世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
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【ドルに利息を付けても金の価格上昇に追いつけないなら「おカネ」は自ずと金に…】あらためて「誰が大統領になっても変わらないアメリカ」②

2024-07-19 22:25:51 | アメリカ
前回からの続き)

 前述、そして本ブログで繰り返し論じてきたように、アメリカインフレに突き進む以外にない=その通貨ドルは劣化し続け(て最後は紙くずにな)るしかない、というところで、あらためて「誰が大統領になっても変わらない」し、変えようがないわけです・・・

 そのあたり、これまた、遅くとも昨年12月の記事「金に駆逐されそうなドル」でも念押し済みです。すなわち、ゴールド)は金利を生まない資産だから本来は金利が上昇すればその価値は下がりますが、実際は真逆もいいところ・・・って、そこは前回ご紹介の不動産価格とまったく同じトレンド、といった有様です。事実、ドル建ての金価格は、FRBの政策金利がゼロ%(~0.25%)だった2022年3月時点で1トロイオンス当たり1900ドル台(瞬間的に2000ドル台前半)をつけていましたが、同5.5%(もの、本来ならば相当な高金利状態)の現在は同2400ドル台半ばと、2年ちょっとで25%ほども値上がり・・・どころか(不動産価格と同じく)史上最高値付近に到達しています・・・って、この間のドル預金にはそこそこの利息が付き他方で金にはまったく付かないのに、です・・・

 こうなってしまうのは前記したとおりです。つまり・・・アメリカは不動産価格を永遠に上げ続けるしかないから、FRBとしては、これに下押し圧力をかけることになる金融引き締め(利上げ)はどうしても手加減をせざるを得ず、結果として金利が十分に上がらない(上げられない)ため、同価格はもちろん金価格(ドル建て)の値上がりもまた抑えられなくなる、ということ・・・

 この点は、本質的に「不動産」以上に重大です。というのも金は文字どおり金・・・って「おカネ」(マネー)だからです。ようするに「おカネ」としてのドルの価値を高めよう(悪くても維持しよう)にも上述からそれには「ガラスの天井」(≒これ以上に利上げしたら不動産価格の上昇率が長期金利に追いつかれるレベル)があるために金の価値にはもう届くことがない・・・から同じ「おカネ」なら金(ゴールド)を「持とう・使おう」となっていく・・・反面、ドルは「手放そう」となっていく、といった次第です・・・

 1980年前後、アメリカで激しいインフレ(ドル価値劣化)が巻き起こった際、当時のポール・ボルカーFRB議長は政策金利を最高で年20%(1981年)にまで引き上げました。これ「ボルカー・ショック」と称されるほどのキョーレツさで、あまりの高金利のために米景気は冷却化したもののインフレ率は大きく低下し、そこは評価が分かれるところですが、インフレ退治すなわちドル信認回復の観点からは、ドルの当時の最大の脅威(ドルに替わり得る法定通貨候補)であった「銀」(シルバー)を打ち負かした(銀の買い占め・価格つり上げを図った「ハント兄弟」ら投資家の同ポジションを金利引き上げで崩した)という点で、同氏はドルの守護者(中央銀行としてのFRBのトップ)としての責務を果たした、といえるでしょう。

 で現在。銀と金の違いこそあれ、それがドルの存在意義を激しく動揺させているところは当時と同じです・・・が上記からすると、当時とは違って、もはやこれを鎮静化できるわけがありません、たとえボルカー氏(故人)が生まれ変わって再登板したところで。ゆえにもうドルは・・・金に駆除されていく以外にない・・・

 ・・・って何の話でしたっけ?そう次期米大統領でしたね。誰になるのか?なんて予想等が、いかに不毛か、が分かりますね、このあたりからしても・・・

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【ドル劣化を止められないという点は誰が大統領になろうが同じこと】あらためて「誰が大統領になっても変わらないアメリカ」①

2024-07-17 20:48:16 | アメリカ
 さあ、どっちが有利?不利?結論は同じ、どっちがなっても・・・

 そのあたり、以前の記事「誰が大統領になっても変わらないアメリカ」で書いていますが、その後の経済・金融環境や、この間に本ブログで記した表現等を用いて、あらためて、かの国が「誰が大統領になっても変わらない」さまを以下、綴ってみましょう。

