世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
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【実質賃金、リフレで順調に?減少中】アベノミクス、やはり貧富差拡大に成功!①

2016-04-29 00:00:46 | 日本

 ここのところ「アベノミクスは失敗した」なんて声がちらほら聴かれます。これを受けて安倍首相周辺は「失敗してはいない」と返したりしています。さて、本当のところはどうなのか、アベノミクスは成功それとも失敗? このあたり、何を基準にその成否を判断するのか、によってアベノミクスの評価は180度変わってくるわけです。本稿ではこの基準を以下のように定めて、安倍首相がいうとおり「アベノミクスは失敗などしていない、それどころか成功している」さまを表現してみたいと思います。で、その基準とは―――「貧富差」。

 「貧富の差を広げるという意味で『リフレは正しい』」―――こう題した記事を3年前の4月、本ブログに掲載しました。リフレとはリフレーション―――意図的に継続的なインフレを起こそうという経済政策のことで、年率2%のインフレを起こします!と宣言して201211月から始められたアベノミクスがこれに該当します。で、上記掲載から3年が経ったいま、わが国の貧富差はどうなったかというと、当時の予測のとおり、このあと記す各種のデータなどから見事、大きくなったようすが窺えるのです。アベノミクスは失敗どころか成功しているといえる、その狙い「貧富差の拡大」に照らして―――と上段で指摘したのはこのためです。

 まずは、多額の株式や不動産といった資産を持っていない一般庶民の暮らしを唯一支える「賃金」から。ここでは名目の賃金額ではなく物価の影響を加除した「実質賃金」のアベノミクス前後の推移を見てみることにします。

 上のグラフは厚生労働省の毎月勤労統計調査に公表されている実質賃金指数2008年(平成20年)から昨年2015年(平成27年)までの移り変わりをみたものです(2010年を「100」)。これをみるとアベノミクス実質開始の2012年以降、実質賃金が急降下したことがよく分かります。とくに2014年は前年比でマイナス2.8%と、リーマンショックの翌年2009年の値をしのぎ、2005年からの10年間で最大の減少割合を記録しました。対前年で0.9%減った昨年2015年の数字は94.6と、実質賃金は2012年からのアベノミクス3年間で4.6%も減り、これまたこの10年間でのワースト値をつけています

 他方、現金給与総額は、2012年の98.9から2015年の99.0とほぼ横ばいとなっています。このように、見た目の賃金がアベノミクス前後であまり変化していないのにもかかわらず実質賃金が5%近くも減ったということは・・・それだけ賃金を実質的に減少させるインフレを喚起するリフレ政策が功を奏したということになります。ここでのインフレは上記グラフからも分かるとおり「賃金インフレ」とは真逆のコストプッシュ型インフレと呼ばれる輸入原材料の円建て価格上昇によってもたらされたもので、アベノミクスが「そうしよう」として意図的に引き起こしたもの。で、その原材料インフレの推進エンジンこそ、アベノミクスの同義語といっても過言ではない「円安誘導です。

続く

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【原油高を歓迎する側に立つカブノミクスの異様】参院選の論点になりそうな年金運用成績④

2016-04-27 00:04:00 | 日本

前回からの続き)

 足元では株価が上昇しています。日経平均は17千円台を回復し、「発射台」20141031日)時の価格を上回ってきました。先述のようにいまの日本市場では、株価が上がると為替は自動的に円安に向かう(円安になると株価は自動的に上がる)、ということで円は1ドル111円台にまで下がってきました。発射台レート(同112円あまり)まであとわずか、というところです。

 ・・・この株高円安、景気回復を先取り・・・のはずはなく、相変わらず金融政策要因―――米FRBの利上げ先送り観測とかECBや日銀等の追加緩和期待―――というヴァーチャル面での支えだけで保たれているように思います(あと、日銀の買い支えもありますね)。とくにここのところの大きな株高要因は原油高でしょう。産油国間の減産合意に対する期待の高まりなどから原油価格は現在、1バーレル40ドル台を上回る水準まで値上がりしています。これが欧米エネルギー企業の株価を後押ししたりして、株式市場のリスクオン・モードに力を与えているわけですが・・・

 ・・・このあたりにカブノミクス」(アベノミクスの個人的別称:株のみ)のアンチ実体経済的な性質が如実に表れています。つまり安倍政権・黒田日銀は、アベノミクス唯一のプラス成果「株高」を得たいために必然的に「円安」「原油高」を歓迎する側に立たざるを得ない、ということです。

