世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
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【日本人の8割超が中国に好感持てず】世界経済不安の震源地は中国か②

2016-10-29 00:02:28 | 世界共通

前回からの続き)

 前回、日本のビジネス書の多くが中国経済の先行きに関しては悲観的、いっぽうでアメリカ経済に対しては楽観的な見通しを立てている、なんて個人的な印象を綴りました。

 このあたりは、こちらの記事に書いたような意味では当然だと考えています。つまり、わが国のメジャーな政治経済のオピニオンリーダーや評論家らは、日米同盟を念頭に、日米 vs. 中国(あるいは中露)みたいな冷戦的対立の図式を(いまだに)描きがちだということ。これに基づけば、日本の「味方」であるアメリカ・・・経済は順調、というより順調であってほしい、という願望含みで見られるから、どうしても楽観的、その逆に中国は「仮想敵」(!?)なので、同国の経済は破綻・・・してもらいたい(?)的な感情が入って悲観的、といった表現ぶりになるのでしょう、おそらく(?)。

 この傾向は何も書籍に限りません。新聞やテレビを含めた日本のメディア全体も同じような感じ、と思っています。で、これがわが国で定着(?)するきっかけとなったのは・・・やはり2010年9月の尖閣事件」(尖閣諸島中国漁船領海侵犯事件)でしょう(?)。このへんは内閣府の「外交に関する世論調査」で読み取ることができます。

 それによると・・・200910月(同事件前)の中国およびアメリカに対して親しみを感じる人(感じる、どちらかというと感じる、の合計)の割合はそれぞれ38.5%、78.9%でした。これが翌年同月(同事件後)では中国は20%へと急減、その後は一時的に回復したものの、安倍政権発足(2012/12)以降はふたたび低下し、今年1月時点では14.8%と同調査開始以来の最低値となっています。他方のアメリカですが、2009年以降も少しずつ上昇を続け、今年1月は84.4%と、中国とは真逆に過去最高値付近にあります。

 まあこのへんは分かる気もします。中国はわが国固有の領土である尖閣諸島を理不尽にも自国領と主張するいっぽう、アメリカは同諸島を日米安保条約適用範囲と明言するなど、日本寄りの姿勢を示しているわけですからね。

 ということでいま、日本人の8割超が中国に反感を、アメリカには好感をもっている・・・となれば、この国の本や新聞やらが上記のようになるのはもっともです。中国をネガティブに書けば(アメリカをポジティブに書けば)多数の人々が共感し、これら発行物を買ってくれそうですからね(?)。

 ・・・さて、ここであらためて考えてみます。一般受けを狙ったかのような(?)それらの論調は、はたして正しいのか?ということを。前回述べた理由から、中国がヤバいのは間違いないと思われます。ではアメリカのほうはどうか、ですが・・・本ブログで何度も記しているとおり、中国同様に間違いなく、ヤバい・・・

続く

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【「中国バブル崩壊」その通りだが・・・】世界経済不安の震源地は中国か①

2016-10-27 22:20:47 | 世界共通

 「中国バブル崩壊!」「中国社会、大混乱へ!」―――いま書店のビジネス書のコーナーでは、こうした類の刺激的なタイトルの中国関連本がたくさん並んでいます。これらの多くは有名な経済評論家が著したもの。ということで、たとえこれらを読まなくても多くの人々が、店頭や電車の中吊りの宣伝文句などを通じて、中国がどうやら危機的な状態になっているようだ、と感じるところだと思います。

 ・・・こちらの記事などでも綴ったとおり、中国が様々な意味でマズイ状況になってきたのはそのとおりと考えています。不動産バブルが危険なレベルにまで膨張するとともに金融システム内の不良債権が累増し、近い将来のバブル全面崩壊と強烈な資産デフレはもはや不可避でしょう・・・(?)。

 で、これに対処するために中国は、日本がやったようなバブル清算、つまり過剰不良債権&過剰債務の償却に向けた諸政策の断行・・・具体的には、巨額債務を背負った国営企業や不良銀行の破綻容認、預金者保護、債務超過に陥った金融システムへの公的資金注入、需要不足に対するための公共投資の拡大、などなどをするべきなのでしょうが、これらにともなう社会的混乱が共産党一党独裁体制の存続を危うくさせるので、無理・・・

