世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
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【金だけは本当のことを正直に伝えてくれるから…】金価格1グラム1万円を超えたことの意味⑩

2023-09-25 21:53:11 | 金(ゴールド)
前回からの続き)

 とまあ、いつの間にか表題から離れてきてしまっている・・・とはまったく思ってはいません。わが国における金価格の史上最高額への到達、そして、かの国における同価格の高止まり教えることは、これまで述べてきたとおり(そして、本ブログ内の他記事でも書いてきたとおり)だと考えています。そのあたり」(ゴールド)は「無口」ではありますが、他の誰よりも雄弁かつ正直に世界そして日本の「いま」を伝えているといえるでしょう。つまり、金に照らせば、国の違いに関係なく、政治家メディア経済学者らが語ることが真に正しいのかどうか、が分かる、というものです。その点、あまりに・・・なのが、どこかの国でしょうね。そうでないなら、金価格が・・・

 ・・・といったことのせいで(?)、経済ウォッチ好き(?)のわたしではありますが、最近は、何かを綴り始めても途中で挫けることが多くなっています。その際に、ついつい本邦メディア報道(を通じた政府・日銀の政策等)を見聞きしてしまうのですが、それらの大半が(書く気を失わせるほどに)切なく、情けなく、そして哀しいもの、だから・・・って、どこまで墜とせば気が済むのか、って感じ・・・

 ・・・なので、なおいっそう金に基づいた見方をするよう心がけています。そのときだけは、真っ正直な金が教えてくれますからね、希望があるのはわが国だけだということを・・・

(「金価格1グラム1万円を超えたことの意味」おわり)

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【唯一の希望は米軍事予算のリストラだが…】金価格1グラム1万円を超えたことの意味⑨

2023-09-23 20:36:24 | アメリカ
前回からの続き)

 これまで書いてきたように、遅くとも今世紀に入って以降、とくにこの10年間・・・の(高度に戦略的な意図を持つ?)日銀の金融政策「異次元緩和」つまり円安ドル高誘導によるジャパンマネーの対ドル資産投資力の低下(アメリカからすればジャパンマネーの流入額の減少)に起因する「金利」上昇圧力を和らげるべく、アメリカ不動産バブルすなわち自国の不動産価格を常時つり上げていかざるを得なくなっています。それで生じるマネーで、上記で日本から借り入れできなくなった分の債務を埋める、といったこと。そうやって極端に不動産に依存したことの結果が、この瞬間の米経済、そして・・・前述の車中生活者の増加が象徴する「分断」(≒不動産を持つ者と持たざる者との格差)の深刻化といえるでしょう。となれば、もはやアメリカの逝き先は変えようがない・・・って、唯一、米連邦予算の大規模改革・・・って現状の軍事費大リストラという自己救済策にかすかな希望を見出す以外は・・・

 本ブログでは何度も指摘のとおり、軍事費こそ、多くの米国民にとって現在、納税等負担に対する見返りがもっとも乏しい予算項目といえるでしょう。そこは、たとえばこちらの記事で述べたことからも分かります。つまり・・・その負担に一定の合理性があった「冷戦」すなわち共産主義国(旧ソ連・中国等)のアメリカの領土や国民の生命や財産に対する軍事的な脅威はすでに消滅している・・・ばかりか、かの国々は「ドル」を喜んで受け取ること等によってアメリカの「金利」リスクの顕在化防止に貢献をするほど(の体たらく?)になっているという次第です・・・

 よって、中露両国等に対抗するほどのスケールの軍事力&同予算を持つ必要はない・・・にもかかわらず、というのがアメリカの現状。なので、理屈の上では大きなリストラ余地があるはずです・・・って、上記予算の多くをカットして財政赤字を減らす、とか、これをホームレス対策としての公的住宅事業に転用するとか、といった、かの国を苦しめている「金利」上昇圧力の抑制やこれ以上の「分断」拡大の食い止め等に向けた政策の実行が・・・

 ・・・っても、実際には無理でしょう。こちらの記事でも述べたように、いまの米軍事予算が巨大すぎる(2022年で8800億ドル弱!)・・・ために、その巨大すぎるマネーを享受している、いわゆる「軍産複合体」が、同リストラを絶対に受け入れるはずがないからです。そして、それ以上に?不可能な理由は、アメリカが冷戦終了後も引き続き巨大軍事国であり続けなければならない・・・くらいに世界がアブナイところだから「同盟」が不可欠・・・と思わせ続けないとならないからです・・・って、わが国に対して。でないと・・・軍がいらないくらいに世界が平和になってしまうと、日米同盟なんて不要となって・・・ですからね・・・

