世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
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【人民元が他のSDR採用通貨と決定的に違うのは…】米中貿易戦争が教える両国の残念ぶり④

2019-05-29 00:03:51 | アジア

前回からの続き)

 先述した理由などから、中国の経済戦略の方向性は、諸外国、中でも世界最大の消費大国アメリカへのメイド・イン・チャイナの輸出販売で成長を図るというものだと考えられます。(対米)輸出振興―――中国の場合、これこそが経済発展の原動力と言っても言い過ぎではないでしょう。こちらの記事等でも書いた国内外の巨額インフラ投資や日本にやってくる中国人観光客の「爆買い」などの源泉は、この輸出での稼ぎだということです。したがって今般、その最大の得意先アメリカに輸出障壁を設けられてしまったのは、同国の上記戦略を根底から否定されるほどのマイナスのインパクトがあることでしょう。

 このあたり、あらためて中国が「ドル」という名のアメリカの通貨にいかに依存しているかが分かるというものです。上記の稼ぎとか富とかは、具体的にはドルの姿をしているわけですからね。

 じつは中国の強みとか弱みの本質は、相当程度、この点―――ドル―――に集約されていると考えています。強みはいうまでもないかと思います。同国は現在、世界一の外貨準備、要するにドル(≒米国債)を持っているわけです。これほど持っていれば、ドルの支払いに窮するような緊急事態は、そうは想定されないでしょう(?)。他方、弱みとして指摘できるのは・・・国家の根幹ともいえる金融・通貨政策がアメリカという他国のそれに左右されてしまうこと。

 この表れの象徴が人民元になります。人民元と聞くと・・・世界第2位のGDP大国となった国の通貨であり、ドルユーロ英ポンドと並ぶIMFのSDR採用通貨でもあって、それにふさわしい高い価値と信頼がある通貨に思えます(?)。ですがこのおカネ、他のSDR等通貨と決定的に違う点が指摘できるわけです。つまりこれ、その信認の裏付けを外貨、要するにドルと米国債に依存しているということ。円が日本国債、ユーロがEU加盟国の国債・・・といったように、現在の主要通貨はその価値を当該通貨発行国の国債に裏打ちさせていますが、人民元はこれが米国債で、自国の国債ではありません。この点においてドルと同じなので人民元は「疑似ドル」―――とこちらの記事で述べたものです。なので、人民元はSDR通貨に入れる必要なんてなかったですね。だってこれ実質的に従前からのSDR通貨ドルだから・・・

 このあたりは、こちらの記事に書いた中国の中央銀行である中国人民銀行のバランスシートの資産勘定からも分かります。たとえば日銀のそれは大半が日本国債(って、いまは異様に膨張しているが)となっているのに対し、人民元は・・・上記のとおりです・・・

(続く)

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【中国第一の経済戦略「対米貿易でドルを稼げ」が動揺】米中貿易戦争が教える両国の残念ぶり③

2019-05-27 00:01:15 | アジア

前回からの続き) 

 前回まで、米中貿易戦争におけるアメリカの「残念ぶり」について、個人的に思うところを綴ってきました。それはすなわち同国のモノ作り能力の無さに見出せるわけで、であれば貿易赤字問題の抜本的な解決策はメイド・イン・USAの再生あたりになるのでしょうが、これ実際には、まず無理と断言できます(?)。先述のようにアメリカでは、アメ車が象徴するように多くの製造業の国際競争力が著しく低下してしまったばかりか、自分で作ることすらしなくなったモノのジャンルがどんどん広がっています。となると、現場を支える人材も年々消えていくし、これを受け継ぐ次世代も育たないし、関連の研究・教育レベルもどんどん劣化し、結果として各製造業の素地はアメリカから次々と消滅していくしかないでしょう。以上からメイド・イン・USAの復活はほぼ絶望的、ゆえにアメリカは貿易赤字を甘受する以外にない、と悲観するものです・・・

 次に中国について。今般の米ドナルド・トランプ政権の強硬措置で、米国民とともに、かの国もまた大きなダメージを被るのは間違いないところでしょう。そのあたりは下記、中国の国際経済戦略の方向性を考えると想像ができると思います・・・

