世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
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【豪子会社損失4千億円を計上】日本郵政、海外投資で大損害:いつまで続く本邦経営者の「高値掴み」①

2017-04-29 00:02:11 | 日本

 まあ予想された当然の結果とはいえ、この国の経済人はいつになったらこの手の「高値掴み」をしなくなるのだろう・・・?

 日本郵政は25日、オーストラリアの物流子会社「トール・ホールディングス(Toll Holdings)」で発生した損失4000億円(!)を2017年3月期に計上することを決定しました。これにともなう連結損失は400億円と、同社は2007年の郵政民営化以来、初めての赤字決算をすることになりました。

 同社がトールの買収を発表したのは2015年2月のこと(買収完了は同5月)。その買収価格は約6200億円にも上ります(717.44百万株×約9豪ドル×1豪ドル95.4円[2015/5の平均レート]で計算)。これ、次の2点から、すでにその時点で高値掴みであることが明白だったといえるものでした・・・

 まずはトールの株価です。日本郵政の上記発表までの3年以上にわたって同社の株価は5豪ドル前後を推移していました。要するにそのあたりがマーケットが評価した同社の適正価格だったわけです。それが同発表の直後、当然ながら急騰、最後は1株約9豪ドルと、発表前から70%あまりも上昇しました。それだけ日本郵政はトールを高く買ったということになります・・・

 次は豪ドルです。上記のとおり同買収時のレートは1豪ドル95円前後でした。本ブログで何度も書いているように、2012年末から事実上始まった「アベノミクス」すなわち円安誘導にともない、円は外貨に対して(実質実効レートのような客観的なデータから見て)過度に安くなりました(外貨は過度に高くなりました)。それは豪ドルに対しても同様で、2012年12月頃には1豪ドル約85円あたりだったものがその後は円安豪ドル高に転じ、一時は同100円前後に達するなどの動きを経て買収のタイミングではアベノミクス前に比べて10%ほど豪ドル高になっていた、といった具合です。

 以前こちらの記事に書いたように、豪ドルは資源国通貨としての強みがあるように見えて、実際は経常赤字国の通貨であり、その意味では円に対してはどうしても下落する傾向にあるわけです。実際2008年秋のリーマン・ショック直後には同60円くらいまで下がったことがあり、豪ドル本来の実力からすればその程度(よりも下?)が妥当な価格といえるでしょう(?)。ということで上記95円は為替レート的には相当に割高だったと考えられます。

 以上により、日本郵政は二重の意味で―――当時の市場価格および当時の為替レートの2つの点から見て―――豪トールを高値で掴んでしまったと考えるわけです。逆に当時、トールの株式を高値で売ったオージーたちはさぞかし「してやったり!」だったことでしょう・・・

続く

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【米国は口撃だけでリアル対北戦争はしない?】北朝鮮有事で為替は円高?円安?⑤

2017-04-27 00:03:46 | 日本

前回からの続き)

 本稿冒頭でアメリカの原子力空母カールヴィンソンが朝鮮半島付近に展開、なんて書きましたが、先週末の報道によるとじつはそうではなく、北朝鮮が軍事パレードをやっていたとき、同空母は逆方向のインド洋に向けて南下していたとのこと・・・。豪海軍との演習のためだったそうで、さすがに現在はこちらに向かっているらしい(?)のですが・・・

 ・・・とまあ、事態が緊迫しているというのに、少なくともこの空母打撃群に限れば一見、のんきな印象です。もっともアメリカには在韓米軍とか原潜部隊など、いくつもの戦術オプションがあるので、べつにこれら艦船の到着が遅れても、対北作戦に大きな支障はないのかもしれないし、そもそもこれ、相手を油断させようという作戦の一環かもしれないけれど・・・(?)

