世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
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【今日もウクライナ経由でロシア産ガスが欧州に無事届く…ってあたりに解決の糸口が】ウクライナ危機で不合理な政策を選ばざるを得ない欧州⑤

2022-03-27 00:01:21 | ヨーロッパ
前回からの続き)

 先述のように、ウクライナ危機の先行きはいまだ不透明なものの、近い将来、ロシアとウクライナは何らかの停戦合意に至るだろうし、欧州・・・のEUとりわけユーロ圏のドイツは同危機前に近い枠組みのもとでロシア産エネルギーを購入するようになるだろう、と予想しています。結局、それが3者にとって、もっとも「現実的」で「合理的」だからです。別の言い方をすれば、EUにとって対ロ軍事費増強・エネルギーの脱ロシア化を進めることは、上記の事情に照らせばきわめて不合理なのはもちろん、ウクライナにとってもこれは貴重な外貨収入源のガス輸送料(ロシア発欧州行きのガスパイプラインの同国内の通過料)の喪失を意味するから大きなマイナスです。もちろんロシア(原油・天然ガスだけの国)だってアメリカへの対抗上、EUとのつながりは絶対にキープしなければなりません・・・って、自分のエネルギーの経済性(価格の安さ&供給安定性)をEUにアピールすることで。

 以上のように「合理的」に考えれば、ロシア産エネルギーが「かすがい」となるかたちできっとこの危機は収束するだろう、と読めるわけです(?)。もっとも、このたびのことがあるので、「ノルド・ストリーム2」(ロシアとドイツをバルト海底経由で直接つなぐ新規ガスパイプライン[完成済みも運開は未承認])でのガス輸送量は当初予定よりも減らし、その分だけウクライナ領を通過するガスパイプライン経由に振り分けることで同国にもガス輸送料の増額というメリットがあるようにする、みたいなことを3者で検討する、なんてのもいいかもしれません(?)。

 まあともかく、きっと上記のような合理的な考え方が感情的な対立を解消させることでしょう(?)。それを予感させるのが、たとえば次のようなトムソンロイター記事が伝える現状です。それによると26日、ロシア国営天然ガス企業「ガスプロム」が欧州に対し、需要家からのリクエストに基づいてウクライナ経由で天然ガスの供給を継続している、と述べたとの由です。この瞬間も激しい軍事衝突が起こっているはずのウクライナ・・・をこうして無事に、というより淡々と?通って欧州にロシア産のエネルギーがしっかり届けられている・・・という事実は、このあたりにウクライナ危機の解があることを知らせてくれているように思えますね・・・

(「ウクライナ危機で不合理な政策を選ばざるを得ない欧州」おわり)

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【欧州、ただでさえインフレ抑制困難なところにエネルギー脱ロシアは…】ウクライナ危機で不合理な政策を選ばざるを得ない欧州④

2022-03-25 22:19:23 | ヨーロッパ
前回からの続き)

 ウクライナに軍事侵攻したロシアの脅威増大に対抗するため、欧州連合(EU)はロシア産エネルギーから脱却する方針を決定し、なかでもこれへの依存度が高いドイツはロシア以外の国たとえば中東カタール産の天然ガス(LNG)の購入を増やすことなどを検討しているもようです。が、これらは、既存パイプラインでサクッと?送られてくるロシア産と比べると、前述した事情等から、価格がずっと高いと考えられます。それでもロシア産をやめてこれらを購入する、ってならご勝手に、ですが、上記からこの場合、ドイツ(をはじめとする欧州の多くの国々)はほぼ100%、経済的にはマイナスの影響を被ることになるでしょう。はたして各国民はこれに耐えていけるのでしょうか・・・

 そのあたり、EUで懸念されるのは、やはり「インブレでしょう。これ、先日のこちらの記事に書いたように、EUのユーロ圏では今般のウクライナ危機以前から発現していたわけですが、同記事、そして本ブログで何度か指摘しているユーロ圏の「通貨・金融統合財政不統合」という特殊な枠組みなどのため、ユーロ圏ではこのインフレを制御することが構造的に難しくなっています。そんな、ただでさえインフレになりがちな経済金融環境にあったところに、今般のウクライナ危機、そして上記のように合理性の乏しいエネルギーの脱ロシア化を進めることは、当然、圏内のエネルギー価格のいっそうの上昇につながるでしょうし、これが最大の要因となってインフレがさらに高進してしまうでしょう・・・

