世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
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【米市場未参入の中国BYDが対米進出したらテスラはまず勝てない…】早くも凋落のテスラが象徴する米産業と…のトホホぶり②

2024-06-27 00:01:19 | アメリカ
前回からの続き)

 中国メーカーによる電気自動車(EV)の「過剰生産」とその輸出販売を自国自動車産業にとっての存亡の脅威(existential threat)ととらえるアメリカですが、その脅威にさらされるのは具体的には・・・テスラ・モーターズとなるのでしょう。同社は言わずと知れたアメ車期待の星。実際、米自動車メーカー・・・ばかりか世界すべての自動車メーカーのなかでの時価総額は一番となっています・・・(ちなみに第2位はトヨタ自動車

 ・・・が、最近の同社のパフォーマンスと事業環境は・・・上記が懸念されるのももっとも、といった感じになっています。たしかにテスラは昨年、EVの販売台数が180万台と、通年では同シェアの世界一でした・・・が、第4四半期には、中国メーカーのBYDに首位の座を奪われて2位に転落しています(BYD52.5万台、テスラ48.5万台)。

 そのあたり、以下の点からもBYDは、現在の実績とポテンシャルの面で、テスラを上回ってきそうです。同社は昨年のEVの売り上げこそ157万台とテスラに及ばなかったものの、その対前年伸び率は73%にも達し、テスラ(同37%、131万台→180万台)との差を急速に縮めていることが分かります。そしてBYDは、テスラが作っていないプラグインハイブリッド車(PHV)も手掛けており、EVと合わせた販売台数は302万台と、これまた同62%増と勢いを感じさせます。さらに、決定的な点として、同社のEVはテスラ車よりも安価(1万ドル台~)で、EV/PHVのバリエーションも含め、より広範な購買層にアピールできるところも強みでしょう。これに対してテスラは、EVしかないうえ、選択肢も事実上2車種(モデルYとモデル3)だけで、そのうえ価格はいずれも4万ドル前後~もします・・・

 上記から常識的に判断すれば、テスラ(って、実質的に唯一のEVアメ車)がBYD(やシャオミ等の中華EV車)に勝つのは、まず無理でしょう。となればアメリカ市場ではBYDのシェアがどんどん拡大して・・・となりそうですが、それはあくまでも今後?のこと。じつは、BYDの上記の好業績は、ホームの中国とアジアおよび欧州等の市場でのもので、同社はここまで(一部車種を除いて)アメリカには進出してはいません。

 まあ・・・だからこそ、前述そして今回冒頭のようにアメリカ(って正確にはテスラの役職員&株主等)は、いまの勢いでBYDが(計画する?メキシコ工場からの輸出で)米市場にやってきたら・・・(テスラは軽く絶滅?)というおそれ&怯えが、すでに欧中間のEV競争が顕在化している欧州等よりも、ずっと強いのでしょう。だからといって、プライドの高い彼ら彼女らは、中国に(品質や価格や消費者満足度等の)競争で勝てません、と素直に言えないものだから、現政権とともに、かの国に対して過剰生産だの補助金だのと難癖?をつけてBYD等の参入を排除しようというのでしょう。そうやってアメリカは・・・消費者利益を失わせるのと引き換えに品質等の劣る自国メーカーを甘やかす・・・ために結局は国内外の人々に愛想をつかされるかたちで米業界全体が弱体化して市場淘汰されていく・・・って、それは・・・20世紀の対日貿易摩擦時でも見られたのと同じ構図ですね・・・

 さらにテスラ(・・・ばかりかBYDも含めたEV業界全体)は現在、EVに対する世界的な需要の減退にも悩まされつつあります・・・

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【メキシコから流入する中国企業製EVで米自動車産業は存亡の危機に】早くも凋落のテスラが象徴する米産業と…のトホホぶり①

2024-06-19 21:25:17 | アメリカ
 「相手」の過剰「生産」が問題?違うでしょ、自分」の「生産」の魅力の無さが問題なんだよね・・・。ホント、いろんな意味で涙が出ますよ・・・