 上記からしても「アメリカ」・・・の多くの人々には、たった一つの希望も残っていない様子が窺えるわけです。だからこそ、繰り返しになりますが、ではなく「テキサス」に希望を、となっていくように思えますけれどね・・・

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【米の車中生活者が住宅に住める可能性はますます低くなっていき…】金価格1グラム1万円を超えたことの意味⑧

2023-09-19 22:09:16 | アメリカ
前回からの続き)

 前述のように、日本日銀異次元緩和」(長短金利操作付き量的質的金融緩和)でもたらされた円安ドル高でジャパンマネーの対外貸付力が大きく削がれたせいで、アメリカは「アキレス腱」(「他国」・・・というか、日本に頼るほかない国家的な弱点)である「金利」(上昇・米国債価格暴落)リスクが顕在化したため、これを防ぐために「自国」・・・の不動産を裏打ちにしてマネーを刷らざるを得なくなりました。であれば、永遠の経常赤字国(対外債務を増やし続ける国)である、かの国・・・の不動産価格が「どのみち」下がらない(上がる以外にない)のはもっともでしょう。その結果、「分断」が生じ、そして深化していくのも当然です・・・って、それはこちらの記事等にも書いたように、不動産を持つ者と持たざる者との格差が埋めがたいほどに拡がる、ということ・・・

 そのあたりの例をひとつ、最近のネット記事から引用しましょう。先日のAFPの記事は、米カリフォルニア州において車中生活者が増加している現状を伝えています。それによると、同州には全米のホームレスの3分の1が集中しているところ、キャンピングカー、トレーラーハウス、そして乗用車を住居代わりにする人々の数もどんどん増えています。もちろん、彼ら彼女らは好きで車中生活を選んだわけではありません。不動産や家賃といった住宅費が高すぎて住めないので、自家用車を家代わりにせざるを得なくなっている、という次第。実際、ロサンゼルスの中間層が暮らすエリアの1か月あたりの家賃は2~3000ドルに達しているそうな。そして、こうした住居費の高騰問題は全米に及んでいて、2021年に収入の半分以上を住宅費に費やした人は2007年(ってサブプライムローンバブルが極大になった年)に比べても25%も増えた、との由・・・

 この報道からも、アメリカでは、いかに不動産か、がはっきり分かるというものです。この点、追い打ちをかけるようですが、これら米「ホームレス」が安価な住居に入ることができる可能性は極めて小さい・・・というより、むしろ同価格は今後ますます上がり、加えてガソリン代や食費といった生活コストも高まっていき・・・となる可能性の方がずっと高いはず・・・って、このコースしか進みようがないからです、日本(=強い)のサポートが大きく失われてしまった以上は。であれば、米社会はいっそう分裂し、国家としての一体感も薄らいで、やがて・・・といったアブナイ将来が見えています。なので同州の車中生活者には、いまのうちにテキサス州に移住することを個人的には強く勧めますよ・・・って、カリフォルニアではちょっとね・・・

 そんな、すっかりハマって(ハメられて)?何かと手遅れな印象が強いアメリカですが、それでも自助努力で立ち直れる余地がほんのちょっぴりある(・・・かも?)と指摘しておきましょう。それは・・・公的住宅整備などに充てる財政資金を確保・・・するために軍事費を大幅にリストラすること、です・・・

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【日、対米ファイナンス力を自ら失ってみせて米を…】金価格1グラム1万円を超えたことの意味⑦

2023-09-17 00:02:52 | 金(ゴールド)
前回からの続き)

 アメリカは戦後、前述のようなスキームのもと、日本(だけ)に借金を実質的に棒引きさせることで、その「アキレス腱」(他国に依存せざるを得ない国家的弱点)である「金利」(米国債乱発、制御不能の急騰、そして激しいインフレ)リスクの顕在化を防いできました。日本からみれば、その棒引き分(兌換不履行の金塊を含む)は当然、国家国民が食らう大損害です・・・が、百歩譲って必要コストと見るならば、それは・・・こちらの記事等でも書いたように「安保代」です、いや、でした。こちらの記事等で書いた現実を踏まえれば、もうとっくに「でした」・・・の過去形です、これ。であればこの出費は不要というもの、だから、さっさと終わりにしたい・・・ところなのに、かの国は引き続き・・・