 で、そのユーロ圏のインフレ率(≒消費者物価指数)ですが・・・2月に前年同月比で5.8%の上昇と、1月の5.1%を上回って過去最高を更新しました。そしてドイツのインフレ率も2月時点で同5.5%と、1月にいったん弱まったのが再び加速しました。これらはいずれも2月つまり大半がロシアのウクライナ軍事侵攻(2月24日前後)前の状況下での数値ですが、それでもこれほどの高率―――それも、アメリカ同様、明らかな実質マイナス金利(ドイツでさえもマイナス5%前後か)―――だから、同侵攻後のいま(3月)、そして今後はいったいどこまで上がるのか―――実質マイナス金利幅が拡大するのか―――見当もつかない、といった有様です(?)。であれば、そんな危うい情勢下で、どれほど上記が非現実的か、といったところでしょう・・・

 そのあたり、ロシアは同国のガスを輸入している欧州各国に対し、その代金をルーブルで支払うよう、要求しているもようです。ロシアとしては、同輸入国に外為市場でユーロを売ってルーブルを買わせることで、ルーブルの対ユーロ等の価格下落を食い止めようという狙いがあるのでしょう。もちろんこれ、欧州側が抗議するように、(おそらく)契約違反(契約上はユーロで支払うことになっているのに、それに反する)と思われます・・・が、だからといって欧州側は、じゃロシアのガスは買わないよ、などと突っぱねることはできないと推測されます。それあまりに「非現実的」だから、です・・・

 こんなところからも、欧州がエネルギーのロシア依存度ゼロをめざすことがいかにたいへんか、が分かるというものです。というあたりで考えれば、やはり、そう遠くない将来、ロシアとウクライナとの間に何らかの妥協?が成立したことを大義名分に、欧州(とくにドイツ)・・・とロシアは、再びエネルギーで結びつくようになるだろう、と読むものですが・・・(?)

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【ドイツのエネルギー「脱ロシア」はとりわけ不合理…】ウクライナ危機で不合理な政策を選ばざるを得ない欧州③

2022-03-23 00:02:57 | ヨーロッパ
前回からの続き)

 ウクライナに軍事侵攻したロシアへの対抗措置として欧州連合(EU)は、各国の軍事予算の増額に加え、ロシア産エネルギー(原油・天然ガス)への依存を2027年までにゼロにすることを決めましたが、これ、とくに天然ガスについては、前述した事情から経済的には不合理な選択としかいいようがありません。そのあたり、この瞬間もロシアと激闘中のウクライナが、にもかかわらずその(憎いはずの)ロシア・・・産ガスの恩恵(ロシアから欧州に至るガスパイプラインの自国領内のガス運送料等)を享受している(享受させてもらっている?)のだから、なおさらEUにはロシア産ガスを拒絶する合理的な理由がないように思えますが・・・

 ここで、もっともそう感じさせられるのが、やはりドイツでしょう。前稿でも書きましたが、ドイツは他の欧州諸国に比べてもロシア産エネルギーへの依存度が大きくなっています。同国政府機関等の統計によると、2020年時点でのドイツの各エネルギーにおけるロシア産の割合は天然ガス55.2%、原油33.9%、石炭48.5%と、ここまで一国(ロシア)だけにエネルギーを頼って大丈夫?とこちらまで心配になるくらいの数字が並びます・・・が、見方を変えると、ロシア産エネルギーはそれだけドイツには魅力的だ―――経済合理性が高い―――からこそ、こうなった、 ともいえるでしょう。

 そのへんは、パワーバランス的にも、ロシアへの依存度を高めても大きなリスクはない、との読みがドイツにはあったものと思います。エネルギー以外に外貨収入源がないに等しいロシアは何だかんだでEUとりわけ(支払い能力が最強の)ドイツにこれを売るしかない―――アメリカへの対抗上、ユーロ(EUにとっては自分たちの通貨)での収益がほしい―――からです。であれば、万一EUとロシアが激しく対立するような局面となっても、ロシアはユーロ欲しさにEUにすり寄るから、エネルギー貿易とその(ユーロでの)決済だけは断たれることなく継続される・・・って、実際、そのとおりになっているわけです、この厳しい情勢下でもドイツの想定のとおり・・・(?)

