(前回からの続き)
前述、そして本ブログで繰り返し論じてきたように、アメリカはインフレに突き進む以外にない=その通貨ドルは劣化し続け(て最後は紙くずにな)るしかない、というところで、あらためて「誰が大統領になっても変わらない」し、変えようがないわけです・・・
そのあたり、これまた、遅くとも昨年12月の記事「金に駆逐されそうなドル」でも念押し済みです。すなわち、金(ゴールド)は金利を生まない資産だから本来は金利が上昇すればその価値は下がりますが、実際は真逆もいいところ・・・って、そこは前回ご紹介の不動産価格とまったく同じトレンド、といった有様です。事実、ドル建ての金価格は、FRBの政策金利がゼロ%(~0.25%)だった2022年3月時点で1トロイオンス当たり1900ドル台(瞬間的に2000ドル台前半)をつけていましたが、同5.5%(もの、本来ならば相当な高金利状態)の現在は同2400ドル台半ばと、2年ちょっとで25%ほども値上がり・・・どころか(不動産価格と同じく)史上最高値付近に到達しています・・・って、この間のドル預金にはそこそこの利息が付き他方で金にはまったく付かないのに、です・・・
こうなってしまうのは前記したとおりです。つまり・・・アメリカは不動産価格を永遠に上げ続けるしかないから、FRBとしては、これに下押し圧力をかけることになる金融引き締め(利上げ)はどうしても手加減をせざるを得ず、結果として金利が十分に上がらない(上げられない)ため、同価格はもちろん金価格(ドル建て)の値上がりもまた抑えられなくなる、ということ・・・
この点は、本質的に「不動産」以上に重大です。というのも金は文字どおり金・・・って「おカネ」(マネー)だからです。ようするに「おカネ」としてのドルの価値を高めよう(悪くても維持しよう)にも上述からそれには「ガラスの天井」(≒これ以上に利上げしたら不動産価格の上昇率が長期金利に追いつかれるレベル)があるために金の価値にはもう届くことがない・・・から同じ「おカネ」なら金(ゴールド)を「持とう・使おう」となっていく・・・反面、ドルは「手放そう」となっていく、といった次第です・・・
1980年前後、アメリカで激しいインフレ(ドル価値劣化)が巻き起こった際、当時のポール・ボルカーFRB議長は政策金利を最高で年20%(1981年)にまで引き上げました。これ「ボルカー・ショック」と称されるほどのキョーレツさで、あまりの高金利のために米景気は冷却化したもののインフレ率は大きく低下し、そこは評価が分かれるところですが、インフレ退治すなわちドル信認回復の観点からは、ドルの当時の最大の脅威(ドルに替わり得る法定通貨候補)であった「銀」(シルバー)を打ち負かした(銀の買い占め・価格つり上げを図った「ハント兄弟」ら投資家の同ポジションを金利引き上げで崩した)という点で、同氏はドルの守護者(中央銀行としてのFRBのトップ)としての責務を果たした、といえるでしょう。
で現在。銀と金の違いこそあれ、それがドルの存在意義を激しく動揺させているところは当時と同じです・・・が上記からすると、当時とは違って、もはやこれを鎮静化できるわけがありません、たとえボルカー氏(故人)が生まれ変わって再登板したところで。ゆえにもうドルは・・・金に駆除されていく以外にない・・・
・・・って何の話でしたっけ?そう次期米大統領でしたね。誰になるのか?なんて予想等が、いかに不毛か、が分かりますね、このあたりからしても・・・