世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
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【世界が頼るジャパンマネー】金融危機:「収束」した日本と「これから」の世界⑨

2013-07-29 00:00:11 | 世界共通

(前回からの続き)

 本稿も長くなってきたので結論を急ぎます。

 結局、安倍政権・日銀は、こうした状況に日本の金融業界を追い込んで、対米証券投資をさせたいのだろう、と推測しています。なぜなら、出口戦略」つまりQE縮小・終了をアメリカが無難に進める(債券価格急落とか金利の急上昇を引き起こさない)ためには、ジャパンマネーによる米国債などの買い支えがたいへん効果的だからです(そうすることでアメリカの日本に対する心証を良くしようということ)。

 本稿⑧で、日銀が日本国債を買い占めてわが国の金融機関に買わせないようにしている、と書きましたが、その続きはこんな感じ―――「だから米国債を買いなさい(by 日銀)」。もうこうなってくると経済合理性を超えた安全保障論の世界ですね、TPPと同じく・・・。

 さて、そんな思惑のとおり、日本の金融界は対米投資を増やすでしょうか。本稿⑥で(ちょっぴり皮肉を交えて)書いたように、アベノミクス序盤においては政府・日銀の狙いとは逆に金融各社はドル資産を手放したようですが、この先、円安ドル高が長引くようなら、ドル建て債券投資の妙味も高まるかもしれません・・・。

 まあそれもQEの今後次第でしょう。ただし「QE縮小なら債券価格下落リスクあり」「QE継続ならドル安リスクあり」といった具合で、どのみちドル資産買いには十分なリスクマネジメントが必要な感じがします(もっともユーロとか新興国通貨建ての資産よりは安全でしょうが・・・)。

 ということで、世界中のどの銀行よりも健全なバランスシートを整えたわが国の金融機関が今後、米国債をはじめとする外貨建て資産投資にどの程度乗り出すのか―――じつは日本人よりも、金融政策や資金繰りなどの関係でジャパンマネーを借り入れたい欧米諸国や新興国の金融関係者のほうが、この点にはるかに強い関心を寄せているような気がしています。

 それほど、わたしたち日本人のマネー力は強い―――そう思っています。

(「金融危機:『収束』した日本と『これから』の世界」おわり)


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【立ちはだかるアベノミクス】金融危機:「収束」した日本と「これから」の世界⑧

2013-07-27 00:03:12 | 世界共通

(前回からの続き)

 ようやく懸案の不良債権問題にケリをつけ、外国資産の価値低下リスクへの備えを固め、さあいよいよこれから!といった感じの日本の金融界ですが、ここへきて不安材料に直面しています。金融各社の財務を支える日本国債市場の動揺です。そしてその元凶となっているのが、(お行儀の悪い?)海外のヘッジファンドなどではなく、よりによって金融システムの守護者であるべきはずの日銀!だったりするわけですから弱ったものです・・・。

 現在の経済社会にあって金利の安定的なコントロールは最重要のファクターであるはず。そのため金利動向に大きな影響を与える国債市場は本来は穏やかに運営されてしかるべきです。それが黒田日銀「異次元緩和」のせいでマーケットは一気にアクティブになり、国債価格および長期金利が乱高下しました。「民間には買わせないもんね!」とばかりに新規発行国債のじつに70%を日銀が買おうというのですから、債券市場のそれまでの秩序が乱れてドタバタが起こるのは当然でしょう。

 本稿で述べてきたような不透明な世界経済の情勢から判断すれば、現時点で日本国債が大きく売られる心配はなく、したがって価格下落のリスクも金利上昇リスクも低いはず。つまり日銀が国債を買い支える必要性は乏しいということです。にもかかわらず円安誘導による外需狙い」でベースマネー拡大に躍起になるあまり、日銀は債券市場に過剰介入していらぬ混乱を引き起こし、中央銀行の目的である「金融システムの安定」を危険にさらしているわけで、このへんには日本の金融界も大いに当惑していることでしょう。

