世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
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【日本の世界一の経済大国化をアメリカはけっして歓迎しない…から…】「21世紀の人」ハルヒコ・クロダ⑦

2023-04-25 00:03:31 | 日本
前回からの続き)

 前述したことから、世界一の債権国&純資産国としての日本が、同債務国であるアメリカの国債等を延々と抱え続ける(いや、抱えさせられる?)ことで必然的に食らうこととなる巨額の損害を、わが国のアメリカへの安全保障委託代とみなすことは、(前世紀に冷戦構造が消滅したことなどから)遅くとも今世紀においてはまったくできないといえます。であれば、これ以上の国富消失を回避するため、かの国への貸し付けは極力、避けたいところ、本稿3回目で指摘したように、日銀の現行金融政策「異次元緩和」(長短金利操作付き量的質的金融緩和)は結果としてその方向に作用した、すなわち日本の米国債の保有額が(同政策開始直前の)10年前からまったく増えないようにさせたわけで、上記に照らせば、そこは同政策のポジティブに評価される面といえそうです(?)。

 ところで・・・以前記事そして前回述べたように、日銀のその政策がなければ、の購買力がドルに対して強くなり続けたであろうことなどから、この10年間のわが国の対米投資額はいまよりもずっと大きく、米国債でいうとその保有額が中国などの他のホルダーを圧倒的に凌駕する2~3兆ドル(現在の2~3倍)に膨張していたとしても不思議ではないでしょう。では、これは望ましいことだったといえるのでしょうか、安全保障の観点から・・・

 結論からいえば、その正反対つまり・・・わが国の安保上の重大な危機を招きかねない状況と考えられます。たしかに、上記によってアメリカは本稿でここまで述べてきたとおり「生き永らえる」ことができていた(「借り入れバブルに過剰に頼ることもなく、そしてインフレ率もいまよりは低いレベルのもとで、きっとそれなりの?経済成長を継続できていた」)でしょう。しかしこの場合、日本・・・の国力=経済力=」の実力はいっそう際立ち、それによって、たとえば(ドル換算の)本邦GDPは世界2位の中国を抜き返して同1位のアメリカに迫り・・・そして軽々と追い越して世界一となっていたでしょう。問題は、これをアメリカが歓迎(って歓迎しないまでも受容)できるだろうか、ということです・・・って、するワケないでしょう、かつてのソ連、いまの中国をみれば分かるように。つまり、このときアメリカから見た日本は目立ち過ぎるくらいの「出る杭」になってしまう、ということ。であれば、かの国は・・・

 わが国の安全保障上の真の「脅威」は、非同盟国の?中国・・・でもロシア・・・でもなく、そのあたり、すなわち、ほかならぬ同盟国(とされる?)アメリカ・・・がわたしたちをこのように一方的に「脅威」視することです・・・って、いまや日本こそアメリカ(の覇権)にチャレンジするもっとも危険な国だ!などと。そう結論付けられたら、何をされるか分かったものでは・・・

 ・・・となってしまわないように、「生き永らえる」ことのないように、自壊していただかなければならない、という、きわめて安保戦略的な意図をもって実行されたのが日銀の上記政策なのだと理解しています。そしてその意図は、何度も記してきたように、かの国の「真性インフレ」堕ち(実質利回りがマイナス圏に恒常的に沈むこと)で達成に近づいています。であれば、日本が約束どおり平和な世界づくりをリードするようになる近未来においては、上記の危険性は低下していることでしょう・・・って「テキサス」共和国(?)とかが大いに協力してくれるでしょうからね・・・

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【異次元緩和は実施されなかったほうが日米はハッピーだった…のか…】「21世紀の人」ハルヒコ・クロダ⑥

2023-04-21 21:02:19 | 日本
前回からの続き)

