世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
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【インフレ(価値下落)通貨にしない!ことが大事】興味深い?ベネズエラの石油リンク型仮想通貨⑥

2018-03-09 00:03:15 | その他の地域

前回からの続き)

 以上ここまで、今般ベネズエラが発行した、自身の原油埋蔵量に紐づけた仮想通貨「ペトロ」(Petro)について思うところを綴ってきました。これがうまくいくかどうかは同国が「1ペトロ=同国産原油1バーレル」等を順守すること、すなわち新通貨をインフレ通貨にはしないことにかかっていると考えています。

 この点、19718月のニクソン・ショック金兌換停止に象徴されるように、現状の「石油交換券」であるドルは失敗してしまったといえます。アメリカは世界に対して約束していた交換レート「金1トロイオンス=35ドル」を一方的に反故にしました。それ以降ドルは何らの価値の裏付けのない通貨であり続けています・・・って現在まで(じつは〇〇の支えのおかげで?)50年近くも生き永らえていますが、賞味期限がいよいよ迫っているからこそ中国金塊をしこたまかき集め、市場ではビットコインのような仮想通貨がもてはやされるようになっているわけで・・・

 これらが示唆することは・・・結局「インフレはNG」ということだと思います。インフレとは厳密にいえば「名目金利-インフレ率<0」つまり実質の利回りがマイナスとなる経済状態のこと。このときの通貨はもはや価値を失うわけです、それがドルだろうがペトロであろうが・・・

 これを別な言い方で表現すると、「通貨価値を保てば―――名目金利-インフレ率>0』であればOK」となります。ペトロを立ち上げたベネズエラと、成功させまいとする(?)アメリカとのさや当てを尻目に、いまのわたしたち日本人が強~く認識するべきことは、コレです(?)。

(「興味深い?ベネズエラの石油リンク型仮想通貨」おわり)
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【トランプノミクスのドル安で石油リンク仮想通貨の魅力は増す?】興味深い?ベネズエラの石油リンク型仮想通貨⑤

2018-03-07 00:01:18 | その他の地域

前回からの続き)

 これまで綴ったような状況から、ベネズエラがこのたびスタートさせた石油リンク型仮想通貨「ペトロ」(Petro)の前途は何とも視界不良といった感じがします。もし同国政府が本気でこの不透明感を払しょくさせるつもりなら、1ペトロ(今回は60ドル)で同国産原油1バーレルの交換を順守しなければならないと思います。まあ前述のとおりこれ、相当にハードルが高い目標のはず。債務支払いに充当するドルをかき集めたいばかりに同国はインフレに頼りたくなってしまう、つまりペトロ過剰発行の誘惑に耐えられそうになさそうだからです・・・

 それでも万に一つの確率で(?)、ベネズエラがペトロの価値「1ペトロ=1バーレル」を忍耐強く守り続け、かつ他の産油国もこの枠組みに加わったりしたら・・・これ、ドルに勝る「石油交換券」となり、同国は所期の狙いのとおり(?)原油市場におけるドルの存在感を低下させることができるかもしれません。繰り返しますが、アメリカ人以外にとっての米ドルアメリカ以外の国々の原油との交換券です。その「アメリカ以外の国々」が上記のような安定的なレートで自身の原油交換型仮想通貨を流通させることに成功すれば、実質的な石油交換券が欲しい中国や日本のような国々は、これとは入れ違いに石油引換機能を喪失していくドルのかわりにこれらを外貨準備として保有するようになるでしょう(?)。

 これに関連して指摘すると、ベネズエラのような産油国にとって、こちらの記事等で記したように、米「トランプノミクス」(歳入減少[大減税]・歳出拡大[財政出動]による財政収支悪化でドル安必至の?政策)の発動でドルがますますインフレな通貨になっていくのも、一定の交換率を保った石油リンク通貨を発行、流通させるうえでは好都合です。当該通貨産油国はドル減価リスクのヘッジができるし、石油を買う国々は、ドルよりも価格保存力の優れた、すなわち1単位当たり1バーレルの原油交換が保証された同通貨のほうを持ちたいでしょうからね。