 こちらの記事を含めて本ブログでシツコク指摘しているとおり、総合的な損得勘定の観点から円安・・・誘導政策はいまの日本にとって適切とはいえません。ましてや、原油のほぼ100%を外国に依存する国の為政者が原油高を喜ぶって、常識的にありえない・・・。企業経営者やその従業員そして一般の生活者といった、安い原油価格を歓迎する側に立つ大多数の国民の思いとは99%「逆」でしょう(まあ商社等関係の方はたいへんでしょうが・・・)。このように円安も原油高も、原材料インフレを通じて個人消費や企業の売り上げを抑制する方向に機能するから、日本経済にはマイナス・・・でもアベノミクスにはプラスなのでしょうね、なぜならこれらは株価を押し上げてくれるから・・・

 ・・・いまの株高にはそんな背景がある。日本経済(≒個人消費)は相変わらず、というよりさらに落ち込む懸念がある。ということでそんな経済の実態から浮世離れするばかりの株価は、しょせんは・・・

・・・いつものように話がそれてしまいましたが、こういったことを含めて日本人の貴重な共通資産である年金基金はカブノミクス運用作戦の大失敗でメルトダウンは必至です(!?)。「その責任をどう取ってくれる~!?」がどこかの選挙の争点になるのかどうかはともかく、わたしたちは一人ひとりがカシコクならなければならない、でないと生きていけない―――ちょっと極端ですが、つくづくそう感じる今日この頃です。

・・・で、わたしなりの対策はコチラなのですが、これまた超極端なので、どうぞ自己責任で・・・

(「参院選の論点になりそうな年金運用成績」おわり)

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【選挙に悪影響!で3月末実績発表延期は必至!?】参院選の論点になりそうな年金運用成績③

2016-04-25 00:00:09 | 日本

 6月7日追記:以下でGPIFの平成27年度運用実績の発表を6月1日と書きましたが、正しくは7月10日前後でした。お詫びします。

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前回からの続き)

 カブノミクス」(「アベノミクス」の個人的別称:株のみ)が年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)にやらせた年金基金を元手にしたリスク投資の失敗のひとつは先述のとおり、「高値掴みです。そしてもうひとつの失敗は、本来は安全確実にリターンを生み出してくれる日本国債への投資比率を新ポートフォリオ発表の日(20141031日)以降、それまでの6割から3割あまりへと、大幅に減らしてしまったこと

 日銀マイナス金利を導入したにもかかわらず、債券市場では日本国債買いが収まりそうにありません。まあいずれは買値よりも高値で日銀が買い取ってくれるだろう、という目論見がマーケットにあるのはたしかですが、それ以上にこれは「適当な資産運用先は日本国債しかない」という投資家の思いの反映でしょう。いまは外債や外国株は絶対に買えない(!?)し、先述のとおり日本のリスク資産もかなりバブル価格になっている・・・となれば自然にそうなるしかありません。そしてそれは正解―――世界のどこにもウマイ投資話なんて、ありはしない―――日本国債(つまり、日本人の預貯金)以上にローリスクで安定的な利益をもたらしてくれる資産なんて、あり得ないわけです(たったひとつ、[ゴールド]を除いては・・・)。

 ・・・そんな国債投資への配分比率を顕著に落としてしまったばかりか、その代わりに!と(無謀にも!?)ハイリターンを狙ったリスク投資が上のとおり超「高値掴み」の拙劣さ・・・とくれば、年金基金の新しい資産運用作戦が当初から―――前記「発射台」の時点から失敗することはミエミエだった(?)わけです。そして・・・こちらの記事などに書いたとおり、この失敗にともなう損害―――年金原資のさらなる目減り―――はこの先、リスクオフの深刻化につれてますます膨らんでいくことでしょう。それでもアベノミクスは、どこかの国のミサイル発射よろしく、年金投資はロケットスタートに見事成功し、上昇軌道に乗った!などと、はしゃぐのでしょうかね!?