 本稿一回目に綴ったこと、および上記をふまえた個人的な推測ですが、アメリカ・・・のドナルド・トランプ政権には北朝鮮に対する軍事攻撃という強硬プランは実質的には無いのではないか。一応、大統領自身が戦闘も辞さないかのようなツィートをしてみたり、同盟関係にある日韓両国に副大統領を派遣し、強気な発言をさせてみたりしてはいますが、その本心は、わがステイツができるのは「口」撃まで、あとは中国に何とかしてもらいたい、ということではないか・・・

 こちらの記事で書いたとおり、アメリカはかなり前から大規模な戦争を遂行するだけの国力を喪失しています。マーケットはそれをとっくに見抜いているから、先日のシリアへの巡航ミサイル攻撃程度の小さな(?)武力行使に対してもドル売りで応えたわけです。もちろん、日韓の核武装を容認するほど合理的な(?)考えをお持ちのトランプ大統領がこれに気付かないはずはありません。そのあたりは上記艦隊の「のんびり」とした動きにも表れているように思えます。「戦争はしない(正確には、できない)」―――日本は、アメリカそしてトランプ政権のこの大原則を踏まえた外交戦略で北朝鮮リスクの低減を図る必要がありますよ・・・

 それでも万が一、この瞬間に米朝間で戦争が起こったら、高い確率でアメリカとドルは激しく動揺しそうです・・・が、北朝鮮と金正恩体制はず~っと悲惨で、滅亡は免れないでしょう。中国はそのとき、北朝鮮と一緒にアメリカと戦うことは絶対にしないだろうし、だからこそおそらく北朝鮮に対米韓軍事攻撃の即時中止を強く求めるはず。それでもかの国が言うことを聞かず、ミサイルとか砲弾などを韓国等に向けてぶっ放したら・・・中国は最終的に北朝鮮に対する重油の供給停止に踏み切るでしょう(?)。これで北朝鮮はジ・エンド、あとは米韓両軍の猛爆を食らって・・・みたいな展開を予想します。あくまでも万一の場合ですが・・・

 なお、こうした究極のケースでも、先述した理由から、為替は円高ドル安に動きますからね、念のため・・・(投資等のご判断は自己責任でお願いします)。

(「北朝鮮有事で為替は円高?円安?」おわり)

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【震災直後の数日間、戦慄したのは米国の方だった・・・】北朝鮮有事で為替は円高?円安?④

2017-04-25 00:03:49 | 日本

前回からの続き)

 前回、2011年3月11日の東日本大震災の発生から数日間で急速な円高ドル安が進んだと書きました。その具体的な経緯は次のとおりです。

 同日前まではドル円レートはおおむね1ドル82円前後を推移していました。これが発災からしばらくすると円高ドル安に向かい始めます。劇的だったのが17日。この日、日本時間の未明に同80円を割り込むと一気に3円以上も円高が進み、早朝にはこの時点での史上最高値76.25円をつけ、その後はドルが急反発して79円台に戻るという大荒れの展開になりました。この乱高下を受けた翌日の18日、とうとうG7(先進7か国)は10年半ぶりとなる協調為替介入の実施に踏み切ります。これが効いたのかドル円は81円台を回復して・・・といったあたりが上記数日間のおおまかな流れになります。

 ここで注目するべきは18日の協調介入。これ、日本人の多くは、円高リスクすなわち急加速する円高がもたらすデフレ圧力から日本を救うために行われたものと認識してはいないでしょうか。とりわけ現在の円安万歳の目線から見ればまさにそのとおりで、協調介入によってそれ以上の円高進行を阻止してくれたG7の通貨当局よ、ありがとう!みたいに思い返す方も少なくないかと推察します。

 でも、わたしの見方はまったく違います。このときのG7による協調介入は日本・・・ではなくアメリカ、つまり米ドルを救済するために実施されたものと解釈しています。それはこういうことです。先述のとおり当時、多くの日本国民は震災復興等の用途に充てる円貨を調達するためにドル資産を売りつつありました。これ、アメリカにとっては「ブラック・スワン」―――予想もしなかった、ありえない展開です。他国とは違って潤沢な貯蓄があるうえ、核の傘」をアメリカに提供してもらっていることの見返りに「ドルを買ったら絶対に手放さない」とみなされていた日本人が突如、大挙売り出したわけですから。

 「あの日本がドルを本気で売り始めた!」当然これは世界中の投資家を大いに動揺させます。原発事故の制御に失敗して広範な放射能汚染に見舞われたりしたら、日本人はさらに円貨を確保するべくドル資産を売り崩すだろう。そうなったらドルは暴落必至だから、その前にドルを売り逃げよう!と慌てて動いた投資家も少なくなかったはず。で、このままこの事態を放置したら肝心のドル体制自体が崩壊しかねない・・・となってG7は円売り、という名目の実質的なドル買い支えの協調介入をしてドル不安を解消させようとした―――といったあたりが真相ではなかったか・・・。でなければ、日本単独の円売り介入だけで十分だったはずでしょう?