 前述のように、黒田東彦前総裁らによってこの10年間にわたって行われてきた日銀の現行金融政策「異次元緩和」(長短金利操作付き量的質的金融緩和)がもし実施されていなかったら、日本のファイナンスをもっと多く得られたであろうアメリカは、借り入れバブルに過剰に頼ることもなく、そしてインフレ率もいまよりは低いレベルのもとで、きっとそれなりの?経済成長を継続できていたでしょう。そしてこの場合、為替レートが同実施前の1ドル約80円程度から同50円、30円・・・と、円の対ドル購買力がいまの2~3倍以上にパワフルになっていたはずだから、日本の米国債保有額もこれと同じく現在(1兆ドルあまり)の2~3倍に増えていたに違いありません(?)。そうであったほうが、アメリカも日本もよほどハッピーだったように思えます(?)。なのに、なぜ黒田氏らは、わたしたちに通貨安の激しい苦しみを強いてまで、「本当に本当の目的」(アメリカをインフレで自壊に導くこと)の達成に向けて上記の対米金融戦(?)を仕掛けたのでしょうか・・・

 結論からいえば、かの国との下記関係の清算を急ぎたかった、ということかと。それはこういうことです。つまり・・・上記のままであればアメリカは、引き続き世界最強のジャパンマネーに支えられて生き永らえる、すなわち、いずれはドルの刷り過ぎで崩壊するとはいっても、それはきっと来世紀のこと・・・といえるくらいの相当に先になるわけです。しかし・・・それでは、戦後延々と続いてきた、わが国がアメリカにマネーを一方的に拠出する―――事実上、日本だけが返済等をしてもらえない(ニクソン・ショック前:の兌換請求をさせてもらえない、同後:公金で購入した米国債の売却を許してもらえない)―――スキームもまた残り続けることになります。それは、わが国家国民が巨額の損失を被り続けることと同義、ようするに、この従前の枠組みにおいて、しこたま抱えることになるアメリカの債務のリターンは、以前から書いているように、短期的な売買等を除き、中長期のスパンでは日本国債はもちろんキャッシュのリターン(≒実質金利)にすら遠く及ばないため、その結果として、これを持てば持つほど、わたしたちの食らう為替損は膨らむばかりになる、ということです。よって、もういいかげんコレ清算しようよ、でも相手は・・・だから、もうおカネは貸さない、なんてコワくていえないので、その代わりに円安を誘導して・・・という次第でしょう(?)。

 ちなみに、ここで百歩譲れば、この為替損をわが国がアメリカに委託した安全保障の費用と割り切る、という考え方もできる・・・かもしれません(?)。が、こちらの記事に書いたように、それは、かの国に軍事的に日本を守ってもらうべき最大の理由すなわち冷戦構造があるまで、の話。これとっくの昔(前世紀末)に消滅・・・どころかそれまでの敵役だった中国ロシアは実質的にアメリカ(ドル)陣営に降るほどのトホホな有様、そしてアメリカも両国とりわけ中国・・・の輸入品そしてチャイナマネーの借り入れがなければ、もはや国も国民生活も成り立たないくらいの体たらく・・・って感じです。これをキレイに表現するならば、何だかんだいっても、こうしてすでに米中ロ等の各国は互いに支え合っているわけです。じつに今世紀的で?ウツクシ~ことではありませんか。え、ウクライナとか台湾海峡で・・・って?ないない、戦場にできっこないでしょ、NY(金融市場)を・・・

 ・・・以上からアメリカは、一般的に日本の安全保障上の脅威とされる中国やロシア等とリアルに武力をもって戦うことはしない・・・というより、できないわけです。よって上記損害は「用心棒代」にはなり得ない、何の見返りのない純粋過ぎるくらいの国損です。であれば、もうこれカブるのはやめましょうね、21世紀だし・・・というのが理にかなうというものです・・・

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【日銀政策がなかったらアメリカは真性インフレ堕ちを免れた…?】「21世紀の人」ハルヒコ・クロダ⑤

2023-04-19 00:02:53 | 日本
前回からの続き)

 前回、黒田東彦前総裁らによって10年間にわたって続けられている日銀の金融政策「異次元緩和」(長短金利操作付き量的質的金融緩和)は、それによって円安および超低金利を誘導することでアメリカを麻薬中毒・・・のようなQE(量的緩和)マネー依存症にさせたと述べました。その狙いのとおり、かの国はついに「真性インフレ」(実質金利が恒常的にマイナス圏にある状態)に沈み、二度と水面上(同プラス圏)に浮上することがかなわなくなりました(?)。そうなればどうなるか、は・・・歴史を振り返ればいうまでもないこと・・・