 「アメリカにモノを売って得たドルの力で経済発展を遂げる」―――結論から先に書くと、中国の上記戦略はこれ(だった?)と考えています。このあたり日本や(かつての)欧米諸国の経済発展のコースとは根本的に異なってきます。つまり日米欧諸国は、歴史を振り返れば分かるように、かなりの程度「必要なモノは可能な限り自力で作りながら経済発展を遂げる」的なルートをたどってきました。これを「先進国型」とするなら、中国の場合は中国型・・・というよりは「新興国型」といえるもの、要するに、先行する先進国の援助や資本そして技術移転等を得てモノを作って売る・・・っても外国相手に売る、というやり方です。

 望ましい経済発展において、製造業セクターの場合は、安くて品質の良いものを作って、まずは自国民に普及させることが目的になるはず。ところが中国(等の新興国)は、国民の大半が貧しく購買力がないのでこれが不可能だから、リッチな外国人向けのモノを先に作り、これを売って得た稼ぎのトリクルダウンで自国民が少しずつでもモノが買える程度に豊かになってくれれば、となるわけです(っても、左記利益の大半を特権階級が独占しちゃうのが中国流であり、庶民は相変わらず貧しいままのような気がしますが・・・?)

 以上から中国は、(日本などからの協力等を受けて)低プライスを「売り」にしたチャイナブランドを確立し、それらの売り先を諸外国・・・って、なかでも世界最大の消費大国アメリカに定めたという次第・・・だと考えています。そしてアメリカ相手の商売で得るものは当然、同国の通貨であり基軸通貨でもあるドル・・・ということで、後述するように、このドルこそ中国のパワーの源泉・・・であり、中国というシステムの限界にもなっているわけです・・・

 このたび発動された米トランプ政権の「メイド・イン・チャイナにノー!」と言わんばかりの(?)対中関税障壁は、中国からすれば、上記の経済戦略が根元から否定されたに近いくらいのインパクトがあるはず(?)。つまり「対米貿易でドルを稼げ!」モデルが揺らいでいる、ということ・・・

(続く)

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【米の国家安保リスクはモノ作り能力の無さにある】米中貿易戦争が教える両国の残念ぶり②

2019-05-25 00:02:52 | アメリカ

前回からの続き)

 先述のように、米中間の貿易不均衡問題の本質的原因は、アメリカに輸入代替品を作る能力がないこと。よって、たとえ中国製品の輸入を関税障壁でブロックしたところで、アメリカはその代わりのモノを他国からの輸入品に依存せざるを得ず、結局、同国のトータルの貿易赤字は減ることはない―――対中赤字は減っても、それと同額程度の対他国の赤字が増える―――ということになるでしょう。であればこの問題、アメリカが、中国はもちろん、日本やEUなどの他国のせいにし続ける限り、永遠に解消することはないはずです・・・

 少し大げさに言えば、このあたり、アメリカのモノ作り産業が消滅の危機に瀕していることの表れでもあると考えています。1980年代から2000年代くらいにかけて、アメリカの貿易赤字の主因は原油等の輸入額の大きさでした。その後はご存知「シェール革命」の進展で同国は石油の自給率を高めること、つまりその輸入の削減に成功しつつあります。実際、トムソンロイターの記事等によれば、アメリカの原油輸入量は、2005年に記録した最高1250万バーレル/日から、20181月時点では400万バーレル/日を下回る水準にまで減ったとのことです。そればかりかアメリカは2015年以降は海外への原油輸出にも乗り出しているわけです。これらのことから単純に想像すると、石油の輸入額が大きく減るからアメリカの貿易収支は改善する、となりそうですが・・・実際にはそうはなっていません。米商務省の3月のデータによると、同国の2018年の貿易赤字は前年比10.4%増の8787.2億ドルと2006年以来12年ぶりに過去最大値を更新してしまいました。つまりこれ、せっかく石油輸入額が減ったのに、同国のモノの輸入品依存がいっそう深まったがゆえに、トータルでは最悪の値になったということ。その陰には当然、メイド・イン・USAの国際&国内(?)競争力の低下・・・というか、こちらの記事で書いた鉄道車両のように、自国では作ってすらいないモノのジャンルがどんどん広がっている様子が窺えるわけです・・・

