世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
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【どう読んでも違憲・・・】集団的自衛権行使:対日テロ誘発の懸念①

2014-05-29 00:03:58 | 日本

 「集団的自衛権」―――少し前ならほとんどの国民が知りもしなかったであろう権利に関する憲法解釈論が、いまや国会における最大の関心事になっているようです。

 なので、すでにご存じだとは思いますが、あらためて集団的自衛権とは・・・

他の国家が武力攻撃を受けた場合に直接に攻撃を受けていない第三国が協力して共同で防衛を行う国際法上の権利。その本質は、直接に攻撃を受けている他国を援助し、これと共同で武力攻撃に対処するというところにある。なお、第三国が集団的自衛権を行使するには、宣戦布告を行い中立国の地位を捨てる必要があり、宣戦布告を行わないまま集団的自衛権を行使することは、戦時国際法上の中立義務違反となる。(Wikipediaより)

・・・ということです。

 これに対して「日本国憲法第九条」は・・・

日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。2.前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

と規定しています(平和主義)。

 この憲法の条文に照らせば、上記の集団的自衛権が憲法に違反した権利であることは誰がどう読んでも明白なのではないでしょうか。憲法では、わが国は国際紛争を解決する手段として国権の発動による戦争と武力による威嚇・行使を永久に放棄する、と謳っているのに、集団的自衛権は、わが国の同盟国がどこかの国から武力攻撃を受けた場合に、その国に対して宣戦布告をしたうえで同盟国とともに武力をもって戦う、という権利なのだから。

 したがって、もしわが国が同盟国と一緒に戦争遂行が可能な国家にしたいのであれば、この憲法の条文をそれにふさわしいように変更する―――つまり「憲法改正」を行うのが筋、というもの(もっとも、これを改「正」というべきなのか、何とも微妙ですが・・・)。

 で、その具体的な進め方としては当然、選挙等を通じて国民の判断を仰ぐ―――まずは、国の交戦権とか集団的自衛権を認める改正憲法案を国民にしっかり提示したうえで、これに賛成するか、反対するかを争点とした国会議員選挙を行う。つぎに、その選挙結果をふまえた国会において衆参両議院ともに2/3以上の賛成を得る。最後に、国会が議決した法案を国民投票にかけ、その過半数の承認が得られれば晴れて(?)改正憲法が成立―――といった手順を踏むことが必要、ということになると考えます。

 思うに、安倍総理をはじめ、わが国の再武装化に前向きな人々は、当初は上記の憲法改正の手続きを進めようとしたけれど、前回の衆院選挙(2012年12月)結果などからみてこれはなかなか難しい、となって、このたびのように、何とか現行憲法の解釈の範囲内で日本が同盟国、つまりはアメリカと一緒になって他国に対して武力行使をすることができる国家にできないものか・・・で、「集団的自衛権」を持ち出してみた、といったところなのでしょう。

(続く)


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【潤沢な金準備は無傷なまま…】永遠に「卒業」できない?ポルトガル⑤

2014-05-27 00:03:58 | 金(ゴールド)

(前回からの続き)

 いまのままの経済状態なら、たとえ多額の債権放棄をしてもらっても、ポルトガルは遅かれ早かれ資金繰りに窮し、「卒業」したはずのEUIMFなどの公的機関の融資にまたも(いや、何度でも?)すがりつくだろう、といった見通しを前回書きました。

 で、いくらトロイカ(EU、ECB、IMF)が「甘い!」からといって、同国のそんな「わがまま」をいつまでも認めるわけにはいかないでしょう。借金が棒引きされたうえ、さらにお金を借りようというのなら、同国にはそれ相応の犠牲を払ってくれないと、その支援金を拠出する世界各国に対して申し訳が立たない・・・。で、個人的にポルトガルに求めたいのは、豊富な「金準備」を担保として貸し手に差し出すこと

 以前こちらの記事に記したように、ポルトガルはけっこうたくさんの金(ゴールド)を持っています。その公的保有量(2013年9月)は382.5トンと世界ランキングでは15位ですが、国民一人当たりにすると世界屈指の量で、同9位の日本(765.2トン)の約6倍にもなります。金は文字どおり「おカネ」ですから、債権者としては「そんなにポルトガルは金を持っているのなら一部あるいは全部を売って借金の返済に充てろ!」といいたいところ・・・。