 ご存じのように、今般の一連のG7(先進7か国首脳会議)のセッションでは、中国の「過剰生産問題」が主要議題のひとつになりました。5月の同財務省・中銀総裁会議は共同声明でこれに懸念を表明し、欧米メンバー国は、政府の巨額補助金で支援された中国企業が大量生産した電気自動車(EV)などを安い価格で売り込みをかけられているせいで、自国産業が脅かされていると批判しました。アメリカは同月、中国への対抗措置として、同国産EVへの関税を現行の4倍に当たる100%(!)に引き上げることを決定しました(8月より施行)。そしてEUも同EVに対する追加関税を暫定的に課す方針を発表しています。こうした動きを経て、G7閉幕における首脳声明は、経済安全保障に関して、EVの過剰生産を招いているとして中国の産業政策に懸念を表明するに至っています。

 このあたりは、とくにアメリカが中国製EVに警戒感をあらわにしている様子が窺えます。たとえば、全米製造業者連盟(Alliance for American Manufacturing)は、今年2月の報告書で、中国企業のメキシコ内の工場で生産されアメリカに輸入される安価なEVは米自動車産業にとって「死の鐘」(death knell)すなわちその存亡にかかわる脅威(existential threat)になりかねないと強い調子で警告しています。この点、同レポートは、同国メーカーのBYDがメキシコであらたなEV工場を計画していることに焦点を当てていますが、大げさ?とさえ思えるほどの上記表現から、これがいかに米EV産業に致命的な打撃になり得るかを超~心配する感情がひしひしと伝わってきますね。まあそこは・・・価格面も含めて米EVが中国産のそれに市場競争で勝てない(劣っている)せい・・・って正直に認めることができず、これを中国の過剰生産のせいということにしてG7という世界注目の場で問題視する・・・って、(EU以上に)やはりアメリカ(の今秋の大統領選挙を意識せざるを得ないジョー・バイデン大統領とその政権)らしいよな・・・などと感じる次第です。

 もっとも、アメリカが中国製EVにこうして神経をとがらせるのも分からなくはありません。かの国はここまでEVを自国産業の中核にしようとしてきたでしょうから。で、その自国の一番星?こそ・・・言わずと知れたテスラモーターズになるのでしょう・・・

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【円・日本国債から離れようとすることは戦争や破壊に加担することにつながる】農林中金「高値掴み」損害が示唆する「日本国債しかない」⑦

2024-06-17 00:01:21 | 日本
前回からの続き)

 ということで、どう考えても、毎度の結論日本国債しかない」に至ってしまうわけですが、だからこそ、これから離れよう、離れよう、とすればするほど「農中」(農林中央金庫)になってしまう―――(実質利回りが日本国債よりも低い米国債等の)「高値掴み」の巨大評価損を食らってしまう―――のは当然ですね。それは、わたしたち一人ひとりの総合力が織りなす世界最強日本経済、そしてこれに裏付けられた「」(日本国債)の真価を否定しようという虚しい試みですから。加えて、その否定は、究極的には「平和」や「創造」に背を向け、「戦争」や「破壊」を志向する古い世界にしがみつく勢力に加担することにつながるわけです・・・って、新しい時代の幕開けが間近だというのに・・・

 繰り返しますが、いまやジャパンマネー(Jマネー)こそ世界すべての投資の大元です。ゆえに、本来なら、わが国が投資の主体になるべきが、前述したことから、これが封じ込まれてしまっています。代わって諸外国(≒米欧諸国)がこれを担っていますが、その投資元本だってじつはJマネー、つまり常時マネー不足の彼ら彼女らはこのおカネを超低金利で市中調達して「円キャリートレード」として投資をしているわけです・・・がこれ「投資」とは名ばかりで、実質的には単なる利ザヤ稼ぎであって、新たな価値等を生む投資ではありません。では何を生んでいるのか、といえば・・・不動産やら原油(先物)やら(ジャンク債やら)の価格上昇・・・ってインフレ、です。そのインフレがこうして高進していけばどうなってしまうのか、については・・・本ブログで何度も論じているとおりです。