 銀行の融資拡大に水を差すという点では、金融政策を含む「アベノミクス」がトータルで威力を発揮します。

 今後の高い経済成長に向け、わが国のGDPの約6割を占める個人消費の活性化が強く求められるところですが、こともあろうにアベノミクスはこれに大きく逆行し、国民の消費活動を押さえ込もうとしています。実際、以前から指摘しているアベノミクス「3本の矢」―――円安誘導による輸入インフレ、物価高にともなう勤労者の実質賃金の引き下げ(年金受給者の実質受給額引き下げも然り)、景気回復ペースに合致しない金利上昇―――が庶民の日常生活に次々に襲いかかっているところ。そしていよいよ登場しそうな「とどめの矢」消費税増税で、わが国の個人消費は凍りつくとともに、高い水準にあった株価も射落とされ、アベノミクス唯一の頼みであった株の資産効果までも縮小し、日本経済は「消費税増税の崖」からデフレの奈落へ・・・

 ・・・といったように見てくると、アベノミクスのもとで肝心の個人消費の高まりは期待薄であることが想像されます(さすがにちょっと悲観的過ぎかな? 消費増税→円高→輸入インフレ緩和が期待?できそうだし)。おそらく個人向けの住宅や自動車などの販売は低迷し、銀行の住宅ローン等の件数や金額もなかなか増えていかないでしょう。

 このように個人消費が盛り上がりを欠けば、企業の設備投資意欲も高まることはないと予想しています。円安で外需増加が期待できる輸出企業だって、すでに生産基盤の国内外への分散配置は完了済み。よって、いまさら国内拠点を強化しようというところはそれほど出てこないでしょう。それに円安による原材料価格や電気・ガス料金等の値上がりで国内の生産コストは急騰していますし・・・。

 というわけで、わが国の銀行経営者としては、せっかく財務基盤が強化されたにもかかわらず、アベノミクスのおかげで個人も企業もお金を使わないから貸し出しは増えない、一方でマーケットが日銀にかき回されているために日本国債は買いづらい・・・じゃあ、お客さまから預かった資金をどうやって運用したらいいんだ? と言いたいところではないでしょうか。

(続く)


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【日の丸金融の時代始まる】金融危機:「収束」した日本と「これから」の世界⑦

2013-07-25 00:01:42 | 世界共通

(前回からの続き)

 前回書いたように、どうやらわが国の銀行や保険会社は、すでに(つまり、米FRBのQE縮小開始で米国債の価格が本格的に低下する前に)かなりの額の米国債を売却済みのもようです。米国債よりもはるかに危険な欧州PIIGS諸国関連債券の所有額もたいしたことはなさそうです。現に、本邦メガバンクのHPをみると、いかに自社はこれらの所有が少ないか、そして管理可能な水準に保っているか、などについて、詳細なデータと合わせて実にていねいに説明されています。

 以上のように、日本の金融機関は、世界中にばら撒かれ、そして世界中の銀行が価値低下におびえる外貨建て資産(米国債、不動産担保証券、欧州諸国債、新興国投信・・・などなど)をそれほど持っていないか、持っていたとしてもそれらが焦げ付いた場合の引当をそれなりに積んでいるものと推定されます。本稿前段で記したとおり、不動産バブル破裂の後遺症であった不良債権処理も完了しています。加えて言えば、怪しいデリバティブにも手を出していないでしょう。

 こうしてみると、世界の金融情勢が不透明感を増すごとに(どこかの大手外銀が経営危機に陥ったり、何らかの外貨建て資産の価値が揺らぐたびに)、日本の銀行や保険会社の相対的な経営の堅実さ、そして財務基盤の強さが際立っていくように感じられます(と書いていたら、イギリス政府が5年前にRBS[ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド:イギリスの大銀行]に投入した公的資金455億ポンド[約7兆円弱]の回収が同社の経営不振と株価低迷で困難になっている、と23日付のブルームバーグが報じました・・・)。

 このときよくリスクとして指摘されるのが、これら本邦金融機関が保有する多額の日本国債の価格低下と金利の上昇です。

 たしかに両者とも危険な現象ではありますが、冷静に考えれば、日本国債の危機よりも上述の外国資産の価値下落リスクが発生する確率のほうがはるかに高いのではないでしょうか。逆にいうと、こうした外貨建て資産の価値保存力の脆弱さが、いわばセイフティーネットとなって、結果としてこれからも日本国債の価値と低い金利水準が保たれるということになりそうだと思っています。そもそも日本国債をいま売ってかわりに何を買えというのか? 米国債、MBS、ひょっとしてギリシャとかブラジルの国債でしょうかね? いずれも経常赤字を垂れ流す国々の債券だから中長期的にみれば価値の下落は必至!? 日本国債の価値にかなうわけはないでしょう・・・。