 ・・・ということで中国は企業等のデフォルト(≒投資家や株主らに巨額損失発生!)を回避する手、すなわち中銀(中国人民銀行)が紙幣を刷って債務を埋め合わせるというインフレ策を選択、実行している最中、といったところでしょう、いまは。中国の通貨・人民元のドルや円に対するレートが下がっているのにはこのあたりにも原因がありそうです。

 ・・・さて、冒頭の書籍ですが、上記をふまえて中国を「お先真っ暗」的に表現するのとはまったく逆に、日本、そしてそれ以上にアメリカの先行きを過度に(?)「楽観」的に書いているものが目につくように思えます。中国(ついでに欧州?)はコケるけれど日米は大丈夫、とか、中国は崩壊して日米の時代が来る、といったトーンです。その逆に、日本・・・はともかくアメリカの今後を懸念するものは多くはない(日本悲観論については、それなりにありますが・・・)。少なくともメジャーな(?)評論家や経済人で「アメリカが心配だ」的な主張をされている方は皆無に近いのではないでしょうか。

 このような、中国:超悲観、アメリカ:超楽観、というところにいまの日本の世界経済に対する表現の仕方とかルールが反映されていると思っています。

続く

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【次期米大統領最大の目標は4年間バブルを保つこと】「トランプ叩き」が示唆する米経済の混迷ぶり⑥

2016-10-25 00:00:58 | アメリカ

前回からの続き)

 投票日まであとわずかとなった米大統領選。個人的にはちょっとは期待していた最後の討論会ですが・・・これまた残念な結果―――論戦のメインテーマが安保、外交、そして最重要の「経済」ではなく、相手の醜聞になってしまいました・・・。まあこれまでの経緯から、そうなるだろうな、といった予感もありましたが・・・

 上述したようにこの展開、米国民にとっては本当に不幸なことだと思います。これでは政策ではなくスキャンダルの良し悪し(?)が誰を選ぶかの決め手になってしまいそうだから。結局、このあたりが少しはマシな方がアメリカの新大統領になるのでしょうか・・・

 ・・・もっともこの流れ、米経済の混迷ぶりを争点にしたくない「金融界」「軍産複合体」の米2大勢力のシナリオどおりなのかも・・・。ということは今後のアメリカ・・・経済は、基本的にこれまでと変わらない、すなわち「バブル」追求路線になるはず。なにせバブルを(拙速に?)終わらせようとする人は暴言を吐き過ぎて大統領になれそうもありませんからね・・・

 ・・・と書きましたが、どちらにしても米経済の行く先は、同じとなるでしょう。つまり、バブル破裂→金融恐慌→巨額公的資金の投入・・・が無理で、FRB米国債引き受け&紙幣印刷しまくり・・・でドル信認の崩壊へ・・・って、永遠のバブルなんて、あり得ませんからね(?)

 というわけでアメリカの次期大統領の最大の目標は、自身の任期である4年間、バブルを何としても保つ!で決まりですね・・・(?)

(「『トランプ叩き』が示唆する米経済の混迷ぶり」おわり)

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【金融&軍事業界、クリントン氏に巨額資金供与!】「トランプ叩き」が示唆する米経済の混迷ぶり⑤

2016-10-23 00:03:04 | アメリカ

前回からの続き)

 前回、次期米大統領候補の共和党ドナルド・トランプ氏は現在のアメリカを牛耳る2大勢力の「金融界」「軍産複合体」を敵に回してしまった、という見方を示しました。本選挙直前になって同氏の過去の暴言やら醜聞が次々に明かされている背景に、このあたりがけっして無関係ではないと考えています。で、この両者ですが、トランプ氏に「No!」であれば支持するのは必然的にヒラリー・クリントン氏になるわけですが・・・