 もっとも今回は・・・(→ハイパーインフレ→ナチス台頭→)第二次大戦前夜と違って、敵も味方もなく皆さん総崩れでしょう、(相当に傷つきはするでしょうが)たったひとりを除いて、ね・・・

(「農林中金『高値掴み』損害が示唆する『日本国債しかない』」おわり)

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【政府・日銀は政策意図的に日本の「強み」金融力を封じ込めている】農林中金「高値掴み」損害が示唆する「日本国債しかない」⑥

2024-06-13 19:45:19 | 日本
前回からの続き)

 ここまで、農林中央金庫(農中)のこのたびの米国債投資の失敗とこれにともなう巨額損失の計上から、農中(もそうですが本邦・・・ばかりか諸外国も含めた金融機関のすべて!)が今後、投資を増やしていくべき資産が日本国債以外にないことについて思うところを綴ってきました。が・・・

 じつは・・・日本国債のほかに、もうひとつ、これと同じくらい安全で(元本割れリスクが小さくて)プラスリターンをもたらし得るおカネの運用対象がありますね。いうまでもなくそれは「」(ゴールドです。この点は、こちらの記事に書いたように、米FRBが政策金利を5%超にまで引き上げたにもかかわらず、米国債の利回りが、その間の金の価格の上昇率を大きく下回っていることに表れています。だからといって、これを超えるほどの利上げ・・・なんてFRB(とアメリカ)にできないことは明白。このことは、金に対するドル敗北―――FRBが中央銀行つまり(金に対する)「ドルの番人」としての役割を果たせなくなったこと―――を意味しています。

 であれば、そんなドル・・・の預金(≒米国債投資)なんぞより、文字どおりの貯「金」(現物の金を貯めること)のほうが「つねに」有利になるから、預金者は(農業協同組合を通じて)農中に「虎の子」(血と汗で得た農業所得等)を預けたせいで、これが米国債に流れてムザムザ消滅してしまうくらいなら、自ら金(アクセサリーや金貨とか地金など)を買って保管!というのが投資行動としてずっと合理的となってきます。となるとマネーの運用機関としての農中の存在意義は失われかねません。そうした意味でも、農中が引き続きその本来の役割つまり金融を生業とする気なら、ドル債やらユーロ債などがこうして軒並み散るなかで金に対して唯一勝ち得る(金以上の実質利回りを確保し得る)債券である日本国債を投資の中心に持ってくるしかないでしょう・・・

 そしてそのへんは本邦政府そして日銀こそが強く認識するべき。上記のように現在、日本には数百兆円ものキャッシュが何の仕事もしないで(日銀当座預金に)眠ったままです。その理由はこれも上述、そしてこちらの記事等で書いたとおりですが、これ、おカネが余っているところから必要とするところに流れていない―――金融が機能不全を起こしている―――ということ。これほどの(世界で一番の)キャッシュリッチの国で金融が働いていない、正確には結果として政策意図的に働かないようにされているわけです、もちろんそれは対国内(多くは日本国債投資)だけではなく対外投資(米国債等)においても(って非効率つまり「高値掴み」になるので農中以外?のジャパンマネーには常識的には手が出せない)。ホントそこは残念で不幸なこと・・・ってこのマネー力(金融力)こそ、わが国しか持ち得ない「強みなのに・・・

 ・・・って、この「強み」をあえて自ら封じてみせることこそが「本当に本当の目的」達成に不可欠なことは知ってはいるのですが・・・

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【米国債等「高値掴み」の巨大評価損は政府日銀関係各位が償うべきだが…】農林中金「高値掴み」損害が示唆する「日本国債しかない」⑤

2024-06-11 20:13:17 | 日本
前回からの続き)