 にもかかわらず、ポルトガルはここ数年、つまり絶対に返せないくらいの借金を急速に積み上げてきた期間にわたり、この金をまったく売却していないようです。その建前上の(?)理屈は、同国の金はポルトガルの中央銀行の所属となっていて、これを売却しても収益は同中銀に入るだけで国に振り替えることができない、だから売れない、ということ。もちろん本音は、たとえデフォルトに追い込まれようとも金だけは絶対に他国には渡さない!といったところでしょう。

 まあそんな意味でポルトガルはわが国などよりもずっと「したたか」なのでしょうね。このあたり、大航海時代にスペインと世界覇権を争った歴史のある国だけあって、本当に大切なモノが何であるかを熟知している、なんてことを感じさせます。さすがはポルトガル。そんな彼らの価値観を日本も少しは見習いたい・・・。

 ・・・などと感心している場合ではありません。「法律で金を売っちゃいけないことになっているんだよ~」と言い訳して金を手放さないなんてことはもう許してもらえなくなるはず。なので、近い将来に高い確率で想定されるポルトガルの債務免除と再度の金融支援依頼に対し、トロイカとかドイツなどが同国の潤沢な金準備に何らかの口出しをするだろう―――いや、そうしなければならない、と思っています。具体的には、借金を少しでも減らすため同国に金の売却を要求するとか・・・。現実的には、上記で書いたように、EUなりIMFなりに金を担保として差し出せ、といったあたりになるのかな、と予想しています。まあともかく、ポルトガルの金準備の行方には今後も要注目です。

 ところで・・・個人的には、わが国の外貨準備とポルトガルのこの金準備のスワップができればいいな、なんてことを夢想しています。日本はドルに偏った外貨準備の多様化を図ることができるし、ポルトガルは資金繰りを改善できるわけで、双方にとってメリット大・・・でも、まず無理でしょうね。同国が教えるとおり、「金」こそ「虎の子」なのだから・・・。

(「永遠に『卒業』できない?ポルトガル」おわり)


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【救済でモラルハザード助長】永遠に「卒業」できない?ポルトガル④

2014-05-25 00:03:43 | ヨーロッパ

(前回からの続き)

 EU諸国の金融支援機関である欧州安定メカニズム(ESM)ですが、その融資上限額は5000億ユーロとなっています。5000億ユーロ―――この金額をどうみるか・・・。欧州PIIGS諸国すべて―――EU圏の大国であるスペインやイタリアまでもが支援を求めてきたら、この金額だけではとうてい足りない、なんてよく言われます。たしかにそのとおりでしょう。

 しかし、ポルトガル一国くらいなら、この金額で十分に救済可能です(ついでにギリシャ、アイルランドくらいまでなら・・・)。前回書いたように、ポルトガルに対するEUの融資金額は合計で500億ユーロあまり(これらはESMの前身である暫定的基金から拠出されたもの)。かりにこれがすべて焦げ付いたとしても、ESMが被る損害は資産総額の1/10を下回ります。この程度であれば、ESM出資国の「痛み分け」で何とかしのげそう(もっともこの場合は、国別の負担額をめぐってかなりモメそうですが)・・・。

 このように、ポルトガル債権は全額貸し倒れても大丈夫・・・このあたりが同国支援の微妙なところだと思っています。同国の「わがまま」をEUが許容できてしまうということです。で、それを見透かしているポルトガルは、いざとなったら「デフォルトしちゃうもんね♪」と騒ぐでしょう。それが何よりコワいEUは、不本意ながらもESMマネーでしっかり同国の「尻拭い」をしてあげる・・・。こうして、「EUの仲間には迷惑はかけるけれど、ボクたちの借金の額はESMそのものをブチ壊すほどではないから大目に見てね」とばかりに同国は借金棒引きを堂々と要求する、というモラル・ハザードに陥っていくことになりそうです(現にいま、同国の少なからぬ人々がそう主張している)。