 おそらく今後、上記事情からドルは安くなるいっぽうで、逆にドル建て原油価格は高くなっていくでしょう(?)。こうなると、より多くのドルが手に入るベネズエラのような産油国はトクをするように思えます・・・が、じつは必ずしもそうとはいえません。これによって、たとえ原油ドル建て輸出額が2倍になっても、食料品や医薬品とか自動車などのドル建て輸入額が3倍になって、差し引きではドル安の前よりも実質ではソンをするおそれが生じるためです。ドル安で日本、中国や欧州からの輸入品のドル換算価格は上昇してしまうので、実際にそうなる可能性のほうが高いような気がします。産油国の多くは原油以外の産品のほとんどを外国からの輸入品に依存しているので、こうなると苦しいところです・・・

 ―――と考えていくと、これから先、産油国はドルを使うよりも1単位=原油1バーレルみたいな交換レートを固定した独自の仮想通貨を流通させたほうが有利、ということになりそうです(?)。「当該通貨>ドル」(実質価値の高い順)が成り立つからです・・・って、あくまでもこのレートを守り抜く限りは、という条件付きになりますが・・・

(続く)
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【石油リンク仮想通貨もドルと同じくインフレ通貨に堕ちる?】興味深い?ベネズエラの石油リンク型仮想通貨④

2018-03-05 00:03:47 | その他の地域

前回からの続き)

 これまで論じたようなことから、もし産油国が自前の石油にリンクした仮想通貨のマーケットへの導入および流通に成功したら、米ドルの「石油交換券」としての役割は低下し、アメリカ危機的な状況に追い込まれると思われます・・・がこれ、あくまでも想像上の話です。実際にうまくいくのかどうかについては何とも微妙といった感じでしょう。

 このあたり、ベネズエラの「ペトロ」(Petro)を例に上げて考えてみます。本稿一回目で書いたように、同国がこのタイミングでその発行に踏み切ったのは、まあ長期的には先述の狙いがあるのでしょうが、短期的には・・・ぶっちゃけ「ドル」を集めたいからにほかなりません(?)。なぜならベネズエラは巨額ドル借金(約1300億ドル?)の支払いにこの瞬間も追われまくっているからです。さらにペトロ1億単位の発行で同国が得られる予定のドルは総額50億ドル程度に過ぎません(って、楽観的過ぎる印象・・・)。ということは、同国はドル欲しさにペトロをもう1億単位、さらに2億単位などと、次々に振り出していく可能性が高そう・・・

 ・・・と考えてみると、ペトロもまたドルと同じく(?)、単位当たりの価値低下が止まらないおカネすなわちインフレ通貨に堕ちてしまいそうです(?)。つまり、当初の1ペトロ=ベネズエラ産原油1バーレル(=60ドル:おおむね現在の原油1バーレル価格)を守れずに同0.9バーレル、0.8バーレル・・・となっていくという意味です。こうなってしまってはペトロの信認は定まらず、ドルを脅かす仮想通貨にはとてもなれそうにない、ということに・・・

 そもそも今般の1ペトロ60ドルという価格設定自体が高過ぎでしょう(?)。その不確実性を差し引けば6割ディスカウント価格(24ドル?)くらいがせいぜいなのではないでしょうか。となると上記50億ドルの調達は困難で、やはり同国はこの後、ペトロの大量発行に乗り出すしかなさそうです、1ペトロで原油1バーレルの交換が履行できないくらいに・・・(?)

