世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
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【オリンピック、スポンサー企業名は表に出ないが…】オリンピックでも分かる日本の多彩さ①

2021-07-29 22:25:54 | 日本
 左胸のエンブレムもそうですが、右胸のロゴマークにも注目したいですね・・・

 「東京五輪2020」連日盛り上がっていますね。世界的なコロナ禍の中、実施の是非等をめぐって直前までごたごたしましたが、ここまで大きなトラブルもなく無事に競技が行われてきているのは、国内外のすべての関係者の尽力のおかげと感謝しています。それに、開会式でのゲームの音楽や衣装等を用いた演出に代表されるように、日本らしさを随所に織り込んだオリンピックになっているところも好ましいですね。今後も、日本の選手はもちろん、いろいろとたいへんな時期にもかかわらず東京に集ってくれた世界各国のアスリートたちにもエールを送りたいと思います。

 さて、オリンピックとかサッカーワールドカップといった世界的なスポーツイベントとなると、個人的にいつも興味深く思うのは、これらを支えるスポンサーです。そのあたり、とりわけ注目されるのが、こちらの記事等を含めて本ブログで何度か綴った、スポンサーとして登場する、わが国の企業の多様さ。つまり、あらゆる産業ジャンルの、どこも世界一流水準のモノやサービスを提供できる本邦企業がこうしたイベントを支えている、ということです。別な言い方をすると、スポーツ大会を通じて、いかに日本の産業基盤が多彩か、が分かる、といった感じ。

 東京オリンピックでも同じです。ちなみに同五輪ではブリヂストン、パナソニックトヨタ自動車の3社がワールドワイドオリンピックパートナー(全14社:国際オリンピック委員会と契約)になっているほか、東京2020オリンピックゴールドパートナー・同オフィシャルパートナー(いずれも日本オリンピック委員会と契約)として数多くの本邦企業が名を連ねています。もっとも後者に日本勢が多いのは、日本で行われるオリンピックということで当然かもしれませんが・・・

 とはいっても、他のイベントとは違って、オリンピックでは、その理念等から、これらのスポンサーの名前やロゴ等が会場等で露出されることは厳しく制限されているので、いくらTV画面にくぎ付けになっていても、オリンピックが上記企業にサポートされていることは、よほど意識していないと気が付くことはないでしょう。そんななかでも例外があります。それは、アスリートたちが身に着けているユニフォームです・・・って、その左胸にあるのは自国の国旗とか紋章などになりますが、いっぽうの右胸には、多くの場合、そのユニフォームを提供している企業のロゴマークが描かれています。そのロゴマークからも、上記と同じことが窺えますね・・・

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【究極の資本主義社会も共産主義社会もどちらも同じ独占が支配する社会】全世界で取り組むべき独占の弊害除去⑦

2021-07-25 00:03:25 | 世界共通
前回からの続き)

 これまで綴ってきたように、経済協力開発機構(OECD)がこのほど合意した「デジタル課税」と「最低法人税率」(15%目安)は、本質的には、「独占」(寡占)という現在の経済社会における最大の害悪に対抗する世界共通の取り組みとなり得ると考えるとともに、実際にこれらが機能して独占(寡占)が緩和されて市場原理が働くことで、独占(企業の経営者や株主)の巨大な利益の多くが消費者の利益(≒安くて品質の良い財&サービスを多様な選択肢のなかから得られること)に転化していくことを期待しています。もっともこのあたり、上述したように、現状の独占の受益者である米GAFA(M)等や、これらを含む独占的多国籍企業の「トリクルダウン」的な恩恵を受ける国々が、当然ながらこの取り組みの進展を阻止しようとする(?)でしょうから、各国の政府・消費者がよほど団結して行動しないと難しそうですが・・・(?)

