世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
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【高インフレ下での緩和回帰はFRBの中銀としての機能の喪失と…】米中堅銀破綻は金融恐慌…ではなく超インフレの前触れだ⑥

2023-03-25 20:10:10 | アメリカ
前回からの続き)

 上記のように、シリコンバレーバンクという、それほど大きくもない銀行の破綻・・・にすら耐えられず、米FRBは事実上の量的緩和策(債券等の価額押上げをもたらすような融資プログラム)を開始して、そのバランスシートを再膨張させてしまいました

 そんな・・・政策金利ゼロ%の局面で行うべき(現局面ならけっして行うべきではない)策をやってしまった以上、FRBが、いくら利上げ(政策金利誘導目標の5%への引き上げ)をしてみせたところで、そしてインフレ鎮圧が引き続き最大の目標です、なんていったところで、それらを真に受ける投資家なんているわけがありません。前記した「逆イールド」の拡大、そして米国債、なかでも短期国債の価格の値上がりは、そのあたりを反映しています。すなわち市場は、FRBがまもなく再度の、それも急速かつ大幅な利下げ(さらに量的緩和)に動く・・・というか、そうする以外にない、と読んでいるのでしょう。そして実際にそうなっていく(しかない)でしょう・・・

 かくして次回の米金融緩和は、高インフレ下の・・・というより真性インフレつまり実質金利が大幅なマイナス圏にある現局面で開始されることになります。これまた前代未聞です。それはそうでしょう、本来ならば利上げなどの金融引き締めをいっそう進めなくてはならないのに、その逆に向かうわけだから。であればFRBは、その時点で、もはや中央銀行としての「機能」(≒インフレファイト)を果たせなくなった、と認識されるべき。その意味するところは、FRB・・・の債務の証文たる「ドル」の「機能」の崩壊でもあります・・・

 とまあこんな感じでホ~ント、この先もきっと、お約束どおり・・・過ぎる展開ですよね、やはり・・・(?)

(「米中堅銀破綻は金融恐慌…ではなく超インフレの前触れだ」おわり)

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【FRB利上げしたのに短期国債の利回りが低下したのは…】米中堅銀破綻は金融恐慌…ではなく超インフレの前触れだ⑤

2023-03-23 22:07:53 | アメリカ
前回からの続き)

 本ブログではずっと前から、そして繰り返し、(「金利」コントロールが不可能となった以上)もはやアメリカインフレは二度と鎮まることはない、と指摘してきました。そしてこちらの記事では、同じインフレでも、いったん金融恐慌・・・とでもいうべき急激なデフレ(資産価格の急降下→金融危機等)を経た後に猛烈な物価上昇、となるのではなく、多少の変動とともに物価が・・・預金金利を軽く上回るほどの高率をキープしながら上がり続けるタイプのインフレになっていくだろう、とも。本稿の冒頭で、このたびの中規模銀シリコンバレーバンク(SVB)の破綻について「お約束どおり・・・過ぎる展開」と書いたのは、(米当局とくにFRBの対応なども含めて)実際そのとおりになっているよね、という意味を込めています。

 さて、ご存じのように、このたびのFOMC(金融政策決定会合)で米FRBは政策(FF)金利の誘導目標を0.25%引き上げて(4.75%~)5%にしました。これだけをみると、ジェローム・パウエル議長が会合後に語ったように、FRBが引き続きインフレの抑制を最大の目標にしている・・・かのように思えますが・・・

 他方で、FF金利以外の金利のほうは・・・これに反するかたちでFOMCの直後からほぼ全面的に低下し、同金利との「逆イールド」がいっそう拡大してしまいました。今回とくに注目されるのは、長期金利よりもむしろ短期金利の下がり具合が顕著となったこと。ブルームバーグによると、米国債2年物の利回りは22日に0.23%も下がって3.94%となりました。この低下幅は10年債よりも大きくなったとの由・・・

