世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
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【イエレン米財務長官、対中関税引き下げを示唆】アメリカ:ますます明らかになるインフレ鎮圧の難しさ①

2022-04-29 18:10:28 | アメリカ
 やはりね、そう来ると確信していたよ。でも、その程度ではしょせん「焼け石に水」。そして・・・繰り返しますが、何かと、不可能ですよ・・・

 「It’s worth considering.」(検討するに値する)―――アメリカジャネット・イエレン財務長官は22日、24日の米ブルームバーグテレビで、中国からの輸入品に課せられている関税の引き下げについてこう答えました。これ、ご存じのように、「関税男」(タリフ・マン)と呼ばれたドナルド・トランプ前大統領らが、米中貿易不均衡の是正に向けた制裁的なアクションとして2018年7月から順次始めてきたものです・・・が、消費者物価指数(CPI)の上昇率が直近(3月)で8.5%(というよりも米戦後初の実質マイナス金利5~6%)もの高さに達するほどの激しいインフレに「対処するためにできることをやりたい」(We certainly want to do what we can to address inflation.)とのことで、上記を含めた対中戦略を注意深く再検証しているそうです。これとの関連で、ピーターソン国際経済研究所の見積もりによると、対中分を含むトランプ政権時代の関税の撤廃によって、アメリカはインフレ率を1.3%ほど下げることができる、のだそうですが・・・(?)

 このあたり、以前稿「インフレに苦しむ米国民を救うのは中国か」(昨年5月)の⑤の記事の副題「米バイデン政権、物価高抑制のため対中関税の撤廃へ動く?」のとおりの展開ですね。これ、こうして遅くとも1年前には簡単に予想ができたことなので、個人的には驚きでも何でもないのですが、まあ同記事内で書いたように、旧トランプ陣営あたりからこれに対する反対の声が上がる可能性はあるものの、現バイデン政権にすれば(以下同記事引用)「ヘンなプライド(?)にこだわって対中関税を続けるよりも、それを撤廃して物価高を少しでも和らげたほうが、よほど米国民の利益になるし、よって支持率にも好影響を与えるだろう、というものです」・・・

 となると、今後はイエレン氏が上記で語ったとおり、米バイデン政権は対中関税の引き下げに踏み切らざるを得ないでしょう。足元のインフレが待ったなし状態、つまり上記記事当時(前年同月比で4.2%)よりもさらにヒドくなっているためです。そして、これまた繰り返し述べているとおり、アメリカはすでに(米FRBの)金融政策でこれを抑え込むことができなくなっています。であれば、金融政策以外の政策で少しでも・・・って、現状これくらいしかないでしょうからね。対中貿易戦争で完敗?いいじゃないですか中国に負けても、そしてトランプ氏らにそう批判されても、ちょびっとでも物価上昇ペースが緩やかになるのなら・・・

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【仏マクロン新政権はロシア・ウクライナの停戦実現に注力すべき】フランス国民にとっての脅威はロシアではなくインフレのほうだ⑤

2022-04-25 22:06:17 | ヨーロッパ
前回からの続き)

 ご存じのように、24日の次期フランス大統領の決選投票で、現職のエマニュエル・マクロン大統領が国民連合のマリーヌ・ルペン党首を破って再選を果たしました。それぞれの得票率は、マクロン氏58.5%、ルペン氏が41.5%だったとのことです。

 内外マスコミは上記結果について様々に報じてはいますが、先述のとおり、大統領が変わった程度のことで、フランスが良い方向にいくはずもありません。つまり・・・たとえばロシアなどに「破壊」(兵器・武器)ではなく「創造」の道具を作って売って国家国民を富ますことのできる国に少しはなっていく・・・なんて風には、まずならない(なれない)といったこと。もちろん、最悪の経済現象といえるインフレを抑え込むことも、上記そして前述したことから、まずできないでしょう。となると、かの国の次期政権にできることはおのずと限られてきます・・・が、そのなかで最優先するべきは、やはりウクライナ危機の収束でしょう・・・って、それがインフレ(≒ロシア産エネルギーの供給減がもたらす原油・天然ガスの価格押し上げ)の鎮静化に効果があると予想されるためです。

