世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
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【日本、米の軍産複合体へ巨額マネーを献上?】アメリカはもう戦争ができない?⑤

2015-08-29 00:01:09 | アメリカ

(前回からの続き)

 先述のとおり、FRBによる量的緩和策QE)という名の「麻薬」―――中銀による実質的な財政ファイナンス―――にどっぷりと依存せざるを得ないほど、巨大な経常赤字と財政赤字がもたらす金利上昇圧力に脅かされているアメリカは、もはや戦争という国家債務のさらなる膨張と金利急騰をもたらす危険行為においそれとは踏み出せまい、と推測しています。

 この事実を冷静に見据えれば、こちらの記事等に書いたように、安倍政権が嫌悪する(?)中国を相手にアメリカが(日本のために?)戦争しようなんて思うわけがないことが分かります。中国は日本と並ぶ二大対米債権国、つまり米国債をしこたま持っているわけです。そんな国に戦闘を挑むなんて・・・アメリカにとっては自殺行為以外の何ものでもないはず・・・。

 ということで、アメリカは中国と戦えない―――それでも日本政府・現与党が安全保障関連法の必要性について、軍事力増強を進める中国にアメリカと一緒に対抗するため、なんてしきりに訴えるのは、日本人の反中感情を刺激して「中国に対する備えを固めるというのなら・・・」と観念させて(?)同法をなんとか成立させたい、という思惑からでしょう。もちろんこの法案の真の狙いはけっして対中防衛強化などではなく・・・金欠のために「大国」等を相手取った戦いができないアメリカがいま、かろうじて遂行可能な(数人規模の?)過激派「集団」との戦争に自衛隊を参加させ、ジャパンマネーを同国・・・の「軍産複合体」へ拠出すること(?)。

 前回綴ったように、年間5~6000億ドル以上もの国防予算を食んでいるアメリカの軍産複合体は現在、最大の商売相手である米連邦政府の財政赤字拡大と軍事支出の抑制傾向に強い危機感を抱いているはずです。このままではマズイ!というわけで彼らは米政府以外のカネの出し手がほしいところ。そこで目をつけられたのが、世界一の純債権国でありアメリカの忠実な同盟国である日本・・・。

 以上から推察されることは、安保関連法成立後のわが国は・・・まずは中国の脅威増大を理由にアメリカ製防衛装備品のいっそうの購入を迫られる。そしてつぎは、これらで武装強化された自衛隊が「テロとの戦い」の掛け声のもと、中国・・・ではなく、日本からはもちろん南シナ海からも遠ーく離れた地で繰り広げられるアメリカの「集団」相手の戦いに引っ張り出される・・・。それは戦争というよりは「ウォーゲーム」とでもいうべきもの。なぜならアメリカの軍産複合体は「日米両軍」とその「敵」の双方の戦争当事者に兵器・武器を提供しているからです(実際、「イスラム国」には強奪や秘密取引を通じて多くの米国製中古武器が流入しているといわれる)。ということは、彼らアメリカ人(と欧州人や中国人)は自国兵はもちろん、われらが自衛隊員を殺傷する兵器・武器を何と!敵に売ってカネ儲けをしていることに・・・

 明らかに違憲だということ以外に、わたしが安保関連法案に反対なのはそのあたりにも理由があります。

(続く)

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【金利上昇のほうが戦争よりも怖い・・・】アメリカはもう戦争ができない?④

2015-08-27 00:02:56 | アメリカ

(前回からの続き)

 前回までに書いたとおり、いまやアメリカは、「大国」「小国」はいうに及ばず、(極端な場合はわずか数名!?程度の)中小「集団」を相手にした戦争にも耐えられないし、たとえ戦争をしないまでも、現在のレベルの軍備力を維持することにすら四苦八苦している・・・。これを言い換えると、アメリカは先日まではハエやカの退治に強力な火炎放射器(!)を振り回してきたが、ついに火炎放射器そのものを持て余すようになってきた、といったあたりでしょうか(ヘンなたとえ)・・・

 建国以来、あれほど戦争をしまくってきた(?)アメリカ様がどうしてこうなってしまったのか、といえば・・・やはり、戦争に必要なおカネが尽きかけているから、ということでしょう。