 で、日本がとった策が、日銀の現行金融政策「異次元緩和」(長短金利操作付き量的質的金融緩和)という次第。その目的が「三段構え」(「表向きの目的[インフレ年2%程度現出]」「本当の目的[アメリカ支援]」「本当に本当の目的[アメリカ自壊誘導]」)になっているのは何度も指摘済みですが、上記は「本当に本当の目的」に関連するところです。つまり・・・これで円安ドル高を誘導して日本(ジャパンマネー)の対米ファイナンス力(ドル・米国債の購買額)を落とすことでアメリカをマネー不足に、そして自らマネーを刷らざるを得ない状況(≒FRBの量的緩和、これがもたらす不動産マネーの大量発生)に追い込んで、結果としてインフレ高進すなわちドル価値の劣化と社会の「分断」深化を促して・・・最後には同国を自壊に導く・・・ことで、永遠になくならないと思われた?わが国家国民の利益が理不尽に奪われる上記構造を消滅させる、ということ。

 そのあたりは、最近のこちらの記事でも書いたように、2013年春の上記政策開始からいままでの日本の米国債保有額がまったく増えていないことから推測できます。そりゃそうです、いくら日本が経常黒字国(対外貸付力がある国)とはいえ、同開始前は80円で1ドル買えたのに、現在は0.6ドルも買えないのですから。であれば(だからこそアメリカは、それで不足するマネーを自分[不動産]で生むしかなくなって)この間のアメリカの不動産価格が10年間でちょうど2倍にも膨張するのは当然でしょう(2013年4月151→2023年7月308、ケース・シラー値)。そして、これで潤う一握りの人々が、かの国の支配層になっているから、上記政策は大いに歓迎されこそすれ、まさかこれに「本当に本当の…」が仕込まれているなんて夢にも・・・ということ。

 もっとも、日本側の上記政策の実行者である日銀そして本邦政府は、これ「本当の目的」つまりアメリカ支援のために行っている、と信じ込んでいるはずです。でないのなら、こちらの記事に書いたようなこと、すなわち円安進行で対米投資力が減少していく途中で「ゆうちょ銀行」の預入限度額を引き上げること(同行に米国債投資用のマネーを呼び込むのが目的)なんてしないでしょうから。まあ、それで同投資用の「ゆうちょマネー」がちょっと増えたところで、さらに円安になれば、そのパワーはたちまち消滅しますけれどね・・・って防衛費増額と同じように・・・

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【米、日本に対する事実上の借金踏み倒しで危機顕在化を防いできたが…】金価格1グラム1万円を超えたことの意味⑥

2023-09-15 19:58:15 | 金(ゴールド)
前回からの続き)

 以前からの指摘のとおり、アメリカにとって、その「アキレス腱」(日本でいえば「エネルギー」のように、他国に依存するほかない国家的な弱点)すなわち「金利」(≒インフレ)リスクの顕在化を防ぐことができるたった一つの国が、日本になります。言い換えると日本は、万年経常赤字国のアメリカが吐き出し続けてきたドル(と米国債)を、ひたすら抱え込むことで、かの国の「金利」上昇(米国債価格低下)そして過度のインフレの発生を食い止める役割を担ってきました、昔から・・・って「終戦直後から」です。

 まあ、そのあたりは本ブログでたくさん書いてきてはいますが、あらためて以下、簡単に振り返っておくと・・・

 まず本稿で語っているゴールド)に関連するところでは、金ドル本位制がそれなりに機能していた間、すなわちその終戦直後から1971年の「ニクソン・ショック」(アメリカによる金ドルの交換の一方的な停止)までの期間、(フランスなどと違って)日本は対米貿易等で稼いだドルの金への交換をアメリカに求めなかった(求められなかった、ということ。その分だけアメリカは金を失わずに済みました。その何がアメリカにとってありがたいか、は、当時といまの金価格を比較すれば一目瞭然・・・って前者は1トロイオンス当たり35ドル、後者は前述のとおり同1900ドル台半ば、ということで、この間のドル預金金利等を勘案しても、差し引きで同千数百ドル相当の、本来ならば日本に渡さなくてはならない価値を、アメリカは自国に留め置くことができたわけです・・・