 さらにいえば今後、原油価格は安くなる、少なくとも高くなることはそうはないと予想されるところも石油リンク型仮想通貨の将来を不透明なものにします。世界各地の既存油田に加え、北米大陸を中心にシェール資源の開発が進むいっぽう、再生可能エネルギーとか電気自動車等の普及といった脱石油につながる動きもいっそう加速しています。こうした需給両面での大変化をふまえると、石油の価値はこの先、少しずつ下がっていくと考えるのが自然でしょう(?)。となると当然、当該通貨の価値もこれに比例して低下し、その発行国の購買力もまた落ちていくわけで・・・

 とどめは・・・ドル=石油交換券の地位絶対死守を目論むアメリカの石油リンク型通貨つぶしに向けたアクションです。現在アメリカはベネズエラに対して厳しい経済制裁を科していますが、その本当の目的はこれによってマドゥロ現政権が進めるアメリカやドルの脅威となる取り組みを破綻させようといったあたりでしょう(?)。もちろんそんな本音は口には出せませんので、表向きの理由としては同政権の非民主性を糾弾するため、などということにして・・・

(続く)
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【石油リンク通貨、産油国:メリット大、米:脅威大】興味深い?ベネズエラの石油リンク型仮想通貨③

2018-03-03 00:02:19 | その他の地域

前回からの続き)

 これまで述べてきたように、アメリカの通貨ドルは、現代社会の最重要物資である石油の交換券であるがゆえに、国際商取引の決済通貨としての、また各国の準備通貨としての価値をこれまで保ってきました。ドルがあれば石油が買える(ドルが無ければ石油が買えない)―――こんな「掟」(?)があるからこそアメリカは、ドルを刷りさえすれば世界中のモノやサービスを手に入れることができるわけです。なぜなら相手が喜んでこの石油交換券を交易の対価として受け取ってくれるから。かくして同国は対外ドル建て債務をどんどん膨らませることになりました・・・

 ただしこの「石油交換券」、厳密にいうと「アメリカ以外の国の石油」の交換券となります。逆に、アメリカ産原油の交換券にはなり得ません。同国は世界屈指の産油国であると同時に世界最大の石油消費国でもあるため、海外に原油を輸出できる余力に欠けるためです。よってドルが石油交換券(≒基軸通貨)の特権を享受するには、アメリカから遠く離れた産油国が原油売買の決済通貨としてドルだけを使うという絶対的な前提が必要になります・・・

このほどベネズエラ政府が発行した自国産石油リンク型仮想通貨「ペトロ」(Petro)は上記の「掟」を破壊しかねないインパクトがあります。このスキーム、ベネズエラがその原油販売についてドルではなくペトロによる支払いを相手に求めるもので、産油国が同市場における主導権を取り戻す枠組みになり得ます。かりにペトロによる原油取引が成立、拡大し、これに刺激される形で他の産油国までペトロとか自前の同種通貨を次々に使い出したら、ドルはもはや石油引換券としての魅力を失ってしまいます。繰り返しますが、ドルを持っていてもアメリカ産の原油を買うことはできないからです・・・

産油国にとって、自身の石油に裏付けた通貨を立ち上げるメリットとして、ドルの減価リスクをヘッジすることができるという点も指摘できると思います。上述のように世界中がドルを受け取ってくれることをいいことに(?)アメリカはドルを吐き出し続けてきました。いくら借金をしてもドルを続々発行してインフレを起こせばその実質返済負担を引き下げることが可能になります。いっぽうでドルの貰い手である産油国はドルの価値低下に悩まされることになります。だからこそ彼らはOPEC(石油輸出国機構)を作ったりして石油マーケットにおける価格決定権を得ようとしてきた面があるわけです(?)。ここで産油国サイドが、たとえばペトロみたいに1単位=1バーレルの自前の仮想通貨を流通させることに成功すれば、インフレなドルの排除が可能になり、安定的な原油市場管理や国家運営を図ることができるようになるかもしれない・・・(?)