 以上のことから、EU・・・のなかでもその盟主ドイツがロシア産エネルギーに依存するのは、その原産地が地理的にも近くて輸送等コストが安いこと、そしてこれを輸送するインフラ(パイプライン等)がすでに整っていることなども含めて考えると、じつに現実的といえます。

 で、いま、これを止めて他の選択肢を・・・っても、どれも現状と比べたら合理性の低いものにならざるを得ないでしょう。そのあたりドイツはどうしようというのか?ですが・・・報道によると同国はこのほど中東のカタールとLNGの長期供給に関する交渉を開始したもようです・・・が、LNGはそのプロセス(原産地で液化→船舶等で運搬→気化→供給)からパイプラインのガス(≒ロシア産ガス)よりも明らかに高価格なうえ、そもそもドイツには現在、LNG基地がないので、カタール産LNGを大量に輸入するためには同基地も建設しなければならず・・・といった具合で、やはりこれ、経済性も供給安定性もロシア産ガスにかないそうもありません。もちろんそれを承知で同LNGプロジェクトを推進する!というのならそれはご勝手に、ですが・・・繰り返しますがゼレンスキーさん(ウクライナ)もガス(がもたらす恩恵)だけはプーチンさん(ロシア)のところにいまだ頼っていますよ・・・

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【EUの露エネルギー依存ゼロ、ウクライナにとっても不合理…】ウクライナ危機で不合理な政策を選ばざるを得ない欧州②

2022-03-21 00:02:42 | ヨーロッパ
前回からの続き)

 ウクライナに軍事侵攻中のロシアの脅威増大を受け、欧州連合(EU)の各国は、先日のEU首脳会議において、各国が防衛予算を増額することと、ロシア産エネルギーへの依存を2027年までにゼロにすることを決定しました。が、これらはいずれもEUにとっては経済的には合理性の乏しいものといわざるを得ません。そのあたりについて、前回は前者(軍事費増額)について考えるところを綴りました。

 で、次に後者―――ロシア産エネルギーへの依存からの脱却―――ですが、これまたEUにとっては(前者以上に)不合理な経済政策というほかないでしょう。前稿でも書きましたが、同エネルギーとくにロシアからの天然ガスは供給安定性そして価格の両面でアドバンテージがあるのに、わざわざこの購入を止めて、上記両面で劣ると考えられる他国産(LNGなど)に切り替えたり、あるいはその穴埋めに再生可能エネルギーへの転換を進めたり・・・って、これらはEUのエネルギーコストを押し上げこそすれ、ロシア産よりも同コストを引き下げるとはとても思えないわけです。であれば、ウクライナ危機前からいろいろとたいへんなEUがエネルギーの脱ロシア化を、それも「一致団結」して断行する・・・なんてあまりに「非現実的」な気が・・・

 そのへんに関する「現実的」な状況を教えてくれるのは、やはりロシアからのガス供給持続でしょう。これウクライナ情勢の悪化にあっても途絶えることなく続けられている様子は前稿でもご紹介しましたが、たとえばトムソンロイターの今月7日の記事からも、その具体的な内容の一端が窺えます。それによると、ロシアからパイプライン経由で送られてくるスロバキア国境地点におけるガス量は、上記軍事侵攻以降、(何と!?減るどころか逆に)増加しているとのこと。これ、ガスのスポット価格が跳ね上がったことで、おもに長期契約に基づいて供給されているロシア産ガスの価格がより魅力的になったために欧州の需要者がその購入を増やした結果、との由。ということで、ロシアの暴挙で他国産ガスよりも(皮肉なことに)ロシア産ガスのほうに経済合理性があることが示されてしまいました・・・