 では、数百億ユーロもの対EU債務が減免されればポルトガルは本当に「卒業」できるのか―――もうこれ以上EUとかIMFなどの公的融資に頼ることはなくなるのか、ということですが、まあムリでしょう。同国は相変わらず歳入ではなく借金、それも「よその国」からの借金に依存した財政運営を続けているうえ、債務返済の原資を稼ぐ力のあるマトモな産業が国内に見当たらないし、その育成もしていないようだから。なので、何かをきっかけに金融市場が「リスクオフ」モードに転換したら、同じことが繰り返される―――国債の価格は急落し、ポルトガルはたちまち資金ショートを起こして結局、またもやEU等に泣きついてお金の無心をすることになるだろう、と予想しています。

 これを「再入学」とでもいうのでしょうかね。

(続く)


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【結局はEUが損を被りそう?】永遠に「卒業」できない?ポルトガル③

2014-05-23 00:02:56 | ヨーロッパ

(前回からの続き)

 総合的な国力から考えて、ポルトガルにはEUなどの公的機関からの合計738億ユーロもの借金を返すことは限りなく不可能に近い、といった個人的な見通しを前回書きました。となると、同国の金融支援に関して、この先、予想されるシナリオは「デフォルト」か「債務整理(つまり、借金の棒引き)」のいずれかとなると思われます。

 ここで前者のデフォルトですが、これまでもいろいろ書いてきたように、これこそ各当事者にとっては絶対にあってはならない最悪の事態。したがって必然的に後者、つまり借金の棒引きというポルトガルに対して「大甘」な処置が現実的な路線として選択されるのでしょう・・・。ということで近いうちにEUやIMFといった貸し手のあいだで、誰がどのような割合で同国に対する貸し倒れ損を被るのか、が大きな問題となってきそうです。

 とはいうものの、このうちIMFへの弁済がもっとも優先されて当然でしょう。IMFの対ポルトガル融資金はもともと世界各国のIMFへの拠出金だからです。

 で、まずはIMFへの返済を!ということは一応は意識されているもようです。実際、現時点でのスケジュールによると、同国は(ようやく?)来年から公的債務の返済を開始する計画ですが、その第一回目がIMFに対する支払いとなる予定(2015年終盤)です。もっともその金額は、IMFからの借金約260億ユーロのうちのわずか5億ユーロ程度と、微々たるもののようですが(これすらちゃんと履行されるのかどうか不透明だけど)・・・。まあとにかく、IMFにはポルトガルに対するすべての融資金を絶対に回収してもらいたいものです。なぜなら、日本はその原資を世界で2番目に多く提供しているのだから。

 まあこんな状況なので、おそらくポルトガルは上記IMFへの借金返済だけでアップアップでしょう。となると、同国への公的融資のうちEUが実行した分(500億ユーロあまり)はまったく返済されない可能性が高いとみています。いや、その金額はもっと増えそう。結局、ポルトガルはIMFへの返済停止に追い込まれ、IMFは未返済分を同国にかわってEUに請求するだろうから、です。そうなるとEUはどうするか・・・。

 具体的にはこの場合、ポルトガルのように財政危機に陥ったEU諸国に対する支援機関として2012年10月に設立された「欧州安定メカニズム」(ESM)の基金が貸し倒れるということになるのかな、と思います。となると、その損失分はESM加盟国で「痛み分け」ということに・・・。つまり実質的にはESMの負担割合がもっとも大きいドイツが一番多くの損失を被るのでしょう。

 ポルトガルの「借金バブル」のツケをドイツ国民が支払う・・・ESMの批准をめぐってドイツでは憲法裁判所での審理が長引いている印象がありますが、「まあもっともだな・・・」と思います。

(続く)


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【絶対に完済はムリ!】永遠に「卒業」できない?ポルトガル②

2014-05-21 00:01:31 | ヨーロッパ

(前回からの続き)

 このポルトガルの「卒業」(同国が自力で金融市場から資金調達ができるようになったことでEU等の公的機関からの新規の資金借り入れを終えられたこと)をめぐる動きは先日、本ブログで書いた「借金バブル」の構造と同じです。つまり、

・「借金国」:借金で身の丈をはるかに超える贅沢を享受する(借金し過ぎ!
・「投資家」(TBTF[Too Big to Fail]:大きすぎてつぶせない銀行を含む):経営責任が免罪されるためにリスク資産投資に傾倒する(リスク取り過ぎ!
・「IMF」(などの公的な金融支援機関):借金国投資にいそしむTBTFの破綻を防ぐため、借金国がデフォルトしないように融資し続ける(借金相手に甘過ぎ!