 で、そのウクライナ情勢ですが、こうなってしまっては―――ロシアがウクライナ東部のロシア系住民の比率が高いエリアの実効支配を確固たるものにしてしまった現状のもとでは―――ウクライナの領域をロシアの軍事侵攻以前の状態に回復させるのは極めて困難・・・って、ロシアがそれに応じるはずがないからです。けれど、だからといってウクライナがロシアと失地挽回のために戦い続け、そしてフランスやアメリカを含むNATOがどれほど同国を(軍事面を含めて)支援したところで、ロシアを軍事的に追い出すこともできないでしょう。そうする間にも国力の乏しいウクライナは破綻のふちに立たされかねません・・・

 ではどうすべきか、ですが、ロシアとNATOが戦略的に和解する・・・って、ルペン氏の主張のようですが、和解(rapprochement)というワードを使うかどうかはともかく、ロシアとウクライナは第三者が間に入ってどこかで停戦させるしかないでしょう。戦争はロシア・ウクライナばかりかフランスを含めた欧州にとって何のプラスにもならないためです。けれど実際には・・・ロシアは安全保障の観点から確保したエリアをけっして手放さないでしょうし、いっぽうでウクライナはその返還等を強く求めるでしょう。う~ん・・・

 で、そんな双方の顔を立てるために、たとえば・・・ともかく戦争は止めにする、ロシアはウクライナ領内の占領地から軍隊を撤収させる、他方でウクライナは自国内ロシア系民族に広範な自治権を認めるとともに対ロ・対欧州で中立を保つ、ということにします。そして個人的に勧めたいのが、こちらの記事に書いた、ロシアから欧州に輸出される天然ガスのウクライナ領内を経由するパイプラインでの輸送量を増やすこと(ウクライナにもガス通過料の増加というメリットがあるようにすること)。こうしてウクライナにもロシアと戦ったことのプラスの見返りがあるようにすることが大事なように思えます・・・

 上記のような危機収束に向けた取りまとめをリードすることこそ、フランス・・・の次期マクロン政権に期待されるところと考えます。別な言い方をすれば、経済的にはユーロ圏内でも平均値を下回りつつある?かの国にできることは、そのあたりの外交的な面で関係国をリードするくらいでしょう・・・が、とても重要なことではありますよ。なので・・・まあ高難度には違いないですが、ちょっとは期待したいですね、無益なインフレを少しでも抑えてほしい、という意味でも・・・

(「フランス国民にとっての脅威はロシアではなくインフレのほうだ」おわり)

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【仏の衰退、ルペン氏が独自通貨導入を訴えなくなったことからも分かる…】フランス国民にとっての脅威はロシアではなくインフレのほうだ④

2022-04-23 17:21:38 | ヨーロッパ
前回からの続き)

 明日24日の次期大統領の決選投票を前に、内外のメディアが、フランスについていろいろと論いているところですが、前述のように、かの国は変わりようがない・・・というより、少し前、厳密には前回2017年の大統領選の頃よりも国力を低下させていることからしても、今後はいっそう衰退していく、ウクライナ情勢などとは無関係に―――とみるべきでしょう(?)。

 上記のようにいえる根拠が、このたびの上記選挙に立候補しているマリーヌ・ルペン国民連合党首が、前回は主張していた共通通貨「ユーロ」圏からの離脱と独自通貨(新フランス・フラン?)の導入を今回はまったく?訴えていないこと。これ、無茶、つまり、そんなことをしたらフランスはますます厳しい状況に陥るってことが、ようやく?ルペン氏らにも分かってきた、ということなのでしょう。

 そのあたり、本ブログ風に手短に解説すると・・・フランスはユーロ圏においてはおおむね「平均的」(ユーロ圏における国債価格の高い順[長期金利の低い順]を示す不等式「独>蘭>仏>西>伊>・・・>ギリシャ」で仏は中間くらい)な位置にいる(いた?)のが、経済の構造的な低迷ぶりのせいで、いまや平均ラインを下回ってしまった可能性もあります。よって、かりにフランスがユーロから独自通貨に切り替えたところで、それはユーロよりも弱い通貨となるでしょうから、ただでさえ赤字傾向の同国の国際収支はいっそう悪化して・・・となるのがオチでしょう。通貨安でユーロ圏への輸出振興?無理無理、軍需セクター以外に、かの国の産業で競争力がある分野はほとんどないのだから。