 で、ここでさらに見逃せない現実は、このガスが、「ノルド・ストリーム1」(ロシアとドイツを北海海底経由でダイレクトに結ぶ既存のガスパイプライン、現時点で対ロ制裁の対象外)などではなく、ウクライナ領内を(通るパイプラインで)800マイルも旅して(a roughly 800-mile journey through Ukraine)無事に届けられていること。となると、この点―――欧州へのガス供給―――に限れば、ロシア(ガスプロム)とウクライナは暗黙ながらも?「一致団結」しているといえそうです(?)。それが両者にとって合理的、つまりロシアはガス売却収入を得られる、ウクライナはガス通過料を得られる、ということで。これにロシア産ガスのメリット(安定供給&低価格)を享受するEU(欧州)を加えれば、そのあたりの経済合理性は、じつは当事者?全員に共通していることが理解できるわけです。それは、ロシアがウクライナに軍事侵攻しているこの瞬間でさえ、です・・・

 そうしてみると、EUの今般の目標―――ロシア産エネルギー依存度ゼロ≒同ガスの購入停止―――がいかに不合理なことかかが分かるというものです。それは欧州やロシアにとってはもちろん、ウクライナにとっても貴重な外貨収入(上記通過料)が失われるという意味で、です・・・

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【欧州各国、国防費増額を続々表明!】ウクライナ危機で不合理な政策を選ばざるを得ない欧州①

2022-03-19 22:18:40 | ヨーロッパ
 欧州はホント厳しいことになってきましたね。こんな不合理なことを決めざるを得ないわけですからね・・・

 今月11日に閉幕した欧州連合(EU)首脳会議においてEU加盟各国は、このたびのウクライナ危機をふまえたロシアの脅威増大に対抗するため、防衛費を大幅に増加させることで一致しました。またロシアへのエネルギー依存度を段階的に解消させて2027年度までに同ゼロをめざすこととし、5月に具体策を提示するとの由です。EUのミシェル大統領は会議後の記者会見で「2週間前と我々は別の世界に立っている」などと語り、ロシアのウクライナに対する軍事攻撃が続くなか、これらの対策への理解を求めました。そして現在のEU議長国であるフランスのマクロン大統領は、露プーチン大統領らが上記危機をいっそう深化させれば、さらなる制裁も辞さない、とロシアに対して強く警告しました。

 というように、欧州とくにEUのロシアに対する姿勢は、EU大統領が述べているように、ついこのあいだからガラリと変わってしまったという印象です。もっとも、ロシアの戦争行為は、ウクライナの現ゼレンスキー政権が自国内ロシア人に対する差別的な政策を行ったという点を差し引いても、行き過ぎ、かつ時代錯誤的であるのは明白です。だからこそ、これが上記の対策検討&実行に走らせるくらいにEUに急激な対ロ警戒感を喚起した、と理解するべきなのでしょう。

 他方、上記の2つ―――防衛費増額とロシアへのエネルギー依存からの脱却―――は、EUの経済合理性にはいずれも真っ向逆らうものです。まず前者ですが・・・新たな価値の創出力が乏しい軍事支出を増やしたら、歳出が経済に与えるプラス効果が減ってしまうおそれがあります。そのあたりのしわ寄せで公共事業費等が減額され、社会資本の整備や更新が滞ったりしたら、なおさらでしょう。必要とされていた港湾の建設等を断念してミサイルを余計に作ったり買ったりすることは、少なくとも国民経済的にはマイナスにしかならないだろう、といったことです。それを承知で―――合理性は度外視で―――ロシアの脅威に備えるためにミサイル戦力を強化する(・・・って、せざるを得ない?)のなら、まあそれは個々の判断だからあれこれ言う筋合いはありませんが、はたしてEU各国にそれに耐えられる(経済)力があるのでしょうか・・・

 そのあたり、一国の軍事費のレベルがどの程度かをGDP比でみる場合がありますが(って、これが合理的な見方かどうかは分かりませんが)、上記危機後、欧州ではこれを年2%前後以上に引き上げる方針を示す国が増えてきています。たとえばドイツ・・・のショルツ首相は先月、現在1.5%程度なのを、2022年度から軍事予算に1000億ユーロを充てることで2%以上にすることを発表しました。このドイツを含め、これまでの欧州では1%~1%台半ばあたりの国が多かったのが、デンマーク、スウェーデンなどもドイツと同様、2%あたりにまで高めることを表明しています。そのあたりからは、上記危機に対する欧州の対ロ警戒感がいかに大きいかが感じられるところです・・・が、欧州の外から見れば、欧州・・・経済には上記引き上げで下押しの力が働きそうだ、と読むべきでしょう。国防費の負担増のマイナスをこなしてプラス成長を確保できるほど経済力が強い国が欧州には見当たらなさそうですからね・・・