 ということで、世界中の金融機関がさまざまなリスクで身動きがとれないなか、公的資金をほぼ完済し、財務上の大きな課題をクリアしたわれらが日の丸銀行の時代が始まろうとしています。ここはひとつ、わが国経済の最大の問題であるデフレギャップ解消のため、そしてさらなる景気浮揚のため、その強固な財務基盤を活かしてぜひ本業の融資で本邦企業の投資活動を強力に支えてほしい、と切に願っているのです、が・・・!

(続く)


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【邦銀、米国債売り抜け?】金融危機:「収束」した日本と「これから」の世界⑥

2013-07-23 00:03:30 | 世界共通

(前回からの続き)

 欧州、新興国、中国と続いて、一見すると順調に景気が回復軌道に乗っているように思えるアメリカもまた金融危機の発生が十分に予想されます。最近のニュースで気になるものを拾ってみると・・・

 FRBの発表によれば、アメリカの民間銀行が所有する米国債などの有価証券の含み益がこの6月以降、急速に減少しているそうです。2012年末に400億ドルほどもあったものが2013年6月末時点で60億ドルにまで減ったとのこと。同月19日、バーナンキFRB議長がQE縮小の年内開始の可能性に言及したことで、この先、債券の価格は下がりそうだ(利回りが上昇しそうだ)と判断した米銀行の多くがこれらの証券類を売ったためでしょう。

 米国債や不動産担保証券などの債券価格の低下がアメリカ経済にもたらす弊害はこちらに書いたとおりです。長期金利の意図せぬ上昇と合わせ、これはアメリカの実体経済に悪影響を与えるとともに、アメリカの金融システムの安定を揺るがす元凶となりそうです。

 ところでこのあたりに関して個人的に気になっていたことがあります。それは「米国債の価格がここのところ急ピッチで下がっているけれど、わが国の金融機関は大丈夫なのだろうか」ということですが・・・。

 上記の「中国」のところでもご紹介した米財務省の発表統計によると、4月の日本の米国債保有額は前月から140億ドル(約1.4兆円!)もの減少となったということです。円安誘導を実質的に進めている最中の日本政府・日銀が米国債を売るわけはないので、これはすべて民間金融機関による売却でしょう。黒田日銀の「異次元緩和」で為替が急速に円安ドル高に向かう局面であっても、わが国の金融機関は米国債投資をしなかったということになります(それどころか、米国債を手放して価格低下に伴う含み損の発生を回避した!?)。

 そして現在も日本の機関投資家は米国債への投資に慎重なスタンスをとっているようです。実際、今月19日、生命保険協会の佐藤会長(住友生命保険社長)が記者会見で、現在の資産運用環境について「超長期債の利回りが現在の水準であれば、ALM(資産・負債の総合的な管理)の観点から日本国債を買って運用できる。外債投資を大幅に増やすということにはならないのではないか」との考えを述べています。

 足元の米国債をめぐる環境を冷静にみれば当然のこととはいえ、上記の判断はじつに的確で堅実だと思います。本稿前段で記したように、不良債権処理で長い時間をかけた分、わが国の金融機関の外債を含む資産のリスクマネジメント能力が向上した様子が窺えます。

 それと同時に、このあたりは「アベノミクス」および日銀「異次元緩和」の貢献「大」といえるでしょう。つまり日銀のベースマネー拡大による意図的な円安誘導によって、それまでの円高外貨安局面では売るに売れなかった外貨建て資産(外貨建ての国債や社債、株式など)を処分売りするチャンスをこれら金融機関に提供したということ。それによってわが国の金融機関の財務基盤はさらに強化されたわけで、ここは「アベノミクス」に高い評価が与えられる点だと思っています。

(続く)


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【中国、米国債を売却?】金融危機:「収束」した日本と「これから」の世界⑤

