世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
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【トランプ氏、日本の核武装を容認!?】トランプ氏発言から分かるアメリカの弱体化①

2016-03-29 00:01:45 | アメリカ

 やはりアメリカはもう戦争ができない」くらいに弱体化しつつあるのだな―――アメリカの大統領選に向けた共和党予備選における同党最有力候補・不動産王ドナルド・トランプ氏の発言を聞くたびにその思いを強くします。

 トランプ氏は先日のブルームバーグとのインタビューで、イスラム国(IS)相手の戦争では戦略核兵器を使用することを排除しない(I’m never going to rule anything out)といった見方を示し、アメリカ国民ばかりか世界中の人々を唖然とさせました。いうまでもなくアメリカは核の超大国ですが、広島・長崎への原爆投下以降、歴代の大統領は核兵器を一切使わなかったし、その使用をほのめかすことも自制してきました。トランプ氏の上記発言はこれらとは真逆の姿勢を示すもので、もし本当に同氏が大統領になったら、アメリカは核兵器を安易に使うような非常に危なっかしい国になってしまうかも、なんて心配が世界に広がりそうです。

 もっとも、今回の「核使用もあり」をこれまでの発言を合わせて冷静に推察すると同氏の本心が見えてくる気がします。それは、アメリカはISが展開する中東地域に、かつて共和党政権がイラク戦争でやったような大規模な米軍地上兵力の派遣をするつもりはない、ということ。つまり同氏は、せいぜいが戦略核兵器を含めた爆撃程度のことしかアメリカはできませんよ、と言いたいのではないでしょうか。その理由は、いまのアメリカにはかつてのように、遠く離れた外国に地上軍を送り込めるほどの「マネー」つまり財政的な余裕がまったくないため・・・

 これと似たような観点からトランプ氏は、先日のNYタイムズのインタビューで日米安全保障条約について言及し、もし日本(と韓国)が在日(在韓)米軍の経費負担を増やさないのならばアメリカは日本(と韓国)から軍隊を撤収させる、と語っています。さらに同氏は同条約の片務性(日本が他国から攻撃を受けたときはアメリカ軍が日本のために戦うことになっているのに、その逆はない、といったこと)を問題視し、日米安保について再交渉する用意がある、とも。ようするに同氏は、日本(や韓国)との外交関係でも地政学などではなくカネ勘定を重視しているということなのでしょう。安全保障もアメリカの財政負担が軽くなればそれで良し、といった、ホテル経営者らしいビジネスライクな発想を感じます。

 ・・・ついてにご紹介すると、上記インタビューで同氏は何と!日本(や韓国!)の核武装を容認する姿勢を示したりしています(he would be open to allowing Japan and South Korea to build their own nuclear arsenals )。アメリカのパワー低下で日本はアメリカの「核の傘」を頼るよりは自分で核兵器を持とうとするだろう、という自身の見通しによるもののようですが、このあたり、非常に微妙なところがあるせいか日本語の記事がほとんど伝えられていないものの・・・いや~それにしても、そこまで言うか―――アメリカがかつて核攻撃した日本(つまり少なからぬアメリカ人が報復的な核攻撃をアメリカに対して仕掛けるかも、とひそかに恐れている国!?)に、核兵器を持ってもかまわないよ、みたいなことを米大統領候補が言っていいのか―――と驚愕するわけです、個人的には・・・。

 繰り返しますが、そんなキワドイ発言を連発するような人を大統領にしよう!と国民の多くが望むほどにアメリカは追い詰められている、ということなのでしょう・・・

続く

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【頼みの資源株・銀行株は安値に沈み・・・】Brexitしてもしなくても前途多難な英国④

2016-03-27 00:04:09 | ヨーロッパ

前回からの続き)

 こちらの記事等でも書きましたが、「Brexit」(英国のEU離脱)の是非を巡る議論が起きる前から、英国経済の唯一の支えである通貨「ポンド」の価値の多くは「資源株」とそのポンドを元手にした金融業すなわち「銀行株」に裏打ちされてきたと考えています。

 で、これらの株価はいま、どれくらいか、ですが・・・どれもここ5年来の最安値付近にあります。3/24時点(ロンドン市場株価)でみると、鉄鉱石大手BHPビリトンとリオティントの株価はいずれも5年前に付けた高値から60%前後も低くなっています。ダイヤモンドで有名なデビアスの親会社アングロアメリカンなどは5年前の1/6にまで暴落・・・。