 以上などから、ベネズエラのような産油国にとって独自の石油交換通貨を立ち上げることのメリットは大きいものと考えられます。いっぽうのアメリカにとってこれは国家を揺るがすほどの脅威となるでしょう。それによってドルの本質的な価値=石油交換機能が失われるということは、だからこそこれまでドルを買い支えてきた国々、産油国はもちろん経済規模が大きな石油輸入国である中国そして日本のドル離れを誘発しかねません。この両国がこうしてドル保有のインセンティブを失えば当然ドルは暴落、そしてアメリカは超インフレと高金利で重大な危機に瀕するでしょう・・・(?)

(続く)
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【米ドルはアメリカではないヨソの国の石油との交換券…】興味深い?ベネズエラの石油リンク型仮想通貨②

2018-03-01 00:03:44 | その他の地域

前回からの続き)

 南米の産油国ベネズエラの政府が今般、自国の原油埋蔵量に裏付けて発行する仮想通貨「ペトロ」(Petro)は、それが同国産石油の交換通貨になり得るという点で、米ドルに取って代わる可能性を持っている―――これは非常に興味深いことと考えています。

 本ブログでは以前からドルのことを「石油交換券」(石油引換券)と呼んできました。世間一般ではドルは「基軸通貨」と表現されることが多いですが、これだと何とも抽象的なので、このように表現することで、ドルの本質をもっと分かりやすく伝えようとするものです。そう、ドルとはアメリカの通貨・・・である以上に石油交換券というべきおカネです。

 現代社会に欠くべからざる物資の筆頭は何か、といえば・・・やはり「石油でしょう。これはいまの北朝鮮を見れば明らかです。厳しい経済制裁下にある同国がかろうじて(?)生き永らえていられるのは、中国から重油すなわち石油をわずかながらも供給してもらっている(?)からにほかなりません。もしこの油脈が完全に断たれたら、おそらく同国の命脈も・・・となるわけです。それほど石油は大事だということです。

 その石油を買うことができる唯一の通貨が「ドル」です(でした?)。たとえば、サウジアラビアが日本に石油を売る際の決済に使われる通貨は、当事国通貨(円 or レアル)ではなく、第三国アメリカの通貨であるドル。まあ最近はユーロなどのドル以外の通貨が石油代金として受け入れられるケースも多くなりましたが、それでもドルが石油交換券の最高位を保っていることには変わりがありません。

 ドルがここに至った経緯等は省略しますが、これが最重要物資である石油にリンクしていることがその価値になっているといっていいでしょう。コレがあれば石油が手に入るし、石油交換券だから他国産の食料品や医薬品などとも交換してもらえる―――といったようなわけでドルは、一国の通貨という枠を超え、産油国、非産油国の違いによらずに各国が進んで持とうと思いたくなる通貨、つまり基軸通貨・準備通貨になりました。

 上記ペトロ・・・のような、産油国が自国の原油に紐づけた通貨は、ドルのこうした特権的な地位を脅かすインパクトがあると思います。ドルがその発行国アメリカではない(サウジのような)「よその国」の石油の交換券であるのに対して、ペトロ等はその発行国産の石油にちゃんと裏付けられます。したがって、「よその国」すなわち産油国サイドが(ドル受け入れに替えて)自分自身で石油交換券を発行し始めたら、ドルの価値が低下するのは明らかです。なぜならそうなってしまったらドルはもはや、本質的には石油交換券とはいえなくなってしまうためです。世界屈指の産油国であっても基本的にアメリカは、いくら目の前にドルを積まれても石油を外国に売りませんし、サウジやベネズエラみたいに大量に輸出できるほどのゆとりはないでしょうからね・・・

(続く)

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【原油埋蔵量に裏付けた仮想通貨「ペトロ」発行!】興味深い?ベネズエラの石油リンク型仮想通貨①

2018-02-27 00:00:05 | その他の地域

 こちらの記事で少しだけふれたように、近い将来、石油仮想通貨を結び付けようという動きが出てくるだろうと思っていました。したがってこれ、今後の成り行きに注目しています。はたして成功するのか、それとも・・・