これらに、量的緩和策の名のもと、市場にダブつく借金証書=国債を買い支えることで金利の低め誘導と低利マネーのバラまきで上記の枠組みを支える「中央銀行」(お金を刷り過ぎ!)を加えた4者が現時点の世界の金融情勢=「借金バブル」を演出していて、本稿の主人公であるポルトガルもしっかりとその一員=(贅沢三昧の)「借金国」に入っているということです。

 ということで、ポルトガルに「卒業」をもたらしたのは、あくまでも上記の「リスクオン」モードのせいであって、同国が3%台半ばの国債利回りにふさわしいほどの経済体質の改善を成し遂げたわけではなさそうです。

 実際、ポルトガルの実体経済のほうはパッとしません。2013年の経済成長率はマイナス1.35%と3年連続のマイナスに落ち込み、失業率は16.2%もの高率となっています。一方で同年の経常収支および貿易収支はいずれも黒字(それぞれ8.8億ユーロ、28.5億ユーロ)と、何年もの間、これらの恒常的な赤字に苦しんでいた同国としては良好な数字をたたき出しました。この勢いで今年は・・・といきたいところですが、第一四半期はマイナス成長を記録してしまい、IMFが予想している1.2%程度のプラス成長の達成が不透明な状況となっています。

 そもそもポルトガルはGDP規模で1,656億ユーロ(約23兆円:2013年)くらいの国。これに対して同国はEUなどからの公的な「借金」だけでじつに780億ユーロ(現時点での受け入れ額は738億ユーロ:約10.3兆円)も抱えています。その対GDP比は約45%(受入額ベース)にも達します。これを日本の数字に当てはめると、わが国が約213兆円もの借金を「他者(他国など)」からしている(2013年の名目GDP:約478兆円で計算)のと同じ・・・。わたしたちは総額で数兆円レベルの消費増税だけでこれだけ苦労しているのだから、常識的に見てこれほどの巨額の金額を返せるワケがないのは明らか・・・(あくまでもこれは想定。いうまでもありませんが、世界一の純資産国であるわが国にはこんなバカなことは起こりえない!?)。

 そんな悪夢が現実となっているのがポルトガルという国です。この巨大な「借金の山」に上記のような「しょぼい」経済成長程度で立ち向かおうなんて、しょせんは「焼け石に水」であることは誰にでも想像がつくというものです

(続く)


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【借金返済すら始まっていない・・・】永遠に「卒業」できない?ポルトガル①

2014-05-19 22:33:21 | ヨーロッパ

 先日、2010年前後以降の欧州国債危機にともなって国際社会からの資金援助を受けていたPIIGS諸国の一角・ポルトガルが、このほどその支援から晴れて(?)「卒業」した、なんてニュースが流れました。

 これだけ聞くと「ポルトガルは借金を完済したということか!?」というふうに思われがち(?)ですが、けっしてそうではなく、単に新規の融資を受けるのを終えた、ということに過ぎません。にもかかわらず「卒業」とは、これまたずいぶん先走った、誤解を招く言い方だな、という気がします。なぜなら、ポルトガルの借金返済の道のりは終了どころか始まったばかり・・・いや、実質的にはまだ始まってもいないのだから・・・。

 上記危機に陥って資金繰りに窮したポルトガルは2011年4月に助けを求め、欧州連合(EU)、欧州中央銀行(ECB)、そして国際通貨基金(IMF)の3公的機関(トロイカ)から合計780億ユーロもの支援を受けました(これまでの
同国の受領額は約738億ユーロ)。それを「卒業」する、ということは・・・同国がトロイカに頼ることなく自力で資金を金融市場から調達することを意味します。