 銀行株も同様です。HSBCの株価は2013年の高値から3割あまり、バークレイズは昨年夏の株価から5割近く、それぞれ大きく下がっています。英国政府の公的管理が続くロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)の株価に至っては223.6ペンスと、同政府による資本注入時の株価502ペンスを大幅に下回ったままです。ちなみに同行の株価ですが2007年の初頭、つまり米サブプライムローン・バブル崩壊直前には6千ペンス台の後半に達していました。いまはそのわずか34%ですから、同行がいかに不動産バブルに深く突っ込んで、その後始末に苦労しているかが推測されるわけです。

 さらに、こちらの記事に綴ったような状況(逆オイルショックで産油国の対英投資が激減するおそれ)から、英国とりわけ首都ロンドンの住宅投機のほうもこの先は非常に不透明。といったありさまで、英国では主要株価も不動産価格も今後はかなりの期間、下落・低迷することになりそう。これにともない企業等の過剰債務と銀行の過剰不良債権が顕在化し、貸し渋り&貸し剥がしでリセッションが深刻化するとともに金融システムが危機に陥ってポンド不安へ・・・なんて感じの「システミック・リスク」が英国では現実となる可能性が高いと考えられます。もうこれは構造的かつ不可避的な災厄で、EU離脱をしなければ回避できる、なんて甘いものではないでしょう。もっともBrexitのほうが、先述の理由などからこのリスクはもっと早く顕在化するように思えてなりませんが・・・

 Brexitでポンドがピンチに―――そのへんのトリガーになるかも、と個人的に予感させるのが、1992年の「ポンド危機」(当時のERM[欧州通貨制度]に英国が参加した際のポンドの他通貨に対するレートが高過ぎ、とみた投資家がポンドを売り浴びせたもの。これによって英国はERM脱退を余儀なくされた)のような展開です。当時と同じようにこの6月の国民投票の結果を受け、ジョージ・ソロス氏はポンド売りに動くのか・・・?

 ・・・となるかどうかはともかく、Brexitしてもしなくても、英国そしてポンドの未来が厳しいものであることは間違いないでしょう。よって日本としては英国やポンド資産への投資は当面、回避した方が無難ですね。近い将来、英資源大手が有力鉱山の権益を本邦企業に安値で売却しようとするまでじっくり待ちましょう(!?)

(「Brexitしてもしなくても前途多難な英国」おわり)

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【「Brexitはリスク」英銀の見方が正解?】Brexitしてもしなくても前途多難な英国③

2016-03-25 00:02:14 | ヨーロッパ

前回からの続き)

 「欧州連合」(EU)の「首都」ベルギーはブリュッセルで起きた卑劣なテロ。「イスラム国」(IS)が犯行声明を出したようですが、その真犯人が何者なのかはともかく、これによって英国の「Brexit」(EU離脱)派が勢いづくのは間違いないでしょう。EUと別れたら英国は、独自にISの本拠地シリア等からのアラブ・イスラム系難民・移民の入国を制限するルールを作ることができるからです。「凶悪なテロリストの侵入を認めないためにもEUから脱退すべきだ!」この訴えはいま、そしてこれからの英国で、非常に説得力のあるものになっていきそうな気配です。

 これに比べると、「EUに留まって、英国を支える唯一の(?)柱・通貨ポンドの価値を支え続けよう!」という(わたしが英国にお勧めする?)冷静で現実的な考え方はいかにも地味。通貨安の脅威―――このあたりはテロと違って、身に迫る危機感としてなかなか意識しづらいものですし・・・(って、いまの日本もそうだけれど?)。

 そして、先日ご紹介のボリス・ジョンソン・ロンドン市長がこのほど英議会で持論であるBrexitのメリットを主張しつつ、ポンドについては「英国経済と同じように強い通貨となろう」(will be as strong and robust as the U.K. economy)との見方を示しています。人気の政治家がBrexitしてもポンドは大丈夫!みたいなことを言っているので、通貨下落を懸念していた国民の多くが安心して(?)6月の国民投票でEU離脱にYes票を投じるかも・・・。

