暇人詩日記

日記のかわりに詩を書いていきます。

はぐれた抱擁

2012-06-29 | -2012
安寧を与えられる
最後通牒

(誰もわたしを責めてはくれない)

優しい真綿で
絞め殺して

益虫もたやすく
殺すように

(残酷なままなら憎むだけでいられる)

罪のない笑顔
あまりに深い慈愛の懐

ポケットの奥に
死骸が転がっているよ

「あきらめなさい」

見捨てて逃げろというの
その優しい地獄の道へ

脳がかゆくて
おかしくなりそう

むし、むし、ぴょんぴょんわあきゃあぐしゃり

安寧を与えられる
最後通牒

いずれあのつめたいまなざしを
うけながらちぎれじぬならそれでいい

(だけれど真綿はない
虫は死んだ
わたしは死なない
虫は死んだ
あなたがこわい
だから足をもいで
いたずらになぶりながら
血のなまぐささに顔をしかめ
ずたぼろになった屍肉を見下ろし
つめたい唾を吐きかけ
そうして野ざらしにしてしまえばいい)

(わたしもまた益虫を殺した害虫も殺した)

かなしく羽ばたく
虫のおと

わずらわしげな
あなたの唸り

あたたかく腐る
最後通牒

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