに面した「鈴木水産」で朝ご飯とした。店内は結構狭く、カウンター席はさらりと埋まっている様子。別に、店頭をよしずで仕切ったオープンエアの席が設けられており、天気もいいのでこちらに腰を下ろす。
メニューを見ると焼き魚や煮魚、一夜干しなど、素材の味を生かした魚料理が各種揃っている。迷った上で定番の「刺身定食」を注文、するとたった1000円なのに豪華な9品盛りが登場したのには驚いた。水産物の卸問屋直営だけあり、豊富な魚種をまとめて仕入れているおかげという。さっそく、刺身の王者ともいえる2品から箸をのばす。マグロの赤身は鮮やかな飴色の光沢で、厚いのに食感が柔らか。鯛はシコシコと歯ごたえ良く、脂が少なく甘みがたっぷり。ともに量が多めなのがうれしい限りだ。ほかにもコリコリした食感のカンパチ、大きな吸盤が味が深いタコ、ホタテはワタ付きで、もっちりとした甘さ。ほかイカ、青柳、コハダ、カジキ…。どれも鮮度抜群、瑞々しく歯ごたえ、香りがいい。
たっぷりの丼飯をかき込み、アサリのみそ汁を飲み干して、と食べ進める合間、仕切の向こうを足早に行き交うサラリーマンの姿が、時折ちらりと目に入る。平らげて時計を見ると、まだ10時過ぎ。こちらは時間を気にせず、隅田川の川風に涼みながらのんびりと食後のお茶を一杯。ここでも全く逆向きの時間が、よしず1枚を境にして流れている。(2004年5月28日食記)
追記・鈴木水産は04年7月に晴海通りを通りかかった際、店を閉めていた。現在の状況は不明。