(前回からの続き)
前回、日本のビジネス書の多くが中国経済の先行きに関しては悲観的、いっぽうでアメリカ経済に対しては楽観的な見通しを立てている、なんて個人的な印象を綴りました。
このあたりは、こちらの記事に書いたような意味では当然だと考えています。つまり、わが国のメジャーな政治経済のオピニオンリーダーや評論家らは、日米同盟を念頭に、日米 vs. 中国(あるいは中露)みたいな冷戦的対立の図式を(いまだに)描きがちだということ。これに基づけば、日本の「味方」であるアメリカ・・・経済は順調、というより順調であってほしい、という願望含みで見られるから、どうしても楽観的、その逆に中国は「仮想敵」(!?)なので、同国の経済は破綻・・・してもらいたい(?)的な感情が入って悲観的、といった表現ぶりになるのでしょう、おそらく(?)。
この傾向は何も書籍に限りません。新聞やテレビを含めた日本のメディア全体も同じような感じ、と思っています。で、これがわが国で定着(?)するきっかけとなったのは・・・やはり2010年9月の「尖閣事件」(尖閣諸島中国漁船領海侵犯事件)でしょう(?)。このへんは内閣府の「外交に関する世論調査」で読み取ることができます。
それによると・・・2009年10月(同事件前)の中国およびアメリカに対して親しみを感じる人(感じる、どちらかというと感じる、の合計)の割合はそれぞれ38.5%、78.9%でした。これが翌年同月(同事件後)では中国は20%へと急減、その後は一時的に回復したものの、安倍政権発足(2012/12)以降はふたたび低下し、今年1月時点では14.8%と同調査開始以来の最低値となっています。他方のアメリカですが、2009年以降も少しずつ上昇を続け、今年1月は84.4%と、中国とは真逆に過去最高値付近にあります。
まあこのへんは分かる気もします。中国はわが国固有の領土である尖閣諸島を理不尽にも自国領と主張するいっぽう、アメリカは同諸島を日米安保条約の適用範囲と明言するなど、日本寄りの姿勢を示しているわけですからね。
ということでいま、日本人の8割超が中国に反感を、アメリカには好感をもっている・・・となれば、この国の本や新聞やらが上記のようになるのはもっともです。中国をネガティブに書けば(アメリカをポジティブに書けば)多数の人々が共感し、これら発行物を買ってくれそうですからね(?)。
・・・さて、ここであらためて考えてみます。一般受けを狙ったかのような(?)それらの論調は、はたして正しいのか?ということを。前回述べた理由から、中国がヤバいのは間違いないと思われます。ではアメリカのほうはどうか、ですが・・・本ブログで何度も記しているとおり、中国同様に間違いなく、ヤバい・・・