 このように、アメリカにインフレを自分の方から起こさせて最終的に自壊に導くことこそ、日銀現行政策の「本当に本当の目的であることは、ずっと前から本ブログで繰り返し指摘してきたとおりです。

 ここで、このあたりに関連する2点について以下、記しておきます。1点目は、アメリカは日銀政策の上記「本当に本当の・・・」を認識できなかったのか、ということ。そこは・・・最近のこちらの記事でも書いたように、アメリカの、より正確には、かの国の支配層が、日銀が同政策を「本当の目的」すなわち「アメリカ支援」―――低金利マネーを供給し続けることで米リスク資産投資を煽る、といったこと―――のために行っていると思い込んでいる(?)から、その裏に秘めた「本当に本当の・・・」があるなんて夢にも・・・といった感じでしょう。実際、彼ら彼女らはこれで生じた資産バブルがもたらす巨大な利益(借入金利やインフレ率を上回るリターン)を享受できているわけです。となれば黒田氏らに感謝こそすれ、その真の意図にはけっして気づくことはできないでしょう。この間も足元では・・・激しいインフレと実質賃金の大幅な低下に苦しむ大多数の人々との「分断」がどんどん進行中なのですが・・・(それにも気づけない?)

 そして2点目。では日銀が「異次元緩和」をしていなかったら(少なくともそれ以前の「ゼロ金利政策」[長期金利-インフレ率=ゼロ付近まで許容する緩和的な政策]程度にとどめていたら)アメリカはどうなっていたか、ということ。この場合は・・・こちらの記事等でも述べたように、おそらく同政策前の比較的穏やかな秩序?すなわち市場メカニズムが働いて当時の為替レート1ドル80円程度から同50円、30円・・・というように、一定の年月をかけながらゆっくりと???円高ドル安が進むとともに、これに比例して対外購買力が高まる日本の投資家(金融機関等)がドル建て資産への投資を徐々に進めていく結果、わが国の米国債保有額も2兆ドル、3兆ドル・・・と増えていたでしょう(?)。こうしてジャパンマネーによるサポートが強化される分、アメリカは(この間も対外債務は増加したであろうものの)FRBによる上記QEマネー放出を(いまよりも)ずっと少なくすることができ、よってバブルへの過度依存も避けることができたはずです(?)。それは・・・つまりは、分断深化そして・・・をもたらす(であろう?)この瞬間の「真性インフレ」堕ちをアメリカは免れた、というに等しいこと・・・(?)

 とまあ、いまさらこうした「たられば」は虚しい限り(?)ですが、もし日本が本心でアメリカを支えたいと願っていたのなら・・・上記のようにするべきだった、と考えています。けれど実際は斯くの如し・・・ということは、黒田氏らは・・・

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【黒田緩和はアメリカの「真性インフレ」堕ちに大いに機能した】「21世紀の人」ハルヒコ・クロダ④

2023-04-15 19:31:02 | 日本
前回からの続き)

 前述のように、黒田東彦前総裁のもとで10年間にわたって続けられている日銀の現行金融政策「異次元緩和」(長短金利操作付き量的質的金融緩和)がもたらした為替レートの円安ドル高によって世界一の債権国である日本の対米融資力が激減したことで、アメリカは、この間も増え続けた借金をファイナンスさせるべく、これにかわる新規の貸し手に頼る必要に迫られました

 となれば・・・同国は世界一の対外債務国だから、本来は、対米黒字国すなわちアメリカから渡ったドルを有する国である中国やサウジアラビア(産油国)等に米国債をもっと買ってもらいたいところです・・・が、日本と違って実質的なドルペッグ制を敷く、かの国々らのドル債の購買力には限界がある(1ドルにつきほぼ1ドル分しかない)から、多くは期待できません。そこは、日本のそれが基本的に時間の経過とともに高まっていく(円が対ドルで恒常的に上昇を続ける)のと決定的に違うところです。そうこうしている間にもドルが外国への支払い等でどんどん海外へ流出していきます。かくしてアメリカ国内は深刻なマネー枯渇に陥る・・・寸前に追い込まれました。日本も中国もサウジもダメ?じゃあこの際、誰でもいいからカネ貸してくれ~!