 ・・・あのとき日本は原子燃料のメルトダウンに、そして金融マーケットは・・・ドルのメルトダウンに怯えました。日本はメルトダウンこそ防げなかったものの、幸いなことに貴重な国土の多くを失うような破局には至りませんでした。そしてドルもまたメルトダウンを免れました・・・が、図らずも露顕してしまったものがあります。それは、「日本こそがドルの信認すなわちアメリカの覇権そのものを支えている」というまぎれもない事実。上記、戦慄の数日間で世界、そして誰よりもアメリカが思い知ったのは、このことだったと考えています。

続く

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【原発事故でも国と円を信じた人々の愛国心】北朝鮮有事で為替は円高?円安?③

2017-04-23 00:01:25 | 日本

前回からの続き)

 ご存知のとおり、2011年3月11日に発生した超巨大地震とその後の大津波で東電・福島第一原発は原子炉を冷やすための電源を全喪失。その結果、わずかの間に3つの原子炉は次々にメルトダウンに陥りました。ドロドロに溶けた高温の核燃料は原子炉建屋の床を突き抜けて地下水に接触、水蒸気爆発が起こってすべてを吹き飛ばし、プルトニウムをはじめとする猛毒の放射性物質が外部環境に広くばらまかれ、福島県どころか東京を中心とする東日本一帯は永遠に人の住めない不毛の地に・・・

 ・・・神さまに守られている―――とある事故報告書のなかに関係者のこんなつぶやきがあったことを記憶しています。ホント、いま東京2020年五輪を開催できるほど無事であるのが神の御業のおかげに思えるくらい、あの時―――とくに発災からの数日間は、わが国戦後最大の危機だったといえるでしょう。こちらの記事でご紹介した「東京ブラックアウト」によれば、当時の政府内には、東京を放棄せざるを得なくなった場合は九州の福岡を日本の新首都にする、なんてプランさえあったそうですから・・・

 これほどの危機―――国土の1/3が放射能汚染で誰も住めなくなるかもしれなくなるほどの危機に直面すれば、少なからぬ人々(とくに首都圏にいる人々)が日本を見限って外国への避難や移住を真剣に考えるだろう。となれば、彼ら彼女らは外国で使えるドルを買おうと円を一斉に売るために円安ドル高が急速に進行するはずだ―――こうなってもおかしくはなかった・・・

 ところが実際に起こったのは・・・これとは真逆の、激しい円高ドル安でした。いったい、なぜ?―――その理由は、わが国民が外国資産を売って円に換えたため。直接的には保険会社が保険金の支払いに充てる円を調達するためにこれらを売却した影響等が大きいと思われます。でも、その本質は、大半の日本人が、国家危急の時にマネーと一緒に外へ逃げようとするのではなく、この国に踏みとどまって復興を成し遂げるという道を選び、これに必要な円貨を得るために貯蓄の一部として持っていた外貨を売ったということだったと理解しています。わたしはこのあたりに日本人の真の愛国心強さを見るものです。

 以上から、本稿冒頭で、北朝鮮有事で円高ドル安になる、と記したわけがお分かりいただけるかと思います。東日本大震災当時のわたしたちは、存亡の瀬戸際にあってもこの国と円を信じました。であれば、これよりずっと小さな北朝鮮リスクごときで円が売られるわけがない。むしろ事態が悪化すればするほど国民は結束し、円貨を日本に戻そうとしてドルを売るから、いっそうの円高ドル安になるでしょう。もっとも・・・そこまで極端なことになる前に、北朝鮮および金正恩体制は無慈悲にも瓦解しているでしょうが・・・

続く

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【北朝鮮リスク程度では円は揺るぎようがない】北朝鮮有事で為替は円高?円安?②

2017-04-21 00:01:30 | 日本

前回からの続き)

 北朝鮮有事の際、為替レートは円高ドル安になると予想します。「えっ、このとき日本は北朝鮮の無慈悲なミサイル攻撃を受けるおそれがあるから円は売られてドルが買われ、円安ドル高になるのでは?」―――たしかにそんな気もしてきます。これによって日本が何らかのダメージを被る可能性もゼロではありませんからね。似たような意味で、韓国の場合は、北朝鮮との間で武力衝突が起こったら、この見立てのとおりウォン安ドル高になるでしょう。ですが、日本・・・の円は、やはりドルに対して高くなるはずです。その最大の理由は、マーケットがリスクオフ・モードとなって株が売られるいっぽう、円は逆に買われるため

