世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
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【財政統合ムリで現状肯定、問題先送りへ・・・】ユーロ圏、金融・財政の統合を決断できるか⑥

2017-06-29 00:00:52 | ヨーロッパ

前回からの続き)

 前回、ドイツがユーロ圏の財政統合を嫌がる理由について、現状のユーロ圏各国の国債価格を高い順に並べた不等式「独>蘭>仏>西>伊>・・・>ギリシャ」を示し、この状況で統合されると最上位のドイツは損をする―――いま以上に長期金利が高くなり、国債の支払い等の負担が増えることが必至となる―――ためだろう、と書きました。ドイツと同じ立場なのはオランダ、フィンランド、オーストリアといった、ソブリン格付けが比較的高い国々。そしてフランスは・・・先述のとおり微妙なライン・・・?

 ちなみにフランス「未満」の面々―――スペイン、イタリア、ポルトガル、ギリシャなど―――はドイツらとは正反対で、財政の統合を切に願っているはず。これによって自分たちの債務負担の多くをユーロ圏の他の仲間、つまりはドイツに肩代わりさせたいからです。ゆえに・・・スペインとかギリシャなどからはドイツ等を批判する声は上がっても、独仏などとは違って自分たちのほうから「脱ユーロ」してやる!なんて勇ましい(?)主張はまず出てこないし、これが国民多数の支持を得ることはないでしょう。ユーロ圏を脱退して独自通貨に回帰したとたんに自国がハイパーインフレと高金利で壊滅することが分かっているためです。だからこれら重債務諸国はあれこれ文句を言いつつも(?)ドイツの経済力に裏付けされた通貨ユーロパラサイトする以外にない・・・

 ・・・以上により、ユーロ圏の財政統合はまず進むことはない、とみるべきでしょう(?)。となると・・・一本化された金融・通貨政策の下での現状が固定されたままになるわけです。すなわち先述、ギリシャ等にとっては緊縮財政&高い金利で経済低迷、ドイツ等にとっては金利低過ぎでバブル気味、といた感じで、ユーロ圏の誰もがストレスを抱えた状態が永続することに・・・

 ・・・このような不自然きわまる枠組みが持続可能であるはずがありません(?)。それは本稿2回目にご紹介したギリシャの財政再建策が驚くほど非現実的なことなどからも容易に想像がつくというもの。にもかかわらずユーログループ(各国財務相ら)がどうしてこれを「建設的(constructive)」などと超前向きに評価したのか、といえば「自分たちがいまの職位にとどまっている間だけ保ってくれればいいや・・・」といった思惑があるため(?)。つまり、ここは問題を「先送り」にしておいて各々、自身の任期末まで何とか逃げ切ろうって腹積もりなのでしょうね、きっと・・・

続く

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【ユーロ圏財政統合にドイツが反対する理由】ユーロ圏、金融・財政の統合を決断できるか⑤

2017-06-27 00:01:40 | ヨーロッパ

前回からの続き)

 前回書いたように、ユーロ圏が「財政庁」みたいな組織を作って「財政」を一本化すれば、ECBが所轄する「金融」「通貨」と合わせて晴れて3者の統合が達成され、欧州委員会のモスコビシ委員(フランス人)が希望するような債務の共通化すなわち「ユーロ圏共同債」の起債等も可能になると考えられます(?)。

 さらに上記3者がひとつになれば、すでにシェンゲン協定に基づいて人の移動が自由になっているユーロ圏はもはやドイツ、フランス、イタリアなどといった国々に分かれている必要は無くなり、皆が一つの国家・国民に―――「ユーロ連邦共和国」(?)とその共和国民になることができますね。これはこれで所期の理念に基づく美しいゴールにも思えます・・・

 ・・・しかし、上記「財政」統合と共同債の発行は現実的にはきわめて難しく、ゆえにユーロ連邦の建国もほとんど夢物語でしょう。その理由は先述のとおり、ドイツがこれに絶対に賛同しないだろうから