 さらにジョンソン市長は「シティー(ロンドンの英金融基盤)はEUの外で力強く繁栄し続ける」(the City would continue to flourish mightily outside the EU)と、たとえBrexitとなっても英国の金融業が傾くことはないと強気な指摘もしています。そのへんは当の業界―――バークレイズやHSBCなど、英国に本拠を置く主要銀行がBrexitの金融面でのリスクをたびたび警告しているのとまったく逆。で、どちらが正解か、ですが・・・まあプロである後者の予測―――「Brexitでポンドの価値も、シティーの国際的地位も下がる」―――が現実となる可能性のほうが高いのではないか・・・

 こちらの記事等でも書いているように、英国の金融機関は近い将来、大規模な資本注入が不可避となる事態に追い詰められるとみています。そのときの支援は多いほどいい、というわけで彼らとしては、英国当局ばかりではなくEU当局ともしっかりと連携しておきたいところです(?)。その意味でもBrexitはネガティブ。そうなったらEU側からのサポートがぐっと減ってしまうかもしれないし・・・。もっとも英銀の多くは、万一Brexitとなったら逃げ出す―――その本部をロンドンからEUやアメリカなどに移す―――のではないでしょうか・・・

続く

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【Brexitでポンド暴落、こそ英最大のリスク】Brexitしてもしなくても前途多難な英国②

2016-03-23 00:02:51 | ヨーロッパ

前回からの続き)

 Brexit」―――欧州連合(EU)脱退の是非を問う国民投票を6月にひかえ、英国では今後Brexit支持派が勢いづく可能性がありそうです。EUを脱退すればEUへの拠出金を払わずにすむし、シリアなどから英国をめざす大量のアラブ系難民・移民の入国を大幅に制限することも可能になるでしょう。かようにBrexitのメリットは分かりやすいうえ、人気の政治家ボリス・ジョンソン・ロンドン市長までがBrexitへの賛同を表明したこともあって、英国民の心は揺れるはず・・・「Brexitか否か、それが問題だ」・・・

 ・・・それでも英国民は最終的にEU残留・・・より正確にいうと、通貨「ポンド」の価値が下落しない道を選択するだろう、と予想しています。ポンド安は英国の国益に大きなマイナスとなると考えられるからです。

 先述のマーケットの反応から推測されるように、Brexitが決まったらポンドは、ドルや円などの主要外貨に対して暴落するでしょう。そしておそらくユーロに対しても相当に切り下がると思われます。いまよりもポンド安ユーロ高になる―――これは貿易の半分をEUに依存する英国にとってけっして良いことではないはず・・・。

 英国の対EU貿易は以下のようになっています(数値は2014年)、

  輸出額:1473億ポンド(全輸出額に対する割合:47.4%)

  輸入額:2206億ポンド(全輸入額に対する割合:52.8%)

これをみても分かるとおり、現時点でも英国の輸入超過傾向です。Brexitでポンドがユーロに対して安くなったらポンド建ての輸入額が膨らんで英国の貿易赤字は拡大してしまいそうです。

 もちろん、自国通貨安を「てこ」に対EU輸出振興を図る、という手も考えられなくはありませんが、実際にはほぼ無理でしょう。こちらの記事等で書いたように、いまの英国には輸出で顕著に稼ぐほどのモノ作り産業がないからです。

 まあ英国の有力輸出品として「自動車」こそ上げられますが、それらは自国資本ではなくドイツやアメリカや日本などの外国メーカーが英国で作っているもの。各社はいずれも、おもにEU市場への輸出を意図して英国に進出したわけですが、英国がEUから脱退すると同国産の自動車に課せられるEU諸国の関税が引き上げられる等のため、英国へのこれ以上の投資を手控えたり、なかには同国から引き上げるところもあるかも・・・といった具合で、輸出面についてもポンド安のメリットよりはBrexitのデメリットのほうが大きいことになりそうです。「Brexitで対英投資が減るおそれ」という見方はこのあたりに基づいているのでしょう。もちろん(失礼ながら)英国には自前で自動車を含む輸出産業を育てよう、なんて気概も能力もないわけで、今後もモノやサービスはすべて(?)外国に頼る以外の道はありません(首都ロンドンの電力供給まで中国製の原発に任せようというのですからね・・・)。

 そんな英国唯一の柱は、そんなモノやサービスを調達する購買力となる通貨「ポンド」の価値と信認。そのポンドを危険にさらす(他通貨、とくにユーロに対して安くさせる)Brexitは絶対にNG、というのが英国にとっては常識的な判断でしょう。

続く

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【Brexitでポンド一段安は必至】Brexitしてもしなくても前途多難な英国①

2016-03-21 00:02:52 | ヨーロッパ

 今年623日、英国は「Brexit」すなわち欧州連合(EU)からの離脱の是非を問う国民投票を実施します。さて、英国にとってBrexit、それともEU残留の、どちらが望ましいのでしょうか・・・?