 実際、クリントン氏はこの両者から大量の献金を受けているとみられています。たとえば・・・政治資金監視団体によると、ヘッジファンド業界が米大統領候補に献金した政治資金(総額12270万ドル)の多くがクリントン関係団体向けであり、大手金融機関7社だけで同氏への献金額は4850万ドルに及んでいます。そのほか、米銀ゴールドマン・サックスは同氏に3回の「講演料」として67.5万ドル(日本円で約7千万円!)を渡したりしています。そのいっぽう、同業界からのトランプ氏への献金額は、たった(?)1.9万ドルだったとか・・・(以上、金額は今年8月初旬時点)。ということは、クリントン氏とは違ってトランプ氏は自腹で選挙戦を戦っているということなのでしょうか・・・

 「軍産複合体」も負けてはいません。今年2月末頃における軍事業界からのクリントン陣営への献金額は約45.5万ドルと、当時の民主・共和両党の大統領予備選立候補者に対するものではもっとも多かったそうです。このあたりは、同業界がその時点でクリントン氏が大統領に当選する確率がもっとも高いとふんだ結果、という面も多分にあるのでしょう。でも彼らとしては、明らかな軍縮すなわち自分たち軍属の利益を減少させる方向に進むであろうトランプ氏らは危険視せざるを得ない。そこで、クリントン氏を支えて大統領にすることで既得権益の保全を図ろう、と考えているのではないか・・・

 ご存知のように、内部告発サイト「WikiLeaks」はクリントン氏のスキャンダラスなメール内容等を次々に暴露しています。先日も同氏の上記ゴールドマン関連とされる講演原稿を掲載しました。あたかも閲覧者に両者の蜜月ぶりを知らしめるかのように・・・(?)。これに対してクリントン陣営の関係者は、ロシア(!?)が大統領選に影響を与えようとしている!みたいなコメントを発しています。まあたしかに米政府は以前から、WikiLeaksとロシアとの関係性を指摘しているわけですが、はたして真相やいかに? そして米国民はこれをどう判断するのか―――ロシアの陰謀?それとも・・・

続く

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【トランプ氏、米2大勢力(金融&軍産)を敵に回す】「トランプ叩き」が示唆する米経済の混迷ぶり④

2016-10-21 00:00:42 | アメリカ

前回からの続き)

 本ブログのあちこちで書いているとおり、そして本稿でこれまで綴ってきたような事情から、アメリカ経済はもはやあらゆる資産の価額を永続的に押し上げていく以外にありません。そのための手段はいうまでもなく「量的緩和策」(QE)という名のFRBによる超低金利マネーのバラマキです。これ、いまでこそ停止されていますが、FRBとしては株、債券、不動産のどれかひとつの価額が大きく下がるようなリスクオフな事態が世界のどこかで起こったら、すぐにでも再開したいはずです。

 で、その際に絶対に口に出してはいけないワードが、「バブルです。なぜなら、バブル・・・とポツリ呟いたとたんにFRBは、その生成の原動力であるQEを再発動する大義名分を失ってしまうから。これでは、ダメ! QEが命綱(というか「麻薬」)である以上、FRBはそれを何度でも実行できるよう、いまも、そしてこれからも(永遠に?)「米経済はバブルにあらず」と念仏のように唱え続けなければなりません(?)。

 そんなときに米大統領候補の共和党ドナルド・トランプ氏はKYにも(ではなく、正直にも?)、この全米的な放送禁止用語(?)「バ〇〇」を連発するわけです。しかもあまりに危険な水準までソレを膨らませた!とFRB、そして結果としてFRBのQEに理解を示してきたオバマ民主党政権を激しく批判します。さらに巨大銀行がリスキーな投資に手を出せないように「グラス・スティーガル法」の復活まで主張し始めた・・・。これでは「ヤバイだろ、ヤツに『真実』(つまり、米経済がバブルであること)を放言させ続けては・・・」とバブル最大の受益者である銀行業界や、そこからたんまり献金をもらってきた(?)米民主党関係者らがトランプ氏を敵視するのはもっともです・・・(?)