 ・・・って、さすがにこれは無理でしょう、明らかな失敗ですから・・・。なので安倍政権はこの惨憺たる結果(?)を国民の目から遠ざけようとするのではないか・・・具体的には「長期的な視点から評価されるべき年金基金の運用パフォーマンスが、たまたま今回(3月末日)は悪かった、ということが政権批判につながるのは公平とはいえない」なんてi言いながら、その定期発表(61日予定!)をしない、あるいは7月の参院選の後に先送りする、なんてことをする・・・。最近の安倍政権の体質を考えると、十分にこれはあり得る展開だと予想しています。もちろんこれに関連する「要請」を受けるであろうメディア経済学会も黙ったままでしょう・・・(まあみなさん、内心ではわたしと同じく、オレたちの年金、マジで出ないんじゃね!?なんておびえているとは思いますが・・・)

 こうして大多数の国民は、自分たちの老後の「虎の子」年金基金が政策の失敗でメルトダウンを起こしていることにまったく気づかされず、安倍政権からある日突然「今後、あなたの年金支給額は30%削減されることになりました」なんて一方的に通知されてボー然とするわけです・・・!?

続く

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【「円高のせい」は投資失敗の責任逃れのため】参院選の論点になりそうな年金運用成績②

2016-04-23 00:02:45 | 日本

前回からの続き)

 前回書いた、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の今年3月末日時点での資産運用成績がついに「元本割れ」に陥ってしまった(!?)という悲惨な事態にGPIF、そしてGPIFに対してわたしたちの年金基金を元手にリスク資産投資をさせた安倍政権、さらに金融緩和で円安株高を誘導しようとしてきた黒田日銀は国民に対してこう言い訳をするに違いありません―――「運用成績が振るわなかったのは、想定を超える円高のためであーる」と・・・

 ・・・けっしてそうではないはずです。前述「発射台」20141031日)時点から先月31日そして今日に至るまでの為替レートは円高とは正反対の円安、それも「超円安」といってもよいくらいの水準。これは3月時点の名目為替レート(1ドル112.57円)と実質実効為替レート(日銀データ:376.27円)の乖離をみれば誰の目にも明らかです(名目レートは実質実効レートに対して32%もの円安!)。ここで超円安ということは・・・超ドル高(超外貨高)ということ。つまりこの局面でGPIFが買い漁った外国株や外国債券はどれも超「高値掴み」だったと指摘されるべきでしょう。

 このあたり、外貨建て資産ほどではないにしても、日本株も同様のことがいえそうです。アベノミクス」開始以降の株価は、わが国の景気や企業業績などではなく、為替レートだけに反応しているといっても過言ではありません。ほとんどオートマチックに、円安なら株価は上昇、円高なら下落となっているわけです。いまの日本市場における株式売買を主導する外国人投資家がそんな基準で行動するからです。

 ・・・であれば「カブノミクス」(株のみ)としては、株価つり上げを図るためにひたすら円安誘導に走ることになります。これによって、円建て原材料の輸入額が増えて貿易赤字が膨らみ、円安インフレ(プラス、消費増税)のせいでGDPの主役・個人消費がダメージを受け、経済成長が停滞しているにもかかわらず株価だけは上がり続けるという、ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)と株価の乖離現象がどんどん進むことになります。そんなときにGPIFが仕込んだ株は・・・実体経済の裏付けを欠くバブル価格の「高値掴み」の可能性が高いと判断せざるを得ないでしょう。

 以上により、上記運用成績がよろしくないのは、ひとえにGPIFの投資の失敗すなわち「高値掴み」のせいといえます。それでも「円高のせいで・・・」とカブノミクスがしきりに言うのは、この失敗を円高という他者に転嫁することで、高値掴みをして国民の共通資産を失わせたことに対する責任が自分たちに及ぶのを回避したいからでしょう・・・

 この「高値掴み」以外に、もうひとつ指摘しておきたい年金資産運用における失敗があります。それは上記発射台の日を境にGPIFが、リスク資産への運用配分を極端に高めるいっぽうで、本来は安定的なリターンをもたらしてくれる日本国債の投資比率を下げ過ぎてしまったことです。

続く

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【3月末の運用実績はついに元本割れか!?】参院選の論点になりそうな年金運用成績①

2016-04-21 00:03:39 | 日本

 6月7日追記:以下でGPIFの平成27年度運用実績の発表を6月1日と書きましたが、正しくは7月10日前後でした。お詫びします。

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 2015年度末―――今年3月末日の株式・為替市場の数字はとても重要だと思っていました、経済的にはもちろんですが、政治的にも・・・