 このあたりが推察できる根拠の一つが国債価格(長期金利)です。こちらの記事にご紹介のとおり、現在、欧州各国の10年物国債価格を高い順(長期金利の低い順)に並べると、おおむね「独>蘭>仏>西>伊>・・・>ギリシャ」といった感じになります。ここでもしユーロ圏の債務が共通化されるとその債券価格は最終的に全体の平均値あたりに落ち着くでしょう。当然ですがこの場合、最上位のドイツからすると長期金利が上昇(国債価格が下落)することになります。なのでドイツ国民はおそらく、いまより重い納税負担と高金利を強いられるでしょう。

 他方でフランス・・・以下の国々(仏国債よりも国債価格が安い国々)の人々は勤勉なドイツ人のおかげで(?)納税負担が軽減され、金利も下がるかもしれません。上記序列で中位にあるフランスは微妙なラインと思いますが(って、だからこそ同国の極右政治家ルペン氏は「ユーロ」解体?、「新フランス・フラン」導入を提唱したのだろうが)、きっと帳尻はプラス―――ドイツが入れば、たとえギリシャとかイタリアと一緒になっても自国の負担は軽くなる―――と踏んだからこそモスコビシ氏は共同債検討に言及したのでしょうが・・・(?)

 といった理由から、ドイツを筆頭に、国債価格が上記平均値を上回る国々は共同債・・・につながるユーロ圏の財政統合には反対する以外にないと考えられます。たとえドイツが誰かと一緒になるにしても、こちらの記事に書いた同国の有力野党「ドイツのための選択肢」モイテン党首が主張するように、せいぜいがドイツなどの上位メンバーだけで、といったあたりに限定されそうです。そうした中でフランスの位置づけは・・・上記等から判断すると上位・下位の境目あたりなのでしょうね・・・

続く

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【ユーロ圏最大の歪み:金融統合なのに財政不統合】ユーロ圏、金融・財政の統合を決断できるか④

2017-06-25 00:01:30 | ヨーロッパ

前回からの続き)

 先述の「ユーロ圏共同債」構想ですが、フランス人(欧州委員会のモスコビシ委員)がこの導入の検討を口にすると、要するにフランス(およびフランスよりも支払い能力が弱い国々)は自分たちの分も含めた債務負担をドイツにもっと課したいんだね~なんて勘繰られてしまうところ。まあ図星でしょうが(?)、他方でコレ、ユーロ圏の本質的な欠陥を突いた問いかけという見方もできそうです。というのはこのスキーム、ユーロ圏の財政一本化を前提としたものだからです。

 よくいわれるように、ユーロ圏は「金融」(欧州中央銀行:ECB)および「通貨」(ユーロ)は一つになっているのに、これらと不可分であるはずの「財政」の統合はされていません。そのため、たとえばECBの金融政策(QEなど)は中途半端なものになってしまいます。これを必要とする国(ギリシャなどの重債務国)とそうでない国(ドイツなどの財政基盤が比較的強固な国)が出てきてしまい、結局はどっちつかずの規模で実行されるから、前者にとっては金利が高いまま、後者にとっては金利が不必要に低くなり過ぎ、といった事態になり、両者ともにストレスがたまることになるわけです・・・

 上記の関連では税制にも不統一が生じる点も指摘できると思います。一例としてアイルランドをあげると、同国は法人税率を引き下げてユーロ圏等の大企業を誘致してきました(実効税率は主要国最低クラスの12.5%、日本は約30%)。周囲の国々と比べて人口や経済・財政規模が小さな同国にとっては、たとえ税率は低くてもグロスの税収はそれなりの額に上ります。その一方でアイルランドに本拠を移した企業の多くは隣の英国や大陸欧州が発祥の地。当然ですがこれら諸国は、自国由来の各社には自国に納税してもらいたいところ・・・ですが各社およびその株主にとっては、同じユーロ圏に拠点を置くならば税金の安いところに、となるのは無理もありません。

 こうしてアイルランド財政の一定部分は他国からやって来た企業に支えられる一方、これら企業の出身国の人々はアイルランドに取られる分だけ、行政サービスを享受できていないことなります。このあたりも金融・通貨が同じなのに財政がバラバラという現状がもたらした歪みといえそうです。もっともアイルランドはさすが「ケルトの虎」と称されるだけあって?(って、「虎」だったのは欧州金融危機前までだし、本来の意味はちょっと違うけど)、この状態を自分が有利になるように上手に利用しているといった見方もできますが・・・

