世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
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【株高騰、リチウム電池ノーベル賞、アベノミクス7年…時代の節目サインは随所に】原油価格低下を素直に歓迎しよう⑩

2019-12-29 00:03:10 | 世界共通

前回からの続き)

 ところで・・・もはや誰にでも感じられるように(?)、いまの株式市場(とくに米市場)や原油市場は、ファンダメンタルズなどから完全に遊離し、まさに「マネーゲーム」の様相を呈していますね(って、内外の経済メディアは「米中貿易協議の先行きに楽観」とか何とか、必死に?その理由を実体経済面に紐づけようとしてはいますが・・・)。これ文字どおりゲーム、つまり「勝者」と「敗者」を生じさせるわけです(って、しかも日本市場の場合は、まあ勝者は外国人投資家[とミセスワタナベが少々?]、敗者は公的年金基金と「相場」が決まっていますけどね?)。であればこれ、あくまでも「ゲーマー」(投資家)の自己責任に委ねるべきで、国家(政府とか中銀)はこれにのめり込むべきではない(過剰に煽るべきではない)はずです。そうではなく、その役割は国民経済に(インフレ抑制とか勤労者の実質賃金増加などの)プラスをもたらす施策を講じること・・・って「日本」の場合、その方向性は「アベノミクス日本」の先述「株価&原油高のW扇動」(ってこれ、本邦経済の主役・個人消費にとっては円安[輸入インフレ]&エネルギーコスト上昇のWパンチ・・・)政策?の真逆になるんですけれどね・・・(?)

 ということで、つらつらと綴っていたら、話が拡散してきてしまったので、そろそろクロージングに入ります。

 ご存知のように、今年のノーベル化学賞を吉野彰・旭化成名誉フェロー他が受賞されました。その功績は「リチウムイオン電池」の開発です。こちらの記事に書いたように、これに代表される蓄電池は「ポスト石油」の時代に欠かせないアイテムであり、吉野博士を筆頭に、その開発を「日本」がリードしてきたこと、そしていまのこのタイミングでノーベル賞というかたちでこれにスポットが当てられたことは、以下に記すサインのひとつだと思っています。

 このリチウム電池を含む蓄電池はさらに進化し、おそらく(南米に偏在しているとされる)現状のリチウムは近い将来、炭素水素などのようなありふれた材料で代替されていくと予想するし、その次世代蓄電池とか再生可能エネルギーの開発もまた、わが国がけん引していくことになるでしょう。「エネルギー」(≒石油)やリチウムといった原材料はわたしたちの国家的弱点(外国に全面依存せざるを得ない点)であり、これを痛感させられることも(とくに最近は)多いところ。だからこそ、これらに依存しない世界を築きたい!とする本邦科学者の情熱、そしてその知力と真摯さは世界一だと確信するものです。そしてその進化に反比例するかたちで、古い世界の象徴「石油」は徐々に退出していくことでしょう・・・

 安倍晋三首相の在任期間がちょうど7年を刻んだところです。本稿の文脈に照らせばそれは、石油(つまりド〇?)に執着し、今後も石油が最重要の戦略物資であることを望み続けた時間の長さだった、と言えなくもありません。なぜなら、上述のとおり、石油は「マネーゲーム」の時代(?)に欠かせないアイテムであり、安倍首相を筆頭に、その高値誘導を「アベノミクス日本」がリードしてきたためです・・・が・・・

 そんな7年間とともに、まもなく2019年も終わります。先日こちらで書いたように、宇宙では「」は、ひとつの周期を表す数字。そのせいかどうか、この瞬間、じつにさまざまな事象が終わりと始まりを告げているように思えてなりません・・・

(「原油価格低下を素直に歓迎しよう」おわり)

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【日本はマネーゲーム(株高扇動)ではなく実体経済の成長を目指すべき】原油価格低下を素直に歓迎しよう⑨

2019-12-27 20:56:04 | 日本

前回からのつづき)

 先述してきたことから、多少の上下はあっても、石油とか天然ガスといったエネルギー資源の価格は中長期的には下がっていくでしょう。いうまでもなくそれは日本経済にとって圧倒的にプラス寄与です。この国の経済の主役・個人消費において大きな部分を占めるエネルギーコスト(電気代ガソリン代などなど)が下がるためです・・・って、いちいちそう書かずとも常識的にそう感じられるところです。だって原油のような外国から買うしかないモノは価格が安いにこしたことはありませんからね。それで浮いたおカネで、国民は消費や貯蓄を増やせるし、企業経営者は勤労者に賃上げで報いることもできるようになるわけで・・・