 ところで、まだ冷戦の構図が残っていた頃には、究極の資本主義と究極の共産主義のどちらの社会が良いか(マシか)、なんて議論があったようですが、これ、究極の2者択一の問いに見えて、まったくそうではありません。なぜなら、どちらも行き着く先は同じく「独占」が支配する社会、になるからです。一企業(資本主義)だろうが一政府(共産主義)だろうが、それが独占(価格が高くて低品質の財やサービスが一つしかない)を形成しているという点で変わりはない、ということ。であれば、右翼も反左翼も関係ないでしょう、反独占を唱えない限りは・・・

 そのあたり、わが国は、競争原理を世界で一番尊重し、独占を許さない経済社会を作ってきたと考えています。その代表セクターが、自動車。だからこそ―――各社が競争を勝ち抜くために切磋琢磨し続けるからこそ―――結果として、こちらの記事も含めて何度か書いたように、多くの日の丸メーカー・ブランドが米消費者から高い評価を得ているわけです。このことからも分かるとおり、わたしたちは、誰に教えられたわけでもないのに(?)、市場メカニズムと独占排除の大切さを知り抜いているといえます(?)。であれば、上記合意の実効性のあるルール作りなどは、EUでも中国でもなく、わが国こそがリードしていくべきだと思いますね、高い競争力を有する本邦企業の市場参入をいっそう促すためにも・・・

(「全世界で取り組むべき独占の弊害除去」おわり)

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【低法人税率で企業を呼び寄せるアイルランドは「虎の威を借る狐」】全世界で取り組むべき独占の弊害除去⑥

2021-07-23 00:01:40 | 世界共通
前回からの続き)

 本稿で述べている、経済協力開発機構(OECD)がこのほど導入を合意した「デジタル課税」と「最低法人税率(15%目安)」には、先述したアメリカのGAFA(M)(Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft)と呼ばれるIT大手のデジタル&国際決済等の分野における独占的な支配を弱める・・・とともに、これらに密接に関係するドルの地位低下を図ろうとする意図が見えるわけです(?)。そのあたり、これを主導したのは、当然ながらアメリカ以外の国々、とりわけドルに次ぐ国際通貨にランクされるユーロを持つEUということになるのでしょう。これらが目論見の通り進展すれば、ユーロはドルに代わる基軸通貨(石油交換券?)になるかもしれませんからね・・・

 もっともEUは、上記の取り決めで必ずしも一枚岩というわけではありません。とくに最低法人税率については、EU内でも、多国籍企業を誘致するために自国の率を周辺国よりも低く設定してきた国にとっては、これをヨソと同率にされてしまうと企業に出ていかれたり新たな企業がやってこなくなったり、といったネガティブな事態が引き起こされかねない、といったことで、そうでない国とは利害が一致しないみたいです。

 そのあたりでよく知られているのがアイルランド。同国はかなり前から(1950年代半ば以降)法人税等を他のEU圏諸国よりも低く設定することで外国の大手企業を自国に招き入れ、その収益や雇用創出、そして税収とかで国を回してきた面があります。これでアイルランドは、とくに20世紀末から今世紀初頭までの間に「ケルトの虎」と呼ばれるような高度経済成長を成し遂げています。であれば、最低法人税率の導入は脅威でしょう、他国とくにEU内の近接国が同じ法人税率になったら、同国内の企業がそちらに移っていってしまうかもしれませんから・・・

 実際、トムソンロイターによれば、上記の取り決めには、交渉に参加する139か国のうち132か国が支持したものの、アイルランドは自国の法人税率である12.5%より高い15%に最低税率を設定する案に抵抗感を示し、支持表明を見送ってきたとのことです。そして現在は、適用除外項目等で企業が同国にいたほうが節税になるような仕組み等を認めてもらうよう、画策している(?)感じですが、うまくいくのかどうか・・・

 アイルランドのように、もともと自国に大した産業も技術も教育基盤等もなく、今後も自力で経済成長していけそうもない国にとって、いまの世界で利益を得るには、上記のように国際的な企業を呼び寄せて、その独占的利益の「トリクルダウン」(豊かな者からこぼれ落ちる富)で食っていくしかないのかもしれません。その点でアイルランドは、正しくは、ケルトの虎・・・の威を借る狐、というべきでしょう、自分が「虎」ではなく「虎」になることもけっしてないのですから・・・

 その他、EUの国々の多くもアイルランドと同じでしょう・・・ってドイツ、あとせいぜいフランスの2か国以外は、みんなそうかな?

