世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
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国債格付け「AA-」の日本円に負ける「AAA」諸国通貨①

2012-07-29 00:03:51 | 世界共通

 約1年前の8月はじめ、アメリカの格付け会社スタンダード&プアーズ(S&P)社はアメリカの国債格付けをAAAから1段階低いAA+に格下げしました。そして同社は今年1月に欧州諸国債を格下げし、それまでAAA格だったフランス国債の格付けもAA+へ下がりました。これらの結果、主要国債でAAA格を維持するものが減ってきています。7月下旬時点でAAAの国債格付けを保っているおもな国々は、ドイツ、イギリス、オランダ、スイス、オーストラリア、カナダなどとなっています。

 ところで日本国債の現在の格付けはAA-。AAAから3段階も低い上、昨年4月には震災復興で財政赤字が膨らむ懸念があるとされ、格付け見通しが「安定的」から「ネガティブ」に落とされており、近いうちにさらに低いA+あたりに引き下げられる可能性もあります。

 そもそも国債は最も安全な(ソブリンな)資産であり、国債の格付けとは当該国債発行国の債務返済能力の高さを示すもの。そのため現在のように、世界経済の不透明感が高まっているリスク回避モードの中では国債、とくに格付けの高い国債が買われてそれらの価格が上昇する(利回りが低下する)はずです。そして当然ながら、為替のほうも高格付け国の通貨が低い格付け国の通貨に対して高くなっていくことになるでしょう。

 ところが実際の為替動向は必ずしもそうはなっていません。このあたりについて、G20(20カ国・地域首脳会合メンバー国)のうち国債格付けがAAAとなっているドイツ(ユーロ)、イギリス(ポンド)、オーストラリア(豪ドル)、カナダ(加ドル)の、2007年7月以降のこの5年間の対円レート推移をたどりながら検証してみましょう(以下のグラフ:2007年7月を100[各月平均])。



 これによると、国債がAAA格の4カ国通貨ともに同AA-格の円に対して大きく下落していることが分かります。

 最も下落幅が大きいのが英ポンドで、今年6月時点では、2007年7月時点と比べて、円に対して50%以上も値を下げています(ポンドはイギリスよりも国債格付けが1段階低いAA+のアメリカのドルに対しても下落しています)。ユーロも同40%あまり下がっています。この下落はドイツに対する信頼感よりもPIIGS諸国のソブリン危機を含む欧州金融不安を色濃く反映しているということでしょう。両者に比べれば豪ドルや加ドルの下落率は25~35%程度で米ドルよりもやや小さい程度ですが、それでも円に対して大きく減価していることには変わりありません。

 2007年夏から現在までの5年間は、米サブプライム問題(2007年~)~リーマンショック(2008年)~欧州ソブリン危機(2009年~)に至る世界的な金融不安の時期と重なります。その直前あたりまで欧米諸国は住宅バブルの最盛期で、欧米諸国では当時から低金利であった円を調達して相対的に金利の高い外貨で運用して利ざやを稼ぐ、いわゆる円キャリートレードが盛んに行われていました。そのためサブプライム問題が顕在化してからは、このキャリートレードの「巻き戻し」で外貨が売られて円が買われるという流れが大きくなって円高外貨安になったという面もあるでしょう。

 それにしても国債の最高格付けを誇る(?)これら4カ国の通貨が、安全志向(リスクオフ)のこの時期、2~3段階も国債信用度の低い(?)国の通貨「円」に対してこれほど負けて(値を下げて)いる様子を見ると、「国債の高格付け国の通貨らしくないぞ!」と野次りたくなると同時に、「国債格付けって・・・?」と感じてしまうのは私だけではないでしょう。

続く

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リスクオフ深刻化のプロセスと金(ゴールド)との関係⑤

2012-07-27 00:00:02 | 金(ゴールド)

(前回からの続き)

 やや悲観的過ぎるかもしれませんが、上記のように欧米諸国は、金融危機→金融恐慌→市民社会の大混乱→・・・(→復活した中間層が大多数を占める格差の少ない大衆資本主義の形成?)といった方向に向かって行かざるを得ないだろうと思っています。