 逆にこれを高くして喜ぶ発想は、サウジアラビアロシア、そしてアメリカ(?)といった産油国ならいざ知らず、これらの大半を外国から輸入している国ではありえないでしょう・・・って、それをやって喜んでいるのが文字どおり「異次元」な「アベノミクス日本ということになります。それは前述、ガソリン代が1リットル150円に迫る水準をもたらしている現行の原油価格1バレル60ドル前後を指して「低迷している」、要するに安すぎる!みたいな日経新聞の嘆きに象徴されている面があります。

 そしてこちらの記事等でも書いているように、石油をはじめとするエネルギー資源は日本国家最大の「アキレス腱」(弱点=外国に全面依存するしかない点)です。であればこれを意図的に(円安&原油投機のW扇動で)高い値段で買おう!なんて、生命線たる「シーレーン」を脆弱化させるアブナイ行為以外の何ものでもないでしょう。なので「アベノミクス日本」にシーレーン防衛を真面目に語る資格があるのか?なんて気さえするわけですが・・・

 そこまでして(円安と)原油高を望むのは「カブノミクス」(アベノミクスの取り柄は株のみ)だからでした。日経新聞の期待の多くもそこにあるのでしょう(?)。で、その株高がもたらすプラス効果は円安原油高のダメージを・・・まったく救えていないのは、いまさらいうまでもないところ。そもそも株で経済を浮揚させるなんて、小さな都市国家みたいなところなら可能かもしれませんが?日本のような、人口も経済も大きなスケールの国では、そもそも無理筋。わが国はそんな「マネーゲーム」ではなく、やはり正道を行く―――個人消費を柱とした実体経済の成長で国家国民ともに栄えていく、という方向を目指すべき。その際に不可欠の条件はエネルギーコストが低廉な水準に保たれていることです。であれば日本国民は、原油安は素直に歓迎し、原油高には素直に「イヤだ!」の声を上げ、その価格が少しでも下がるような政策の実行を政府・・・と日銀(?)に促さないと・・・(って、その気になれば、原油価格は「少し」どころか「大暴落」させることだってできちゃうんだから「日本」は・・・)

(続く)

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【日米とも株価は絶好調!けれど、真の「日経」は…】原油価格低下を素直に歓迎しよう⑧

2019-12-25 22:53:16 | 世界共通

(前回からの続き)

 前回綴ったように、ガソリン代1リットル150円近い安値(って高値の間違いでは!?)をもたらす現状の原油価格水準(1バレル60ドル前後)を、日経新聞は「低迷している」という表現で、つまりは安すぎる!と報じているわけです。これ、先述のとおり、株を筆頭とする各種リスク資産の価額を押し上げる、文字どおり「エネルギー」としては、いまの原油価格では力不足だ、ということです(?)。その影響は本邦株価に及び、現行の経済政策「アベノミクス」・・・というより「カブノミクス」(アベノミクスの取り柄は「株のみ」:私的造語)を崩壊させかねない・・・ので、原油価格はいま「低迷」と、ネガティブな印象を与えるワードを使うことで、読み手に対して「そうか現状のガソリン代1リットル150円は安いんだな、もっと上がるべきなんだな」と勘違い・・・って、もとい(アベノミクス的に)正しく認識させようという意図があるのでしょう(?)。

 まあ日経新聞の読者層を想像すると、上記に共感する方も少なくはないような気もします。けれどそれは、ガソリン代が同150円をはるかに上回るほどの高騰ぶり、つまり原油高とか株高で恩恵を得られるこれらの(それも大口の)投資家に限定されるはず。で、さて、そんな人々がこの国にどれほどいるのか、それ以上に投資の恩恵を個人消費などのかたちで本邦経済成長にどの程度還元できているのか・・・って、アベノミクス前と比べれば、答えは自明でしょう? アベノミクス≒カブノミクスが上手く回っているのなら、日本経済がこれほど転落するわけはないのだから。そしてそれは、シツコク繰り返すように、アベノミクス(日銀の異次元緩和)が円安誘導と投機誘導で円建てのエネルギーコストを意図的に引き上げたために起こったことこちらの記事に書いた「逆相関」(株価格↑原油価格↑実体経済↓)の表れということです。