 先月22日、英ポンドは主要通貨に対して全面安となりました。ロンドンのボリス・ジョンソン市長がBrexitを支持したことが原因とみられています。同市長は6月の国民投票でEU離脱派の運動に加わることを明らかにしました。これを受けてポンドは対ドルで前日比1.8%近くも暴落しました。

 注目されるのはこの日、ポンドがユーロに対しても大きく下がったこと(約0.85%下落)。ユーロを含む欧州通貨は総じてドルや円に対して軟調でしたが、そのなかでポンドはユーロ以上に売られたことになるわけです。となるとマーケットは、Brexitは欧州全体にとってもネガティブだが、当の英国にとってはEUなどよりもずっとマイナス面の大きな出来事になる、とみているのでしょう。まあそうだろうな―――個人的には同感です。英国にとってEU離脱よりも残留のほうが多少はマシ(?)と考えているので。

 ・・・もっとも、ジョンソン市長がEU離脱支持をこのタイミングで打ち出したことのインパクトは小さくないように思います。というのも同市長は、EU残留賛成の立場を取るデイヴィッド・キャメロン首相と同じ保守党・・・の下院議員としてのキャリアがあるほか、ロンドン五輪を大成功に導いたことなどからたいへん人気があるため。イギリス歴代の尊敬に値する政治家ランキングでも上位に食い込んでいます。こうしたことから今後、一般市民に加えて現与党である保守党の関係者からも同氏の意向に同調する人が出てくるかも・・・。

 そして、英国民にとってはEU残留のメリットがなかなか実感できないいっぽうで、離脱のメリットは分かりやすい、という面があると思われます。それによって英国は、年額数百億ポンド(日本円で数兆円規模)のEU拠出金を負担しないですむし、この先ますます増えそうなアラブからの移民の流入を制限できるからです。そんなこんなで、現在は劣勢(?)とみられるBrexit派が勢いづく可能性も・・・(?)

 まあそれはそれでこの国民投票が盛り上がっていいかな、なんて(失礼ながら他人事的に)みていますが・・・それでも、その結果は「英国、EU残留」となるでしょう(自信はないけれど?)。英国民は上記市場と同じ現実的な判断―――Brexitはポンドにマイナスみたいだから、やめておこう―――を下すでしょうから・・・(?)

続く

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【米政府もFRBも金融危機への対処を躊躇して・・・】アメリカ新政権を待ち受ける巨大危機⑥

2016-03-19 00:04:12 | アメリカ

(前回からの続き)

 アメリカの大統領選挙に至ることになる民主・共和両党の予備選を通じて、米国民の間ではバブル最大の受益者である金融界への怒りが高まるいっぽう、これがもとで来年スタートする新政権は、大統領が誰になるかによらず、そうした世論を意識して銀行に対して厳しいスタンスを取らざるを得ない。このため、米金融システム不安に対する当局の手当てが遅れ、救済等も不十分なものにとどまるので、結局アメリカは破滅的な金融メルトダウンの発生を防ぐことはできないのではないか・・・

 つまり・・・こちらの記事を含めて本ブログで何度か書いているように、アメリカは近いうちに間違いなく(?)金融危機に陥り、その対応策として政府は、銀行(および住宅公社)への財政資金投入の是非判断をいやでもするしかなくなるわけです。その金額は、ハンパない―――合計で数千億~数兆ドル単位(日本円で100兆円規模!?)にも達する桁違いの金額になるはずです。

 ところが、反ウォール街の感情が日増しに高まるなか、アメリカの納税者がそれほど巨額の公金、つまり血税の銀行注入をすんなり認めるとはとても思えません。「安易な銀行の救済、絶対反対!」「銀行の経営者の責任を追及せよ!」みたいな声がアメリカ中から上がって、米新政権は銀行に対する財政支援の実行になかなか踏み出せない。そうこうするうちに、金融危機はますます深化するという悪循環・・・