 というのはこの日のマーケット値が、わたしたちの年金・・・の元手である年金基金の2015年度運用結果の算定ベースになると考えられるからです。これが発表されるのは通常なら61日、つまり7月の参議院議員選挙に微妙な影響を与えそうな頃です。もしこれが好成績なら、株だけが取り柄の「カブノミクス」的には国民に対する強力なアピール材料となって現与党には追い風、逆にさえないと、その運用責任を厳しく問う声が高まって与党には逆風、ということになりそうですが・・・

 こちらの記事を含めて何度も書いているとおり、国民の年金原資を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は20141031、それまでの国内債券(国債等)を主体とした安全性重視の資産運用方針を、株や外債などのリスク資産への資産運用比率を大きく高めたハイリターン狙いのものへと大転換しました。ということはこの日のマーケットの数字がリスク投資のいわば「発射台」で、これを上回ったら運用成績はプラス、逆に下回るとマイナス―――「元本割れ」を起こす、ということになります。

 で、その発射台となるべき各価格は次のとおりです。

  日経平均:16413.76円、TOPIX1333.64

  ダウ平均:17390.52ドル、S&P500種平均:2018.05

  ドル/円:112.32

 これに対し、先月31日の価格はといえば・・・

  日経平均:16758.67円、TOPIX1347.20

  ダウ平均:17685.09ドル、S&P500種平均:2059.74

  ドル/円:112.57

 ・・・ということで、いずれもこの発射台をわずかに上回るレベルという、ひじょうにキワドイ金額になっています。たしかにほんの少しはプラスだけれど、おそらくその運用資産総額は「水没」すなわち20141031日地点の投資元本価額を下回ったのではないか・・・。なぜならGPIFは、この発射台から株等を買い上がっていったので、実際の損益分岐ラインはこの線よりも相当に高いところにあると考えられるから。というわけで、この推測が正しければ、上述のように与党にとって選挙にはネガティブな結果が出そう・・・で、GPIFは6月予定の上記運用成績公表を見送る(安倍政権によって公表をストップさせられる)かも!?

 ところで翌41日の市場価格は、

  日経平均:16164.16円、TOPIX1301.40

  ダウ平均:17792.75ドル、S&P500種平均:2072.78

  ドル/円:111.69

 ・・・前日比で日経平均は3.5%、TOPIX2.4%、そしてドル円は0.8%と、いずれも大幅な値下がりです。そして注目されるのはこの日、3つともに上記発射台の数値をそろって下回ったこと。このあたり投資家が、世界的なリスクオフ・モードのなかでも「くじら」(GPIF)は331日の数値を何とか良く見せようとするはずだ、つまりこれを過ぎた41日以降の株&外貨は売り、と判断して動いた結果なのだろうな~と思われるわけです。

続く

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【イヤでもポスト日米安保時代の幕が開く?】トランプ氏発言から分かるアメリカの弱体化⑪

2016-04-19 00:03:57 | アメリカ

前回からの続き)

 ゴールド)ではなく、に対して減価して止まないドルをひたすら買わされ続ける―――現在の「アベノミクス」に至るまで戦後延々と続いた、三途の川の石積みのようなそんなわたしたちの徒労も、ようやく終わりを告げようとしています(?)。長々と綴ったとおり、幸か不幸か、自分たちから言い出す前に、疲弊しきったアメリカのほうから日本の自立を促すメッセージが届いたわけです。であればこのメッセージのとおり動かない手はない。もうアメリカは日本のやることを邪魔しない、と言っているのだから・・・。

 というわけで、好むと好まざるによらず、ポスト日米安保の時代到来(!?)。さあ、わたしたちはどうしましょうか。安保に縛られていたからこそやれなかったこと―――近隣諸国との関係強化、沖縄の米軍基地の米本土への移転後押し、TPP(環太平洋連携協定)のキャンセル・・・などなど、じつにいろいろなアクションが想定できますね。アメリカが去る以上(?)、日本はイヤでも自分で考え、動かないとなりませんから・・・

 それらのなかで、わが国家国民に個人的にいちばんお勧めしたいのが・・・上述、そして本ブログでたびたび登場させている「金>円>ドル」が示唆すること、つまり「ドル売り金(ゴールド)買い」です・・・ってアメリカが警戒するって?大丈夫、これ、アメリカにとって日本の核武装などよりもずっと平和なことだから・・・

 そんなことを含め、歴史的なパラダイム・シフトのタイミングが刻々と近づいている―――それは、70年ほど前の「鬼畜米英」が一夜にして「アメリカさん、ハロ~」へと大転換したのと同じくらい、劇的に―――そんな気がしてなりません・・・

