世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
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【国家の「アキレス腱」、米「金利」、日「エネルギー」】再生可能エネルギーと蓄電池が日本を強くする②

2018-04-29 00:03:25 | 日本

前回からの続き)

 各国が密接につながり合う現在の世界にあって、外国に何も頼らずに単独で高い生活等レベルを享受できる国なんて、ひとつもありません。そう考えると、他国に依存せざるを得ないところがその国の「アキレス腱」(弱点)といえそう。まあこのあたり「天は二物を与えず」と似ていて、だからこそ、各国は仲良く助け合いなさい、ということなのでしょうが・・・

 で、そのアキレス腱ですが、たとえば・・・サウジアラビアのような砂漠の産油国にとっては「食糧」だと思います。同国はかつて、地下水を活用して主食の小麦を増産し、1990年前後には小麦の輸出国になったことがありました。しかし、そのせいで地下水が枯渇したため同国は小麦生産の断念に追い込まれ、2016年以降は小麦を作らなくなってしまったもようです。当然ながら、これらはすべて外国からの輸入に頼るしかないわけで、その意味でサウジ等のこのアキレス腱は、不透明な原油価格の今後もあって、さらに脆弱になっていく傾向にありますね・・・(?)

 アメリカアキレス腱は・・・何といっても「金利でしょう。つまり巨額のマネーを外国とくに中国日本から借りてこないと国が保てない、ということです。金利が上がったら―――外国からのマネー流入が弱まったら―――同国経済をけん引する借金を元手にした家計の消費が落ち込み、住宅などの資産価格が急落、これによってドルも暴落し、いっぽうで金利はさらに上昇して経済恐慌が引き起こされる危機的事態に・・・(?)

 先日のトランプ政権による、中国製の輸入鉄鋼を狙い撃ちにしたような関税賦課に関連して、アメリカのメディアは、中国が対抗措置として米国債の売却に踏み切るのではないか、なんて観測記事を盛んに発していました(その後、中国が逆に米国債保有額を増やしていることが分かって、この手の報道は出なくなりましたが・・・)。このへんからもアメリカが金利の上昇に怯えている様子が伝わってきます。中国が今回の貿易摩擦くらいで切り札を切るわけがないでしょう(?)。にもかかわらずアメリカがここまで中国の動きに神経をとがらす理由は・・・上記のとおりです。足元で米長期金利はとうとう3%」を越えてきました。したがってアメリカはますます中国マネーを当てにせざるを得なくなる・・・ってことを、わが国はしっかり認識しておくべきですよ(?)。

 そして、日本のアキレス腱は・・・「エネルギーだと思っています。いうまでもありませんが、わが国は原油、天然ガス、石炭と言ったエネルギー資源のほぼ100%を海外からの輸入に依存しているためです。とくに2011年(東日本大震災が起こった年)以降、現在に至るまでの原子力の低稼働により、日本のこれらへの依存度はさらに高まった、つまりアキレス腱が弱くなった、とみるべきでしょう。よってこの脆弱性を克服するべく、化石燃料が安定的かつ安価に調達できるような戦略を推進すべきなのに・・・アベノミクスはこの間、真逆なこと、すなわち輸入エネルギーの円建て価格を一貫してつり上げようとしてきたわけです。これでは日本国は強くなれるはずがない・・・(?)

(続く)

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【東電&NTT、再エネと蓄電池のコラボ事業を立ち上げ】再生可能エネルギーと蓄電池が日本を強くする①

2018-04-27 00:04:56 | 日本

 日本の一大弱点をカバーする取り組みになっていくことを期待したいですね・・・

 先日、東京電力ホールディングスとNTTは、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーの普及と効率的な活用促進などを目指し、共同で新会社を設立することを発表しました。この事業、両社が持つ蓄電池を東電の電力網に接続、これらを介して太陽光等の電力を放充電し、再エネ拡大にともなって必要となっている出力変動の調整力を提供しようというもの。両社は今後、関東地域に所有する鉛蓄電池を高効率のリチウムイオン電池に転換することで300kW分の蓄電容量を確保し、上記に対応する、としています。