 本稿で述べている、外貨建て資産への・・・って、ぶっちゃけ米国債への投資に失敗した農林中央金庫(農中)がこれに替わる投資対象にするべきは・・・日本国債以外にありません。これは、こちらの記事等で本ブログではず~っと前から指摘のとおりであり、そのことは前述の状況からも証明されていると思います。でないのなら、常時、流入・増加してやまない経常黒字国としてのわが国のマネーが、トータルで数百兆円も!(わずかの付利と引き換えに)「国内」(≒日銀当座預金口座)に留まり続けるはずはないというもの。そこは、どれほど日銀が「買うな!」とばかりに国債価格をつり上げても(金利を低めに誘導しても)、前回に紹介の本邦機関投資家が、その意図に引っかかる?ことなく―――外債等を買い増すことなく―――次のタイミングが来る(国債価格が下がる・利回りが上昇する)のを辛抱強く待ち続けている様子からも窺えますね。逆にいうと、日銀の狙いにまんまとハマって?「国外」(米国債投資)にノコノコ出て逝ってしまったからこその農中の無残といえるわけですよ・・・

 もっとも農中は、トップ(理事長)が長らく農水次官経験者の天下りポストだったこと等から、ゆうちょ銀行公的年金基金などと並んで、日銀そして政府の意向を強く忖度して動く官製マネーの一翼といえるでしょう。であれば、これが上述の米国債買いのような、「政策的な」(市場原理では説明がつかない)投資行動をとるのも無理からぬこと。それは・・・こちらの記事に書いたような中国共産党政府の対外投資等と本質的には同じ―――市場原理的にはペイしないのを承知で?政策的に買うということ―――です。

 とはいえ、その失敗―――投資元本割れがもたらす評価損など―――の償いは、しないと、そして、させないと、いけませんよね。具体的には・・・農中やゆうちょ銀については、それらの救済は(出資者等にやらせて、それでもおカネが足りない場合は既存セイフティーネットの上限までで、それ以上の)血税の投入ではけっしてしない、そして公的年金基金は政府(≒国家公務員)および日銀役職員の年金原資の運用のポートフォリオは1ドル150円台(以上?)で買った米国債で組む、みたいな感じでしょうか。ようするに、そうした「高値掴み」(巨大評価損発生)に関与した人々がその責任を(年金支給額の減額等として)自ら食らうようにする・・・ことで、他の大多数の国民(納税者)に及ぶ損害をできるだけ小さくするべき、といったこと。

 本ブログでは何度も指摘のとおり、遅かれ早かれ(ドル&米国債の)「高値掴み損害顕在化必至です。なので、そのダメージはその意思決定をした各位こそが償え、と、当たり前のことを書いているつもり・・・ですが、実際には・・・だから、結局は国民全体が彼ら彼女らの尻拭いをさせられてしまうのでしょうね・・・(?)

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【本邦機関投資家、どこかのタイミングで日本国債への強い需要が発生と予想】農林中金「高値掴み」損害が示唆する「日本国債しかない」④

2024-06-07 19:43:38 | 日本
前回からの続き)

 前述のように、農林中央金庫(ばかりではなく国内外のすべての金融機関)が米国債に替えて購入を増やすべき金融資産は日本国債以外に考えられないはずです。にもかかわらず、その投資妙味は乏しい、正確には、乏しい・・・かのように演出されているわけです。つまり(本来そのあるべき価格水準に照らして)高すぎる(利回りが低すぎる)ために投資効率がよくない、といったこと。それは、上記の市場原理に反した現行金融政策(長短金利操作付き量的質的金融緩和)のもとでの日銀による日本国債の極端な「高値掴み」のせいであること、それによって国債にばかり買い向かっていたジャパンマネーを米国債投資に誘導することでその「本当の目的」(米[財政&ドル信認]支援)を達成しようとするものであることは繰り返し指摘済みです。であれば、その狙いに逆らって日本国債を買うのは、なかなか難し(「高値掴み」になってしまい)そうです・・・