2013-07-21 00:02:54 | 世界共通

(前回からの続き)

 といった具合で、何だか日本の不動産バブル崩壊後の展開と似た感じになってきた中国の「影の銀行(シャドーバンキング)問題」ですが、ということはこれから実施される最終的な対策まで予想がつくというものです。それは先述した15年前の日本と同じ、つまり中国政府が、経営実態がひどすぎる一部の銀行を閉鎖・破綻処理するとともに、残りの多数の銀行には資本注入するというもの。もちろんこれには大金が必要となりますが、ある程度は財政資金で賄うものの、もしかしたらそれだけでは足りなくなるかもしれません。そこで中国政府が行う可能性があるのが、資金工面のための外貨準備の取り崩しです。

 じつはこれこそ中国シャドーバンキング問題における最大のリスクだと思っています。国内の不動産バブルの清算費用を捻出するために外貨、要するに、ドル・米国債を売却する―――第一位の米国債保有国である中国がそんなアクションを取らざるを得ないところに追い詰められる・・・このへんが世界のマーケットがシャドーバンキング問題を恐れる真の理由でしょう。

 米財務省が発表したデータによれば、4月の中国の米国債保有高は3月と比べると50億ドルほども減っています。さらに外国中銀および国際機関が保有する対米証券保有高は先月26日時点でピーク時から約424億ドルも落ち込んだとのことです(FRBのQE1ヶ月分の国債買い入れ額にほぼ等しい額ですね)。そしてそのリアクションなのか、この間の3ヶ月ほどで、米長期金利は1%台半ばから2%台半ばへと1%程度上昇しています。このような数字から、すでに中国は米国債売りに動き出したのではないか、との推測も出てきています。

 もし本当に中国が米国債を売り始めたら、ただでさえQE縮小観測で価格が下がっている(利回りが上昇している)米国債のさらなる売りを世界中に誘発することでしょう。そうなれば米長期金利が一段と上がってしまいます。こちらを含めて何度か書いているように、金利の上昇こそ、アメリカがいま絶対に回避したい経済現象です。だからFRBとしては「せっかくQEで必死になって米国債を買い支えているのに、中国はなんてことをしてくれるんだ!」ということになるかもしれません。はたしてこの先、中国はシャドーバンキング問題にどう対処しようというのか・・・。

 そうしたなか、先日(16日)、米財務省より5月の対米証券投資統計が発表されました。それによると長期債投資は4ヶ月連続の売り越しとなったようですが、注目の中国の米国債保有高は1兆3159億ドルと4月よりも増えています。アメリカとしてはほっと一息といったところでしょうか。

 ただ、シャドーバンキング問題を含めた中国の不動産バブル処理はこれからが本番。今後の中国の金融情勢や金融改革の方向、そしてそれらに大きく左右されることになる米国債価格や米長期金利の動きから目が離せなくなりそうです。

(続く)


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【いよいよ中国が・・・】金融危機:「収束」した日本と「これから」の世界④

2013-07-19 00:01:45 | 世界共通

(前回からの続き)

 新興国がいよいよあやしくなってきました

 このあたりは先日の書き込み「通貨安インフレに苦しむブラジル国民」で書いたとおり、FRBQE(量的緩和策)縮小・停止が近いとの観測に基づく緩和マネーの巻き戻しが最大の原因でしょう。内容が重複するので詳細は省きますが、トリプル安」(通貨安・株安・債券安)に現れている最近の新興国市場の動揺振りを見ていると、どうやら欧州よりもどこかの新興国のほうで先に何らかの危機が発生しそうな雲行きです。閣僚の辞任や政権の崩壊、急速に進むインフレ、大規模なデモや暴動、大手金融機関の破綻、IMFへの支援要請、そしてデフォルト、などなど・・・リスクを数えたらきりがないくらい。

 さてヤバそうな国はどこか? インド、先にピックアップしたブラジル、トルコ、インドネシア、南アフリカ、メキシコあたりの経常赤字が大きな新興国が危険そうだと感じています(この新興国の並びは2012年の経常赤字が多い順です)。そのためこうした国々の金融資産は早めに処分しておいたほうがよいかもしれません(ご判断は自己責任でお願いいたします)。

