世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
ご訪問ありがとうございます。

【米緊急事態、通貨・金融崩壊前に医療・治安崩壊か…】「日本『円』以外全部沈没」で新時代の箱船となる日本⑧

2020-03-29 09:39:21 | アメリカ

前回からの続き)

 先述のとおりアメリカでは、FRBが大規模な金融緩和を決定し、ドナルド・トランプ政権によって総額2兆ドルもの経済対策の実行が発表され、実質的な「ヘリコプターマネー」(FRBが米国債等を無制限に購入して市中にドルを散布すること)が開始されることになりました。にもかかわらず、肝心の原油価格はほぼ無反応・・・というかその後はむしろ下がり、先週末時点(27日終値)で21ドル台(WTI先物)と、年初の約1/3の水準に低迷しています。このままだと非常にマズい事態になるため、FRBは原油価格を力づくでも跳ね上げようと、禁断のマイナス金利を導入する可能性があり(?)、これがハイパーインフレ(制御不能のインフレ)を招き、そして・・・と前回綴ったわけですが・・・

 この瞬間のアメリカは、もっとずっと速いスピードで国家存亡の危機に向かっているように感じられます。このあたり、本稿では上記のように経済・金融面を中心に論じているわけですが、それらの崩壊よりも医療崩壊と治安崩壊が目に見える形で先行するように思えます。この2崩壊に共通する重大な要因が、アメリカには医療等に必要な物資(のみならず大半のモノ)を自力で十分かつ迅速に作る能力がない―――アメリカはこれらの大半を輸入品≒メイド・イン・チャイナに依存している―――ということです。したがってこうした危急時にそのあたりの国家としての脆弱性が露わになってしまいます。つまり、これらを光速で手配・供給するのが難しくなるし、トランプ大統領が「国防生産法」に基づいて米メーカーに「作れ!」って命令したところで、各社は、どうやって作るのか?から始めるわけです。そうモタついている間にも新型コロナウイルスの感染拡大は急速に進み、ついにオーバーシュート(感染者の爆発的増加)へ・・・という展開に・・・?

 治安の危機も目前です(?)。前述のように、アメリカではいま、がバカ売れしているようですが、過去にもあった銃ブームと今回が違うのは、アジア系など、はじめて銃を購入する市民が増えている点だそうです。これらと、すでに銃を持っている人たちを合わせると、アメリカ人の銃保有率はいっそう高まって「国民皆武装」が完成しそう(?)。こうした銃の大量拡散は米治安の維持に対する極めて深刻な脅威となるでしょう。どの商店も品不足に陥るなか、人々の多くは仕事も収入もない・・・けど銃だけはしっかり持っている・・・って社会がどれだけオソロシーことか・・・

 米国民にとって唯一の救い?は、原油価格の暴落でガソリン代や光熱費が大幅に安くなっていることかもしれません。ですが、上記の理由から、(「財政ファイナンス」でドル札を大量に散布し、事実上のマイナス金利状態に誘導する、などをして)この価格を跳ね上げなければ、金融崩壊は避けられません。けれど、供給超~過剰な原油価格が望みどおりに浮上したら、需給がひっ迫気味の食料品をはじめとする生活必需品価格はもっと激しい勢いで上がってしまうでしょう。こうして激しいインフレが巻き起これば、市民生活は破壊されて・・・

 こうしてアメリカは、もはや必然の?通貨・金融崩壊に至る前段階として、医療&治安の崩壊ステージをたどるように思えます・・・って、もうこれ避けがたいのではないでしょうか(?)。せめて、新型肺炎に罹患した人を一人でも多く救えるよう、アメリカはヘンな?プライドをかなぐり捨て、中国など諸外国に頭を下げて医療器具を一台でも多く融通してもらった方がいいように感じますが・・・

(続く)

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【FRB、油価上げようと禁断のマイナス金利導入、そして…】「日本『円』以外全部沈没」で新時代の箱船となる日本⑦

2020-03-27 00:01:57 | アメリカ

前回からの続き)

 ドナルド・トランプ政権と米議会、2兆ドル規模の経済対策で合意

 ・・・ということで、アメリカからは連日のように大きな経済・金融系のニュースが飛び込んできているわけですが、いずれもこれ、新型コロナウイルス感染拡大・・・をひとつのきっかけとして、遅くともリーマン・ショック(2008年)からこれまでの10年以上もの長きにわたって膨張し続けた借金バブル経済がとうとう破裂・・・寸前に至ったことを示すもの。そしてこれ(がもたらす資金繰り危機→金融恐慌→治安崩壊?)に対処するには、先述、FRBの「ヘリコプターマネー」(米国債、不動産担保証券はもちろん、CP、MMF、そしておそらく株ETFや低格付け社債などのリスキーなものを含めてありとあらゆる資産を高値で購入してドルを市中に散布すること)でバブルを維持するしかないわけで、上記経済対策もこの方向性に沿っているといえます。