 一方、わが国の最大の懸念材料はKY的な(?)「政策判断ミス」でしょう。具体的には、毀損し続ける外貨に付き合うかたちで円の価値を意図的に貶める金融緩和策を続けることや、世界的なリセッション時であるにもかかわらず景気に冷や水を浴びせるような消費増税や緊縮財政策を強行すること。

 逆にいえば、内外の情勢に合わせた適切な政策を講ずることで、わが国は先日掲げた「第二段階」レベルで踏みとどまり、超低金利のもとで内需振興による経済成長を達成することが可能だと考えています。

 2010年11月、当時のゼーリック世界銀行総裁が、とくにアメリカの住宅バブル崩壊後に世界中で増え続けるマネーがもたらす災厄に警鐘を鳴らす意味なのか、英フィナンシャルタイムズ紙に「ドル、ユーロ、円、ポンド、人民元を機軸とする新たな通貨体制の確立に踏み出すべきで、この体制においては、インフレ、デフレ、通貨変動に関する市場の期待感を測る参考指標として金(ゴールド)の使用も考慮するべきだ」といった趣旨の寄稿をしています。

 氏が指摘したように、上記の「第三段階」までいけば、不換紙幣(金などの裏付けのない、印刷機を回せば無限に増やすことが可能なお金)に依拠する現在の通貨システムの構造的な欠陥が、世界的なインフレなどのかたちで誰の目にも明らかになるような予感がしています。さまざまな混乱や論争などを経て、近い将来、ひょっとしたら本当に金本位制、あるいはそれに近いスキームが誕生したりして(!?)、と冗談半分、真面目半分で思っています。

(「リスクオフ深刻化のプロセスと金(ゴールド)との関係」おわり)

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リスクオフ深刻化のプロセスと金(ゴールド)との関係④

2012-07-25 00:02:02 | 金(ゴールド)

(前回からの続き)

 リスクオフ最終形:「金>円>ドル>ユーロ>新興国通貨」に至るプロセスを「第一、二、三段階」として、それぞれの段階ごとに各通貨の強さの序列がどのように変化していくのかなどについて、私見を述べて行きます。そしていよいよ第三段階へ。

○第三段階【リスクオフ最終形】:金>円>ドル>ユーロ>新興国通貨
 欧米諸国が金融恐慌と激しい景気後退に見舞われるとともに、ユーロ瓦解やドル危機などを契機に、もしかしたら新しい通貨管理システム(?)が模索されるようなステージです。

 わが国では円独歩高(外貨全面安)のなかで円高悪玉論が一層高まり、「円高阻止!」の大合唱のもと、政府・日銀によるさらなる量的緩和や円売り外貨買い為替介入などの金融政策が立て続けに実施されるでしょう。一部政治家などが主張する日銀による外債購入などの策も実行されるかもしれません。

 この時点になると、日銀のインフレ目標も現行の1%から2%よりも高いところに上方修正され、日銀のさらなるマネー増刷で実質的なマイナス金利状態がもたらされる可能性もあります。そうなれば世界最強の通貨・円すらも、他の通貨と同じように、受け取ったその瞬間から価値を喪失していく通貨に堕ちてしまいます。そして金融緩和をし過ぎた欧米諸国や新興国と同様、わが国でも物価高がジワジワと進行するでしょう(欧米諸国や新興国に比べればずっとマシな水準だとは思いますが・・・)。

 その結果、わが国でもインフレヘッジの必要性が高まり、新興国や欧米諸国に若干遅れて本格的な金ブームが到来するものと考えています。そして「第二段階」では1グラム4000円台のレンジを上下していた円建て金価格は「金>円」へと、明らかな上昇軌道を描くようになるとみています。この「第三段階」でのいずれかの時点で、円建ての金価格は1980年1月に記録した史上最高額1グラム6495円を超えていく可能性もあり得ると予想しています。

 この間、アメリカおよび欧州諸国は、金融システムの機能不全がもたらす金融恐慌と通貨大増刷にともなう激しい物価高、一方では低迷する不動産価格に代表される深刻な資産デフレ、さらには緊縮財政等がもたらす厳しい景気後退にあえぐことでしょう。一方、上昇が止まらない失業率や拡大するばかりの資産・所得格差に対する市民の不満感がますます高まり、「ウォール街占拠運動」のようなデモやスト、暴動や騒乱の嵐が吹き荒れ、市民生活の安定が脅かされます。