 これら新興国が金融危機に陥るか、それともふたたび外資主導による経済成長を続けられるのか―――いずれにせよ今後のアメリカの金融政策次第といえそうです。それにしてもアメリカ一国の中銀の一挙手一投足にそれほどまでに振り回されるとは・・・FRBがスゴイのか、それともそれだけ新興国の経済社会が脆弱なのか、それともその両方なのか・・・いろいろ考えさせられるものがありますね。

 さて、同じ新興国でも、中国はまた違った意味の金融危機を迎えつつあります。いま世界中を騒がせている「影の銀行(シャドーバンキング)問題」です。シャドーバンキングとは、企業融資等が厳しく制限されている中国の銀行が、さらに利ざやを稼ぐべく、簿外の信託会社などを通じて「理財商品」なる高金利商品を富裕層などに売り、それによって調達した資金を地方政府が作ったペーパーカンパニー(融資平台)や不動産会社にどしどし貸し出すといったもの(何だかどこかで見たような構図・・・)。

 どうやらこれらの債権の多くが焦げ付き、そのために理財商品の償還がままならなくなって、多数の銀行が危機に瀕しているようです(これまた同じような展開・・・)。先月、上海銀行間取引金利が急騰しましたが、このあたり「お金を貸したら返ってこないのでは?」と各銀行が疑心暗鬼になっている様子が窺えます(「チャイナ・プレミアム」発生でしょうか?)。

 中国版「サブプライム・ローン問題」と揶揄されることのあるこのシャドーバンキング問題の成り行きには今後、十分な注視が必要ですが、個人的には元祖サブプライムやリーマン・ショックのような世界を巻き込むほどの金融危機に発展することはないだろうと予想しています(あまり自信ないけど・・・)。なぜなら、いくら中国の銀行がオフバランスで過剰な融資を積み上げたとはいえ、欧米金融機関のように借金レバレッジをかけるほど極端なことはしていないようだし、このシャドーバンキング問題が中国内にとどまっていて、国境を越えたお金の貸し借りとかデリバティブなどとそれほどリンクしてはいないと考えられるからです(このへんの見立ても自信なし・・・)。

 そして重要なのは、いざとなれば中国政府が公的資金を金融システムに大量に投入できると思われること。何といっても中国は外貨準備高が世界一です。したがって政府が本気になれば、この「影の銀行問題」の収束などわけもない! といったところかもしれないのですが・・・

(続く)


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【ユーロ無限散布?】金融危機:「収束」した日本と「これから」の世界③

2013-07-17 00:01:10 | 世界共通

(前回からの続き)

 日本がそうであったように、バブルのツケは最終的に金融システムに回るもの。当然、欧州の場合もそうなるでしょう。上述のとおり、デフォルトのおそれが高いPIIGS諸国の国債とかPIIGS企業の債権などをバランスシートに大量に抱え込んだ欧州の銀行の多くが、近い将来、深刻な経営危機に陥ることは明白です。その件数や負債総額、さらにはそれがもたらす経済へのマイナスの影響は90年代末の日本の比ではないでしょう。そしてそれは銀行の財務リストラを通じて「貸し渋り」や「貸し剥がし」などを引き起こし、欧州の実体経済に強烈な景気後退圧力をもたらすでしょう。

 もちろん欧州の各国首脳や金融当局も、こうしたシステミックリスクの発生を危惧し、頻繁に会合を開いて対策の協議(だけ)は行っています。で、直近のメインテーマは「銀行同盟」。これは今春のキプロス債務危機における同国の大手銀行の破綻処理で大混乱を招いたことの反省に立ち、いままでなかったEU内の銀行破綻処理の統一ルールやステークホルダーへの負担基準などを制度化しようというもののようです。