 上記貿易赤字のデータによると、国別赤字では全体のほぼ半分を占める対中国が4192億ドルと同11.6%増えて過去最大となったほか、対EUや対メキシコもこれまた過去最大となっています。これらからもアメリカが、自動車から消費財等に至るありとあらゆるモノを外国品に頼っているさまが伝わってきます。

 貿易不均衡問題について米ドナルド・トランプ政権周辺はしばしば国家安全保障にかかわる問題みたいな言い方をしますが、上記を冷静に分析すれば、同国の真の安保上のリスクは、失礼ながら米国民のモノ作りに関する現状の能力レベルにあるように思えてなりません・・・って、こちらの記事に書いたことがそのあたりを物語っているような気が・・・?

(続く)

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【最大の原因は輸入代替品を作れない自身の能力不足】米中貿易戦争が教える両国の残念ぶり①

2019-05-23 00:01:35 | アメリカ

 まあたしかに二大経済大国なのでしょうが、どちらも・・・ね・・・

 アメリカは今月10日、中国からの輸入品2200億ドル相当に対する関税率を、それまでの10%から一気に25%へと引き上げました。これに対する報復として中国13日、アメリカからの輸入品600億ドル相当の関税率を61日から最大25%に引き上げると発表しました。加えて「タリフ・マン」(関税男?)こと米ドナルド・トランプ大統領は、現在は関税対象外となっている3250億ドル相当の残りの中国製輸入品にも税率25%の関税を追加適用する手続きを開始するよう通商代表部に指示したとのこと。もっとも同大統領は13日、これらを実際に発動するかどうかは決断はしていないとのことですが・・・

 このように、米中間の貿易摩擦は激しさを増し、とうとう実力行使の局面、つまりお互いの輸入品に対する国際ルール違反まがいの(?)高率関税の適用合戦という、まさに貿易戦争の様相を呈してきました。これ、指導者のプライドもあって、どちらも引くに引けないため、さらにヒートアップしそうな気配も感じられますが、どうなることやら・・・

 これ、わが国から冷静に見れば、本稿で綴るように、両者ともにトホホ・・・な印象を受けるわけですが、個人的には、貿易に関する限り、どちらかといえばアメリカに対してより強くそう感じるものです。なぜなら、相手に対して先に口(非難)と手(関税障壁強化)を出したのは同国だし、下記のとおり、そもそも対中貿易赤字が膨らんだ原因は中国にではなくアメリカ自身のほうにあると考えるからです(ここ、「中国」を「日本」や「EU」に置き換えても同じです)。

 

 このあたりはこちらの記事でご紹介したアメリカの主要物品別の貿易収支を示す上のグラフではっきり感じられます(2017年、出典JETRO)。これを見れば、先記事で書いたように、アメリカが航空機(ボーイング社製造の航空機、これだけが出超)を除くすべてのモノを外国製品に依存している様子が分かるわけです。ということは、関税強化で中国からの輸入品の価格が上昇したらどうなるか、簡単に推測ができるというもの。まず米国民は、関税分だけ値段が上がった中国製のかわりにベトナムなどの他国製の輸入を増やすでしょう。それでも代替品が見つからなかったら・・・高いけれど我慢して中国製を買うしかない、ということ。要するに、どのみち輸入品に頼る以外にないので、たとえ対中関税を上げても肝心の米貿易赤字は減ることはない―――減った対中赤字と同額の対越等赤字が増える and/or 米消費者が関税分だけ支払い負担が増えるけれど対中赤字額は以前と同じ―――というわけです・・・

 このあたり上記、そしてグラフでも分かることは、米貿易赤字の最大の原因は、いまのアメリカには必要なモノを自分で作る能力がほとんどないということ。この点、中国やEUや日本(などのアメリカにとっての貿易赤字国)が悪いのではなく、同国が反省?するべきは輸入品を代替するモノを作れない自分自身の当該能力の無さといえるでしょう・・・

(続く)

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【憲法九条改正の真の狙い:防衛予算キャパの拡大】憲法九条改正論者の本心「戦争で失地回復だ!」④

2019-05-21 00:02:47 | 日本

前回からの続き)