 金融界、民主党に加え、アメリカにはトランプ氏を危険人物とみなす既得権益集団がもうひとつ、あります。それが「軍産複合体」。こちらの記事に書いたとおりです。アメリカの2015年の軍事予算額は約5960億ドルと、日本(約470億ドル)の12倍以上!同年のアメリカのGDPは日本の約4.3倍ですから、アメリカの軍事セクターがいかに巨大な財政支出を享受しているかが推測できるというものです。

 そうしたなかでトランプ氏は、日本や韓国に対して自力で核武装しても構わない、つまり自分が大統領になったらアメリカは同盟国・地域を守る金銭的な負担を大きく減らしていく、みたいなことを平気で口にする。これは軍事費の大幅削減を意味するから、兵器武器メーカーは売り上げの大減少、米軍属者にとっては職場や権威の縮小・喪失を被ることになりかねない・・・

 こうしてトランプ氏は、いまのアメリカを牛耳る2大勢力(?)の金融界と軍産複合体、そしてリーマン・ショック直後から2016年の現在まで両者に支援されてきた民主党政権・・・ばかりか(当然ながらこれまた両者から献金を得ている?)同志のはずの共和党の一部まで、すべて敵に回してしまった感じです。もっとも彼らがトランプ氏を嫌うのは、同氏が暴言&醜聞まみれだから・・・ってコレ、あくまで表向き。本当の理由は・・・上記のとおりなのだけれど(???)、まあ言えないでしょうね、有権者が覚醒しかねないから・・・(?)

続く

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【「バブル!」NGワード連発のトランプ氏を封じるには】「トランプ叩き」が示唆する米経済の混迷ぶり③

2016-10-19 00:02:27 | アメリカ

前回からの続き)

 米大統領候補の共和党ドナルド・トランプ氏は先述のように、米経済がバブルであり、これを引き起こし、その崩壊過程のリスクを高めたとしてFRBを強く批判しています。個人的にはこのあたりが同候補の民主党ヒラリー・クリントン氏および彼女を支持する勢力の一部がトランプ氏を危険視するところなのではないかと考えています。

 どういうことかといえば、そんなトランプ氏が大統領になったら・・・米経済にはバブルの永続的な膨張策しかないにもかかわらず、それとは真逆のバブルのガス抜きを拙速にしようとFRBに対して金融引き締めを強要したりしかねないため。万一FRBがトランプ政権の圧力に負けて(?)利上げをし続けたら、アメリカは経済・金融恐慌に陥りかねません。その場合、金融システムに巨額の公的資金投入が不可避となるも米連邦政府にはそれができないことは前述したとおり。で、最終的にFRBは無限紙幣印刷に追い込まれてドル覇権はメルトダウンへ・・・

 ・・・ゆえにアメリカそしてFRBは、バブル崩壊は絶対に避けなければなりません。そのためにはマーケットや米国民に、(本当はハイパーバブル状態にあるのに)現状が「まだバブル(のピーク)ではない」と認識させる必要があります。これによって株とか不動産の価格には上昇余地があると幻惑(?)させてこれらの投げ売りが大量発生することを防ぎます。そして(失礼ながら、どうせ長続きしない?)金融引き締め路線がこの先頓挫しても、「当面のリスク軽減を図るために量的緩和を再開したが、まだバブルは発生していないから大丈夫!」なんて言い訳ができるように・・・

 ・・・といった感じなので、いまのアメリカでは「バブル」は絶対の(?)NGワードなわけです。にもかかわらずトランプ氏ときたら超KYにも「バブルだ!」なんて声高に叫ぶばかりか「バブルを煽りやがってFRB!」みたいなことを平気で口にする。付け加えるとトランプ氏のそんな思いに刺激されたかのように、米共和党は商業銀行と投資銀行との分離を規定した「グラス・スティーガル法」の復活を支持している(こ、これは重大!)。となればトランプ氏がバブル最大の受益者―――おもに米金融界の皆さん―――の目には超ヤバイ人物に映って当然でしょう。

 これは米民主党関係者にとっても同じです。現オバマ民主党政権は2009年発足時からこれまで、結果として上記バブル膨張路線を業界とともに突っ走ってきたわけで、オバマ大統領の本心は別にしてQEバブルと一蓮托生なわけですからね(けっこうな額の献金をもらっているし・・・?)。なので、バブルつぶしの暴挙?に出かねないトランプ氏の大統領就任は何としても阻止せねばならない。でも政策論争ではどうしても「経済」、すなわち民主党も加担した(?)バブルの是非みたいなことが出てくるので分が悪い。そ・こ・で・・・・