 実際、ポルトガルは先月、3年ぶりに国債の入札を再開しています。2012年初には17%近くに達していた同国債の利回り(長期金利)は現在(5月)は3%台半ばと、トロイカ融資の金利負担(約3%)とそれほど差がなくなったために同国は起債に踏み切ったのでしょう。まあこの程度の金利差なら、あれこれと口も出してくるトロイカよりも投資家からお金を借りたほうが・・・という判断が働いたのかもしれません。

 ということで、トロイカからだろうが、投資家からだろうが、いずれにせよポルトガルが引き続き「他者」からの借金に依存している状態にまったく変化はありません。けっしてこの間の改革が功を奏し、税収が増えて財政が黒字となった分を借金相手への返済に充てる、なんて殊勝なことを同国ができるようになったわけではありません。本来なら同国は、これ以上「借金」を重ねるのではなく、わが国のように「歳入」強化と「歳出」削減で財政再建を図るべきなのに・・・。

 ところで、ポルトガルが上述の「卒業」に至った背景にあるのは借入金利の低下です。ではなぜ同国の金利は下がったのか? トロイカが融資の見返りに求める厳しい財政緊縮策を同国がマジメに実行してきたから? まあそれもゼロではないのでしょうが、それ以上にここのところの金融マーケットの「リスクオフ」から「リスクオン」へのモードチェンジが重要でしょう。欧州国債危機以降のさまざまな金融情勢が投資家のリスクテイク意欲を喚起し、それが相対的にハイリスク・ハイリターンなポルトガル国債への需要を高めることになり、同国債の価格が上昇し、利回りは低下した、ということです。

(続く)


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【外国の訴訟から国益を守れ】円高で軽減される海外「訴訟リスク」③

2014-05-17 00:00:30 | 日本

(前回からの続き)

 本ブログでは、安倍政権・黒田日銀が進める「円安」のデメリット、そして「円高」のメリットをいろいろ指摘していますが、本稿のテーマである海外の「訴訟リスク」に関しても同じことがいえます。つまり、円安」→不利、「円高」→有利、ということ―――円安の場合は訴えられた企業の「訴訟リスク」にともなうダメージが大きくなり、円高の場合は逆に小さくなる、ということです。

 日本企業が進出している外国のなかには、国際競争力を失った自国のモノ作り産業に替わる新たな収益獲得源にしようというのか(?)、「裁判」そのものが一大産業となっているようなところもあり、多くの法律事務所が日々、カネになる訴訟ネタを血眼になって探していると聞きます。また一部の国では、昨今の反日世論の後押しを受け(?)、司法当局が被告となった日本企業に対して恣意的に(?)厳しい判決を下すリスクが高まっているように感じられます(そこで日本側が判決等にヘタに口出ししようものなら、それこそ「内政干渉だ!」と「非難ごうごう」でしょうが・・・)。

 こうした国々では、リッチでお人好し(?)な日本企業は彼らの格好の餌食となりえます司法判断という、もっともらしい理屈をつけられて、本邦企業が巨額の賠償金の支払いを諸外国から次々に要求される―――これは「個々の企業の問題さ・・・」などと、けっして軽視してはならない国家・国民的な危機だと考えています。至極まっとうな日本企業を理不尽きわまる(?)外国の訴訟から守ることは「国益」を守ることに他ならない―――それくらいの強い覚悟をもって、わが国は官民こぞってこの「訴訟リスク」を小さくするための策を講じなければならない―――そのなかで「通貨力の強化」(円高、というよりは円安誘導の停止)こそもっとも効果的な手である、と思っているのですが・・・。

 ・・・「そんなことより円安、円安! そしてインフレ、インフレ!」―――安倍政権も黒田日銀も円安誘導による輸入インフレをあおることにますます血道を上げている感じです。おそらく両者とも上述の「訴訟リスク」軽減への意識は希薄なのでしょう。そのため私の心配は募るばかり・・・。アベノミクスのもとでは賠償支払い負担を和らげてくれる通貨力が弱くなるおそれ(さらに円安が進むおそれ)があるので。だからせめてこう祈っています―――どうか「有罪」を言い渡される日本企業の「外貨建て」賠償金額がこれ以上増えることがありませんように・・・。