 で、その「さま」の本質は・・・ドルの信認維持はもはや不可能、ということになります。べつな言い方をすれば、アメリカの経済社会は(真性)インフレ(ドルの価値の恒常的な劣化)にますます陥っていく以外にない、といった感じですね、何度も指摘のとおり。

 実際、すでにアメリカは、インフレへの全面的な依存、具体的にはリスク資産とりわけ不動産の価額の政策意図的かつ永続的なつり上げで生じるキャッシュで資金繰りをつけるやり方(本ブログの表現で「不動産本位制」)にすっかりハマって(正確には、ハメられて?)います。それには当然、不可欠の条件としての低い不動産ローン金利・・・が保たれるべき金融環境が求められるわけで、実際、その不動産危機ともいえる2008年のリーマン・ショック直後から同環境演出のための米FRBによる量的緩和策による金利低め誘導(であるとともに同ショック前まで下落してきた不動産[および同債権]価額の再押し上げ誘導)が行われたわけです。

 もっとも同誘導のもとでは、ガソリン代などの物価(消費者物価指数[CPI])にも上昇圧力がかかりますが、これが過ぎると一般市民の物価高に対する不平不満感が高まって社会不安等をまねきかねません。そこでFRBは金融の引き締めに転じて利上げする・・・ものの、上記事情からそれは本気モードではない、ようするに高くても「不動産価格の上昇率-長期金利≧0」が絶対に維持されるあたり(つまり、不動産投資への合理性が保たれるギリギリのライン)で打ち止めにするしかなく、ゆえにさらなる利上げ(真のインフレ抑止)には踏み込めない・・・というより同価格および関連コストの値上がりトレンドは永遠に維持せざるを得ません。であれば、その圧が家賃の上昇等として結局はCPIにも波及するからインフレが収まらない・・・どころか高進一途に。それはイコール、ドルの価値は下落一途、にほかならない・・・

 といったことで、何度も論じていることを大急ぎで「おさらい」しました。ちなみに、上記はFRBの今般の利上げと不動産価格の推移からも裏付けられます。すなわち、FRBが現行の利上げを開始したのは2022年3月でその直前の政策金利は当然0%(~0.25%)ですが、同時点での米不動産価格指数(全米住宅価格指数ベース)は295でした(2000年100)。で同金利が5.5%(と本来なら不動産価格が同0%のときより大きく下がっているのが当たり前なくらいの高金利)の直近の同指数(今年4月)は320.4と同0%のときより8.6%も上昇!?して史上最高値!に達しています。さらに、この1年間の上昇率は6%あまり(2023年4月301.5)と米長期金利(この間、おおむね4%台)を上回っています。これらすべては、不動産バブル超~過熱状態を示唆しているから、常識的には、いっそうの金融引き締めでこれを鎮静化させなければなりませんが、上記のとおり、それ不可能・・・

 ・・・となれば、バイデンさん?トランプさん?それとも〇〇さん?のうちの誰が次期大統領になっても、アメリカはけっして変わらないし変えられない・・・ってインフレ(ドル劣化)に突き進むしかない、という点で・・・ってことが、あらためて認識できますよね・・・

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【誰が為に「死の鐘」は鳴る?・・・米テスラもそうだが、本当は…】早くも凋落のテスラが象徴する米産業と…のトホホぶり⑥

2024-07-11 22:28:13 | アメリカ
前回からの続き)

 前回、何よりもトホホなのが、あたかも米欧中(のモノやその交換券としての通貨)のほうがスゴいかのようにみせるため?自分のほうから沈んで(GDPや国民所得を世界でいちばん減らして)「物価賃金の好循環」などと得意になっている・・・ぶっちゃけ日本・・・の政府と日銀と指摘しました。そのあたり何度も繰り返しのとおり、その手段が日銀の現行金融政策「円安誘導」(超低金利誘導)になるわけです・・・

 本稿の文脈に沿って述べると、この政策はかの国々、とりわけアメリカドル「保護」政策といえますね。そこは上記や他記事で論じたように、それでマネーがかの国々に流入する、最低でも留まり続ける(大元の日本に回帰しない)ことで成り立ちます・・・が、その「保護」の度が過ぎたために金利上昇(≒ディスインフレ)への耐性が失われて、結局はインフレ依存を深めるしかなくなって最後は・・・(が、その「本当に本当の目的というのが本ブログの以前から変わらぬ推測ですが・・・)