 南米の産油国ベネズエラ20日、政府公認の仮想通貨「ペトロ」(Petro)の前売りを開始しました。発行総額は1億単位。ペトロのウェブサイト等によれば、ペトロは国家が発行する世界初の仮想通貨で、同国の(2位サウジアラビアをしのぐ)世界一の石油埋蔵量に裏付けられます。売り出し価格は1ペトロ当たり60ドルと、現状の原油1バーレル当たり国際価格とおおむね同じ水準に設定されています(一定量にはディスカウントがあるもよう)。既存の仮想通貨と同様、ブロックチェーン技術に基づきインターネット上で流通させるようになっていて、ドル、ユーロのほか、ビットコインBitcoin)およびイーサ(Ethereum)の2種類の仮想通貨と交換可能になっているようです。

 ベネズエラ政府はこれによって約50億ドルを獲得する見込み―――といったあたりから推察するに、同国がこのタイミングでペトロ発行に踏み切った本当のねらいは、これによって外貨を得て、膨大な借金の支払いに充てよう、というものなのでしょう(?)。実際に同国は現在、1300億ドルもの対外債務を抱え、デフォルトの危機に瀕しています。苦し紛れに通貨を増刷したせいか(?)激しい物価上昇が起こっており、国会の集計によると昨年のインフレ率は2616%に達したとのこと。同国の通貨「ボリバル」は著しく減価し、公定レートが1ドル=10ボリバルなのに対して実勢レートは1月中旬時点で約20万ボリバル(!?)と、ハイパーインフレ状態が現出しています。そんななか、食料品や医薬品の値上がりや不足が深刻化し、市民生活も危機的局面を迎えているわけですが・・・

 ベネズエラが上記のような悲惨な状況になってしまった原因の一端に、アメリカとの関係悪化と、これに関連する同国による経済制裁があげられます。チャベス前政権から現マドゥロ政権にわたって同国は反米社会主義的な政策を推進、石油部門を含む主要産業を国有化して米欧資本を排除、中露その他の反米諸国との関係を強化してきました。いっぽうで石油関連設備の更新等を怠たったために原油産出・輸出量が減少するとともに、逆オイルショックにともなう石油価格の低下などにより国際収支が急激に悪化し、上記のように対外借り入れが膨張。そんな情勢のなかでアメリカは同国に経済制裁を発動しました。現在、ベネズエラはアメリカに資金調達手段としての債券発行を禁止され、さらには石油輸入制裁もほのめかされています・・・

 ・・・といった厳しい局面にあって、当面の支払資金を確保する必要に迫られてベネズエラは上記ペトロを発行したのでしょう。でも、目論見のとおり同国政府がドルを得られるのか不透明なようですし、たとえ目標の50億ドル程度を集めたとしても、債務総額にはまったく足りていないため、危機的状況は続くわけで・・・

 それでも、このたびの「ペトロ」の仕組みは興味深いものがあります。何といってもこれ、ベネズエラ産原油の交換通貨という位置付け・・・ってことは、唯一無二のはずの(?)「石油交換券米ドルとバッティングしてきますからね・・・

(続く)

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【豪、米QEで鉄鉱石価格再上昇を期待するが・・・】オーストラリア経済、中国よりもピンチか⑤

2016-01-23 00:02:25 | その他の地域

(前回からの続き)

 年明け以降の激しい「リスクオフ」モード―――株価、原油価格、ジャンク債価格等の急落―――を受け、アメリカはいったん引き締めに向けて切った金融政策の舵をまたもや(って、何回目なんだか・・・)、緩和方向に戻さざるを得ないでしょう(こちらの記事等で書いているように、アメリカに利上げのようなバブルの幕引きなんて不可能なんだって!?)。

 ・・・具体的には、FRBは昨年12月に引き上げたばかりの政策金利をゼロ近傍に再度引き下げたうえ、米国債等の資産を購入して流動性を市中に大量に供給するというQE(量的緩和策)を4たび(!)発動するだろう(?)ということです。こうでもして株価等の再上昇を促さないとアメリカは資産デフレから金融危機すなわちドル危機に陥ってしまうからです・・・って、まあ次回のQEこそドル危機(ドル暴落)の反映だけれどね。もっともプライドの超高~いアメリカ様のことですから、FRBはQEリスタートの際、それを自国ではなく中国のせいにする―――つまり中国をはじめとする世界経済の動揺に対処するため、みたいな言い訳をするに違いない(!?)