 実際、いちばん注視するべき、2兆ドルもの財源をどうするのか?は、あまり報じられてはいないものの、米政府は、国債を当面無制限に購入すると追加緩和決定の際(23日)に発表したFRBに買わせて調達する算段でしょう。ようするにこれ「財政ファイナンス」(中銀による国債の直接引き受け)であり、その結果2兆ドルもの流動性が市中に追加投入される可能性があるわけで、それだけドル価値の希薄化すなわちインフレが進んでしまう恐れが大きいはずですが・・・

 ですが、FRBがそこまで(中銀=インフレファイターとしての自身の存在意義を否定するほどの)危険を冒しても、なお「ついてこれない」(株のように価格が上昇に転じてくれない)のが、原油価格、ということになります。上記追加緩和そして2兆ドル経済対策の発表を受けても、原油価格は相変わらず1バレル20ドル台前半という、多くの米シェール業者の採算ラインとされる同50ドルのはるか下に低迷したまま。本稿の文脈に照らせば、それは、FRBのこれまでのマネー版の「金融緩和」が、前述サウジアラビアの原油需給版「異次元緩和」(安価かつ潤沢な原油を米市場へと供給する策)に「負けている」ことを意味します。この状態を放置すると、せっかく株とか債券の値段は持ち直してきたのに、原油市場に開いた穴からバブルがどんどん抜けて、やがてはバブル全体が崩壊しかねません・・・

 そこでFRBは、原油価格を強制的に?「ついてこさせる」(押し上げる)べく、禁断の「マイナス金利」を導入することになる・・・のではないかと予想しています。これ、現行の政策金利誘導目標(0~0.25%と、かろうじてプラス)をマイナス圏(それも相当に深堀したゾーン)にもっていくというもの。具体的にどうやるか(国債等を額面をかなり上回る高値で買う、とか、法定分を超える連銀口座預金に多額の手数料を課す、など)?はともかく、これやれば原油価格はたちまち急反発するはずです。なぜなら、このとき、もはや米国債のみならずハイイールド債とかを含めた大半の債券のリターンは(FRBがほとんどすべてを超高値購入するせいで極小、あるいはマイナスとなって)、物価の上昇幅に及ばなくなるためです。であれば人々は預貯金(債券)等に蓄えられていた自身のドル紙幣を一斉に「モノ」に替えようとするでしょう。こうして発生したペーパーマネーの大津波は市中の物価を次々に押し上げていき・・・FRBの狙いどおり、原油価格もまた急上昇させていく、というわけです。その結果、油価低迷に苦しめられていた米シェール業者は資金繰り危機を脱することができ、これにしこたま貸し込んできた銀行等も救われて、めでたしめでたし・・・???

 ・・・って、このマイナス金利導入こそ、FRBが完全に中銀(インフレファイター)の役割を終えたことのシグナルになります。いったんこれを始めてしまったら、FRBはもはや、(債券価格が暴落し、利回りが急騰してしまうために)マイナス金利をやめて金融を引き締めることがまったくできなくなる―――金融政策の実行が不可能になってしまう―――からです。よって、あとは、制御不能に陥った原子炉のように、原油をはじめとする物価の暴騰は誰にも止められなくなって・・・ついにハイパーインフレが起きることに(!?)。朝10ドルだった品物が夕方には100ドル???にもならんとする異常な物価高騰のもと、ドル持っていても意味がない―――モノを手にすることができない―――と悟った人々は、マスク・・・もそうだけど食べ物や着る物を得ようと・・・

 いまアメリカではスゴい勢いでが売れているそうですね。それは米市民がこうした破局の近いことを本能的に察知しているためではないでしょうか・・・

(続く)

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【米FRBのヘリコプターマネーでも原油価格は浮上せず?】「日本『円』以外全部沈没」で新時代の箱船となる日本⑥

2020-03-25 00:03:18 | アメリカ

前回からの続き)

 前回、次のように綴りました;いま米FRBは重大な選択をするべき分岐点に立っている、一方は中央銀行つまりインフレファイターとしての役割を続ける道、そしてもう一方はそれを放棄する道・・・だが、実際には後者のヘリコプターマネーすなわち通貨ドルの無限散布以外にあり得ない・・・

 ・・・と考えていたら、米時間23日の株式市場が始まる直前、FRBはまたも臨時のFOMC(FRBの金融政策決定会合)を開いて、米国債不動産担保証券の買い入れ量を、15日のFOMCで合計7000億ドルとしていたのをあらため、当面無制限に拡大する、などとする量的緩和策を決めました。やはりそうするしかないな、という思いと、やはり中途半端だな、という思いが入り混じった気持ちがします。

 そうするしかない、というのは、15日の量的緩和再開後も株価の下落が止まらず、20日にはダウ平均がドナルド・トランプ大統領就任日(2017年1月20日)の終値を下回り、いわゆるトランプ・ラリー(トランプ氏が大統領になって以降続いてきた株価の上昇局面)が帳消しになったこともあり、FRBは市場のみならず政治面からも相当なプレッシャーをかけられ、緩和の追加をせざるを得なかったのだろう、といったあたり。他方で、中途半端だな、というのは、危機への対処、という意味ではこの緩和はまったく不十分だ、といったような意味です。先述のように、いまもっとも危険なのは社債市場等なのに、今回の緩和はその緊張を緩めるほどのパワーがあるようにはとても思えませんから・・・って、その証拠に?23日は追加緩和決定日だったのに、米国債とハイイールド債とのスプレッド(利回り差)は前営業日(20日)よりも拡がって10%後半に達しています・・・