 こうして、本来はFF金利に比較的連動するはずの短期の金利までが逆方向に、それも大きく動いたということは・・・市場はFRBの金融政策の引き締めから緩和(利上げから利下げ)への転換が間もないとみている・・・のでしょう。つまり、FRBはそうするしかない―――金利を下げる(国債価格を上げる)以外にない―――はずだから、いまのうちに債券、とりわけ長期国債よりも安価な(利回りが大きい)短期の国債を買っておこう、となったということ。そこは、FRBは市場に、どうせインフレ鎮圧なんて口先だけ、できやしないさ、と見透かされた、とも言い換えられるところ・・・

 さあパウエルさん、どうします?市場がFRBの利下げを見越して債券を買っていますよ。であれば、もし本心からインフレを解消したいなら、そんな市場の裏をかいて、いまこそ債券を売る(バランスシートの縮小を急ぐ)べきですよ、そうすることで流動性を回収するとともに「逆イールド」の解消を図る(金利とくに長期金利の上昇を促す)べきですよ・・・

 ・・・って、無理ですよね、できませんよね、SVB対応でやったことは、上記のとおり、その逆のこと―――債券を実質的に買い支えること・金利上昇を抑制すること・・・で結果的にインフレを喚起すること―――ですから。

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【政策金利4.75%の局面でFRBのB/Sが膨張した理由】米中堅銀破綻は金融恐慌…ではなく超インフレの前触れだ④

2023-03-21 19:27:44 | アメリカ
前回からの続き)

 先日の米シリコンバレーバンク(SVB)の経営破綻を受けた米当局とりわけFRBの対応からは、前述のとおり、FRBが(ドルの)流動性危機の顕在化を何よりも恐れていることが分かるわけです。そのあたりは、このたび日米欧中銀が協調してドル供給オペを拡大したこと(週1回だった期間7日のオペを当面4月末まで毎日行うこと)からも窺えます。そうすることで企業等の資金繰りを支援して上記リスクを封じ込めようというのでしょう。

 それにしても・・・バンカメとかJPモルガンとか(の米メガバンク)ならいざ知らず、SVBみたいな(一般の日本人なら聞いたこともないような)「ちっぽけな」はずの銀行の破綻―――既存のセイフティーネット(預金保険等)だけで預金者救済等が可能なはず(?)の出来事―――にこうしてFRBが前のめりになって、それも自身だけではなく日銀やら欧州中央銀やらも巻き込んでドルを融通しようというのだから、どんだけ怯えてんだか、資金ショートに・・・ってことですね・・・

 であれば・・・FRBのバランスシートが膨張するのはもっともです。ブルームバーグによると、これまでの金融引き締めで徐々に縮小してきていたFRBの資産ですが、今月だけで3千億ドルほどもポーンと増えてしまって、現時点で8.6兆ドルあまりになりました。上記融資プログラムの提供と引き換えに資産を(実勢価格よりも相当な高値で)受け入れてマネーを吐き出したためでしょうが、やはりこれ前記のとおり事実上の量的緩和策(QE)そのものですよ・・・

 この点、そのスゴさを指摘するならば・・・FRBが本対策を政策金利が4.75%もの高率にある現時点でヤったことでしょう。本来QEは、同金利がゼロ%近傍の金融緩和局面にあるとき、さらに金利を下げようという意図で行うべきこと。それをいま、しかもいっそうの拡大含み(?)で行う、ということは・・・FRBは、ここらで金融引き締めを止めて政策金利を徐々に引き下げて・・・みたいな悠長なスタンス変更では到底間に合わない―――資金繰り破綻の連鎖を食い止めることができない―――と判断したとみるべきでしょう。となるとFRBは、こうしてQEを始めてしまった以上、これとベクトルが合うように金融政策を転換しなければならない、つまり利下げ再開、それも極めて早いペースで、となるしかない・・・はず。