 これらに加えてユーロ圏では、一部諸国のユーロ離脱などを受けて、ユーロ解体が現実味を帯びることになります。さらに各国の他国に対する感情も悪化し、経済的な繁栄とともに統一欧州の理念までもが失われていくのではないでしょうか。

(続く)

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リスクオフ深刻化のプロセスと金(ゴールド)との関係③

2012-07-23 00:01:08 | 金(ゴールド)

(前回からの続き)

 リスクオフ最終形:「金>円>ドル>ユーロ>新興国通貨」に至るプロセスを「第一、二、三段階」として、それぞれの段階ごとに各通貨の強さの序列がどのように変化していくのかなどについて、私見を述べて行きます。つぎに第二段階。

○第二段階:金≧円>ドル>ユーロ>新興国通貨
 「ドル不安」に火がついて「世界金融危機」が「世界金融恐慌」へ深刻化していくステージです。

 ユーロ圏ではギリシャが(事前の話し合いを経ようが、無秩序なものであろうが、いずれにせよ)債務不履行となってユーロを離脱するような事態に追い込まれるでしょう。さらにスペインやイタリアなどの諸国も国債が売り込まれて金利がさらに上昇し、市場からの自力による資金調達が不可能となってEUやECB(欧州中央銀行)などに各種の支援を求めます。

 やがて欧州のさらに多くの主要金融機関が経営危機に陥り、PIIGS諸国の金融機関はいうに及ばず、フランスの大銀行あたりまで経営破たんや過小資本状態に追い込まれるでしょう。各国政府もEUもこれら金融機関に公的資金を注入しなくてはならなくなりますが、そのための財政資金も、そして肝心のESM(欧州安定メカニズム)の資金までも底をついてしまいます。

 そして結局は「最後の貸し手」である欧州中央銀行(ECB)がPIIGS諸国債や関連のリスク資産を買いまくってユーロ紙幣を乱発するしかなくなります。その結果、通貨ユーロの価格と信頼は暴落し、ユーロ圏は通貨安がもたらす深刻な輸入インフレと緊縮財政がもたらす景気後退のダブルパンチでノックアウト寸前になる可能性があります。

 一方、「第一段階」では比較的落ち着いていたアメリカ経済も、この「第二段階」では厳しい状態に追い詰められるとみています。重要な貿易相手であるユーロ圏(アメリカの全輸出額のうち25%あまりを占める輸出先)の大混乱の影響で輸出が落ち込むとともに、一部のユーロ圏諸国のデフォルトや欧州金融機関の経営破綻などを受けてアメリカの金融機関の資産も傷つきます。

 さらに、「第一段階」ではせっかく持ち直していた株価が下落するとともに、一時的に安定していた住宅価格も再び下げ始めるとみています。その結果、資産効果が落ちて個人消費が冷え込むとともに、各種ローン破綻および金融機関の不良債権額がさらに増加して、多くの金融機関が経営危機に直面し、一部は実際に破綻に瀕するでしょう。それらにより「金融最終破壊兵器」CDS(Credit Default Swap)が火を噴く(決済事由が発生する)おそれもあります。

 こうした情勢のもと、FRB(連邦準備制度理事会)は、「第一段階」では手控えていた(温存していた?)QE3(Quantitative Easing:量的緩和第3弾)を発動せざるを得なくなります。そしてアメリカ政府も、金融システム危機を沈静化するため、リーマン・ショック直後と同様、巨額の財政資金の金融機関への投入に踏み切るでしょう。これまではFRBの金融政策で何とか誤魔化してきましたが、とうとう真の意味で、住宅バブルの負の遺産を清算しなければならなくなるということです。

 その結果、ユーロに続いてドルも大量に散布されるとともに、財政赤字がさらに増加するため、インフレ率が高まって金利も上がり始めます。そのため一時はおさまりかけていた「ドル不安」が再燃し、「第一段階」ではユーロ等に対して買われていたドルが一転、売られることになります。

 とはいっても世界最大の準備通貨・ドルにため込まれたマネーを逃がす先は限られます。この時点でドルよりも危なくなっているユーロや新興国通貨に逃避するマネーは少ないでしょう。