(「トランプ氏発言から分かるアメリカの弱体化」おわり)

P.S.「核」といえば・・・以前から日本の核武装を主張してきた政治評論家の田母神俊雄氏が選挙不正の疑いで逮捕されました・・・ってこれ、時期が時期だけに、とても意味深ですね。本稿の5回目あたりに書いた裏事情(?)が関連しているのではないか・・・。となると、ロシアとの関係改善に意欲的な安倍首相も気を付けたほうがいいかも・・・



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【円安万歳一色は米が崖っぷちの裏返し?】トランプ氏発言から分かるアメリカの弱体化⑩

2016-04-17 00:01:15 | アメリカ

前回からの続き)

 ドナルド・トランプ新大統領(!?)のアメリカはこう言います―――「わがステイツは日本を守るコスト負担に耐えられないので、日本から米軍の大半を撤収させる!」。であれば自ずと(?)日本は「分かりました、これからは自分の国は自分たちで守ります。そのかわりわが国は今後、ドル米国債の買い支えは行いません」と返答する。そして日本はそのとおり(自分を守るために)、中国ロシアといった隣国との関係改善を独自に進めます(国を守るというと防衛力増強が思い浮かびがちですが、外交、通商、様々なレベルでの交流促進なども立派な国防活動と考えます)。アメリカ新政権はこれらを黙認するでしょう。なぜなら日本を軍事的に守る義務を果たせないと宣言してしまえばアメリカは、日本のドル買い放棄や外交政策にあれこれ口を出す資格を失うからです。

 日米安保はこんなふうに変化していくのではないか・・・。だからといって日米両国が対立関係に入るわけではありません。わが国にとって政治・経済・文化などのさまざまな面においてアメリカが引き続き最重要の国であることに変わりはないからです。当然それはアメリカにとっても同じこと。上段で日本はドル・米国債を買わない、と書いたのは、「アベノミクス」みたいに(!?)国益を損なうのを承知でこれらを高値掴みするようなことはもうしない、という意味。純資産国の日本は世界一(?)、外貨の購入余力があるから、ドル投資の好機となれば官民挙げてこれを大量に買うでしょう。それが結果的にアメリカを支える(アメリカの長期金利の上昇を抑える)力となるはずです。もっとも現時点でドル買いのチャンスとみられるラインは1ドル70円あたりよりも下(ドル安)でしょうけれど・・・

 ・・・足元では円高が進んでいます(とはいっても、実質実効レートとの比較では、まだまだ超円安超ドル高の水準ですからね~)。これを受け、安倍政権・黒田日銀・経済学会メディアの4者は円高のメリットから目をそむけ、ただひたすらそのリスクのみを声高に叫ぶばかり。そのあげく、(円安誘導をネガティブ視したら不公正な報道だぞ、みたいな?)言論統制(?)までちらつかせるありさまです。そんなことで、いま以上に円高が100%ネガティブみたいな言われ方をされた時代はかつてなかったのではないでしょうか・・・。

 その理由を本稿の文脈で考えれば・・・円高つまりドル安で日本の守護者アメリカが弱くなることは、わが国の安全保障にとって危険、したがって円安すなわちドル高を促す行為―――日銀金融緩和や通貨当局のドル買い介入など―――は何でもかんでも好ましいことで正当化されるべきだ、みたいな理屈になる。ようするに日本がそこまでしなければならないほどアメリカは崖っぷちにあるということ・・・。こうして日本は円安バンザイ大合唱のもと、弱体化するいっぽうのアメリカ・・・のドルもろとも、国民の血と汗で積み上げてきた国富を失い続けることに・・・

続く

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【米「もう日本を守れない」、日「じゃ、ドルは買わない」】トランプ氏発言から分かるアメリカの弱体化⑨

2016-04-15 00:00:53 | アメリカ

前回からの続き)

 先述したように、日本日米安保条約においてアメリカに対して負っている秘密の(?)責務は、同国の通貨ドルの信認維持に尽くすこと―――ドル・米国債を買い続ける(けっして売らない)とともに、アメリカに金兌換を要求したり、金準備を許可なく増強したりしないこと―――だと推測しています。いっぽうのアメリカにとってこの取り決めは、以下の2つの点から同国に日本防衛を肩代わりするコストをはるかに上回る利益をもたらしているはずだ、とみています。

