ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

ビジネスホテルキャビン熊谷@熊谷

2019年08月03日 | 宿&銭湯・立ち寄り湯
昨夜の宿は熊谷市街の東、駅から徒歩15分ほどのこちら。遠いようだが八木橋百貨店に近く、片倉シルク博物館のあったイオンモールの裏手なので買い物は便利だ。見た目も中も典型的な長期滞在工事の人向けだが、3700円なりで許容範囲。ベッドはシングル幅だが、やわやわで寝やすい。

夕飯はイオン惣菜コーナーの3割安い(ぎょうざの満洲ではない)弁当に。アウトバストイレだが朝日湯に入ったので問題なし。朝食がわりに日焼け対応のマルチビタミンを飲んだら、最終日の午前も陸上競技観戦に行きましょう。

銭湯…朝日湯@熊谷

2019年08月03日 | 宿&銭湯・立ち寄り湯
昨日訪れた八木橋百貨店内の中山道を西玄関から抜けると、旧街道熊谷宿の名残らしい一番街商店街へと続く。その沿道に、かつては立派なつくりだったのが偲ばれる超レトロ建築の銭湯があった。中は仕切りの低めな番台式、浴室への扉はガタがきていて富士山のペンキ絵はハゲハゲだが、何というか実にいい味を出している昭和遺産的な銭湯である。

涼感さんぽの締めにさっと汗を流すのにもよく、番台で430円払ってシャンプーと石鹸を買おうとしたら、シャンプーはボトル&石鹸は普通サイズのを一箱開けて貸してくれ、終わったらここに返しておいて、とおばちゃん。高齢かつ客の減少で営業時間は限定しているとあったが、常連さんも割といておばちゃんも元気で愛想がよい。

タイルの小ぶりな浴槽は普通のとジェットのがあり、湯温がやや熱めなのが暑さの中のさんぽの後にかえって効く。肌が焼けて真っ赤で湯に入るとヒリヒリするので、烏の行水で後にしたが、小一時間ゆっくりしたい魅力のあり湯である。さて宿に入りましょう。

熊谷涼感てくてくさんぽ10

2019年08月03日 | てくてくさんぽ・取材紀行
八木橋百貨店のやや東側には、イオン熊谷店の巨大なショッピングモールが広がっている。かつてここは製糸業・片倉工業の最後の製糸工場である、熊谷工場があった場所だ。平成6年12月31日の操業終了後に複合施設「片倉フィラチャー」となったが、その一角にかつての施設を用いた「片倉シルク記念館」が設けられている。繭貯蔵庫だった「蔵造り倉庫」には熊谷工場の歴史が、隣接する「蜂の巣倉庫」には埼玉県の養蚕業の歴史が展示され、2007年に近代化産業遺産にも指定されている。

蔵造り倉庫の1階には、かつて熊谷工場で稼働していた機械を展示し、合わせて製糸の工程が解説されていた。選繭のホッパー、煮繭のコンベア、繰糸を行う索緒機と繰糸機など、繭玉や糸のオブジェが配されていることもあり、今にも稼働しそうに見える。2階の奥には従業員、特に女性従業員の日常生活に関するパネル展示があり、寮、食堂ほか洗濯場、お風呂などの写真(もちろん施設のみの)も。

新幹線が停まり東京方面から近い熊谷駅から徒歩20分ほど。しかも見学無料で、世界遺産に登録された富岡製糸場に匹敵する製糸業の展示が見られる。先日の八木橋百貨店内に通っている中山道といい、熊谷のショッピングモールはえらい歴史的コンテンツを抱えているものだ。

旅で出会ったローカルごはん…熊谷 『いわ瀬』の、肉玉フライ

2019年08月03日 | ◆旅で出会ったローカルごはん
夏場の猛暑の時期にじりじりと照りつける陽射しは、他の地にない熊谷の象徴だろう。きつさや厳しさばかりが取り上げられがちだが、恩恵を被っていることもある。そのひとつである小麦は、冬場の日照時間の長さに所以する熊谷の特産品だ。古くから熊谷宿界隈で栽培が盛んに行われており、現在も国産麦の生産量で上位に入る埼玉県で、熊谷産の占める比率は高い。麺類や和菓子など当地の粉食文化への結びつきが強いと捉えれば、痛いほどの日差しだって価値あるものと思えてくる。

うどんが農家の労働食や庶民のハレの食として広まった、古くからのこの地の「粉もん常食」なら、近〜現代のそれは「ふらい」だろう。名前からして揚げ物っぽいがそうではなく、溶いた小麦粉に野菜や肉の具材を混ぜて焼いた、シンプルなお好み焼きのような料理である。うどんと同様に、県内の各地でそれぞれの流儀があり、熊谷でもソースの味や入れる具、焼き加減などで、店ごとの味を競っている。起源は諸説あるが、労働者向けの食事とか、おやつとして駄菓子屋で出していたとか、安価でお腹にたまる点が庶民の味方だったといえそうだ。

熊谷駅前から星川通りを経て、かつて熊谷宿があった仲町へと歩くと、沿道にはふらいを扱っているらしい店舗がちらほら見られる。大衆食堂に居酒屋、お好み焼きに鉄板焼きなど、いずれも年季のあるひなびた構えをしており、よそ者の視界に入ってこなさそうな飲食店ばかりだ。星渓園のある鎌倉町の「いわ瀬」も、そんな街の食事処といった目立たなさが、かえって気になってしまう。しかし地元の人気は高く、ここのふらいを食べて育ったと語る熊谷っ子も少なくない。まさに熊谷市街のソウルフードといえる、ふらいの店なのである。

「ふらい焼き 焼きそば」と白地に染め抜かれた暖簾をくぐると、店内は数台のテーブルと小さな上がり座敷が奥に見える。鉄板が据えられたテーブルも並び、お好み焼きの店らしい雰囲気もある。右奥の厨房では焼きものを料理する音が絶えず、おかみさんがオーダーに配膳に右左へ忙しそうだ。お客はほぼ近所かららしく、ふらいやら焼きそばやらかき氷やらビールやら、いつもの席でいつものように受け答えしている。知り合いばかりの中にいきなり入り込んできたようだが、おかみさんの愛想がよく居心地はいい。

そしてオーダーは迷わずお目当ての肉ふらい、といくと「卵も入れましょう」とおかみさん。値段は同じとのことで、ご親切に感謝して肉玉ふらいに変更した。すると、ものの1分もしないうちに「お待ちどうさま!」と焼きたてが登場。人気がある定番商品のため、厨房の焼き手は見込みでどんどん焼いているようだ。ほかのお客さんへの提供も実に素早く、「いつものやつ」が決まっている方、電話であらかじめ注文する方もいるらしい。待たずに焼きたてが味わえるこのスピード感も、味のうちなのだろう。

ふらいは思っていたより大きく、直径30センチほどのサイズで430円とは、値段も驚異的だ。あらかじめソースが塗られているのでそのまま食べると、外側のカリッとした食感が粉物にしては意外。パン粉がまぶしてあるようで、これは揚げ物の「フライ」の衣に近い。生地の中はしっとりしていて、お好み焼きより薄めな分、具の千切りキャベツがサクサク、豚肉がグイグイ、玉子がほっこりと味わえるのがいい。焼いた生地の上に具を散らす調理法のためで、これも具を溶いた生地に混ぜ込んでから焼くお好み焼きとの違いだ。

カリッともちっとした粉物食感のコントラストに、ラードの甘さとソースのほのかな酸味がからめば、食欲がそそられ箸がどんどんのびて止まらない。これまで食べた粉物の中で屈指のうまさで、軽く一枚平らげてお代わりかテイクアウトしたくなる勢いだ。残念ながら16時の閉店までもうわずかで、まだ順番を待つ地元のお客さんに譲り、名残惜しいが店を後にした。暑さが極まろうが季節が変わろうが、この一枚のためにぜひ熊谷を再訪したい。夏の日差しに負けず思いも熱くなる、熊谷のローカルごはんである。

熊谷涼感てくてくさんぽ9

2019年08月03日 | てくてくさんぽ・取材紀行
きのう八木橋百貨店の後に行く予定だった「星渓園」から、てくてくさんぽを再開。熊谷駅からは星川沿いをたどるため、水源である玉の池に向けてさかのぼる形となった。慶応〜明治期に、養蚕業などで熊谷の発展に貢献した竹井澹如翁により作られた庭園で、園内に湧く玉の池が星川の水源となっている。

庭園は回遊式となっており、玉の池のまわりにはクスノキやイチョウなどの銘木、竹垣が整備され、ぶらりと巡ると市街の喧騒から離れた気分に浸れる。池端なので涼がとれると期待したが、木々のおかげでやや蒸した感じがする。星溪寮、松風庵、積翠閣の3つの棟も建つが拝観できないため、池を望む縁側で休憩といけずに少々残念だ。まあ観覧無料なので、これで十分かも。

先の見どころへ行く前に、庭園入口そばで気になる構えのお店に遭遇。おやつか早めの晩御飯か、とにかく寄ってみましょう。