 が・・・いつものように、これまた話がなかなか前に進みません。どうやら大手銀行の検査機能をECB(欧州中央銀行)に集中するのだそうですが、そんな瑣末な(?)ことはともかく、銀行破綻スキームとか預金保険の一元化といった肝心要のルール制定ができる兆しはありません。まあ、真っ先に自国の金融機関が危機に瀕することになりそうなPIIGS諸国や、同諸国への投融資残高の大きな銀行を抱えるフランスあたりは一刻も早く「銀行同盟」をスタートさせたいところでしょう。しかしドイツやオーストリアなどは、自分たちの血税がこれら「外国」の銀行や預金者の救済に使われることに反発を強め、あくまでも自国銀行の破綻は自国政府等が責任をもって対応するべき、という立場を取っています(当然のことではありますが・・・)。この両者間の溝は深く、実効性のある「銀行同盟」設立はとても望めそうもありません。

 そうこうしているうちに時間切れとなるものと思います。具体的には、ギリシャ、スペイン、あるいはイタリアあたりで政権崩壊とか大手企業の倒産が起き、これら諸国の国債が投げ売りされて価格が暴落、利回りが急上昇して金融システムが機能不全に陥ります。同時にこれら諸国はマーケットから資金調達するすべを失って債務不履行寸前に・・・。で、結局は「最後の貸し手」ECBの登場です。このときECBは返済される当てのないPIIGS国債を買い支えて利回り上昇を食い止めようとするでしょう・・・。

 ところでECBにはOMT(Outright Monetary Transactions)という国債買い取りプログラムがあります。流動性不足に苦しむ諸国にはありがたいスキームに思えますが、安直な中銀による「財政ファイナンス」とならないよう、OMTの適用にあたってはそれなりの「ハードル」が設定されています。その条件とは、ECBに国債を買ってほしい国は、まずEUに対してESM(欧州安定化メカニズム)による支援を求め、かつその支援を受けるために財政再建等に取り組むこと、といったもの。この枠組みは昨年9月にスタートしましたが、そうした条件が厳しすぎたのか、まだ一度も要請・実行されたことがありません。

 近いうちに発生するはずの危機では、おそらくECBはそんな建前にこだわっている場合ではなくなるだろうと予想しています。「この国の財政健全化計画はOMT実行の条件を満たしているのかな~」などとのんびり審査していたら、当該国はたちまち資金ショートを起こしてデフォルトを宣言しかねないからです。そうなったら(おそらく日本の金融機関以外の)世界の大手金融機関は連鎖的に破綻し、本当に世界金融恐慌が起こってしまいます。

 こうした破局を避けるための唯一の策は、繰り返しになりますが、(OMTそっちのけで?)ECBが危機に陥った国の国債を無条件で買い取ること。それは「禁じ手」のはずの中銀による国債の直接引き受けを意味します。しかも買ったが最後、ECBはそれらを二度と金融マーケットに売ることはできなくなりそう(国債価格急落・利回り急上昇を招くため)。そして償還される見込みのない国債の無制限の購入でECBがバラ撒いたマネーは回収されることなく市中にあふれることに・・・つまりは通貨ユーロの暴落とインフレ・金利高騰は避けがたいだろう―――そうみています。

 欧州では「銀行同盟」をめぐって相変わらずの鳩首会議が続いていますが、そろそろそんな余裕はなくなるのではないでしょうか・・・。

(続く)


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【追い詰められた欧州】金融危機:「収束」した日本と「これから」の世界②

2013-07-15 00:02:00 | 世界共通

(前回からの続き)

 90年代後半に日本の銀行に公的資金が注入されて今日に至るおよそ15年のあいだに、世界の金融セクターはおそろしいほど肥大化し、かつグローバル化しました。一方でそれに匹敵、いやそれをはるかに凌駕するほどの巨大リスクを抱えています。そしてやっかいなことに、それらのリスクは世界各地に分散し、そして互いに深く関連し合っています。つまりどこかで金融危機が起これば、国境を越えて連鎖的に危機が拡大するというシステミックリスクに発展するおそれが高いということです。

 これに対し、日本の金融機関と金融システムは、幸か不幸か、世界の先陣を切って危機に陥り、その対応として不良資産の整理に追われていたため、この間の「リスクオン」の潮流のなか、欧米金融機関が手がけたハイリスク・ハイリターンな証券投資等に手を出さなかった(手を出せなかった?)わけですが、先述のとおり結果としてはこれが大正解となりました。まったく何が幸いするか分からないという「塞翁が馬」のとおりの展開です。

