掃除や洗濯、買出しなどの家事に精を出した他は、読書をして過ごしました。
「殺戮にいたる病」という小説を詠みました。
殺戮にいたる病 (講談社文庫) | |
我孫子 武丸 | |
講談社 |
ネクロフィリア(死体愛)の性倒錯者の連続殺人鬼を描いた作品です。
主人公は、夜の町で美しい女性をナンパしては殺害し、死体を犯すわけですが、彼はただ一度しかできないその性交を、真実の愛と感じています。
犯行を犯してしばらくは、その思い出にひたって至高の時を過ごしますが、一ヶ月もすると記憶は薄れ、あれは真実の愛などではなかったと感じ、新たな愛を求めて彷徨うのです。
しかしこの小説の優れた点は、人物や時制を混乱させ、読者にトリックを仕掛け、ラストの数行に到って完全に読者を呆然とさせるほどの、騙りを成功させているところです。
ネタバレになってしまうので詳述はしませんが、叙述トリックと呼ばれる手法を見事に駆使しており、騙される快感に引きずり込まれることになります。
やや大仰で思わせぶりなところは鼻につきますが、それも叙述トリックの一貫と思えば、目をつぶっても良いでしょう。
なかなか楽しい読書体験でした。