 上記からすれば、FRBが中銀(インフレファイター)の体面を保つことはほぼ不可能なことが容易に想像できます。そんなこと―――すなわちFRBが買うのは国債などの政府保証の付く債券でないとFRBの資産内容(ドルの信認)が・・・みたいなこと―――にこだわって躊躇?していたら、(目の前でシェール業者らが次々に倒産し、多くの家計が資産、そして新型コロナウイルス感染拡大で仕事までも失い、やがて金融恐慌と治安悪化が同時に・・・といった)国家的破局は免れないだろう・・・となって腹をくくったFRBは、現行の国債等に加え、株(ETF?)やCPや社債やサブプライムローン債券などなどのリスク資産を、格付けとかで差別することなく?すべて(市場価格では説明がつかないくらいの?)高値で買い上げてドルを散布するというヘリコプターマネーを選択せざるを得ないでしょう(実際にFRBが社債を買い入れられるような法令改正等が検討されている模様)。結局のところ、各所の資金繰りリスクを解消するにはそれしかないからです(?)。

 しかし・・・そこまでやってもなかなか「ついてこれない」のが・・・原油価格ではないでしょうか。現に、上記緩和以後も1バレル20ドル台前半のレベルにとどまっているし・・・

(続く)

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【FRB政策は中途半端;インフレファイターか、それとも…?】「日本『円』以外全部沈没」で新時代の箱船となる日本⑤

2020-03-23 00:19:19 | アメリカ

前回からの続き)

 前述したように、15日、米FRBは政策金利の大幅な引き下げ(誘導レンジ0~0.25%)と米国債・不動産担保証券の7000億ドルの買い入れを決めました・・・がこれ、上述から、デフォルト(債務不履行)寸前の企業等の資金繰り支援とは言い難いもの。だから米社債市場での動揺は収まらず、CP(コマーシャルペーパー:企業の短期資金調達用債券)市場でもじりじりと金利が上がる、となっています。

 そこでFRBは17日、CP購入の緊急措置を発動することを決定しました。しかし、それでもCP金利の上昇圧力に歯止めがかかりませんでした。それはCPの買い手であったMMF(おもに債券で構成されるファンドの一種)が逆に売りに回って現金の確保に動いているため。ということはMMFの買い手である投資家もまた、MMFを売って借金の支払い等に充てる現金を捻出しようと四苦八苦?しているものと考えられます。それでは、というわけで(?)FRBは翌日の18日、今度はMMF向けに緊急資金を供給することにしましたが、これがどこまで市場を落ち着かせられるか、何とも不透明・・・

 そして社債市場の緊張も緩んでいない・・・というより、さらに高まっています。本稿でウォッチしているハイイールド債(比較的支払い能力が低いとされる企業の社債)と米国債とのスプレッド(利回り差)は米時間19日時点で9%後半と、とうとう4年前(2016年3月前後)の前回拡大時の値を超えて10%台に迫る?勢いです。ここまで拡がったのは、直近では、あのリーマン・ショック前後(2008~09頃)までさかのぼらなければなりません・・・

 以上からも分かるとおり、そして以前から書いているように、米金融市場の最大の危機は、まあ・・・つい目が行きがちな株価暴落もそうですが、この瞬間にも大規模なデフォルト等が起こってもおかしくはない債券市場にあるといえるでしょう。これ当然といえば当然です。米企業の債務残高は、前述、ほかならぬFRB(と、絶対に忘れちゃいけない日銀)が超低金利誘導をして企業等に借金を煽ったせいで(?)、トータルで16兆ドル(約1770兆円!?)と史上最大規模に膨れ上がっているわけですから。ここまでバブルになれば、ちょっとしたリスクの刺激で、どこかが資金繰りに窮して債務不履行に陥り、これで同業他社も相次いでデフォルトして・・・といった危機の連鎖が止まらなくなってしまいます。で、それがいま、上述してきた新型コロナウイルス感染拡大・・・というより、それをトリガーとする原油価格の劇的な急落によって、米エネルギー業界から始まらんとしている(?)わけで・・・

 そうしたなか、FRBは重大な岐路に立たされています。一方は、中央銀行すなわちインフレファイターとしての役割を担い続ける、というもの。つまり、市場のことは市場に委ねて―――放漫経営、ようするに自分の資産の実質価値や支払い能力をはるかに超える借金をした企業等は倒産するに任せて、自身は(たとえば国益上どうしても救うべき企業への特別融資などの)最低限の市場介入だけを行う、といったスタイルです。そしてもう一方は、その役割を放棄する(!?)というもの。いまのFRBは、どっちつかずの中途半端、といった感じです。さあどうするFRB?・・・

・・・って後者、すなわちドルを無限に刷ってインフレを起こして借金の実質負担を軽減する策(≒ヘリコプターマネー)以外にないような気が・・・

(続く)

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【米ドル独歩高、投資家も債務者もドル現金に殺到】「日本『円』以外全部沈没」で新時代の箱船となる日本④

2020-03-21 00:04:35 | アメリカ

前回からの続き)

 ひょっとして最終章第二幕かもしれません、ドルにとっての・・・(って、第一幕はコチラ?)