 かくして、アメリカのインフレ再加速の条件は整いました。前述のように、そして本ブログで指摘し続けてきたとおり、ただでさえ実質金利がマイナス圏に没入している(という、インフレ鎮圧が最大の目標となるべき)ところに、こうしてFRBが事実上の緩和マネーの大量放出・・・による銀行等の資金繰り支援を優先させた・・・ってインフレ鎮圧なんぞより、との姿勢を明確に示したからです。したがって、長期金利はもちろん、いまは上がっている短期金利のほうも近いうちに下がる(下げる)ほかないでしょう。さもないと、短期資金に頼るエネルギー企業等の債務不履行・・・とこれに融資した金融機関の貸し倒れ損の急増&預金払い戻しの困難化・・・などが起こって、ここでも資金繰り危機が勃発しかねませんからね。で、その結果もたらされるのは、予想どおり(?)1バレル150ドル(以上?)に向けた原油価格の再上昇となるでしょう・・・(?)

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【SVBの破綻はFRBのインフレ退治の「本気度」を試したが…】米中堅銀破綻は金融恐慌…ではなく超インフレの前触れだ③

2023-03-19 20:13:34 | アメリカ
前回からの続き)

 前述のように、アメリカの中堅シリコンバレー銀行(SVB)の破綻程度の、本来なら想定内であるべき小さな出来事を米FRBはスルー・・・することができず、預金保険等(血税の登場)を差し置いて(?)、その預金の全額払い戻しに応じられるだけのマネーを実質的に新規増発することにしました。ということは、FRBは今後、米国債価格がいま以下には下がらないよう、そして(長期)金利はいま以上には上がらないような政策運営を図っていく、と読めるわけです。それだけで解釈するなら、米経済は、これまでのインフレが収まり、むしろデフレ気味になってきたので、景気を刺激する必要が生じている・・・のでしょうか?

 ・・・って、まったく違います、いうまでもなく。つまり引き続きインフレが米経済の最大の脅威となっている状況に何ら変わりがない、ということ。たとえば2月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比でプラス6.0%(前月比プラス0.4%)と高止まりの様相を呈しています。

 この点、とくに重大なのは、これまた繰り返しですが、長期金利になります。上記CPIの1/3を占める住居費は前月比で0.8%上昇、そして家賃は前年同月比で8%もの上昇と、いずれも総合値以上の上昇率を示したことから、住宅・不動産に関するコストの値上がりがCPI全体を押し上げている様子が窺えます。それらを抑えていくには、やはり長期金利が上がる(長期国債の価格が下がっていく)方向に働きかける・・・ことで住宅ローン金利の上昇等を促して、上記費用の高騰をもたらしている不動産市場の過剰な熱気を冷ましていくこと等が必要でしょう・・・

 ・・・といった足元の情勢に照らせば、FRBは引き締めスタンスをまだまだ維持してインフレを鎮静化させるべきであることが誰にだって分かるはず。けれど実際は上記のとおりです。となればFRBには、インフレ退治よりもずっと大事なことがある、と推察するべき。当然それは(長期)金利上昇の抑制(長期国債価格の下落の阻止)によって達成されること、つまり大小等を問わずすべての金融機関の資金ショートを発生させないことであることが分かったわけです、今回の上記対応で。であれば、もはや現行の金融引き締め(利上げ)は意味を失ったといえますね、その結果としてSVBが破綻して同危機が生じたのだから。よって利下げを含む金融緩和の再(々々々・・・)開は時間の問題ですよ(って、前記した事実上の長期国債の価額押上げ策でこれすでに始動しているといえますが)。それも・・・何度も指摘するように実質金利がマイナス圏に深く没入している―――真性インフレが巻き起こっている―――という前代未聞の現局面で・・・

 かくしてアメリカは、資金繰り危機が拡大して金融恐慌入りする事態は免れそうです・・・が、やはり・・・でしたね。その意味で、SVBという「ちっぽけな」、つまり預金保険などの既存のセイフティーネットで対処可能な(?)程度の銀行の破綻は、FRBの「本気度」を試す重要な機会でした。結果的にFRBが、いとも安易にゲロった―――マネーを吐き出した―――ことで、あらためてアメリカ、そしてドルの行く末が定まっていることが確認できたといえるでしょう・・・