 そして次はニクソン…直後から始まって現在に至る変動相場制でのもとのところです。この間、ご存じのように、日米の国際収支の違い(日本:黒字、アメリカ:赤字)等を反映して、ほぼ一貫して円高ドル安が進行しましたが、これアメリカにとっては、日本からの借入時よりも返済時のほうが(確実に円高ドル安になっているために)その債務の負担が軽くなることを意味します。具体的には・・・ニクソン…前の固定レートである1ドル360円から変動…移行後は、一時は同80円を下回る水準になるまで円高になりましたが、このレートを当てはめるとアメリカは「1ドル」つまり360円を日本から借りて、同じ「1ドル」(プラスわずかな金利)つまり80円あまりを返せば済む、ということになります(っても、実際にはもっと短いスパンでの借入・返済のサイクルになるが、どのみちアメリカの対日返済負担はドル安で軽くなっていく)。もちろん差額の2百数十円相当の価値は、これまたアメリカの利益に・・・

 こうしてアメリカは、日本に対して借金(借「金」でもありますね)を重ね、そして事実上、それを踏み倒し続けることで「金利」(≒インフレ)リスクの顕在化を防いできた、といえます・・・って、それも戦後ずっと。当然ですが、これ日本からすればアメリカに国富をむしり取られるばかりのスキームです・・・が、いっぽうで、長年にわたってこの大ダメージを食らってきても、なお、かの国を支え続けられる・・・だけのパワーが、わたしたちにはある、ということになりますが・・・

 とはいえ・・・いつまでもこのままではいけませんよね、日本国。そこで講じたのが、そのパワー(≒対米サポート力)を自ら失う(失ってみせる)、という手です・・・

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【米にとって不動産インフレに頼らずとも自国の資金需要を満たしてくれる国は…】金価格1グラム1万円を超えたことの意味⑤

2023-09-13 19:34:54 | 金(ゴールド)
前回からの続き)

 前述のように、アメリカ・・・経済は、リスク資産とりわけ不動産価額の永続的な上昇が生み出すマネーで回すやり方以外の選択肢はなくなってしまいました。その結果、必然的に過度に低い金利環境の現出すなわちインフレが起こってしまいますが、一見、インフレが収まってきた現局面だからこそ、進路がインフレ方向しかありえない以上、かの国においてはその近い将来の跳ね返り(物価急上昇)が高い可能性で予想されるため、これに備えたゴールド)のホールドが促されて、米政策金利が5%を超えるいまでさえ同ドル建て価格が高止まりになっている、というわけでしょう。

 ところで、どうしてアメリカは(とくに、遅くともリーマン・ショック以降)こうなってしまったのか―――インフレ(不動産マネー&バブル)依存型の経済構造になってしまったのか―――ですが、そのあたりは、かの国の国際収支から以下のように説明ができるところでしょう。すなわち・・・アメリカは世界最大かつ永遠の経常赤字国だから、国内は常時、マネー不足なところ、これを充当するために海外(同黒字国)から借り入れをし続けなければなりません・・・が、やがて、その借入額(海外の対米貸付可能額)をも超えて借金をするようになってしまった、であれば「他人」(他国)に頼れない以上、仕方ないので「自分」(自国)でおカネを刷るしかなくなった・・・って、その信認を裏付ける価値を「自分」・・・の地べた(=不動産)にして、という次第。そこは、リーマン…以降の量的緩和を含む米FRBの超緩和的な金融政策が継続されたこととベクトルが合っています。同政策は、上記に沿って捉えれば、米不動産価額の押し上げによって、海外からの調達では賄い切れない資金需要を満たすためのマネーを生み出してやる、というねらいに基づいて実行されてきたといえるでしょう。そのあげくが上記のとおり、そしてこちらの記事を含めて何度も書いている、この瞬間の、そして近未来のアメリカ、です。すなわち、もうインフレ(とりわけ家賃を含む不動産インフレ)の高進以外のコースはない、ということ・・・って、それが最終的に逝きつく先は当然、米ドルの崩壊、そして・・・でしょう・・・

