ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

旅で出会ったローカルごはん2…庶民派米沢牛の店、見つけた <米沢牛ホルモン焼き>

2005年08月15日 | ◆旅で出会ったローカルごはん
 当たり前のことではあるが、米沢牛は高い。産地にやってきても、ステーキやしゃぶしゃぶの老舗などやはり高いモノは高い。
 でも、かつて松阪を訪れたとき、ステーキハウス三松や牛銀など全国的に知られる名店がある一方、繁華街を歩けばひと皿数千円程度の焼肉屋や、何と松阪牛のホルモン焼き屋なんてのもあった。米沢でも試しに探してみたところ、あった!米沢牛焼肉とホルモンの店が。
 松が岬公園のそばのホテルから歩くこと15分ほど。日が暮れて人気のなくひっそりした住宅街の中に、目指す「酒童(しゅっぱ、と読む)」を見つけた。赤提灯が下がって、外観は見たところ普通の民家である。そして通された客席も、まるで人の家の座敷。客は100%地元で、炭火コンロの煙がもうもうと立ちこめる中「んだ」「だっぺ」など、やたら濁点と丸がついた山形弁が飛び交っている。
 米沢牛は赤身特上と上カルビがあり、思い切って特上を注文。ほか、ご主人が日本一と自慢する「白ホルモン」も頼んだ。卓上には炭火コンロが置かれ、これで自分で焼いて食べる仕組みで、まずは米沢牛肉から火にかける。肉厚で、くっきり紅と白のマーブル模様が実に見事だ。すぐに炎が立つが、程良く脂が落ちるぐらいにさっと軽く焼くのがポイント、とご主人。舌にのせるととろけ、甘みがバッと広がり、かむと肉汁がジュッと思わず絶句。焼き方が少々難しく、炎が上がる直前にひっくり返し、さっとあぶってまだほんのり赤いぐらいで食べるとベスト、と分かった頃には、残りわずか1切れ…。 
 米沢牛がどんどん焼き上がる分、白ホルモンはしっかりと焼けるまで時間がかかり、くるりと丸くなったら食べ頃。コリコリとしてやや獣肉ならではのくせがあるが、これがなかなか後を引く。豚の腸を4時間かけてしっかり洗ったもので、鮮度がいいから臭みがまったくなく、豊かな食感が自慢とご主人。東京の綾瀬で修行したとのことで、ちょくちょく座敷に顔を出しては地元客と盛り上がっている。
 中継ぎに野菜たっぷりのサラダ冷や奴をつまみ、地酒「東光」の冷酒をグイッ。ついでにレバーもひと皿平らげて締めくくった。「米沢牛は名物だけど、有名店はちょっと高いよね。探せばうちみたいに、手頃に食べられるとこもあるのに」。ご主人の言う通り、これで4000円ちょっとはまさに激安。昼飯の米沢牛ラーメンともども、労を惜しまず探せば、名物にウマイもの、安いモノありである。(2005年4月16日食記)

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