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【FRBのSVB預金者救済プログラムは事実上の量的緩和策】米中堅銀破綻は金融恐慌…ではなく超インフレの前触れだ②

2023-03-17 21:09:29 | アメリカ
前回からの続き)

 前述のように、このほど破綻したアメリカの中堅銀シリコンバレー銀行(SVB)の預金については、連邦預金保険公社(FDIC)がすべての顧客に対してそこへのアクセスを可能としたほか、FRBはFDICの保険の対象外の預金を保護するために通常よりも条件がユルい融資プログラム(Bank Term Funding Program)を提供するとのこと・・・

 結論からすると、これFRBによる事実上の量的緩和QE)の再開というべき対応でしょう。というのも・・・このプログラムでFRBは、SVBがすべての預金の払い戻し請求に応じられるよう、価値が下がっていた同行の資産の価額を押し上げるため、あらたにおカネを刷って融通することになりますが、ではその資産は何かといえば、前回書いた事情から米国債・・・がその多くを占めていると推測されるからです。となればこの局面でFRBは、預金者保護を名目に、米国債を再び買い支えようとしている、と解されるべき・・・って、それはようするにQEですね、ということ・・・

 今回、FRBはどの程度コミットするのか、が市場の最大の関心事だったはず。もしFRBが現行の利上げ路線を維持する気ならば、SVBスケールの(中規模)破綻は同路線の想定内の出来事だから、その預金者保護などは預金保険などに任せて、自身は手を貸さない・・・というより手ならぬカネを出すべきではないでしょう。それは、同保険の対象外の預金を失った一部の顧客が、カネを返せ~!とSVBの店舗窓口に・・・武装して押しかけてくるようなアブない事態になっても、です。そのとき出ていくべきは治安部隊であって、FRBであってはならない。万一FRBが動くとしたら、それは「最後の貸し手」として、世界金融的に「大きすぎてつぶせない」(too big to fail)とされている米メガバンクが資金繰りに窮したケースのみ、といったところのはず。そこまで頑固にFRBが利上げスタンスを保つべき理由は、その苦痛等にかえても達成したい崇高な(?)目的があるからで、それこそ・・・インフレの解消。なのでマーケットは今回、そのあたりFRBがどこまで本気なのか―――おカネを吐き出さずにどこまで耐えられるか―――を注視していたのでしょう・・・

 ・・・がFRB、いとも簡単に屈してしまったね、というのが上記対応に関する大方の印象でしょう。インフレ撲滅は金融引き締めつまり利上げで行いますが、それは米国債の価格を政策的に下げることと同じこと。それなのにFRBは今回、真逆にも、こうして同価格を下支えする―――実質的に利下げを促す―――ような策を、それもSVB程度の小さな―――破綻させても金融システミックリスクの顕在化には至らないだろう(?)―――銀行に適用してしまいました。であればこのプログラム、規模の大小や財務内容の良し悪しなどによらず、公平を期すために、今後、すべての銀行&すべての預金に適用されなくてはなりません。ブルームバーグによると、FDICが上記の実質的な全預金保護を表明した際、SVBの破綻処理に関係するいかなる損失も納税者が負うことはない、と述べたそうですが、そりゃ~そうでしょうね、こうしてFRBがおカネをいくらでも出すといっているのだから・・・

 そうしたこともあって(?)アメリカの(長期)金利は同破綻前の年4%付近から急落し、現時点で3.5%前後となっています。そのあたり実際は、上記政策のアナウンス的な効果等で、預金を引き出そうという動きが収まったことなどで、同プログラムの申請は増えたりはしていないのでしょう(?)。ですが、FRBがこうして出動(マネー増発)を表明してしまった以上、もはや米国債価格はこれ以下にはなかなか下がらない(下げられない)―――(長期)金利はこれ以上にはなかなか上がらない(上げられない)―――こととなったと思われます。となれば当然、利上げも早晩断念されるしかないでしょう、上記政策の方向性と真っ向矛盾しますからね・・・

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【米SVB破綻で当局が預金者の預金を実質的に全額保護って…】米中堅銀破綻は金融恐慌…ではなく超インフレの前触れだ①

2023-03-15 20:58:37 | アメリカ
 ホ~ント、お約束どおり・・・過ぎる展開ですよね、この先も含めて・・・(?)