 であれば・・・まだ(ドイツ等の自分よりも強い国々の経済力の信認で裏付けられる)ユーロ圏に留まった方がマシ、ということで、しばしば「極右」などと表現され、その点から反ユーロ・反EUに思える?ルペン氏までも、これらから脱して一国(独自通貨)でやっていくのは不可能だから、せいぜいその枠内でできることを、となって、先述のようなエネルギーインフレの鎮静化にフォーカスした政策を提唱することにした、と思われます。もっともその実現には、欧州へのエネルギー供給大国であるロシアとの関係改善が必須条件となるから、同じ「枠内」で、どこまでできるかは分かりませんが・・・

 といったように、上記投票の結果は注目はされるものの、次期大統領が誰になるかにかかわらずフランスの将来には―――少なくとも経済には―――明るい材料が見当たらない印象です。そのあたりはユーロ圏、さらに欧州全体も同じ。それは、こちらの記事に書いたユーロ圏の構造的な問題があるところに、今後、ドイツもフランスも(対ロの観点から)軍事予算を拡大するであろうこと等からさらなる財政悪化が見込まれること(インフレが高進するしかないこと)、そしてロシア産エネルギーから割高な他国産エネルギー等に切り替えることでエネルギーコストの上昇が懸念されること、などなどのため。これらのダメージを和らげるなら、ルペン氏の訴え(ロシアと[フランスを含む]NATOとの戦略的和解等)が現実とならなければなりませんが、はたしてフランス国民がこれを選択するでしょうか・・・

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【武器輸出大国の仏、ロシアも重要なお客様…】フランス国民にとっての脅威はロシアではなくインフレのほうだ③

2022-04-21 22:16:23 | ヨーロッパ
前回からの続き)

 次期大統領の決選投票が目前(24日)に迫っているフランス・・・ですが、現職のエマニュエル・マクロン大統領、それともマリーヌ・ルペン国民連合党首のいずれが新しいリーダーになろうが、フランスの将来は明るくはないでしょう。そのあたり、まず指摘できるのはインフレ、とりわけエネルギーインフレが鎮まる見通しが立たないこと。まあこれ、前述、そしてこちらの記事に書いた事情等があるために、同国に限ったことではなくユーロ圏ではもう防ぎようがないので、大統領が誰になるかにまったくといってよいほど無関係ですが・・・

 そして、さえない国際収支も、かの国の先行きを暗示しているように思えます。報道によると、フランスの2021年の貿易収支は847億ユーロ(970億ドル)の赤字と、過去最大となった、とのこと。その最大の理由は、エネルギー価格の上昇で輸入額が膨らんだため。12月だけで赤字額は110億ユーロと月間ベースでも過去最大の赤字を記録したとのことです。他方で輸出は・・・頼みとするエアバス社の航空機の売上が落ち込んだこともあってふるわず、といったことで上記のとおり、となっています。

 個人的に、ここで思い出されるのは、こちらの記事にご紹介した潜水艦ビジネス(当初、フランスがオーストラリアに[通常型]潜水艦の輸出を計画していたのを、原子力潜水艦の技術供与を表明した米英が、事実上、その売り上げを横取り?したもの)。詳細はここでは省きますが、これ総額650億ドルもの巨額になるわけです。であれば、マクロン大統領が(もしかしたらロシアのプーチン大統領に対して、よりも激しく?)米英に対して怒るのも無理はありませんね。これ失注でフランスは大ダメージですからね・・・

 この潜水艦もそうですが、フランスはもうずいぶん前から兵器・武器を海外に大量に売りさばいてきました。その例をあげるときりがないほど?ですが、じつは、あのロシアも大切な?お得意様?です。そのあたり先日、同国のNGOが、フランスは2年前まで最新鋭の武器を同国に輸出し続けていた、と伝えました。2014年にロシアがウクライナに軍事侵攻してクリミア半島を併合した際、ロシアへの武器輸出を禁ずる制裁が導入されたのにもかかわらずフランスはその後も売り続けたとの由。同NGOは、武器の一部はいまのウクライナ侵攻に使われている可能性があると指摘しているそうな。そういえばフランスは2014年の上記侵攻の直前~その最中に、ロシアに対し、よりによって?強襲揚陸艦を売却する、なんてことをしようとしていましたね(って、国際的な非難を浴びて、しぶしぶ?売却契約を破棄し、ロシアに違約金を払った、ってことになった、と記憶していますが)。

 とまあ、おフランスとは、本当はそんな国です、誰でもご存じでしょうが(って、イタリアやスウェーデンなども、そう)。それをどう評価するか、は別にしても、裏を返せば、それはフランスに自動車や機械といったマトモなモノ作りの競争力がないことを意味しています。だから、せめて競争力?のある「破壊」の道具の輸出で、せいぜい金儲けを・・・
 
