世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
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【核使用を準備:物騒発言の裏側】ロシア:地政学リスクの裏にあるもの④

2015-03-29 00:03:56 | ヨーロッパ

(前回からの続き)

 ロシアに関する地政学リスクの高まりを感じさせるものとして次にあげるのは、「」です。

 今月中旬、ロシアのプーチン大統領は事前録画のTV番組のなかで、1年前、ロシアがクリミアを併合した際に核兵器の使用を準備していたと語りました。そして先日はロシアの駐デンマーク大使が、デンマークが北大西洋条約機構のミサイル防衛計画に参加すれば同国はロシアの核ミサイルのターゲットになると述べ、物議を醸しました。いずれの発言も、ロシアの核使用ドクトリンである「核攻撃を受けた場合」等を大きく逸脱した過激なものであり、西側諸国ばかりではなく世界平和を願うすべての人々に対する重大な挑発だといえるでしょう。

 しかし・・・だからといって対ロ関係の緊張をこれ以上高めるのは得策ではなく、ここは冷静にロシア権力者たちのこの危険な物言いの背後を読み解くことが肝要と思います。

 まず考えられるのは、これらの強硬発言は「国内向け」であろうということ。つまり以下のような苦境にあるロシア国民の目を、「核」という刺激的なワードをあえて用いて「外」(=ウクライナ情勢等を巡って経済制裁を仕掛けている欧米諸国)に向けさせることで、「内」(=プーチン大統領を筆頭とするロシア首脳の政策運営)に対する非難の高まりを抑えようということです。まあ世界中の政治家がよく使う手ではありますが・・・。

 実際ロシアは、そうでもして人々の不平不満のエネルギーを外に逃がさないと非常にマズい状態になっています。欧米諸国等の上記制裁に加え、昨秋から急速に進んだ原油安・ガス安の影響によって同国の経済そして国民生活は厳しい局面にあるからです。

 同国連邦統計局が発表した消費者物価指数の高い上昇率(1月15.0%、2月16.7%;対前年同月比)からも推察できるように、ある調査によると国民の8割以上が国家の直面する最大の問題がインフレと回答し、同5割以上が政府がこれに十分な対策を講じていないと感じているとのこと。とはいっても国家財政にはまったく余裕がなく、通貨ルーブル安も継続し、さらなる下落(=インフレ悪化)を食い止めるために景気低迷中にもかかわらず主要政策金利を14%もの高い水準に保つしかない、といった具合で、ロシア政府・中銀としては八方塞がりといった状況・・・。

 こうなってしまうと、いくら「核」まで持ち出して外側の危機を意識させようとしたところで、国民の怒りの矛先が内側=内政に向かうのは時間の問題となってきます。まごまごしていたらロシアの歴史が教えるとおり、クーデターか革命?が起こって自分たちは失脚!? で、そんな恐怖心を抱くロシア政権が望みを託すのは・・・やはり最大の外貨獲得源であるエネルギー価格の回復でしょう。

 ということで、ロシア政権の「核」を巡る物騒な発言の裏には、このあたり、つまり地政学リスクをあおってロシア唯一の希望である石油・ガス価格の上昇を図ろうという狙いもあるのだろうとみています。

(続く)

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【Grexitでもロシアのギリシャ救済は不可能】ロシア:地政学リスクの裏にあるもの③

2015-03-27 00:01:08 | ヨーロッパ

(前回からの続き)

 前述のとおり、Grexit(ギリシャのユーロ圏離脱)に耐えられないユーロ圏諸国は理不尽なギリシャ支援を継続するもっともらしい口実として、ギリシャ・ロシアの接近がもたらす地政学リスクをことさら強調することにした・・・。

