世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
ご訪問ありがとうございます。

【仏、ECBのQEへの依存度を強める】ECB総裁ポストから分かる独仏伊の経済事情②

2017-09-29 00:01:24 | ヨーロッパ

前回からの続き)

 以前こちらの記事等に書いたように、同じ通貨「ユーロ」圏のなかでも、各国の国債価格(利回り)はかなり違っています。これを高い順に(利回りの小さい順に)並べるとおおむね以下のようになります。

 独(0.40%)>蘭(0.52%)>仏(0.70%)>西(1.61%)>伊(2.10%)>・・・>ギリシャ(5.45%)

 カッコ内は26日時点の各国の長期金利(新規発行10年物国債金利)

 同じユーロ建ての国債だから、これだけを見れば誰だって安くてリターンの大きなギリシャ国債を買いたくなるところです・・・が、実際にはそうはならない。その理由は、ギリシャをワーストに、価格の低い(利回りが大きい)国債発行国にはデフォルト(債務不履行)のリスクがあるから。したがって、こうした国々は、財政資金を集めたくても投資家がデフォルトを懸念しておカネをなかなか貸してくれないため、どうしても金利が上がり、それだけ返済負担が重くなってさらに財政収支が悪化して・・・となってしまう。

 ・・・これを解消してくれる手が欧州中央銀行(ECB)の量的緩和策(QE)になります。これ、各国の国債等をECBが買い支えることで、その金利を引き下げようというもの。よってこのQE、同じEU圏内でも国債利回りの大きな国ほどありがたい、ということになります・・・が他方で、国によっては金利が不自然に下がり過ぎてしまい、バブルなどの弊害が大きくなるので、いいかげんやめてほしい、と思っている。で、その境目あたりに位置する国が・・・先の記事でフランスだと論じました。だからこそ今春の大統領選で国民戦線のルペン党首らが現行のユーロ解体と「新フランス・フラン」の導入を訴えることができた―――この手の発想もあり得た―――と考える次第です。

 ・・・ですが、もはやフランスはそのボーダーライン上から、ギリシャやイタリアといった重債務国の側にすっかり寄ってしまったみたいです。その一端を感じさせるのが7月初旬のブルームバーグの報道。これによるとECBがQEプログラムに基づいて購入する独国債が6月、3か月連続で目標額に達しなかったいっぽう、伊国債そして仏国債の購入額は同月、それぞれ9.8億ユーロ、11.9億ユーロ、目標を上回る水準に達したとのこと(目標超過額は仏1位、伊2位)。ということは、イタリアはまあ当然として(?)、フランスもまたQEへの依存を強めているように思えます(?)。こうなってしまった以上フランスはユーロとQEにしがみつくしかなくなる。新通貨に切り替えたりしたら同通貨は対ユーロで暴落、金利急騰は必至ですからね・・・?

 ・・・と考えてみると、イタリアはもちろん、フランスもまた、QEにネガティブなドイツ・・・に金融政策の主導権を渡したくはないでしょう。

続く

金融・投資(全般) ブログランキングへ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【独ワイトマン氏、次期ECB総裁へ名乗りか】ECB総裁ポストから分かる独仏伊の経済事情①

2017-09-27 00:00:48 | ヨーロッパ

 以前書いたEU内の「序列」を改めて感じさせられるやりとりがすでに始まった感じです・・・

 先日のトムソン・ロイターの報道によれば、欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのイェンス・ワイトマン独連銀総裁がイタリアのTVインタビューで、次期ECB総裁を決定する際は、国籍を理由に拒否権が行使されることは認められるべきではないとの考えを示したとのことです。

 現在のECB総裁であるイタリア人のマリオ・ドラギ氏の任期は2年後の10月まで。ということで、誰がその後継者となるべきか?の議論が本格化するまでは、まだまだ時間がありそうですが、この発言を聞く限り、ワイトマン氏にはけっしてその気がないわけではなさそうな感じがします。つまり・・・次のECB総裁に自分がなることにやぶさかではないから、ドイツ人だからという理由で拒否するなよ、ということでしょう。