 上記例のような理不尽な(?)状況を抜本的に解消するには・・・やはり財政を統合するしかないでしょう。つまり、中銀をECBに一本化したように、税制や予算編成を含めたユーロ圏の歳入歳出を一手に引き受ける「ユーロ圏財政庁」のような組織を創設するということです。こうすればモスコビシ氏の希望通り、上記共同債としての役割を持つ財政庁債券を堂々と発行できるようになるわけです、が・・・

続く

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【ユーロ共同債で独に多く債務負担させたい?仏ら】ユーロ圏、金融・財政の統合を決断できるか③

2017-06-23 00:02:00 | ヨーロッパ

前回からの続き)

 ユーロ圏による今般のギリシャ追加融資決定の知らせで思い出されるのは「Frexit」つまりフランスのEU離脱・・・の是非が最大の争点となった5月の仏大統領選。ご存知のとおり、Frexitと通貨「新フランス・フラン」への切り替えを訴えたルペン氏が敗れ、EU残留と共通通貨ユーロの継続利用を約束したマクロン現大統領が当選したわけです。

 ・・・そんな選択をしたフランス人は上記決定を「EUに留まるとはこういうことか・・・」といった思いで受け止めたのではないでしょうか。つまり、EUメンバーであり続けるなら、他のメンバーであるギリシャを支援するための融資金を自分たちが拠出しなければならない、ということです(具体的には欧州安定メカニズムへの出資等になると思われる)。前述の状況からこのローン、貸し倒れリスクが高いうえ、今後はギリシャに続いてイタリアとかポルトガルといった国々がユーロ圏に続々と借金を求めてくる可能性も十分です。こうしてフランスは返ってくるかどうかも分からない国民の貴重なおカネを貸し出すわけです、果てしなく・・・(?)

 上記ルペン氏、そしてBrexitを決めた英国はEUにいることの最大の危険性をこのあたりに見出したのではないでしょうか。英仏両国には、ギリシャを含む欧州重債務国よりは自分たちのほうがまだマトモだから、EUに残る場合、自分たちに入ってくるマネーよりも他のメンバー国に提供してあげるマネーのほうが多く、差し引きでは損をし続けるだけ、という見通しがあるでしょうからね・・・(?)

 それを理解したうえで、あえて(?)EU残留を決定したフランスは、この先もギリシャらと付き合っていくしかないでしょう・・・が、そんな中でも自国の負担ができる限り軽くなる策をあれこれ考えることになります。これ端的には、ユーロ圏の仲間内で自国よりも資金的な余裕のある国、ぶっちゃけドイツに余計におカネを出させるという手(しかない?わけ)です。だからといってフランス等はドイツに「もっとおカネを出せ~」とはっきりとは言いづらいところ。そこで出てくるのが「ユーロ圏共同債」という構想です。

 ギリシャ、イタリア、フランスなどの国単位に分かれているユーロ圏の債務を一本化したうえで資金調達し、その支払いはユーロ圏全体で、というこの枠組み、一見良さげに思えます。ですがこれ、ドイツには絶対に賛成できないスキームといえます。なぜなら、財政状態が相対的に良いドイツにとっては必要のない債券を発行させられるうえ、そのかなりの部分の支払いを強いられるから。一方のギリシャ・・・ばかりかドイツよりも調達金利が高いフランス等にとってはありがたい仕組みです。自身の債務を低利でファイナンスしてもらえるうえに、その返済の多くをドイツにお任せできるのだから・・・

 トムソン・ロイターによれば、欧州委員会のモスコビシ委員が先日、この共同債について、ドイツが強く反対しているために現時点で提案することはないが、長期的には検討する可能性があるとの認識を示したそうです。まあそうでしょう、同氏はフランス人なだけに・・・

続く

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【アジアと違って欧州仲間ギリシャには甘い?IMF】ユーロ圏、金融・財政の統合を決断できるか②

2017-06-21 00:00:32 | ヨーロッパ

前回からの続き)

 前述した、ギリシャに対するユーロ圏による総額85億ユーロもの追加融資実行に関する「建設的な(constructive)」決定を受けて注目されるのは、同国への追加支援を留保している国際通貨基金(IMF)の動向です。