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【インフレ抑止、金融政策では無理なのでロシアとの和解で…ってこと】フランス国民にとっての脅威はロシアではなくインフレのほうだ②

2022-04-19 00:03:51 | ヨーロッパ
前回からの続き)

 先述したことからも推測できるように、フランス国民にとって現下の最大の脅威はロシア・・・ではなく、エネルギー価格を筆頭とするインフレといえるでしょう。単純に、それこそずっと身近で、かつ確実に自身の経済生活にダメージを及ぼしているからです。これに比べれば、ウクライナ危機は・・・たしかにロシアはけしからん、とは思うものの、(ウクライナ難民が大量に流入中の)ポーランドやモルドバなどとは違って自国の国境線から東にずっと遠いエリアの出来事で自分事とは感じにくいよね、といったあたりでしょう、少なくとも一般的な仏国民の本心は。つまり・・・ウクライナに思いを寄せるゆとりがないほど、目の前のインフレがヒドい、ってことで・・・

 この点、フランス・・・を含む共通通貨ユーロ圏においては、最近ではこちらの記事に詳述したとおり、本来ならインフレの抑制に動くべき中央銀行欧州中央銀行)が、(もはやフランスを含む?)南欧諸国(イタリアギリシャなど)などの支払い能力の低い国々の債務を持続可能にするために、どうしても金融緩和的な―――インフレ喚起的な(低金利誘導の)―――スタンスを取らざるを得ません。したがって、フランスらがインフレを抑えようというなら、金融・通貨政策以外のところで、その要因を取り除く必要に迫られるわけです(っても、インフレ鎮圧はあくまでも金融政策で行うべきなので、その効果のほどは限られますが)。で、それは何か?いまの欧州で、ってなれば、当然、ウクライナ危機・・・に起因する部分でしょう、エネルギーインフレのうちで。

 というところで、次期の仏大統領の座をめざす国民連合のマリーヌ・ルペン党首は、そのあたりで現職のエマニュエル・マクロン大統領とは、前述のようにほぼ180度異なる対ロシアの姿勢を示している、という印象です。それらは一見、親ロシア・親プーチンに思えるかもしれませんが、そうではなく、同氏が語るように、対ロ制裁の対象からのエネルギーの除外とか、ウクライナ危機収拾後のロシアと北大西洋条約機構(NATO)との戦略的和解などによって、欧州におけるエネルギー需給を緩和させる・・・ことで、仏国民をインフレの苦しみから解放したい、少しでも・・・ということなのだろう、と理解しています。

 逆に言うと、マクロン現政権(を含むNATO加盟国の大半)の対ロシアのスタンスのもとでは、(ルペン新政権?よりは)ロシアを多少は?苦しめることができても、同国産原油&ガスの欧州への供給が大きく制限されてしまいかねないため、それらのプライスがどんどん上がって、結局、人々の日常生活・・・はもちろん経済全体に及ぶインフレのダメージがますます大きくなって、フランス国家はいっそう弱体化へ、となる可能性は・・・低くはないでしょう、控えめに逝っても・・・

 もっとも、いずれが大統領になるにせよ、そしてロシアとの関係がどうなるにせよ、フランスの経済的な将来の見通しは・・・暗い感じです・・・

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【ルペン氏の支持率、現職マクロン氏に接近?】フランス国民にとっての脅威はロシアではなくインフレのほうだ①

2022-04-17 17:45:39 | ヨーロッパ
 欧州の大半の人々の本音は、この物価高を何とかしてほしい、ということのほうだとは思えますが・・・

 今月24日に決選投票が行われるフランス次期大統領の決戦選挙。10日の1回目の投票でそれぞれ得票率1,2位となった、与党(共和国前進)で現職のエマニュエル・マクロン大統領と、野党の国民連合のマリーヌ・ルペン党首が進むことになりました。現時点の世論調査結果によれば、ルペン氏がマクロン氏を追い上げている・・・とはいえ、マクロン氏が依然優位、といったところのようです。ちなみにこのお2人、前回の同投票(2017年)でも戦っており、そのときはマクロン氏が66%の支持を得て勝利していますが、さてどうなるでしょうか・・・