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【円安エネルギー高の急速度合いは誰の仕業なのかを知らせている】ウクライナ情勢:国益を守るためにするべきこと⑦

2022-03-15 21:06:19 | 日本
前回からの続き)

 ということで、わたしたちが直面するエネルギー危機の本当のところは、ウクライナ情勢の悪化でその確保が困難化するという需給上の危機ではなく、これを口実のひとつとしてマネーがエネルギー先物&為替市場に大量流入した結果生じた(とくに円建て)価格高騰という危機であって、その根本要因は日銀現行金融政策にあるといえるわけです。これが目の前の激しいインフレとなって日本(国民の経済生活&日本国B/S)に襲い掛かっている・・・のはもちろん、むしろアメリカのインフレのほうをさらに煽る方向に作用しているのは先述、そしてこちらの記事を含めて何度も指摘したとおりです。なので、日銀政策には「本当の目的」(アメリカ支援)に見せかけた「本当に本当の目的」(アメリカをインフレで自壊に追い込むこと)があるのだろう、というのが以前からの観測なのですが・・・

 まあそのあたりはともかく、であるのなら―――エネルギー危機がその需給とはほぼ無関係の異常な価格高騰としての危機で、それが日銀政策に起因するものであるのなら―――危機の解消は理屈の上では難しいことではありません。つまり、その政策の軌道修正をすればいい―――少しだけ金融引き締めをすればいい(付利の復活、実質ゼロ金利[=名目金利-予想インフレ率=ゼロ]政策への回帰等)―――だけです、本ブログでは何度も書いているように。これだけで上記価格危機はたちどころに解消し、国民のエネルギーコスト負担は軽減され、経常収支も改善して日本国の国富(純資産)も増加に転じるでしょう(って、ただし、これまでのリスク資産[とくに外債]の「高値掴み」がたたって、上記過程での巨額の含み損の発生は避けられないので、いまから同資産の利確売りを進めたいが・・・)。

 で、先週末からこの瞬間に至る外国為替市場における円安外貨高&エネルギー高は、そのあまりの急速度合いから、これが上記で綴った投機の反映、そしてそれを扇動する者の仕業であることは明らかでしょう。にもかかわらず、まさに自殺行為というべき自分由来のインフレをロシア(のウクライナ軍事侵攻)に「責任転嫁」するという狡猾さ(?)・・・って、いや、これ、あまりに見え透いていて狡猾でも何でもないですが、いずれにせよ、その所期の目的に照らせば、もう十分すぎるはずですよ、相手を二度と後戻りできなくさせてしまったという意味で・・・(っても、ロシアのことではないですよ)

(「ウクライナ情勢:国益を守るためにするべきこと」おわり)

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【日米ともにインフレをプーチン氏のせいにする理由】ウクライナ情勢:国益を守るためにするべきこと⑥

2022-03-13 17:19:52 | 日本
前回からの続き)

 といった次第で、ウクライナ危機がわたしたちにもたらす最大の災厄であるエネルギー危機は、実際のところ、供給途絶みたいな実需上の危機ではなく、そのプライス(電気代やガソリン代など)がどんどん上がっていくという価格上の危機といえるわけです。そしてそれは、ロシア・・・とかではなく、原油先物等(のほかドル等の外貨等)の買いを煽っている日銀仕業ということになりそうです。もちろん当の日銀や政府そして本邦メディアは、コロナ禍に加えてウクライナ危機の「ダブルパンチ」で…みたいな言い方でプーチン大統領ら?を真犯人の隠れ蓑にしようとするわけです・・・ってダブルパンチ」とはエネルギー国際価格の押し上げ&円安(円建てエネルギー価格の上昇の)誘導のことで、これを繰り出しているのは日銀だというのに・・・