 ご存知のように、為替市場では米ドルが独歩高を演じています。これ、端的にいえば、(遅くともリーマン・ショック以降、)アメリカ国内外の株、債券新興国通貨、不動産、原油などの商品・・・などなどのありとあらゆる資産に投融資されてきたマネー(≒価値)がドルというキャッシュに一気に逆流入しているために起こっている現象といえるでしょう。これ(米欧)投資家がそれら資産を一斉に売ってドルに替えているために生じているわけですが、彼ら彼女らは、保有資産の名目上の価値が(超?)「バブル」であり、実質価値は自分たちが投融資した額よりも(ず~っと)小さいことが(ようやく?)分かった―――いや正確には、誰もがそう認識していたけれど売らずにいたのを売るきっかけがついに来た!?―――ために、売却損・含み損を食らう前に我先にドルに換金しようとしている、といったあたりでしょう。

 いっぽう、投資マネーを受け入れ、借り入れている側(米企業とりわけシェール業者や新興国など)は、逆に、自分たちの真の権益等価値や力量(ドル債務の支払い能力)をはるかに超える借り入れをしてしまったことに否応なく気づかされたはず。ですが、それを悔やんでいるヒマはありません。明日にも到来する次回の返済に充てるドルを超特急で確保しなければならないからです。なので、新興国は国債を、米エネルギー企業はCP(コマーシャルペーパー:短期資金調達用債券)を、あわてて発行・・・したものの、投資家が上記のスタンスだから思うようにドルが集められず、資金繰りに窮してドボン?・・・みたいな感じかと推察されます。

 ドルの急騰は、投資する側・される側の上記状況によってもたらされていることであり、けっして、イザとなったらやっぱりアメリカ様の通貨だよね、みたいな意味での言い古された「有事のドル買い」というわけではありません。

 そして、いうまでもないことですが、両者がここに至ったベースにあるのは、FRBら世界の中央銀行がこれまで演出してきた異様なほどの超低金利環境。具体的には、本ブログで何度も指摘してきたことですが、サブプライムローン・バブル崩壊~リーマン・ショック直後の強烈な資産デフレ圧力に直面したアメリカとFRBが、不良債権償却・金融システムへの公的資金投入等によって長い年月をかけてバブル分を抜いていくという日本流の解決策を、その財政コストが莫大過ぎて選択できないため、しぼみ始めたバブルを再膨張させるべく、米国債とか不動産担保証券を大量に買い支え、市場原理では説明がつかないくらいに金利を引き下げ、借り入れ&投資を煽った、ということです。であれば上記のように、企業も家計もそして新興国も身の丈を超えて借金をするし、投資家だってこれらに投融資して少しでもリターンを得ようと、自分もまた超低金利の投資元金を市中から調達して・・・といったように、みんな借金まみれになってしまったわけです、リーマン後10年以上もの長きにわたって・・・

(続く)

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【米FRBのマネーバズーカ、サウジらの原油バズーカに惨敗…】「日本『円』以外全部沈没」で新時代の箱船となる日本③

2020-03-19 00:03:15 | 世界共通

前回からの続き)

 結論から先に書くと「FRBのマネー『バズーカ』、サウジアラビアらのオイル『バズーカ』に完敗!」ということかと思います。

 15日、米FRBは緊急のFOMC(連邦公開市場委員会;金融政策決定会合)を開催し、政策金利を1.0%引き下げて0~0.25%にするとともに、量的緩和QE)を復活させて米国債5000億ドルと不動産担保証券(MBS)2000億ドルを今後数か月にわたって買い入れることを決定しました。利下げ幅を1%という通常(0.25%)のFOMC4回分にまで拡大し、QEも再開するという、強力な「バズーカ砲」を並べ、かつそれを、わざわざ日曜日(15日)にぶっ放し、翌月曜日(16日)のマーケット戦線に先制攻撃を仕掛けたわけですが・・・

 ・・・ご存知のようにFRBは惨敗してしまったわけです(16日、ダウ平均、史上最大幅の暴落!等)。その理由は冒頭のとおりと考えています(って昨年くらいから、こちらでもすでに書いていますが)。つまり、FRBのバズーカには、サウジやロシアなどの産油国が放ったオイルバズーカ砲・・・ともいえる大増産とこれがもたらす原油価格の下落を食い止める力がない、ということです。市場もそのように判断したようで、実際、当日のWTI先物は1バレル28ドル台まで落ちるなど、前週末の水準を下回って推移し、その後はいったん30ドル台に戻ったものの、・・・現在(日本時間18日20:00)は何と!?25ドル台まで下がってきています!