 現在の日本株式市場では、株価が上がるときは「円安ドル高」、下がるときは「円高ドル安」というように、株価と円ドルとが逆相関の関係にあります。そのわけはこちらの記事に書いたとおりです。手短にいえば、日本株売買の主役である外国人が円キャリートレードつまり投資元金の円貨を借りたり返したりすることで円安や円高がもたらされているということ。したがって、いまの円ドルレートはべつに日米のファンダメンタルズを正しく反映しているとはいえません。

 ここで、米朝間で戦闘勃発!なんてことになったら、当たり前ですが市場はリスク回避一色となり、リスク資産である日本株は外国人投資家によって一斉に売られることになります。その際に彼ら彼女らは株投資用に借りていた円を返済するから市場では円に対してドルが過剰となり、自ずと円高ドル安になるというわけ。こうして、すぐ近くの国から戦争の火の粉が飛んでくるほどの危険な状態になるにもかかわらず、わが国の通貨であるドルに対して上昇し、あたかも「有事の円買い」とでもいうべき現象が引き起こされることになります。

 以上から分かるのは、いまの円ドルレートの変動は、上記外国人とか為替ディーラーといった一握りの市場参加者によってもたらされる表層的な出来事に過ぎないということ。換言すれば、本当の円売り・・・日本人一般の預貯金者すなわち日本国債の投資家が雪崩を打つように円を売ってドルを買い上げるような非常事態は、北朝鮮の上記攻撃ぐらいでは―――巨大隕石の落下で日本列島沈没、みたいな正真正銘の破局でもない限り―――まず、起こらない、ということです。

 ・・・6年ほど前、そんなことを実際に感じさせられる局面がありました。東日本大震災―――2011年3月11日からの数日間です。ご存知のように、その時の日本は・・・文字どおり国家存亡のふちに立たされていたわけです・・・

続く

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【米朝武力衝突の可能性はゼロに近い?】北朝鮮有事で為替は円高?円安?①

2017-04-19 00:00:12 | 日本

 結論から先に書けば・・・「円高ドル安」で99%決まりです(?)。本稿ではそのあたりについて考えることを綴ってみたいと思います。

 ご存知のとおり、ミサイル開発とその発射実験等を通じた北朝鮮の挑発行為のエスカレートで、これに安保上の危機感を募らせるアメリカと同国の関係が緊迫化しています。「もし中国がやろうとしないのなら、中国抜きでわれわれアメリカが問題を解決するまでだ!」(If not, we will solve the problem without them! U.S.A.)。11日のツイッターでアメリカのドナルド・トランプ大統領はこうつぶやき、中国が北朝鮮の暴走を食い止められない場合は米軍による単独武力行使も辞さないとの強い姿勢を示しました。実際にアメリカは原子力空母カールヴィンソンを中心とする艦隊を朝鮮半島近海に展開し、かの国を威圧している最中ですが・・・

 もっともこれらの米戦力が北朝鮮と軍事衝突する可能性はほとんどないでしょう。これ、アメリカにとっても北朝鮮にとっても、さらに中国にとってもあまりに危険なことだから。万一米朝両国が戦争状態に入ったら、両国だけでなくアメリカと同盟関係にある韓国に巨大な人的物的被害が発生することは避けられないし、日本にだって毒ガス(?)ミサイルが飛んでくるかもわからない(?)。北朝鮮は米軍の猛烈な攻撃を食らって金正恩体制そして共産国家の崩壊は必至。そして中国には・・・大量の難民が国境を越えて殺到・・・みたいな悲惨な事態が想定されるため、少なくとも現時点ではアメリカを含む誰もが軍事オプションを選択しようとはしないでしょう。

 ですが、中長期的には未知数です。北朝鮮は・・・ミサイルの性能をさらに向上させて、米本土のワシントンとかN.Y.に正確に飛んでいくような核搭載の大陸間弾道ミサイルを配備したりするかもしれない。そして米英ロのような、核ミサイル発射可能な潜水艦を広く大海に展開する可能性もあり、その場合はさすがのアメリカもそうやすやすとこれらを捕捉できないわけで・・・。となれば将来のある時点で、つまりこうしたリスクが現実化する直前に、これらを取り除くべくアメリカは軍事力行使に踏み切るかもしれない・・・