 太陽光と蓄電池のコラボ―――個人的に興味深いと感じたのは、これによって、再エネ発電で余った電気を蓄電池に貯めておき、必要時に放電するスキームが大々的に構築されることになれば、わが国(そして世界)は化石燃料への依存度を大きく下げることができそうだ、と予想するため。そんな期待がこうして一歩実現に向けて動き始めるに至った背景にあるのは、再エネとりわけ太陽光発電の急速な普及です。

 資源エネルギー庁等の資料によると、太陽光発電の出力は年々、増加しています。たとえば、昨年度の全国最大電力需要日(824日)における合計供給力17721kWのうち、太陽光は1901kWと、火力62.6%)、揚水(11.4%)に続く全体の10.7%を担う規模になっています。そして同430日の九州の電力需給では太陽光が日中需要の73%ほども賄うタイミングがあり、このときは火力等をかなり抑制・停止し、それでも電気が余ったので揚水動力(下の池から上の池に水をくみ上げるための動力)に充てるほどだった、とのことです。これ、太陽光で作られ過ぎた電力を使い切るための苦肉の策、といった感じ・・・って、こうでもしなければ、一定出力運転がほぼ絶対条件の(?)原子力の出力調整にまで踏み込まざるを得なかったのかも!?

 といったことからも分かるように、太陽光はすでに日本の電力供給において大きな役割を果たすスケールに成長しています。他方でこれ、夜間は発電できないほか、曇りや雨の日などは出力が大きく落ちるわけで、「同時同量」(その瞬間の需要量と供給量との一致)が求められる既存の電力供給スタイルとの相性は・・・当然ながら良いはずはありません。ということは、太陽光由来の電力が増えれば増えるほど、これを自身の系統等に受け入れる電力会社の調整等コスト(電力品質を一定に保つために毎瞬の電圧や周波数を調整等するコストや、火力等の出力を調整等するコストなど)も上がってしまい、結局は需要家の金銭負担増(「再生可能エネルギー発電促進賦課金」の値上げ、など)といったことになりかねません・・・

 冒頭の東電&NTTの新事業にかかるスキーム―――余剰再エネ電気を電池に蓄えておき、必要なときに使おうというもの―――は、上記「同時同量」の制約を突破するポテンシャルを感じさせるものであり、かつさらなる再エネ普及を喚起するものと期待できます。もっとも、原子力をいま以上に動かす想定をしているであろう電力会社には、これによって上記リスク(原発の出力調整)を少しでも小さくしたい、という切実な事情があるのかもしれませんが・・・(?)

(続く)

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【日米ともに、円安は米が損、日が得、と誤解していないか…】アメリカ様の一方的な評価に見える鋭い分析⑥

2018-04-25 00:04:15 | 日本

前回からの続き)

 これまで書いてきたように、半期に1回発行される米財務省の為替等報告書は、アメリカの国益目線ながらも、同国およびその主要パートナー国の国際収支やその特徴などについて、けっこう興味深い見方を提供してくれています。とくに今回、これが経済ニュースで比較的大きく扱われた(と個人的には感じられた)のは、ドナルド・トランプ大統領・・・の貿易不均衡に対する関心と是正への熱意がわたしたち日本人にも強く感じられるからでしょう・・・

 ここでいちばん注目されるのは・・・やはり、為替レート。アメリカ、とくに現トランプ政権には、中国や日本が巨額の対米貿易黒字を計上できるのは(意図的な)「通貨安」のおかげという思い(込み?)があるに違いありません(?)。だからこそ、一方的に定めた3条件(貿易黒字、経常黒字、為替介入)に抵触した国を「為替操作国」すなわち輸出に有利なように恣意的に通貨安誘導をしている国に指定して経済制裁をかけようというのでしょう。

 このあたり、中国はともかく、日本については当てはまらないことは先述したとおりです。つまり、日本は為替レートに大きく左右されずにドルベースで一定額の同黒字額を保つことができるので、かりに同操作国に指定されて円高ドル安になっても、アメリカから見た対日貿易赤字はそう大きく減ることはないだろう、ということです。よってアメリカの為替を通じた対日政策は、同国にとっては効果薄、というわけです(?)。