 この瞬間、米ダウ平均は史上最高値付近をつけ、伴連れで日経平均も年初来最高値付近に至り、原油価格も1バレル60ドル台に乗り、ガソリン代も高値(?)を窺うようになってきました。そしてこの流れならば当然、円は対ドルで下がって1ドル109円台。ということで、マーケットはいま日経新聞的にはハッピーなリスクオン・モードです(?)・・・が、真の「日経」つまり日本の実体経済、ようするにわたしたちの「衣食住」(≒個人消費)にとっては厳しい逆風がまたもや吹き付けてきた感じです、やれやれ。ですが本稿前段で述べたエネルギー価格を巡る構造的な下降トレンドに変わりはないでしょう。一見順調そうに見えるリスクオンに、原油価格もガス価格もついていけず、やがてどちらも下がり、これが株やら債券やらの価格をも巻き添えにして・・・といった展開です。

 もちろん、どんな事由であっても株価が下がるのを歓迎することはできません・・・が、皮肉なことにその下落局面においてわたしたちの「衣食住」たる「日経」が原油価格↓円↑によって息を吹き返すことになるでしょう・・・(?)

(続く)

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【日経曰く「原油価格は低迷している」って、ガソリン1L148円なんだけど?】原油価格低下を素直に歓迎しよう⑦

2019-12-23 00:01:58 | 世界共通

前回からの続き)

 上述したように、アベノミクス日本」の取り柄は唯一、株高といってもいいくらいであり、それはまた原油高をともなうものでした。ところが、アベノミクスがこうして望んだ株価↑原油価格↑が実現されると、肝心の「日本」は大幅なマイナス成長に転落してしまうわけで、そのあたりはこちらの記事他で指摘してきたとおり、これにより過度の円安とエネルギーコストの上昇が引き起こされて個人消費を主体とした実体経済がダメージを被ります。もちろんシツコク指摘してきたように、このGDPマイナス分を通貨安だと有利と思われている輸出振興で取り返すなんて、これまたこちらの記事等で述べたとおり絶対といっていいくらい不可能(って、実際にまったくできていない)。かくしてアベノミクスは株や石油の投資家(って多くが外国人投資家だったりする?)を大いに潤している・・・かわりに「日本」はアベノミクスの「7」年間異次元の転落ぶりを演じているわけです。この悲惨なさまを「円安主席」に忖度して?誰も指摘しないし、「桜を見る会」を隠れ蓑にして?人々に気づかせないように・・・

 ですが、わが国をそんな下降スパイラルに導いてきた必須条件のひとつである原油高が、上述、実需面での過剰生産により、成り立たなくなりつつあるわけです。もう石油&ガスの価格は、多少の上下はあっても、中長期的には右肩下がりのトレンドをたどっていくことでしょう(?)。当然これエネルギー資源のほぼ100%を輸入に依存する日本経済にとっては圧倒的に歓迎するべき状況であり、「低迷」から回復そして真のプラス成長に向けた期待がようやく芽生えてきます。

 しかし一方で「アベノミクス日本」にとって原油安は上述したとおり脅威です。このあたりは、本稿4回目の記事で紹介した日経新聞の記事が、逆オイルショック以降、原油価格がおおむね50~60ドル台あたりを上下しているさまを示して「原油価格は低迷している」と「低迷」というネガティブな印象を与えるワードを使っているあたりからも窺えます。低下とかではなく低迷、つまり、いまの価格では原油は安すぎて株高継続がおぼつかない、との懸念の思いが含まれているのでしょう(?)。それにこのように書いておけば、やがてリスクオン・モード(株高円安)が復活し、原油価格が(ドル建て・円建てでも)上昇して日本の実体経済が傷つくことになっても、読み手は、その痛みが自身の日常生活に及んでいるのに、原油価格が「低迷」から脱したから、これでいいのだ!とアベノミクス的には?正しく理解してくれるでしょうからね・・・(?)