 以上からいえるのは、ギリシャとユーロ圏諸国、とくにその盟主であるドイツとの同国支援を巡る「チキン・レース」の勝者は、やはりギリシャになりそうだ(?)ということ。実際、ギリシャのチプラス首相はドイツのメルケル首相に対し、ユーロ圏から支援が受けられなければ、今後数週間以内の債務返済義務をギリシャが履行することは不可能だと「警告」したのだとか・・・。完全にユーロ圏、そしてドイツの胸の内はギリシャに見透かされている気がします。

 さあドイツはどう出るのか? で、上記をふまえたわたしのメイン・シナリオ(可能性90%?)は、近日中(たしか当初は今日27日だったのが案の定30日に後ずれした・・・)にギリシャから提出される出来の悪い(に決まっている?)「改革リスト」に対してドイツおよびユーロ諸国はろくに内容をチェックすることなく即刻「合格」を出し、既存の支援スキーム(総額2400億ユーロ)の残りの融資をギリシャに実行するというものです。これがいちばん穏便なはず。というのも、メルケル首相らには自分たちの任期中にGrexitみたいな大混乱を自ら引き起こしたくないという保身の意識が働くだろうと思われるからです。

 一方でこれは一時しのぎの策に過ぎないことは誰にでも分かっていること。このままでは100年経ってもギリシャの「たかり」は終わらない・・・で、ひょっとしたらドイツ首脳陣は保身よりも(たとえ汚れ役になってもいいから)子孫を救う道を選び(?)、ここで思い切ってギリシャに「落第」を申し渡し、Grexitを容認してすべてのウミを出し切ろうとするかもしれません。そうすればここ数年間はどれほどたいへんでも、未来のドイツ国民は救済されるから・・・(Grexitは長い目でみれば、ギリシャ国民にとっても良いことだと思います)。

 10%くらい、そんな過激な(?)事態が起こる可能性もありそうだ、なんて見方をしています。でも・・・たとえGrexitになっても、ロシアはギリシャを救おうとはしない、いや救えない・・・。というのも、それほどロシアは強くない=おカネを出す余裕なんてないでしょうから・・・。

(続く)

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【ギリシャ支援継続:ロシア接近阻止を口実に】ロシア:地政学リスクの裏にあるもの②

2015-03-25 00:03:03 | ヨーロッパ

(前回からの続き)

 現在、欧州等のメディアで論じられているロシアがもたらす地政学リスクユーロ圏ギリシャ支援を継続するための口実のひとつであると考えています。

 こちらの記事等に綴ったように、ユーロ圏はGrexit(ギリシャのユーロ圏からの離脱)に耐えられないだろうとみています。万一そんな事態になったら、ギリシャ債権の大半が貸し倒れ、ユーロ圏の財政危機対応基金(EFSF:欧州金融安定ファシリティー)が毀損し、デリバティブの決済が発生して欧州(そしてアメリカ!)の金融システムが大混乱に陥るでしょう。さらにスペインやイタリアなどのギリシャ以外の重債務国の支払い能力に対する疑念も一気に高まり、これらの国債価格が暴落(利回りは急上昇)して各国は資金繰りに窮し、最終的にECBが止めどもない「財政ファイナンス」で対応せざるを得なくなる、つまり通貨ユーロの信認が崩壊するといった流れになりかねません。だからギリシャの破綻は何としても阻止しなければならないし、そのための資金援助はやめられないということになります。

 とはいえ―――いくらGrexitは絶対に回避しなければならないとはいえ、財政緊縮策等の実行を拒否し続けるギリシャに無条件におカネを貸すわけにもいきません。ギリシャへの融資金がユーロ圏諸国が税金等を通じて集めた基金等を原資にしている以上、その支援継続には各国の納税者を納得させるそれなりの理屈が必要だからです。それが、ギリシャが実行を約束しなければならない具体的な改革策の中身であるとともに、上記のロシア地政学リスク、要するに「ギリシャがユーロ圏を去ってロシアと手を組んだらユーロ圏の安全は脅かされる。これを避けるためには支援を続けて同国をユーロ圏につなぎとめる必要がある」ということになるわけで・・・。

