ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

箱根てくてくさんぽ1

2014年04月11日 | てくてくさんぽ・取材紀行
平日の箱根・強羅に素泊まりする際は、晩飯の確保が肝心だ。万一用意がないと周囲に飲食店は一切なく、繁華街?の強羅駅前の店もほぼ19時にはOS。それ以前にケーブルカーの終電が19時で、自力で歩こうとすればこのベタ踏み坂を往復することになる。

な訳で、今宵は宿のフロント横の陳列棚から揃えた面子で、素敵な晩餐なり。

オーナーズ強羅クラブ@箱根

2014年04月11日 | 宿&銭湯・立ち寄り湯
箱根ポーラ美術館の企画展プレスデーのあと、夕方に離団して箱根に一泊が、最近お約束になっている。なんせ横浜市民ゆえ、こんな時でないと箱根は近すぎて泊まらない。

加えて安い温泉宿探しも、楽しみの一つ。今夜は中強羅にある「オーナーズ強羅クラブ」へ。名前は凄いが築年数も物凄い。でも接客が凄く掃除の行き届きも凄いので、とても快適だ。温泉の白濁具合も凄く、ぬるめで心地いいので出られないこと。

値段は素泊まり4500円なり。さあ今夜から明日は仕事しないぞ。メモとらないぞ。

旅で出会ったローカルごはん…箱根ポーラ美術館 「レストラン・アレイ」の、特別メニュー「モディリアーニの愛したトスカーナ」

2014年04月11日 | ◆旅で出会ったローカルごはん
伝説の画家として、その生涯を今なお伝えられるアメデオ・モディリアーニ。没後に評価が高まった作品の数々は、パリのモンマルトル、モンパルナスで活躍した10年ほどのわずかな期間に集中して描かれている。「エコール・ド・パリ」の作家のひとりとして、前衛作品への意欲的な取り組み。その一方で随所に浮き名を流す退廃的生活。同時代に同地で活躍したレオナール・フジタが好きな自分にとって、氏と親しかったこともあり興味ある画家のひとりである。

このたびの箱根ポーラ美術館企画展は「モディリアーニを探して」とのテーマで、活躍した時期ごとに氏のリアルな足跡に迫る趣旨である。モンマルトルでピカソやユトリロらと交流が盛んな頃の「青いブラウスの婦人像」は、ダークな色調に浮く女性の青い衣装が、憂いや闇を思わせる。ブランクーシの影響で彫刻に取り組んだ頃に描かれた「婦人像(C.D.夫人)」は左右対称のスッキリした構図で、瞳が描かれた目に穏やかさを感じる。どの時期の絵にも折々の氏の隆盛や心情が垣間見え、波乱の生涯が伺える思いがする。

企画展の際には、主題に合わせた特別メニューを味わえるのも楽しみの一つ。「レストラン・アレイ」では「モディリアーニの愛したトスカーナ」と題し、愛して止まなかった故郷イタリアの料理が供された。「シェフの贈り物」とある前菜は、パキパキのイカにじっとり味が濃いタコのトマトマリネが、地中海の港町らしい彼の地を彷彿させる。生ハムはしっとり柔軟な舌触りに塩っ気の強さが、スティック状のパン・グリッシーニと一緒に味わうのにいい塩梅。メインの豚肉パン粉焼きは煮込んでから焼くことで、肉の甘くジューシーな食味が引き出される。香草を効かせたトスカーナの名物料理法が、静岡ローカルミートの富士桜ポークと見事な相性である。

モディリアーニは晩年はパリを離れ、35歳で亡くなるまでの最後の数年を南仏で過ごした。その頃の作品は「女性の肖像」「ルニア・チェホフスカの肖像」に代表される、色鮮やかで線が緩やかな作風が多い。思えばいただいたトスカーナの料理も、鮮やかで瑞々しく活力を感じさせるものばかり。「氏の芸術の到達点」「古典への回帰」とも評されるこの時期の作品には、体調を崩すなど不遇な中での故郷への想いも、盛り込められているように思えてならない。