 さて、そんな日銀らが国民の目を上記のようにそらしてでも「ダブルパンチ」(の原動力である現行の金融政策[異次元緩和])を続けることの「本当の目的」は、本ブログではもう何度も指摘し、直近ではこちらの記事に書いたように・・・「アメリカ支援」でしょう、おそらくは。ですが・・・本稿で論じているエネルギーの面からいえば、これあまりに強力なためにアメリカ自身をも傷つけ始めているといえます。つまり・・・原油等価格の暴騰で、ただでさえ高進しているインフレがさらにヒドくなって人々の経済生活が一段と悪化するともに、同国の経常赤字もますます拡大してしまいそうだ、といったこと。

 実際、この瞬間、アメリカではガソリン代が1年前から1.5倍を超えるほどに急上昇しており、10日には1ガロンあたり4.32ドルと史上最高値を更新したとのことです。それは、ウクライナ情勢悪化を受けて・・・原油価格の先高観が高まったために同先物に大量の買いが入ったことの反映でしょう。で、その投資家の原資を、超低金利誘導(利回りの大きい順の不等式「原油先物>ドル等>円」といったところ)で結果的にせっせと供給する役割を担っているのが日銀、というわけです。そのへんは、こちらの記事に書いたように、日銀のアメリカ支援というのは、正確には富裕層すなわちインフレで恩恵(原油先物投機とかの利益)を得られる人々だけをサポートするものだから、これ当然ではあります・・・

 ・・・が、他方で大半&フツーの米国民の暮らし向きはこれで悪くなるばかりでしょう、ただでさえウクライナ…前から真性インフレ(モノ>カネ、つまり実質金利が恒常的にマイナス圏に沈んでいる状態)が発現しているわけですから。そのあたりジョー・バイデン大統領は「インフレはおもに露プーチン大統領のせいだ(…inflation is largely the fault of Putin)」などと語ったそうです・・・が、それはマーケットの実態とは違うことは上記から分かります。だからといって、日銀の金融政策が元凶だ、みたいな本当の?ことは口に出せないはず。なぜなら同大統領は、同政策の最大の受益者である米投資家の支持をも得なくてはならない立場にあるからです。結果として、上記の日銀とか本邦政府とかと同じく「プーチン」ということにしたのでしょう。ちなみに・・・米大統領の上記発言について、プーチン大統領は、責任転嫁だと批判したそうですが、こればかりは?プーチン氏のいうとおりですね・・・

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【日本が直面する危機の元凶はロシアやウクライナではなく…】ウクライナ情勢:国益を守るためにするべきこと⑤

2022-03-11 20:24:03 | 日本
前回からの続き)

 先述のように、わが国のエネルギー危機は、ウクライナ情勢がもたらした供給不安の高まり・・・よりはむしろ、それを材料にマネーが先物市場に大量流入した結果もたらされたヴァーチャルな同価格高騰によって深まっているわけです。

 で、ここでいうマネーとは、投資家が自分の資産を売却等して得たキャッシュ(自分のおカネ)・・・ではなく、大半が超低金利の借金です。どうしてわざわざおカネを借りてまで先物を買うの?・・・って、これまた何度か論じたとおり、この瞬間の世界の金融環境は真性インフレ状態(実質マイナス金利状態)だから、本来は金利のつかないモノですら借金の支払金利を上回るリターンすなわち値上がり益が見込めるから、です。となると投資家は、エネルギー先物(に代表される商品先物に始まって株や低格付け債やらのリスク資産等)を買うのに調達コストのいちばん低いマネーを借りようとするでしょう、借金金利と値上がり益との利ザヤが極大となるように。では、最安(最低金利)のマネーとは何でしょうか・・・

 です、いうまでもなく。そして円をその政策で最低金利に導いているのが・・・日銀です、シツコク指摘し続けているように。ちなみに、アメリカの消費者物価指数(≒モノの利回り)は前年比でプラス7.5%(1月)、そして現時点(10日夜)の主要国の長期金利は、米1.99%、独0.29%、スイス0.26%ときて・・・日本は0.19%で(おそらく)世界最低です。これだけでも分かるでしょう?日銀が、円を借りて原油先物を買え!利回りの大きな外貨(建ての資産)を買え!と投資家を焚きつけていることが。その扇動の効果もあって世界のエネルギー価格は上昇し続け、そのなかでも外貨に対して弱くなる円(安)での同換算額の値上がり幅がとくに大きくなっている、というのが実態です。