 そんな地政学リスクがここのところしきりに取り沙汰されているということは・・・もはやギリシャ支援に当たっては前者、つまり同国のマトモな改革プログラムの実施が望み薄で、このままだと融資続行の建前作りができそうもないから、ユーロ圏債権国としては後者、つまりギリシャを見捨てた場合のロシアの脅威増大を強調することで、改革案の出来不出来にかかわらず、同国への資金援助の継続に道を開こうとしている、ということなのでしょう。

 繰り返しですが、それほどユーロ圏はGrexitを恐れている(それだけフラジャイル!)ということなのだと思っています。

(続く)

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【可能性薄い?ロシアとギリシャの接近】ロシア:地政学リスクの裏にあるもの①

2015-03-23 00:04:57 | ヨーロッパ

 ウクライナ情勢をめぐる欧米諸国の経済制裁や原油安によって苦境にあえぐロシアこれにともなって同国がもたらす地政学的なリスクが最近、あちこちで指摘されるように感じられます。でもその背後には、冷戦時の東西対立の復活!みたいな単純なものではない、もっと複雑な、現在の世界経済情勢に関連する深い事情があるようにも思えます。本稿ではそのあたりについて個人的に考えるところを綴ってみたいと思います。

 まずは欧州でいまもっともホットなトピック「ギリシャ危機」に関連するところから。こちらの記事を含めて本ブログでいろいろ書いているとおり、ギリシャの債務問題は現在、重大な局面にさしかかっています。同国の資金繰りは綱渡り状態であり、へたをすれば今月にもおカネが尽きて債務不履行→Grexit(ギリシャのユーロ圏離脱)となってしまうかもしれない、なんて観測もあります

 で、そのギリシャですが・・・上記経済・金融面でのリスクに加えて地政学的なリスクも高まっているという見方があるようです。要するに、このままユーロ圏が十分な支援を与えないと・・・同国がユーロ圏以外の国、とくにロシアを頼ろうとするおそれがある、というのです。ネット等から得た情報によれば、それはこんな具合です―――。

 ―――もしギリシャがドイツを筆頭とするユーロ圏債権国との対立を深めると、同国はロシアに資金等の援助を求める可能性があり、それが実現するとロシアはその見返りにギリシャとの戦略的な同盟構築を求めるだろう。で、そうなるとロシアはギリシャ、および同国と宗教的な関係が近しいバルカン半島へと勢力を拡大するだろう。これはユーロ圏の大半が加盟する北太平洋条約機構(NATO)諸国にとって脅威になる―――。

 で、この結論は「そんなリスキーなロシアのギリシャ接近を阻止するためにも、西側諸国(ユーロ圏およびIMF等)はギリシャ支援を継続して、同国をユーロ圏につなぎとめる必要がある」といったことになります。このような議論は欧州各地、そしてギリシャに対してもっとも厳しいスタンスを取っているユーロ圏の盟主・ドイツにおいても見受けられるわけですが・・・。

 まあたしかにギリシャ支援にはこうしたパワーポリティックス的な側面があることは否定できないでしょう。でも・・・現状の経済社会的な事情を考慮すると、いまのギリシャにとってユーロ圏諸国との関係を壊してまでロシア陣営に与するメリットはないはず。それは一方のロシアにとっても同じこと。いまのロシアに、ユーロ圏に替わってギリシャのスポンサーになる意義はそれほど見出せないし、その余裕もないでしょう。いくらロシア海軍がギリシャのどこかの港を基地にしたからといって、有力な貿易相手であるユーロ圏を警戒させるだけで得るものはないし、何よりも通貨ルーブルの防衛にてんてこ舞いのいまのロシアにギリシャがもっとも必要としているもの―――おカネ(ドルとかユーロ等)を貸し与えるゆとりなんてなさそうだから・・・(それにギリシャにいくら貸しても返ってこないし!?)。