 ご存じのとおり、10日、アメリカの中堅銀行でカリフォルニア州に本拠を置くシリコンバレー銀行(SVB)が経営破綻しました。国内外の報道によれば同行は、
・シリコンバレーのIT企業から預金を集めて米国債などに投資して利ザヤを稼いでいたが、米FRBの利上げにともなう(長期)金利の上昇で米国債の価格が低下して資産内容が劣化していた
・そうしたなか、資金繰りが厳しくなった顧客の預金払い戻しに充てるおカネを捻出するための資産売却を余儀なくされて約18億ドルの損害が発生、さらに貸し倒れに備える意味でも資本を増強する必要に迫られた
・8日に上記損失の発生と増資計画を発表したことで株価は暴落、預金の引き出しが急増するも、資本拠出を申し出る企業等は現れず、流動性危機に
となって結局10日、米連邦預金保険公社(FDIC)がSVBの破綻とすべての預金を管理下に置いた旨を発表した、という次第です。

 このあたり、まあ当然といえば当然のことでしょう。上記から、SVB破綻の大きな理由は所有米国債等の価値の低下になりますが、それは予期せぬ出来事でも何でもなく、米FRBが昨年来続けてきた利上げによって必然的に起こることだからです。であれば米金融当局は、さっさと米国債を売り抜けないからこうなるんだよ、などと内心でSVBの失態をなじりつつ、でもこれくらいあり得ること、と淡々と、つまり想定内の破綻処理≒預金者保護を行えばよいはずです。FDICは1口座当たり最大で25万ドルまでペイオフするそうですから、今後、誰もSVBの事業を引き継がないなら、これを整理して、そうすればいいだけの話・・・

 ・・・って現実にはそうではなく、想像もしなかった事態が発生したかのようなうろたえよう(?)です・・・ってSVBの利害関係者のみならず米当局が。そこは、たとえば、当のFDICが、SVBの預金には上記25万ドルの対象外も含めて今週(13日)以降も全額アクセス可能であることを明らかにしたことにも現れています。これ、公金の濫用などと指摘されても仕方ないのでは。というのも、そうすることでFDICは、SVBの預金者には他行預金者以上の公的なセイフティーネットを優遇的に与えることになるためです。もっとも、その種の批判は百も承知で、おそらくFDICと米当局はこの局面で同預金の実質的な全額保護を言い出すしかなかったのでしょう。そうでもしてSVB顧客らを安心させないと・・・これがさらなる負の連鎖すなわちバンクラン(取り付け騒ぎ)や他の銀行の破綻続出等ひいては金融恐慌につながりかねない、ってことで・・・

 そのへんの危機感はFRBなども同じみたいです。上記に対応するのなら当たり前ですが払い戻し用などのキャッシュが大量に必要になるところ、ブルームバーグによると、FRBは同需要に向けて通常より貸し付け条件が緩やかな融資プログラム(Bank Term Funding Program)」を提供するとのこと。しかもこれ、上記保険の対象外預金を保護するための十分なスケールになるそうな・・・

 となると・・・じゃあFDICのおカネって何の意味があるの?となってきます。その原資は当然、血税。だからこそ上記の額や用途には本来、厳格な制限があるべきでしょう、銀行に緊張感を持った事業運営を促す意味でも。そんなところに、こうしてFRBが預金者保護を大義名分として実質ノーチェックでマネーを(銀行・預金者を通じて)市中に吐き出し続けたら・・・経営者はモラルハザードに陥るとともにFDICのスキームは無意味化する・・・のはもちろん、いっそう加速させることになりますよ、インフレ・・・