 ちなみに、今月16日時点の全国のガソリン平均店頭価格(レギュラー:消費税込み)は・・・1リットル147.9円だそうです。これで原油価格が「低迷」しているっていえますかね? 庶民のわたしにとっては、これ低迷・・・どころか、生活防衛上、他の消費(個人消費)を控えなくてはならないくらいに高過ぎる!レベルです・・・。ということで、残念ながら日経新聞の定期購読はできそうもありません、アベノミクス日本が続く限り・・・?

(続く)

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【14年ダウ1.6万ドル台で1バレル100ドル、いまダウ2.8万ドルで同60ドル…】原油価格低下を素直に歓迎しよう⑥

2019-12-21 00:04:39 | 世界共通

前回からの続き)

 前回、わたしたちはもっと素直に原油価格の低下トレンドを歓迎し、そしてこれがいっそう加速されるような働きかけをしていきたいところ、と綴りました。しかしそれは「日本」にはいえることであっても、現状の「アベノミクス日本」にいえることではありません・・・というより後者にとって原油安はむしろ脅威だから、その価格はいまよりもっと高くなってくれないと困る、ということになります。

 このあたり本ブログでは何度も綴っていることですが、その最大の理由は、アベノミクスが「カブノミクス」(取り柄は「株のみ」:私的造語)と表現できるほど内外の株・・・を筆頭とするリスク資産の価額上昇を目に見える成果にしたがっているから。ここでは株やジャンク債などとともに原油もまた(最大の出し手が日銀になっている?)超低金利マネーを借りて行うリスク投資の対象として、プライスが上がってほしいアイテムの一つになっているわけです。であれば、ガソリン代が上がって苦しい、みたいな国民生活へのダメージは目もくれず(?)、アベノミクス各位が原油高≒株価高を志向するのはもっともでしょう・・・?

 上記も含め、近年の原油価格はその需要と供給・・・ではなく、その投機のオンオフが最大の変動要因となっています。そのあたりを裏付けるのが「逆オイルショック」。2014年夏にピークを打った原油価格がそれ以降、急激に下がったのは、こちらの記事等に書いたとおり、上記スイッチがオフになったため、すなわち石油投機マネーの供給源であった米FRBの量的緩和策(QE)が終了となる見通しが強まったためです(実際の終了は同年10月末)。ということは、いま当時とは逆に金融は再び緩和モードに入っている―――FRBが金融引き締めを断念し(って、それは不可能だとようやく悟り?)、利下げ、そしてQE(第4弾)再開が間近?となった―――現在、原油価格もまたこの瞬間のダウ平均(2万8千ドル台!)並みに史上最高値付近に達していてもおかしくはありません・・・

 ・・・が、そうはなっていないわけです。たしかに原油価格は、直近の株価と歩調を合わせて?上昇し、1バレル60ドル台に乗ってきました・・・が、それはダウがいまより4割も低い1万6千ドル台だったころに同100ドルを超えていた(2014年夏頃)のと比べると、いかにも迫力不足?といった感じ。このへんは、せっかくマーケットがかつてのようなリスクオンになってきたのに、原油価格だけがこれについていってくれない~(泣)、とサウジアラビア(同80ドル以上希望)、ロシア(協調減産不可能)、アメリカ(同100ドル以上必須?)、そしてなぜか石油自給率ほぼゼロ%の「アベノミクス日本」(ガソリン代リッター200円以上渇望?)までが切なくなってしまう?ところでしょう・・・

 個人的に、こうして原油価格が緩和的な金融政策の下でもなかなか上がらなくなった原因が、米シェールオイルをはじめとする世界的な原油の過剰生産という実需面にあることに興味を感じますね・・・

(続く

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【日本は原油価格低下の恩恵をいちばん多く得られる国】原油価格低下を素直に歓迎しよう⑤

2019-12-19 00:04:24 | 世界共通

前回からの続き)

 ここまで本稿では、世界の3大産油国であるサウジアラビアロシア、そして(世界一の石油消費国でもある)アメリカが、現在の原油価格である1バレル50ドル台後半前後についてどう感じているか、あたりについて綴ってきました。結論からすれば、3か国ともいまの原油価格は安すぎるため、もっと上がってほしい、と願っている、ということかと思われます。その希望する価格は、低めに(?)見積もってもサウジは70ドル以上、そしてアメリカは50ドル以上(シェール業者の損益分岐点)・・・にみえるけれどじつは100ドル以上(同国の生命線である金融システムがとりあえず?安心できるライン)だろう、と考えるものです。