 ・・・とまあ、このあたりは何とも不透明で先が読みにくいところですが(って、個人的には、それほどの大規模な戦略的システムを作り上げる前に北朝鮮の現体制は崩壊、あるいは米中ロ等の圧力を受けて野望を断念、のいずれか、のような気がするが・・・)、距離的に近い国ということもあって、わたしたちとしては当面、北朝鮮の動きに警戒を怠るわけにはいきません。そして、これに関して注視すべきポイントのなかには、日本経済そしてわたしたちの生活に大きな影響を与える為替レートも入ってくるわけです。つまり・・・北朝鮮有事!の際、は・・・冒頭のとおり、対ドルで強くなる―――そう予想する理由などを次回以降、綴っていきたいと思います。

続く

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【インフレターゲットやめても何ら問題なし!】日銀の次期総裁に推薦したい独連銀ワイトマン氏⑤

2017-04-17 00:03:20 | 日本

前回からの続き)

 以上、来年で任期を終える黒田東彦・現日銀総裁の後継者にふさわしいと個人的に考える方として、白川方明前総裁、そして一番の推しメンとしてドイツ連邦銀行のイェンス・ワイトマン総裁を挙げてみました。

 わたしは先述のとおり、そして以前から書いているように、日本はインフレターゲット政策をさっさとキャンセルし、その実現手段となっている日銀の現行の金融政策「異次元緩和」の手仕舞いに一刻も早く着手するべきだと考えています。これはいまの「政治」つまり「アベノミクス」に背を向けることであり、日本中が円安インフレ万歳一色に染まる中、中銀の独立性を盾にそれを敢行するには並外れた腕力と度胸が求められるところ。そのあたりは同じ日本人より、周囲とのしがらみが少ない外国人の方がやり易そう、という点と、「悪いインフレ」抑止への強い意志と姿勢を隠そうとしない唯一の(?)セントラルバンカーという点で、上記ワイトマン氏がベストの人選と考える次第です。

 とまあ、いつもながらの(?)極論を綴ってきましたが、実際にこの御二方のどちらかが次の日銀総裁になる可能性はほぼゼロでしょう。というのも万一、わたしの願いがかなって(?)ワイトマン氏が選ばれたりしたら、そのとたんに上記のとおりアベノミクスは事実上、止めるしかなくなるから。具体的には・・・「円高株安」で一枚看板「カブノミクス」(私的造語:取り柄は「株のみ」)が崩壊するほか、円高デフレ再来で輸入物価下落すなわち電気代やガソリン代、飼料とか小麦等の価格が大きく下がってインフレ2%達成はとても望めなくなるわけです・・・

 ・・・ん? このとき日本株投資で損するのは多くの場合、高値掴みした外国人投資家だろうし、円建て原材料価格の低下は日本の個人消費や実質所得の回復に大いにプラス・・・ということで、それほど問題ではないと思いますけれどね、アベノミクスの幕引きを図っても・・・

(「日銀の次期総裁に推薦したい独連銀ワイトマン氏」おわり)

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【ワイトマン氏なら円と国民生活の守護者になれる】日銀の次期総裁に推薦したい独連銀ワイトマン氏④

2017-04-15 00:02:11 | 日本

前回からの続き)

 個人的には、わが国の政財官の一定以上の職権がともなうポストには、原則として外国人は就かせるべきではないと考えています。けっしてすべてではないものの、一部には日本ではなく自分たちの母国(つまり日本人から見た外国)のほうを利する意思決定とアクションを取ることで、結果としてわが国の国益に損害を与えるような人が入り込まないとも限らないと考えるためです。その意味で、総裁職を含む日銀の政策審議委員は全員が日本人であって当然、なぜならそうでないと―――同委員に外国人が入ると―――特定の外国をアシストするために日本の物価や金融システムを危機に陥れるような金融政策が意識的に実行させられかねないからですが・・・

 ・・・いまの黒田東彦・日銀総裁らはまるでそんな「一部の外国人」のように思えてなりません。つまり(一部を除けば)各委員は「結果としてわが国の国益に損害を与える」ような政策を推進しているのではないか、ということ。それこそが「悪いインフレ」です。