 以上の理由により、ギリシャとロシアの急接近は考えにくい、というのがわたしの推察です。ではなぜさかんに両国の接近とその回避のためのギリシャ支援の必要性が唱えられるのか、といえば・・・そのリスク―――ロシア地政学リスクを口実にユーロ圏はギリシャ支援を続けたいからだと考えています。

(続く)

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【アベノミクス「火遊び」の顛末やいかに?】バブル警戒域に入った日本株⑥

2015-03-21 00:00:57 | 日本

(前回からの続き)

 どうやら結局、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の三谷隆博理事長の留任が内定したもようです。任期は4月からの5年間・・・って、コワいほど長い・・・。

 前回書いたように、年金原資として高値で、そして大量に抱え込んだ株・外債等のリスク資産の価値をこれほどの長期間にわたって高めていく自信があるのは案の定、度胸満点の(?)「異次元緩和」じゃなかった「異次元感覚」な方、つまり「日銀」OBである三谷氏しかいなかった、ということなのでしょう。まあ臆病者のわたしの見立てとはまったく逆に、大胆にもこれらを「超底値!超お買い得!」と英断して(?)買ったのが当のご本人であるので、その運用責任を国民に対して自ら負うという意味ではよかったのかも、とは思いますが・・・。

 もとろんこうした年金基金のリスク資産投資の成否にかかる責任の所在はGPIF首脳陣ばかりではなく、年金基金を先述「アベノミクス」の「人質」にとった方々―――GPIFの運用ポートフォリオをリスク資産偏重型に高めるように提言した識者―――有名大学の経済学部教授等―――にも、そして最終的にはそれを採用した政府―――安倍政権、さらに(実体経済への悪影響はそっちのけにして?)これら資産の円建て価格の押し上げばかりに血道を上げる(?)「異次元緩和」に走った黒田日銀にもあると考えています。

 ここ数日の世界の株式市場はすでに綴ったとおりの「金融緩和相場」の様相、つまり中銀の金融政策が緩和方向ならば「買い」、引き締め方向ならば「売り」の展開を見せています。そのなかで日本株は比較的堅調な感じです・・・が、その根拠となっているのは低PERでも高い配当利回りでもなく、異次元緩和と「高値掴み」をものともしない年金基金の「買い」、つまりバブル・・・。

 このあたりが窺えるデータが新たに入ってきました。18日に発表された日銀の資金循環統計によると、GPIFをはじめとする年金基金は昨年10~12月、日本株と外国資産(株と債券)をそれぞれ1兆7281億円、2兆3907億円も買い越ししたとのことです。10/31の日銀「追加緩和」と(事前に示し合せたとおり?)同日のGPIF新運用目標発表の前後の時期だから、まあこれらは上記意味の「買い」―――緩和的な金融政策がもたらすバブルだけに頼った「買い」―――なのでしょう。先述「ミセス・ワタナベ」の動向から見て取れるように、バブルの行く先は日本人なら分かり切っているはずです。だから、心配性のわたしには今後、まともに年金が支払われるのか本当に気がかりなのですが、いかがでしょうか・・・。

 はてさて、年金基金を元手にしたこの危険な政策的「火遊び」の顛末やいかに? わたしたちはこれに興じる安倍首相や黒田日銀総裁をはじめ、GPIF理事長や「火遊び」を推奨した経済学会のエラーイ先生方のお名前を記憶しておいたほうがよさそうです。いま皆さんがなさっていることを5年後(いや、早ければ1年後?)、しっかりと評価するために・・・。

(「バブル警戒域に入った日本株」おわり)

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【海外発リスクオフで年金積立金毀損は不可避!?】バブル警戒域に入った日本株⑤

2015-03-19 00:03:40 | 日本

(前回からの続き)