 前述のとおり、この瞬間の金融市場の動揺は、新型コロナウイルス感染拡大で景気後退入りの恐れが強まった・・・というよりは、ウイルス禍で原油需要の世界的な落ち込みが予想されているところにサウジが原油版「異次元(需給)緩和」の実行を決めたことでその価格の先安観が一気に高まったために起こっていることと理解するべき。したがって、これを鎮めるには、原油の需給をいまいちど引き締め、その価格の再上昇を促す必要があり、とくに(採算ラインが高いとされるシェール業者を救済したい)アメリカとしては、最低でも1バレル50ドルくらいにまでは早急に戻したいところ。ですが、米国債やらMBSとかならともかく、さすがのFRBも原油を買ってその価格をサポートする、なんて芸当はできません。

 そうこうしている間に、ロシアやサウジに続いて他のOPEC加盟国も次々にバズーカをぶっ放す―――原油価格を引き下げる―――ようです(ナ~イス!)。日経新聞によれば、サウジが北米、欧州、アジアの顧客向けに4月の販売価格を大幅に引き下げたことを受け、アラブ首長国連邦、クウェート、イラクといった中東諸国もこれに追随値下げすると表明したとのこと。原油・天然ガス以外に売り物がないこれら各国だって必死、ということなのでしょう。これらにより、産油国の協調減産(日量210万バレル)の枠組みが終わる今月末以降は一転、さらに安くなったペルシャ湾岸発の原油が「バズーカ砲」・・・いやもっと強力な「艦砲射撃」の破壊力で米市場に死ぬほど降り注ぎ、迎え撃つ立場の米シェール業者のかなり多くが撃沈(≒デフォルト)してしまいそう?です・・・って、1バレル30ドル未満ですと、アラブのタンカー聯合艦隊がアメリカ沖に現れる前の、いまこの瞬間にも勝手に?逝ってしまう業者(とかヘッジファンド等)が続々と出てきても、何ら不思議ではありませんよ!?

 そんな懸念が反映されるのが、エネルギー企業等の社債が取引されている米社債市場。この関連で、米国債とハイイールド債とのスプレッド(利回り差)が拡大していることは先日のこちらの記事でご紹介しましたが、あれからさらに拡がって現時点(米時間17日)では8%台と、約4年ぶりの高水準に達しています。そして今回注視するべきはスプレッド拡大の超速スピード。当時はスプレッドの直前最小値から最高値に至るまでの期間が1年数か月(2014年初夏~2016年2月頃:3%台→8%台)ほどあったのが、今回はたった1か月程度(2月中旬~現在)で5%ほども急激に拡がった(し、今後はもっと拡がる?)わけです。となると、各社には手元現金を用意する時間もなかったでしょうから、その資金繰りの苛烈さは前回の比どころではないはず・・・(ってあたりは、現在の米CP市場やレポ市場でみられる金利上昇圧力や金価格の暴落などからも容易に想像される)

 このまま上記スプレッドがますます大きくなったら・・・ってヤバい事態を食い止めるには、理屈上は簡単、すなわちFRBがQE購入対象資産の枠を広げてこれらの社債を買い入れればよいことになります。しかしこれ、本来なら不採算の事業や競争力のない企業等をゾンビのように生き永らえさせることにつながり、中長期的には米エネルギーセクターを弱体化させるとともに、FRBもこれ始めたらやめられなくなり、自身がボロ社債まみれになって財務体質を悪化させることになる―――ドルの信認が失われかねない―――ので、実際には不可能に近いでしょう。だからといって、この種の対策が打たれないのなら、シェール等各社が連鎖的に資金ショート倒産していき、・・・最終的にアメリカはリーマン・ショックを上回る巨大金融危機という国家的破局を免れることができない―――ドルの信認が失われかねない―――ような気がします(?)。

 ・・・って、ん?どちらにしても結果は同じ・・・かな?

(続く)

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【対ドルで原油、年初来5割近く下落、円は上昇】「日本『円』以外全部沈没」で新時代の箱船となる日本②

2020-03-17 00:27:02 | 日本

前回からの続き)

 前回、本ブログで何度も書いてきた、2013年からこれまでのアベノミクス日本の「沈没」ぶりを簡単に振り返っておきました。ここで一点、既述ではありますが、アベノミクスには「カブノミクス」(本ブログ造語:アベノミクスの取り柄は「株のみ」)の成果を誇示するため、こうして自分から率先して?沈没することで、相手があたかも急浮上、つまり諸外国の経済が急成長し、それらの株・債券・不動産等の価値がスゴい勢いで高まっている・・・かのようにみせる、というねらいがある(?)ことを補足しておきます。