 まあ黒田総裁が、どこかの外国を利することを内心で意図しているとは思いたくはありませんが、その政策スタンスは日本人でありながら上述「外国人的」であるといえるでしょう(?)。繰り返しますが、日本経済とその金融システムを危険にさらす悪性インフレを起こそうと躍起になっておられるわけですから。したがって、黒田氏の意に反して(?)これが比較的軽微な段階にとどまっている現状は日本人にとっては僥倖以外の何ものでもないと思っています。

 上記の文脈に沿って述べるならば前回、次期の日銀総裁に推薦したイェンス・ワイトマン現ドイツ連邦銀行総裁は、黒田氏とは真逆すなわち外国人でありながら「日本人的」な政策―――「悪いインフレ」を起こさないという日本にふさわしい政策運営を期待できる方といえるでしょう。ECBという周囲がハト派、要するにインフレ指向の理事ばかりの中銀にあって、ただ一人(?)敢然とこのスタンスに異を唱え、通貨「ユーロ」の信認を保つべく、その金融緩和策の予定通りの終了を訴えるというタカ派的な姿勢も好ましいところ(?)。そんな同氏であれば、円安インフレ万歳派しかいない(?)この国でもけっして持論を曲げることなく、セントラルバンカーとしてのプライドにかけて「」と国民(日本人)生活の守護者になってくれるだろう、と想像するわけです。前回、同氏に期待できるのは腕力、と書いたのはそういう意味です。

 以上のことからワイトマン氏が外国人だから、という理由で次の日銀総裁にはなり得ない、ということにはならないと思います。米FRBのスタンレー・フィッシャー副議長(前イスラエル銀行総裁、イスラエル人)とか英BOEのマーク・カーニー総裁(前カナダ銀行総裁、カナダ人)のように、最近では中銀の要職を他国籍の方が務めるケースが出てきているのもその理由のひとつ。ただし日銀総裁の場合はFRB,BOE,ECB出身者などはNGで、連銀キャリアを持つ外国人(≒ドイツ人)だけがOKでしょう。というのも連銀・・・のドイツのみが主要国で唯一、日本に近い経済状態(経常黒字国であることなど)にあるためです。つまり・・・ドイツや日本にとっては、インフレターゲットなんて百害あって一利なし、なんですってば・・・(?)

続く

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【インフレファイターの連銀DNAを受け継ぐワイトマン氏】日銀の次期総裁に推薦したい独連銀ワイトマン氏③

2017-04-13 00:02:45 | 日本

前回からの続き)

 本稿一回目で、来春で任期を終える黒田東彦・現日銀総裁の後継者は、「悪いインフレ」を起こさないような金融政策を実行すると期待される人が望ましい、と書きました。その意味で前回ご紹介した白川方明・前総裁は最適任のお一人と考えています。

 で、上記候補として次に推薦したいのは、イェンス・ワイトマン(Jens Weidmann)氏。ドイツの中銀であるドイツ連邦銀行(独連銀:ブンデスバンク)の現総裁であり、欧州中央銀行(ECB)の理事会メンバーでもあります。

 ワイトマン氏が次期の日銀総裁にふさわしいと考える理由は、冒頭に記したことをそのとおり実行できる腕力をお持ちの方とお見受けするからです。ご存知のように、同氏が総裁を務める独連銀はインフレファイターの異名が示すとおり、悪いインフレつまり長期金利のコントロールが困難になるリスクを早い段階から感知し、これを政策的に徹底排除することで通貨の信認を守ってきました。いうまでもなくこのスタンスは、第一次大戦後のドイツ経済が通貨当局の無節操な通貨供給策で巻き起こされたハイパーインフレによって壊滅、ナチスの台頭を許したとの後悔と反省の念に基づくもの。これ、前述の白川前総裁も講演等で指摘している、セントラルバンカーならば誰もが第一に肝に銘じるべき中銀史の苦い教訓です。

 さて、そんな独連銀ですが・・・(おそらくすべての独連銀の役職員にとっては)残念なことに(?)現在はインフレファイターとして振る舞うことができなくなっています。金融政策の最終的な決定権を自身の上位組織であるECBに握られているためです。まあたしかに独連銀はEUの盟主国ドイツの中銀で、ECB内での影響力こそ大きいですが、ECBが数多くの国々の経済事情に配慮する立場にある以上、その政策の内容はおのずとEU全体を平均したものになりがちです。

