ステージおきたま

無農薬百姓33年
舞台作り続けて22年
がむしゃら走り6年
コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

マラソンがくれたもの!

2016-11-05 09:14:35 | ランニング

 笑ってくださいよ!馬鹿にしてくださいよ!もうそろそろ1週間経とうってのに、水戸黄門漫遊マラソンの力走、思い浮かべちゃ頬緩めてんだよ。たわいないねぇ、まったく。俺、フルマラソン、4時間半切って走ったから、な6分/kmのペースで走り切ったから、なんて人知れず胸張っちゃって。ねえ、聞いてよ、聞いてよ4時間29分56秒だったから。どうして?なんでもっと、聞いてくれないのよ、大会どうだって?話題にしてくれたのは、マラソンライバルの川西町長だけ。あとは、息子がメールで事のついでに、どうだった?って書き添えてあっただけ。まっ、他人様のことなんて、ことほどさように、関心ないものなんだよ。まして、マラソンだろ、変わり者の物好き道楽くらいにしか思われちゃいないんだ。

 周囲からはいくら嘲られようと、僕の中じゃあ、これちょっとしたことで、人生の一大事って言っても過言じゃないくらいの出来事なんだなぁ。だって、そろそろ70歳になろうかって年齢で、フルマラソンを、止まらず歩かず完走できた、それも、一気に30分近くも記録更新したって、自信ついちゃうよ、自惚れちゃうよ。大いなる可能性って奴、感じちゃうわけよ。もっと伸びる、まだまだできる、この確信!これが得られたってことが心を充実感で満たしてくれてるんだ。だから、ニヤニヤと思い出し笑い。

 この記録出るまでは、もうこの歳だし、目標は、どこまで現状維持できるかってこと、何歳まで5時間切りで走れるかな、って。まあ、防衛戦、徹底守備重視の引き分け狙いだった。それが、思いかげないカウンター一発!値千金の30分短縮だもの、これは物事の考え方を変えにゃならんでしょ。そう、場合によっちゃ、責めの戦いができるんだぜ!陣地を前に進められるんだぜ!って。高齢だ、後は萎んでいくだけ、そんな世間常識、何となく囚われてた俺って、人間様のこと、わかっちゃいなかったんだなぁ。

 それに気づいた今となっちゃ、なんだか、いろんな可能性があちこちにゴロゴロ転がってるんじゃないの?って心境になっている。そう、宝石の原石がね。これはもったいない、拾っていかなくっちゃね。ただ、どれを拾うか、どれは素通りするかは難しいところだけど。こんな風に、上る太陽に向かって、あるいは吹きつのる北風に向かって、毅然と立てたって気分爽快、、これがマラソンの一番の恩恵だ。

 フルマラソン完走してから、いつも意識するようになったことがある。それは、どんなに辛い仕事も、うんざりやりきれない作業も、続けていればいつかは終わるって確信だ。例えば、稲束の架け替え。2束持ち上げては、隣の杭に掛け直す。ひたすらこの動作を繰り返す。1枚の田んぼで3時間弱。完全に飽きる!放りだしたくなる。でも、ここで止めれば、稲は乾かない。1回1回ともかく続ければ、必ず終わる。そう、走り続ければ、必ずゴールできるようにだ。

 パン生地をこねる時だって同じ。

 2kgの粉で作ると生地の総重量は4kg弱、そうとうの重さだ。これを200回持ち上げては叩きつける。重い、辛い、萎える、途中嫌気がさして放り出したくなってくる。でも、ここで魔法の言葉だ。マラソンと同じだぜ、止まれば進まない!続ければいつかはゴール!こう囁き続けて捏ね上げる。

 最近は、怠け心も一丁前に高齢化して、すぐに、大変だ、とか疲れたとかほざき立てる己がいる。そんな年寄り怠慢依存症に打ち勝つには、フルマラソンの教えは実に有効なんだなぁ。ともかく一歩、何より一歩、騙された気で一歩。言葉や思考なんてあやふやなもんじゃない。実際に走っている光景が蘇る。あの辛さ、あの苦しさが浮かんで来る。ただ、ただ、前に踏み出す一歩が見えてくる。その残像はいつだって、くっきりと浮かび上がって、最後の一頑張りを支えてくれる、ってこういうわけなんだ。ねっ、フルマラソンの効用、凄いと思わないか?

コメント
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