 が、そうこうする間も、前述の事情などから、マネーはこの国に恒常的に流入し、これがリターンを求めて農中等に預けられるわけです。当然、これを外債で運用するのは、先述した農中の累次の失敗、そして今後の米欧諸国の利下げ(円高)見通し(外債の円換算額の暴落リスク増大)からNG。かといって「運用せず」(金庫に入れっぱなし?)は金融業者としてあり得ない。となれば・・・どうしても本邦国債への投資しかない、となるほかないでしょう。

 こうしていま(も昔もこれからも?)日本国債の「買い」圧力はたいへん高まっているといえます。だからなのでしょう、日銀は(長期)金利の上昇(国債価格の下落)に現在、非常に神経質になっているように思えます。それは上記の圧を少しでも和らげるべく国債の買い余地を与えつつ(長期金利の一定の上昇を許容しつつ)も、これが行き過ぎ?となって値ごろ感が高まって(価格が下がって)巨大雪崩のような国債の大量買いが発生しないよう(同金利が上昇しすぎないよう)細心の注意を払っている、といった感じでしょうか。

 これに対し、本邦機関投資家(生命保険会社など)はその発生のタイミングを、いまかいまかと見計らっているようです。たとえば先日のブルームバーグ記事によると、(日銀の長期金利誘導目標が撤廃されてけっこう経った)現時点(4日)でさえ、30年債利回りは2.22%という低いレベルに留まっているので(価格は高い水準にあるので)、生保の多くは超長期債をはじめとする国債の購入に本腰を入れる段階ではないとしつつも、「いまは皆、将来の金利上昇を待っているため需要が弱いだけ」で「どこかのタイミングで強い需要が発生するのではないか」(富国生命幹部)との声から分かるように、その「とき」が来るのを心待ちにしている様子が窺えます。

 ここで「皆」とは生保会社・・・はもちろん農中が預かる分を含むほぼすべてのマネーといえるでしょう。そうでないのなら数百兆円!も(2013年の現行金融政策開始以降10年以上も)虚しく積もり続けているはずはありません。ようするにこの間「皆」国債を買いたい!と辛抱し続けてきた、というわけです。であれば・・・(本邦金利がさらに上がって他国債との金利差が縮小等して)これが一斉に国債に買い向かい出したら・・・そのインパクトのあまりの大きさにひとたまりもないってことですよ・・・ってドル&米国債(への投資)は(って、ユーロもEU国債も、ひょっとしたら[ゴールド]すらも)

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【日本では真の意味でのキャピタルフライトが起こらない理由】農林中金「高値掴み」損害が示唆する「日本国債しかない」③

2024-06-05 00:03:48 | 日本
前回からの続き)

 このたびの米国債投資&運用の失敗による巨額損失に対処するべく大型増資を行うこととなった農林中央金庫(農中)が、その反省をふまえ、米国債に代わって投資をするべき、安全確実な―――元本割れ(≒高値掴み)リスクが低くプラスリターンを必ずもたらしてくれる―――資産は本来、日本国債以外にあり得ません。この点、大口マネーの受け皿をあれこれ思い浮かべてみても、他に何がある?といったところでしょう。

 ところで、農中(を含む本邦金融機関のほぼすべて)には、(農業協同組合等を通じて)顧客からの預かり金として継続的に新規マネーが入ってくるわけです。これと逆に、マネーが流出するというケースは、当該金融機関が経営不安に陥った場合などを除けば、きわめてレア、といえるでしょう。そしてその場合でも、そこから逃げたおカネは外国へ・・・ではなく他の邦銀等に預け替えされていくことになります。そのとおり、マネーは外(国)に逃げようがありません。なぜなら、日本はつねにマネーが流入する貯蓄超過の経常黒字国だからです。このマネーの構図こそ、わが国の「強み」として、堅持していかなければなりません(これを弱体化させるようなこと[経常収支を悪化させるようなこと]をしてはいけません)よ・・・

