ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

旅で出会ったローカルごはん…小諸 『はりこし亭』の、投汁そば

2016年12月07日 | ◆旅で出会ったローカルごはん
小諸・中棚荘での昼食は、敷地内の「はりこし亭」にて。屋号は藤村の詩に出てきた「はりこし(おやき)」からとっており、建物は江戸期築と145年の歴史がある。藍染・養蚕で使われたものを移設しており、58畳もある広間に並ぶ卓には小諸特有の長座布団が添えられ、思わず転がってくつろぎたくなる。天井を見上げれば年季あるアカマツの梁が匠の和情緒を伝えており、宿の明治期の建物に併設されてさらに時代感を膨らませている。

料理長の横田さんは京都「たん熊」系列で修行、京風の流れを汲みつつ食べ応えのある料理に定評がある。この日のお昼「お煮かけそば」は、けんちんの鍋でそばを湯がいていただくスタイル。そば処信州らしい郷土の鍋で、そばを鍋に投げ入れるから「投汁(とうじ)そば」とも呼ばれる。繁忙期に手軽に給仕できる料理が所以で、仕事の合間に手が空いた人から銘々鍋にそばを入れてたぐったという、労働食かつファーストフードでもあったようだ。

ラクロスのラケットのミニ版のような、投汁籠という道具にそばをひとまとまり「投げ込み」、ささっと好みの加減でゆでてひとすすり。カツオダシのさっぱりしたつゆに締まったそばが合い、そばというかしゃぶしゃぶのような感じがする。自前の畑の新そばに加え、湯は温泉を使用。アルカリ泉のためダシの出がよく、体にスッと落ちていく。三つ葉、ネギなどの葉物など季節の野菜を入れるのもお約束で、ゴボウが入るのも流儀。ホコホコとした食感がまた、そばの穏やかさといいコントラストになっている。

散策前ながら体はホカホカ、長座布団がお昼寝へと誘惑してしまうような。

中棚荘@小諸

2016年12月07日 | 宿&銭湯・立ち寄り湯
小諸市の温泉宿・中棚荘主催の視察は、まずはお宿にチェックインから。中棚荘は、小諸城の本丸の横に立地する温泉旅館。創業は明治31年で、現当主の富岡正樹さんで5代目になる。宿名は城のある火山地形の段丘に所以があり、中ほど(中棚)に位置するところからついたとか。敷地内を歩けばかなり起伏があり、千曲川に向けて開けた眺めが清々しい。

建物は創業当時のたたずまいを残す「大正館」と、平成4年築の「平成館」からなり、年季ある山の湯といった佇まいが落ち着ける。お出迎えのヤギくん、明日の朝食にお力添えいただけるのだとか。湯も食も楽しみだ。