 さて、7年間にわたって続いてきたその沈没ぶりですが、ご存知のような思いもよらない展開で、わが国・・・のGDPは結果として浮上する可能性が出てきました。まあ当面はほんのちょっとでしょうが、場合によっては「海面」近く、そして少し後には、海面を離脱してさらなる高みへ、という本来の成長軌道に回帰していくかもしれません(?)。なおここでいう「海面」とは、8年「も」前の2012年すなわちアベノミクス直前年に日本が記録した戦後最高値のGDPです。したがって、海面に到達してようやく8年前と同じ水準に戻ることになります。で、そうなる理由は・・・当然、原油価格の急落、そして」の「復権」(価値の回復)です。

 上記は、原油(WTI先物)、S&P500種、TOPIX、米国債(10年物)、円、金(ゴールド)の年初来3月9日時点のドルに対する騰落率を比較したグラフです。これを見れば、市場モードがいかにリスクオフになっているのかがよく分かると思います。こうなった最大の原因は、先日の記事に書いたとおり、何といっても新型コロナウイルス感染拡大・・・等で原油需要の世界的な急減が予想されているところにサウジアラビア原油需給版「異次元緩和」(大増産)を決めたことでその価格の先安観が一気に高まったため。

 これをふまえると、原油価格の下落率が、年初からわずか2か月余りで5割近くに達したのも理解できますが、米株や日本株が下がったのもこの反映といえるでしょう。つまり、ウイルス禍拡大→原油価格暴落→中小産油国とか米シェール業者等が資金繰りに窮して次々に破綻→不良債権急増→米銀等の財務悪化→・・・等との連想から、バブリーな現在の米株等のさらなる下落は不可避、となって投資家は、一刻も早く、マネーを株や高利回り債などから脱出させよう、としているのでしょう。

 であれば、これらに対してキャッシュとしての「ドル」の価値が高まるのは自然です。ドルは上記グラフではゼロのラインになりますが、株などの大半の資産に対しても高くなっています・・・ってほとんど唯一、対「円」を除いて。

 ということで円はそのドル、そして利息が付く米国債(長期国債:利回りから逆算)をも上回って値上がりしました。このあたり、よく「安全資産とされる円買い」の結果、などと表現されますが、ようするにそれは、円のリターン(実質利回り)がいちばん大きいからにほかなりません。

 なお上記グラフではゴールド)が上昇率トップになっています。しかし、その後、金価格は急落して、現在(日本時間16日21:00)は1トロイオンス1470ドル付近(えっ!?)と、9日時点よりも12%ほど安くなっています(って、暴落では?)。本来、金は「金>円を含むすべての通貨」となる最強通貨ではありますが、それ以上にこのたびは資金繰り環境の悪化があまりに急速だったために、多くの投資家等が現金を捻出するために金を売却せざるを得なかったものと思われます。ふつう、借金返済等に金塊を差し出すわけにはいきませんからね・・・

 ちなみに上記9日は、前週末(6日)のサウジによる上記発表直後の営業日で、ダウ平均が大きく下がるなど、各種市場が大荒れになった日になります。その後、日本時間16日のFRBの大規模な金融緩和決定を含め、いまのこの瞬間もマーケットは激動しているため、上記の騰落率は時々刻々変化しています。したがって、どこを基準日にするか、などによってそれぞれの変動率は異なってきます。それでも円は、上記いずれの資産とりわけ原油に対して、多少は上下しつつも、その価値を高め続けていく―――わたしたちが負担するべき円換算エネルギーコストがどんどん下がっていく―――可能性が高いと思われます。

(続く)

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【アベノミクスで「日本沈没」】「日本『円』以外全部沈没」で新時代の箱船となる日本①

2020-03-15 00:02:45 | 日本

 新しい時代の先駆として古い時代を押し流さんとする大洪水・・・のような大混乱において、「箱船」の役割を果たすのは、やはり、この国の人々ならば誰もが手にしている・・・

 小説家・筒井康隆さんの著作に「日本以外全部沈没」というショートショートがあります。これ、その発表より少し前に大ブレークしたSF作家・小松左京さんの「日本沈没」のパロディ。海中に没するのが諸外国のほうで、各国要人たちが、唯一の陸地として残る日本列島に自分だけでも乗せてもらおうと、あれこれ手練手管を尽くして日本人にすり寄って・・・という傑作なストーリーです。

 「日本沈没」そして「日本以外全部沈没」(ともに1973年)が登場したのは20世紀後半のことですが、その頃は幸いなことにいずれもフィクションに留まっていて、これらが現実になることはありませんでした。しかし・・・それから半世紀余りたった21世紀の現在は、これらタイトルがじつにリアルに感じられるのではないでしょうか、とりわけ経済面において・・・

 まずは「日本沈没」。残念ですが、本当にそうなってしまいました、「アベノミクス」(≒日銀の金融政策「異次元緩和」)によって。これについては本ブログで何度も書いているところですが、その沈没の様子が如実に表れているところをひとつだけシツコク指摘しておきます。それはアベノミクス前後での本邦GDPの激減ぶり、つまり、アベノミクス期間(2013年~)、米中両国の突出ぶりを含め、世界各国がプラス経済成長を成し遂げていくなか、日本だけがマイナス1兆数千億ドル(百数十兆円)という、圧倒的な超マイナスといってよいほど経済的に「沈没」してしまったという揺ぎ無い事実です。それはこちらの記事でご紹介した以下の表ではっきり確認ができるわけです。