 さて、「いまさら」ではありますが・・・ではアメリカには上記の不動産インフレに頼らない選択肢はあったのでしょうか。じつは、あります(正確には「ありました」・・・って「いまさら」遅いけれど?)。そこは、本ブログで指摘のとおり、金利」こそが、かの国の「アキレス腱」ようするに(自分たち自身では如何ともし難く)どうしても外国に依存等しなければならない国家的な弱点であることにフォーカスすれば見えてきます。この点からすれば、アメリカはこの弱点を素直に認め、外国にひたすら頼る路線に向かうべきだった・・・って、そうすれば自分自身(FRBを含むアメリカ)では絶対にできっこない「金利」・・・って、ようするにインフレのコントロールに案の定こうして失敗?することなんてなかったわけですよ・・・

 となると、アメリカにとって救世主となるべき国、つまり、「アキレス腱」の顕在化を防いでくれる、そして不動産インフレへの依存を食い止めてくれる・・・だけのマネーを融通してくれる他国はいったいどこなのか、になってくるわけです。もちろんそれは世界に一か国しかありません。日本です、いや、でした・・・

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【米経済、不動産インフレ依存からの脱却は不可能だから…】金価格1グラム1万円を超えたことの意味④

2023-09-09 19:05:57 | 金(ゴールド)
前回からの続き)

 アメリカではもはや不動産価格は下がらない、いや下げられない、いやいや上げるしかない―――その理由は、上記下線部の以前のリンク先記事を含めて本ブログでは何度も書いたとおりです。端的にいえば、不動産でマネーを生んで経済を回していく以外にない、ということ。「1万ドル」で買った土地が100倍(!?)の100万ドルに値上がりすれば、それを売った人からは100万ドルのキャッシュが市中に流れるし、売らずにホールドする人からもこの含み益を担保としたほぼ同額の借金が生じ、これが自動車購入に充てられて、といった感じ・・・って、本来は「1万ドル」分のおカネしか出てこないはずなのに。

 で、これが永続する絶対の条件が、いうまでもなく、金利が低いこと(より正確には万年経常赤字国としての米ファンダメンタルズからすれば絶対になり得ないレベルに政策的に金利を下げる[ためにマネーの流通量を増加させる]こと)になります。住宅等の購入では通常の場合、借金する―――住宅ローンを組む―――のだから当然です・・・

 もっとも前述のとおり、足元の米政策金利は5%を超えています。そして長期金利は7月時点で3.9%と、長短金利の高低が逆転しているという「逆イールド」ではあるものの、同月のCPI(消費者物価指数)年3.2%を上回っているから、両者の差である実質金利は久々にプラス圏に浮上してきました。さらに住宅ローン金利は7月下旬時点で6.8%前後(30年ローン)、現時点(今月上旬)では7.2%前後にまで上昇しています。これらのデータから、一見、米FRBの利上げが功を奏し、その所期の目的(?)であるインフレ抑制が達成されつつある、といえそうな・・・

 ・・・って、逆説的ですが、だからこそのインフレ警戒となるわけです。上述のように米経済は、不動産価格の継続的な上昇で創出されるマネーで回ってきました。つまり(不動産そのものの価額の上昇に加えて家賃等も含めた)不動産インフレ依存型の経済運営といえるべきスタイル一択です。よって「いまさら」これとは真逆を志向するディスインフレなやり方なんて無茶というもの・・・って、どのみち―――このまま金融引き締めスタンスが維持されたら、不動産価格が下落→不良債権急増→金融恐慌そして金融システム救済を理由に大量のマネーが印刷されて・・・となり、だからといってここで金融緩和に転じれば不動産価格が再上昇するのはいいとして(?)今度はせっかく下がっていたガソリン代にも火がついて・・・となって―――インフレ高進以外の選択肢なんて取り得ない、ということ。

 上記からすれば、インフレが鎮静化してきた現局面の意味合いは自明です。ゆえに、いまゴールド)を仕込んでおくことは合理的な投資判断となってきます・・・ってアメリカつまりドル市場では。そんなところが金ドル建て価格の高止まりの理由でしょう。

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【金ドル建て価格が高止まりなのは米不動産価格が上がるしかないから…】金価格1グラム1万円を超えたことの意味③

2023-09-05 19:58:41 | 金(ゴールド)
前回からの続き)