 かくして冒頭の不等式「金≧円>ドル>ユーロ>新興国通貨」にしたがって大量のマネーが、そして無国籍通貨である金(ゴールド)に向かうだろうと予想しています。つまり円独歩高」と世界的な金価格の高騰です。これを受けてわが国の長期金利はさらに下がっていくでしょう(2003年の史上最低0.43%を更新する可能性もあると思っています)。

 なお、円と金価格の関係は「金≧円」といったところと思います。この断面ではたしかに円建ての金価格も上がるものの、ドルやユーロ建て価格ほどの上昇率とはならないでしょう。金価格と同じく円もまた外貨に対して上昇するからです。その意味では日本人は、世界一、金を安く買えるポジションに立てるということです(現在でもそうですが・・・)。

(続く)

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リスクオフ深刻化のプロセスと金(ゴールド)との関係②

2012-07-21 00:03:40 | 金(ゴールド)

(前回からの続き)

 リスクオフ最終形:「金>円>ドル>ユーロ>新興国通貨」に至るプロセスを「第一、二、三段階」として、それぞれの段階ごとに各通貨の強さの序列がどのように変化していくのかなどについて、私見を述べて行きます。まずは第一段階。

○第一段階:円≧ドル>金>ユーロ>新興国通貨
 「世界金融不安」から徐々に「世界金融危機」に移行していくステージです。

 おもに通貨ユーロ不安にスポットが当たるという、ここ数ヶ月の状況です。欧州の金融不安、つまりPIIGS諸国の国債価格低下(利回り上昇)や、欧州の一部金融機関の破綻や経営不安が表面化したような段階です。

 すでにスペインやイタリアなどはまさにこうした局面に入りつつあり、実際に両国の国債価格が下がる(利回りが上昇して自力での資金調達限界ラインとされる7%程度に達する)とともに、1000億ユーロもの欧州安定メカニズム(ESM)の資金がスペイン金融機関救済のために投入される予定になっているようです。

 もっともここまでではギリシャのデフォルトやユーロ離脱、あるいは欧州の大手金融機関の連鎖破綻といったような、それこそユーロ崩壊に直結するようなシステミックリスクは発生していません。この場面では、ユーロや新興国通貨は売られますが、一方で円や日独国債、そして何よりもドルおよび米国債が安全資産とみなされて買われることになります。

 そして特徴的なのは、この段階ではが「リスク資産」と位置づけられてドルに対して売られること。世界第2の通貨ユーロの信認低下、その裏返しとしての基軸通貨ドルに対する信頼感や流動性確保の観点などから、ドルがユーロ・新興国通貨に対して選好される半面、ドルの代替通貨とみなされる金が敬遠されるトレンドとなっています。

 さらに世界屈指の金輸入国・インドの金需要が景気後退やルピー安の影響で落ちてきていることもあり、ここのところの金価格、とくにドル建ての金価格は1トロイオンス1550~1600ドル前後と、昨年秋のドル建て史上最高価格水準(同約1900ドル)から15%あまり低くなっています。

 この「第一段階」の局面では、ドル/円に大きな変化がない中で、ユーロ圏で何らかのネガティブな材料が出てユーロ/ドルと金価格が同時に下落するタイミングが日本人にとって金を買うチャンスと思っています(投資等のご判断は自己責任でお願いいたします!)。

 こうした中、アメリカ経済は、ユーロ圏の動揺や金価格の低下などにより、それなりの恩恵を受けられる立場になります。つまり、おもにユーロ圏からの逃避マネーがアメリカに集まることなどにより金利の低下がもたらされること。現に、7月20日時点での長期金利は1.47%と、アメリカ史上最低レベルとなっています。

 この低金利は住宅バブル後の借金の負担に苦しむ家計にとっては好ましい状態であるとともに、金融機関も、とりあえずのところは、貸し倒れ急増といったような経営危機につながる深刻な事態を免れることができます。

 こうした環境の下、住宅価格が下げ止まる傾向が見られたり、雇用数の増加が続いているといった統計結果が出てきていることなどから、アメリカ経済は底堅いという前向きな見方や、アメリカはユーロ危機から「デカップリング」でやっていけそうだ、といったような楽観論まで一部で語られるようになっています。