 もっともこのとき、日本にとっては円換算の対米黒字額、そして所得収支黒字が減ることになります。が、いっぽうで輸入インフレのダメージが大きく減るために内需が喚起され、トータルの日本経済は個人消費がけん引するという望ましいかたちでのプラス成長軌道に回帰していくでしょう(?)。他方で円高は・・・外国人投資家の円キャリートレードの巻き戻しをともなって株安を引き起こすので、「株高>実体経済」な立場の「アベノミクス」(≒カブノミクス[株のみ])日本としては歓迎はできませんが・・・

 このように考えてみると、アメリカも日本も、ドル円レートの影響に対して誤解があるように思います。つまり日米ともに、実体経済面(カブノミクス除く)での円安は・・・アメリカが損(対日貿易赤字↑)、日本は得(対米黒字↑)、逆に円高は、アメリカが得(同赤字↓)、日本は損(同黒字↓)と勘違い(?)してはいないか・・・。本当のところは上記のとおり、アメリカは変化なし(ドル建て対日赤字額は円高でも減らない)、日本はいまより円高の方が円安よりもプラス、といった感じ(?)だと予想します。したがって・・・ヘンな話ですが(?)、上記誤解に基づいて、アメリカが日本にプレッシャーをかけてくれたほうが、日本にとっては・・・(?)

 ・・・といったことを含め、トランプ政権下での上記報告書の書きぶりは今後、要チェックですね・・・

(「アメリカ様の一方的な評価に見える鋭い分析」おわり)

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【米の経常収支にプラス貢献する所得収支黒字】アメリカ様の一方的な評価に見える鋭い分析⑤

2018-04-23 00:00:23 | アメリカ

前回からの続き)

 ところで、本稿で綴っている米財務省の為替報告書は、日本などの貿易相手国の他にアメリカ自身の国際収支等についても解説しています。そこで個人的に注目したのが同国の所得収支黒字と原油を除いた貿易収支の状況です。

 前者の所得収支ですが、アメリカはここ数年以上にわたって黒字をキープしています。同報告書によると同黒字額は毎年、同国GDPの1%近くに及び、逆に45%に達する貿易赤字をかなり埋め、トータルの経常赤字を同2.5%前後に留めることに貢献しています。このことから分かるとおり、アメリカは日本と同様、外国での投資で相当に稼いでいるといえます。実際、アップルやGMといった米大手企業は世界各地(とくに中国?)に展開したりおカネを貸し付けているわけですからね・・・

 もっとも、だからこそ米本土での働き口が減っているとして、現ドナルド・トランプ政権はこれらにアメリカに戻ってくるよう促しているみたいですが、うまくいくのかどうか・・・。こうして米企業は国外で得た利益の多くをアメリカ(の、おもに投資家?)にもたらしているわけですから。このあたり上手にやらないと、せっかくの上記構造が崩れ、アメリカの国際収支がいっそう悪化する事態にもなりかねないと思いますが・・・

 もうひとつの注目が、アメリカの原油貿易の赤字が大きく減っていること。同赤字額は2017年の下半期でGDPの0.2%と、ここ数十年で最低レベルに減っていることです。これはいうまでもなく同国内のシェールオイル&ガスの大量生産および2014年以降の原油価格下落によるもの。いっぽうで原油を除いたモノの貿易赤字額(non-oil goods deficit)の対GDP比率はじりじりと上昇し、昨年第4四半期時点で同4%と歴史的な高水準になっているとのこと。これはこの間の旺盛な国内需要で輸入が喚起されたのに対し、貿易相手国のほうはここ数年、アメリカほど景況がよくなかったので輸出が弱かったこと、さらに2014年から2017年にかけてドルが高かったことが影響したため、としています。

 おそらくこのアメリカの上記需要≒個人消費は今年以降、弱くなっていくでしょう(?)。これを支えた資産バブルが縮小(というか崩壊?)過程に入ったからです。これと並行してじわじわと上がっている金利も車や住宅などのマーケットに冷や水を浴びせるはずです。そしてこれらを嫌気したマネーがアメリカから抜けることでドル安になるいっぽう、すでにメイドインUSAの多くは輸出競争力を失っているために貿易赤字はさらに拡大し、これでドル安&金利高が止まらなくなって・・・なんて負のスパイラルにアメリカが堕ちていくおそれが・・・かなり高いような・・・(?)