 ちなみにロシアですが、その後いろいろ調べてみたら、このあたり意外に(?)価格耐性があり、ガスプロム幹部の言葉を信じていいのなら、1バレル30ドル程度でも健全操業が可能で、同20ドルあたりにまで下がっても新規開発を手控えることでしのぐことができるらしいです。他方で同国とくにシベリア産の原油は気温が下がると成分的に固まりやすく、よって冬に生産を停止したらパイプライン内で原油が固化してしまい、これを後で流れるようにするのは非常に難しいという弱点があるようです。だからロシアは、ラインを閉じるような生産抑制には応じ難く、ゆえにサウジ主導の協調減産には後ろ向き、というか脱退したいくらいだ、と感じているそうな。であれば、たとえサウジらが歯を食いしばって需給を引き締めようとしても、技術的に減産が難しいロシアが原油をマーケットに吐き出してしまい、結果としてその需給は緩んで価格はまた下がってくることになりそう。こうなれば当然ロシアだって収益は増えないでしょう・・・

 以上のように各産油国は、いまの原油価格水準そしてそれ以上に今後の過剰生産に伴う同価格のさらなる低下見通しに懸念を抱いているものと想像されます。他方で、欧州各国や中国そしてインド等々の世界の石油消費国にとってはこれ、いうまでもなくありがたいこと。とりわけ日本は原油の潤沢な供給とその価格低下で最大の恩恵を得られる国だと確信しています。その一番大きな理由は、こちらの記事等で書いているように、本邦最大の国家的アキレス腱「エネルギー」・・・の確保が容易かつ低いコストで行えるようになることです。これによりガソリン代、電気&ガス料金、物流コストなどなどの低下がもたらされ、国民各層はこれで浮いたおカネで消費や貯蓄を増やせるでしょうから、本邦経済は内需にけん引される形で回復・成長する可能性が高まります(もちろん消費増税の痛みも緩和されます)

 まあたしかに、わが国でも一部商社や資源関連企業などのなかには現下のマーケット環境では損失を被るところが出てくるでしょう。しかしそのマイナスを差し引いても上記のプラス効果のほうがはるかに大きいはず。幸か不幸か、わが国には欧米オイルメジャーに比肩するほどの巨額収益・利益をあげられるエネルギー企業(≒原油価格低下で破綻して公的救済を迫られるリスクの高い企業)はありませんからね、いまのところは・・・

 ということで、わたしたちはもっと素直に原油価格の低下傾向を歓迎し、そしてこれがいっそう加速されるような働きかけをしていきたいところです・・・が・・・

(続く

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【米、原油安では金融危機を防止できずに1バレル100ドルを志向へ?】原油価格低下を素直に歓迎しよう④

2019-12-17 00:02:17 | 世界共通

前回からの続き)

 前述、サウジアラビアロシアの2大産油国を苦しめる原油・天然ガスの価格低下の大きな原因は、世界一の石油消費国アメリカでの「シェール革命」の進展つまり同国におけるシェールオイル&ガスの大量産出にともなうこれら価格の値下がりです。これ、いうまでもなく米国民生活にはプラスの恩恵をもたらします。ガソリン代や電気代などが下がって、その分、消費等に回せるおカネが増えるわけですからね。

 しかし・・・原油価格の低下はいっぽうで、米経済で大きな存在感を示すエネルギー産業には逆にマイナスに作用します。これによって売り上げや利益が減ったりするのはもちろん、これまでの開発コスト等の回収や資金繰り等が難しくなったりするためです。

 このあたり12日の日経新聞は、世界のエネルギー企業で原油価格の低下による損失が相次いでいることを伝えています。そのなかでアメリカの資源大手シェブロンが今年10~12月期の決算で石油・ガスの資産(油田等)について100~110億ドルの減損処理をすることを発表したことを紹介しています。このあたり、シェブロンを含む米欧の石油メジャーがシェール革命の広がりを見込んで積極的にシェールオイル権益を獲得してきたことが結果として裏目に出たかたちになっています。たしかに同革命は、アメリカを原油の日量生産で世界一(2018年、1千万バレル)に押上げ、かつ同国を石油の純輸出国に移行させました・・・が、そのために原油の価格が想定以上に下がってしまい、上記のとおり多くの権益が採算に合わないくらいの高値掴みになってしまった、といったことなのでしょう。