 前述したように、アメリカでは、FRBによる金融引き締め(利上げ)が進められてきたにもかかわらず、(名目上の)金利がゼロ%のゴールド)の価格は、政策金利が5%を超えるほどの高金利状態の現時点で、利上げ開始直前(当然、同ゼロ%)のそれとほぼ同じ、それも高止まりといえるレベル、つまり史上最高額からわずか6%ほどしか下がっていない水準(1トロイオンス当たり1,900ドル台半ば)に踏みとどまっています。ということは・・・これほど利上げされたにもかかわらず投資家の多くは引き続きアメリカのインフレ高進(ドル価値暴落)リスクを警戒し、そのヘッジとして金をキープしている、とみるべきなのでしょう。

 他方、その米インフレ・・・に大きく寄与する国際商品である原油と小麦の価格ですが、FRBの利上げ再開月である2022年3月から直近(今年7月)までの間に、まるで示し合わせたかのように、いずれも3割ほども下がっています(原油:1バレル当たり108.5ドル[月平均額、WTI]→同76.4ドル、小麦:1トン当たり486ドル→346ドル)。そこは、上記利上げで短期金利も上昇したため、金利を生まない原油や小麦といった商品への投資妙味が低下したことの反映とみるべきでしょう(・・・って、その要因がロシアのウクライナ侵攻なんぞではないことも、この瞬間、出口が見えない両国の戦況をみればはっきりと分かりますね)。となれば、商品仲間の金も一緒に3割減価していてもおかしくはないはず・・・ですが、実際は「高止まり」となったわけです、上記を理由として。

 では、何が投資家に米インフレ再点火を予感させているのでしょう。原油(≒ガソリン代)も小麦(≒パン代)もこうして大きく値下がりしたのだから、その懸念はむしろ遠のいた、という見方もできそうなのに?・・・

 ・・・って、簡単です。リスク資産の額とりわけ不動産価格が下がらない、いや下げられない、いやいや上げる以外にない、ためです、アメリカでは、もはや。実際、上記期間の不動産価格(ケース・シラー値、2000年1月:100)は、2022年3月の295.1から今年6月(FRBの政策金利が5%超の時点)には308.254(同)と、何と1年ちょっとで4.5%ほども上昇!?しています・・・ってこのわずかの間で米政策金利は5%も引き上げられたのにもかかわらず、です。もっとも、上記期間においては金利上昇の影響で米不動産価格はいったん下がった・・・ものの、やはり何かと無茶なことが皆分かったので?年初以降、急上昇に転じ、上記6月値は1年前の史上最高値(308.323、2022年6月)にほぼ並び・・・といった、FRBが金融を引き締める(本来なら不動産価格に下押しの圧力がかかる)のと真逆な展開・・・

 ・・・となれば、そりゃ金の価値は高まる(悪くても、原油先物などを上回る利回りをもたらす)しかありませんね、利上げをものともせず・・って、こうして米不動産がインフレをけん引する(しかない)わけだから・・・

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【米政策金利が年5%超なのに金のドル建て価格も高止まり…】金価格1グラム1万円を超えたことの意味②

2023-09-03 14:20:54 | 金(ゴールド)
前回からの続き)

 前述したように、わが国ではゴールド)の小売価格が史上初めて1グラム当たり1万円を超えるほどに高騰しているわけですが、その主因は(ガソリン代電気代の高騰と同じく金融政策的な円安ドル高にあるわけです。であれば、金の国際価格つまりドル建て価格の方は円価格と比べたら値動きは大したことはないのだろう、と思いがちでしょう・・・

 が、けっしてそうではありません。それどころか、下述からすれば、ドル建て価格もまた、異様に?高い、というべきでしょう。たしかに、いまの金価格は1トロイオンス当たり1,900ドル台半ば(NY先物1日終値約1,940ドル)と、2020年夏の史上最高額(当時約2,069ドル)からは6%あまり低い水準にあります。しかし、この両方の価格を、とある経済指標の観点から比較すると、現在のそのプライスは相当に安い水準・・・になっているはず(べき)なのに、たったその程度の値下がりにとどまっている、ようするに金価格は当時からの高止まり状態を維持している、というべきことが分かるというものです。でその指標とは・・・かの国の「金利」です。

 一般的に、金はブツ(実物資産)として金利を生まないから、金利が低いとき(インフレ時)はその価格が上昇し、高いとき(デフレ時)は下がる、と解釈されます。となれば、そのドル建て価格は・・・とくにこの1年あまりでは、もっとずっと下がっていなくてはなりません。というのも、ご存じのようにこの間、米FRBが金融引き締めつまり利上げを続けてきたからです。具体的にはFRBは、昨年3月、2018年12月以来3年3か月ぶりに利上げを開始(政策金利の誘導レンジを年0.25~0.5%と0.25%引き上げ)して以降ここまで同スタンスを継続して、現在の同レンジは5.25~5.5%と、じつに22年ぶりの「高金利」に導いています。ならば、ドル預金(≒米国債投資)のほうが利息が多く得られる分、有利だ、となって、(名目)金利ゼロ%の金はFRBに利上げされるたびに売られて値下がり、となるのが自然なはず・・・