 先述したことなどから、わが国には、いったん外国に占拠された領土を取り戻すための戦争は事実上できない、したがって中国の侵略の脅威にさらされている尖閣諸島の実効支配を確固たるものにする必要があり、そのためにはその有人防衛化を進めるべき、と以前こちらの記事等に書きました。でも実際には、同国をいたく刺激するからそれも非常に困難だろうし、そもそも日本、とくにアベノミクス日本が本当にしたいのは尖閣防衛の強化・・・ではなく、これを大義名分にした軍拡と防衛支出の増額にあるはずです(?)。こう考えれば、尖閣有人防衛は検討の枠外になるのは当然ですね。だってこれ採用したら、宮古島などの近隣の島々に高額なミサイルとか戦闘機などを配備する必要がなくなってしまうから・・・

 ではどうしてアベノミクス日本は、北方領土竹島の奪還そして尖閣諸島の実効支配継続の役には立たない兵器武器をたくさん揃えたいのか?といえば・・・ご想像がつくでしょう、いま世界経済を揺るがしているトピックを思い浮かべれば。このあたり、安倍首相らがしきりに改憲の必要を訴える真意も推測できるというものです。つまり、わが国が九条改正で交戦権を回復すれば、いやそこまで行かなくても、少なくとも自衛隊のステータスがいまより上がれば、周辺国の脅威増大を口実に、防衛予算のキャパを大幅に拡大できる、と見込むためでしょう、おそらくは・・・(?)

 わが国の防衛費はすでに数兆円規模と、これだけを見れば十分に軍事大国といえます。他方、これだけ戦力を充実させても、ロシアそして韓国が不当占拠する島嶼の返還はこれっぽっちも成し遂げられなかったし、上述のとおり、これ尖閣の防衛にも実質的な効果を発揮しません。その意味するところは、いまのご時世、失地の回復等に軍備、なかでもミサイルや戦闘機などといった高価で破壊力の大きな兵器武器類が無用の長物だということ。これ、このたびの丸山穂高衆院議員の上記発言について「政府の見解とはまったく異なる」と述べることでアベノミクス政府も認めているわけです。すなわち領土問題の解決に、巨額の血税をはたいて買ったミサイルや戦闘機は使えない、ということ・・・

 大国間の貿易摩擦憲法改正論消費増税、そして本稿で取り上げた出来事・・・。みんな密接に関係していることです(?)。これらから、国家そしてわたしたちの暮らしをいかに守るか?そしてどうしたら平和的かつ効果的に奪われた領土を回復できるのか?のが自然に見えてくるように感じますが・・・

(「憲法九条改正論者の本心『戦争で失地回復だ!』」おわり)

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【尖閣占拠されたら改憲後も戦争不可なのでジ・エンド】憲法九条改正論者の本心「戦争で失地回復だ!」③

2019-05-19 00:01:22 | 日本

前回からの続き)

 北方領土奪還にロシアとの戦争の必要を示唆するかのような先日の丸山穂高衆院議員の問題発言ですが、当然ながら改憲論者は「この大事な時期に何てことをしてくれるんだ!」とネガティブに受け取ったことでしょう。これを耳にして国民の多くはあらためて戦争に対する嫌悪感を強くしたわけで、いまのタイミングで憲法第九条「戦争の放棄」「交戦権の否認」等の改正を訴えると、アナタたちも対ロ戦争を欲しているのね、と反発されかねないためです(?)。となれば九条改正は当面、困難になったということで、結果として丸山議員は護憲派をアシストしたということができるかもしれません(?)。このあたり、次回の国政選挙にビミョ~な影響がある気もしますが・・・

 さてその改憲論者ですが、表向きは勇ましいものの(?)、じつは本音では(丸山議員とは違って?)ロシアをはじめとする諸外国との戦争はする気はないのかも、と勘繰っています。たしかに各位は九条を改正して日本を戦争ができる国にしたいと考えているとは思います。でもそれはリアルな戦争をやろう!というわけではなく、リアルな戦争をやる・・・ことができそうなくらい、自衛隊(改憲後はアベノミクス日本軍?)の軍備を増強する(・・・んだけれど、じつは戦争はしない)、ということなのだろう、と推測するものです。

 そのへんが窺えるのが、中国が領有権を主張する本邦固有領土の尖閣諸島に近い宮古島などに展開する自衛隊戦力の増強等。これ一見、中国の侵略に備えるため、に思えます。ですがこれ、肝心の尖閣諸島の防衛には役に立たないといえます。なぜなら同諸島は引き続き無人のまま捨て置かれているからです。であれば、同諸島は竹島の二の舞になる―――近い将来、非武装(って、無人だし、日本は北方領土と同じく攻撃できないから、武装は不要という意味)の人民解放軍のパラシュート部隊あたりに無血占領され、以降、中国が同諸島を実効支配する、となってしまうリスクは高まる一方です・・・(?)