 独ワイトマン氏こそは現在の世界金融界のなかで、もっともすぐれたセントラルバンカーのひとりだと思っています。その理由はこちらの記事で詳述したとおり―――個人的には三顧の礼をもって日銀の次期総裁にお迎えしたいくらいです。同氏は今月初め、ECBは金融政策のスタンスを引き締めるべき正しい瞬間を逃すことのないように注意すべき、と語りましたが、これは来月、現行の超緩和的な政策(QE)の拡大か縮小化を決定するとみられる(?)ECBに対して「いいかげんQEを終わらせようぜ」という働きかけの意を含んでいると考えています。このあたりも同氏のブレの無い姿勢が確認できるところです。

 ではEU圏の他国はそのへんをどう思っているのでしょうか。上記インタビューのなかでイタリアのレッタ元首相が最近、ワイトマン氏がドラギ氏の後を継いだら「災害」(disaster)になると語ったことが引き合いに出されています。さらに先日、ドイツのシュピーゲル誌は、フランスイタリアが、ドイツ人がECBの長になることは構わないが、ドラギ氏のQEをしばしば批判してきたワイトマン氏は受け入れられないとの立場を示したと報じています。これらから判断する限り、ワイトマン氏・・・はもちろん、独連銀の幹部が次のECB総裁になるのは非常に難しそうです。というのも以前から書いているとおり、インフレファイターのDNAを引き継ぐ独連銀はQEそのものにはじめから否定的なスタンスだから。

 ・・・となってくると、仏伊の本音は、ドイツにECBの総裁ポストを渡すわけにはいかない、ということなのでしょう。両国ともに・・・QEという「麻薬」にまだまだ頼りたいでしょうからね・・・

続く

金融・投資(全般) ブログランキングへ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【意義のあったA.猪木議員の訪朝】対北朝鮮:アメリカには究極の選択しか残らない⑨

2017-09-25 00:01:55 | 日本

前回からの続き)

 前述したような意味で、先日のアントニオ猪木参議院議員の北朝鮮訪問「のほう」は意義のあるものだったと考えています。世界の孤児となりつつあるかの国に単身、純粋に平和を願う気持ちでやってきた一日本人のことは独裁者らの心に残ったでしょうからね・・・

―――こうしたことを積み上げていくのは、いまの局面でとても大事なこと。そうでもしていかないと、わが国は・・・プロレスでたとえるならば、メガトン級の超~反則技「ハイパーアトミックボンバー」(?)しかないアドレナリンMAXの「The Rocket Man」が待つリングにたった一人、すっぽんぽん状態で上がったうえ、手招きしながら「カモ~ン(って、おい!)、オレ様が『異次元緩和』・・・また間違えた『異次元制裁』パンチで成敗してくれる~!」って挑発するハメになりますよ(って、もうアベ様、しまくっている感じ?)。このとき、いつの間にか(!)ハシゴを下りて観客席側に回った韓中露、ばかりかアメリカ様までが(安堵の?)ニヤニヤ笑いを浮かべながら「いいぞアベノミクス日本、ヒュ~ヒュ~!!」といくら大声援を送ってくれても、ねぇ・・・

(「対北朝鮮:アメリカには究極の選択しか残らない」おわり)

金融・投資(全般) ブログランキングへ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【一発限りの核報復を食らうのは・・・】対北朝鮮:アメリカには究極の選択しか残らない⑧

2017-09-23 00:01:39 | 日本

前回からの続き)

 以下は想像すらしたくないことですが・・・現状、北朝鮮の「地獄へ道連れ」的な報復は、万一できたとしても、おそらくたった一発(程度)でしょう。全滅(!?)までの数分間で、それを食らわせる相手を、理性を失った北支配層はその時の感情で決めるわけです。さあ、どいつにしてやろうか、米・韓・中・ロ、そして日本のなかの・・・?

