今日はキリスト教西方教会系ではイースター(復活祭)なんだそうで。
キリスト教では、磔にされたイエスが死後3日経って復活したとされており、今日がその復活を祝う祭りだと聞き及びました。
しかし毎年何月何日と決まっているわけではなく、3月後半から4月前半の日曜日、月の満ち欠けによって決まるんだとか。
また、西方教会系と東方教会系では、布教の過程で土着の古い宗教の習慣を取り入れたため、イースターを祝う日も違うとかで、なんだかいい加減ですねぇ。
よく米国の映画などを観ていると、イースターにはウサギの着ぐるみを着た人々が練り歩き、家庭ではそれぞれに思い思いのご馳走を楽しんでいますね。
中東諸国がイスラム教化前と後では大きく生活が変わったように、欧米ではキリスト教以前と以降で人々の生活や思考パターンが大きく変わったものと推察します。
しかるにわが国では、仏教伝来後も根強く神道は残り、ついには神仏習合なんていう破天荒な理屈を作って、共存共栄を図ってきました。
今でこそ神道の守護者に見える天皇家も、長いこと仏教を庇護し、出家して法皇となられる天皇も多くおられました。
聖徳太子の父帝の用明天皇は、「仏法を信じ、神道を尊う」と述べたと、「日本書紀」にあります。
そう考えると、神道一本やりの現在の皇室はむしろいびつであると言えましょう。
わが国が原理主義的な思想を嫌い、仏教でも神道でも儒教でも耶蘇教でも、柔軟に様ざまな考えを取り入れたことは、戦国末期わが国に訪れたイエズス会の司祭たちが一様に驚愕したという、わが国民の知的好奇心の旺盛さにあろうかと思います。
あるイエズス会士は、他のアジア諸国と違い、日本では民百姓にいたるまで、天文学の話や哲学の話の話に驚くほど熱心に耳を傾ける。しかし、なぜか神の話には関心を示さない、といったほどの意味の手紙を本国に書き送っています。
そりゃそうでしょうねぇ。
わが国には八百万の神々が住み給うわけですから、1柱くらい増えたってどうってことないし、そもそも昨日今日やってきた異教の神だけが唯一絶対で、わが国の八百万の神々は偽者だと決め付けられたら、怒るより前に失笑をもらし、聞く耳を持たなくなるのは必定。
江戸時代、耶蘇教が御法度となっても、ひっそりと信仰を持ち続ける隠れキリシタンが存在し続けたようですが、それだって専門家である司祭は一人もいないわけですから、ずいぶん日本化したものと思われます。
石川淳の小説「至福千年」では、幕末の混乱に乗じて、キリスト教による千年王国を築こうとする隠れキリシタンの一派の暗躍が気風の良い江戸弁風の文体で描かれており、フィクションとはいえじつに興味深い作品でした。
やや難解ではありますが。
私の職場には数多くの欧米人の研究者が長期滞在しますが、彼らと喫煙室などで話したところ、欧州ではキリスト教への信仰はほとんど姿を消して、風俗習慣として残ってはいるものの、多くは無神論者だそうです。
一方米国では熱心なキリスト教信者が数多くいて、原理主義的団体も少なくないとか。
ただ、いわゆる高学歴のエリートはあまり熱心な信仰は持っていない人が多いと聞きました。
ナチのSS将校のキリスト教棄教率は99%を超えていたとかで、ヒトラーやヒムラーがキリスト教以前のゲルマン神話に回帰しようとしたためと思われます。
それには同盟国日本で神話に基づく神道が途切れることなく隆盛を誇っていたことに刺激を受けたせいだ、という説も聞きました。
宗教、とくにユダヤ・キリスト・イスラムの三つの兄弟宗教は、日本人から見るとほとんど同じ教えに見えるのですが、世界の平和と繁栄を言葉では願いながら、じつは侵略の尖兵になったり、紛争の原因を作ったりしてきました。
この三宗教のわずかな違いを考えると、表面的には仏教の浄土門と禅門のほうがよほど違いが大きいように思えます。
しかし、仏教では悟りにいたるには様ざまな門(宗派)があり、どの門から入ってもたどり着く頂上は同じなのだから、本質的に大乗仏教も上座部仏教も同じものだと考えるため、論争は起きても殺し合いまでには到りません。
要するに同じ山を登るのに登山口がいくつもあって、どの登山口から登っても、ルートは違えど頂は一緒ということですね。
ところが件の三宗教は、違いばかりを強調して血みどろの殺し合いを繰り返してきました。
みみっちい話です。
イースターという良き日に、あえて、キリスト教徒の皆様におかれましては、キリスト教が過去に侵した世界史上の巨大な過ちに思いを馳せてほしいものだと切望します。
![Liesbet Slegers,女子パウロ会,聖パウロ女子修道会=](http://ecx.images-amazon.com/images/I/31rfRiCuaeL._SL160_.jpg) |
イースターってなあに |
Liesbet Slegers,女子パウロ会,聖パウロ女子修道会= |
女子パウロ会 |
![にほんブログ村 本ブログ 純文学へ](http://book.blogmura.com/literaturebook/img/literaturebook88_31.gif)
にほんブログ村
![](http://image.with2.net/img/banner/banner_22.gif)
人気ブログランキングへ