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【日銀新体制「理想的な布陣」と評する雨宮現副総裁の真意は…】日銀新体制のもとで進む?「総仕上げ」⑦

2023-03-07 10:19:27 | 日本
前回からの続き)

 日銀現行金融政策の「本当に本当の目的」に沿い、これまでの10年にも及ぶ長~い熟成のとき(?)を経て、いよいよ仕上がりつつある、かの国・・・であれば、これからの5年はオートマチックに(?)「総仕上げ」の期間となっていくでしょう。したがって、わが国は、そのとばっちりをできるだけ食わないよう、けれど(うまく逃れ過ぎたらかえってアブナイから?)ちょっとは食うよう、というビミョ~なさじ加減で何とか「出口」に向かいたいところです・・・(?)

 そのあたり、きわめて重大なミッションを担うべき今後5年間の同行総裁は、やはり植田和男氏(元日銀審議委員)・・・のような財務官僚ОBでも日銀プロパーでもない方が望ましいのでしょう、きっと。この間、植田氏らは何かとタイヘン・・・でしょうが、トップを張らない自分たち(政府・日銀)は傷を負わずに済みますからね・・・

 それでも・・・植田新総裁&日銀新体制には大いに期待しています。総仕上げに(勝手に?)移る以上、あとは腹をくくって上記方向に進むしかありません。各位にはセントラルバンカーとしての誇りを胸に、当然の政策運営をしていただきたい、と切に願うものです。

 そのあたりに関連する・・・かもしれないエピソードをひとつ。日経新聞によると、植田氏の総裁起用が報じられた日、関係者が雨宮正佳現副総裁に連絡をとると「次期体制は理想的な布陣になったんじゃないか」と朗らかな声が返ってきたとの由。朗らか・・・って、やはり・・・黒田氏はともかく?雨宮氏ほどの方であれば、すべて分かっているということなのでしょう・・・か・・・(?)

(「日銀新体制のもとで進む?『総仕上げ』」おわり)

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【米が何かとタイヘンな今後5年間の日銀トップを植田氏に託すのは…】日銀新体制のもとで進む?「総仕上げ」⑥

2023-03-05 20:41:50 | 日本
前回からの続き)

 前述のとおり、(個人的な希望的観測含みではありますが)本邦政府・日銀には、この4月の日銀総裁の交代を機に、現行金融政策「異次元緩和」の「本当に本当の目的」達成をふまえ、同政策の本格的な転換・・・というより前述「出口戦略」にソロ~リと踏み出そうとしている様子が窺えます

 ここで出口戦略とは、金融用語的な意味(金融緩和→同引き締めに向かうこと)・・・というよりは、アメリカインフレ堕ち(ドル劣化加速)の巻き添えを極力食わないように動くことで、ソロ~リとは当然、この間に政府(ゆうちょ銀農林中金公的年金基金)が「高値掴み」したドル等外貨建て資産を(上記転換で外国人投資家が「出口」に殺到・・・するかのようなドル売り円買いを始める前に)少しでも上手に売り抜ける、といったこと。もっとも、近いうちアメリカに「こうなったのはオマエらのせい(日銀[と本邦政府]がその意図をもって金融緩和を継続したため)だ」などと責められた際に、そうした狙いがあったのならこの間これほど政府・・・系金融機関(ゆうちょ銀、農林中金、公的年金基金)にドル建て資産を買わせるワケがありません、などと言い訳ができるように、自らも傷つく―――相当なスケールの為替差損を食らう―――ことも想定している、といった念の入りようですから、なかなかスゴいわけですが・・・(?)

