(前回からの続き)
先述のとおりアメリカでは、FRBが大規模な金融緩和を決定し、ドナルド・トランプ政権によって総額2兆ドルもの経済対策の実行が発表され、実質的な「ヘリコプターマネー」(FRBが米国債等を無制限に購入して市中にドルを散布すること)が開始されることになりました。にもかかわらず、肝心の原油価格はほぼ無反応・・・というかその後はむしろ下がり、先週末時点(27日終値)で21ドル台(WTI先物)と、年初の約1/3の水準に低迷しています。このままだと非常にマズい事態になるため、FRBは原油価格を力づくでも跳ね上げようと、禁断のマイナス金利を導入する可能性があり(?)、これがハイパーインフレ(制御不能のインフレ)を招き、そして・・・と前回綴ったわけですが・・・
この瞬間のアメリカは、もっとずっと速いスピードで国家存亡の危機に向かっているように感じられます。このあたり、本稿では上記のように経済・金融面を中心に論じているわけですが、それらの崩壊よりも医療崩壊と治安崩壊が目に見える形で先行するように思えます。この2崩壊に共通する重大な要因が、アメリカには医療等に必要な物資(のみならず大半のモノ)を自力で十分かつ迅速に作る能力がない―――アメリカはこれらの大半を輸入品≒メイド・イン・チャイナに依存している―――ということです。したがってこうした危急時にそのあたりの国家としての脆弱性が露わになってしまいます。つまり、これらを光速で手配・供給するのが難しくなるし、トランプ大統領が「国防生産法」に基づいて米メーカーに「作れ!」って命令したところで、各社は、どうやって作るのか?から始めるわけです。そうモタついている間にも新型コロナウイルスの感染拡大は急速に進み、ついにオーバーシュート(感染者の爆発的増加)へ・・・という展開に・・・?
治安の危機も目前です(?)。前述のように、アメリカではいま、銃がバカ売れしているようですが、過去にもあった銃ブームと今回が違うのは、アジア系など、はじめて銃を購入する市民が増えている点だそうです。これらと、すでに銃を持っている人たちを合わせると、アメリカ人の銃保有率はいっそう高まって「国民皆武装」が完成しそう(?)。こうした銃の大量拡散は米治安の維持に対する極めて深刻な脅威となるでしょう。どの商店も品不足に陥るなか、人々の多くは仕事も収入もない・・・けど銃だけはしっかり持っている・・・って社会がどれだけオソロシーことか・・・
米国民にとって唯一の救い?は、原油価格の暴落でガソリン代や光熱費が大幅に安くなっていることかもしれません。ですが、上記の理由から、(「財政ファイナンス」でドル札を大量に散布し、事実上のマイナス金利状態に誘導する、などをして)この価格を跳ね上げなければ、金融崩壊は避けられません。けれど、供給超~過剰な原油価格が望みどおりに浮上したら、需給がひっ迫気味の食料品をはじめとする生活必需品価格はもっと激しい勢いで上がってしまうでしょう。こうして激しいインフレが巻き起これば、市民生活は破壊されて・・・
こうしてアメリカは、もはや必然の?通貨・金融崩壊に至る前段階として、医療&治安の崩壊ステージをたどるように思えます・・・って、もうこれ避けがたいのではないでしょうか(?)。せめて、新型肺炎に罹患した人を一人でも多く救えるよう、アメリカはヘンな?プライドをかなぐり捨て、中国など諸外国に頭を下げて医療器具を一台でも多く融通してもらった方がいいように感じますが・・・