 まず一点目は、これによってアメリカは数千トン規模に達したであろう金塊の日本への流出を免れた、ということ。(その真偽のほどはともかくとして)アメリカがいまだに8千トン以上もの金準備を保有できている最大の理由は、わが国が敗戦の1945年から1971年のニクソン・ショック(ドルと金の交換禁止)までの間に一切、ドルの金への交換をアメリカに求めなかったから(?)・・・だと考えています。前回書いたとおり、この大量の金がいまもドルの信頼を裏打ちしているからこそ、アメリカは基軸通貨国の立場を享受できる面があるわけです。

 二点目は、アメリカにとってたいへん借金がしやすい環境を日本が作ってくれた、ということ。いわずと知れた世界一の経常赤字国・アメリカは、外国からつねに借金をしなければなりません。いっぽうで屈指の経常黒字国であるわが国は外国におカネを貸すゆとりはどの国よりもありますが、その通貨・からすれば本来、ドルのような経常赤字国の通貨や債券は円に対してほぼ必然的に減価するから常識的には買えないはずです。でも実際は、上述のように買いまくって手放さない(手放せない)わけです。おかげでアメリカはジャパンマネーでしっかりとファイナンスされるうえ(長期金利の上昇を抑制できるうえ)、インフレを容認すればその借金の実質負担は日本への返済時には大きく軽減される、といった具合・・・

 このようにアメリカは、日本を安保に抱き込むことで、ドルの価値の維持にこれまで成功してきたことになります。逆にドルを半ば強制的に持たされ続けたわが国は、兆円規模の損失を被ってきました。それは、それほど巨大なコストを払ってでも、日本を軍事力で守る!と誓ってくれたアメリカを支えたかったから、ですが・・・

 ・・・前述のトランプ発言から予想されるとおり、そんな古い(?)日米関係は終わろうとしています(?)。「もう日本を守るコストの負担はできない」アメリカは正直にそう言っているわけです。たしかに、残念ながら(?)そのとおりでしょう。であれば、わたしたちはこう返すべきなのではないか―――「ならば日本は、もうドルも米国債も買わない」と・・・

続く

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【減価し続けるドル保有こそ日米安保の対価】トランプ氏発言から分かるアメリカの弱体化⑧

2016-04-13 00:00:26 | アメリカ

前回からの続き)

 米大統領選・共和党候補指名レースで最有力のドナルド・トランプ氏は日米安保条約について、日本が外国に攻撃されればアメリカは日本を守るために戦うが、その逆がないことを「一方的だ」(one-sided)と批判しています。たしかに日米安保は、とりわけ一般米国人の目にはトランプ氏が指摘するような不公平なものに映るかもしれません。ですが、二国間の条約で一方だけがトクをするなんて、あり得ない。アメリカにも十分にメリットがあるからこそ、日本の安保を請け負っているわけです。

 では、アメリカにとって日米安保の利益とは何か、ですが・・・それは「思いやり予算」(日本による駐留米軍経費の多額負担)などではけっしてなく、日本による「ドル」の信認の下支え、でしょう。これこそアメリカが同盟関係を結ぶすべての国のうち、上記「片務的」な条件と引き換えに日本だけに課した秘密の(?)約定なのではないか・・・

 ご存じのようにわが国は中国に次ぐ外貨準備保有国です。で、その大半はドル・米国債・・・。それはドルが基軸通貨(≒石油引換券)だからという理由以上に、日本が戦後、このアメリカとの約束事、つまりドルの「買い支え」をひたすらに順守した結果といえるでしょう(?)。

 ・・・ブレトン・ウッズ体制(戦後の金融秩序)発足から1971年のニクソン・ショック(金とドルの交換停止)までの間、各国、とくにド・ゴール大統領率いるフランスを筆頭とする欧州諸国はアメリカとの貿易等で得たドルをアメリカに差し出し、1トロイオンス35ドルという固定レートでゴールド)に換えて自国に持ち帰っていました。でも日本だけはこれをしなかった・・・というか、できなかった―――自国の防衛をアメリカにやってもらうことと引き換えに、金兌換を認めてもらえずにドルを持たされ続けた(?)わけです、わたしの推測では。その後も「プラザ合意」(円・ドイツマルクに対するドルの大幅切り下げ)以降の巨額ドル買い介入、最近は「アベノミクス」による公的年金基金を使ったドル資産投資などによってわが国はドル・米国債をしこたま買ってきました―――もちろん金ではなく・・・。