 このとき宮古島などの自衛隊(日本軍)のスゴ~イ兵器類や戦力は、結局、本来の役割―――尖閣諸島が外国に奪われないようにする、あるいは奪われたら武力で取り返すこと―――をまったく果たすことはないでしょう(?)。というのも上記のように、たとえ改憲論者の政権であっても日本は、本当は領土奪還の戦争をする気が無い、より正確にいえば戦争ができないためです。かりに同諸島を占拠する中国軍に対して武力行使したら、日本が先に人命を傷つけた!とかの国そして世界各国から非難されるし、それに・・・これがいちばん重大な理由でしょうが(?)その際の本当の戦場は尖閣周辺・・・ではなく、地球の反対側のNY市場になってしまいますからね(?)。そのあたり尖閣のみならず北方領土や竹島も同じことです。

 憲法九条の改正を望む方々だって上記くらい分かっているでしょう。つまり日本は改憲しようがしまいが、戦争はできない、よって領土奪還を意図した戦争をするインセンティブはない、ということです・・・

(続く)

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【アベノミクスが続く限り領土問題進展は望み薄?】憲法九条改正論者の本心「戦争で失地回復だ!」②

2019-05-17 00:02:48 | 日本

前回からの続き)

 わたしは、現行の平和憲法は順守するべき―――第九条(「戦争の放棄」「交戦権の否認」等)は不要―――と考えています。その理由は、結局のところ九条改正は、領土問題解決を意図した戦争の合法化につながり、前述した丸山穂高衆院議員のような北方四島を武力で奪還しよう!と考える方々(≒改憲論者)のロシアに対する交戦権の行使、すなわち対ロ戦争を仕掛ける暴挙を防ぐことができなくなるため。今回の上記出来事を機に、あらためてその思いを強くした次第です。

 そんな戦争を絶対に起こしてはならない、だからこその九条順守―――これが偽らざる本心ですが、こちらの記事に書いたように、現状では、じつはべつな観点から、つまり国益の面からのほうが平和憲法の有効性を実感できると考えています。このあたりの詳細は重複するので省きますが、戦後の日本の経済発展をみれば、それだけで簡単に想像ができるというもの。もし九条がなかったら、わが国は、たとえ直接的に他国と戦争をしなかったとしても、太平洋戦争終戦から数年で勃発した朝鮮戦争に始まり、以降いままでの数々の戦争に参戦させられ、多くの人命と国富を失っていたことでしょう。それを免れたのは、戦争の反省に立って日本は戦争をしない国になる、と謳う憲法の実益面での恩恵だと思っています。

 とまあ、このように書くと、丸山議員の上記発言のような、奪われた島々はいつまでも取り返せないではないか、といった声が改憲論者から上がりそうです。たしかに、このままでは絶対に不可能といえますね。けれど、戦争のようなバカげたやり方ではなく、もっとスマートにやれば・・・けっして不可能ではないはず。それって外交努力?まあそれも必要ですが、もっとも強力な手段は「マネー」でしょう、日本の場合。そのあたりもこちらの記事を含めて何度も書いているところですが、わが国は元来、世界最強の通貨「円」を持つ国。よってその強さを存分に発揮できる環境(=市場原理に干渉しない)を持続できれば、ロシアも韓国もやがては日本にすり寄るしかないってことです。実際ロシアは、経済危機に陥っていたエリツィン大統領時代に領土交渉で日本に大幅に譲歩しようとしたし、韓国も1990年代後半のアジア通貨危機時に日本におカネの無心をしたわけで・・・

 もし「日本」が本気になれば、かなりの確率で上記が再現されるとみています・・・が、望み薄ですね、「アベノミクス日本」のままでは。よって当面は―――アベノミクスが続く限りは―――領土返還は期待できない、と観念するしかなさそうです・・・(?)