 で、EUはいまどんな具合か、といえば、ギリシャイタリアなど、金融危機勃発寸前の加盟国が目白押し(?)。ということでECBはいま、これらアブナイ国々のほうをサポートする必要からどうしても緩和的な政策を採用せざるを得ない状況にあるわけです。実際にECBは昨年12月の理事会で、今年3月までとしていたECB版QE(量的緩和策)といえる「資産購入プログラム」の期限を同12月まで延長することを決めました。さらにイタリア人のマリオ・ドラギECB総裁は、テーパリング(QE縮小)は話題にならなかった、と述べることで、この緩和策が12月以降もさらに続く可能性をほのめかしています(?)。

 このECBの政策スタンスに異を唱えたのが独連銀のワイトマン氏です。報道によると同氏はこの理事会で本プログラムの延長に反対を表明したとのことです・・・って、ドラギ氏の上記説明と食い違っていますが・・・。まあともかくそのあたりにも、ワイトマン氏の安易に周囲と妥協しないインフレファイターとしてのブレのない信念を感じるわけです。

続く

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【金融政策の限界を知っていた白川前日銀総裁】日銀の次期総裁に推薦したい独連銀ワイトマン氏②

2017-04-11 00:02:57 | 日本

前回からの続き)

 前回、黒田東彦・現日銀総裁の後継者は、コストプッシュ型の「悪いインフレ」を起こさないような金融政策を実行できる人が望ましいと書きました。で、実際に候補者になり得るのかどうかは別にして、これに当てはまると個人的に考える方を以下に上げてみたいと思います。

 まずは、白川方明・前日銀総裁(任期:2008/4~2013/3)。白川氏は次の点で上記に該当すると思っています。第一は、同氏らが実施した政策が「ゼロ金利政策」までにとどまったこと。これは日銀オペ等を通じて名目上の金利を引き下げ、これと予想インフレ率との差し引きで求められる実質金利をゼロに持っていくというもので、単純にいうと、現在の1万円相当の価値が1年後も実質的には同じ(1万円+預貯金金利-インフレ率=1万円)に保たれる、といったところです。

 で、どうして「ゼロ金利」が適切なのか、の理由ですが、これが金融政策でできる限界ラインと考えるから。もしこれがマイナス金利、すなわち実質金利(=名目金利-インフレ率)<0ならば、1万円+預貯金金利-インフレ率<1万円となって、いまの1万円の価値が1年後には目減りしてしまいます。これでは国民大多数の資産価値や生活レベルが下がるリスクが出てくるから、中銀としては実質金利ゼロを超えて実質マイナスには踏み出すべきではない。かといって超過貯蓄が日本国債に集中し過ぎてしまうのはちょっと・・・なので投資を促す措置も講じたい―――ということで、これら諸般の経済事情をバランスして打ち出されたのがゼロ金利政策だったと理解しています。「中銀(金融政策)ができることはここまで。あとは『政治』(財政出動、規制緩和策など)にお任せします」―――おそらく白川前総裁および当時の政策委員の方々はこのような思いだったのでしょう。そしてそれは適切な判断だったと考えています。

 白川氏が日銀総裁にふさわしいと考えることの二点目は、金融政策で長期金利の誘導をすることは極めて困難だという認識をお持ちだったと推察されること。同氏は講演で、中銀による大量の通貨供給の帰結がコントロール不能のインフレになるのは歴史が教えるところ、といった趣旨のことを述べています。これはつまり、いったん長期金利が上がり出したら中銀には制御ができません、という意味。だからこそ白川氏は、そんな危険なインフレを招きかねない過度のマネー供給策を実施すべきではないと暗に中銀を戒めているわけです。

 上記2点は実質的には同じで、いずれも白川氏の「悪いインフレ」への警戒感とそれを起こしてはならないという決意を感じさせるものです。これこそ「通貨の番人」たるセントラルバンカーに不可欠な資質、ということで上述のとおり「悪いインフレ」をネガティブ視するわたしは白川氏の日銀総裁への復職を望むわけです。ちなみに白川氏は今年で68歳、現総裁の黒田氏は同73歳ですので、年齢的にも再登板は十分に可能と思われますが・・・

続く

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