 「death knell」(弔鐘)―――本稿1回目に紹介の、米テスラ車(含むアメ車全般)死滅を伝える合図(となり得る?中国メーカー製電気自動車の米市場への全面進出)を表すワード・・・とは、もっと大きなところは、そういう合図のことなのでしょうね・・・

(「早くも凋落のテスラが象徴する米産業と…のトホホぶりおわり)

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【EU車も通貨ユーロもテスラ車&ドルと同じく本来はトホホ、だが…】早くも凋落のテスラが象徴する米産業と…のトホホぶり⑤

2024-07-09 20:02:49 | ヨーロッパ
前回からの続き)

 前述のように、本当は「弱い」(魅力も価値も低い)のに、「保護」してやるから「強い」(魅力や価値がある)ようにみえる・・・けれど、そのせいで(魅力や価値を高める努力を怠るから)ますます「弱い」ことになっていく―――というのは、テスラ・モーターズ(をはじめとするアメ車全般)ばかりか米ドルも同じことです。もはや、その保護なしでは・・・、だからといって保護をなくしたら・・・

 そのあたりは、以下から、EUそしてEU車も似たようなものでしょう。EU圏(ドイツ、フランス、イタリアなど)でも自動車が主要な産業ではありますが、他国車とりわけ日本車に対する競争力が脆弱なため、EUはこれに関税を課して上記の自国産業を「保護」してやりつつ、この間にEV(電気自動車)シフトを進めて(ハイブリッド車含む)エンジン車に圧倒的な強みを持つ日本車に対抗していこう、と目論んでいたはず。ところが想定外なことに・・・そのEVで中国勢のEU内でのシェア拡大を許してしまったため、EUは今度はこれを新たな関税のターゲットにせざるを得なくなった・・・って(アメリカと同様)自分らの競争力の無さを棚に上げて中国の不公正な補助金が悪い等として・・・

 そこは、EV車の交換券としての通貨ユーロも同じでしょう。ユーロが本質的に「弱い」通貨であることは、こちらの記事を含めていろいろ書いていますが、本稿の文脈に基づくところでは、その価値は本来、中国EVにすら負けそうなレベルのEV(に代表される「メイド・イン・EU」)を買うためのおカネと考えると、ユーロを(準備通貨等として)持つことの意味っていったい?となるでしょう、とくに「日本車」(≒メイド・イン・ジャパン)とその交換券としての「」を有するわたしたちにとっては・・・

 まあそんな感じで、EUのEVと通貨ユーロも、「保護」しなければ、それらの価値が保てないという点で、上記のアメリカのテスラ&ドルと同じですね。そんな米欧マーケットで存在感を高めている中国・・・のBYD社などのEV等は(米欧車が相対的に魅力が乏しいせいとはいえ)それなりに健闘しているよな~とは感じます。そこは、たとえば6月に中国で開催された自動車業界の会合におけるBYD会長の上記米欧諸国の関税に関する「わたしたちが『強い』からこそ、彼らはわたしたちを恐れるのだ」との強気な発言からも窺えます。けれど・・・(自国通貨ではなく)ドルやユーロを稼いで喜ぶあたりに、やはり、かの国の構造的に「弱い」面―――その経済力の裏付けを中国にとっての外貨であるドルとユーロ(およびこれら通貨建ての国債)に依存するしかないところ―――を垣間見てしまうわけです・・・

 以上、先般のG7(先進7か国首脳会合)における中国製EVに関する米欧諸国の「保護」主義的なスタンスから感じたことを綴ってきましたが、このとおり、かの国々のどれもが正直・・・トホホな印象しかありません・・・

・・・が、何よりトホホなのは、自分の方から政策的に沈んでいくことで、そんな米欧中のトホホに自分以上の高い価値があるかのように思わせる・・・って、それでGDPやら国民所得やらを今世紀の世界でいちばん減らして「物価と賃金の好循環」などと得意になっている?どこかの国の政府と中銀(と名門大学?)ですよね・・・

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【テスラが「保護」ないと崩れるのはドルが「保護」ないと崩れるのと同じ…】早くも凋落のテスラが象徴する米産業と…のトホホぶり④

2024-07-05 21:36:16 | アメリカ
前回からの続き)