 ・・・で登場するのが「最後の貸し手」・・・となるべき?中銀FRBという次第です。具体的には、ここでFRBは「量的緩和」(QE)を発動させたわけです。そのスゴさについては本ブログでたくさん書いているので、本稿の文脈に関連する面を手短に記しておくと、FRBはQE―――国債等を高値で買い上げてマネーを吐き出すこと―――でおカネを・・・ぶっちゃけ、あらたに刷って足りないところにバラまいた、ということ。であれば当然アメリカのマネー不足は一気に解消し、おカネの値段すなわち金利も大きく下がって各種(とりわけ不動産)投資が喚起されて景気も良くなった、ということで、めでたし、めでたし、となりました・・・(?)

 ・・・って、これこそ「麻薬」・・・ともいうべき禁断の策、すなわち事実上の「財政ファイナンス」(中銀による国債の直接引き受け)というのも何度も指摘のとおり。つまり・・・本来ならば苦労して―――金利を高めに設定して―――外国からマネーを国内へと借り戻して、とやるべきなのを、それがツラい(高金利では返済負担が大きい)からといってFRB(とアメリカ)は安易におカネの増発に走った(頼った)、ということです。これ、ひとたび始めてしまうと、その(金利低下の)心地よさ?になじんでしまい、二度とソコ(低金利状態)から抜けられなくなる・・・ばかりか、もっと気持ちよくなりたい(もっと金利が下がってほしい)となっていくわけです・・・ってヤク中患者が禁断症状に耐えられないのと同じように。そのあげくが、この瞬間のアメリカです。つまり・・・過剰流動性つまりインフレ、それも「真性インフレ」(実質金利[=名目金利-インフレ率]がマイナスの状態)堕ちです。そこまで沈降した(緩和マネーにハマった)以上、かの国はもはや実質利回りのプラス圏に浮上することは二度とないでしょう・・・(?)

 黒田氏らが進めた上記政策は結果として上記「この瞬間のアメリカ」を現出させるうえで大いに機能したといえます。つまり、円安(超低金利)を仕掛けることで、かの国を・・・QEマネー増発に追いやったこと、そして(不動産等投資を煽り立てて)借金バブルの(絶対にソフトランディングができないくらいの)超~高みに押し上げてFRBの「出口戦略」(QE終了を含む金融引き締め)を挫くこと・・・によって、といった具合です・・・

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【黒田緩和は日本の米国債投資にプラスの貢献をちっともしていない…】「21世紀の人」ハルヒコ・クロダ③

2023-04-13 20:36:02 | 日本
前回からの続き)

 前述のように、日銀の総裁職を先週退任された黒田東彦氏らが推進した金融政策「異次元緩和」(長短金利操作付き量的質的金融緩和)の結果、5百数十兆円もの円貨が日銀当座預金に虚しく(何らの投融資等に回ることなく)積み上がるばかりになってしまいました。それはそうでしょう、同政策の前から、市中にはマネーが十分にあり、それらの多くは日本国債の投資に充てられていたときに、もう買うな!と言わんばかりの高値で日銀が国債を買い占めて、さらにマネーを吐き出したところで、その行先は・・・同口座くらいしかない、というものです・・・って、わずかな付利(年0.1%)を得るべく・・・

 で、本稿の文脈でこのことが意味するのは・・・世界一の債権国のマネーが借金国のファイナンスに回らなくなった、つまり、同政策の目論見のとおり為替レートの円安が進んだせいで、ジャパンマネーの外貨換算額の融資力とか購買力が激減したことで、それまでその借り入れに頼っていた外国が資金繰りに苦労するハメになった、というようなことです。当然そのダメージをもっとも食らう国は、日本の対極にある世界一の債務国アメリカになります。かの国は上記政策の直前は日本から100円で約1.25ドル(1ドル80円くらい)の借金ができたのに、いまは同0.77ドル(同130円くらい)と10年前の6割程度しか貸してもらえなくなった、といったことです。