 というように、わたしたちが直面するエネルギーの価格高騰という災厄を引き起こしているのは、何のことはない、自分自身・・・の中銀である日銀であることが分かるわけです。このあたりは先日の記事で日銀を原材料インフレの「張本人」と名指しさせていただいたとおりです。ウクライナ危機が原因ですって?い~えいえ、日銀の上記「寄与度」に比べればそんなのちっぽけなもの・・・って、上記した実需上の危機が起こっていない限りは。現にエネルギーの真の供給不足は発生していない―――少なくともロシア産ガスはいまもドイツに、そしてウクライナにすら、供給され続けているのですから。

 にもかかわらず、本邦政府やマスコミ等が、エネルギー等の物価高騰の原因を「ウクライナ情勢の悪化」と言い続けるのは、これまたこちらの記事に書いたように、そうすることで国民の厳しい視線がその「本ボシ」であるプーチン大統領・・・じゃなかった黒田東彦総裁・・・率いる日銀に向かわないようにするためでしょう(?)。つまり、インフレはロシアの軍事侵攻のせい、と国民のアタマに強く刷り込むことで日銀の仕業を隠ぺいし、独裁者「円安」氏の地位の安泰を図る、みたいな感じでしょうね。もっともそのあたり・・・小麦はともかく(ロシア等では栽培されていなそうな?)コーヒー豆の価格まで急騰しているのだから、何かヘンだな、って思わないと・・・

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【エネルギー高騰、ウクライナをネタに先物投機が過熱化したため】ウクライナ情勢:国益を守るためにするべきこと④

2022-03-09 00:04:57 | 日本
前回からの続き)

 ウクライナ情勢が日本にもたらしかねない最大のリスクは、わたしたちの「アキレス腱」(外国に依存せざるを得ない国家的弱点)である「エネルギー」・・・をめぐる危機であり、それは具体的には実需面と価格面での危機となります・・・が、幸いなことに(っても、かなりキワドイ?ですが)、少なくとも天然ガスにおいては、先述した諸事情から、ロシア産ガスの供給が途絶える可能性は高くはないので、実需面でのリスク顕在化は何とか回避できそう?です・・・

 そのあたり、AFPによると、ドイツのベーアボック外相は会見で「ロシアのエネルギーの禁輸措置開始3週間で、われわれは2~3日分の電気しか残されていないことに気が付くだろう。よってドイツは対ロ制裁の裏をかかなくてはならなくなる(we have to go back on these sanctions)」とじつに正直に語りましたが、ようするにそういうこと―――そうならないためにロシア産ガスのドイツ(≒EU)さらにウクライナへの供給は上記危機が深まっても維持されるから同供給不足はおそらく起きないということ―――なのでしょうね・・・(?)

 では次に、エネルギーの価格面の危機は?というと・・・上述から日本の場合、また当然ですが、その価格の高騰がリスクということになります。で、この価格、上記した需給によって・・・もそうですが、それ以上に現在は(とりわけこの瞬間は)金融的なところで決定されています。具体的には、原油、天然ガス、石炭などのエネルギー(のほか鉄鉱石や小麦などの原材料・穀物などなどの商品)の価格は、それらの現物を取引する人たちではなく、それらの先物という金融商品を売買する人たちが(参加する先物市場において)決めている、ということ。当然、後者は、電力会社の経営者みたいなリアルなエネルギーを買う人々ではありません。そうではなく、ヴァーチャルなエネルギー(先物)を買う・・・とか売るとかして利ザヤを稼いで顧客に還元する、みたいなことを商売とするヘッジファンド等の金融関係者になるわけです。

 さて、このエネルギー(を筆頭とする商品)の先物市場が活気を帯びるのが、いうまでもなくインフレ局面です。とくに、いまは、真性インフレといえる状態―――こちら等に書いた事情から、欧米諸国を中心に世界的に実質金利(=名目金利-予想インフレ率)が大幅なマイナス圏に沈んでいる状態―――にあるため、キャッシュや債券(預貯金)よりはモノすなわち原油先物等を買ったほうがハイリターン(少なくとも資産価値の目減りを防ぐこと)が期待できるわけです・・・って、実質マイナス金利なのだから、借金をしてでもそうするべき・・・と、この手の投資家なら思うでしょう・・・