 前述のように、電気自動車(EV)メーカーの米テスラ・モーターズは、同業他社との競争では、BYDをはじめとする中国勢に世界シェアをどんどん奪われ、トヨタ自動車を筆頭とする既存のエンジン車メーカーとの競争でもEV特有の課題(充電インフラの不足や価格の高さなど)の克服がいまだにできず、となって、客観的に見ても凋落トレンド入りといった印象です。唯一の強み?はホームの米市場・・・でしょうが、先述のとおり、それもまもなく始まる?BYDのメキシコ新工場からの輸出攻勢等で軽く崩されることでしょう・・・

 まあ・・・だからこその米政権のG7における中国に対する「過剰生産」批判やメイド・イン・チャイナへの関税強化なのでしょうが、そうでもして中華EVの流入を阻止して保護してやらないとテスラ車(含むアメ車全体)はホントに絶滅しかねない(existential threat)・・・くらいに「弱い」―――魅力がない、(くせに)価格が高い、って総合的な競争力がない―――ことを、ほかならぬアメリカ人自身が分かっているということですね(って、ずっと前から)・・・

 で、そんなテスラ・・・に代表されるアメ車の弱さですが、それはつまり米製造業(メイド・イン・USA)全体が「弱い」―――保護してやる/独占(寡占)の地位を許容してやる、としなければ、競争的な市場では(他国企業に)まず勝てない―――ということと同義であるのは、こちらの記事を含めて何度も指摘済み。であれば、その交換券である通貨ドルも、本来は「弱い」し「競争的な市場ではまず勝てない」となるわけです。にもかかわらず、いまドルが「強い」(ドル高な)のは、「保護してやる」から、つまり、本ブログでクドいほど述べているとおり、日本が(日銀現行金融政策で本邦金利を超低め誘導して日米金利差「米>日」を拡大してマネーがドルに向かうようにすることでこの価値を下支えするかたちで)ドルを「保護」しているからにほかなりません。そこは、モノ(自動車)とマネー(ドル)の違いこそあれ、「弱い」はずのテスラが「強い」(自動車業界では売上も販売台数も世界一のトヨタ自動車を上回って時価総額ではトップ!?)・・・かのように見えている?のと同じです・・・って、「保護」してやらなければ簡単に崩れちゃう、ってことです・・・し・・・

 ・・・「保護」すればするほどますます「弱い」ってことになっていくのも、また同じですね。ようするに、競争にさらされないように甘やかせば手を抜く・・・ってテスラ(アメ車)であれば(中国車との競争がユルいから)新モデルの開発・投入等を怠る、米連邦政府であれば(ジャパンマネーがファイナンスするから/日銀のおかげでマネーが日本に帰らない[アメリカからマネーが日本へ「キャピタル・フライト」しない]から)財政リストラ等を怠る・・・から、いずれも---メイド・イン・USAもドルも---結局は弱体化していく、といった具合です・・・

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【中国EVにもガソリン車等にも価格面や製品ラインナップ等で勝てないテスラは…】早くも凋落のテスラが象徴する米産業と…のトホホぶり③

2024-07-03 21:17:36 | アメリカ
前回からの続き)

 先述のように、昨年の販売台数こそ世界一だったもののBYDをはじめとする中国の電気自動車(EV)の攻勢に押される一方になりつつある?アメ車期待のテスラ・モーターズですが、今年に入ってさらに厳しい状況に直面しています。同社の第1四半期の販売台数は前四半期の20%減の約38.7万台と、市場予想の約46万台どころか前年同期42.3万台すらも9%ほど下回ってきました。直近の報道では今年度第2四半期の同台数は前年同期比で5.8%減の43.9万台で2四半期連続のマイナスと、低落トレンドが加速してきた印象です。そんなこともあって同社では、世界各地の工場周辺において、たった2つの既存モデル(Yと3)の在庫が積み上がり、新モデルの開発・投入どころではなくなって、それが選択肢の無さからテスラの魅力低下につながって・・・の悪循環に・・・

 これに対し、BYDは、中国市場での独フォルクスワーゲンとのシェア争いで優位に立つための値下げ等が響いて売上高こそ市場予想に届かなかったものの、その分、販売台数は押し上げられたか、EVとプラグインハイブリッド車の合計で前年同期比14%増の62万台強、輸出台数は9.8万台と153%も増加しています。このあたりEV業界においてはBYDを主役に価格面を含めた競争がますます激化・・・というより、正しくは、BYDをはじめとする中国勢がますますシェアを拡大し、逆に、これまでは上位の座にあったテスラやフォルクスワーゲンなどが転落していくプロセスに入ってきたといえそうです。