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【米バイデン民主党政権は献金攻勢でIT企業寄りに?】全世界で取り組むべき独占の弊害除去⑤

2021-07-21 19:55:09 | 世界共通
前回からの続き)

 前述のように、アメリカが、その最大の国益であるドル覇権(≒ドルが基軸通貨としての地位を保つこと)を維持するうえで、GAFA(M)(Google、Amazon、FacebookApple、Microsoft)と呼ばれる米IT企業は、その巨大な企業価値(ドル価値の裏付けの一部になる)とか国際決済システム(SWIFT等)と密接な関係がある等という点で、絶対に欠かせない存在であり、よってこの弱体化につながる動き(独占的利益に対する課税強化等)は封じていきたいところでしょう。なので、このほど経済協力開発機構(OECD)が合意した「デジタル課税」と「最低法人税率」(15%目安)の導入については、そのアメリカがリラクタントな姿勢を示すことが予想されるので、どこまで実効性のあるスキームになるのかは不透明な感じがします。この2つ、とくに前者がGAFA(M)を狙い撃ちにしようとしていることは明らかですからね・・・(?)

 上記に関連しますが、アメリカの現ジョー・バイデン「民主党」政権は、ドナルド・トランプ前「共和党」政権よりもGAFA(M)寄りのスタンスに立つだろうと思われます(?)。こちらの記事に書いたように、遅くとも昨年の米大統領選挙の前からすでに米IT企業群は民主党バイデン陣営に大型の献金攻勢をかけていたわけで、それは同選挙でバイデン氏が勝利することを(トランプ前大統領が敗北することを)事前に(得意のITで?)予測できていたから・・・かどうかはともかく、当然、そのおカネには意図がある、つまりバイデン政権に対して、われわれ(IT企業)の利益が損なわれるようなことはしてくれるなよ、というメッセージが込められているとみなすべきでしょう。であれば、これを受け取った現民主党政権が今後、GAFA(M)にどう対していくか、はおのずと予想がつく、というものです(?)。そのあたりでヘタをしてGAFA(M)の機嫌を損ねると・・・ひょっとして現在凍結中のトランプ氏のツイッター等のアカウントが復活するかもしれませんしね・・・(?)

 とまあこんな感じで(?)、アメリカ(政府)はGAFA(M)とこうして癒着(?)することを含めてドル覇権の維持を図ろうとするのだろうな、と思っています。先述のとおり、「石油交換券」そして「アメ車交換券」としてのドル価値は・・・ですから、まあそうせざるを得ないのも分かります(?)。他方でそれはGAFA(M)・・・をはじめとする一握りの大企業の市場支配がもたらす弊害に目をつぶることとなり、多くの米国民の不利益(選択肢なし、財やサービスの価格上昇・品質低下等)になってしまいますが・・・

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【IT産業の巨額時価総額と国際決済システムとの親和性がドルを支える】全世界で取り組むべき独占の弊害除去④

2021-07-19 00:01:02 | 世界共通
前回からの続き)

 経済協力開発機構(OECD)がこのほど合意した「デジタル課税」と「最低法人税率」(15%目安)の取り組みは、「GAFA(M)」(Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft)と呼ばれる米IT大手の事実上の独占ビジネスには脅威となると思われますが、それはアメリカ(政府)にとっても同じと考えています。というものアメリカは、最大の国益であるドル覇権を、GAFA(M)のこの独占の支えも得て維持し続けよう、と思っている(?)だろうから。よってアメリカは、デジタル課税みたいなGAFA(M)にネガティブな動きを今後、抑え込もうとしてくるのではないか・・・(?)