 このあたりは「異次元緩和」開始前と現在の日本米国債保有額(≒日本がアメリカに貸したドル換算額)の比較でも確認ができます。トムソンロイター報道等によると、いまから11年あまり前の2012年1月のわが国の同保有額は1兆790億ドルと過去(当時)最大を記録しています・・・が、それから約11年後の直近(2022年12月)は同1兆763億ドルと、ほとんど同じ(どころか、ほんの少しだが減少)となっています。このことから、この間に行われた日銀の上記政策、そしてその結果として生じた円安モードは、アメリカの財政支援にプラスの貢献をちっともしていないことが分かるわけです。そこは上述したこと―――円の対ドルファイナンス力が大きく下がったこと―――が効いていると推測できるところでしょう。

 もっとも、財政(&国際)収支がプラスに転じるなどしていれば国内にマネーが残るから、アメリカは他国の投資金を呼び込まなくても何とかやっていけます・・・が、実態はその真逆もいいところなのはご存じのとおり。つまり、かの国はこの10年間も従前と同様、「双子の赤字」(財政赤字&貿易赤字)をひたすら増やし続けてきました。であれば、本来なら、その増大ペースに日本のファイナンス額が追いついてきてほしかった・・・のに、日銀&円安のせいで、それがかなわなかった、ということになるので、同政策は、プラスの貢献をしなかった、というより米財政には実質的に非常にネガティブに作用した、とみるべきでしょう・・・

 では、この間、増え続けるこの金額差―――増加一途のアメリカの借金の総額とまったく増えない日本の対米貸付額との差額―――を埋めたのはどこの誰でしょう。それこそ中国・・・ではなくサウジアラビア(産油国)・・・でもない、「最後の貸し手FRBだった、という次第です・・・

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【マネー大国の日本では量的緩和によるマネー散布の必要はなかった…】「21世紀の人」ハルヒコ・クロダ②

2023-04-11 22:10:14 | 日本
前回からの続き)

 前回、日銀の総裁職を退任された黒田東彦氏は、その金融政策「異次元緩和」(長短金利操作付き量的質的金融緩和)で(円安ドル高を誘導することで)一国の経済をいちばんのマイナス成長に導いた人物と認識されるのが客観的なデータからみて正当と書きました。もちろん、それだけでもスゴいですが、「21世紀の人」すなわち今世紀の世界に突出した影響を与えた人となるべきところは、それとは異なる視点から捉えられるべきでしょう。

 ところで、黒田氏らが実行した「異次元緩和」ですが、わが国は本来、そんなことをする必要なんて(同開始の10年前からいまに至るまで)まったくなかったといえます。なぜなら、日銀が同政策によって(国債を高値で買い入れて)マネーを市中に放出せずとも、世界一の純資産国(超過貯蓄国)で同債権国である日本にはそもそもマネーが潤沢に存在するからです。であれば、政府や企業等は、債券(国債、社債等)市場から、あるいは金融機関からの借り入れで必要なおカネを低コスト(低金利)で調達できるし、おカネを貸す側(金融機関や企業や一般国民)だって、対外収支が恒常的な黒字基調のなか、これまた世界一の省エネ省資源技術等がもたらすコストダウン効果の恩恵などもあって、自身らのおカネ(預貯金)が巡り巡ってプラスリターン(実質プラス利回り)をもたらしていることが分かっていたわけです。こうした経済環境だったから、本邦金融は自律的に運営され、よって日銀すなわち金融政策の市場介入は、その自律性が損なわれることのないくらいの微調整程度で十分でした。しいて、ここで政策を登場させるなら金融政策ではなく財政政策でしょう。上記のことからマネーがおのずと政府に集まるため、これをインフラ再生等に充てることで需要創出&国土強靭化を進める、といったことです。

 上記においては、(直接・間接の違いによらず)海外投資も有効だったといえるでしょう。円高トレンドが継続するから、外国の物品や資産等を円建てでは安く手にすることができるとともに、円から見て利回りが低い(為替差損が生じかねない)有価証券等の見極めがし易く、これらを高値掴みする危険性も相対的に小さかったと考えられます。そうしたなかで真に優良な―――ドル換算はもちろん円換算でもプラスの利益をもたらす―――外国企業等の買収等ももっとできた・・・はずです。