 そしてEVは現在、エンジン車(ガソリン車など)ともシビアなシェア争いを演じています。EVはエネルギー効率が高いとされていることなどから、中長期的にはガソリン車などに代わって普及していくのでしょう(?)・・・が、足元ではEVならではの課題、つまり充電インフがまだまだ不十分、信頼性への不安、そして何よりも価格がガソリン車と比べて安いとは言い難い、といったあたりが浮上し、それがシェア拡大に対する(短期的な?)障壁となっているもよう。であれば、自動車購買層の多くは、これらにおいてまだまだアドバンテージを維持するガソリン車の安いモデルでかまわない、あるいは、(燃費が良い)トヨタ自動車プリウスに代表されるハイブリッド車(HV)を選ぼう、等となってくるでしょう・・・

 以上を総合的に勘案すれば、EV車はBYD等の中国メーカーが米欧市場を含めて世界各地でいっそう存在感を高めつつ、これがトヨタを筆頭としたエンジン車(ガソリン車やHV車)メーカーとシェア争いを繰り広げ・・・といったあたりが今後の自動車マーケットのメインの図式になりそうです。ここでテスラは・・・上記からすれば、この図式の蚊帳の外・・・って敗者になるしかないのでしょうね、(中国に負ける)EV市場においても、そして(トヨタ等に負ける)自動車市場全体においても・・・

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【米市場未参入の中国BYDが対米進出したらテスラはまず勝てない…】早くも凋落のテスラが象徴する米産業と…のトホホぶり②

2024-06-27 00:01:19 | アメリカ
前回からの続き)

 中国メーカーによる電気自動車(EV)の「過剰生産」とその輸出販売を自国自動車産業にとっての存亡の脅威(existential threat)ととらえるアメリカですが、その脅威にさらされるのは具体的には・・・テスラ・モーターズとなるのでしょう。同社は言わずと知れたアメ車期待の星。実際、米自動車メーカー・・・ばかりか世界すべての自動車メーカーのなかでの時価総額は一番となっています・・・(ちなみに第2位はトヨタ自動車

 ・・・が、最近の同社のパフォーマンスと事業環境は・・・上記が懸念されるのももっとも、といった感じになっています。たしかにテスラは昨年、EVの販売台数が180万台と、通年では同シェアの世界一でした・・・が、第4四半期には、中国メーカーのBYDに首位の座を奪われて2位に転落しています(BYD52.5万台、テスラ48.5万台)。

 そのあたり、以下の点からもBYDは、現在の実績とポテンシャルの面で、テスラを上回ってきそうです。同社は昨年のEVの売り上げこそ157万台とテスラに及ばなかったものの、その対前年伸び率は73%にも達し、テスラ(同37%、131万台→180万台)との差を急速に縮めていることが分かります。そしてBYDは、テスラが作っていないプラグインハイブリッド車(PHV)も手掛けており、EVと合わせた販売台数は302万台と、これまた同62%増と勢いを感じさせます。さらに、決定的な点として、同社のEVはテスラ車よりも安価(1万ドル台~)で、EV/PHVのバリエーションも含め、より広範な購買層にアピールできるところも強みでしょう。これに対してテスラは、EVしかないうえ、選択肢も事実上2車種(モデルYとモデル3)だけで、そのうえ価格はいずれも4万ドル前後~もします・・・

 上記から常識的に判断すれば、テスラ(って、実質的に唯一のEVアメ車)がBYD(やシャオミ等の中華EV車)に勝つのは、まず無理でしょう。となればアメリカ市場ではBYDのシェアがどんどん拡大して・・・となりそうですが、それはあくまでも今後?のこと。じつは、BYDの上記の好業績は、ホームの中国とアジアおよび欧州等の市場でのもので、同社はここまで(一部車種を除いて)アメリカには進出してはいません。