 ・・・そんなアメリカが最後にすがる手は、何度も指摘しているとおり、やはりFRBQE(量的緩和策)という名の中銀による実質的な国債の直接引き受け(財政ファイナンス)しかないでしょう(もっともこれだってFRBがヘンな見栄を張っている?ものだから、その再発動は手遅れになりそうだが・・・)。でもそれは・・・ドルの無限散布すなわちドルの価値と信認の急落、そして他通貨とりわけ「」、そして「」(ゴールド)の暴騰をもたらすものとなり、ドルによって支えられてきたアメリカの国力の低下を内外に対して決定づけることになるのではないか・・・

 アメリカの次の大統領(ヒラリー・クリントン氏?)は、その4年の在任期間中に、自国のマネー覇権の崩壊を目の当たりにすることを運命づけられている―――そんな気がしてなりません・・・って、それが現・オバマ政権中に起こる可能性も低くなかったりしてね・・・

(「アメリカの新政権を待ち受ける巨大危機」おわり)

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【米新政権は金融規制を強化せざるを得ない?】アメリカ新政権を待ち受ける巨大危機⑤

2016-03-17 00:03:34 | アメリカ

(前回からの続き)

 前回綴ったように、アメリカ大統領選挙の民主党予備選で本命ヒラリー・クリントン前国務長官に対してバーニー・サンダース上院議員が意外に(?)健闘しているのは、実際にできるかどうかは別にしても、同氏が「公立大学の無償化」「大銀行の分割」などの、金融バブルの「影」の面―――大多数のアメリカ国民を苦しめる元凶や状況―――を少しでも改善しようという意思を示しているからでしょう。

 このあたりの論戦ではクリントン氏は劣勢を強いられそうです。同氏は、前期オバマ政権時代(20092013)に国務長官を務めたように、金融業界を潤した巨大バブル発生に結果として関わった現政権に近い立場にいるからです(もっとも、実際にバブルを起こしたのは米政権ではなくFRB[のQE]ではあるが・・・)。加えていえばクリントン氏は「講演料」として米銀ゴールドマンサックスから60万ドルものおカネをもらっています。日本円にして約6800万円・・・事実上の献金と解釈できるほどの大金です。これを受け取った同氏は、やはり銀行業界へ便宜を図るつもりだ―――世間からそうみられても仕方ないでしょう・・・。「約束する、わたしは銀行からの献金は受けない!」サンダース氏の言葉に少なからぬ米市民が共感するのも分かる気がします。

 そんなクリントン×サンダースの争いを見ていると、アメリカでは「反ウォール街」(金融機関優遇はやめるべき!)の国民感情が予想以上に高まっていることを実感させられます。こうなると、次の大統領は誰であれ、そうした世論を無視できなくなり、銀行に対して厳しい対処をせざるを得なくなるのではないか・・・。

 で、具体的に何をするか、ですが、いちばん過激(?)なのは「too big to fail」(大きすぎてつぶせない)ルールの見直しか・・・。ペイオフ(アメリカは原則として10万ドルまでとなっている)など、最低限の預金者保護を行ったうえで大銀行の破綻を容認し、その経営者、株主、投資家にいっそう大きな責任を取ってもらう、といった感じ。その他、昨年7月から全面適用となっている「ボルカールール」(デリバティブとか商品先物取引の規制やヘッジファンドへの出資制限等)のさらなる強化も考えられそう。高まり続けるアンチ銀行の声を意識せざるを得ない米新政権は、これらを含めた政策を通じて金融規制を強めようとするかも・・・

 ・・・で、結局それらがいわば「足かせ」となって、間もなくやってくる金融システム危機において米当局に大胆な対応を躊躇させる結果、リスク連鎖が止められなくなって破滅的な金融メルトダウンが起こる―――そんな予感がするわけです・・・

(続く)

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【銀行分割、大学無償化が支持される背景】アメリカ新政権を待ち受ける巨大危機④

2016-03-15 00:02:20 | アメリカ

(前回からの続き)

 先述の理由から、アメリカの次期大統領にもっとも近い(?)ヒラリー・クリントン前国務長官が率いる「クリントン政権」が日本に対して「アベノミクス」の是正や環太平洋連携協定(TPP)の仕切り直しを求めてくる可能性は高くはないと考えられます(?)。ということで安倍政権・黒田日銀は、米新政権とはそれほど摩擦を起こすことなくやっていけるのではないか・・・