 ・・・本来ならその第一のターゲットは・・・間違いなく朝鮮戦争の対戦国であるアメリカ。しかし、現時点の彼らには遠すぎる米本土を核攻撃することはできません。ということで「わがステイツはまだまだ射程外」―――それが分かっているからアメリカは安保理で北朝鮮に「最強の(strongest)制裁を課すべし!」と強く訴えたわけだ、日本がその射程内なことは気にも留めずに・・・。第二は韓国・・・なのかもしれません・・・が、韓国は同じ民族の国、そして先日、文在寅政権が人道援助を決定したように、この期に及んでも北に情けをかけている面があり、これが北の最期の上記決定に(韓国にとっての)好影響を与える可能性が・・・(って、一方の安倍政権はこれを「北への圧力を損ないかねない行動は自制する必要がある」などと厳しく非難したが、これも同決定に何らかの影響[これまた韓国にとっての好影響!?]を及ぼしかねない・・・) 

 じつは中国もその最終ターゲットに十分になり得ると考えています。同国は北朝鮮にとっては保護者も同然です。で、北が核報復を決断する局面は、現体制が崩壊する時、つまりそれは、すべてを頼っていた中国に見放される時でもあるわけです。よって、彼らが「よくもオレたちを裏切ったな!」と、末期の怒りを中国にぶつける確率も低くはないはず。となれば中国は、そのリスクを絶対に回避しなければなりません。その手こそ・・・北朝鮮の生命線維持すなわち原油(&食料品)の供給となります。したがって中国がその全面禁輸に応じるわけはないでしょう。そんなことをしたら、この悪夢のシナリオが実現しかねないからです・・・

 以上、米韓中のいずれにも、北朝鮮という超危険な核保有国に対面するなか、ヨソはともかく(ココ重要!)自国民の命だけは絶対に守る―――せめて自分たちだけでも理不尽な核報復を受けることのないようにする―――という決意を胸に、それぞれの置かれた状況を他国との関係で正しく捉えつつ、ギリギリの外交的な駆け引きをしている様子が窺えるわけです。

 ・・・となってきて、じゃあ日本は? 前回書いたようにわが国は朝鮮戦争の当事国ではありません。ゆえに北の刺し違え相手にされるいわれはないはずです、そもそもならば・・・。他方、第三国とはいえ(水爆をミサイル・・・でなくてもポンコツ「ミグ」とかオンボロ「漁船」でも楽勝で「原発銀座@若狭湾」!あたりにブチ込めるくらい?)チョ~近くのこの国には横須賀や三沢といったアメリカの対北戦略を担う軍事拠点がありますから、ヘタをするとその最期の(?)標的にされかねない・・・。だ・か・ら・こ・そ、その「ヘタ」をやらかすことのないよう、わが祖国そして(決して大げさではなく)全人類のためにも、日本政府には上手に立ち回ってほしかった(すでに過去形?)わけです・・・って、そんなリスク対応能力の発揮を期待するほうが甘いことくらい知ってはいたけれどね、皆さんそろって「異次元緩和・・・じゃなかった感覚なだけに。つまり・・・いまの北の核ミサイルでは「わがアメリカ様はまだまだ射程外」―――それが分かっているから安倍政権は安保理で北朝鮮に「異次元の圧力をかけるべし!」と強く訴えたわけだ、日本がその射程内なことは気にも留めずに・・・って、ん?