(続く)

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【日は黒字、中韓は赤字:所得収支が示す投資の巧拙】アメリカ様の一方的な評価に見える鋭い分析④

2018-04-21 00:03:35 | 日本

前回からの続き)

 ところで、米財務省の為替等報告書は日本の経常黒字について、その80%以上が所得収支income balance)の黒字によるものと指摘しています。そのとおりで、近年の日本の国際収支が黒字をキープできているのは、巨額の所得収支黒字によるところが大きくなっています。

 実際、同報告書内のイメージは2007年から2017年の11年間のすべてでわが国の当該黒字額がGDPの3%前後に達していることを伝えています。いっぽうの貿易収支は、東日本大震災のあった2011年以降、化石燃料の輸入「量」とアベノミクス円安にともなう円建て輸入「額」の双方の急増により赤字に転落、2014の同赤字はGDP2%あたりにまで膨らみました逆オイルショックの好影響などで2016年以降はプラス傾向ですが、昨年の黒字額が経常黒字に占める割合は2割弱と、メインは上記指摘のとおり所得収支黒字となっています。

 所得収支とは、国外から得られる利子や配当金から国外に支払われる利子や配当金を差し引いたときの収支のこと。これが黒字ということは、わが国の企業等がこれまでに外国に作った工場等がしっかり稼いでコスト以上の利益を生んでいる証ですね。まあたしかに・・・東芝のウェスティングハウスとか、ゆうちょ銀行のトール(豪物流会社)といったM&Aの大失敗例もなかにはありますが、このようにトータルでは本邦企業は着実に投資成果を上げてくれているわけです。

 前述したように現在は「円が20年平均値よりも25%近く低い」アベノミクス環境にあるので、海外投資は逆に同率ほども割高になります。したがって各企業はいま、高値掴みを避けるためヘタに外国におカネは出さず、むしろ、むしろ採算の良くない案件はさっさと売り払って円でホールドし、次の機会までじっと待つのが得策といえますね。こちらの記事に書いたように、各社が史上空前のキャッシュリッチ状態になっているのをみると、そのあたりがちゃんとわかっているようで頼もしく感じます。これを投資等に向かわせるにはどうしたらよいか、なんて議論がありますが、答えは自明ですよ~(?)

 さてこの所得収支、本報告書によると、同じアジアの中国韓国では逆に経常収支の足を引っ張っていることが分かります。両国ともに貿易黒字こそGDPに対する割合が日本よりも高いものの、ここ数年、所得収支は赤字続きになっています。ということは・・・中韓企業等は対外投資が必ずしも上手とはいえないのでしょう。今後は・・・とりわけ中国は、さかんに欧米企業を買収しようとしたり、一帯一路にある国々にインフラを建設したりしているように、ますます対外投資を進める気でしょうが・・・こちらの記事に書いたような、共産党政府らしく(?)明らかに稼ぎを生まないプロジェクト等に大金をはたいたりするので、個人的には日本のようにはなれそうもないかな、と予想しています。

(続く)

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【米の指摘「25%も円安水準」日本は書けない】アメリカ様の一方的な評価に見える鋭い分析③

2018-04-19 00:01:56 | 日本

前回からの続き)

 前述したように、実体経済の観点からは、わが国には通貨安環境を望むべき理由があるとはいえません。したがってアメリカ・・・の財務省が為替等報告書において日本のことを為替操作等に関する「監視リスト」国に指定してまで警戒する必要はなさそうに思えます。

 それでも実際には、日本・・・の安倍政権と黒田日銀が円安をポジティブに、円高をネガティブにとらえているのは明らかです。両者がタイアップして開始された「アベノミクス」以降、上記報告書が指摘するように過去20年平均値より25%も円安となり、そのせいでわが国のGDP国富国防力も激減してしまったにもかかわらず・・・です。いったい、どうして?

 ・・・って、もうこれは「株高を演出したいから」以外にないでしょう。本ブログでは「カブノミクス」と勝手に名付けて何度も指摘しているように、実体経済面では超マイナスだらけのアベノミクスの取り柄は「株のみ」です。現状の日本の株式市場は、主要プレイヤーである外国人の投資行動(≒円キャリートレード)の影響で、円安になると株高に、円高になると株安に、という、他国ではまず考えられない通貨と株価の逆相関トレンドが定着しています。よってアベノミクス日本としては、実体経済はそっちのけで(?)―――対米貿易黒字額が増えないことが分かっていても、そして個人消費を冷やすことを知っていても―――外国人投資家の買いで株高がもたらされる円安環境を自ずと望むことに・・・(?)