 IMFは同国支援の1回目と2回目には参加したものの、その後はギリシャ債務の持続性に対する疑義を口実に新規融資を停止しています。そのIMFですが、このたびの上記決定を機に、同国に追い貸しをする腹積もりのようです(?)。同トップのクリスティーヌ・ラガルド専務理事は、同国の債務軽減策についての確証をユーロ圏から得ることを前提としつつも、ギリシャに対して総額20億ドル・期間14か月の支援を理事会に諮るとのこと・・・

 ・・・といったように、IMFの対ギリシャ支援再開が正式に決まったわけではありませんが・・・以下の理由から個人的にはこのIMFの方針には疑問を感じるところです。

 IMFは以前から次のように言ってきたはず―――ギリシャが抱える債務はあまりに巨額なので、債権者がこれらの多くを放棄しない限り、その持続は不可能、よってユーロ圏が実現性のある策、はっきりいえば借金棒引きを受け入れなければ、IMFは貴重な出資国のおカネをこれ以上、ギリシャに注ぎ込むわけにはいかない―――と。

 で、今回の合意のベースとなる具体的な計画ですが、ギリシャの基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字を2023~60年までGDP比で約2%にすることや、救済融資金の支払い負担軽減策(加重平均した残存年数の延長や利払いの最大15年物繰り延べ)の実施といったもので、まあ後者はともかく前者の「2%」(同国GDP約1820億ユーロと予想するなら今年は約36億ユーロくらい)×38年間の達成など、どうひいき目に見ても・・・当のギリシャ人でさえ「これだけ財政赤字を垂れ流してきたわれわれには『絵に描いた餅』だろ!」と吹き出しかねないほどの「建設的な」出来栄え・・・

 ・・・これでIMFがギリシャに対する融資を再開するようなら、第二の出資国であり非欧米国でもある日本は抗議・・・とはいかないまでも、IMFに対してその根拠を詳細に説明するよう申し入れるべきだと思います。なぜなら、以前も書いたように、IMFの融資スタンスにはブレがあるように感じられてならないから。もっとはっきり指摘すれば、IMFは欧米(とくに欧州)諸国にユル過ぎるということです。このとき、ラガルド氏(フランス人)を含むIMF歴代トップが欧州人の指定席になっていることと無関係ではないはずだ、などと加えてもいいかも。「そのこととギリシャ支援の実行とはまったく関係がない」とIMFは応えるでしょうから、「ではどうしてギリシャの融資・返済条件等をアジア通貨危機時の支援受け入れ国と同等にしないのか」と返してみては・・・

 そもそもギリシャ支援にIMFが関与する必然性は無いと考えています。それはユーロ圏諸国やECBがするべきことだから。しかもユーロ圏にはドイツ、フランス、オランダ、オーストリアなどなど、ソブリン格付けがAAAという、支払い能力が最上級の国々がズラリと揃っているわけです。であれば、ギリシャの公的債務など、これら諸国が潤沢なマネーを貸すなり、債務帳消しに応じれば、たちどころに持続可能になるはずですからね・・・(?)

続く

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【建設的な決定!ギリシャへの追い貸し】ユーロ圏、金融・財政の統合を決断できるか①

2017-06-19 00:01:28 | ヨーロッパ

 仏大統領選でEU残留派マクロン氏勝利!(というか同脱退派?ルペン氏敗北!)の後、わが国では欧州に関する政治経済系のニュースが少なくなったような印象を受けます・・・が、そんな中このほど重大な決定が欧州でなされました。それはギリシャへの「追い貸し」・・・って、毎度おなじみですが・・・

 ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)は15日、懸案となっていたギリシャへの総額85億ユーロもの大型追加融資の実行で合意に至りました。同国は7月に期限の来る債務返済に充てるおカネとして事前に70億ユーロを調達する必要に迫られていたため、この融資決定によってまさにぎりぎりの局面で資金繰りにめどがたったということになります。ブルームバーグによれば、議長国ルクセンブルクの財務相が記者団に対して今回の合意がギリシャの信頼回復を支援する「きわめて建設的な決定(a very constructive decision)だ」と述べたうえで「目標は向こう数か月あるいは1年でギリシャを市場復帰させることだ」と語ったそうですが・・・