 で、そのQE再開は、株価ばかりではなく本稿で述べているオーストラリアの最大の輸出品である鉄鉱石の価格にプラスに働く可能性があります。QEで超低金利のマネーが市場にあふれれば、その一部がまたまた商品市場に流入して鉄鉱石価格を押し上げるといった見方も成り立つからです(?)。2007年以降の鉄鉱石価格の急騰率は実需の伸び率を大きく上回っていますが、その差の多くはこの間に実行されたQEに由来する投機マネーがもたらしたもの・・・ということで、この再現を米QEで!とオーストラリア(などの資源国)が内心で期待するのはもっともなところです。

 ・・・たしかにアメリカがQEに踏み出せば上のようになるかもしれません。しかしそれでも個人的には、次のような理由で鉄鉱石価格がもう大きく上昇することはないとみています。その最大の根拠はやはり先述、得意先・中国の構造的な経済不振。これは米QEの再開程度でどうなるものではないくらい深刻なだけに、同国の鉄鉱石需要は今後、そうな伸びないし、よってその価格の頭も抑えられるでしょう。第二は上記中国リスクにともなって商品投資が以前ほどは活発になりそうもないこと。第三は2015/7から全面適用となっている「ボルカー・ルール」等が投機色の濃い商品先物取引を抑制すること、そして、次回のQEによって鉄製品の大需要地アメリカの凋落ぶりがあらためて強く意識されること、などにより、鉄鉱石の実需も価格もそうは高まらないでしょう。

 ・・・かくして頼みの鉄鉱石も、中国はダメ、QEもパワー不足、で期待外れ、あらたな付加価値創出の能力もなし、そんななかでも対外債務は膨らむばかり、というわけでオーストラリアはやはり苦境に向かうしかなさそうです。よってわたしたち日本人は豪ドルとか豪国債には手出ししないほうが無難でしょう。くれぐれも「高格付けのわりに高リターン(高金利)」なんて看板には惑わされることのないようにしたいものですね(投資等のご判断は自己責任でお願いします)。

(「オーストラリア経済、中国よりもピンチか」おわり)

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【中国を当てにできない豪州の唯一の頼みは・・・】オーストラリア経済、中国よりもピンチか④

2016-01-21 00:04:46 | その他の地域

(前回からの続き)

 前回までに綴ったように、オーストラリア経済はこのままではジリ貧・・・ではどうするか?

 まあオーストラリアには自国産の鉄鉱石&石炭を元手に鉄鋼業を興すという手も考えられなくはありません。しかし・・・同国は人口が少なく市場規模が小さいこと、資源の産地がシドニーなどの同国都市部から遠く離れていること、日米欧中などの鉄の主要消費国からも遠いために鉄鋼製品の輸出拠点になるのは難しいこと、そして失礼ながら、同国民には原材料に高い付加価値を付ける能力(鉄鉱石を加工して鉄鋼製品に仕上げる能力)も、その気もあるようには思えないこと、などからオーストラリアが製鉄立国になるなんて絶対といってよいほど、無理でしょう。