 「円安にしたがっている・・・」―――アメリカはそんないまの日本の本心を感じ取っているのでしょう。だからこそ今回の報告書で日本が意図的に通貨安誘導をしていないか監視することにしたのだと考えられます。けれど安倍政権・黒田日銀は、株高になるから円安を喜んでいるのであって、アメリカが嫌がるような意図―――円安をテコに対米輸出をさらに増やそうという意図―――は、おそらく持っていません(?)・・・って、これだけ通貨安にしているのだから、そのダメージを少しでも埋め合わせるため、米トランプ大統領にいくらどやされようが、アベノミクスにはド派手な集中豪雨型輸出攻勢を米市場にかけるくらいの迫力がほしいところですが・・・(?)

 このあたりに関連しますが、上の25%近い円安水準」(nearly 25% below its 20-year average)といった重大かつ当然の(?)指摘は、いまのわが国の同種報告書等ではなかなかできないだろうな~と感じます。そんなことを書いたら、為替レートを円高方向に是正して円安インフレの痛みを緩和するべきだ、といった声があちこちから上がり、円高→株安となりかねないためです。上記のとおり、アベノミクスはカブノミクスですからね。円高でガソリンや小麦粉の価格が下がっても株価まで下がってしまっては・・・

(続く)

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【日本経済には本来、通貨安環境へのインセンティブはない】アメリカ様の一方的な評価に見える鋭い分析②

2018-04-17 00:02:09 | 日本

前回からの続き)

 今月13日に発表された米財務省の為替等報告書は日本について、

 (1)対米貿易黒字額が690億ドル(2017年)と大きいこと

 (2)経常黒字額がGDPの4%に達していること

 (3)円が過去20年の平均値よりも25%近くも安いこと

などの点を指摘して、中国など他の5か国とともに「監視リスト」国に指名し、アメリカへの輸出に有利なように人為的かつ過度な為替介入等をしないかどうかモニターしていくとしています。ちなみに上記3点―――対米黒字、経常黒字、為替介入―――がアメリカの定める所定の条件を上回ると、アメリカは当該国を為替操作国とみなして経済制裁等を課す検討をすることになっています・・・

 さて、アメリカの日本についての上記指摘は・・・当然ながら、そのとおりです。ただしこのあたり、ちょっと補足したほうがよろしいかと思うので申し添えると・・・まず日本の対米貿易黒字額ですが、先日のこちらの記事でも書いたように、ここ数年、じつは金額的にはそれほど増減はありません(ドル換算額ではアベノミクス前よりもむしろ減っていたりする・・・)。つまりわが国は、後述するアベノミクス円安をテコに輸出額(ドル換算額)を増やしているわけではない、ということになりますね。円安環境にもかかわらず、このように大きな変動が見られない理由はこちらの記事で論じたとおりです。日本の「輸出」(アメリカにとっての日本からの輸入)はすでに為替レートに大きく影響されない構造となっている―――このへんはアメリカ様にもご理解いただきたいところです。

 日本の経常黒字は2015年以降、かなりの額になっています。これは、輸出が増えたから・・・ではなく、これまたこちらなどに綴ったように、2014年後半に起こった「逆オイルショック」にともなう原油価格&資源価格の大幅な下落により円建て輸入額が減ったことが最大の要因です。これにより貿易収支(純輸出=輸出-輸入)が大きく改善し、所得収支黒字と合わせた経常収支も2010年ころまでの水準に回復したというわけです。

 これらから日本経済は・・・上述のように、べつに円安にしたところで輸出が急増するわけではなく、円建て原材料輸入額が減ると国際収支がこうして良くなるから、そもそも通貨安環境を望むような構造ではないことが分かります。別な言い方をすると、円安になれば、貿易収支は同輸入額が膨らんで悪化するうえ、円安インフレが起こって内需の要「個人消費」が落ち込んでしまうのでマイナス成長に陥るリスクが高いことに・・・。したがって日本には本来、自分から通貨安政策を採用するインセンティブがないわけです(?)、あくまでも実体経済的には。ゆえにアメリカ様には、日本が(中国みたいな?)為替操作国になることはありませんよ、だってそんなことをしたら自分が苦しむだけだから、と言って差し上げたいところです・・・