 さて、そんな日本とは裏腹に、「これから」じつにさまざまなリスクが目白押しといった感じの世界の金融界ですが、思いついた順に具体例を挙げてみると・・・

 まずは欧州。以前から本ブログにも書いているとおり、相変わらずPIIGS諸国ソブリン危機に翻弄されています。ユーロ導入をよいことに、自分の実力以上に借金を重ね(国債を振り出し)、結局は返済することがままならなくなって国債価格が急落・利回りが急騰してEUやECBを振り回しています。

 たとえばギリシャは、同国の財政緊縮プログラムの進捗が不透明なことなどから、公的機関からの支援が受けられるか微妙となっています(と思っていたら、どうやらEU・IMFは68億ユーロもの追い貸し?を決定したもようです。昨年こちらの記事に書いたとおり、2010年からギリシャへの融資に関与しているIMFは、欧州以外の他国に対する融資スタンスとの整合性を示す意味でも、これ以上の同国支援から手を引くべきだと考えています)。

 同じく厳しい財政運営を強いられているポルトガルでは今月上旬、政府方針に不満感を示す閣僚が辞任するなどの政局不安が表面化しました。経済の停滞が政治の混乱を引き起こす事態になっています。

 先日S&Pは、諸般の経済情勢から判断してイタリアのソブリン格付けを「BBB+」から「BBB」に引き下げました。合わせて今年度の同国の成長率を当初予想のマイナス1.4%からマイナス1.9%へと下方修正しています。

 といった具合で、リスク表面化の後、財政健全化などの経済再建策に全力を上げているはずの?PIIGS諸国ですが、相変わらずのゴタゴぶりを露呈しています。そんなことをしているヒマはないはずですが・・・。

 以前もこちらの記事で述べましたが、PIIGS諸国は天然資源に恵まれた鉱業国でもなく高い付加価値を生み出す製造業の基盤を持っているわけでもありません。一方で伝統的な農林水産業や観光業だけで自分たちのこしらえた莫大な借金の返済原資を稼ぐことなど不可能でしょう。そのためマトモに考えれば、もはやPIIGS諸国にはデフォルト以外の道はなさそうに感じられます。

 そして・・・その借金の証文であるPIIGS国債を欧州各国の金融機関はしこたま抱え込んでいます。いったいこの先欧州では何が起こるのか。そして欧州はどうする気なのでしょうか・・・。

(続く)


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【祝・公的資金回収】金融危機:「収束」した日本と「これから」の世界①

2013-07-13 00:01:22 | 世界共通

 先月22日の日経新聞によれば、日本政府は今年3月末までに90年代以降に銀行に投入した公的資金を回収したとのことです。

 この記事によると、バブル期の過剰な不動産融資で膨大な不良債権を抱えて経営危機に陥っていた銀行を救済するため、98年から2003年にかけて政府は公的資金による銀行への資本注入を行いました。その額は約12.4兆円にも及びます。

 これに対し、これまでに政府が回収した資金は、注入時の元本のほか、その際に引き受けた銀行株式をその後に売却して得た売却益約1.5兆円を合わせておよそ12.5兆円と、すでに注入額を1千億円ほど上回ったとのこと(このあたり、「アベノミクス」の株価押し上げ効果もプラスに作用したのだろうと推測しています)。まだ回収されていない投入資金が約1.4兆円ありますが、それが返済されればすべて国の利益になることになります。

 同記事が述べているように、これをもって不動産バブル崩壊に始まって90年代後半に世界を揺るがせたわが国の金融危機はひとまず収束を迎えたといえるでしょう(多少おおげな表現ですが・・・)。

 たしかに元本回収だけで15年もの長い歳月を要してしまいました・・・。そして金融システム全体への公的資金投入を最終的に政治決断するまでの紆余曲折のなか、いわば時間切れで山一證券や日本長期信用銀行、日本債券信用銀行などの大手金融機関が次々に破綻してしまうなど、かなりの混乱はありました(このあたりの日本の対応の遅さを指摘する声もありますが、金融システムに巣食う巨額の不良債権処理の前例が世界になかったことから、当時のわが国の金融当局や国会等の対応がもたついたのはやむを得ない面があったと考えています)。

 それでも、上記の投入公的資金をすべて回収できたこと、追加の国民負担を回避できたこと、そして何といっても不動産バブルの後始末(=不良債権処理)を完了させて銀行の財務と日本の金融システムの健全化を図ることができたことは高く評価できると思っています。

 そして足元の内外の経済情勢を見渡したとき、わが国が金融危機の終結を「いま」迎えたことは、日本の金融界にとって意義深いことだとあらためて感じます。というのは、「身ぎれい」になったわが国の金融機関とは対照的に、諸外国では金融機関の多くが「いま」から本当の経営危機、つまり保有資産の価値低下にともなう過小資本や債務超過状態に陥るだろうと予想しているからです。

(続く)


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【悪い物価高を演出】アベノミクス本領発揮!?電気料金一斉値上げ②

2013-07-11 00:01:28 | 日本

(前回からの続き)

 FRBQE縮小・停止が近いとの観測からアメリカの金利が上昇し、一方でわが国では日銀が「異次元緩和」を継続するため、この先さらに円安ドル高が進む可能性があります。そうなれば円建て輸入品の価格上昇にともなうインフレがますます激しくなることになります。

 多くの市民はすでにその気配を感じ取っているのでしょう。先日のマスコミ報道に「インフレになりそうだ」と予想する人が増えているといったものがありました。こうしたインフレ期待(ではなくて正確に言えば国民の「円安インフレへのおそれ」!)などを受け、「2年で2%のインフレ目標達成」をめざす日銀も強気の構えを見せているようですが・・・。

 あくまでも個人的な見立てですが、このあたり、安倍政権や日銀は上記の物価上昇を「良い兆候」と捉えているように感じられるのですが、どうでしょうか。つまりベースマネー拡大(円安誘導)によって本格化している輸入インフレは景気を活性化するものだ、と。

 それはちょっと違うと思います。電気料金の値上げに象徴されるように、いよいよ本格化してきたモノやサービスの価格上昇はあくまでも「通貨安」にともなう「悪いインフレ」、つまり国民にとっては手取りの給料や賃金は増えないのに生活コストだけが理不尽に上がるという、苦痛だけをもたらすもの―――程度の差こそあれ、ブラジルなどの新興国の市民が直面している通貨安インフレと同種のものです。

 本当に望むべきインフレは「良いインフレのはずです。つまり、景気が回復し、企業の売り上げ、個人消費や雇用が増加して勤労者の賃金が増え、それがさらに消費を刺激してモノやサービスの価格を上げていく、といったサイクルのなかで自然に発生するもの(緩やかな賃金や物価の上昇に比例して金利も穏やかに上昇するもの)。さて、わが国のいまの物価高は前者か後者か―――答えは明らかでしょう。

 それでも「まさか・・・」とは思いますが、安倍政権首脳も日銀幹部も、ひょっとしたらこの両者を混同しているのではないだろうか、まるで悪玉コレステロールを「善玉」扱いするかのように・・・。でなければ足元の「悪い物価高」つまり電気・ガス料金の値上げや小麦や家畜のエサ代などといった輸入品価格の円安による高騰をポジティブに捉えるはずはないのに・・・などと余計な(?)心配をしているところです。

 まあともかく、「悪い物価高」のなかでも日本人全員にダメージを与える電気料金の値上げの動向にこれからも注目していきたいと考えています。

 それにしても、原発の稼動が当面見込めないなか、長期間にわたって大量の火力燃料を外国から輸入せざるを得ないわが国においては、「国民生活と経済活動に悪影響を与える円建てエネルギー価格の上昇を抑える」、そして「経常収支のさらなる悪化を食い止めて国富を守る」という国益の観点から、これ以上の人為的な円安誘導(=過度の金融緩和策のこと)は行わない、という選択肢が議論されてもよい頃合いだと感じています。アメリカの金利上昇(円安ドル高モード)が予想されるなか、エジプトの政情不安を材料に原油価格が1バーレルあたり100ドルを超えてきましたし・・・。

 7月時点の燃料価格が反映される電気料金の10月の燃料費調整額がいまから気になるところです。

(「アベノミクス本領発揮!?電気料金一斉値上げ」おわり)


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