 で、そんな金融環境がもう何年も続いています・・・って、とりわけ2020年春のコロナ禍急拡大を受けて派手に開始された米欧中銀の量的緩和策以降は、これがすっかり定着・・・というより、もはや実質利回りがプラス圏に浮上することは2度とない(?)とすべての市場参加者が確信できるくらいにインフレ期待(?)が高まっていたわけです。そんなところで今次のウクライナ危機の発生です。となれば、上記投資家はチャンス到来!?とばかりに動くから・・・エネルギー(の先物)価格がドーンと上昇するのは当然でしょう、上記の実需的な要素とはほとんど無関係に・・・

 こうして日本のエネルギー危機は、ウクライナ情勢がもたらした供給不安の高まり・・・よりはむしろ、それを口実&材料に低金利の借金マネーが先物市場に大量流入した結果もたらされたヴァーチャルな同価格高騰によって深まっている、といえそうです・・・

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【「サハリン」合弁維持が現実的な日本のスタンス】ウクライナ情勢:国益を守るためにするべきこと③

2022-03-07 00:40:06 | 日本
前回からの続き)

 先述のように、エネルギー」がアキレス腱(外国に依存しなければならない国家的弱点)の日本は、その需給がひっ迫し、かつ価格が高進するときに脆弱性が露わになるわけです。そのあたり、ウクライナ情勢がロシア軍の同国侵攻で同危機に転じた現局面であっても、ロシア発ウクライナ経由欧州行きの天然ガスの供給が従前と同じように続けられている(そして、予断は許されませんが、今後もこれが断たれるリスクは高くはない?)ことは、わが国にとっては幸いでしょう、これがエネルギーの実需面の危機を招いていないという点で。ということで日本は、これからも欧州やアメリカなどと連携しつつも、ウクライナ危機が自身の弱点顕在化につながっていくことのないよう、上手に立ち回らなければなりません・・・

 で、このへんについて現時点で冷静に対処するべきは、ロシアの極東地域におけるロシア・米英・日本(商社等)の合弁のエネルギープロジェクト「サハリン1」及び「同2」でしょう。このうち「2」で産出される天然ガス(LNG)を本邦電力・ガス会社が購入しており、その量はわが国の全LNG消費量の8%となっています。で、既報のとおり、このたびの上記軍事侵攻を受け、米英オイルメジャー(1:米エクソンモービル、2:英シェル)が先日、これらからの撤収を表明したところ、日本側がどうするかに注目が集まっています。が、ここは上記の実需面を考えれば、現状維持、すなわち同プロジェクトに留まってロシア産の天然ガス(LNG)を確保し続ける、というのが合理的なスタンスでしょう。

 そのあたり、自民党の世耕参院幹事長が6日のNHKの番組で、上記プロジェクトについて「ここへの依存度が高いガス会社(広島ガスなど)があり、(日本も一緒になって撤退したら)供給に支障が出る可能性がある。現実的に考えていくべき」と述べたとのことです。そのとおりだと思います、現実路線で合弁参画継続でいくべきでしょう。8%ものLNGをサハリン産から他国産に切り替え、なんて急にはできないでしょうし・・・

 他方、そうすると、米英が撤収するのに日本は…みたいな批判が出てくることも懸念されます。が、そこは、上記のとおり、欧州そして(おそらく)当事国のウクライナでさえ、ロシアからのガス供給を受けている現状を強調するとともに、これまた同幹事長が指摘されたように「仮に日本が撤退すると、(エネルギーが)のどから手が出るほどほしい中国などに安く取られてしまう」と説明すれば、相手にはそれなりに伝わるものがあるでしょう。もっとも、欧州が対ロ制裁の実効性を高めるべくロシア産のガスを一切買わない、みたいな強硬措置を決定・実行したら、わが国もこれに合わせて上記撤退等を検討せざるを得なくなりそうです・・・が、上記事情から、実際には欧州もウクライナもそこまでは思い切れないはず(おそらくは)。なので、日本はサハリン産のLNGを引き続き調達できる、と読むものですが・・・

 ともかく、ウクライナ危機がどう展開していこうとも、エネルギーの実需面でのリスクが現実とならないような対応を政府等には望みたいところです。

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