(続く)

金融・投資(全般) ブログランキングへ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【日本は米韓と違って「逃げ恥」OK】対北朝鮮:アメリカには究極の選択しか残らない⑦

2017-09-21 00:03:15 | 日本

前回からの続き)

 ご存知のように、非常任理事国として日本も出席した国連安全保障理事会は11日、北朝鮮制裁強化決議を中露両国を含む全会一致で採択しました。しかし・・・上述の理由から、これで北朝鮮が白旗を上げることはまずないでしょう。よって今後もアメリカの究極の決断(北の核容認か、それとも開戦か)に向けた悶絶は続きそうです。実際、ニッキ・ヘイリー米国連大使は採決後に、必要があればアメリカは核開発阻止のために単独で行動する用意がある(the U.S. remains willing to act alone)と述べていますし・・・

 本稿の最後に、日本はどうするべきか、についての私見を書いておこうと思います。ここであらためて認識しておかなければならない重要な国際関係があります。それは・・・本稿第1回目でふれた朝鮮戦争。これ、休戦中とはいえ、いまだに続いているわけです。で、その交戦国は・・・韓国とこれに味方するアメリカ(正式には国連派遣軍)、そして両国に敵対する北朝鮮、となります。いまの危機はこの枠組みの中にある、つまり北朝鮮は米韓両国という対戦相手に対して「核攻撃も辞さないぞ!」と恫喝していることになります

 と考えてみると・・・日本のポジションが見えてきます。つまり、わが国はこの枠内にはいない―――朝鮮戦争の当事国どころか当時のイギリスやフィリピンといった韓国の側についた国連派遣軍の一員ですら、ない、ということ。北朝鮮からすれば日本はそもそも、第三国に過ぎないわけです。それに、日朝間には戦争の直接の原因となり得る領土問題も存在しません(厳密には北は竹島の領有権を主張しているが、いまこれを不当占拠!しているのは友好国?の韓国だったりする・・・ってことを含め、日本にとっては同じ周辺国でも中[尖閣]、露[北方領土]、韓のほうがよほど悪質?に思える面すらある?)。よって日本そして北朝鮮の両国の間には、互いに戦争という最悪の手段を選択してまで奪うべき・取り返すべきものは特段、ないということになります(拉致問題は外交交渉で解決するべき次元の問題)。であればですよ・・・ちょっとズルいかもしれませんが、国益および国民の命を守る観点から、わが国は米韓と北の双方の争いごとに積極的に(?)関与しない方が無難なのではないか、と・・・。これこそ「逃げるは恥だが役に立つ」そのものではないか・・・(小声)

 逆に、北朝鮮にコミットし過ぎるとかえって危険な気が・・・少なくとも日本は韓国以上に突出した印象を与える言動は厳に慎むべき(だった)と思います。なぜなら、そうすることで北朝鮮に米韓よりも憎まれて・・・刺し違えの相手にされるリスクが高まる―――かの国の滅亡間際の「地獄へ道連れ」的な核報復を当事者のアメリカや韓国ではなく、部外者の日本(だけ!?)が無慈悲に食らう危険が生じるからです・・・

続く

金融・投資(全般) ブログランキングへ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【ヤルなら「いま」「超短期で」だが・・・】対北朝鮮:アメリカには究極のしか残らない⑥

2017-09-19 00:00:28 | 世界共通

前回からの続き)

 以前から指摘しているとおり、本来アメリカは「もう戦争ができない」わけです。そして戦争の相手にいちばんしたくない相手中国になります。前記した北朝鮮の「全面的軍事オプション」はこの2つの状況にいずれも反して実行されることになります(米中が直接武力衝突することはまずないだろうが、朝鮮半島有事を超嫌う中国は米韓をけん制するため、先述ドル資産の大量売却に動くだろう)・・・

 ゆえに、アメリカにとってはコレ、死ぬほどのストレスがかかる作戦となります・・・が、それでも強行し、所期の目的(北の核の全破壊)を達成しようとするのであれば、次の2つが絶対条件です。1つめが上記のように、超短期で相手を負かすこと。これならたとえ中国がドルを売り浴びせてきても、北が白旗を上げるまでの数日間程度であれば、アメリカはかろうじて耐え切れるかもしれません(したがって望ましい?のは、米東部時間の金曜日の夜、つまりその週の世界金融市場の取引が終わってから週明け月曜日のNZウェリントン市場が開くまでの約「48時間」でケリをつける、といったあたりだが・・・)。それにこのミッションが100%成功したらアメリカの威信回復とともにドルは跳ね上がる可能性もありますから・・・(って、逆に失敗して長期戦になったりしたら、ドルそしてアメリカは、いったい・・・?)