 しかし、欧米の金融不安は決してこの「第一段階」で止まってくれるほど甘いものではありません

 欧州ではPIIGS諸国の一部の債務不履行や大手金融機関の経営破綻、ECB(欧州中央銀行)による問題国債の無節操な買い入れなどによりユーロが暴落・崩壊の危機に瀕するでしょう。そしてアメリカは、このユーロリスクの多大な悪影響を貿易面や金融面で被るとともに、近々、わが国が経験したような住宅バブルの真の清算をしなければならないときを迎えるでしょう。

 こうして欧米諸国はリスクオフの「第二段階」である「金融危機」のステージへと入っていくことになります。

(続く)

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リスクオフ深刻化のプロセスと金(ゴールド)との関係①

2012-07-19 00:05:24 | 金(ゴールド)

 欧州ではソブリン危機に対処するための施策が立て続けに打ち出されています。

 先月末の欧州連合(EU)首脳会議では、金融システムに関する各種のリスクに対処するための恒久的な枠組みである「欧州版IMF」欧州安定メカニズム(ESM)の資金を政府を通すことなく問題金融機関へ直接注入することが認められました。さらに7月5日には欧州中央銀行(ECB)が政策金利の引き下げ(1.00%→0.75%)に踏み切りました。

 もっとも当初は7月上旬には発足するはずだったこのESMですが、なかなかスタートできないようです。ドイツ憲法裁判所のESMと欧州財政協定の合憲性に関する審理が終わっておらず、ドイツ大統領がそれらの署名を留保していることなどによるものです。

 ECBの利下げやESM発足のもたつきなどの影響で、ユーロ/円は先月末の1ユーロ約100円から96~97円前後にまで値を下げてきています。どうやらこの先も当面はこうした傾向、つまりPIIGS諸国関連等から何らかの悪材料が出てきてユーロや新興国通貨、株式などのリスク資産が売られ、かわりにドルや円が買われて日米独国債に資金が集まるという、「リスクオフ」モードが続きそうです。

 ところでユーロ圏でこうした不安材料が出てきたときのリスクオフは、以前から示しているリスクオフの不等式「金>円>ドル>ユーロ>新興国通貨」のとおりになるわけではありません。この不等式はリスクオフのいわば「最終形」で、これに至るまでにはいくつかの段階があると考えています。

 このあたりについて、「リスクオフの第一、二、三段階」として、円・ドル・ユーロなどの各通貨に金(ゴールド)も交え、それぞれの段階ごとにこれらの「強さ」の序列がどのように変化していくのかについて、次回以降、私見を述べていきたいと思います。

(続く)

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アップルの快進撃は続くのか②

2012-07-17 00:01:18 | アメリカ

(前回からの続き)

 そんなスマホ市場で生き残っていくためには、やはりどのスマホにも使われる基幹部品のシェアを確保することが重要となるでしょう。そうすればどのメーカーが覇権を握っても(あるいはそのメーカーに取って代わって他のメーカーがトップに立とうとも)、スマホが作られる限り注文が入り、着実に収益を上げることができます。

 すでに日本のメーカーの多くがこうした戦略を取っています。わが国の大手企業だけでなく多くの中小のメーカーまでもが、世界的なスマホブームに乗って売り上げを伸ばしています。スマホに使われるDRAM(エルピーダなど)、フラッシュメモリー(東芝など)、液晶パネル(シャープなど)、コンデンサー(ルビコンなど)などの基幹部品の多くは(一部は大半が)日本製。さらに一部の独特な仕様のスマホのボディー製造などにも日本企業の高い技術が活かされています。

 たしかにスマホの完成品となると日本勢は価格面で不利な戦いを強いられますが、一方で上記のようなパーツ類の開発・製造・販売でしっかりと高い世界シェアを確保し、利益を上げているのは頼もしい限りだし賢明だと思います。わが国の主要な輸出品の多くが最終消費財から中間財・資本財に移っている様子がこうしたことからも窺えますスマホを含むあらゆるハイテク製品の重要部材の研究開発や製造分野において、今後も日本企業が高い技術力と創造性を発揮して世界をリードしていくことを期待したいですね。

