各地の市場を巡り慣れてる割に、強烈な売り込みは未だに苦手だ。「はいお兄さんカニあるよ、どう?」「サケ一本は荷物になる?うちはどこでも送れるよ」魚談義を持ちかけても、売りの押し込みに根負けし、気がつくと欲しい訳でもなかったカニの箱を片手にぶらぶら、なんてことも少なくない。
釧路の和商市場は、売り声が穏やかな方だった覚えがある。が、この日鮮魚店街に足を踏み入れたら、一斉の売り込み攻勢に思わずたじろいだ。首にカメラで大荷物のいでたちでは、格好の獲物もやむなしのようで、たまらず一時退却。先に朝ごはんをとるべく、「市場亭」との食堂の暖簾をくぐった。
品書には、いかにも観光客向けな豪華海鮮丼の写真の脇に、「焼き魚定食」の文字がひっそりあるのがうれしい。釧路の地物の定食を頼んだら、ヤナギガレイがおすすめとのこと。運ばれて来た皿からはみ出す、30センチオーバーのがドン、とド迫力だ。への字口で横睨みの面はなかなか好戦的で、ならば熱々のうちに平らげてやるまで。戦闘開始とばかり、皮にブチッと箸を入れ、ボコっと骨離れした身に醤油をざっとかけ、遠慮なしに口に放り込む。脂のないサラサラな白身は、うまみをたたえた水っぽさに気品を感じる。ビビッと剥がしたエンガワが、カリカリトロリとまた、最高。
A面をきれいに食べ尽くし、中骨を外してB面にかかろうとして思いつき、身とエンガワと卵をばらし、丼飯の上にまとめてドサリ。市場の名物・勝手丼をフューチャーした、ヤナギガレイ焼き魚丼にしてみた。醤油をかけ回して飯とともにかっ込めば、それぞれの食味食感が渾然一体となり、ウニイクラホタテがなんぼのもんな口福、口福。
観光客御用達のブランド魚介や華やかな海鮮料理もいいが、ローカル魚にある唯一無二のご当地らしさは、この市場へはるばる来た感を刻んでくれるものだ。食後は呼び声激しいカニサケの店よりも、カレイにニシンにコマイあたりを並べる地元客相手のこじんまりした店で、じっくり魚談義を楽しむとしようか。
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