 前回書いたように、わたしたちの貴重な年金原資は「アベノミクス」の「人質」にされてしまったと考えています。とほほ・・・。

 それは・・・いまアベノミクス(≒日銀の「異次元緩和」を通じた円安誘導)を止めたら、日本株の「買い本尊」外国人投資家が一斉に「売り」に走って株価が急落するとともに、緩和マネーの巻き戻しが起こって為替レートは急激な円高ドル安となる → これによって内外株や外債といったリスク資産の円建て価格は暴落し、新ポートフォリオにしたがってこれらを高値掴みしてきた年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)等の年金基金が巨額の損失を被る → そうなったら年金給付額の引き下げなどの痛みを国民に強いることになりかねない → だからアベノミクスを止めるわけにはいかない・・・といったような具合です。

 ということで、安倍首相がアベノミクスを評して「これしかない!」としばしば口にするのは、そのへんにも理由があるのではないかと。つまり「アベノミクスに反する政策をとったら、リスク資産が暴落して年金基金が吹っ飛ぶぞ!」というわけ。かくして、もう誰もアベノミクスに歯向かうことはできなくなってしまった、といった感じで、おそらくここ当面はアベノミクスとは違う路線を実行しようとする人々は出てこないでしょう。そんなことをしたら「人質」が傷つく、要するにリスクオフ・モードになって年金基金が大きく毀損し、その責任を厳しく追及されてしまうためです。もちろん、本当の責任の所在は、虚ろなバブルを膨らませた安倍政権・黒田日銀のほうにあるにもかかわらず・・・。

 では、こんなふうにしてアベノミクスは続くしかないから、今後も日本株は上がっていくのか・・・ですが、残念ながら、そうはならないと思います。というのも近い将来、株も外債も価格急落は不可避―――それをもたらすリスクオフの巨大津波が日本国内ではなく海外からやってくるはずだから。関連の記事は本ブログでいろいろ書いているのでここでは省きますが、米欧中そして新興国、どこを見渡してみてもリスクだらけですからね・・・。なので、いくら政府・日銀、さらに年金基金ががんばったところで、リスク資産投資に傾倒してしまった以上、その必然的な暴落(?)によってどのみちわたしたちの大切な年金原資は大きく目減りしてしまうのではないか・・・。遅くともあと「5年」以内にそんな厳しい局面が海の向こうからやってくるような気がしてなりません。

 ところで報道によれば、今月末で任期満了となるGPIFの三谷隆博理事長の後任者選びが難航しているそうです。GPIFを所管する厚生労働省は新トップを民間から選びたい意向のようですが、どこからも断られたもよう。まあそうだろうな、と感じます。GPIF理事長の任期は「5年」です。ということは・・・次の理事長は、三谷氏らがメッチャ高値(?)で買い漁った内外の株や外債といったリスク資産の価額を、これからの激動の「株安円高」リスクオフ(?)の5年間でさらに増やすという離れ業的かつ責任重大な役割を担うことになるわけですからね。そんなオソロシーことなんてできない・・・民間運用会社の経営者のように、ふつうのマーケット感覚を持っている人ならばコワくてこの危険な役職に就こうなんて思わないでしょう。まあ「異次元」感覚の方は別でしょうが・・・。

(続く)

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【アベノミクスの人質にとられた(?)年金基金】バブル警戒域に入った日本株④

2015-03-17 00:01:57 | 日本

(前回からの続き)

 そうこうするうちに日経平均株価は先週13日、前日比263円高の19254円と、じつに15年ぶりに19000円円台を回復しました。で、この日、なぜ日本株が買われたのか、ですが、直前12日のアメリカN.Y.市場で株価が大きく上がったから、とされています。そして米国株上昇の理由ですが、発表された2月の小売売上高が市場予想に反して減少したため・・・って、通常ならば米景気の不透明感が確認されたわけだから株は「売り」となるべきところ、これで米FRBの利上げ時期(6月?)が遠のくだろう―――引き続き株投資に有利な金融緩和環境が続くだろう―――という観測が市場で支配的になり、株が買われた、ということなのだそうな・・・。

