今宵もまた、懲りもせずウィスキーのロックを傾けています。
こんなに毎夜酒を喰らっては体に毒だと思いながら、気が付くとグラスに琥珀色の液体を注いでいます。
できれば週に2日くらい空けたいのですがねぇ。
酒くさき 鼓うちけり けふの雪
やっぱり酒といえば冬。
勢い、酒と雪を同時に詠んだ句は座りがよろしいようで。
芭蕉の弟子、其角の句です。
ロシアなど寒い国では、酒の消費量も多いようですね。
逆に暑い風土のインド人はあまり飲まないとか。
また北極圏とかになっちゃうと酒を造ることがそもそもできないんだそうで、寒さをしのぐ最良の術が無いとは気の毒です。
酒と風土は切っても切り離せませんね。
アラブ人はかつては酒を飲んでいたようですが、イスラム教の普及により、飲まなくなったとか。
するとちょうどその端境期にあった呑んべえは、さぞかし苦しんだでしょうねぇ。
アル中一歩手前の私に、これから日本国民は全員イスラム教に改宗するから、今後一切酒を飲むなと言われたら、地獄の苦しみでしょうから。
初雪や 十になる子の 酒の燗
これも其角の句。
2人の娘に恵まれ、たいそう子煩悩だったと伝えられる俳人らしい、微笑ましい句です。
初雪・子・酒の燗と、キイワードになる言葉が三つも並んでいますが、不思議と重たい感じがしません。
10歳の愛娘がつけてくれた燗酒、さぞかし旨かったことでしょう。
一方、娘が心配だったのか、
春の夜の 女とは我が むすめかな
と、いう句も残しています。
おそらく江戸で唯一の不夜城、吉原にでも繰り出したのでしょう。
楽しく遊んだその後という設定がよろしいでしょうか。
ふと虚しさを感じる女遊びの直後、この遊女も娘と同じ女性であったと感じ入ったところ。
私には娘も倅もいないので、その実感はわかりません。
私もただ飲んでばかりいないで、句でも和歌でもひねる才能があれば良いのですが、酒呑みの先輩が詠んだ句や歌を楽しむだけの能なしなのです。
元禄当時、求道的な師匠、芭蕉よりも洒脱な味で庶民に人気があったという其角。
今こそ彼の句を称揚せしめねばなりません。
元禄の奇才 宝井其角 (日本の作家52) | |
田中 善信 | |
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