 ところが実際は上記のとおり、金価格は高止まりしているわけです。事実、FRBがゼロから0.25%へと政策金利を引き上げたタイミングでの金価格は1トロイオンス当たり1,955ドル前後(2022年3月末)と、同5%を超えている現時点のそれ(1,940ドル)とほとんど同じとなっています。そのあたりから、やはり金価格は異様に高い・・・って(円建て価格は円安だから分かるけれど)高金利通貨のドル建てでも、といえるでしょう・・・

 では、どうしてドル建て金価格もまた高いのか、ですが、そこは前回書いたとおり、そして古の昔から認知されてきたように、金が究極のインフレヘッジとなる点から簡単に理解できるところです。つまり・・・マーケットは金のホールドで備えている・・・って米インフレ再高進つまりドルの価値劣化のいっそうの進行(≒FRBの金融引き締め路線の頓挫)に、ってことでしょうね・・・

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【円建ての金価格もガソリン代も史上最高値に到達…】金価格1グラム1万円を超えたことの意味①

2023-09-01 19:40:37 | 金(ゴールド)
 本ブログではずっと前から予想していたとおり、そしてじつに残念なことですが、わたしたちの経済生活を守ってくれるのは、この国の政府・・・なんぞではなく、やはり・・・

 ・・・「」(ゴールド・・・の円価格が急騰しています。その1グラム当たりの小売価格は先月29日に史上初めて1万円の大台に乗りました。1日時点では10,045円となっています(田中貴金属HP)。ということは、手のひらに乗るサイズ(およそ118.5×54×8.4㎜)の1kgの金地金がロールスロイス並みの?1千万円にもなるわけで、いやはや・・・

 そんな節目のラインを超えてきた、ということで、本邦メディアも関心を示したか、人々の驚きの声のほか、これほど値上がりするのならば金を持っていればよかった、といった後悔?の声も多く伝えるところとなっています。

 さて、これらの報道も指摘しているとおり、目下の金価格の高騰ぶりは、円安ドル高のせい、といえます。そこは、日本ではこうして史上最高値をつけているにもかかわらず、金のドル建て価格のほうは現時点で1トロイオンス当たり1,900ドル台半ばと、同最高額(約2,069ドル、2020年8月)から数%程度安い水準にあることからいえるわけです。よって、上記の金価格の急上昇への驚きは、それだけ円の対ゴールド・対ドル価値が下落してしまったことの嘆き(日〇関係者には喜び)?と同じ、と解するべきでしょう。

 その点、直近で上記と同種の価格上昇がみられた代表例が、ガソリン価格になります。これまた金とタイミングを同じくして、いま史上最高値付近にあることはご存じのとおりでしょう。でその要因は・・・先月30日の日経新聞の記事タイトルのとおり「円安の影響8割、原油高要因上回る」となるわけです・・・ってことは日経さん、「この方」を擁護したり、そのマイナス面を隠したりする余裕がなくなってきた、ということなのでしょう・・・かね?

 まあともかく、そのあたりから金を眺めるとあらためて重要なことに気づかされます。つまり・・・金の保有こそが最強のインフレ対策になる、ということ。ようするに、こうしてガソリン代をはじめ、電気・ガス代や食費などなどの生活関連コストが通貨安起因で値上がりしても(預貯金の利回りが実質マイナスに転落しても)、金の価額はこれについていって・・・どころか(ほとんどの場合)これらを大きく上回る率で上昇する(実質利回りが大きなプラスになる)ため、そのホルダーはインフレのダメージを緩和させることができる、といった具合です。そこは(金には万国共通通貨としての性質があるから)すべての国においていえますが、とりわけいまの日本では痛感できるところでしょう。よって、「もっと前に金を買っておけば・・・」という上記後悔の続きは、値上がり益を享受できたのに、もそうですが、金の本来の価値をふまえると、「・・・インフレヘッジになったのに」となるべきなのでしょう。

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