 まあ・・・だからこそ、前述そして今回冒頭のようにアメリカ(って正確にはテスラの役職員&株主等)は、いまの勢いでBYDが(計画する?メキシコ工場からの輸出で)米市場にやってきたら・・・(テスラは軽く絶滅?)というおそれ&怯えが、すでに欧中間のEV競争が顕在化している欧州等よりも、ずっと強いのでしょう。だからといって、プライドの高い彼ら彼女らは、中国に(品質や価格や消費者満足度等の)競争で勝てません、と素直に言えないものだから、現政権とともに、かの国に対して過剰生産だの補助金だのと難癖?をつけてBYD等の参入を排除しようというのでしょう。そうやってアメリカは・・・消費者利益を失わせるのと引き換えに品質等の劣る自国メーカーを甘やかす・・・ために結局は国内外の人々に愛想をつかされるかたちで米業界全体が弱体化して市場淘汰されていく・・・って、それは・・・20世紀の対日貿易摩擦時でも見られたのと同じ構図ですね・・・

 さらにテスラ(・・・ばかりかBYDも含めたEV業界全体)は現在、EVに対する世界的な需要の減退にも悩まされつつあります・・・

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【メキシコから流入する中国企業製EVで米自動車産業は存亡の危機に】早くも凋落のテスラが象徴する米産業と…のトホホぶり①

2024-06-19 21:25:17 | アメリカ
 「相手」の過剰「生産」が問題?違うでしょ、自分」の「生産」の魅力の無さが問題なんだよね・・・。ホント、いろんな意味で涙が出ますよ・・・

 ご存じのように、今般の一連のG7(先進7か国首脳会議)のセッションでは、中国の「過剰生産問題」が主要議題のひとつになりました。5月の同財務省・中銀総裁会議は共同声明でこれに懸念を表明し、欧米メンバー国は、政府の巨額補助金で支援された中国企業が大量生産した電気自動車(EV)などを安い価格で売り込みをかけられているせいで、自国産業が脅かされていると批判しました。アメリカは同月、中国への対抗措置として、同国産EVへの関税を現行の4倍に当たる100%(!)に引き上げることを決定しました(8月より施行)。そしてEUも同EVに対する追加関税を暫定的に課す方針を発表しています。こうした動きを経て、G7閉幕における首脳声明は、経済安全保障に関して、EVの過剰生産を招いているとして中国の産業政策に懸念を表明するに至っています。

 このあたりは、とくにアメリカが中国製EVに警戒感をあらわにしている様子が窺えます。たとえば、全米製造業者連盟(Alliance for American Manufacturing)は、今年2月の報告書で、中国企業のメキシコ内の工場で生産されアメリカに輸入される安価なEVは米自動車産業にとって「死の鐘」(death knell)すなわちその存亡にかかわる脅威(existential threat)になりかねないと強い調子で警告しています。この点、同レポートは、同国メーカーのBYDがメキシコであらたなEV工場を計画していることに焦点を当てていますが、大げさ?とさえ思えるほどの上記表現から、これがいかに米EV産業に致命的な打撃になり得るかを超~心配する感情がひしひしと伝わってきますね。まあそこは・・・価格面も含めて米EVが中国産のそれに市場競争で勝てない(劣っている)せい・・・って正直に認めることができず、これを中国の過剰生産のせいということにしてG7という世界注目の場で問題視する・・・って、(EU以上に)やはりアメリカ(の今秋の大統領選挙を意識せざるを得ないジョー・バイデン大統領とその政権)らしいよな・・・などと感じる次第です。

 もっとも、アメリカが中国製EVにこうして神経をとがらせるのも分からなくはありません。かの国はここまでEVを自国産業の中核にしようとしてきたでしょうから。で、その自国の一番星?こそ・・・言わずと知れたテスラモーターズになるのでしょう・・・

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【円・日本国債から離れようとすることは戦争や破壊に加担することにつながる】農林中金「高値掴み」損害が示唆する「日本国債しかない」⑦

2024-06-17 00:01:21 | 日本
前回からの続き)

 ということで、どう考えても、毎度の結論日本国債しかない」に至ってしまうわけですが、だからこそ、これから離れよう、離れよう、とすればするほど「農中」(農林中央金庫)になってしまう―――(実質利回りが日本国債よりも低い米国債等の)「高値掴み」の巨大評価損を食らってしまう―――のは当然ですね。それは、わたしたち一人ひとりの総合力が織りなす世界最強日本経済、そしてこれに裏付けられた「」(日本国債)の真価を否定しようという虚しい試みですから。加えて、その否定は、究極的には「平和」や「創造」に背を向け、「戦争」や「破壊」を志向する古い世界にしがみつく勢力に加担することにつながるわけです・・・って、新しい時代の幕開けが間近だというのに・・・