 ・・・アメリカの新政権が直面することになる真の大問題は、やはり世界的なバブル崩壊でしょう。こちらの記事にも書いたように、すでにこのプロセスは始まっているわけです。やがてこれがアメリカ・・・の金融システムに及ぶことは不可避と考えられます。これにどう対処するか?こそが次の大統領の最重要ミッションとなることは間違いありません(!?)。これに失敗するとたいへんなことに・・・といった意味で、いま大統領の座を争っている各氏はじつに度胸があるよな~と小心者のわたしは感心する次第です。もっとも共和党の最有力候補ドナルド・トランプ氏はABCの番組で、米経済はバブル(We’re in a bubble.)で、それが弾けつつあるのなら、自分が大統領になる前に弾けてほしい、自分がバブル崩壊を継承するのはいやだ、と、じつに正直に語っていますが・・・

 で、その大統領選の民主党候補指名レースですが、先日行われたミシガン州の予備選ではクリントン氏有利の事前予想を覆し、バーニー・サンダース上院議員が勝利しました。これで同氏の通算勝ち星は9つとなり、同13勝のクリントン氏に一歩、近づきました。個人的にはそれでもクリントン氏の優位は揺るがないと考えていますが、いっぽうでサンダース氏の健闘は米社会に大きな影響を与えそうだ、とも思います。というのは、これによって同氏の主張に注目が集まり、上記バブルの「影」に対する米国民の関心がいっそう高まるからです。

 「公立大学授業料の2年間無償化」「大銀行の分割や銀行を対象とした新税の導入」・・・サンダース氏が掲げる政策のなかには、バブルの元凶や弊害を取り除こうという意図が感じられるものが少なくありません(実際にできるかどうかは別だが・・・)。

 ・・・いまやすっかり「蓄財の府」と化した(?)感のある米大学の学費の支払いに若年層の多くが困窮するいっぽう、その学資ローンは日本円で数十兆円もの巨大金融ビジネスへと変貌しましたtoo big to fail」(大きすぎてつぶせない)をいいことに(?)、FRBがアレンジした超低金利環境(QE)のもと、大銀行はレバレッジを効かせたリスク資産投資で巨利をむさぼってきたわけです。その間、アメリカの一般市民は、高騰を続ける教育費、不動産価格や賃料、そしてガソリン代(最近は急激に下がったが・・・)などなど・・・つまりはバブルの負の側面に苦しめられてきました。そんななかでサンダース氏の上記主張が多くの人々の共感を得るのはもっともなところ・・・

(続く)

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【TPP、日本の国益にならず?】アメリカ新政権を待ち受ける巨大危機③

2016-03-13 00:00:48 | アメリカ

(前回からの続き)

 先述のとおり、アメリカの次期大統領にもっとも近い(と、わたしが勝手に予想する)ヒラリー・クリントン氏は、日本が輸出に有利なように為替操作をしている、とか、環太平洋連携協定(TPP)はアメリカにとって望ましいレベルに達していない、といった見方を示しています。このあたり、事実上の為替(円安)誘導政策「アベノミクス」およびTPPの双方を推進する安倍政権黒田日銀にとっては脅威を感じるところでしょう。

 しかし、かりにクリントン氏が大統領となっても、実際には「クリントン政権」がわが国に対してアベノミクスの軌道修正を強く求めてくることはないでしょう。というのは、アベノミクスはいまのアメリカ経済を後押しする方向に働くと考えられるからです。つまり・・・アベノミクスの本質的なねらいは(日銀の金融政策による超低金利誘導で)を「キャリートレード」の元手にすることで株や債券といった内外のリスク資産投資を活性化させようというもので、これは資産効果の高まり(株や不動産等の含み益の拡大で消費やローンが活発になるとか)、ようするに資産バブルに大きく依存した経済運営を進めるアメリカの意向とマッチする、ということ。

 他方で、アベノミクスには米国民が懸念するほどの(逆にいえば、日本人が期待するほどの)メイド・イン・ジャパンの対米輸出促進効果はありませんこちらの記事などで綴った構造や事情があるためです。したがってアメリカからすれば、総合的にみてアベノミクスは国益にプラス、ということでクリントン政権がこれを是正しろ!なんて日本に要求してくる可能性は低いだろうとみています。