 で、この対ギリシャ融資、その本質的意味は「建設的な」ものといったポジティブなものではけっしてなく、単なる問題先送り策すなわち上述のとおり追い貸しに他なりません。こちらの記事他でも綴ったように3150億ユーロもの対外公的借り入れを抱える同国の債務持続性はとうに失われており、もはや大規模な借金帳消し以外に手がない状況・・・なのだけれど、これによって発生する巨額の貸し倒れ損(とかデリバティブ決済等)の重みに貸し手側が耐えられない(?)ために誰も思い切った決断ができず、結局は借金返済期限が迫るたびにこうした「建設的な」決定が繰り返される、というわけ(?)。したがってこの先も、おそらく100年後も(?)ギリシャとユーログループは同じことをやっているのではないか、なんて気さえしてきますが・・・

 ・・・とまあこれ、ユーロ圏の関係者―――ギリシャと欧州債権国とECB欧州中央銀行)―――だけでやっている分には、個人的には一向にかまわないと考えています。もっともありそうなシナリオはECBが最終的にはギリシャなどの重債務国の国債を引き受けまくり、通貨ユーロの信認が失われてユーロ圏は皆、インフレに沈む(?)・・・といったあたりでしょうが、わが国は早めに欧州の債権回収につとめるとともに、ユーロ建て資産への投資を手控えておけばそれほどのダメージを被ることはないでしょうから・・・(?)

 ここで気になるのが、国際通貨基金(IMF)の動きです。

続く

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【安倍首相退陣でもアベノミクスは不変?】国会にも報道にも他にすべきことがある④

2017-06-17 00:02:16 | 日本

前回からの続き)

 加計学園の獣医学部新設計画にかかる「総理のご意向」文書について、当初は確認できなかったとしていた文部科学省が15日、一転してその存在を認めました。これを受け、各メディアそして国会はますますこのスキャンダルに注力しそうな気配です。先にご紹介のように、これが最近の安倍内閣に対する支持率低下に大きな影響を及ぼしていることから、首相周辺としてはこれ以上、本件がネガティブな方向に発展する事態は避けたいところでしょう。

 ・・・先述の理由から、加計を巡る攻防にどれほどのエネルギーをかけたところで、国民が得られるものは皆無に等しいと考えています。万一、安倍首相らが加計のせいで退陣に追い込まれたとしても、それを機に「アベノミクス」の前回記した問題点が改善される方向に修正されることにはならないためです。当然ですがこれ、加計とは何の関係もありませんからね・・・。まあこのとき、名称の方はアベノミクスから次の首相の名前を織り込んだものに変更されるかもしれませんが、その本質すなわち円安インフレ万歳路線が変わることはないでしょう。上記のとおり政治家には政策が無いだけに・・・

 ・・・国家国民にとって大事なことは何か―――ホント、政治家や報道機関には見極めてほしいものです・・・って、これ何も難しいことではないはずです。財産価値の減少賃金低下、そして貧困・・・多くの国民の生活を脅かす数々の現実が、ソレだからです。先般ご紹介の経団連・榊原会長のお言葉を借りるまでもなく、身の回りにそれこそ「山ほど」あると思いますが、いかがでしょうか・・・

 ところで、海の向こうのアメリカも日本に似て・・・いや、もっとスゴイことになっているように思えます。「ロシア疑惑」の究明もいいけれど(?)・・・どう少なめに見積もっても日本の「山ほど」どころの騒ぎではないような・・・

(「国会にも報道にも他にすべきことがある」おわり)

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【国会が議論すべき項目、加計よりもアベノミクスに山ほど・・・】国会にも報道にも他にすべきことがある③

2017-06-15 00:01:36 | 日本

前回からの続き)

 国会やマスコミ各社が先述したような状態なので、両者の関心はどうしても「加計学園問題」のような政治的スキャンダルに集まってしまい、肝心の国家国民的な問題や課題がおろそかになる―――「国会で議論してほしい項目は山ほどある」前回ご紹介した経団連の榊原会長がこう指摘されるとおり、わが国の国会・・・そして報道の現状にはじつに嘆かわしいものがあります・・・