 2つめは「いますぐ」にでも作戦を開始すること。北朝鮮は水爆実験に成功したとはいえ、アメリカ本土に届く核弾道ミサイルの開発にはまだ成功してはいないもようです(?)。したがってアメリカとしては手遅れになる前に―――北が当該ミサイルの配備を完了させる前に―――相手の核戦力をせん滅したいところです。ということは、当作戦の着手は早ければ早いほど良いということになりますが・・・

 そこで、上記に照らしたアメリカ軍の現時点の開戦準備(?)はどんな具合か、ですが・・・素人目には何とも心もとない気がします。この手の作戦に不可欠とされる空母ですが、近くにいるのはいつもの「ロナルド・レーガン」(横須賀が母港)くらいで、あとは遠~く離れた他の海域にいたり点検中のようで、臨戦態勢の緊張感は伝わってはきません。まあこれは相手を油断させるためのブラフで、グアムや韓国の航空戦力や、「表」(海上)には姿を見せない原潜部隊などはすでに準備万端なのかもしれませんが、これらだけで―――いわば「飛車角落ち」で、反撃を一切許すことなく迅速かつ徹底的に「先軍思想」に染まった核保有国を叩けるのかどうか・・・

 個人的には、米韓両軍は、韓国が「斬首作戦」の実行が可能な特殊部隊創設の期日として明らかにした「12月1日」・・・よりも「前」に上記ミッションに踏み切るだろう、あくまでもヤル気ならば・・・と考えています。よって、他の空母が遅くとも11月くらいまでに半島近海に何隻も集まるようなら上記シナリオもありそう・・・だが、そうでない場合は逆に北朝鮮のほうが「準備万端」になってしまい、もはや軍事的オプションはリスクが大き過ぎて選択し得なくなってしまう・・・

 というわけで、究極の決断までに残された時間はわずか、と思われます(?)。同盟国の反発・離反を承知で「悪の帝国」の核所有を容認か? それとも、大流血覚悟で開戦か? しかも・・・いずれの場合でも「ドル覇権」の急激な弱体化は免れそうもない・・・ホント、アメリカ合衆国大統領は並の胆力では到底務まらないよ・・・

続く

金融・投資(全般) ブログランキングへ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【全面的軍事攻撃:北の核一掃が可能?】対北朝鮮:アメリカには究極の選択しか残らない⑤

2017-09-17 00:01:36 | 世界共通

前回からの続き)

 おもにアメリカの視点から対北朝鮮戦略として考えられること、およびそれらに付随するリスクについて、これまで書いてきたことをここで整理してみます。

 ・最強の経済制裁(石油禁輸策):実現薄で、かえって危険な面あり

 ・米朝会談・北朝鮮の核容認:リスクだらけ・・・

 ・限定的軍事オプション(クーデター誘発and/or斬首作戦):核の全面除去は困難

 といった感じで、どの選択肢でも北朝鮮の「」という最大の元凶が取り除けない可能性が高いと思われます(もちろん、確率は低そうだが、現行の制裁包囲網のもと、危機感を募らせた同国内の反体制派が現体制を強制排除、臨時暫定政権を樹立し、米韓などと核廃棄を含めた話し合いに応じる、なんてファンタジックな?展開も想定できなくはないが・・・)。となるともはや・・・最後かつ最●の手段「全面的な軍事オプション」も現実味を帯びてきそうです・・・(?)