 ・・・投票日間近のいまになって、トランプ氏の過去のスキャンダラスな言動が次々に明らかにされる背後には、そんな深~い事情があるのではないかと・・・

続く

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【トランプ氏、バブル扇動とFRBを攻撃!】「トランプ叩き」が示唆する米経済の混迷ぶり②

2016-10-17 00:04:17 | アメリカ

前回からの続き)

 以前こちらの記事に書いたように、次期の米大統領候補としてのヒラリー・クリントン氏とドナルド・トランプ氏とを比較した場合、「経済」に限れば個人的にはトランプ氏のほうがアメリカの実態により則した認識を持っていると考えています。

 決定的なのは同氏が、米経済はバブルにある(We’re in a bubble.)、とズバリ指摘していること。これって至極当然のようで、いまのアメリカではけっこう勇気のいる発言です。有力者が「バブル」と口にすることが株や不動産の価額の雪崩のような暴落を招きかねない(?)からです。それほどにこれらの価格はちょっとしたきっかけで一気に下がってもおかしくはないくらいの高値にあるということです。そんなリスキーな状況をもたらしたものは何度も書いているとおり、FRBの量的緩和策(QE)・・・

 そこでトランプ氏はFRBを激しく攻撃します。実際に同氏は、バブルを煽るためにあまりに長いこと利上げをしないままだったとFRBを批判したうえ、ジャネット・イエレンFRB議長については、政治的な理由(political reasons)で低金利政策を続け、利上げ再開時における株式市場の危険性をいっそう高めている、などと、FRBと同議長があたかもオバマ現民主党政権に肩入れしているかのような見方を示しています。このトランプ発言に対しては、おもにマーケットに近い人々から、中銀(FRB)の独立性を脅かすものだ、といった非難の声が湧き起こっているところですが・・・

 このあたりのトランプ氏の見解も半分は正しいと思っています。FRBがQEでバブルを生み出した、というところは正解。でもそれはけっして政治的なものではなく、それしか策がなかった、というのが実情だったはずです。サブプライムローン・バブルの崩壊に始まった米金融不安は2008年秋のリーマン・ショックで危機のピークに達しました。本来ならその時点で米当局は日本がやったようなバブル最終清算(不良債権の抜本的処理、金融機関への公的資金注入等)を断行しなければならなかったけれど、それに必要なおカネが巨額過ぎて用意できないものだから、代わりに銀行の保有資産価額を押し上げることでその自己資本を救う手に出た。それがQE、ということになります。

 で、このQE由来の低金利マネーが、わずかな利ザヤを求めてあらゆる資産に注ぎ込まれました。その結果、株、債券、不動産などなど、資産と名の付くすべてのものの価額が合理的な説明がまったくつけられないくらいの高みに至った状況が、いま(からちょっと前、2014年の夏くらい?)のアメリカ、というわけ。

 といった感じでバブルのあまりの膨張ぶりに恐怖したFRBは現在、利上げ等を通じてその「燃料」となったQEマネーの回収を図ろうとしています・・・が、リーマン時にできなかったことが、それから8年間もバブルを上乗せしたいまになってできるわけはなく(?)、結局FRBは金融引き締めを断念し、QEを再開してとめどもない紙幣増刷に走るしかない・・・(?)

 ・・・と考えてみると、トランプ氏・・・ならずともアメリカ人ならば「こんなにバブルをでっかくして、いったいどうしてくれるんだFRB!」と詰め寄りたくなってしまいそうですが、それしか手がないのだから仕方がない(?)。なのでトランプ氏の上記コメントでFRBおよびイエレン同議長に対する批判の部分は少し筋違いかな、という思いがします。しいて責めるとしたら、禁じ手の(?)QEに乗り出してしまった前議長のバーナンキ氏のほうかな・・・(って、同氏にはQE以外の選択肢がなかったから、やっぱりこれも無茶か?)