 では本来国会が議論すべき、そして報道機関が国民に伝えるべき項目とは何か?ですが・・・先に書いたとおり国民の生活に直接影響が及ぶもの、と定義できると考えています。議論等の優先度は、その(好悪の)影響が大きい順、といったあたりになるでしょう。これに照らすと、上記醜聞がいまの国会やニュースでの派手な扱いにまったく見合わないほどの小さな問題に過ぎないことが分かるわけです(って、加計の問題性を否定しているわけではありませんが・・・)。

 で、この定義に当てはまりそうな問題は・・・周囲に目をやればまさに「山ほどある」ことに気が付かれることと思います。これ、人それぞれでランク付けが違ってくるでしょうが、個人的に一例を挙げさせていただくと・・・リスクのデカさ、そして緊急性などの観点から、こちらの記事に書いた「『異次元緩和』のせいで日銀の財務が急激に悪化!」などは今国会において真っ先に議論され、そして新聞とかTVニュースでその懸念が大きく伝えられるべきテーマだと考えています。本件、地味だとかいう理由で(?)放置され続けると、日銀幹部の「尻拭い」をわたしたち国民が大々的にさせられる破目になりかねません。そうなる前に国会とかメディアが本問題のヤバさを告発、「このままでは巨額の国民負担は不可避に!?」などと広く周知することで、同幹部の暴走(?)に歯止めをかける方向に動かないと・・・

 これと大いに関連しますが、現・安倍政権の経済政策「アベノミクス」(≒円安誘導)は、この手のネタが「てんこ盛り」のはずです。本ブログでシツコク綴ってきたように、アベノミクスの開始以来、この国は超マイナス成長に陥り、国富の多くは失われ、人々の実質賃金は低下、エンゲル係数も悪化したうえ、国防力までが削ぎ落されてきたわけです・・・。これら、どれを取っても加計どころの騒ぎではないでしょう。なぜならいずれも国家、そして国民一人ひとりの生活にこうして目に見える形でダメージを与えるものだからです・・・

 本稿一回目にご紹介のとおり最近、一部の調査では安倍内閣の支持率が急降下しているようすが窺えます・・・が、その理由は上記スキャンダルと推察されるとのこと。つまり、これまで同内閣を支持してきた相当数の調査回答者が加計を理由に支持しなくなったようなのです。それにしても・・・内閣支持・不支持の決定要因が、その政策であるアベノミクス・・・ではなく、加計とは・・・。このあたり、上記の国会&報道の現状が国民の意識にも反映されているような気が・・・

続く

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【政策も法案も作れない分、国会議員は醜聞論争に萌える】国会にも報道にも他にすべきことがある②

2017-06-13 00:00:59 | 日本

前回からの続き)

 前回、「加計学園問題」への対処は調査当局に任せ、政治家やメディアは、国民生活に直接的な影響が及ぶ問題や課題にもっとフォーカスするべき、と書きました。先日の報道によると、経団連の榊原会長が今月5日の会見でこの問題が国会論戦の焦点になっていることについて、「優先順位からすると加計学園ではないだろう。国会でもっと集中して議論してほしい項目が山ほどある」と述べたとのこと。まさにその通りと思います。

 ・・・にもかかわらず、こうした嘆かわしい(?)現状下にあるのは・・・根本的には、わが国の国会とか国会議員がこちらの記事に書いたような立場にあるため、と考えています。つまり、この国では政策や予算編成そしてそれを裏打ちする法律(法案)の作成のすべてを「政府」要するに選挙の洗礼を受けない「官僚」が担ういっぽうで、国会・国会議員はこれらにほとんど関与していない(というか、できない)、ということ。言うまでもなく、そもそも国会とは「立法府」であり、その構成員たる国会議員すなわちlawmakerの第一の仕事は文字通り法案起草であるべきですが、与野党の区分に関係なく、議員先生の大半はこの役割をまったく果たしてはいない(というか、難しすぎて?果たせない)わけです。今般成立した退位特例法もしかり。今上天皇陛下のお気持ちを真摯に受け止め、これを作ったのは実質的には政府の側であって、立法府の人たちではありません。