 で、どうして日本はこれほど沈没してしまったのか?は、これまた何度も書いていたように、アベノミクスで為替レートが過度の円安ドル高になったため。一般的に、通貨安になると、輸入インフレが起こって内需には下押しの力が加わるものの、外需すなわち輸出等は有利になると考えられています。しかし、わが国には、こちらの記事等に書いたような経済構造等があること、そして、本邦企業の多くには輸出競争力こそあるものの、いまのアメリカを見れば誰でも理解できるように、外国に対して(減った内需を埋め合わせようと)集中豪雨的輸出を仕掛けることが実際には許されないこと、などにより、円安になったからといって、わが国はアベノミクス前と比べて輸出振興が大きく図られたわけではありません。その逆に、ドルで取引されるエネルギー等原材料の円換算輸入額のほうが膨らんでしまい、その差引である貿易収支は、アベノミクスで円安に転じて以降はかえって悪化し、2014年に戦後最悪の1200億ドル超の貿易赤字を記録するなど、本邦経済をマイナス成長させる---GDPを引き上げるどころか引き下げる---方向に寄与する始末・・・

 こうして、円安誘導は頼みの貿易・・・収支を赤字拡大方向に誘導し、本邦GDPの足を引っ張るだけ・・・にもかかわらず、アベノミクスが円安ドル高を志向し続けるのは、これも本ブログで何度も指摘の「カブノミクス」(本ブログ造語:アベノミクスの取り柄は「株のみ」)、つまり株高を最大の成果として誇示したいため(?)。ですが、これだって、その資産効果の個人消費等にプラスに働く力が、これをマイナスさせる作用をもたらすアベノミクスの輸入原材料インフレ&石油投機扇動&消費増税のトリプルパンチに到底かなわないことは、上記数字が雄弁に物語るとおりです・・・

 これらトータルの結果としての「日本沈没」、何といってもスゴいのは、沈没の上記スケールの巨大さもさることながら、こちらの記事に書いたように、アベノミクス各位が、こうして日本が沈没することがはじめから予想できたのに円安誘導を強行し、かつそれを7年間も行い続けていること・・・もさることながら、それでもその沈没の痛みを国民に気づかせるほどの激しいインフレが起こることのない日本経済の強靭さ、なのでしょうが・・・

(続く)

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【米軍やCIAにもウイルス感染が拡大して…】新型コロナウイルス、最大の経済的被害者はサウジアラビアと…⑨

2020-03-13 00:03:06 | 世界共通

前回からの続き)

 さて、本稿の冒頭で、いまの新型コロナウイルス根絶に向けた世界連帯での取り組みが、後になって振り返れば人類のいっそうの結束を促す契機となった、といえるようになることを願いたい、といったことを書きました。これじつは、次のような、いささか突飛な想像に基づくものです。つまり・・・各国軍隊、とりわけ米軍関係者への感染拡大がその端緒になるのではないか、と・・・

 ご存知のようにこのウイルス、感染力が非常に強いわけですが、だからこそ近日中に、どこかの国の軍人にも感染者が出てくるものと思われます。まあ民間人とは違って、軍隊関係者はどこもウイルス防御に格段の備えを施していると考えられますが、それは任務中のことであって、彼ら彼女らだって非番の時は自宅に帰って家族や友人と触れ合ったり、街に繰り出したりするでしょう。そこで知らず知らずのうちにコロナに感染し、ウイルス検査が陰性のまま自分の所属に戻り、そして・・・といったケースも十分に想定されるはず。

 このあたり、とくにわたしたちが注視するべきは・・・やはり日ごろからお世話になっている?米軍関係者でしょう。アメリカ欧州韓国、そして日本と、ウイルス禍のさなかにある国々に多数の在外部隊を配置しているわけですが、今後、これらのなかから一人の感染者も出ない、なんてことがあり得るでしょうか。むしろ、どこかの誰かが新型肺炎に罹患し、軍隊特有の閉鎖的な環境のなか、それがかえって深刻なウイルス感染拡大を内部にもたらす恐れもあろうかと。これがとくに憂慮されるのは、クルーズ船から連想できるように、空母や核戦略原潜の乗組員・・・ってなったら、「総員、海中深くへ急速潜航~!」なんてやっている場合ではないような・・・

 もちろん上記はすべての国の軍隊に共通するリスクです・・・が、米軍(そしてCIAエージェント?)は中ロなどよりもずっと多くの、かつキケンな?国・地域に展開し、アブナイ?テロ等容疑者(っぽい人?)を素手でとっ捕まえたりしている・・・かもしれないため(って真相は謎)、いくら自国で完璧なウイルス対策を講じていても、ヨソでコロナをもらうリスクは相当に大きいでしょう(?)。そんなこんなで最後は米軍やCIAにもウイルスの毒が回って、「キャプテン・アメリカ」危うし???