 今回の上記選挙が注目されるのは、やはり今般のウクライナ危機に対する両氏のスタンスが大きく異なるためでしょう。よって、マクロン大統領が再選されたら、まあ現職ですから、そのあたりのフランスの現状の方向性に変化はないのでしょうが、ルペン氏が勝ったら大きく変わってしまう・・・って、場合によっては同国はいまとは逆の路線に向かおうとするかもしれません(?)。現にルペン氏は、欧州によるロシア産の原油及び天然ガスの制裁の阻止、そしてフランスの北大西洋条約機構(NATO)の統合軍事機構からの離脱とウクライナ危機後のNATOとロシアの戦略的和解を提唱していますからね。

 では、ルペン氏はどうして上記のような主張をしているのか、ですが・・・人々の所得を守りたいため、としています・・・ってフランス国民を苦しめているインフレから。でそのインフレを鎮めるためには、何はともあれエネルギー価格を押し上げる要因を除かなければなりませんが、それこそ現下のウクライナ危機にともなう上記の対ロ制裁そしてエネルギー供給不安だから、上記の対応をします、ということでしょう。

 このあたりルペン氏は、ロシアへの制裁に反対しているわけではなく、その他の制裁には全面的に(perfectly)賛成、としつつ、「(ロシアからの)原油と天然ガスの輸入停止の決定で、フランス国民が大打撃を被ったと感じてほしくはない」(I don’t want the French to feel the full force of consequences stemming from any decisions to stop the import of oil and gas. )と述べ、自身の上記目的はあくまでもエネルギーインフレを抑えたいということで、親ロシアとか親プーチンではない、としています。他方で、この主張は、自分ではなくマクロン大統領が再任されるとエネルギー需給がひっぱくしてインフレがヒドくなるぞ、という警告のメッセージを含んでいる、といえそうです。

 実際、フランスの3月の消費者物価指数は前月比1.4%、前年同月比で4.5%の上昇と、フランス国民がインフレの脅威を身近に感じるレベルに至っています・・・ってロシアの脅威以上に(?)。

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【目の前のキョーレツなインフレがモーニングコールとなって…】夜明け前の一番黒い時期にある日本⑦

2022-04-13 22:00:18 | 日本
前回からの続き)

 夜明け前がいちばん黒い―――この瞬間、まさに黒い、というのは、経済に関心の薄い方にもそろそろ実感いただけることでしょう。もちろんそれはコロナ禍だから、ウクライナ危機だから・・・ってわけではなく、自国の金融政策のせいで、ってことに、です。けれど・・・どれほど黒くても、わが国に明けない夜なんてありませんよ・・・

 ご存じのように、昨日12日に発表されたアメリカの3月の消費者物価指数(CPI)は前月比で1.2%上昇、そして前年同月比8.5%上昇と、先月の同7.9%からさらに上げ幅を広げてきました。これ、約40年ぶりもの上昇・・・って報道されていますが、こちらの記事等でも書いたように、そんなことよりも実質金利(=名目金利-インフレ率)が空前絶後のマイナスの深みにさらに沈み込んだことのほうが超重大です。FRBは直近のFOMCで政策金利を0.25%上げましたが、これ上記のたった1か月(2→3月)のCPI上昇幅(1.2%)だけで軽~く打ち消しされてしまいました・・・

 そのへんからも十分に分かるように、そしてこちらの記事に書いたとおり、もうアメリカは実質金利を二度と?プラス圏・・・どころかゼロ近く(にするには政策金利で8%近く!?)に持ってくることすらできないでしょう(?)。となればアメリカ・・・とFRBは、現在の政策金利・・・ではなくて上昇中の長期金利の高さ(13日21:00時点で2.7%台)に・・・っても上記CPIの8%台よりもず~っと低いレベルで耐え切れなくなって、またも(またも、またも・・・)・・・となるのがオチです(?)。それは、歴史的に見れば、時代が次のステージに移る前に、ときの帝国やら王朝やらがたどったコースと何ら変わりません・・・

 だから、日は必ず昇る。なので、この黒さは、きっとモーニングコールだと信じます。これほどキョーレツでないと、わたしたちは眠ったまま・・・って、世界そしてこの星がいっこうに進化しないままになってしまいますからね・・・

(「夜明け前の一番黒い時期にある日本」おわり)

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【黒田日銀は日本の実力を本来の半分程度にまで削ぎ落してしまった…】夜明け前の一番黒い時期にある日本⑥

2022-04-11 22:22:23 | 日本
前回からの続き)