 ところでアップルはハード面の独自技術をほとんど持っていないといわれます。半導体を内製しているわけでも液晶パネルを自社で開発しているわけでもありません。そうした意味では、アップルは、「アップル」というブランドイメージ、つまりアイディアやデザインが価値を生み出している会社ということができるでしょう。

 そんなアップルですが、7月中旬時点のNY株式市場における時価総額は43兆円あまり(1ドル80円換算)と、エクソンモービルや中国のペトロチャイナなどを抑えて何と世界第1位です。アップルの株主は、アップルの持つブランドイメージに、世界最大のオイルメジャー以上の評価を与えているということでしょうか(うーん・・・)。

 その真価はこれから判明するでしょう。スマホやタブレットなどのように覇者の栄枯盛衰が激しい分野で、技術力抜きのアイディア勝負だけで、世界一の会社・アップルがどこまでこの企業価値を伸ばしていくことができるのか、注目されます。

(「アップルの快進撃は続くのか」おわり)

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アップルの快進撃は続くのか①

2012-07-15 00:05:31 | アメリカ

 ウェブで検索してみると、中国あたりでは米アップル社のiPhone4Sそっくりのスマートフォンが大量に出回っているようです。それもiPhone4S発売の直後から。しかもある意味でスゴイのは、それらの多くは、見た目や化粧箱だけではなく、使い勝手やアプリなどの機能も本家に引けを取らない上、値段のほうは本家よりもずっと安いこと。「まったく中国って国は・・・」と思うと同時に、「よくもまあこれほど本物に近いモノを短い時間で作れるものだ」と感心すらしてしまいます。

 現在、世界各国でアップルと韓国サムスン電子がスマホ販売トップの座を競い合っています(2012年第一四半期の世界販売シェアはサムスン29.1%、アップル24.2%)。いくつかの国々では互いに特許侵害等の訴訟合戦を繰り広げるほどの過熱ぶり。日本企業もがんばってはいますが、わが国の市場を含め、世界シェア争いでは両社には遠く及ばないのが実情です。

 一方で、つい数年前ほどまでは世界ナンバー1だったフィンランドのノキアが凋落(同8.2%)し、その間にも中国製品が安値を武器にアジアやアフリカなどの新興市場を中心にシェアを拡大するなど、スマホ市場は短い周期で旬のメーカーがめまぐるしく変動するマーケットとなっています。

 ところで、そんなスマホ市場でサムスンとともにトップに君臨するアップルですが、この厳しいシェア争いをこれからも制していけるかどうかは不透明といえるでしょう。その理由は、今後、スマホは性能や価格による差別化がますます難しくなるものと予想されるためです。

 スマホ市場では、サムスンはいうに及ばず、わが国や中国などのメーカーが次々に新製品を市場に投入してくるほか、最近はOS会社とみなされていたグーグルやマイクロソフトまで独自のタブレットを開発・発表するなど、競争がいよいよ熾烈となっていく気配が漂っています。

 さらにいえば、冒頭で紹介した中国のコピーまがいの製品を見れば分かるとおり、スマホは材料さえ揃えられればいまやどこの誰でも作ることができてしまうほど、ある意味で新規参入が容易な製品となっています。こうした状況を見るにつけ、アップルに限らずどの会社にとってもスマホで稼ぐのはこれからは大変になりそうだな、と思わずにはいられません。

(続く)

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金融危機の手かせ足かせで政策が縛られるドイツとアメリカの苦悩④

2012-07-13 00:03:41 | 世界共通

(前回からの続き)

 そもそもアメリカは世界最大の経常収支赤字国(2011年は4700億ドルあまりの赤字)。1991年以降は一度も経常収支黒字になったことがなく、国内では過少貯蓄状態が続いています。そして財政赤字や対外純債務(2011年時点で約200兆円以上)も拡大の一途です。つまりアメリカはつねに外国から借金をしなければならない状態にあるということです。

 それでもドルや米国債が買われている(金利が下がっている)のは、やはりドルが基軸通貨であるためでしょう。そして最近の為替のドル高ユーロ安傾向で分かるとおり、世界第2の準備通貨であるユーロに対する信認が揺らぎ、ユーロからドルへのマネーシフトが起きていることも大きいと思います。