 上記の日米両株式市場の株価の動きから、あらためていまの相場が「金融緩和相場」の様相を呈している様子が確認できます。つまり、中銀(先週末の場合はFRB)の金融政策が緩和方向ならば株は「買い」で、引き締め方向ならば「売り」ということ。逆にいえば、そこでは、ファンダメンタルズとかPER・PBR等に示される各企業の業績といった本来的に株価を左右する要素は度外視されています。要するに金融緩和「バブル」が生成されているということ。だから、いまの株価はデータでは説明がつかないバブリーな水準にある、という株式市場の過熱感とは真逆の冷めた判断が求められそうです、大やけどをしないためには・・・。

 先述のように、そのあたりを見極めているのが外国人投資家が日本株を爆買いした2月に逆行売りして利確した(?)「ミセス・ワタナベ」(日本人の個人投資家)といえそうです。一方、そんな相場の空気が読めず(?)、新しい目標ポートフォリオの早期達成だけにこだわり、日本株を高値掴みして外国人投資家ばかりを儲けさせた(?)のが、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)等のわれらが年金基金・・・。

 ここで、心配性のわたしには2つの懸念事項があります。一つ目は上述のとおりで、高値で内外の株を、そして円安外貨高局面で外債を買いまくるGPIFなどの年金基金が今後、マーケットが必然的に迎える(?)リスクオフ・モード(株安円高)によって巨額の評価損&為替損を抱え込むリスクが十二分にあると予想されること。これによってわたしたちの将来の年金給付額が大きく削られることになりはしないか・・・。

 そして二つ目は・・・だからこそ一つ目のリスクを絶対に発生させないような政策しか政府・日銀には選択できないということ。つまり・・・国民の虎の子である年金基金が安倍政権下で作られた新ポートフォリオにしたがってリスク資産を高値掴みしてしまった!→そのため、どれほど「アベノミクス」(≒円安誘導)が批判されても、自分たちから緩和縮小のような株価にマイナスな政策なんて打てない→もうこうなったら「これしかない!」(by 安倍総理)、つまり、ひたすら日銀異次元緩和(≒円安インフレ)路線を突っ走るしかない!・・・といった感じです。その意味するところは「アベノミクスに歯向かったら、キミたちの年金がどうなっても知らないぞ!!」ということ・・・。

 こうして、わたしたちの大切な年金基金はアベノミクスによって「人質」にされてしまった・・・こう考える次第です。やれやれ・・・。

(続く)

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【危うい?年金基金の日本株「買い」一辺倒】バブル警戒域に入った日本株③

2015-03-15 00:01:26 | 日本

(前回からの続き)

 先述のとおり、1月中旬以降、外国人投資家は日本株を大量に買っているわけですが、これに対して日本人投資家はどう動いているのでしょうか。

 東証のデータによると、日本人投資家のうちの個人投資家は1月は2866億円の買い越し(現物・先物の合計)となりましたが、2月は1兆7468億円の売り越しとなっています。この個人投資家の動向は外国人投資家のそれ(1月1兆1292億円売り越し、2月2兆5950億円買い越し)と逆であり、この間の株価の推移から推察すれば、彼ら彼女らの多くは1月の安値で株を買って2月の高値の局面で利食い売りに回ったものと思われます。さすが「ミセス・ワタナベ」、なかなか賢い投資スタンスですね。

 一方、同じ日本人の投資家でも、個人投資家らとは逆の投資行動をとっているグループがあります。それは「金融機関」・・・のなかの「信託銀行」。上記同データによれば、信託銀行は1月(6808億円)、2月(1兆6925億円)のいずれも買い越しになっています。注目すべきは、株価が低かった1月よりも、個人投資家や他の金融機関(銀行や保険会社等)が売りに回った2月の高値局面での買い越し額が1兆円以上も多くなっていること。まあだからこそ2月の株価が高くなった、という面もありますが・・・。

 で、同じ金融機関でも突出する信託銀行のこの「買い」の正体ですが・・・やはり「年金基金」なのでしょう。つまり、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)などの年金原資金が高いリターンを求め、信託銀行を通じて株式市場に流入した、ということだと推測されます。

