(前回からの続き)
以前こちらの記事に、中国が太平洋島嶼国やアフリカ諸国等のインフラ建設プロジェクトに投融資したチャイナマネーの相当部分が焦げ付きそうになっている様子等を綴りました。そうなったのは、中国がこれら諸国の採算の合いそうにない投資案件に入れ込み過ぎた、つまりプロジェクトの多くを「高値掴み」してしまったためです。ではなぜ採算割れが見込まれるようなものを中国は高値で掴んだのか・・・って、これが共産党政府の政策投資だったから・・・
通常、インフラ案件が民間主導で計画される場合は、事前にその案件の費用便益等が吟味され、その結果、利益が得られそうなものだけが実行に移されるもの。したがってそれらが失敗し、融資金が回収不能になるようなケースはそうはないし、あったとしてもその損害額は事前の関連引当金等の範囲に収まるものと考えられます。逆にそうでなかったら、不採算のプロジェクトに突っ込んで会社に損害を与えた!などと当該企業の経営者は株主から批判され、最悪の場合、株主代表訴訟を起こされかねませんからね・・・
他方、中国政府の投融資にはこうした市場原理のブレーキが働かないから、プロジェクトのフィージビリティ(実行可能性)も厳しく審査されることなく、共産党権力者の好み次第で?サクっと実行されてしまったのでしょう(?)。その結果が・・・中国からすれば不良債権の山、そして融資受け入れ国にすれば、返済不能の対中国債務の山となった、という次第・・・
これ、わたしたちにとっては「対岸の火事」とはけっしていえませんよ。アベノミクス日本もまた、かの国と同様、「政府」の投融資が採算度外視の?「高値掴み」になっているということです。そのさまはこれまで綴ってきたとおりです・・・
上記過去記事でご紹介したように、今世紀に入ってからの中国の対アフリカ諸国向け融資の総額は1300億ドルを超える規模だそうです。これらの大半が現在、貸し倒れの危機にあるものと思われます(?)。近い将来、おそらく中国は、債務国との外交関係や現地の対中感情の悪化を回避するために、これらの債権放棄に応じざるを得ないでしょう(?)。その想定額はアフリカだけで1300億ドルに迫るスゴイ規模です・・・が、前述したように、わたしたちの「虎の子」年金積立金もまたこれとほぼ同額(14兆円あまり:現レートで約1300億ドル)の「ドル価値」すなわち石油購買力を、アベノミクスの「高値掴み」のせいで(?)あっという間(昨年第2四半期末→同第3四半期末の3か月の間)にサクっと失いました。そしてトータルの損害額はきっと、さらに膨らむことでしょう・・・(?)
上記において、いまのわが国は中国と同じといえます。ようするに、市場メカニズムの歯止めが効かない政府部門の公的マネーを使った投資が高値掴みとなり、それらが当然のように元本割れを起こして巨額の損害が発生し、結局は国民がその尻拭いをさせられる―――政府系金融機関を救済するために税金が投入される、年金支給額がカットされる、などなど―――ということ。本ブログでは以前からアベノミクスは「左翼的」と指摘していますが、まさにそのとおり、アベノミクス政府はこの点でも中国の共産党政府と同様だ、という思いが強まるばかりです・・・