 なおこの点、付言すると、その意味で、いわゆる「キャピタルフライト」(資本逃避:投資先の国に投資されていたマネーが投資元の国に戻ること)が日本で起こるわけがありませんからね。だって、このように、ジャパンマネー―――本稿の文脈では上記超過貯蓄分―――こそ日本以外の国の資産(米国債等)に対する投資の大元なのだから。なので、真の意味でのキャピタルフライトとは、この投資元本―――上記の農中マネー等(本邦金融機関の対外投資分)と外国人投資家の円キャリートレードの元手としての円の借り入れ―――の巻き戻し、つまり当該元本がアメリカ(米国債等)など(含む日本株)から(それこそ逃げるように)日本に回帰することをいうのですよ。このあたり昨今、勘違い(たとえば、外国人投資家の日本株の売却[円高進行で急膨張する円キャリー債務の返済金捻出のための売り[ファンダメンタルズや本邦企業利益などとほぼ無関係]]を「日本売り」などと資本逃避的に誤表現?)があまりに多いので、補記する次第です。

 で、話を戻して、日本国債ですが、上記のとおりコレしかない・・・にもかかわらず、現状、投資妙味はまだまだ乏しいといえます。それは・・・ご存じのように、そして本ブログで繰り返し指摘のとおり、日銀現行金融政策・・・による極端な国債の高値誘導(超低金利誘導)のせいですが・・・

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【米国債はNG、外国プロファイ等は非現実的、となれば投資対象は…】農林中金「高値掴み」損害が示唆する「日本国債しかない」②

2024-06-01 21:06:02 | 日本
前回からの続き)

 前述のように、米国債投資に事実上失敗し(?)、そのために農業協同組合(JA)等を引受先とした巨額増資を計画中の農林中央金庫(農中)ですが、今後、含み損を抱えた米国債を処分売りして、収益性が高い資産に入れ替えていく意向とのこと。他方でこれは短期的な取り組みで、将来的には投資方針の見直しを進め、外国のプロジェクトファイナンスや手数料ビジネスなどを強化する考えだそうです・・・が、農中の理事長は、これらの事業が「従来課題として取り組んでいるが、まだまだ育っていない」と語ったそうな・・・

 ・・・って、そりゃそうでしょう。農中は全国のJA等から預かった兆円単位ものマネーを運用するわけですが、この巨大スケールの受け皿となり得て、かつ低リスクで確実にプラスリターンをもたらしてくれる投資対象、それも外国のプロファイ案件等は「育っていない」・・・のではなく現実的には「ほぼ、ない」と見切るべき。となると、農中マネーの大半は、どこの何に投資したらよいものか、などと持て余してしまう、ということになります。

 その点、上記のように、農中のこれまでの大口の運用対象だった米債券―――リーマン・ショック直前まではハイリスクな不動産系債券、同後~いままではローリスクな(はずだった)米国債―――の運用パフォーマンスは、結果としてどれも「高値掴み」となったために超マイナス。もうそこは、こうして繰り返し自己資本を食いつぶして多くのステークホルダーにどれほどソンを負わせてきたか、ってことで、いいかげんその事実と責任を自覚しなくてはいけないのでは、農中幹部各位・・・

 ちなみに申し添えると・・・米国債のドル価格は今後(FRB利下げする以外にないために)上昇する(しかない?)でしょうが、いっぽうで、その際は(米長期金利が下がるために)為替が円高ドル安に向かう可能性が高いので、その円評価額は・・・やはり下落してしまいそう、それもかなり・・・

 と考えてくると、外国のプロファイ等も米国債も(上記のとおり、これまでもそうでしたが、とくにこれからは)元本割れリスクが高く、とても安全確実な資産とはいえないはず。であれば、収益性向上の観点から農中が今後投資を増やすべき資産は・・・値ごろ感(今後の価格低下[利回り上昇]見込み)や市場スケールなども勘案すれば、日本国債しかないはずですよ・・・って、農中にとってはもちろん、国内外のすべての金融機関にとっても、ですが・・・

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