 こちらの記事にも書いたとおり、GPIFは昨年10/31(米FRBQE3終了を、そして日銀追加緩和を決定した日!)リスク資産投資に重点を置いた新しい年金積立金運用方針を発表し、そのポートフォリオに占める日本株(および外国株)の目安構成割合をそれまでの12%から2倍以上の25%に引き上げました。他方、運用資産の主体だった国内債は60%から35%へと大きく下げられています。となれば当然、GPIFはこの配分比を踏まえた資産の組換えに動こうとするわけです。具体的には、追加緩和を実施中の日銀に日本国債を高値で買い取らせ、それで得たマネーを株式投資に回して、一刻も早く(?)目標ポートフォリオの実現をめざす、といった感じでしょうか。もちろんGPIFのこうした動きに、近々GPIFとの統合が予定されている公務員年金基金等も追従しているものとみられます。

 ちなみに、GPIFの今年度第3四半期末(昨年12月末)時点の資産運用別の構成割合では日本株が19.64%にまで高まっています。一方で国内債は43.13%となりました(以上、データはGPIF)。3か月近く前の昨年末でこの構成比だから、年明け後の上記信託銀行の買い越し額の大きさなどから、おそらく現時点(3月中旬)ではこの割合が上記目標にいっそう近づいているものと考えられます。

 それにしても・・・新ポートフォリオを決めたタイミング(昨年10/31)といい、その構成割合の達成だけを目的とした(?)「買い」一辺倒のスタイルといい、GPIFの日本株投資には何とも素人っぽい(=杓子定規、つまり役人的な)危うさが感じられるのですが、いかがでしょうか。当たり前ですが、貯蓄(≒日本国債投資)と違って株式投資はある意味で食うか食われるかのギャンブル。だからこそ上記ミセス・ワタナベのように、日本株売買の主役である外国人投資家の裏をかくとか、PERPBR等に反映された個々の企業業績などを見極めたうえで、機動的な投資行動をとるべきなのに・・・。

(続く)

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【日本株のPERは高過ぎ!?】バブル警戒域に入った日本株②

2015-03-13 00:01:19 | 日本

(前回からの続き)

 今年に入ってから、とくに2月以降の日本株の急騰の背後には外国人投資家の分厚い買いがあり、そのベースとなる最大の前提は日銀による緩和的な金融政策、なんてことを前回書きました。まさしく「金融緩和相場」の様相です。中銀の金融緩和が続くなら株は「買い」で、金融引き締めに向かうなら「売り」といったところ。

 一方、そんな相場では株価に本来の影響を与えるはずの企業業績予測とか景気見通しなどはあまり考慮されなくなります。ということは、株価はおのずと上がり過ぎて「バブル」になることに・・・。

 実際、日本株にはすでにバブル警戒域に入った気配が感じられます。そのあたりを示すデータが株価収益率(PER。東証のデータ(規模別・業種別)によれば、2月末時点の一部1851社のPERは19.7倍と、歴史的な平均値といわれる15倍前後を上回ってきています。なかでも大型株100社は25倍(さらにPBR[純資産倍率]は2倍で、妥当とされる水準[1.6倍ほど]を上回っている)、業種別では食料品、医薬品、精密機械、小売業、サービス業なども25倍を超えており、いずれの株価も「高過ぎ!」といえるレベルになっていることが分かります。

 先述したように、FRBの利上げが目前だ!という見方から、すでに十分過ぎるほどにバブリーな(?)米株式市場から(あくまでもアメリカと比べたら、という意味で)割安感のある日本市場にマネーのシフトが起こっているもようです。で、これが目の前の日本株の高騰をもたらしているわけですが、海外発のこの株価押し上げエンジンが長続きするかどうかはじつに微妙なところ。本音は別にしてもFRBとしては利上げを開始せざるを得ないでしょうから・・・。