 ・・・で、この場合、アメリカ軍(および韓国軍?)はおそらく、現時点で最大限の武力を一挙に投入して北朝鮮の軍事・核関連施設および権力中枢を迅速かつ徹底的に打撃・破壊するという手に出るでしょう。なにせ相手は「核保有国」、そして国境の目と鼻の先に数千万人もの人々が暮らしているわけです。なので1つの「叩き洩らし」も1発の反撃も許してはなりませんから・・・

 上記攻撃の手段は空と海からの爆撃やミサイル攻撃そして艦砲射撃のみで、海兵隊を含む地上戦力の投入は・・・おそらくはしない。犠牲が大きくなることに加え・・・北朝鮮領内への進駐によって(朝鮮半島における韓国、つまりアメリカ陣営の版図拡大に猛反発しそうな)中国とロシアをいたずらに刺激したくはないからです。

 ・・・と、あっさりと書いてみました。他のオプションと違って、これならば北の核の脅威を地上から完全に消し去ることができそうです(?)・・・が、これこそ究極のプレッシャーのかかるリスクMAXの選択であることはいうまでもありません。双方に一般人を含む多数の死傷者や膨大な物的被害が出るのは避け難いうえ、瞬殺に失敗した場合、深い傷を負った独裁者らの死に物狂いの核報復を韓国、そして・・・日本(!)が食らうリスクがゼロとはいえないためです・・・

 さらにアメリカにとってとりわけ怖いのが・・・ここでも「ドル暴落」(≒長期金利爆騰)となります。朝鮮半島で有事勃発!→戦費拡大で米財政収支が急速に悪化!→さらに大量の米国債振り出しへ!→金利急騰懸念から米国債そしてドルは暴落へ!というわけです。これに関連して超~懸念されるのは中国の動向。このとき同国は、アメリカを強く牽制するべく、おそらくロシアとともに大規模な軍事介入・・・ではなく市場介入に打って出る、すなわち手持ちドル資産の相当量を投げ売りするしょう。これが決め手となってドルの鍋底は崩落、長期金利が急騰、アメリカは戦費調達に窮し、中露の狙いどおり本作戦の続行が困難に・・・!?

 足元では人民元がドルに対して2015年以来の高値に上がってきました。ということは・・・マーケットはすでにそんな戦争の気配を織り込み始めたのか・・・?

続く

金融・投資(全般) ブログランキングへ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【限定的軍事作戦、核の全面排除は困難】対北朝鮮:アメリカには究極の選択しか残らない④

2017-09-15 00:00:54 | 世界共通

前回からの続き)

 「」による恫喝を強める北朝鮮のこれ以上の暴走を食い止めるためには・・・「石油禁輸を含む厳しい経済制裁」は効果薄、「米朝2国間協議で何らかの妥協」もこれまで長々と綴ったように超リスキー、となって、残るは「軍事的オプション」くらいしかなさそうだ、とさえ思える局面を迎えつつあります(・・・かな?)。では、具体的にはどのような軍事戦略・戦術が考えられるのでしょうか・・・

 いちばん望ましいのが、結果として何らの武力行使をともなわないで危機が収拾に向かうこと、すなわち米韓の軍事的プレッシャーが高まる中、北朝鮮内でクーデターが勃発し、金正恩・朝鮮労働党委員長以下の現体制が崩壊し、これに代わって周辺各国との協議に応じる姿勢を示す新政権が誕生する、みたいな、何とも他力本願な(?)シナリオです。これなら米韓両国そして日本のみならず北朝鮮の人的・物的損害も最小限にとどまるでしょう。現在実施中の対北「経済制裁」には、これによって北朝鮮国民の現体制に対する不平不満感を煽って当該クーデターを誘発しようという裏の狙いがあるものと考えられます。

 しかし・・・そう都合よくいくのかどうか、はなはだ不透明・・・。これまでも北朝鮮は数々の窮状を経てきました。それでも現体制を脅かす勢力は(少なくとも表向きは)何十年も現れてこなかったわけです。だから現行の制裁程度で急にそれらが組織されるなんてファンタジーに近い(?)のではないでしょうか。それに本クーデターが目論見どおりにいかず、シリアのように内乱でも起こったら、これまた危険です。同国はすでに核を持っているだけに・・・(って、そもそも内戦を戦えるだけの通常兵器や石油がない、といった見方もできそうだが)

