ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

企画展「没後60年 北大路魯山人」@千葉市美術館

2019年08月15日 | てくてくさんぽ・取材紀行
「没後60年 北大路魯山人」を鑑賞に、千葉市美術館を訪れた。中国大陸、朝鮮半島、日本の古陶磁から、昭和陶芸の源流と未来を見つめるとのテーマで、氏の陶芸のキャリアと昭和の陶芸史を並行して追えるのが興味深かった。伝統に縛られない強すぎる個性と、どの地の焼き物いずれも焼いてしまうことで、賛否が論ぜられることも多い魯山人。このように時系列で見ると、それらの意味と意義もわかってくる。

以下、感想と覚書(ネタバレ注意)。

①始まりの中国陶磁
魯山人の初期作品は中国陶磁からの影響が大きい。磁器の作家・宮永東山窯で焼いた青磁、九谷焼の須田菁華による色絵染付の技法などが作品に見られる。

「青磁双魚文中鉢」→東山窯の焼成技術による。中程に刻まれた巴の双魚が優雅に泳ぐ
「赤呉須の水注・徳利」→胴は和を感じるやよ渋い赤一色。一文字描かれた袋文字が魯山人特有
「染付葡萄紋鉢」→ブドウの実と葉、蔓が鉢の中から外へと溢れ出る。蔓の曲線と実の幾何学的丸模様が中国陶磁風
染付→袋文字の代表的な「福字皿」や「貴字向付」。文字の絵柄化が書家らしい大胆さ
「赤絵双魚文皿」「色絵魚藻文染付鮑形鉢」→鮑型鉢も魯山人の代表作で、ハレの魚介である鮑を型どり、中に目出度い赤魚とエビが。エビの足や髭の書き込みが繊細で、鉢に盛られているかのよう

②朝鮮半島の焼き物へ
中国趣味からは後退していき、朝鮮陶磁へと傾倒。そのつながりで唐津、萩へと入り込んでいく。

「刷毛目茶碗」→点数がかなり多く、文様や意匠が様々。中には指で刷毛目の風合いを出さんとした、魯山人の指の跡が見られる鉢も

③桃山陶へのあこがれ
瀬戸窯の発掘調査を深めるにつれ、古陶の研究に拍車がかかる。織部や志野、黄瀬戸を手がけるようになるが、本家を超えた大胆さ、マッシュアップした作品が多い。釉薬の力に描かせた織部、繊細な描きの絵瀬戸など

「志野魚紋皿」「葡萄紋平鉢」「織部かすみ平鉢」→モノトーンながら、描かれた食材にリアリティがある
「織部鳥紋鉢」「絵瀬戸鳥紋皿」→流れるような筆線でサッと描かれた、鳥のワンポイント
俎鉢→陶板に低い足をつけた、今までにない器。 「織部間道文俎鉢」は釉薬が半ばまで押し寄せるせめぎ合い。「織部秋草文俎鉢」は地色の土から釉薬の闇へ伸びる秋草の奥行きがある

④名工との対話
色絵は野々村仁清や尾形乾山に学んだ。色合いの鮮やかさとメリハリ、筆致の大胆さと繊細さから、ストーリーある画構成が感じられる。

「富士鉢」→大鉢を覗くと形よく見えるよう、残雪の富士が白い釉薬で中面に描かれている
「色絵葡萄文扇型鉢」→葡萄の紫と青、葉の緑、枯れた淵の黄、つるの茶が、まるで地中海岸の陶器の鮮やかさ。尾形乾山に影響
「雲錦鉢」→内から外へ溢れ広がる紅葉が艶やか。数種あり、並ぶと紅葉を愛でる気分に
「椿文鉢」→太い筆致で椿花をグルリと描く。紅葉鉢と対照に、どっしり存在感がある
「色絵龍田川向付」→紅葉が名所な川の流れを描いた紅葉皿。葉の色が一枚ずつ違いカラフル

⑥枯淡の造形、土にかえる
1945年以降は信楽・伊賀・備前など、土の味わいを生かす焼き物に向かいつつ、釉薬や銀彩を駆使して異なる表情の作品も生み出した。

「備前秋草紋俎鉢」「伊部大平鉢」「備前木の葉鉢」→絵柄が土に溶け込む。牡丹餅(焼けムラ)が月や灯を自然に描いている
「信楽土平鉢」→土の勢いで造形する豪胆な作品

横浜家系ラーメン極味屋@日ノ出町

2019年08月15日 | 町で見つけた食メモ
食における品格は、フリー素材の盛り方に出るという。取り放題だからといって、馬鹿盛りするのは品がないし、主たる料理の味を壊す。あくまでさりげなく、程よくで。

なので、いくら生刻み玉ねぎ・刻み生姜が好きだからといって、麺が見えなくなるまでいくのはNG。飲み締めラーではこうならぬよう、肝に命ずるように(自戒)。