続く

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【次々に暴かれる醜聞で苦境のトランプ陣営】「トランプ叩き」が示唆する米経済の混迷ぶり①

2016-10-15 00:16:40 | アメリカ

 次々に明らかにされる過去の醜聞、これにともなって有名人から続々上がる「支持できない!」の声・・・その背後にあるのは、かの国の・・・経済的な混迷ぶり、なのではないでしょうか・・・

 大統領選挙が目前に迫る中、アメリカでは共和党の大統領候補ドナルド・トランプ氏の旗色が悪くなっている感じです。実際、民主党同候補のヒラリー・クリントン氏との支持率の差は約8ポイントと、先月末の3ポイントから開いています(トムソン・ロイター調査:10/10時点)。そのおもな理由は、とくに最近になって暴露された同氏の女性やマイノリティなどに対する蔑視的な言動に多くの人々が嫌気してしまったため、でしょう。まあこれらは誰が聞いてもうんざりしてしまうものばかりなわけですからね・・・

 かといって、「トランプ氏は女性等を見下すような人物だ」からクリントン氏を支持する、というものでもないと思います。当たり前ですが有権者の大半は、両氏がそれぞれ米大統領としてどのような政策を実施していくのか―――安全保障や外交戦略、そして何よりも「経済」をどうしようとしているのか、を見極め、トランプ氏か、クリントン氏か、あるいは両氏以外の方かを選ぶはずで、「口が悪い」みたいな要素は投票の判断材料の決め手にはしないでしょうから・・・(もちろん、なかには、いくら政策が他候補者のものより良さげでも暴言を吐きまくる人は大統領にふさわしくない!)と考える人々もいるでしょうが・・・

 それでも、ここへきて上記暴言のようなネガティブな面が話題になるのはトランプ氏ばかりに思えてなりません。多くの新聞社が同氏不支持を表明し、テレビ討論会では司会者がトランプの発言をしきりに遮るなど(って、クリントン氏が自分の顔に手で触れた時に、らしい?)、米メディア界もあからさまに同氏を嫌っている風情です(?)。さらに先日、米政府はロシアが米大統領選挙に影響を与えるために複数の政治団体にサイバー攻撃を仕掛けたとして、同国を非難するコメントを出しましたが、(真偽はともかく)これまたトランプ氏に不利になる話です。同氏は以前からロシアのプーチン大統領をけっこう評価してきましたからね・・・

 といったように、このタイミングでこれだけ悪い情報が出てくると、さすがに「トランプ氏はもう終わりだ」つまり「次期大統領はクリントン氏で決まりだ」みたいな空気が醸成されてしまうかも・・・ってこれ、米国民にとって本当によろしくない状況と思います。このままでは皆さん、もっとも大切な本来の政策論争を十分に聞かされずに投票日を迎えることになってしまうから。そうなれば、誰を大統領に選ぶか、の判断基準が、妄言する人か否か、という、じつに低レベルなものになりかねない・・・

続く

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【八方ふさがりの独政府が向かう先は、カオス・・・】ドイツ銀危機に象徴される欧州金融不安の根深さ④

2016-10-13 00:00:42 | ヨーロッパ

前回からの続き)

 本稿で綴っている資金繰り不安に直面したドイツ銀行の救済策ですが、今後のプロセスでは一部投資家の協力による増資や債務の株式化とか他銀行による吸収合併などがあるかもしれないけれど、やはり最後にはドイツ政府による公的資金の注入になるのではないかと考えています。これしか、同行が必要とする巨額のおカネを用意できるスキームがないからです(?)。

 で、その場合の具体的なスキームをあれこれイメージしてみたものの・・・ひじょうに厳しい・・・。どう考えてもこれって「トリレンマ」、つまり「ドイツ国民」「ドイツ銀の株主や債権者等」「他のEU諸国」の3者(?)のどれか一つに当局が「いい顔」をしたところで、残りに対して大損害を与えることは避けがたい・・・のではなかろうか。「ジレンマ」ではなく「トリレンマ」―――日本アメリカのように2者すなわち納税者とステークホルダーだけであれば、まあ政治的に一方の了解を取り付けられれば銀行への公金投入は実行できるけれど(って、これもメチャ大変ですが)、ドイツがややこしいのは、これにイタリアなどEUの第三国が一緒に絡んでしまうこと。もし彼ら に「ウチにも同じことをやらせろ~」と言わせるようなことをしたら、先述したように通貨ユーロは崩壊の危機に瀕しますからね・・・(?)