 TPPについても、今年1月の大筋合意の内容をみる限り、アメリカにとってはそれほど悪いものではないように思えます。たとえば、アメリカに輸入される日本製の乗用車に課せられている関税(現在2.5%)はTPP発効後も25年間(!)にわたって維持されます。トラック(同25%!)に至っては30年間・・・。TPPによって日本の農業等市場は大きく開放させられるいっぽう、遠~い未来の先までアメリカ・・・の自動車業界とその労働者は関税のガードで守られるわけです(日本からすれば、安倍政権はTPPを通じた国益の増進[アメリカの対日関税障壁の撤廃と、わが国の農業基盤の保護および国民の「食の安全」の維持等]に失敗したといえそうです?)。であれば、アメリカの新政権がTPPに合意しない選択肢はあり得ないように思えますが・・・(って、TPPは現オバマ政権中に発効する可能性もあるが・・・)。

 以上により、来年発足のクリントン政権が円安誘導の是正&TPPの仕切り直し等を日本に求めてくることはなさそうです(?)。円安インフレを解消してくれるかも!?アヤシイ(?)外国産農産物の大量侵入を防いでくれるかも!?―――そんなアメリカの「ガイアツ」ですが、どうやら(わたしの勝手な)期待外れ(?)に終わりそう。ということで、上記クリントン氏の指摘は民主党支持層(労働者等)に向けたリップサービスに過ぎないのでしょう、きっと(?)。

(続く)

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【米新政権、円安誘導を非難か?】アメリカ新政権を待ち受ける巨大危機②

2016-03-11 00:00:04 | アメリカ

(前回からの続き)

 前回、アメリカの次期大統領にもっとも近い(?)民主党のヒラリー・クリントン氏はわが国の安倍政権黒田日銀が実施中の「アベノミクス」すなわち日銀の「異次元緩和」に基づく円安誘導政策を、自国の輸出産業に有利になるように意図した不公平な為替操作だとして批判する可能性があると述べました。さらに安倍政権が積極的に推進する環太平洋連携協定(TPP)についても同氏は、望ましい高い水準い達していない、といったネガティブな見方を示しています

 以上から、来年発足する(?)「ヒラリー・クリントン政権」が日本に対し、これらにかかる是正等を本気で要求して来たら、アベノミクスは大幅な軌道修正を余儀なくされるかもしれません。それは政府・日銀にとっては脅威・・・ですが、いっぽうでわが国の実体経済と市民生活にとっては恩恵となり得るかも、なんて個人的に期待するところがあります。なぜなら、これによって国民の大半を苦しめるばかりの超円安環境が、本来の望ましい為替環境、つまり円高方向に戻っていく可能性が出てくるからです。

 そのあたりの詳細については、こちらの記事を含めて本ブログではいろいろ書いているので省略しますが・・・そもそもアベノミクス(≒円安誘導)のような過激な政策は問題点やツッコミどころだらけのはず。にもかかわらず、これらを指摘する言論やアベノミクスとは異なる考え方が、この国のどこからも出てこないわけです。野党も、メディアも、経済学会も、誰も声を上げない・・・みーんな揃って年金支給額を大きくカットさせられるというのに・・・(!?)。これでは安倍首相が「これ(円安誘導)しかない!」と余裕で言えてしまうのももっともです(ちなみに・・・わたしなんぞは、「やれやれ売り」[民間セクターに外貨等の処分売りのチャンスを与えたこと]というたったひとつの功績(?)が、年金原資をつぎ込んだ公的リスク投資の大失敗(兆円規模の運用損)によって吹き飛んだいま、アベノミクスにプラス評価できるところは、もはやみじんもない、とすら思っています・・・)。

 そうしたなかで唯一、わが国の閉塞状態を打破し得るのが、「ガイアツ」・・・という名のアメリカの対日圧力かもしれません(って、農産物自由化とか郵政民営化などをみても分かるように、良し悪しは別として、いつの時代もそうだったりして!?)。きっとそれはアベノミクスにとって(経済対策に限っては、有権者の目には何がしたいのかサッパリ分からない?)野党などよりもずっと手ごわい相手となるでしょう。

 ということで、そんなアメリカの次の指導者となる(?)ヒラリー・クリントン氏とその政権には大いに期待する次第です。少しでも円安誘導の害悪から日本を救う力となってくれることを・・・。本当なら外国の内政干渉はどんなものでもお断りしたいところですが、この際、仕方ないか・・・

 ・・・と綴りましたが、実際にはアメリカの新政権が日本に対して反アベノミクス的なプレッシャーをかけてくることはないでしょう。クリントン氏は大統領として現実的な対日政策を展開すると考えられるからです。

(続く)

 本日で東日本大震災から5周年。震災で亡くなられた方々のご冥福と、被災地の一日も早い復興を祈念いたします。



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