(「円高で軽減される海外『訴訟リスク』」おわり)


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【賠償負担を和らげる「円高」】円高で軽減される海外「訴訟リスク」②

2014-05-15 00:02:56 | 日本

(前回からの続き)

 私のような「日本びいき」の人間には、前回ご紹介したような諸外国における日本企業を相手取った訴訟での司法判断とか賠償請求額は、どう考えてみても理不尽に思えます。

 でも、当たり前ですが、これらは日本の主権の及ばない他国の裁判。その結果に対して当事者ではない日本人があれこれ口出ししたら、それこそ「内政干渉だ!」と逆に非難されてしまうでしょう。で結局、「被告」となった企業は多くの場合、慣れない異国の地で厳しく孤独な法廷闘争を強いられることに・・・。

 こうした海外における「訴訟リスク」の高まりに、各社もいろいろな対策を講じていることでしょう。しかし、裁判で負けた場合の賠償金の支払い負担はもちろん、勝訴して「おとがめなし」となっても、それまでに要する裁判関連費用は相当な額に膨らみそうです。そんなことから、「賠償金を含めた訴訟コストをいかに軽減するか」・・・これこそ日本企業が直面する海外の「訴訟リスク」における最大の課題だと思っています。では外国の巨大賠償訴訟に巻き込まれた日本企業のダメージを少しでも和らげるにはどうするか・・・?

 ・・・やはりもっとも有効なのは「通貨を強くすること」でしょう。通貨高、つまり円高」であれば、外貨建ての損害賠償額とか裁判費用が円建て換算にすると安くなる、ということです。これであれば、たとえ本邦企業が敗訴して賠償金を支払うことになっても、その負担が大きく軽減されるうえ、裁判の舞台となった外国から内政干渉と批判されることもありません(もちろん、どうみてもオカシイ判決に対しては、日本政府は裁判国政府にしかるべきアクションを起こすべきだと思います)。

 本稿冒頭でご紹介したアメリカのケースでは、武田薬品が60億ドルもの賠償金の支払いを命じる評決を受けましたが、この金額を現時点での為替レート1ドル102円で換算すると6120億円になります。一方、これがアベノミクス開始直前のレート(2012年10月:1ドル79円)であれば4740億円となり、同社の負担は1380億円も軽くなることになります。

 逆に、黒田日銀がやりたがっている(?)「追加緩和」つまり、さらなる円安誘導によって円安ドル高がもっと進んだら、この円建ての支払額はさらに増加し、同社をいっそう窮地に追い込むことになりかねません。もっとも、最終的は判決ではこの陪審評決とはまったく違う判断が示されると信じていますが・・・。

(続く)


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【巨大賠償に苦しめられる日本企業】円高で軽減される海外「訴訟リスク」①

2014-05-13 00:02:48 | 日本

 あらゆる分野でグローバルに事業展開している日本企業ですが、一方で進出先の国々における「訴訟リスク」への十分な備えが求められています

 この4月、武田薬品の糖尿病治療薬にかかる訴訟において、アメリカはルイジアナ州の連邦地裁の陪審が同社に対し、60億ドルもの懲罰的な損害賠償の支払いを命じる評決を出しました。過去の類似の判例などからみて、かりに同社が裁判で負けた場合でも、この金額は最終的には大きく下がるだろうとの見方が有力なようですが、それでもこれが同社の収益等に与えるマイナスの影響はけっして小さくないと思われます。

 中国では先般、同国当局によって鉄鉱石運搬船を差し押さえられていた商船三井が中国の裁判所に約40億円の供託金を支払いました(これにより同差し押さえは解除)。同社は日中戦争時に借りた船の未払いの賃借料をめぐる裁判で2010年に敗訴が確定し、原告側に示談を働きかけていたところだったとのこと。そこに中国側が突如(?)、同船の差し押さえを執行したものです。このままでは業務に支障が出るおそれがあったことから、同社は事実上の「和解金」の支出を決めたことのようです