 しかし、いくらドルが基軸通貨とはいえ、これだけ大量にドルやドルの借金証書である米国債が刷られれば、ドルの価値や信頼性は薄らいでいかざるを得ません。最近の金(ゴールド)価格の高騰や、中国、ロシアなどの諸国が米国債の保有額を減らす一方で金準備を増やしているのもその表れといえます。

 こうした中、今後も外国の資金を自国に呼び込むしかないアメリカとしては、各国の「ドル離れ」を助長する財政赤字のこれ以上の拡大は何としても避けたいところでしょう。そしてアメリカ政府は来るべき金融機関への公的資金注入にともなう巨額の財政支出を念頭に置いているものと思われます。そのためアメリカは金融システム救済以外の用途で財政拡大を図ることができず、結果として低金利というせっかくのチャンスを景気対策に十分に活かすことができなくなっているのだろうと解釈しています。

 これまでに記してきたようなドイツやアメリカの情勢をみると、いかに現下の金融危機が両国経済の手かせ足かせとなっているかを実感します。欧米諸国はこの金融危機を完全に克服しない限り、新たな経済成長のステージには決して入ってはいけないでしょう。

 これに対して、バブル後の不良債権処理をほぼ終え、金融危機再発のおそれが遠のいたわが国は、低金利という借り入れに有利な環境を政策に活かす余地が大きいと思います。つまり、国債を発行して、経常黒字がもたらす自国の潤沢な貯蓄から資金を調達して公共投資を中心とした経済政策を展開するのです。こうした財政出動で景気を活性化して経済成長と税収の拡大を図るという需要創出策(=デフレ対策)の推進こそ、円高(外貨安)や長期金利低下というメッセージが指し示す政策の方向性だと思うのですが、いかかでしょう。

(「金融危機の手かせ足かせで政策が縛られるドイツとアメリカの苦悩」おわり)

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金融危機の手かせ足かせで政策が縛られるドイツとアメリカの苦悩③

2012-07-11 00:03:28 | 世界共通

(前回からの続き)

 つぎに世界一の経済大国アメリカはどうでしょうか。

 以前からリスクオフの不等式として「円>ドル>ユーロ>新興国通貨」を示していますが、最近は「円≧ドル>ユーロ>新興国通貨」といったところ。つまり、ユーロが動揺する中、ユーロからドルへの資金移動が続き、ドルがユーロや新興国通貨に対して買われるというドル高傾向が続いています(円もユーロ等に対して買われてはいますが、それよりもドルに対する需要が大きいことなどから、最近のドル/円は78~80円付近での小動きとなっている感じです)。

 そして安全資産として米国債も買われて価格が上昇する反面、長期金利のほうはアメリカ史上最も低い水準にまで下がっています。したがって、連邦債務の上限という法制上の制約はあるものの、足元の情勢に限れば、アメリカはこのマネーの流れに乗って低金利で資金を調達して景気対策を実行することが可能になっているように思えます。

 しかし、そううまくはいかないでしょう。以前から指摘しているように、近いうちにアメリカもまた新たな金融危機に直面し、住宅公社や大銀行などの金融機関への財政支援を余儀なくされると予想されるからです。つまり、道半ばの不動産融資関連の不良債権処理という「膿み出し」をいずれ行わざるを得なくなるし、ユーロ圏の金融危機のアメリカへの波及がこれから本番を迎えるだろうということです。

 アメリカはリーマン・ショック直後の2008年10月に緊急経済安定化法を制定し、総額7000億ドルにも上る公的資金を使って金融機関の不良資産の買い取ることを決定しました。これらも含め、結局、アメリカは同ショック後の景気対策と金融機関救済のために1.5兆ドルもの財政資金を投入しています。

 今回のユーロ圏のソブリンリスクや住宅バブルの真の後始末、そしてそれらのデリバティブの清算などに必要となる公的資金もリーマン・ショック級、あるいはそれ以上の規模に上るだろうと予測しています。リーマンブラザーズ1社の破綻に対処するだけで1.5兆ドルもの巨費を投じていますから、まもなく始まるこうしたリスクのドミノに動揺する金融システムを支えるために、いったいどれほどの財政コストがかかるのか見当もつかない、という見方は悲観的過ぎるでしょうか。

(続く)

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