 で、この6月(?)あたりに実際にFRBが利上げ(といってもおっかなびっくりだから、わずか[0.25%?]でしょうが・・・)に踏み切ったら、株を含む世界中のリスク資産が相当程度、売られるでしょう。もちろん日本株もその例外ではなく、これまでの上げを演出した外国人投資家によってかなりの売りを浴びることになると予想されます。

 一方、そのとき巨額の(含み)損を抱えることになるのは日本人投資家・・・のなかの、「年金基金」・・・。つまり、われわれの「虎の子」である年金原資が大きく毀損してしまうのではないか・・・。活況に沸くいまの日本株市場を見ていて、心配性のわたしがいま一番懸念するのはソコです・・・。

(続く)

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【外国人爆買いで急騰!】バブル警戒域に入った日本株①

2015-03-11 00:01:15 | 日本

 わが国の株式市場が過熱感を強めています。日経平均株価は1月中旬の17000円を下回る水準からわずか1か月半で19000円間近(6日終値:18971円)と株価で約2千円、率で1割以上も上昇しました。この間、実体経済面でこれにふさわしい好材料が出たわけでもないのに、です。

 一方、アメリカの株価ですが、先週6日のダウ平均株価は17857ドルと前日比279ドル、S&P500種株価指数は2071.26と同29.78ポイントと、それぞれ大きく下がりました。前者の下落率はこの5週間で、そして後者はこの2か月間で最大となったそうです。

 この日、マーケット関係者が注目したのが2月の米労働統計。その内容は、雇用者数が前月比29.5万人の増、失業率5.5%と前月から0.2ポイント低下、などと(労働市場の「質」の改善は別として)良好とみなされるもので、米景気の力強さがあらためて確認された・・・で、通常ならば株が買われるところですが、これではFRB利上げ開始をいつまでも先送りにできないだろう、との観測が強まり、株が一斉に売られた、とのこと。

 上記日米の両株式市場の値動きからいえるのは、いまの相場が、一国のファンダメンタルズとか個々の企業業績予想がどうか、といった本来の株価変動要因ではなく、「金融緩和相場」つまり主要3中銀―――FRB、ECB日銀の金融政策(量的緩和策:QE)の動向によって上下するものになっているということでしょう。そうなると、ある意味で今後の株価の動きは読みやすい―――銘柄の違いにかかわらず、中銀の政策が緩和方向ならば何でも(?)「買い」で、引き締め方向ならば同「売り」、といった感じでしょうか。実際、FRBの利上げ=金融引き締めが意識された上記6日のN.Y.市場においてはS&P500種の業種別10指数がすべて下落したし、ダウ平均を構成する30銘柄も全部が下がっています。

 ところで日本株ですが、冒頭に記した急激な上げをもたらしたのは、やはりいつもの(?)外国人投資家の「買い」だったようです。東証の売買動向データによると、彼らは1月は1兆1292億円、2月は2兆5950億円も日本株(現物・先物合計)を買い越ししています。とくにスゴイのが2月の先物で、その買い越し額は2兆4千億円近くに達しています。それにしても・・・先物がこれだけ買われているということは、近々、株価の大規模な調整がありそうな気が・・・?

 もちろんこの日本株買いに外国人を駆り立てる最大の誘因も上記の金融緩和でしょう。彼らの思いは、アメリカの金融引き締め開始が視野に入ったこのタイミングで、米株式市場から緩和的な金融政策が続きそうな日本市場(および欧州市場)に緩和マネーをシフトしよう、といったあたりでしょう。まあ、いくらFRBが利上げをするといってもその上げ幅はわずかで、リスクオンからオフへのモード・チェンジが起こるほどのことはないから、先進国の株式であれば引き続き買える!という判断もあるのではないかと・・・

(続く)

本日で東日本大震災から4周年。震災で亡くなられた方々のご冥福と、被災地の一刻も早い復興をお祈り申し上げます。

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