 ・・・って大丈夫、治療に専念いただいてOKです。誰もアメリカに手出ししないし、できはしません。どこもそれどころじゃないですからね。そうではなく、あれ?米軍もロシア軍も帰っちゃったけど平気じゃん?相手もてんてこ舞いじゃん、原油価格暴落で銃とか買うおカネ作れないじゃん、そんなことより、みんな一緒にウイルス感染防止の対策対策!・・・などとなって、そうこうするうちに自然と、どの国でも、軍隊や兵器武器の必要性が薄れ、気がついたら、どれもいらない世の中になっていた・・・

 ・・・といった具合に「災い転じて福となす」―――ウイルス対策で一致団結した結果、世界に平和が訪れることを期待・・・って、本当にそうなったら壊滅しちゃう国がある、ってどこかで書いたような・・・

(「新型コロナウイルス、最大の経済的被害者はサウジアラビアと…」おわり)

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【油価暴落で浮いたお金で内需を盛り立てよう!】新型コロナウイルス、最大の経済的被害者はサウジアラビアと…⑧

2020-03-11 00:02:12 | 世界共通

前回からの続き)

 原油価格、一営業日(3/6→3/9)だけで30%以上も暴落し、一時1バレル20ドル台(WTI先物)へ!(日本時間10日20:00時点で1バレル約34ドル)

 いや~スゴいことになってきましたね~。新型コロナウイルス感染拡大で中国を筆頭に原油需要が急減しているなか、これ、前述のように、サウジアラビアがこれまでの協調的な原油の減産スタンスを放棄し、逆に日量最大1200万バレルにまで大量増産・大量供給する!などと言い出したことを受けてのもの。その結果、上記のようになったわけですが、この価格水準(1バレル30ドル台)ですと・・・支払い能力の低い産油国はもちろん(デフォルト?)、さすがのサウジでもよほど量を売らなければ利益を出すのは難しいはず。ということでサウジはなりふり構わず原油の安値販売攻勢を消費国にかけていくしかなく、その最大のターゲットは・・・言わずと知れたアメリカ、ということに。

 そのアメリカ・・・のエネルギー企業、そしてそのサポーター(株主や社債権者ら)は怒涛のプライス安サウジオイルにどう対抗するのか?迎え撃つ―――たとえば、採掘コストをさらに下げて価格競争を挑む―――気か、あるいは敵前逃亡(株・社債・権益等投げ売り)?それとも枕を並べて討死(資金繰り倒産の連鎖で金融恐慌没入?)か・・・。まあともかく双方とも、こうして消耗の限りを尽くすに違いありません・・・?

 さて、それらの結果としての原油価格の大幅な下落は、消費増税とウイルス禍拡大に苦しむ「日本」にとっては福音となるでしょう。その理由は前記したとおりです。残念ながら、イベントやインバウンド(外国人の日本旅行)の激減等にともなう景気への下押し圧力はこれからが本番と思われます。これに立ち向かうには、もちろん財政政策なども大切ではありますが、本来的には、外国人に替わって、わたしたち一人ひとりが内需の盛り上げ役になる、つまり、この国の仲間たちが創るモノやサービスを買って使って味わって楽しんでいくしかありません。

 で、その原資となるのが、原油価格暴落のおかげで安価になったガソリン代光熱費の支払い後に財布に残った、これまでは手にすることができなかったおカネになります。これを元手に、(感染拡大防止に最大限の注意を払い、関連の法令やルールを順守しつつも)さあ、この春は、いつもよりちょっと遠くの、中国人が消えた観光地までロングドライブを楽しもうではありませんか!そして緊急事態宣言発令中の北海道の美味をネット等で購入してささやかな幸せをかみしめようではありませんか!(もちろんわたしもそうするつもりです!)こうした小さな内需を全人口の1.3億人分積み重ねて日本人同士、互いに支え合って、この危機を乗り越えましょう

 だというのに?・・・先述の理由からリスク資産安を恐怖する「アベノミクス日本」は日銀の金融政策「異次元緩和」をさらに強化しようとするかもしれません。が、これNGなのはいうまでもないところ。原油安がもたらしてくれるせっかくの上記原資を減らして内需を冷やすばかりだからです。なので、いまは、同じ緩和でも、サウジによる原油需給「異次元緩和」(ともいえる文字通りジャブジャブのオイル大量供給策)だけで十分でしょう。

 ・・・と書いていたら、日本時間10日夕方、サウジの国営石油会社サウジアラムコがこの4月に原油の生産量を大幅に引き上げ、過去最大の日量1230万バレルにすると本当に発表しました! 1月の約970万バレルから約26%、250万バレル以上もの大増量です!(・・・って、じゃあOPECプラスの減産210万バレル/日[3月末まで]っていったい何だったの?て感じもしますが・・・)サウジ、ナイス緩和!ロシアもシェールもイランも続け続け~!

(続く)

本日で東日本大震災から9周年。亡くなられた方々のご冥福と、被災地の復興と発展を祈念いたします。

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