まず訪れたのは喜多方の小池牧場。会津では原乳に放射能の影響はなかったものの、震災から1週間後に福島全県が原乳の出荷停止となってしまい、24日間解除されなかった。その間、この牧場では1日当たり1トンの原乳を廃棄したという。金額にして1日当たり10万円、日数に換算すると240万円ほどの計算になる。出荷停止時には、乳牛に乳を出させないよう指導が入ったが、餌を減らしたり粗飼料のグレードを下げると、牛に負担をかけ調子を悪くさせてしまう。なのでここでは極力そうした手当はしなかったが、現在でも生産量は8割ほどにしか回復していないという。
会津の食の風評被害からの復興を目的としたモニターツアーに参加した。原発の影響で福島の食材は「全県どこも危険」との誤解を改めるのが主題で、会津は磐梯山から西は当初から地震も汚染も被害はないのに、震災当時は県の何処かで何かがあると、すぐ全県差し止めたことが風評の原因として根深い。とはいえ放射能の目に見えない不安は重く、線量計を持参しての取材を試みた。結果、0.08から0.2マイクロシーベルト/hと、東京とほとんど同レベルの自然界平常値程度の数値だった。これが、自身がほかの人へ「会津は安全」と自信を持って語れる一歩目だ。