(前回からの続き)
よく言われるように、通貨「ユーロ」の最大の問題点は、その発行体および金融政策こそECB(欧州中央銀行)に一本化させたのに、財政とか税制など、これらと不可分に連動する重要政策のほうはユーロを使用する各国間でバラバラのままの状態で導入されたことでしょう。これまで綴ってきたユーロ圏のゴタゴタは、この根源的な問題点を解消しなければ如何ともし難く、遅かれ早かれ統一通貨としてのユーロの崩壊は必然のように思えます。
やはりユーロを救うには・・・ユーロ圏が現在の独立国家の連合体からさらに進化し、お互いの国境をなくして「ユーロ連邦共和国」みたいな一つの国家となり、金融・財政政策の統合を図るしかない、と思います。そうすれば、ドイツ「地方」の税収がユーロ版地方交付税のシステムを通じてギリシャ「地方」の公共事業に使われる、みたいな感じで、域内のさまざまな不均衡は(多少は)是正される方向に機能し、ユーロのほうも上記問題点が解消され、ふたたび市場の信認を得て強い通貨となっていくでしょう。というのは、現時点でのユーロ圏の国々の経常収支をトータルするとおおむね黒字になるからです。
しかし・・・いまのユーロ圏を見ていると、ユーロ誕生時の「国や民族や文化の違いを超えて、みんなで一つの国家になろう!」といった「汎欧州主義」的な高揚感はすっかり失われ、ふたたび「ユーロ・ペシミズム」(欧州経済の日米等に対する回復の遅れや地盤沈下を嘆くこと)が頭をもたげてきたように思えてなりません・・・。先述のとおり、ギリシャに対するいらだちとか、ドイツに対する反発の感情など、お互いへの不信感ばかりが高まっている印象があります。それにベルギー、スペイン、イタリアなど、狭い国家内でさえ特定の民族とか地域があちこちで独立したがっているし・・・それでいて通貨は引き続きユーロを使う!なんて皆さん(虫のいいことを?)言っていますからね・・・。こんな様子ではやはりユーロ圏の統一は無理だし、共通通貨ユーロがマトモに機能する素地はできそうもないな、と悲観(?)しています。であれば、これまで書いてきたように、ユーロの行く先は見ていますね・・・。
通貨と国々の統合ははかない夢に終わり、停滞と分離と不信が欧州を覆う---せめてこれが国家間の激しい対立や戦争(!?)に至ることがないよう、祈るばかりです・・・。