 で、GAFA(M)の独占的地位を保つこととドル覇権との関係ですが、まずはGAFA(M)がアメリカ由来の企業であり、よってその株価とか利益がドルと結びついていることが指摘できるでしょう。こちらの記事に書いたように、GAFA(M)の株式の時価総額はすでに日本の全株式の時価総額をも上回るほどの巨大スケールに膨張しているわけですが、これは当然、ドル換算額で、ということで、その意味ではドルの価値の相当部分はいまやGAFA(M)のIT技術力・・・ではなく独占的事業基盤によって裏付けられている、と解釈することもできそうです。

 それともう一つ、GAFA(M)に代表される米IT企業のビジネスが、アメリカとドルが実質的に支配している国際決済システムと親和性があることも、アメリカがこれらを保護しようとする強い動機になるものと考えています。現在、貿易の資金決済の大半はSWIFT(国際銀行間通信協会:世界各国の銀行間の国際的な決済ネットワーク)のネットワークを経由していますが、そこでは引き続きドル決済が主流であるとともに、こちらの記事に書いたイランのケースのように、アメリカは特定国に経済制裁をかけるときにこのSWIFTを介して当該国が他国企業等と決済ができないようにしたりしています。このようにアメリカは、当該システムを掌握し、かつ気に食わない相手(?)には、排除するけど?みたいな強硬措置もちらつかせながら、ようするに引き続きアメリカに従属させよう―――ドルを決済通貨として使わせよう―――としている(?)わけですが、このスキームの維持・進展に欠かせないのがIT、ということでアメリカはそのあたりからもGAFA(M)を守りたいはずだ、と考えています。

 ちなみに上記OECDの合意を主導したのはEUと思われますが、EUは逆に国際決済システムでのユーロの割合を高めたい―――ドルの割合を引き下げたい・アメリカの影響力を弱めたい―――と考えているでしょうから、そうした戦略的観点からも当該システム等を支える米IT産業の力を弱めたいところでしょう(?)。このあたりはEUの弱点、つまり(ドイツも含めて)EU諸国が、日米はもちろん、中韓などと比べてもIT分野で大きく遅れをとってしまった、ってことでもありますが・・・

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【ポスト石油時代にもドルを使わせる重要な前提が米ITの独占】全世界で取り組むべき独占の弊害除去③

2021-07-17 23:30:32 | 世界共通
前回からの続き)

 前述のように、巨額の独占利益を享受している「GAFA(M)」(Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft)と呼ばれる米IT大手企業にとっては、このほど経済協力開発機構(OECD)が合意した「デジタル課税」と「最低法人税率」(15%を予定とのこと)は、実質的にこれらの上記利益をターゲットとしたものに思え、脅威とみなすでしょう。当然、GAFA(M)の本拠地であるアメリカ(政府)も、これら(の株主利益、経営者、従業員等)を守る立場から、上記合意に基づく取り組みの推進にはリラクタントな姿勢を示しそうです(?)。

 このあたり、もっと重要なところとして、アメリカにはGAFA(M)に独占的地位を享受させることでドル覇権の維持を図ろうとしている、という面もあるものと推測しています。

 以前から書いているように、ドルが基軸通貨であり続けているのは、それが「石油交換券」だから、といえるでしょう。石油こそは、現代社会においていちばん大切な戦略物資であり、これを手に入れるには(サウジアラビアなどの)産油国にドルで支払わなければならないことになっています(?)。したがって、日本を含む世界各国は、どうしてもドルを必要とするし、ドルで石油が買えるから、ということで国際貿易の決済通貨としてドルが使われるようになっている、というところがあるでしょう。

 しかし・・・再生可能エネルギー、ハイブリッド車・EV車のいっそうの普及などから容易に予想されるように、今後の世界においては石油の重要性や消費量等は(とくに先進国では)下がっていくものと思われます。それは「石油交換券」としてのドルの価値の下落をも意味するわけです。で、そのときドルは、円などの他の通貨がそうであるように通貨発行国のモノやサービスとの交換券、つまりメイド・イン・USAとの交換券になるのですが・・・これ、アメリカにとっては非常によろしくない状況といえるでしょう。というのも前述のとおり、メイド・イン・USAの多くには、すでに国際競争力がないからです。その象徴が、こちらの記事を含めて何度かご紹介した、モノの代表である「自動車」です。日本車がトップ1を含む上位の常連、中位にドイツ車とか韓国車、そしてアメ車は・・・日本車にははるかに及ばないのは当然として、ドイツ・韓国等の後塵を拝する結果に・・・って、これ、当のアメリカ人(米自動車ユーザー)が評価した結果・・・ってあたりがスゴいといえます。つまり、アメ車を愛しているだろう人々の割合が世界一高いマーケットで、この有様ってことです・・・