 繰り返しますが、いまやジャパンマネー(Jマネー)こそ世界すべての投資の大元です。ゆえに、本来なら、わが国が投資の主体になるべきが、前述したことから、これが封じ込まれてしまっています。代わって諸外国(≒米欧諸国)がこれを担っていますが、その投資元本だってじつはJマネー、つまり常時マネー不足の彼ら彼女らはこのおカネを超低金利で市中調達して「円キャリートレード」として投資をしているわけです・・・がこれ「投資」とは名ばかりで、実質的には単なる利ザヤ稼ぎであって、新たな価値等を生む投資ではありません。では何を生んでいるのか、といえば・・・不動産やら原油(先物)やら(ジャンク債やら)の価格上昇・・・ってインフレ、です。そのインフレがこうして高進していけばどうなってしまうのか、については・・・本ブログで何度も論じているとおりです。

 もっとも今回は・・・(→ハイパーインフレ→ナチス台頭→)第二次大戦前夜と違って、敵も味方もなく皆さん総崩れでしょう、(相当に傷つきはするでしょうが)たったひとりを除いて、ね・・・

(「農林中金『高値掴み』損害が示唆する『日本国債しかない』」おわり)

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【政府・日銀は政策意図的に日本の「強み」金融力を封じ込めている】農林中金「高値掴み」損害が示唆する「日本国債しかない」⑥

2024-06-13 19:45:19 | 日本
前回からの続き)

 ここまで、農林中央金庫(農中)のこのたびの米国債投資の失敗とこれにともなう巨額損失の計上から、農中(もそうですが本邦・・・ばかりか諸外国も含めた金融機関のすべて!)が今後、投資を増やしていくべき資産が日本国債以外にないことについて思うところを綴ってきました。が・・・

 じつは・・・日本国債のほかに、もうひとつ、これと同じくらい安全で(元本割れリスクが小さくて)プラスリターンをもたらし得るおカネの運用対象がありますね。いうまでもなくそれは「」(ゴールドです。この点は、こちらの記事に書いたように、米FRBが政策金利を5%超にまで引き上げたにもかかわらず、米国債の利回りが、その間の金の価格の上昇率を大きく下回っていることに表れています。だからといって、これを超えるほどの利上げ・・・なんてFRB(とアメリカ)にできないことは明白。このことは、金に対するドル敗北―――FRBが中央銀行つまり(金に対する)「ドルの番人」としての役割を果たせなくなったこと―――を意味しています。

 であれば、そんなドル・・・の預金(≒米国債投資)なんぞより、文字どおりの貯「金」(現物の金を貯めること)のほうが「つねに」有利になるから、預金者は(農業協同組合を通じて)農中に「虎の子」(血と汗で得た農業所得等)を預けたせいで、これが米国債に流れてムザムザ消滅してしまうくらいなら、自ら金(アクセサリーや金貨とか地金など)を買って保管!というのが投資行動としてずっと合理的となってきます。となるとマネーの運用機関としての農中の存在意義は失われかねません。そうした意味でも、農中が引き続きその本来の役割つまり金融を生業とする気なら、ドル債やらユーロ債などがこうして軒並み散るなかで金に対して唯一勝ち得る(金以上の実質利回りを確保し得る)債券である日本国債を投資の中心に持ってくるしかないでしょう・・・

 そしてそのへんは本邦政府そして日銀こそが強く認識するべき。上記のように現在、日本には数百兆円ものキャッシュが何の仕事もしないで(日銀当座預金に)眠ったままです。その理由はこれも上述、そしてこちらの記事等で書いたとおりですが、これ、おカネが余っているところから必要とするところに流れていない―――金融が機能不全を起こしている―――ということ。これほどの(世界で一番の)キャッシュリッチの国で金融が働いていない、正確には結果として政策意図的に働かないようにされているわけです、もちろんそれは対国内(多くは日本国債投資)だけではなく対外投資(米国債等)においても(って非効率つまり「高値掴み」になるので農中以外?のジャパンマネーには常識的には手が出せない)。ホントそこは残念で不幸なこと・・・ってこのマネー力(金融力)こそ、わが国しか持ち得ない「強みなのに・・・

 ・・・って、この「強み」をあえて自ら封じてみせることこそが「本当に本当の目的」達成に不可欠なことは知ってはいるのですが・・・

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