 ということでドイツ銀とドイツ政府、そして欧州金融界のこの先にはカオスしかなさそうです(?)。そしてこのカオス、国境や海を越えて世界中に伝染するでしょう。このとき世界で何が起きるのか、とりわけドイツを含めた欧州、そして欧州から見た大西洋の向こう側がどうなってしまうのか、しっかり見極めたいものです。もちろん、わたしたち日本は「高みの見物」を決め込みたいわけですが・・・

 ちなみに・・・ドイツ銀の危機を含めた世界経済の諸問題を何もかも解決できる策がひとつだけ、あります。それは、「バブル」・・・を生み出す中銀の紙幣無限増刷・・・

(「ドイツ銀危機に象徴される欧州金融不安の根深さ」おわり)

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【コメルツとの合併等では危機を防げない?】ドイツ銀危機に象徴される欧州金融不安の根深さ③

2016-10-11 00:01:21 | ヨーロッパ

前回からの続き)

 深刻な資金繰りの危機にあるドイツ銀行をどのように救済するか・・・? 先述のとおりドイツ政府による同行への公的資金の投入は(とりあえずのところ)禁じ手です。となると、もっとも現実的な策は、同国第二位のコメルツ銀行によるドイツ銀の(事実上の救済)合併ということになりそうです(?)。おそらく独当局はこの瞬間も水面下でこの「縁談」をまとめるべく、必死に動いているのでしょう(?)。

 しかし・・・やはりこれとて救済の決め手にはならないと思われます。たしかにコメルツは総資産規模でドイツ銀にほぼ匹敵するほどの大銀行ですが、ドイツ銀の不良債権額は前記のように巨大過ぎるわけで、コメルツと一緒になったくらいでどうにかなるものではなさそうです。それにコメルツの資産内容も、少なくともドイツ銀を支えられるほど健全とはいえない感じです。実際、同行はリーマン・ショックを含む欧米金融危機で打撃を被り、独政府の資金援助を受け入れているわけで・・・(独政府は現在もコメルツ株式の15%を保有している)。

 ・・・てなふうに考えてみると、独政府にはもう上記「禁じ手」しかないでしょう(?)。で、以下は本稿一回目の繰り返しになりますが、このときメルケル政権は究極の選択を迫られます。すなわち「ベイルイン」か「ベイルアウト」か、ということ。もし前者なら、ドイツ銀のステークホルダーは大損することになります。そしてデリバティブの決済等が発生し、国内外の金融機関にもそのダメージが伝染して世界的な金融恐慌が引き起こされかねません。いっぽう、それら災厄と引き換えに(?)同政権は、EU共通ルールを守った!という大義(?)を世界(とくに他のEU加盟国)に示すことができる・・・かもしれないが・・・

 では後者のベイルアウト、すなわち同政権がベイルインしないでドイル銀を救う道を選んだら、どうなるか・・・。まず市場はこの措置を大歓迎し、同行を含む欧州銀の株価は軒並み回復し、各行の資金繰りも改善されて、金融システミック危機が遠のくかもしれません(あくまでも一時的には、ですが・・・)。他方で独国民の多くが「株主や債権者らに損失を負わせず、不祥事を起こした銀行の罰金の支払いに血税を充てるとは何事か!」と猛反発し、メルケル政権と現与党は政治的に厳しい立場に追い込まれるでしょう。

 さらに・・・イタリアを筆頭に、ドイツ以上の金融的な苦境下にあるEUの他国が一斉に「ドイツ親分がやったのだから、われわれも~」とばかりに自国の銀行に財政資金をバンバン投入し、その穴を埋めようと「欧州安定メカニズム」のおカネ(その最大の出資者は独国民)を次々に無心する・・・といったモラル・ハザードを招きかねない・・・

 さあどうするドイツ・・・のメルケル政権。どちらもやりたくないのが本音でしょうが、決断すべき時は刻々と・・・?

続く

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