 であれば、石油がそれほど必要のない世界になったら、日本や欧州、そして韓国までもが(!?)、ドルを持つインセンティブを失っていくでしょう。自国ブランドのほうがメイド・イン・USAよりも優れている(ことを当のアメリカ人が教えてくれている)のならば、その交換券(ドル)はいらないや、となりかねない、ということです。それは―――他国がドルに価値を見出さなくなってしまうことは―――アメリカにとっては国家存亡の危機になります、以前から書いているようにアメリカの「アキレス腱」(他国に依存しなければならない国家的弱点)はそこ(金利)ですからね・・・

 で、アメリカがとるべき新しい国家戦略・・・って、ポスト石油(ポスト石油交換券)の時代でもこれまでと同じように世界にドルを使わせるための戦略(?)の重要な前提となるのが、GAFA(M)の独占なのだろう、と考えています。

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【アメリカとGAFAMが独占を弱めるデジタル課税等に賛成しない?】全世界で取り組むべき独占の弊害除去②

2021-07-15 22:54:08 | 世界共通
前回からの続き)

 前述のように、このほど経済協力開発機構(OECD)は、巨大IT企業などの課税逃れを防ぐためのデジタル課税と、企業誘致を目的とする法人税の引き下げ競争に歯止めをかける各国共通の最低法人税率(15%目安)の導入で合意しました。このあたりOECD加盟各国の様々な思惑がぶつかりそうなところですが、お互いに妥協しつつ?こうして合意に至ったことは評価できると考えています。この2つの取り組みには、現在の国際経済の最大の問題の一つである「独占」(寡占)の弊害を減少させる面があるでしょうから・・・(?)

 もっとも、これがそんな期待どおりに進むかどうかは非常に不透明といえるでしょう。そのへんは上記の独占、とりわけデジタル分野での独占(寡占)を築き、巨大な利益を享受する「GAFA(M)」(Google、Amazon、FacebookApple、Microsoft)と呼ばれるIT企業群は当然のようにネガティブに感じるだろうし、これらがホーム市場としているアメリカ(政府)もまたこれを積極的に推進していこうとはしないように思えます。

 こちらの記事を含め、何度か書いていることですが、現在のアメリカは独占に非常に甘い国になってしまっています。なぜそうなってしまったのか、といえば・・・じつは、「日本のせい」と考えられるでしょう。つまり遅くとも1980年台までにアメリカでは自動車やら電気製品などの主要なモノ市場がメイド・イン・ジャパンに席巻され、他方で、GM破綻に象徴されるように米企業の多くがこれらマーケットから淘汰されてしまったため、もう市場競争は(日本勢に負かされるから)こりごり、で独占に逃れよう、となった、といった感じでしょうか。もっとも、だからこそ米消費者は、自分好みの車を多様な選択肢の中からチョイスできるようになったわけで、そこは「日本のおかげ」とも言い換えられるわけですが・・・

 で、その独占を築きやすい業界が・・・上記のGAFA(M)が実質的に市場支配するデジタル分野といえるでしょう。ご存じのとおり、そしてこちらの記事に書いたように、たとえばマイクロソフトのウィンドウズはデスクトップOSにおいて約90%のシェアを占めているし、スマホOSではアップルのiOSとグーグルのアンドロイドが2社寡占状態を保っています。これらは「de facto standard」(事実上の世界標準)となり、圧倒的シェアで市場を支配しているため、他社がこの分野に参入することは非常に難しくなっています

 ということで、これら米IT大手は厳しい競争にさらされることなく、巨大な独占利潤を享受しているわけです。もちろん、これを逆から見れば、わたしたちユーザー(消費者)が、選択肢がないがゆえに高いサービス料金等を支払わされていることになりますが・・・

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【OECD、デジタル課税&最低法人税率導入で合意】全世界で取り組むべき独占の弊害除去①

2021-07-13 00:02:12 | 世界共通
 実際のところ、どこまで実効性のある取り組みになるのかは不透明ですが、これがコストダウンや選択肢の多様化といった消費者利益の拡大につながることを期待したいものです・・・