 ここまで綴ってきたように、そして前稿で書いた逆イールド」が示すとおり、アメリカの「仕上がり」がいよいよ間近に迫ってきました(?)。かの国の長期金利は先週末時点で3.96%と再び4%ラインを試す動きを示しています。そして昨年12月の住宅価格指数(ケース・シラー値)は7月から6か月連続で前月比マイナスとなっています。さらに原油価格はここのところ1バレル70ドル後半あたりとロシアのウクライナ軍事侵攻前の水準に落ち着いています(・・・ってこの瞬間、両国の戦いは終わるどころか激しさを増し、その供給不安はさらに高まっているはずですが?)。これらは本来ならば、いずれも景気が減速そして後退しつつあることを示す兆候ではあります。にもかかわらず、同過熱している・・・かのように実質金利は引き続きマイナス圏に深く没入中。これらが示唆することは、そろそろ我慢の限界ということ・・・

 その時期は、早ければ「植田」日銀がスタートして間もないくらいのタイミングになるはず。そして5年後のいま頃は・・・いろいろとカタがついていることでしょう(?)。となればこの間の日銀トップは何かとタイヘンなことは素人目にも分かるというもの。きっと・・・だからこそ政府日銀は、財務省ОBでも日銀プロパーでもない(あれこれたたかれても財務官僚&日銀生え抜き幹部[5年後の総裁候補者]は傷つかないですむ)、そして年齢的にも1任期限定の植田和男氏(御年71)に登板を要請したのだろうな~などと勘繰る次第です。

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【政府は、ゆうちょ銀・農中・GPIFに日銀新体制発足前の「売り」を促すべき】日銀新体制のもとで進む?「総仕上げ」⑤

2023-03-03 19:58:43 | 日本
前回からの続き)

 本邦政府の先記の意向を受けて日銀が「出口戦略」(現行金融政策「異次元緩和」を手仕舞いして金融引き締めに向かうこと)を開始する場合は、当然、政府もまた「出口」に向かわなくてはなりません。その際に最重要となる対応が、約10年間にもわたる上記金融政策、つまり超~円安外貨高の局面で、ほかならぬ政府自身が高値でつかんだ外貨・・・建て資産を、同時に進むであろう円高の流れのなかでいかに売り逃げるか―――為替差損を少なくおさえることができるか―――になってきそうです。

 そこは、前回ご紹介の、そうした政府の外貨建て資産買いの実行機関といえる「ゆうちょ銀行」の自己資本消滅ラインとなる為替レートが1ドル115円前後ほどという、それでも異様といえるくらいの円安ドル高水準であることからも分かります。ちなみに、本来的な同レート(円実質実効為替レート:1月時点)の同約79円にまで円高が進んだら・・・同行の債務超過額はゆうに20兆円を超えるほどに膨らんでしまうことに・・・

 そのへんは、政府・・・系の、もうひとつの巨大金融機関である農林中金も似たようなものでしょう。そして、わたしたちの年金・・・の原資を運用する公的年金基金(GPIF)もまた同じ。す~っと前から指摘したとおり、GPIFは1ドル約112円あたりを発射台にして外債をはじめとするリスク資産の運用割合を高めてきて今日に至っています。であれば、これまた上記の2行と同様、国内外の投資家が「出口」に殺到するなかで「売り」逃げ遅れて巨額の含み損を食らい・・・結局、わたしたちの年金支給額に下押しの圧力がかかりかねません・・・

 上記をトータルすると、この間の「政府」の投資の帳尻はマイナス数十兆円に上るのはほぼ確実な情勢でしょう。これこそ、出口戦略がもたらし得る、前述の、日銀のB/Sがどうの、といったところをはるかに凌駕する国家国民にとっての大リスクです。したがって政府は、リアルな損害として確定してしまう額が少しでも小さくなるよう、いまから、つまり日銀の新体制がスタートする前から、これらに利確か(少しなら許すので?)損切りの売りを促していただきたい(・・・って、とくに外国人投資家が「出口」(円買い外貨売り)に殺到する前に)、と切に願うものです・・・が・・・

 もっとも、上記が先述した「本当に本当の目的」をかなえるために必要なプロセスだった、と考えられ・・・なくもないですね(?)。そうすることで、日本も深い(けれど、けっして致命傷ではない)傷を負う羽目になるから、じつは意図してヤった(?)などとは思えないでしょうからね・・・(?)

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