 シェブロンほどの大企業でもこのように苦しいのですから、もっとヤバいのは、中堅以下のシェール関連企業と思われます。実際に少し前から倒産する会社が出始めているとのこと。シェールオイルの損益分岐点は1バレル40~50ドルとされているそうで、まあ前述したサウジの望む価格水準である同70ドルよりは低いために競争力はそれなりにありそうですが、現在の価格(50ドル台後半)との差は数ドル程度であり、十分な利益を出せるほどではなさそうです。したがって今後、さらに石油の価格が下がれば、体力のない業者が次々に破綻し、その悪影響が金融マーケットに波及していきそうな・・・

 こちらの記事を含めて以前から何度か書いているように、個人的には、次の世界的な金融危機の端緒となる出来事は米債券市場で起こる―――具体的には、上記のようなシェール関連企業のデフォルト等が契機となる可能性が高い―――と予想するものです。そうなったら、誇張ではなく本当に国家的危機に陥ってしまうためにアメリカは、将来のどこかの時点で原油安を享受する現状路線を断念して一転、金融システムの崩壊を防ぐために原油高を志向するようになるでしょう(?)。そのときの目標原油価格は・・・最低でも1バレル100ドル!?というのがこちらの記事で予想した水準ですが、はたしてどうなりますか・・・?

(続く)

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【ロシアのシベリア巨大ガス事業、中国の値下げ要求で苦境に?】原油価格低下を素直に歓迎しよう③

2019-12-15 08:59:09 | 世界共通

前回からの続き)

 前回、サウジアラビアと並ぶ産油国のロシアは、「OPECプラス」(OPECと非加盟産油国のグループ)の原油協調減産(来年1~3月まで日量170万バレルの減産、サウジはさらに同40万バレルを追加で減産)の枠組みから離脱したがっている、との観測があることを紹介しました。ロシアとしては、それで原油価格が上昇するのか不透明なのに、実質的にサウジの指示で長期間にわたって減産すなわち収益減を強いられるのはイヤなはず。個人的には、ロシアはこらえきれずに近い将来、ここから脱するだろうと予想するし、またそうなってほしい、と願っています。そうなれば、減産の枠組み崩壊→石油価格はいっそうの低下へ・・・となりそうだからですが・・・

 このように、世界的な原油価格の低下は、サウジばかりかロシアも相当に厳しい状況に追い込んでいるものと想像されます。そのロシアについては、これまでは順調と思われていた天然ガス事業でも、ガスの価格が石油の伴連れで下がってきたことにより、微妙な段階にあるもようです。

 先日の日経新聞は、ロシア・中国間のガスパイプライン「シベリアの力」が2日に開通したことに関連し、ガス輸出先の中国がロシアに対して価格の値下げ圧力をかけている様子を伝えています。それによると、中国がガス需要見通しの大幅な引き下げをロシアに通告したことなどもあり、フル稼働のめどが立たなくなっているとのこと。さらに中国は、引き渡し地点から消費地の北京や上海などへの中国内のパイプラインによる輸送コスト分を値引きせよ、とロシアに迫っている可能性があるそうです(石油パイプラインでもそうしたらしい)。シベリアの力は建設費680億ドルのすべてをロシア側が負担しています。となると本プロジェクトの投資リスクは全面的にロシアが負うことに・・・

 ロシアの天然ガスについては欧州でも変化が起きているとのこと。9月、欧州司法裁判所はロシア政府系会社ガスプロムの独占的な立場を問題視し、欧州での活動を制限する判決を下しました。これによって同社運営のドイツ向けパイプラインは現在輸送量を制限されているとのことです。この手の問題が生じているのはロシア産ガスだけで、その理由は輸入シェアが4割と高いためなのだそうですが、欧州としてはこれでロシアを揺さぶって値下げさせようという狙いもあるものと思われます。

 中国そして(中国ほどではないものの?)欧州においてもロシアは劣勢に立たされている感じです。それは、少し前の時代と異なり、アメリカシェール革命等の進展により、原油のみならず天然ガスもまた世界的に供給過剰になりつつため、ということでしょう。であれば消費国は、そんなに高いのならヨソから買うよ、と生産国に対して強気の価格交渉ができますからね。一方のロシアは苦しいところ。こちらの記事等でも書いたように同国には原油と天然ガスくらいしか売り物がないためです・・・