 こうしたアメリカや中国でのケースを含め、近ごろは海外において本邦企業を訴訟対象とした損害賠償事例が目立ってきたように思えます。で、ここで気になるのは、その金額が年々高くなっているように感じられること。したがって、もしこれらの裁判で有罪となってしまったら、その企業には一気に経営破綻に追い込まれるくらいの莫大な賠償金を請求されるおそれがあります。

 そんななか、上述の武田の「薬品」をはじめ、原発、化学プラント、鉄道とか橋梁といった大規模インフラなどなど―――日本企業が諸外国で手掛ける事業には、万が一の事故やトラブル等があったときに、その国の人々の生活や財産に大きな損害を与えかねないものが数多く含まれる・・・これは上記「訴訟リスク」を考えるとじつにコワいところです。

 もちろん各社はさまざまなリスクを想定し、入念な事前準備を行ったうえで海外展開しているものと推察しますが、それでも進出国における訴訟リスクを完全に回避することは不可能でしょう。そして・・・想像したくはないけれど、なかには多額の賠償金ゲットを目的に、日本の企業を故意に狙い撃ちにする訴訟を起こそう!なんてことを企てる国とか人々がいるかもしれないし・・・!?

(続く)


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【増税が必要なのは諸外国のほう】増税しているのは日本だけ、だが・・・⑨

2014-05-11 00:03:07 | 世界共通

(前回からの続き)

 欧米諸国とは違って、わが国は「よその国」からそれほど借金していないし、その必要もありません。派手な量的緩和策(QE)なんかしなくても、長期金利を低い水準に保つことができるし、政府は国民から財政資金を低コストで借り受けることが可能です。そしてバブルの後処理を終えた金融システムの健全性は高く、「Too Big to Fail」(国際業務を手掛ける「大きすぎてつぶせない」とみなされる世界の29銀行)である3メガバンク(三菱東京UFJ、三井住友、みずほ)を含む日本の大手金融機関はリスキーな海外の「借金バブル」への関与が薄い・・・

 さらに、本稿冒頭で書いたとおり、わが国は数兆円にも上る大増税(消費増税)を実施しています。外国の「マネー増刷」に対し、日本は「税金」―――つまり、QEの名のもと、諸外国が中央銀行に国債を引き受けさせる財政ファイナンスに走っているさなか、健気なことに(?)日本政府は歳入面を強化することで財源を確保しようとしている・・・。

 本稿の文脈に照らすと、こうしたわが国の状況や対応は、通貨「」の信認の維持が大事だという意識が国民各層のあいだに強く働いていることの証だと考えています。財政再建から目を背け、金融システムにおける不良債権問題を放置したままでは、「円」の価値が毀損し、悪性インフレが起こって日本経済は破綻してしまう―――そんな危機感が公的資金を投入したバブル処理や増税につながり、結果としてそれらがわが国の通貨管理に節度をもたらしている・・・。それはとても健全なことだと思っています。

 他方、ドル、ユーロ、ポンド、その他新興国通貨などの世界各国の通貨は、「借金バブル」崩壊阻止(=バブル永続)という絶対的な前提があるがゆえに、次々に増刷され、減価していくだろうと予想しています(これをわが国からみれば「円の独歩高」ということになります)。それによって本当に苦しむのは―――さまざまなインフレに脅かされるのは―――これら通貨国の一般市民ということになるのでしょう。社会不安の高まりや暴動勃発などが懸念される事態にならなければよいのですが・・・。

 ・・・この国で4月から開始された増税について、いまや花盛り(?)の諸外国の「借金バブル」と関連させて感じるところをツラツラ綴ってみました。で、次のように思っています。真の意味で大増税すべきなのは―――中銀マネタイゼーションという麻薬への依存を断ち切り、公的資金を使ったバブルの清算に取り組まなくてはならないのは―――アメリカ、イギリス、欧州PIIGSなどの世界各国のほうだ、と・・・。

(「増税しているのは日本だけ、だが・・・」おわり)


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