 前回、黒田日銀がその金融政策「異次元緩和」で円安エネルギー)インフレを煽りまくっているところで、今度は本邦政府が「緊急経済対策」と称して、そのインフレの頭を抑えようとする狙いがあるかのような?財政政策を講じる・・・って、金融(インフレ扇動)・財政(インフレ抑圧?)の両政策のベクトルが完璧に?逆になっているところが、わたしにはまったく理解ができない、といったことを綴りましたが・・・

 理解を!・・・ってことなんだそうです(?)。すでに報道されているように、先日、岸田文雄首相は、目下の物価高騰について、「国民生活や経済を守るための対策は講じていく」と述べました・・・が、これ「国際的な平和秩序を守るための正念場であること」に理解を、ってことで、その原因を・・・対ロシア経済制裁等に伴うものとしているから、やはり理解不能・・・ではなく、日本政府としては、ウクライナに軍事侵攻した悪者ロシアのせいでインフレが激しくなったかのように思わせることで、その真犯人が黒田日銀・・・が誘導中の円安であることを国民に気づかせまい、としているってことは、やはり理解可能ですね、超楽勝で・・・

 そんなこんなで、この瞬間も円安が・・・って、世界の通貨の中で、日本円だけがほぼ独歩安になっているわけです・・・って、ロシアの通貨ルーブルにも負けるほどに。それがどれくらいかというと・・・この2月時点(1ドル115円くらい)の円の実質実効為替レート(2010年を100)は67.55と1972年以来の低水準になっています(データはBIS、日経報道)。そうなってしまったのは、すべてロシア・・・じゃなかった米FRB・・・でもなかった黒田日銀のせいと言い切ってもいいでしょう、上述、そして本ブログでうんざりするほど書いているとおり・・・

 それどころかこの瞬間(11日21:00)は同125円にまで急速に円安が進んでいるから、このレート、目の前でどんどん低くなっています。これで計算すれば、日本経済は本来の「半分」近く(67.55/125)まで縮小してしまったわけです。こんなドツボな国、控えめにみても21世紀の世界のどこにもありませんし、愛すべき国をこれでもかと意識的に陥れて理解を!なんてやっている政府・中銀も二度と現れないでしょう、この国以外に・・・

 ああ、こう書いていても息が苦しくなるほどの祖国の転落ぶり、そして、募るばかりの孤独感(って独裁者にたとえられる「円安」氏に対して「ノー」の方が自分以外にいない、という意味です)、あまりに黒い、真っ黒田・・・というのが正直な現在の心境です。悲しいくらい急速に最高値を更新し続けるゴールド)の円建て価格を前にして・・・

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【日銀・財務省OBが金融政策で本邦財政収支を悪化させる、っていったい…】夜明け前の一番黒い時期にある日本⑤

2022-04-09 19:05:57 | 日本
前回からの続き)

 黒田日銀の金融政策がもたらす最大の災厄は円安であり、これが、世界的にインフレが高進する中(アメリカがもはやドルモノ[≒エネルギー]に対する価値の維持ができない中)、わが国の国家的弱点「エネルギー」の円建て価格を跳ね上げて国民生活をいっそう悪化させるのはもちろん、その円換算輸入額を(円安のプラス面としきりに強調される?)輸出額を凌駕するほどに膨張させ、わが国の純資産をすり減らす方向に作用しているわけです・・・

 このように、外国への支払いがどんどん増え、そのせいで純輸出がマイナス、となると、わたしたちの賃金・給料は増えない・・・どころか実質的に減少の一途をたどるのは当たり前でしょう。え?「それはロシアウクライナ軍事侵攻のせいです」って?はいはい、そうでしたね本邦メディアのみなさん。でもそういった報道を繰り返していると、読者・視聴者はみなさんにおカネを払わなく・・・って、いや払えなくなりますよ。国民に新聞購読を断念させるほどの物価高の真因はウクライナ情勢にはないのだから・・・

 そして、上記以外の、黒田日銀の人為的な円安誘導の弊害として、それが肝心の本邦財政にもダメージを与えることも指摘できるでしょう・・・って、同誘導なんてしなければ不要だったはずの下記の財政出動を招いた、ということです。このたびのエネルギー等原材料の円建て価格の高騰を受け、政府は5日、「原油価格・物価高騰等に関する関係閣僚会議」を開催し、同席上で岸田文雄首相が、これらに悪影響を受ける人々に必要な支援が行き届くよう具体的な施策の検討を各省庁に指示しました。これらも含めた緊急経済対策の財源には今年度予算に計上された予備費とコロナ禍対策予備費の合計5.5兆円の一部を活用するとのことです・・・