 1日、経済協力開発機構(OECD)は、法人税改革の国際的ルール作りに向けた会合を開き、巨大IT企業などの課税逃れを防ぐためのデジタル課税と、企業誘致を目的とする法人税の引き下げ競争に歯止めをかける各国共通の最低税率の導入で合意しました。デジタル課税は全世界での売上高が200億ユーロ超で利益率10%超の多国籍企業を対象とし、最低法人税率は15%以上として、それぞれ2023年の開始をめざす、とのことです(実際には多国間条約の締結や加盟各国の国内法改正等が必要になる)。

 この方向性、個人的には大賛成です。というのも、最近ではこちらの記事等にも書いたように、現在の経済社会における最大の問題点が「独占」―――とりわけIT分野の独占―――と認識しているところ、上記取り組みにはこの独占の弊害を一定程度、減少させることが期待されるからです。つまり、デジタル課税によって独占企業の市場支配力は弱められるとともに、その利潤のうちの相当額が政府(当該国の国民)の利益になるでしょう。そして最低法人税率の導入は、そのデジタル課税を回避して税金のいっそう安い国や地域に移転しよう、という気にさせなくする、という効果があるかもしれません。どこに本拠を移しても税率は低くても15%で、その他のコストや市場アクセス等を考えたら、いまいる国でもう少し高い税率で税金を払った方がいい、というケースも増えてきそうですし(?)。

 で、このたびの合意は、以前から巨大IT企業に対する規制等に熱心なEUが主導したものと思われます。実際、EUの動きは早く、12日には、まずは最低法人税率の成立に注力するため、デジタル課税に関する作業は中断することにしたとのことです。もっとも、法人税率の違いはEU諸国間でずいぶん前から(そしてあちらこちらで?)問題となっていたので、EUにはデジタル課税に先立って最低税率を決めておきたいといった思いもあることでしょう。さもないと・・・こちらの記事に書いたように、たとえばEU加盟国のなかの特定の地域とかの、法人税率を極端に低くして企業誘致を図って、その税収等に基づいて本国から独立をしよう!なんて動きを抑えられなくなるかもしれませんからね・・・(?)

 まあそのあたりの真相は別にしても、上記は(EU主導でも何でもいいから?)ぜひ進んでほしいと思っています・・・って、これに立ちはだかりそうなのが・・・やはり巨大IT企業・・・のおひざ元のアメリカでしょうか・・・

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【サマーズ元米財務長官「木は高くなりすぎると立っていられなくなる」と警告…】超~理解できるFRBの政策スタンス④

2021-07-09 00:25:52 | アメリカ
前回からの続き)

 ということで、中央銀行は、その時々の景気や市場の動向を見極めつつ、金融緩和(利下げ・国債の購入等≒市中へのマネー供給)と金融引き締め(利上げ・国債の売却等≒市中からのマネー回収)の双方を使い分けながら、その使命である物価の安定・金融システムの安定を図っていく・・・べきところ、FRBは金融緩和と「口先」金融引き締め(事実上、将来のある時期までは間違いなく緩和を続ける、との逆説的な?メッセージ)の双方を使い分けながら物価の・・・いっそうの引き上げ(インフレ喚起)と金融システムの・・・潜在的な不安定化(不動産やらジャンク債やらのリスク資産バブルのさらなる膨張)を図っていく、ということになりそうです。そして前回綴ったことからも分かるように、上記の「口約束」(緩和縮小・利上げ等)が実際には果たされたことはない・・・どころかFRBは、つねにその逆の緩和拡大(国債購入ばかりかMBS社債などのリスキーな債権の購入など)にまい進し・・・って、まい進する以外の選択肢(≒テーパリング)はなく、その結果、本稿冒頭に記したローレンス・サマーズ元米財務長官が「コワい」(scary)と震えるほどの「いま」がある、といった次第です。もちろん、これまでと同じように、今後もFRBの現行の政策スタンスが変わることはないでしょう。上記のとおり、変えることはできないのですからね・・・