 それにしても、ロシアに対して同国GDPの数%分もの巨大出費をさせて、いざそれが完成したとたん、そのガスは値段をもっと下げないと買わないから、みたいな交渉を繰り出す中国って、なかなかしたたかですよ。石油・ガスしかカードが無いこと、そしてそのカードの価格がこの先さらに下がりそうなこと、さらに投資コストを回収しなければならないことなどからロシアは苦し紛れに日本にも秋波を送ってくるでしょう(?)。そのとき本邦政府等には、申し出に安易に飛びついたりせず、中国にならい、相手の足元を見透かして、ガスの前にまとめるべきことがあるでしょ?の強気のスタンスでロシアに対してあたってほしいものです。

(続く)

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【サウジが望む原油価格1バレル80ドル以上・・・は、まず望めない?】原油価格低下を素直に歓迎しよう②

2019-12-13 00:01:27 | 世界共通

前回からの続き)

 前回記したように、「OPECプラス」(OPECと非加盟産油国のグループ)は6日の会合で原油の生産日量を120万バレル削減することに合意し、さらにサウジアラビアは独自に同40万バレルを追加で減産すると発表しました。これによって来年1~3月の原油削減量は同210万バレルにまで拡大することになりました。

 先述のとおり、サウジが上記決定をこのタイミングでしたかった最大の理由は、国営石油会社「サウジアラムコ」の株式上場(IPO)が11日だったために、少しでもその株価が上がるよう、直前に原油の需給を引き締めたかったからでしょう。

 で、そのアラムコの株価ですが、ご存知のように同日、初値でいきなり1株35.2リヤルと、売り出し価格(32リヤル)より10%も高い値をつけ、終値も同額のストップ高水準で上場初日の取引を終えました。これでサウジ政府は、IPOでは中国のネット通販足大手「アリババ」の250億ドルを上回る史上最高額256億ドルの調達に成功し、アラムコの時価総額は1.9兆ドル近くに達して世界の上場企業でナンバー1となりました。ということでサウジにとってこのIPO、まずは幸先良し、となったわけです・・・がこれ、同政府の事前根回し(自国の王族やら財閥などにこのIPOに応じるよう働きかける、など)の効果が及ぶ「ホーム」(サウジ証取)でのことでもあり、上場時の過剰な熱気が冷えていく今後もこの高値が続くのか微妙に思えます・・・が、現時点(日本時間12日21:00)の株価は36.75リヤルと前日比で4.4%高、って上場2日目も好調な感じですね・・・

 さて、上記アラムコの株価引き上げ目的以上に、サウジが自国シェアを落としてもまでも原油減産に固執するのは、これによってその価格をいまよりも高い水準に維持し続けたいため、と推測されます。これ同国にとって本質的で切実なこと、要するにそれだけいまのプライス(1バレル58ドル程度:WTI先物)では安すぎる!ってことになります。

 ではサウジは、原油価格がいくらくらいになってほしいと願っているのか、ですが、答えは「1バレル80ドル以上」。昨年9月頃のメディア記事によると、これOPEC関係者や業界筋の話で明らかになったとのこと。同国は、ポスト石油の時代の到来を見据えた「ビジョン2030」と呼ばれる経済改革計画を推進するために大量の資金を必要としていますが、これに見合う原油の価格が低くてもこのレベル、ということなのでしょう。逆にサウジは同70ドル割れは望んでいないもようです。で、さて、いまの原油価格は・・・上記のとおり、ということでサウジは、自分が身を削っても構わないからこれを80ドル台に、最低でも70ドル以上にもっていきたいところです・・・

 しかし、個人的には、サウジの目論見どおりにはいかない―――原油価格はすんなりと同70ドル台には乗らない―――だろう、と考えています。大きな理由は、先日のこちらの記事に綴ったように、最大の石油消費国アメリカシェールオイル大量生産に象徴されるように、石油はもはや構造的に供給過剰になっているため。となると、上記減産がスタートしてその価格が上がれば、これまでのようにイラクやナイジェリアといった他の産油国がこの値上がり分の収益をゲットしようと「合意破り」の増産・輸出をして、結果として減産効果は薄れ、原油価格はまた下がってくる、といったことになる可能性が高いはず?

