ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

一献一品出合い酒@熱海

2014年01月09日 | ◆一献一品出合い酒
熱海銀座にある「山洋水産」にて、喜久酔×アジの刺身。温泉街ぶらり散歩の締めに軽くひっかけるなら、干物になる前のとれとれ地魚に駿河の銘酒の、このコンビが似合う。

細切れなたたきを想像していたら、尾頭付きで運ばれてきたのは分厚い身のつくり。紅色から薄ピンクのグラデーションに、細工包丁の目が浮き立つ。つるりとひと切れ口に運べば、しゃっきりトロリの滑らかさ。こってりのりのりの純な脂を、コメ甘さが引き立つ酒がまるめ流す。熱燗の香り高さに徳利をもうひと、ふた傾けすれば、地アジもトロの味わいと化す一期一会。

かまぼこから続くアジ尽くしに、二本三本と順調に空になる。名の通り味良しの肴が、地酒のふくらみをも押し広げるかのごとく。一献一品の小さな酒宴、今宵も天下泰平なり。

日々是好食…鉄火場市場のマグロ丼

2014年01月09日 | ◆日々是好食
丼の上にあでやかに花開く、大輪の深紅のバラの花。数ある海鮮丼の中でも、マグロ丼は見た目の鮮やかさ、味の親しみやすさで食欲をそそる。赤い花びらの赤身をシャクシャクすっきりと、薄桃色の花びらの中トロをしっとりトロリと、一枚一枚散らしていく。花びらが腹に落ちるに連れ、味わう者の笑顔が咲きほころぶ。まさに海鮮丼の華である。

市場食堂や海鮮料理屋でなじみのマグロの丼、そういえば以前は「鉄火丼」との品書きをよく目にしていた。名の通り赤身を丼の上に並べ、刻み海苔をパラリのワサビをちょん。醤油をざっとかけまわしワシワシやれば、身の冷やっこいコクに海苔ワサがキリリ。寿司屋のまかないがルーツともいわれ、酢飯を使うのが定義。マグロの味をストレートに楽しめる、逸品サイドメニューだろう。

その名の由来は、鍛治で熱した鉄の色にさくが似ているとの説ほか、賭場を指す「鉄火場」からきているとも。「億」の桁を耳にする落札額の高騰が話題となる、生鮮本マグロの初売りが風物詩となった近年、マグロ市場の鉄火場化も名の由来の一説となりそうな気配か。