 ・・・が、実際には上記(3)のとおり、アベノミクス以降は極端な円安になっています。これによって日本は本当に劇的な「マイナス」状態(GDP国富実質所得・・・)にあえいでいるわけですが、安倍政権・黒田日銀ともにこれを好ましいと思っているのは明らかです(?)。いったい、なぜ?

(続く)

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【米財務省、日本を為替等「監視リスト」国に指定】アメリカ様の一方的な評価に見える鋭い分析①

2018-04-15 00:04:14 | 日本

 アメリカ様の一方的な見方?・・・とはいっても、日本では書けないような鋭い指摘があって勉強になりますね・・・

 13日、米財務省は、アメリカの主要貿易相手国のマクロ経済および為替政策を分析したレポートを発表し、対米収支が大幅黒字の日本を引き続き「監視リスト」国に指定しました。当リストは(1)年200億ドル以上の対米貿易黒字、(2)GDPの3%以上の経常黒字、(3)GDP2%以上の額の為替介入実施、の3つの条件で評価し、アメリカはすべてに引っかかった国を為替操作国に指定、経済制裁等の検討対象にしてしまいます。この条件に日本は(3)には抵触しないものの(1)と(2)には当てはまることになります。したがってアメリカ・・・のドナルド・トランプ政権が今後、これを引き合いに出しながら、わが国に対して貿易不均衡の是正を強く求めてきそうな予感がします。

 ところでこのレポート、当然ながらアメリカの国益目線でパートナー国を評価するもので、けっして客観的でも公平公正といえるものではありません。タイトルからして、アメリカが巨大赤字になっているのは相手のせいだ、といわんばかり(?)ですが、日本に言わせると、これはアメリカの産品に日本が輸入したいと思えるようなものが少な過ぎるから。したがってアメリカに対してはもっとメイド・イン・USAの魅力を高めるとともに、日本市場に参入する努力をしてほしい、と逆に訴えたいところです。わが国と並んで上記「監視リスト」に上げられた他の5か国―――中国、韓国、インド、ドイツ、そしてスイスも同じ思いでしょう。

 とはいえ個人的には、それなりに興味を持って本レポートを眺めてみました。理由は・・・まあ当たり前ですが、日本を含めた6か国の国際収支とかGDP比などが、すべて同じ米ドルベースで表現されていて、互いの比較のなかで、わが国や他国の状況等が確認しやすいためです。そのあたりについて以下、分かったことや考えたことを綴ってみたいと思います。

 で、日本について同レポートは、2017年の対米貿易黒字額690億ドルと引き続き大きいうえ、経常黒字についても同年はGDPの4%と、2010年以降で最高水準に達していると解説し、わが国がこのように上記(1)(2)に抵触していることに不満感を示しています。為替レートに関しては、ドルに対して名目レートこそ1年間で3.6%ほど上がったものの、実質実効レートでは2017年初から今年2月までに逆に2.4%ほど下がったと分析。さらに同レートで測ると円はいま、過去20年の平均値よりも25%近くも安いと指摘しています・・・

(続く)

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【中国、稼いだ富を無駄な投資に浪費して消耗するばかり・・・?】中国:過剰投資・過剰生産で陥る苦境⑥

2018-04-13 00:02:30 | アジア

前回からの続き)

 近ごろ中国が、「一帯一路」構想等に基づき、アジア・アフリカ地域のあちこちに港湾とか鉄道といったインフラ設備を次々に建設していることについて、習近平国家主席の独裁体制強化の動きと合わせて日本ではこれを脅威視する報道が多いように感じられます。わたしはこれらを大して危険なものとは思っていません。なぜならこれらの多くは本稿で綴ってきた中国の投資対象と同じ、つまりマトモなコスパ感覚では考えられないほどのムダな投資に過ぎないためです。結局これらはコストに見合う利益を生まない不良債権となってかの国の重荷となるだけではないでしょうか・・・(?)