 ・・・ではセンセイ方は普段、立法活動をほとんどしないで国会でいったい何をしているのか、というと、一方は「与党」として官僚が作った法案とか予算案に賛成一辺倒、もう一方は「野党」としてこれらに反対一辺倒、といった役割を演じています。このように、政府案に対する賛否の違いはあっても、政策ビジョンはないし法案も作れないという点では与野党に違いはありません(?)。その意味では「アベノミクス」も同じです。これ、政府=官僚機構(+黒田日銀インフレ万歳の経済学者ら)の政策に安倍首相らが乗っかっただけで、現与党にそのベースとなる理念とか目標があったわけではない・・・

 そんな議員各位が関心を持つ論戦のテーマは、どうしてもスキャンダルになりがちです。次の選挙で勝つためには相手を負かさなければならないけれど、政策なんて自分も相手も持っていないから論争なんぞできません(?)。したがって自ずと、政策とは違ったところでお互いの「失点」を見出すアクションを取ろうとします。こうして上記「議論してほしい項目」は「そっちのけ」となり、醜聞沙汰が国会を支配することに・・・(?)

 ・・・報道各社も、大事だけれど地味な(?)政策審議よりも、国民生活への影響は皆無(?)でも見た目は派手なセンセイ同士の不祥事バトル(?)のほうに飛びつきがち。なぜなら、それらは「絵になる」から。国会で日ごろ繰り返されている大臣答弁とか議員質問等はともに官僚の書いた台本をそのまま口パクしているだけで退屈(?)だけれど、スキャンダルをめぐる与野党議員らの攻防は、これとは違って双方とも「魂を込めている」ために迫力が違いますからね・・・(?)

続く

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【安倍内閣支持率、加計問題で急降下】国会にも報道にも他にすべきことがある①

2017-06-11 00:02:12 | 日本

 国会や報道機関には、他にするべきことが山ほどあるのではなかろうか・・・日本、そしてアメリカでも・・・

 わたしは新聞の定期購読をしていないし、テレビをそれほど見るほうでもないので、あくまでも主観的な印象になりますが・・・最近のテレビニュースのトップや新聞一面の見出し記事でもっとも登場頻度が多いのは「加計学園モノ」なのではないでしょうか。これ、個人的には関心が薄かったのでフォローしていませんでしたが、本稿を書き起こすに当たってチェックした内容と経緯をざっくり以下に記すと・・・

・・・学校法人加計学園の獣医学部の新設認可に関連して不明朗な部分があり、これに「総理のご意向」なる文科省内部文書がほのめかすように首相官邸最高レベルが関与した疑いが浮上、野党議員らが疑惑を追及する中で文科省元事務次官が当該文書を本物と証言し、これにあわてた(?)安倍首相周辺が当初は拒否していた本問題に関する再調査を約束して・・・といったあたり。この結果について野党民進党は12日正午までに回答するよう文科省に通告したもようですが・・・

 この加計学園問題、首相ならずとも小さな(?)スキャンダルとスルーすることができなくなってきた感じがします。というのも本問題が、ここのところ安倍内閣の支持率が急落したことの大きな原因となっているから。北海道新聞が5月の終わりに実施した内閣支持率に関する調査結果によれば、安倍内閣を「支持する」は4月の同調査から12ポイント減の41%、「支持しない」は12ポイント増の57%になったとのこと。さらに61日に発表された日経新聞電子版「クイックVote」では前回調査では52.1%だった内閣支持率が26.7%へとほぼ半減してしまったそうです。わずか12か月の短期間でこれだけ支持率が下がったのは、この間に発覚した不祥事(?)のせい、すなわちこの加計問題と推測するのが自然でしょう・・・

 ・・・とまあかように、事態は日本国の中央政権を揺るがすほどのインパクトを持つに至っているわけです・・・が、本件に全精力を注いでいる方々―――安倍政権関係者、与野党国会議員、そしてメディア等―――には申し訳ないけれど、これ、そこまで大騒ぎするような問題なのでしょうか。たしかに・・・特定の大学や学部の新設に総理大臣がルールを逸脱して介入するのはよろしくないし、何らかの調査等が必要とは思います。でも、この点で安倍首相がクロであってもシロであっても正直、自分自身の生活に何らの好影響も悪影響もありません。これは大多数の人々にとっても同じでしょう。であればこの件は調査当局に任せ、政治家や報道機関は、もっと大切なこと―――国家の発展や国民生活向上にダイレクトに関連する問題や課題―――にフォーカスするべきではないか・・・

続く

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