 そしてこのように、上記合意だっていつまで守られるのかもアヤシイところ。というのも、どこも石油しか売り物がなく、資金繰りだってラクではないなか、すべてのメンバーがサウジと同じく合意の枠組みに留まり続けられる体力があるとはとても思えないためです。現に、サウジと並ぶ原油産出量を誇るロシアなどはこの種の合意の長期化に反対していて、近くこの協調減産から離脱するのでは、なんて憶測すらあるようです。であれば上記減産期間が、わずか3か月だけ、というのもうなずけるところ。サウジは本心では相当に長い期間、みんなで減産をしたいところですが、ロシアに離脱されないように、しぶしぶ3か月で妥協、といったあたりが真相でしょう。もっともサウジは、短めの期間設定は生産量調整の柔軟性を高めたいため、としていますが・・・

(続く)

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【サウジアラムコ本日上場!さて初値は?】原油価格低下を素直に歓迎しよう①

2019-12-11 00:00:37 | 世界共通

 新しい時代を前に、古い時代を象徴するものがこうして退出していくのでしょうね・・・

 6日の会合で「OPECプラス」(石油輸出国機構及び非加盟産油国で構成されるグループ)は、日量120万バレルとしている現行の原油の協調減産の規模を50万バレル拡大して170万バレルにすることで合意しました。来年1月から3月まで実施されるとのことです。さらにサウジアラビアは、同合意に基づく減産目標に上乗せして、自発的に同40万バレルの減産を継続すると表明しました。これでOPECプラス全体の減産規模は同210万バレルとなり、事前の市場予測を上回るスケールになったようですが・・・

 上記合意を主導したのは、もちろんOPECの盟主サウジアラビアです。で、この局面で同国がこれらを決めた理由は・・・何といっても、国営石油会社の「サウジアラムコ」の株式が11日(って、今日です!)、サウジ証券取引所に新規上場(IPO)されるに当たり、その市場価値をできるだけ大きくするために石油の値段をつり上げたい、ということ。この点、いまのサウジはどの産油国よりも原油価格の上昇に期待・・・どころか、上がってくれないとマジでヤバい!くらいの危機感に迫られているものと推測されます。よって同国は他のメンバーを必死になって説得し、今回の合意を取りまとめたのでしょう・・・が、これに対する市場の反応がイマイチなのを感知するや、上記の自発的な追加減産という「サプライズ」をこのギリのタイミングで放って原油価格の押上げ、すなわちアラムコ株の売り出し価格の押上げを試みた、といったあたりでしょう・・・ 

 で、そのアラムコですが、当初、サウジの皇太子は2兆ドル(時価総額で世界最大の「アップル」の倍近く)の企業価値がある、なんておっしゃっていたみたいですが、上場直前の先月、サウジはその評価額目標について、これを大きく下回る1.6~1.7兆ドルに設定しました。また今回公開する株式の比率も全体の1.5%と、事前検討時の半分程度になるとのことです。いずれもマーケットの現実をふまえてコンサバに見積もりなおした、ということなのでしょうか?

 アラムコIPOの最大の狙いは、これによってサウジ政府系の「パブリック・インベストメント・ファンド」の投資原資を確保すること。当初構想ではこれで最大1千億ドルを調達する算段だったそうですが、マーケットの現状を踏まえ、その目標を下げて国内市場での256億ドル程度にしたようです。それでもこの額、中国のネット通販最大手「アリババ」IPO時の250億ドルを超えて過去最大になる見通しです。まあともかくサウジとしては、この投資マネーが可能な限り増えるよう、アラムコ株が高値で取引されてほしいところ・・・

 その予定価格は、先月の目論見書では1株30~32リヤル。そして足元の原油価格は1バレル58ドル台(WTI先物)と、大規模な減産合意の発表直後のためか、少し前と比べると同2~3ドル程度上がってきました・・・というより、にもかかわらず値上がり幅はその程度にとどまっています、というほうが適切かも(?)。

 こうした状況のもと、今後の原油価格の動きを占う意味でも、本日11日、アラムコの初値がいくらをつけるのか、まずは注目ですね・・・

(続く)

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