 そうしたところで―――マネーが十分すぎるほどに流通している日本において―――さらにマネーを散布する方向に作用する「異次元緩和」が進められたらどうなるか、ですが・・・これまた何度も書いているように、マネーが行き場を失って、結局「ブタ積み」つまり日銀の当座預金に(現時点で5百数十兆円も)虚しく積み上がるばかりとなってしまいました。本稿の文脈でそのあたりの重大な面を指摘すると・・・世界最大の債権国のマネーがそのせいで投資等に向かわなくなった・・・って債務国等に、といったようなことになります。

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【その金融政策で一国の経済を史上もっともマイナスさせた人物…】「21世紀の人」ハルヒコ・クロダ①

2023-04-09 00:02:07 | 日本
 いまから100年後の「Time」誌は、きっとそう命名することでしょう。もっとも、そのとき同誌が存在している可能性は高くはないでしょうが、先々をあれこれ想像すると・・・

 7日、黒田東彦氏が日銀の総裁職を退任されました。その在任期間が2013年4月から2期10年もの長きにわたったこと、そしてこの間に先頭に立って進めた自身らの金融政策「異次元緩和」(長短金利操作付き量的質的金融緩和)がもたらしたことが・・・下述のようにとにかくスゴ過ぎることなどから、これらと絡めた黒田氏に関連するニュースや解説等が多くなっているところです。

 で、そのあたりは、この10年間、本ブログでも書きまくってきていますが、このたびの節目に、あらためて振り返っておきましょうか、その政策と黒田氏についてを・・・

 まずは政策、すなわち異次元緩和ですが、これまたシツコク指摘し続けたようにこれは(長期)金利に働きかける・・・ように見せかけて、事実上、日米金利差を大きくして為替レートの円安ドル高を誘導すること、その一点だけにフォーカスした政策といえるわけです。で、その成果(?)は、同政策前後のGDP(国内総生産)やらNI(国民所得)などの基本的かつ客観的な経済データが示すことから、文字どおり「最『低』最『黒』田」と結論付けられることは、最近のこちらの記事に書いたとおりです。そのあたりのスゴさを雄弁に物語る具体的な数値等をご紹介・・・しようと今回も試みましたが、同政策の支持者各位には申し訳ないのですがスミマセン、やはりどうしてもできません。個人的に目ももつぶれそうになるからです、とりわけ直近の昨年のデータには・・・

 で、つぎに、そんな「最『低』最『黒』」にこの国とわたしたちを導いた黒田氏をどう評価するべきか、ですが・・・当然「その金融政策で一国の経済を史上もっともマイナスさせたセントラルバンカー」といったあたりが正当でしょう。そこは、日本銀行の歴代総裁中(最『低』からみて)ナンバー1(最『高』からみてワースト1)なのはもちろん世界の歴代中央銀行家のなかでも数字のとおりズバ抜け(落ち?)た人物になられましたから。さらに近現代史的にも傑出しているといえますよ、なぜなら氏は、金融政策ひとつでコレやってのけたため。つまり・・・戦争や天災なんぞよりも同政策のポテンシャル(というか破壊力?)のほうがはるかにキョ~レツなことを実証してみせた、それも他国民にではなく自国民に及ぼすことで・・・

 このように見てくると、あらためて黒田東彦氏の偉大さ(?)が分かるというものです。よって今後、様々な分野でそのあたりを広く知らしめる動きが出てくる(べき?)でしょう。たとえば、大学のマクロ経済学・・・はもちろん小学校の「しゃかい」科の教科書に覚えるべき歴史上の人物名として「とくがわいえやす」などと並んで「くろだはるひこ」が登場するとか、氏の出身大学である東京大学に同学のノーベル賞受賞者を凌駕するくらいの誇るべき卒業生として銅像が立つとか、みたいな・・・

 とまあキリがありませんが、そのあたりはあくまでも日本に限定した話。よって上記だけで「黒田東彦」を「21世紀の人」に推挙するのはちょっと・・・といったところでしょう。けれど「ハルヒコ・クロダ」つまり世界・・・史的な視座から捉えると・・・

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