 「資源の呪い」という言葉があります。石油や鉄鉱石などの天然資源に恵まれた国は、それらを外国に売れば国の運営ができるので、日本のような非資源国と比べて工業化が進まないし、経済成長も遅い、といったような意味になります。オーストラリアは、とくに今世紀に入って以降、これに完全に呪縛されてしまった感じです。誰によって・・・って、中国によって。中国がド高値で鉄鉱石等を爆買いしてくれたから、何も苦労して産業振興する必要なんてなく、ただ資源を安直に「掘って売るだけ」でよかったわけです。結局オーストラリアは、それしかできない国すなわち何ら付加価値を生み出すことのできない国になってしまった。しかも持続不可能なほどの巨大対外債務を抱えて・・・

 ・・・以上により、オーストラリアの将来は暗いと思います。唯一の期待は、鉄鉱石価格の再上昇、すなわちまずはこれをもたらす中国経済の立ち直りでしょう・・・が、先述のとおりこれはほぼあり得ない、少なくとも同国のバブルが完全に清算されるまでは(って、その暁には共産党中国は分裂し、広東国、満州国など、各地域別の独立国家が乱立する事態になっているかも?)。したがってオーストラリアが中国の今後に望みを託すことは難しそう

 じつはもう一つ、資源価格を上昇に向かわせるきっかけが想定できます。それは・・・アメリカQE(量的緩和策)再開です。これは中国復活などよりもはるかに起こり得る可能性の高い出来事でしょう・・・というより誰が見ても(?)時間の問題―――再開はいつか?ということかと思われます。最近ではこちらの記事を含めて本ブログで何度も書いているように、アメリカにはもうQE(という名の実質的な中銀による「財政ファイナンス」)しかないからです。米FRBによってQEが4たび(!)開始され、ドルが世界市場に多量に散布されれば、鉄鉱石をはじめとする商品価格は再び力強く(?)上昇し、これによって収支が改善するオーストラリアは苦境から脱する・・・というシナリオ―――これならいけそうですね・・・(?)

(続く)

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【豪経済の脆弱性を示す高い長期金利】オーストラリア経済、中国よりもピンチか③

2016-01-19 00:01:39 | その他の地域

(前回からの続き)

 前回、オーストラリアが身の丈をはるかに超えるほどの対外債務を抱えている様子を綴りました。同国のGDPに対する対外債務額の倍率は1.6倍(2014年)と、アメリカのそれ(1.64倍)に匹敵するほどの巨大さです・・・

 以前、こちらの記事にオーストラリア等が「鉱業立国」として国を維持・発展させる可能性について思うことを書いたことがあります。先述のように同国の貿易収支はここ数年、黒字をキープしています。もしオーストラリアがこの範囲で、つまり主要産業である鉱業がもたらす貿易黒字と・・・旅行収支の黒字(オーストラリアの旅行収支は黒字基調)の範囲内で地道な国家運営をしていたならば、慢性的な経常赤字体質に陥ることはなかったし、これほどの債務を積み上げることもなかったでしょう。でも同国はそんな堅実な道を歩まず、贅沢に明け暮れ、あげく外国から借金をしまくってしまったわけで・・・。おそらくこの債務は持続困難でしょう・・・

 ・・・そのあたりの反映がオーストラリアの長期金利だと思います。S&Pのソブリン格付けでは同国は何と!「AAA」(いったい、なぜ!?)。で、同じAAA格の国々の直近(1/15)の長期金利を並べてみると低い順に次のようになります。

 スイス-0.14、ドイツ0.54、英国1.66、アメリカ2.04、オーストラリア2.69

 AAAとは債務支払い能力がもっとも高いことを示す格付け。にもかかわらずオーストラリアの長期金利は2,69%もの高率です。それだけ同国は投資家からインフレリスクすなわち通貨(豪ドル)の相対的な価値下落リスクが高いとみなされているわけです。まあ当然でしょう、上記のとおりだから。豪ドル札を大量に吐き出す以外、オーストラリアには膨大な借金の穴埋めはできそうにありませんからね。

