(前回からの続き)
アメリカは金利を低い水準に維持するために日本にもっと米国債を買ってもらいたい、けれど、実質利回りが日本国債を下回るこれを買う理由が日本にはない、となってくれば、日本がアメリカから米国債を買い、そしてアメリカが日本にこれを買わせるには、経済合理性では説明がつかない大義名分が必要で、それが安全保障つまり「日米安保条約」ということになる、と前回綴りました。このあたりは、こちらの記事を含めて何度か書いてきたことなので詳細は省きますが、その反映(?)となる具体的な動きのひとつがこちらで指摘した「ゆうちょ銀行」の預入限度額の引き上げだと思っています。
上記に沿って考えると、アメリカには自分の「アキレス腱」(外国・・・って、ぶっちゃけ日本?に頼らなければならない国家的弱点)である金利の上昇を抑止するには、日本に安全保障つまり世界最強の軍事力のカサを提供しなければならない、ということになります。ここに、こちらの記事で定義した、アメリカは「弱み」である「金利」を「強み」である「軍事力」で守る、という図式が浮かび上がってくるわけです。それは世界で唯一、対日本での関係において、ということでもあります・・・
この見方をさらに進めると、アメリカにとっては、日本にマイナスの影響がある戦争や対立およびその脅威が不可欠となります。それらがこの星にある限り、自身の強みである軍事力が意味を持ち、日本がこれにすがり、よって金利上昇という破局を食い止めることができるからです。そのためには当然、「敵」が必要になるわけですが、現在、その一番手が中国、二番手がロシアといったあたりになります。上述の理由で両国とも本質的にはアメリカに「従属」する「味方」だから、喜んで(?)この敵「役」を買って出ることになります(?)。なぜなら、そうすることで日本をアメリカにイヤでも(?)「従属」させる―――経済的には合理性の無いドル・米国債買いを日本にさせる―――ことができ、それによってアメリカばかりか自分たちの利益でもあるドル・米国債の価値を保つことができるため、です・・・
逆からすると、世界平和の実現はアメリカにとって国家存亡の危機になります。上記に照らせばいうまでもありませんが、その結果、金利が爆騰してしまうためです。つまり軍備が不要な世の中になれば、「ゆうちょ銀行」を含めた(?)日本の投資家は市場原理(円>ドル等)だけに従うようになってドル投資をしなくなる・・・ばかりか手持ちのそれらを手放すため、米国債の価格が暴落(金利が暴騰)してしまう、ということです。それは米経済の壊滅を意味するとともに、中ロ両国にとっても大ダメージとなるものです・・・
冷戦はとっくに終わったにもかかわらず、いまだにアメリカが中国やロシアと対立し続けている(?)のは、日本に対してそう見せなければ、こうして3国共通の利益であるドル価値が失われてしまうから(?)だと考えています。