 その具体例のひとつが、最近話題になったアフリカ東部のジプチに建設された中国初の国外基地です。中国は紅海の入り口に位置する戦略的なポイントに軍事拠点を持てたことを嬉しく思っているのでしょうが、だからといって何をしようというのか? まあ周囲を通行する船舶から高い通行料を取り立てるみたいなことができればいいのでしょうが、いまの国際社会でそんなえげつない行為が許されるはずがない。となると・・・しょせんこの基地は中国に何らの収益をもたらさない、国力を消耗させるだけのカネ食い虫に終わるしかないでしょう(って、海外の軍事基地って、どこも似たようなものですよ?)。

 といったように中国は、貿易で稼いだせっかくのマネーを真に国を強くする方向=個人消費の向上に資する方向に振り向けず、市場原理に反した投資等に回して国内外にゴーストタウン的なハコ物ばかり(?)をこしらえているわけです。であればこの先は何となく予想がつく、つまり、成長の分け前にありつけない国民多数の不平不満感が爆発し、いつもの展開になっていくことでしょう(?)、おそらくは中国に大量に貸し込んだ欧米諸国・・・の金融機関を巻き込みながら・・・(?)

 わが国はそんな中国をいたずらに危険視する必要はないと思います。かの国の実態を冷静に見極めたうえで、隣国として友好的に、けれどあまり深入りしないよう、上手に付き合っていくのが得策かと・・・

(「中国:過剰投資・過剰生産で陥る苦境」おわり)

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【誰が中国企業の債権者なのか?】中国:過剰投資・過剰生産で陥る苦境⑤

2018-04-11 00:01:59 | アジア

前回からの続き)

 前回、中国が約1.7兆ドルもの対外債務を抱え、その多くが同国の民間企業のものであることを指摘しました。では逆に、これらの債権者はいったい、誰なのでしょうか?

 ・・・このあたり、まあ当然でしょうが欧米の、とくに欧州の金融機関が中国に巨額の貸し付けを行っているもようです。たとえば、少し前のニュースになりますが、2016年の「パナマ文書」(租税回避行為に関する機密文書)暴露に関連して明らかになったこととして、ユーロ圏の銀行の対中投資が日米等と比べても突出しており、なかでもドイツ銀行の投資額が多く、それはオフショア市場に限っても日本円で数兆円相当と推測されるとのこと・・・

 同行を含む欧州大手行は、サブプライムローン・バブル崩壊(2007年)で米市場に期待できなくなった頃から中国への投資にのめり込んでいったみたいです。その後ユーロ圏では、ギリシャソブリン危機等も起こって景気が低迷したこともあり、各行はこの時期、巨額投資政策で経済成長の著しい中国市場に活路を見出そうとしてきました。とくにドイツは熱心で、メルケル首相が2016年の訪中時、中国首脳と総額27億ユーロの大型商取引に調印するなど、中国が進める国づくりや「一帯一路」構想にも深くコミットしている感じです。であれば、ドイツをはじめとする欧州各国の金融機関が、これらに関与する中国企業への融資等に傾倒するのもうなずけるところ・・・(?)

 ・・・といったような事情があって中国は、世界最大の外準国、そしてトップクラスの経常黒字国であるにもかかわらず、兆ドル単位のおカネを外国から借金するに至りました。そして欧米各国(とくに欧州と思われる?)の金融機関は彼らへの貸し手として存在感を高めてきました。ということで中国と欧米諸国は、マネーを仲立ちとして、わたしたち日本人が想像する以上に強く結びついているものと想像されます。つまり両者は一蓮托生―――相手がコケてしまったら自分も同じように大損する(その逆も然り)―――というわけです(?)。

 これまで綴った経緯などから中国は今後、過剰投資&過剰設備のさらなる是正に否応なく取り組まざるを得ないでしょう(?)。その過程で多くの企業が破綻に追い込まれ、その債務の多くが不履行になるものと思われます(?)。となると・・・中国各社にさんざん貸し込んだ金融機関も相当なダメージを食らうことになりそう。もちろんその悪影響はデリバティブなどを通じて米銀等にも伝播し、世界的な金融不安を引き起こしかねません(?)。

(続く)

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