 さて、サマーズ氏の戦慄ぶりを伝えるブルームバーグのニュースは、木々(trees)は高くなりすぎると立っていられなくなる(too tall to be stable)ものだ、といった同氏の警告の?言葉で終わっています。すでに空にまで(to the sky)、いや大気圏外(?)に達するほどに伸び切ってしまった「木々」はどうなってしまうのか・・・(って、やはりFRBとは違う中銀?が支えてあげる・・・けど月に届いたあたり手を引く気ですかね???[小声])

(「超~理解できるFRBの政策スタンス」おわり)

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【FRB、引き締めできず、口先だけ…】超~理解できるFRBの政策スタンス③

2021-07-07 20:42:15 | アメリカ
前回からの続き)

 本稿では、米不動産価格の、とりわけ昨春以降の急上昇ぶりにローレンス・サマーズ元米財務長官がコワい(scary)と戦慄し、それでもなおFRBが超緩和的な金融政策の一環で(不動産価格をいっそう押し上げる方向に作用する)MBS(不動産担保証券)の購入を続けることに「理解できない」と語ったことについて思うところを綴っていますが、FRBのこの政策スタンスは超~理解できる・・・どころか、さらに拡大するべきだ、ともいえるわけです。米経済は、この間の上記価格のスゴい上昇幅とかを前提に回っているわけで、これがちょっとでも下がったりしたら、たちまち消費が急落して景気が悪化し、不良債権が急増して・・・といった経済・金融危機に陥りかねません。なので、この前提を揺るがすようなこと、すなわちMBS購入額縮小みたいなことはFRBにはできません・・・ってことは理解してあげないとね・・・

 このあたりは、たとえば2017年のこちらの記事を含め、本ブログではもうずいぶん前から指摘していることではありますが、ということは遅くとも4年前の春にはとっくに手遅れになっていた、つまりFRBは、それよりかなり前から金融緩和しかできず、逆の金融引き締めはできなくなっていたことになるわけです。以前から書いているように、緩和・引き締めが臨機応変にできてはじめて中央銀行といえるわけですが、前者、すなわちマネーのバラマキしかできなくなってしまったらもはやそれは中銀≒インフレファイターではありません。その先に待つのは、歴史は繰り返す、のとおり制御不能のインフレだからです。

 とまあ、そのあたりはFRBも分かってはいるでしょう。でも実際には上記のとおりFRBにはインフレ抑制には動けない。そうなると、それでも中銀か?みたいな批判的な見方が広がって最悪、FRBは中銀としての特権「通貨発行権」を(米連邦政府に?)奪われかねません(?)。それではマズい、ということでFRBは金融引き締めに踏み切る・・・っても口先だけ、ってな策を講じるわけです。つまり「近々テーパリング(緩和縮小)するからね」などということで、FRBとしては、自身に緩和・引き締めの双方向の政策運営ができるかのように市場に思わせる・・・とともに、上記不動産価格そして株だのジャンク債だのといったリスク資産の急騰の勢いを少しでも抑制したい、という狙いです。このあたり、最近の報道によると、FRBのジェローム・パウエル議長がテーパリングについて今後のFRBの政策会合で検証していく意向を示したほか、FRB当局者は、これまでの想定よりも早く、2023年に2回の利上げの可能性があると語ったとのこと・・・

 ・・・って、これ、しょせん「口先」でしょう。上記によれば引き締めは2年「も」先です。ということは、市場はリスク投資を手控える・・・どころか、あと2年「も」できる!と解釈して緩和マネーの借金でリスク投資にまい進するでしょう。そして2年後、資産・借金バブルは、すでに超バブリーな現状と比べようのないくらいのメガスケールに膨張し、これを破裂させるわけにはいかないから、やはり引き締め不可能、となるのがオチと思われます(?)。

 こちらの記事で4年「も」前に、上記をFRBの「口先利上げ」と名付けて書きましたが、そのとおり口先だけで、この間、利上げは実質的にできなかった・・・どころかその逆にFRBは現在、さらなる緩和(実質マイナス金利誘導)を進めているような有様です。そしてこの4年間の不動産価格の上昇率は30%を優に上回っています(約32%、S&P/Case-Shiller U.S. National Price Index)・・・

 ということで、FRBにできるのは口先引き締めだけで、実際には金融引き締めはしない、というより、できない、ということになりそうです・・・

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