 ちなみに日本のソブリン格付けは「A+」。つまりオーストラリアよりも数ランクも低位ですが、長期金利のほうは0.21と、スイスについて世界2位の低さ。ということは、格付け会社かマーケットのどちらかの判断が間違っていることになりますね。格付けが真に正しいのなら、日本の長期金利はオーストラリアよりも高くなっていないとオカシイはずですが・・・

 先日のブルームバーグの報道によると、米シティグループはオーストラリア最大の輸出品・鉄鉱石の今年の平均価格は1トン当たり36ドル程度であり、場合によっては30ドルを割り込む可能性もあると予想しています。直近価格(2015/12)の39.6ドルをさらに下回る水準です。となると同国の貿易収支は昨年(2015年)から今年以降は一転、赤字に転じるおそれもありそうです。これがもとで経常赤字も拡大し、対外債務はますます膨らんで同国は窮地に追い込まれるでしょう。このままではオーストラリアはジリ貧必至ですが・・・

(続く)

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【豪の対外債務額の対GDP比率は米に匹敵!】オーストラリア経済、中国よりもピンチか②

2016-01-17 00:01:30 | その他の地域

(前回からの続き)

 前回、オーストラリアについては、同国の主要輸出品である鉄鉱石等の価格が低下するなかでも貿易収支はここ数年、おおむね黒字基調であることをお伝えしました(2013,14年は黒字)。しかし、同国の経常収支のほうは・・・これまで30年以上にわたって赤字が続いています。とくに2000年代以降は同赤字幅が急拡大し、2004年から2014年まで毎年400600億ドル台という世界的にみても大きな経常赤字を記録。もちろん貿易収支が黒字となった2013,14年も経常収支は大幅な赤字です(2013年:515億ドル、2014年:438億ドルの赤字)・・・

 で、上記オーストラリアの慢性的な経常赤字の最大原因は・・・所得収支の赤字です。同国においては、外国に対する利子・配当の支払い額が外国からのそれらの受取額を大きく上回っている状態が延々と続いているということになります。それだけオーストラリアはいまに至るまで外国の投資マネーを大量に借り入れてきました。

 その累積が同国の対外債務額にあらわれています。その規模ですが、経常赤字と同じく2000年以降急増し、2014年時点には2.3兆ドルと、同国の同年の名目GDP1.44兆ドルの1.6倍にまで膨張しています。これは世界一の純債務国アメリカの値(約1.64倍、2014年)に匹敵しますが、アメリカが基軸通貨国であることを考えると、そうではないオーストラリアの対外債務額がその国力に照らしていかに巨大かが分かるというものです。

 オーストラリアの経常赤字と対外債務額がこうして増えた期間は、高度成長期を迎えた中国の鉄鉱石や石炭の需要が急激に高まった時期であり、これを受けてオーストラリアの主要輸出品である両者の価格が上昇を続けた時期でもあります。だからこそ同国は、最大の得意先・中国がこれからも鉄鉱石&石炭を高値でじゃんじゃん買ってくれるだろうという都合の良い見通しを立て、外国から派手にマネーを借りまくってしまったのでしょう。

 その中国は・・・ご存知のように不動産バブルが崩壊し、建設ブームも去って、いまや作り過ぎてしまった鉄鋼製品を内外に投げ売りしているような有様です。地方政府や国営企業が抱える過剰債務や金融システム内の不良債権の処理といったバブルの清算はこれからが本番(って、処理の道筋はまったく見えてきませんが・・・)。そんな中国に、以前のようなオーストラリア産品の爆買いなんて望めるわけがない・・・

 ・・・ということで完全に当てがはずれた感じのオーストラリアはこの先、ますます厳しい状況に追い詰められそうです。中国がコケて輸出に大きな期待ができなくなっているのに経常赤字体質―――国力以上に贅沢をする体質―――はまったく改善されていないから。そのあたりを示唆するのが本稿冒頭でご紹介した豪ドルの他通貨に対する急速な値下がりですが、加えてこれから注意を要するのが同国の長期金利の動向でしょう。

(続く)

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