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【本邦第2位の輸出港が教えてくれること】円安輸出攻勢はアメリカ様が許さない①

2015-01-09 00:04:04 | 日本

 唐突ですがクイズをひとつ・・・。いま、日本の港湾のなかで最も輸出額が多いところは、世界一の自動車メーカー・トヨタのお膝元である名古屋港です。まあこれは分かる気がします。では2番目はどこでしょうか?・・・首都圏の玄関口・横浜港? それともコンテナ取引額の大きな神戸港? そのいずれでもなく・・・正解は、成田「空」港。

 税関発表の成田空港貿易概況によれば、2013年の成田空港の輸出額は約7.9兆円と、11兆円あまりの名古屋港に次いで第2位です。ちなみに横浜港は約6.7兆円で第3位、神戸港は東京港に次いで第5位となっています(第6位は関西国際空港)。

 つぎに成田空港からは何が輸出されているのか、ですが、名古屋港のように自動車を輸出しているわけではなく、当然、飛行機で大量に運ぶことができるもの。それは・・・第1位のICをはじめ、科学光学機器、半導体等製造装置、電気回路等機器などの、付加価値の高い工業製品の基幹部に組み込まれる電子部品類など。なお、成田空港の最大の輸入品は、これらを組み合わせて作られた「通信機」(つまりスマホ等)となっています。

 では、これら成田空港の主要輸出品の第一位の輸出相手国はどこか、といえば、答えは中国。2013年の輸出額は2.2兆円あまりで輸出額全体の約29%を占めています。そして中国を含めたアジア諸国のシェアは約61%となっています。一方、最大の輸入相手国もまた中国で、全輸入額における割合は25%超となっています。

 で、どうしてこんなことを書いているのかといえば、この「成田」の象徴的な数字を通じて以下に記すことを伝えたいため。

 上記の成田空港の輸出(入)状況には、現在の日本のモノ作りとか交易のスタイルの主要な面が表れていると思っています。つまり・・・わが国の少なからぬ企業はすでに「完成品」を自ら製造・輸出するという以前のやり方を卒業し、これらに不可欠な「中間財資本財」(上記コアパーツあるいはそれらの製造機器等)を作って、中国とか韓国といった加工貿易国(パーツ類を集めて完成品に仕立て上げて最終消費国に輸出する国)に輸出するという業態に進化しているということです。

 これは、電子機器の代表例・スマートフォンの業界内の栄枯盛衰を見るにつけ、これに巻き込まれて消耗戦に陥る事態を回避するうえでじつに賢い戦略だな~と感心するわけです。上のスタイルを保ちさえすれば、シャオミ(小米)、サムスン、はたまたアップル・・・べつにどのスマホの「完成品」メーカーが覇権を握ろうが失おうが、世界のどこかでスマホが作られる限り、必ず日本企業には発注が舞い込んでくる・・・。なぜならブランドや外見こそ違えど、その心臓部をメイド・イン・ジャパンが確保する仕組みになっているのだから。実際、人気のiPhone6の1000点を超える部品のうち、日本のメーカー製のものは約半数を占めているそうな・・・。

 こうしてみてくると、スマホ部材に代表されるわが国の「中間財・資本財」輸出貿易は、為替レートとはほぼ無関係に一定の収益・利益を上げる構造になっていると考えてよさそうです。上述のとおり、これらの多くが「日本製」でなければダメな以上、円高になったら売れなくなるものではないということです。一方でこれらは円安になったからといって急に輸出量が増えるような性質のものでもないでしょう。というのもそれらの売れ行きを左右するのは、加工国側が仕上げる「完成品」としてのスマホの世界販売数のほうだからです。

続く

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