 ホント、この国の政府・中銀はスゴい、としか形容のしようがありません、政府と黒田日銀のエネルギーインフレに対するスタンスが真逆になっているという点で。上記のように、黒田日銀が所期の目標達成―――「アベノミクス」開始時に政府(安倍政権)と一緒に掲げたインフレ年率2%程度の達成―――に向けて上述のようにエネルギーインフレを一生懸命煽り立てている・・・というのに、ここへきて政府は財政出動によってその価格上昇の頭を押さえつけようとしている―――黒田日銀の上記「成果」(?)をあたかも否定するかのようなスタンスに立とうとしている?―――ことになります。そんな完璧といってよいほどの?ちぐはぐさ・・・。頭のよくないわたしには、政府・黒田日銀はいったい何をしたいのか、あまりに異次元過ぎて、まったく理解ができません・・・

 この点、さらにいえば、上記対策には、わたしたちの血税が充てられるわけだから、その分だけ国の財政収支を悪化させかねません・・・って、これを余儀なくさせる円安インフレを喚起しているのが、現日銀総裁で、ほかならぬ財政の元締めである財務省のOBである黒田東彦、って、いったいどんだけ・・・

 ということは、その穴埋めは・・・近い将来の大規模な消費増税で、ってことになるのでしょうね、当然ですが・・・(?)

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【巨大すぎる双子の赤字を見てもドルのインフレ通貨化は不可避だが…】夜明け前の一番黒い時期にある日本④

2022-04-07 21:40:12 | 日本
前回からの続き)

 先述した状況から、日本の「アキレス腱」(外国から輸入する以外にない国家的弱点)である「エネルギー」のドル建て価格は今後、(多少は変動しながらも)延々と上昇し続けるでしょう。それはドルが、エネルギーに代表されるモノに対して、恒常的に価値を下げていくことを意味します。そのあたり、どうしてそうなるのか、については、最近ではこちらの記事に書いたとおりですが、ではドルのモノ(≒エネルギー)に対する価値が下げ止まることはあるのでしょうか・・・って、可能性はきわめて低いと思われます、以下の点からしても・・・

 米商務省が2月に発表した2021年の貿易統計によると、アメリカの貿易赤字額は前年比18.3%増の1兆907億ドルと、2020年を上回って過去最高(最悪?)を更新するとともに、はじめて1兆ドルの大台も超えました。内外メディア報道によると、そこはコロナ禍からの景気回復で輸入が増えたため、とのことですが、ともかく、わずか1年間でも差し引き1兆ドル超のドルが外国(とくに中国[対中貿易赤字額は前年比14.5%増の3553億ドル])に流出してしまったわけです(・・・って、前も書きましたが、米中貿易摩擦は中国に非があるのではなく、同国産輸入品を代替するモノを自分で作る力量もスキルもないアメリカ自身に根本的な原因があるとみるべきですよ)。

 となると、アメリカ国内では当然ながらおカネ不足になるから、同国の財政赤字もまた膨らむことになります。で、その2021年度(2020年10月~2021年9月)の同赤字は2兆7720億ドルと前年度(約3.1兆ドル)に次ぐ過去2番目の大きさになりました(って、それでも前年よりかなり減ったというべきなのか…)。となれば・・・本来ならアメリカの「金利」は現在よりもずっと高くなって当然・・・ですが、それだと同国は耐えられないので、遅かれ早かれ同じこと―――FRBの量的緩和(≒中銀による国債の直接引き受け)によるドル増刷―――を繰り返す羽目になります(?)。何度も指摘するように、それは、もはやアメリカにはインフレ(とくにエネルギーインフレ)の抑圧ができないということになるわけです・・・

 ホント戦慄するしかありません・・・って、そんなアメリカ&ドルに・・・ではなく、そんなアメリカ&ドルに・・・対して一段と円安をもたらす政策(「異次元緩和」)を黒田日銀が続けることに、です。そしてその弊害が、世界一のエネルギー効率の恩恵(同コストの低減効果)を差し引いても露わとなりつつある―――エネルギーインフレが国民の生活を蝕みつつある―――というのに、政府・マスコミ・経済学会を含めた誰も黒田日銀の上記政策に何らの疑問の声を上げないという風土(?)にも・・・

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