 つぎは、アメリカあるいは韓国の特殊戦闘部隊による北朝鮮支配層の打倒、いわゆる「斬首作戦」と呼ばれるもの。これも比較的、大きなダメージをともなわないで北朝鮮の現体制を転覆させることが可能な手といえるでしょう。でもこれ、人気映画みたいに(?)うまくいくのかどうか・・・失敗したらたいへんな気もしますが・・・。もっとも先日、韓国が「12月1日」とご丁寧に(?)期日まで示して同部隊の創設を明らかにしました。アメリカとも事前に調整したうえでのことでしょうから(?)、このミッション達成によほど自信があるのか、それとも他の意図があるのか・・・(?)

 上記のクーデター誘発、斬首作戦のいずれも、北朝鮮に核&ミサイルが残るという点では、かりに現体制の排除には成功したとしても、その後継勢力が核兵器を握って世界を脅迫(?)し続ける懸念がぬぐえません。この核リスクも含めたすべての危機を消滅させるオプションは・・・やはり韓国軍、そして米軍による全面的な軍事力行使、しかないのではないか・・・(?)

続く

金融・投資(全般) ブログランキングへ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【日本の核武装でドルは暴落へ】対北朝鮮:アメリカには究極の選択しか残らない③

2017-09-13 00:04:02 | 世界共通

前回からの続き)

 というわけで、万一アメリカ北朝鮮の「核」を容認したら、「核のドミノ」―――同国を振り出しに韓国日本→(反米?)各国へと、核保有国が次々に誕生すること―――が全世界に拡散し、アメリカの安全保障が根底から揺るがされかねない事態になりそうです。それだけ(偶発的にでも)核挑発とかを受ける確率が高まるわけですからね・・・。さらにさらに・・・このケースにおいてアメリカは・・・肝心の「ドル覇権」を失いかねないリスクにも直面することになります。その理由は、こちらに書いたとおり「米:もう日本を守れない、日:じゃドルは買わない」となるから。

 日本は自国の安全保障をアメリカ・・・の核兵力に全面的に依存してきました。だからこそ日本はドル資産をしこたま買い上げてきた(アメリカにおカネを貸し続けてきた)わけです。その為替含み損が日本円にして数十兆円に達し、潜在的な国民負担リスクになっているにもかかわらず、です(って、その含み損こそが日本がアメリカに支払う「安保委託費」とみることができるが・・・)。

 で、この構図が上述のように崩れてしまうと―――アメリカが北朝鮮の核保有を認めることで、同盟国の韓国そして日本のそれも認めざるを得なくなると―――日本(そして韓国)からすれば、もうアメリカに安保委託費を払うべき必要、つまりドル・米国債をこれ以上買う必要がなくなります。これ、アメリカ・・・のドルにとっては一番の支えを失うに等しいわけです。ただでさえドナルド・トランプ政権下のアメリカはいま債務上限額を引き上げなければ「トランプノミクス」の実行も、そしてハリケーン「ハービー」がもたらした災害からの復興もままならない局面、要するに、さらに多額のマネーを「外国」から借りなければ国が保てなくなるという非常事態にあります。そんな中で最大かつもっとも忠実な(ドル・米国債を売らない)おカネの出し手である日本を今後、頼れなくなったら・・・

 ・・・といったことは、日本と並ぶ米国債ホルダーの中国を筆頭とする世界中の投資家にも容易に推察できること。よって、アメリカが北朝鮮の核戦力、そして日韓両国の核武装を認めた時点でドルは・・・暴落必至です(?)。

 以上、もしアメリカが北朝鮮との何らかの協議に応じ、同国を「核保有国」と認知して、相互に不可侵を約束したらどうなるか、について、アメリカの立場から想像できるところの「ほんの一部」を綴ってみました。これら、どう考えてみてもアメリカにとっては受け入れ難いことばかりでしょう。となれば、残る策は・・・対北朝鮮「軍事的オプション」・・・

