ブログ うつと酒と小説な日々

躁うつ病に悩み、酒を飲みながらも、小説を読み、書く、おじさんの日記

殺戮にいたる病

2015年05月31日 | 文学

 掃除や洗濯、買出しなどの家事に精を出した他は、読書をして過ごしました。

 「殺戮にいたる病」という小説を詠みました。

殺戮にいたる病 (講談社文庫)
我孫子 武丸
講談社

 ネクロフィリア(死体愛)の性倒錯者の連続殺人鬼を描いた作品です。
 主人公は、夜の町で美しい女性をナンパしては殺害し、死体を犯すわけですが、彼はただ一度しかできないその性交を、真実の愛と感じています。
 犯行を犯してしばらくは、その思い出にひたって至高の時を過ごしますが、一ヶ月もすると記憶は薄れ、あれは真実の愛などではなかったと感じ、新たな愛を求めて彷徨うのです。

 しかしこの小説の優れた点は、人物や時制を混乱させ、読者にトリックを仕掛け、ラストの数行に到って完全に読者を呆然とさせるほどの、騙りを成功させているところです。

 ネタバレになってしまうので詳述はしませんが、叙述トリックと呼ばれる手法を見事に駆使しており、騙される快感に引きずり込まれることになります。

 やや大仰で思わせぶりなところは鼻につきますが、それも叙述トリックの一貫と思えば、目をつぶっても良いでしょう。

 なかなか楽しい読書体験でした。

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