 誰でも知っているとおり、アメリカは世界最大の純債務国。連邦政府も、自治体政府も、企業も、そして国民も借金まみれです。しかもこれらの大元は中国や日本といった外国からの借入金です。で、この巨大債務がもはや持続不可能となりつつある、つまりアメリカは現在、借金の返済に借金を重ねている(国債等を次々に振り出している)うえ、とうとう禁断の「財政ファイナンス」に手を出して---市中で消化しきれない債券を量的緩和策(QE)を通じてFRBに買わせて---(長期)金利の上昇を必死に抑えているわけです・・・。

 で、こんなときにあらたな戦争が勃発したら・・・その規模の大小によらず、アメリカの財政赤字が戦費増大でさらに膨らむとの憶測が世界市場に流れ、ドルと米国債価格(ついでに株価)は暴落、金利が急騰してアメリカの経済と市民生活は重大な危機に瀕することに・・・。これこそ、いまのアメリカがもっとも恐れる事態といえるでしょう。債券暴落・金利上昇の恐怖はアメリカのエスタブリッシュメントにとって戦争の恐怖をはるかに上回るはず・・・だから、アメリカは戦争をしない(というよりは、できない)、とこう考えるわけです。わたしが安全保障関連法成立後の日本がアメリカの大きな戦争に付き合わされる可能性がそれほど高くはないのでは、と希望的に観測する根拠はこのあたりにあります。

 しかし・・・一方でアメリカが戦争を手控えることで「商売上がったり」となる勢力が存在します。それがアメリカの「軍産複合体」。まあこれは当然でしょう。アメリカの軍事予算は1年間で5000~6000億ドル以上という、大国の国家予算をしのぐほどの巨大な規模。で、アメリカが今後、戦争をしないようになっていくということは、当たり前ですが彼らの「メシのタネ」が減っていくことを意味します。これこそ―――戦争減少・・・にともなう軍事費の削減こそ、軍産複合体にとって金利上昇以上に(?)恐ろしいことでしょう・・・

(続く)

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【年々スケールが小さくなるアメリカの戦争相手】アメリカはもう戦争ができない?③

2015-08-25 00:04:29 | アメリカ

(前回からの続き)

 アメリカは年々、他国等に対して戦争を仕掛けることができるだけの国家的な「ゆとり」を失ってきている・・・。

 そのあたりは上述した4つの戦争の対戦国等の推移からも窺うことができます。第一次・第二次両世界大戦の戦いの相手国はドイツや日本などの「大国」でした。その次に起こった朝鮮戦争ですが、当初の交戦相手は北朝鮮だけだったものの、途中から実質的に中国(人民義勇軍という名の志願兵団)が参戦してきたので、これも「大国」相手の戦争だったといえるでしょう。

 ところがベトナム戦争で敵国となったのは北ベトナム。たしかに同国はソ連等の軍事支援こそ受けていましたが、アメリカが実際に戦火を交えたのは「小国」といえる同国のみ。そしてアフガニスタン戦争に至っては「テロとの戦い」などと称されるとおり、もはや敵は国家よりも人口や経済力等でずーっと劣るテロリスト等の中小「集団」になっています。これらから分かるのは、アメリカの戦争相手のスケールが時代とともにどんどん小さくなってきている、ということ。

 大国」から「小国」へ、そして「集団」へ―――このアメリカの「敵」のサイズ小型化の変遷はそのままアメリカの歴史的な国力低下のプロセスと一致していると考えています。別な言い方をすれば、アメリカはその時々の自身の国力に見合った相手を選んで(!?)戦争を行ってきた、といった感じ・・・。

 で、いまはどうかといえば・・・「イスラム国」(Islamic State)なんて宗教的過激派(?)「集団」がありますが、米オバマ現政権はこれに対して空爆とか特殊部隊等を使った軍事作戦こそ実行しているものの、アフガンやイラクに対してのときのような大規模な参戦には躊躇しているわけです。その理由は・・・アメリカにはもはや弱小(?)「集団」を相手取った戦いすら耐え難いものになっているからだろう―――前回、現時点のアメリカには戦争する余力がほとんど残されていないと書いたのは、このように推察するためです。

 で、ここで述べているアメリカの力の低下とは、けっして米軍が弱くなったとか、同国製の兵器・武器の性能が落ちたとか、そんなことではありません(これらの練度とか威力や破壊力はいつの時代も、中露など他国の追従を許さないほどに高いはず・・・)。まさにいまアメリカが失いつつあるのは、これら兵器・武器の調達等を含めた戦争に必要なマネーを用意する能力―――そう考えています。

(続く)

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【アメリカの自衛権行使は戦争そのもの】アメリカはもう戦争ができない?②

2015-08-23 00:03:40 | アメリカ

(前回からの続き)

 先述の「ルシタニア号事件」「真珠湾攻撃」「トンキン湾事件」そして「2001.9.11同時多発テロ」・・・いずれの場合もアメリカが他国等のほうから武力攻撃を受けたケースに相当します(繰り返しですが、首謀者を含めてコトの真相はどれも「謎」めいていますが!?)。

 ここで集団的自衛権行使を容認するスタンスの同盟国ならば当然、同国と行動をともにしなければなりません。で、これらに対してアメリカがとったリベンジのアクションは、誰がどう見ても「戦争」としかいいようのないもの。ということは、まもなく(?)同行使を宣言する日本は近い将来に必ず起こる(というよりは無理矢理引き起こされる!?)「〇〇事件」を機に、アメリカと一緒に同じ行為、つまり「戦争」をおっぱじめることになる・・・そういった危惧は、他ならぬわたしたち日本人ならば自然な感情といえるでしょう。

 でも・・・安倍政権そして自民党・公明党のセンセイ方らは、同行使を「戦争放棄」を謳う日本国憲法に違反しないとする立場だそうだから、「アメリカの行為は(真珠湾攻撃を含めて!?)理不尽な先制攻撃に対して国を守るためのリアクションなので、どれも戦争というよりは自衛権の行使というべきであーる」などと解釈するのだろうな・・・って、皆さんは明らかに数十万人もの非戦闘員の命をターゲットにした東京大空襲や広島・長崎への原爆投下なども、アメリカ様の正当な自衛権行使の範囲とでもいうのでしょうかね!?

 ・・・といったことで、今回の安全保障関連法成立後のわが国の行く末を非常に心配しているわけです。これは日本にとって、ある意味、憲法改正(改悪?)を行って独自に再武装をするよりも危険なこと。というのは、集団的自衛権の行使を認める以上、わが国は、たとえ本心ではその必要がないと感じていても、同盟国アメリカの都合で戦争に加担せざるを得なくなるため。そんな戦争は、自分たち自身ではなくアメリカの国権の発動としての戦い・・・。繰り返しますが、アメリカの行為―――報復的な自衛権行使(?)―――がもたらしたものは、「第一次」「第二次」「ベトナム」「アフガニスタン」のあとに続くワードが示すとおり、「戦争」そのものです・・・

 ・・・などと憂いの気持ちを綴りながらも、じつはわたしはもうアメリカが関与する大きな戦争は起こり得ないのではないか、というかすかな希望を抱いています。なぜならアメリカは年々、巨大な武力・兵力をもって戦争を遂行できる国力を失ってきており、現時点では、これがほとんど残っていないと考えているからです。

(続く)

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【先にやられたから・・・がアメリカの参戦ルール?】アメリカはもう戦争ができない?①

2015-08-21 00:03:42 | アメリカ

 安倍政権が閣議決定し、現在、参議院で審議中の安全保障関連法案。わたしは個人的にこの法案に反対の立場です。その理由は、こちらの記事に書いたとおり、そして多くの憲法学者が指摘しているように、同法案の大前提となる集団的自衛権の行使が日本国憲法に違反すると考えているから。わが国が法治国家である以上、最高法規たる憲法に反する法案は当然、法律になり得ません。したがって本法案を法律にするためには、同行使ができるように憲法を改正(改悪?)するほうが先のはずです。それなのに・・・

 とはいえ・・・同法案に賛意を示す与党(自民党と公明党)は衆参両院で過半数の議席を有しています。なので、現政権によって上記議論が打ち切られ、同法案が議決に回されれば賛成多数を得て法律として成立する可能性が高いでしょう。そうなったらこの国はどうなってしまうのか・・・

 たしかに現時点の同法案の中身であれば政府が言うとおり、わが国の自衛隊の活動は限定的なものにとどまるかもしれません。しかし上記のように、同法案の重大なポイントはこれまで違憲とされてきた集団的自衛権の行使を合憲とした点。ということは今後、自衛隊ができる活動がなし崩し的に攻撃性の強いものにエスカレートしていくおそれは十分です。なぜなら、同盟関係にある他国―――ようするにアメリカ様―――が武力攻撃を受けた場合、日本がアメリカとともに武力をもって戦うことこそが、政府が合憲!と強弁する(?)集団的自衛権行使に当たるからです・・・

 ここでアメリカがこれまで関わってきた近現代のメジャーな「戦争」の発端を振り返っておきましょう。まずは第一次世界大戦。これにアメリカが参戦したきっかけが「ルシタニア号事件」(多くのアメリカ人が乗っていた英国籍の同船をドイツのUボートが撃沈した事件)でした。つぎに第二次世界大戦。これは言うまでもなく「真珠湾攻撃」。そしてベトナム戦争は「トンキン湾事件」(北ベトナム軍が同国沖に展開中の米艦船に先に攻撃を仕掛けたとされる事件)。さらにアフガニスタン戦争は「2001.9.11同時多発テロ」といった具合。

 で、ここで重要なのは次の2点。まずは、真相は別(←コレ、チョ~~重要!?)として、これらのどれ一つとして、アメリカが先制攻撃を仕掛けたものがない―――先に武力攻撃をしてきたのはいつも相手のほうだ―――ということです。そして・・・どの場合もアメリカは「Remember Pearl Harbor!」(やられたらやり返せ!)なとと叫んでなだれ込んでいったわけです、「戦争」へと・・・

(続く)

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【原材料以外は外国に頼る必要なし!】スポーツ大会協賛者名が教える日本企業の多様さ③

2015-08-19 00:02:57 | 日本

(前回からの続き)

 これまで綴ってきたように、国際スポーツ大会のスポンサー名を眺めていて気づかされるのは、日本企業の顔ぶれの多彩さと、外国企業のバリエーションの乏しさです。これはそのまま日本と諸外国の産業構造の違いを反映していると考えています。つまり、あらゆる業種で世界をリードする企業が何社もあるという国は世界でただ一つ、日本だけ、ということ。これは文字どおり日本経済だけの強みだと思っています。たとえどこかの産業分野が国際競争力を失っても、その他の分野で十分に補えることになるわけですからね(これまでそうだったように・・・)。

 本稿のテーマから少し話がそれますが、このあたりでは、わが国は他国ほど通貨安インフレ(≒「悪いインフレ」)の痛みを感じないですむ、ということもいえそうだと感じています。なぜなら、上記構造を持つ日本はたいていのモノは自分たち自身で作ってしまうから。為替変動の如何によらず外国の輸入製品にそれほど頼る必要はないということです。そのへんはブラジル、トルコ、インドネシアなど、いま通貨安にあえいでいる国々とまったく違いますね。彼らは自動車、機械、衣類、医薬品・・・あらゆるものを外国から輸入するしかないので、自国通貨の下落にともなうインフレの被害は大きくなるわけで・・・。もっとも、現在は日本も輸入代替の効かない分野―――モノづくりに不可欠なエネルギーと原材料等―――の「アベノミクス」(≒円安誘導)インフレに意図的に(?)苦しめられているところですが・・・

 話を戻します。今回冒頭で述べた日本と異なり、諸外国では有力な企業や得意なジャンルが国ごとに偏っています。すでに書いたとおり、スイスは時計、韓国は「サムスン」「現代(ヒュンダイ)」の2社、欧米諸国は金融・・・といった具合。ということは、かりに時計産業が斜陽化したり、「サムスン」が中国企業に追い上げられて経営不振に陥ったり、「リスクオフ」で大規模な金融危機が起こったりしたら・・・これらの国々の経済は大打撃を被ることになるはず。なぜなら、わが国と違ってそのダメージを埋め合わせる産業や企業が他にないからです・・・。

 ・・・といったことを思い浮かべると、これらのTV観戦がさらに興味深いものになるでしょう。世界のスーパースターや日本人選手の活躍はもちろん、競技会場のあちこちに見られるスポンサーのロゴにも目がいき、あらためて本邦企業のことも応援したくなりますからね。さあ、まもなく始まる「世界陸上2015北京大会」ではジャマイカのウサイン・ボルト選手・・・ばかりではなく、彼のゼッケンなどにその名が印字された日本企業の飛躍にも大いに期待しましょう!

(「スポーツ大会協賛者名が教える日本企業の多様さ」おわり)

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【スイス「時計」、韓国「サムスン」「現代」だけ】スポーツ大会協賛者名が教える日本企業の多様さ②

2015-08-17 00:01:24 | 日本

(前回からの続き)

 世界水泳や世界陸上など、この夏に開催されている国際的なスポーツ大会のスポンサーにいくつもの日本企業が名を連ねますが、その顔ぶれの多彩さは、この国の産業構造のすそ野の広さと、それぞれの業種で国際的な企業が、それも2社以上存在しているさまを示している―――前回、そんな個人的な見方を綴りました。

 これこそ世界のどの国にも見られない、日本だけの大きな強みだと考えています。特定の分野に偏らず、どの業界にも誰もが思い浮かぶ有力企業がひしめき、お互いを良い意味でライバル視して切磋琢磨し、それぞれの領域で世界をリードしていく・・・。その表れが大規模なスポーツイベントの協賛者としてのエントリーという面はあるでしょう。

 これに対して他国はどうかというと・・・この手のスポンサーとなれる、つまり世界的リーディングカンパニーになれる企業は、業種そして企業数ともに限定的という印象があります。

 たとえば、スイス。各種スポーツ競技のオフィシャルタイマー(計時)には日本(「セイコー」「シチズン」「カシオ」・・・)のほかにスイスの時計メーカーが数多く登場します。先述した世界水泳2015では「オメガ」社がそうでした。しかし、スイス産業が目立つのは実質的にこの「時計」というジャンルのみ・・・。

 そして、韓国。いわずとしれた「サムスン」「現代(ヒュンダイ)」は上記スポンサーの常連です・・・が、韓国企業は事実上この2社だけ(?)で、バリエーションは日本に遠く及びません。しいて挙げるとすればあとは「LG」と「大韓航空」くらいかな・・・。「起亜(キア)」は「現代(ヒュンダイ)」傘下の会社ですし・・・

 これに関連して、おもしろいな~と感じているのは、欧米で開かれる大きなテニストーナメントの主要スポンサーに大手金融機関が多数、入っていること。たとえばデビスカップ、フェドカップ、全仏オープンの最上位のパートナーはフランス最大の銀行「BNPパリバ」。そして全英オープン(ウィンブルドン選手権)のオフィシャルバンクは英国一の資産規模を誇る「HSBC」、など・・・。

 ちなみに、日本の錦織圭選手が好成績を収めている大会のいくつかもこれに当てはまります。スペインの2大会―――バルセロナオープン(4月、昨年に続いて大会連覇!)では「バンコ・サバデル」(スペインの中堅行)が、マドリッドオープン(5月、準決勝で敗退・・・)では「ムトゥア・マドリレーニャ」(同、保険会社)が、それぞれの冠スポンサーです。さらに同選手が見事優勝を飾った先日のシティオープン(アメリカ)のタイトルスポンサーはその名のとおり「シティグループ」・・・などとなっています。

 このあたり、いまスポーツ大会のパートナーになるくらいの経営的ゆとり(?)がある業界は、欧米諸国では「金融」くらいなのかもしれないな、なんて想像をしています。ということは、近い将来に予想される(?)世界的な「リスクオフ」局面では、これらの大会の開催と運営はどうなる? そしてわれらが錦織選手の活躍にも影響が・・・!?

(続く)

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【企業数・業界域ともに多彩】スポーツ大会協賛者名が教える日本企業の多様さ①

2015-08-15 00:00:44 | 日本

 世界のスポーツシーンは日本企業によって支えられている―――この夏の各種スポーツ大会のTV中継を通じてそんな印象を受けた方も多いのではないでしょうか。

 今月9日までロシアのカザンで開催された第16回世界水泳選手権大会(世界水泳2015)。多くの日本人選手の活躍もあって盛り上がりましたが、これに一役買ったのがこの大会を協賛したコマーシャルパートナー「ニコン」「ヤクルト」「全日空」の日本企業3社です(全8社、残りの5社はイタリア2、スイス1、中国1、韓国1)。

 同じく9日に閉幕したサッカー東アジアカップですが、こちらのオフィシャルスポンサーに名を連ねたのは「朝日新聞」「ホンダ」「キリン」「マイナビ」「東芝」「TOTO」の6社です(残りはドイツ1、アメリカ1)。

 中国の北京で今月22日から始まる第15回世界陸上競技選手権大会(世界陸上2015)のオフィシャルパートナーは全部で7社。このうち本邦企業は「TDK」「トヨタ」「キャノン」「セイコー」の4社です(残りはドイツ1、中国1、ロシア1)。

 そして7月末から8月初めにかけてイギリス・スコットランドで行われた第39回全英リコー女子オープンゴルフは、その名のとおり、情報機器メーカーの「リコー」が冠スポンサーになっています。

 ・・・以上はほんの数例ですが、これらだけでも国際的なスポーツイベントのスポンサーパートナー(あるいはサプライヤー等)として、いまや日本企業はなくてはならない存在となっていることがよく分かりますね。

 ところで、これらのわが国の企業名を見ていて3つほど、個人的に興味をひかれる点があります。まずは企業の数の多さ。上の4つの有名な大会だけでじつに14社を数えます。つぎに業界のバリエーションの豊富さ。自動車、電機、精密機械、エアライン、窯業、食料品などなど・・・まるで、不得手な分野なし!と言わんばかりに、あらゆるジャンルから世界的な企業が出てきています。さらに、同業種から2社以上の企業が登場するケースがみられること。上記でいえば、カメラ等でライバル関係にある「ニコン」と「キャノン」がその例になります。

 これらからいえるのは―――国際的スポーツ大会を協賛する本邦企業の多彩なラインアップから窺い知れるのは―――日本の産業構造のすそ野の広さと、それぞれの業界で世界をリードする少なくとも2社以上の企業の存在です。これこそ日本経済の大きな「強み」だと思います。

(本日は70回目の終戦記念日。戦後、これまで歩んできたように、わが国がこれからも戦争という手段をけっして選ぶことなく、世界の平和と繁栄に貢献していける国であり続けますように・・・)

(続く)

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【公的資金再投入の可能性あり】英国政府、英銀RBS株式売却開始の違和感②

2015-08-13 00:02:03 | ヨーロッパ

(前回からの続き)

 英国政府は納税者に損害を与えることを承知のうえで国有化した英銀RBS(ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド)の株式売却を開始した―――まあ今回手放した株式数は全体の5.4%に過ぎず、同政府にはトータルの売却で帳尻が合えば、という思惑もあり、その意味では先述のオズボーン財務相の言葉のとおり、政府保有株の放出に先鞭をつけること自体が必要だった、ということになるのかもしれません。

 しかしそれは・・・今後のRBSの株価とか経営状態が良くなっていく見通しが立っている場合に限っていえることのはず。で、このあたりですが・・・むしろ逆に、この先のRBSそして英国の経済環境をめぐる諸情勢はますます不透明になっていくように思えてなりません。

 RBSの株価は現在点で349ペンス(8/7時点)と、先述の英国政府の購入時株価502ペンスを依然、大きく下回ったままです。やはり不良債権処理の遅れが懸念されているのでしょう。このさえない株価がRBSの現状を象徴している感じで、英国政府が「支え」をはずすことができる(政府保有株を手放すことができる)ほど経営体力が付いてきたようにはとても思えません。それにRBSは米国サブプライムローン関連債券の販売をめぐって裁判沙汰に巻き込まれています。同行は敗訴時の罰金の支払いに備えて21億ポンドを引き当てているそうですが、この金額、実際には90億ポンドにまで膨らむとの一部アナリストの予想もあるそうな・・・

 英国の経済状況も似たり寄ったりでしょう。盛り上がっているのはロンドンの不動産投機だけ(?)。実体経済のほうは相も変わらず慢性的な経常赤字体質で、改善の兆しはまったく見られないし、そうしようという気概も感じられない(?)。いまでこそお隣のユーロ圏がもっとひどい(?)のでそれほど目立ちませんが、遅かれ早かれ英国・・・の通貨ポンドは、本来の英国の経済力を反映する水準まで大幅に切り下がるしかないのではないでしょうか・・・。

 そんななかでのRBSは近い将来、政府支援からの脱却どころかさらなる支援―――公的資金の再投入―――が必須となるような非常事態に直面する可能性が高いと悲観(?)しています。もちろんその際は、英国政府はまたもや多額のおカネを拠出しなければなりません。何せRBSは「大きすぎてつぶせない」(Too Big To Fail)世界の大銀行のひとつに数えられていますから、同政府はRBSの経営が傾いたからといって放っておくわけにはいかず、システミックリスクの発生を断固防ぐために行動しなければならない・・・で、金融システム向けの公的資金をねん出するために英国債を乱発してポンド暴落へ・・・といった近未来を英国およびRBSに対して予想しているので、今回の同国政府によるRBS株の「損切り」には強い違和感を覚えた次第です。

 というわけで、本件の今後には大いに注目したいと思います。はたして英国政府は損失の拡大やこれにともなう国民の批判の高まりをものともせずにRBS株の放出を続けるのか、それとも政府の期待のとおり、RBS株が損益分岐点を超える水準にまで値上がりして、結果としてRBS救済とその政府保有株の売却は成功だったといえるようになるのか・・・。その成否は、RBSの財務内容と深い関係にあるアメリカ不動産市場のいっそうの回復にかかっているような気がします。なのでRBS経営者や株主、そして英当局関係者はいま、こう願っているのではないでしょうか―――「どうかアメリカが利上げしませんように・・・」

(「英国政府、英銀RBS株式売却開始の違和感」おわり)

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【財政再建に逆行】英国政府、英銀RBS株式売却開始の違和感①

2015-08-11 00:03:10 | ヨーロッパ

 損することが分かっていながら、なぜ売り急ぐのか・・・

 今月4日、英国政府は英銀ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS:Royal Bank of Scotland)の政府所有株のうちの一部の売却を発表しました。同政府は2007~09年にかけての世界的な金融危機時に合計458億ポンドの公的資金を投入してRBSを実質的に「国有化」しています。で、今回はこの措置後の初めての所有株の放出で、同政府としては金融システムの正常化や財政再建をいっそう進める姿勢を国民および投資家にアピールしたつもりなのでしょう。なお、これによって同政府のRBS株持ち分比率は78.3%から72.9%にまで下がっています。

 昨年9月のスコットランド独立の是非をめぐる住民投票に関連し、こちらの記事等でRBSについて思うところを綴ってきたこともあり、この銀行の経営状態には個人的に関心を持っていたので、このたびの上記発表には少なからず驚かされました。というのは、英国政府が購入時の価格を大きく下回る価格でRBS株を手放したからです。報道によれば、今回の売却価格は1株当たり330ペンス。これは国有化時点の取得額である502ペンスよりも約33%、170ペンスも低い金額です。そのため同政府は約11億ポンドもの株式売却損を今回、出す破目に・・・

 通常、この手の政府保有株の放出では売却金額が取得金額を上回っていることが大原則のはず。その逆―――前者が後者を下回る―――ならば、財政、つまり納税者に損害を与えることになるからです。ちなみにわが国はこの原則を守ることができました。こちらの記事等に書いたように、かつて日本は不動産バブルの清算に当たって金融システムに巨額公的資金を投入しましたが、10年以上もの長い年月こそかかったものの、1円の損失を出すことなく、これをすべて回収し終えています(その後、政府が持つ金融機関株の売却額はすべて利益となる)。

 これに対して英国政府の対応はこの原則に反するもの。損を承知で売却を強行し、結果として多額の英国民の血税を雲散霧消させてしまいました。同政府のオズボーン財務相は「もっとも安易な方法は困難な決定を避け、RBSを国家管理に留め置くことだろうが、経済と納税者にとって正しいことはこの株放出をスタートさせることだ」と述べていますが、本当にそう言えるでしょうか。ここで優先すべきことは、わが国がしたように、銀行に入れた公的資金を一切毀損させることなく、当該銀行の経営再建を後押しすることだ、と思うのですが・・・

(続く)

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