続く

金融・投資(全般) ブログランキングへ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【米朝合意で「核のドミノ倒し」が始まる】対北朝鮮:アメリカには究極の選択しか残らない②

2017-09-11 00:01:55 | 世界共通

前回からの続き)

 アメリカ北朝鮮に大幅に譲歩し、同国を「核保有国」と正式に認め、相互間の不可侵を約束したりしたら、どうなるか・・・。前回、第一としてアメリカは韓国の核武装を認めざるを得なくなるだろう、という予想を書きました。

 ・・・となってきて第二は、このとき日本がどうなるか?ということ。アメリカが北朝鮮、そしていくら同じ米陣営の仲間(?)とはいえ領土問題等を巡って必ずしも良好な関係にあるとはいえないお隣の韓国に核兵器を持たせたら・・・日本に核を所有させない理屈もまた立たなくなります。たしかに日本は世界唯一の被爆国として非核三原則を率先して順守すべき立場にあります。でも周辺国すべて―――中露に加えて北朝鮮そして韓国までも自前の核兵器を持つ国となったら話は別(?)。このとき、真の自衛のために独自の核武装の必要性が高まった日本に対し「わがステイツが引き続き核の傘を提供するから日本『だけ』は核を持つな!」の文言がどこまで説得力を持ち得るのか・・・。「だって・・・あれだけ『守る』といっておきながら、日本への核攻撃をほのめかしてきた北朝鮮の核武装を許してんじゃん!」で結局、当初のご意向のとおり米ドナルド・トランプ大統領は日本の核武装を容認せざるを得なくなる・・・!?

 そして第三は、世界はどうなるのか?ということ。アメリカが北朝鮮を核保有国として認めたら、(反米?)各国は「やはり決め手は核兵器なんだな~」との思いをいっそう強くするのではないか。今年4月、アメリカはシリアに対して59発もの巡航ミサイルを派手にブチ込んでみせましたが、同国よりもず~っと正義に反し、さんざん「悪の帝国」呼ばわりしてきた北朝鮮には一転、この丁重な扱いぶり・・・って、この違いは核報復リスクの有無以外に考えられません。アメリカは、かつてのイラクとかシリアのような、核を持たないために核反撃を食らう可能性がゼロ%の国はフルボッコにするけれど北朝鮮はしない、つまり、北朝鮮のように核を持った国に対しては、「正義の味方」を自称されるキャプテン・アメリカ様でもうかつには手出しができないことが誰の目にも明らかになる、ということです。

 さらに、何らかの合意でアメリカの脅威が遠のけば北朝鮮は・・・ビジネスとして、そして飢えた国民を少しでも食べさせるために、自国の核&ミサイルやノウハウ等をどんどん外国に売り始めるのではないか、とも想像されます。もちろん表向き、こうした取引は厳しく規制されるでしょう。ですが、マトモな産物の無い北朝鮮にとってこれらは国際競争力の非常に高~い唯一の(?)外貨獲得源になり得ます。いっぽう、これらを欲する国や勢力も少なくはないはず。たとえば・・・アメリカと潜在的に対立する某国あたりが北朝鮮の「成功」を目の当たりにし、一度は断念した核保有にリトライするべく、同国の原爆とかミサイルをひそかに購入しようとする可能性があります(?)。こうして利害が合致した両国は、ウザい(?)海上臨検を避けるため、一帯一路(って意味違う?)を介して交易し、北朝鮮は外貨を、某国は核弾頭付きミサイルを得て、ともにウィンウィンの関係を築く・・・ってこれアメリカ、そしてどこよりもイスラエルにとっては遺憾、どころか絶対に受け入れられない国家危急の事態となりかねません。そのときになってアメリカが「北朝鮮は約束を破った!」って非難したところで、もう遅い。同国の核武装は完成済み・・・

続く

金融・投資(全般) ブログランキングへ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする