浦安の漁業が盛んだった当時、貝類は主要漁獲の一つだった。「マキ籠」という、大きな竹籠に熊手をつけた漁具を用いて、干潟や遠浅の海底をかき取って漁獲。女性たちが浜に総出で貝むきにかかる風景は、境川に係留されるべか舟、三番瀬に立つノリのひび(養殖施設)とともに、当地の漁師町らしい風景だったという。埋め立てと開発により昭和46年に漁業権を放棄し、この3月には駅前にあった浦安魚市場も閉鎖してしまうなど、市街で見られた海産物の生産や加工や流通の風景は絶えて久しい。
そんな中、駅のすぐそばに昔ながらのたたずまいで貝類を扱う店舗がある。曳網漁に用いる帆引き舟の絵柄に踊る、「浦安名物 焼きはまぐり」の文字。「越後屋焼蛤店」は昭和25年創業の、焼きハマグリと焼きアサリの店である。小ぶりな店内の右奥がすぐ加工場になっており、台に山積みのアサリのむき身をおばちゃんが二人、手作業でせっせと串に刺している様子が、往時の浦安の漁業風景をかすかなから思わせてくれる。
驚くのは値段で、丸々したアサリが三つ刺され、1本たったの45円の安さだ。さんぽのテイクアウトにしようとしたら、「食べていきますか?」と売り場のおばちゃんが勧めてくれる。二本買って、ショーケース横の狭いスペースでいただくと、ふっくらとレアに焼きあがり貝汁もしっかり含まれた、絶妙な加減が嬉しい。創業当時からの味の醤油ダレは、貝の味を引き出すほどほどの濃さで、この焼き加減も備長炭の遠火をじっくりあてているからこそ。これぞ貝の素性を知り尽くした漁師の味、二本はあっという間に平らげられてしまった。
後を引くうまさに、おみやげに10本追加しても200円いかないコスパのよさも嬉しい。時期の関係でハマグリがなかったので、春先のさんぽにて再訪するのが楽しみな店である。
そんな中、駅のすぐそばに昔ながらのたたずまいで貝類を扱う店舗がある。曳網漁に用いる帆引き舟の絵柄に踊る、「浦安名物 焼きはまぐり」の文字。「越後屋焼蛤店」は昭和25年創業の、焼きハマグリと焼きアサリの店である。小ぶりな店内の右奥がすぐ加工場になっており、台に山積みのアサリのむき身をおばちゃんが二人、手作業でせっせと串に刺している様子が、往時の浦安の漁業風景をかすかなから思わせてくれる。
驚くのは値段で、丸々したアサリが三つ刺され、1本たったの45円の安さだ。さんぽのテイクアウトにしようとしたら、「食べていきますか?」と売り場のおばちゃんが勧めてくれる。二本買って、ショーケース横の狭いスペースでいただくと、ふっくらとレアに焼きあがり貝汁もしっかり含まれた、絶妙な加減が嬉しい。創業当時からの味の醤油ダレは、貝の味を引き出すほどほどの濃さで、この焼き加減も備長炭の遠火をじっくりあてているからこそ。これぞ貝の素性を知り尽くした漁師の味、二本はあっという間に平らげられてしまった。
後を引くうまさに、おみやげに10本追加しても200円いかないコスパのよさも嬉しい。時期の関係でハマグリがなかったので、春先のさんぽにて再訪するのが楽しみな店である。