(続く)

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【丸山議員、北方領土奪還に戦争の必要を示唆!?】憲法九条改正論者の本心「戦争で失地回復だ!」①

2019-05-15 00:01:59 | 日本

 常識的に考えれば唖然とさせられる物言いでした・・・が、これこそ憲法第九条改正論者の本心といえるでしょう・・・?

 報道によれば、北方四島のビザなし交流の訪問団の一員として国後島を訪問した日本維新の会の丸山穂高衆議院議員が、元島民に対して北方領土問題について「戦争をしないとどうしようもなくないか」「(戦争をしないと)取り返せない」などと口にして大炎上しました。これ、どうやらお酒が入っての放言に近いもの(?)だったようですが、ご自身の立場やTPOを考えると不適切な内容であることに違いはなく、結局、これが災いして同議員は所属していた維新の会から除名処分を食らってしまったわけですが・・・

 領土問題解決の手段として戦争を選択する―――個人的にはじつに残念な発言であり思想だと思っています。ですがこれ、冷静に考えれば、べつに丸山議員だけではなく、日本国憲法第九条「戦争の放棄」を改正して交戦権を回復しよう!と訴える人々なら誰もが望むところなのではないでしょうか・・・

 今回の出来事は、「改憲論者、交戦権回復後はロシアとの戦争を画策か!?」とのサブタイトル付きでこちらの記事に書いたことを思い出させてくれました・・・

(引用はじめ)----------

 晴れて憲法がそのように改正され、わが国が交戦権を取り戻したら、さっそくこれを行使することになるでしょう。そのときに想定される第一の対戦国は中国、北朝鮮・・・のいずれでもなく、ロシアになるのは明白です。なぜなら、ロシアこそはこの瞬間、わが国の固有領土を不当に占拠している2か国(もう1か国は韓国)のうちのひとつで、韓国(竹島)よりもはるかに広大な本邦エリアすなわち北方四島(歯舞諸島、色丹島、国後島、択捉島)を領有しているからです。他方で中朝両国は現時点で日本の国土を侵害等してはいないので、仮想敵国としての順位はロ韓両国よりもずっと下がります

 日本は戦後これまでの数十年間もの長きにわたって同国(旧ソ連)と北方領土の返還交渉を続けてきました・・・が、実質的には何らの成果もあげられていません。いっぽうで当該交渉が進展しない場合にこれを実力で取り返す術がありませんでした。憲法の上記条文が領土紛争を解決する手段としての交戦権を認めていないためです・・・

 ですが同改正後は、この呪縛から脱し、ロシアに対する武力行使が可能となります。よってわが国としては、憲法改正から時を置かずして同国に上記交渉打ち切りを通知するとともに宣戦を布告、日本にとって最大の侵略者を排除するべく北方四島に電撃反攻、同盟国アメリカの手厚い軍事支援を得ながら各島を奪還、最後は四島東端の択捉島は単冠湾(真珠湾攻撃の前に旧帝国艦隊が集結したところ)に円安日本海軍が高々と勝利の旭日旗を掲げる・・・といったシナリオを実現させたいところ・・・

 ―――憲法改正論者の本当の目論見は上記のとおり、ロシア(および韓国)相手の交戦権の獲得と行使そして奪われた北方領土(および竹島)の武力による回復です。中国や北朝鮮の脅威なんぞは真の敵ロシアそして味方をも欺くブラフに過ぎません・・・???

----------(引用終わり)

 あらためて読み返しても、このとおりだと思います、丸山議員そして憲法改正論者の本心は。つまり各位のねらいは、憲法改正で日本の交戦権回復→対ロ・対韓戦争→北方四島と竹島の武力による奪還、ということ・・・???