 ・・・もし日本が上記プロセスでドルを金に換えたり、ドルではなく金を買っていたら・・・いまごろは外貨準備としての金をフランスの金準備(2400トンあまり)をはるかにしのぐくらいに持っていたでしょう。かりにこれを5千トンとし、上記兌換レートと現在価格との差額1200ドルをこれに乗ずると何と!21兆円ほどの差益が出ている計算です。これに対してドルは1ドル360円に始まって・・・現在は約108円と1/3以下に減価(実質実効レート[2016/2]では75.3円と、1/5近くにまで減価)、金に対しては何と!97%も暴落(1ドル1/35オンス→1/約1250オンス)・・・。したがって大部分がドル建て資産の日本の外貨準備はいま、兆円規模の巨大差損を抱えているわけです。ああ、これを金で持っていれば日本(政府等)はいまごろ超リッチで消費税なんていらなかったかもしれない(?)のに、このように大損することが分かっていながらどうしてドルを持ち続けたのか・・・は、上述のとおり・・・

 このドル保有にともなう巨大損こそ、日本が日米安保、つまりはアメリカに支払い続けた対価だった。だからこそアメリカはいまだに8千トンあまりもの世界最大の公的金準備を有し、これに裏打ちされた同国通貨のドルは基軸通貨の地位を保っていられる・・・。トランプさん、これでもまだ日本は安保タダ乗りだ!なんて言いますか?

続く

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【米の反対を押し切っての「訪ロ」首相決断を評価】トランプ氏発言から分かるアメリカの弱体化⑦

2016-04-11 00:01:42 | アメリカ

前回からの続き)

 ブルームバーグ報道によれば、安倍首相が5月にロシアを訪問し、プーチン大統領と会談する可能性があるとのこと。その準備等のため今月15日にはロシア外相が来日する予定だそうです。これらがロシア大統領府から発表されるあたり、ロシアが対日関係の改善に意欲的なようすが感じられます。

 他方、この2月に行われた日米電話会談でオバマ大統領は安倍首相に対し、今回の訪ロに懸念を表明していました。アメリカがウクライナやシリアの情勢を巡ってロシアと対立するなか、いま同盟国・日本の首脳がロシアを訪れることは好ましいことではない、という判断からなのでしょう。従来の対米従属方針に基づけば、アメリカの言いつけを守ってロシアに行くのは止める、となるのが日本政府のスタンスだったはずですが・・・

 でも、安倍首相は訪ロを決断した。高く評価したいと思います。というのもこれは、本稿で綴っている今後の日本外交の望ましい方向性、つまり、弱体化するいっぽうのアメリカの武力を必要以上に頼ることなく、わが国独自で周辺各国との関係改善に努めていくという方向性と一致するものだと考えるからです。ということで今回の日ロ首脳会談が現在の予定のとおり無事に行われ、北方領土問題の解決と日ロ平和条約の締結につながる大きな一歩となることを期待する次第です。

 ロシアとの間の長年の懸案が解消すれば、中国などとの関係も大きく好転するでしょう。好き嫌いは別にして、すでに同国は輸出入総額ベースで日本にとって最大の貿易相手国。もちろん経済のみならず観光や文化などの面でも両国の関係は深まるばかりです。そんななか、小さな島々の領有権を巡って武力衝突を起こすなんて、双方にとってトクになるものは何もないはず。このあたりを含め、たしかにかの国は国際ルールを守らないなど、いろいろと「お行儀」が悪い面はありますが、それでも総合的な国益の観点から日本は対中関係の改善をいっそう進めるべきと考えます。繰り返しになりますが中国(そしてロシア)はいま、そして今後はさらに、経済的な窮地に陥っていくこと間違いなし(!?)。その意味でわが国は外交交渉上、相手よりも有利な立場にありますよ・・・

 こうして日本に隣接する大国・中ロ両国との仲が良くなれば、わが国はアメリカへの依存度を大幅に減らすことができると考えられます。米大統領選の共和党指名レースでトップに立つドナルド・トランプ氏が意図するように、在日米軍の大半の撤収も視野に入ってくるかも。そうなればアメリカは対外軍事費を、日本は対米「思いやり予算」等をそれぞれ削減することができるので、日米両国にとってもありがたいでしょう。

 ここで、日本にとってさらに望ましいことがあります。それは、もはや必要以上の「ドル」を買わずにすむ、ということ。

続く

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