(続く)

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【対北外交、日本は冷静に北朝鮮と向き合える位置にいる】ようやく前に向かうか日朝関係②

2019-05-13 00:00:09 | 日本

前回からの続き)

 遅すぎる・・・との印象はぬぐえませんが、日朝首脳会談の無条件での開催を目指すとするこのたびの安倍首相の決断を前向きに評価したいと思います。その理由は前述、そしてこちらの記事に詳述したとおりです。ちなみに同記事において、わが国は北朝鮮との国交正常化等を巡る話し合いに当たっては「核の全面廃棄とか拉致問題の完全解決みたいなハードルを設ける必要はない」と綴りましたが、首相は上記会談の開催条件を「無条件」(すなわち「ハードル無し」)と述べたところがこの個人的な思いと合致しているので、なおさら歓迎したいというものです。

 以前記事等の繰り返しになりますが、日本人拉致問題を筆頭とする日朝間の懸案事項のスムーズな解決解消を図るため、そして反日的な姿勢を強める韓国をけん制するなどの意味で、日本は北朝鮮と国交を早期に樹立することが適当と考えます。先日の米朝首脳会議が物別れに終わって以降かの国は飛翔体(って、ミサイル?)を何度か打ち上げるなど、周辺国に対して再び挑発的なスタンスを示すなど、同国に関する情勢は不透明かつ複雑になってきています。そうした中でも、上記したことから、韓国などと違って日本は北朝鮮に冷静に向き合える立ち位置にいます。このポジションを上手に活かし、安倍首相および日本政府が総合的な国益増進の観点で対北外交を進めることを期待しています。

(「ようやく前に向かうか日朝関係」おわり)

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【安倍首相、日朝首脳会談の無条件開催の意向表明】ようやく前に向かうか日朝関係①

2019-05-11 00:01:40 | 日本

 やっとか・・・という思いはするものの、これを機に両国間のコミュニケーションが進み、国交樹立に至ることを期待したいものです・・・

 報道によれば、このほど安倍首相が日朝首脳会談の無条件での開催を目指す意向を固めたとのこと。これは、日本人拉致問題の進展を開催の前提条件としていた従来の政府方針を転換するものになります。具体的には(1)安倍首相が条件を付けずに北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長に会う、(2)2002年の日朝平壌宣言に基づき国交正常化を目指す姿勢を強く打ち出す、(3)北朝鮮が求めるあらゆる議題に関して腹を割って話し合う、が柱になるとのこと。この呼びかけに、北朝鮮そして金氏がどうこたえるのかが今後の焦点となりますが・・・

 上記の背景には、何といっても拉致問題が事実上、まったく動かないことに対する拉致被害者家族の問題解決への切なる願いがあるのでしょう。これが、「異次元制裁」に象徴されるように、北朝鮮周辺国で同国に対する最強硬派であったアベノミクス日本を、180度の方向転換へと動かした、ということかと思っています。実際、上記宣言からもう16年以上もむなしく経過し、関係各位もそれだけ年齢を重ねてしまったわけですからね・・・

 ともかく、日朝首脳が無条件に会って関係改善を図るという方向性には基本的に賛成です。その理由は、両国が激しく対立する理由なんてそもそもない、と考えるため。こちらの記事を含めて以前から書いているように、日本と北朝鮮は互いに敵対し合う関係にはありません。かの国を巡る対立は、朝鮮戦争(現在休戦中だが終結してはいない)の交戦国(韓国・アメリカ等 vs. 北朝鮮・中国[義勇軍]等)の図式に基づきますが、これに不参戦のわが国は当該対立の枠外です。それに中露韓といった他の周辺国と違って、北朝鮮との間には島嶼の領有権に関する争いもありません(っても、北朝鮮は竹島の領有権を主張してはいるが)。

 このあたり、たしかに北朝鮮が開発を進めているとされる「核兵器」や「ミサイル」等は日本にとっては危険です。でも上記構図をふまえれば、それらの第一のターゲットは自国を軍事的に脅かしている上記の交戦国になるはず。であれば日本は(核廃棄を求める国際社会とは連携しつつも)少し前のように、それらの脅威をことさらに強調することで、当事国でもないのに上記対立の構図に割って入り、結果としてかの国の潜在的な核の標的になるようなことをするべきではないでしょう。そして最大の懸案事項である拉致問題は、北朝鮮の核問題を話し合うべき6か国協議の枠組み内ではなく、日朝両国間で解決させるべきもので、まさに上記新方針のスキームはこの方向に沿ったものといえます。

 以上、遅すぎるよスタートが・・・といった残念感はぬぐえませんが、日朝関係がようやく前に進みそうな情勢になったことを歓迎したいと思います。

(続く)

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