世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
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【欧州不安が急に取り沙汰され始めた理由】危機の本丸:米金融システム④

2014-10-29 00:02:32 | アメリカ

前回からの続き)

 ここのところのアメリカの株価の急落局面でマーケットから聞かれる声の多くに「欧州の景気不安が意識された」なんてものが多いことに気づかされます。でも・・・(今月初め)IMFが指摘するまでもなく、欧州の景気低迷は何もいまに始まったことではありません。そして上述したように、2010年前後のソブリン危機で苦境に陥ったPIIGS諸国の財政再建がまったく進展していない状況に変化はありません(たんにEU等の国際機関からの融資および債務の返済期限延長等で危機が表面化していないだけ・・・)。つまりこれらの改革が今月に入って急に行き詰まったわけではない、ということです。

 にもかかわらず、なぜ「欧州」がしきりにクローズアップされ始めたのか、といえば・・・やはりこれまた米FRBQE終了と大いに関係があると思っています。

 これまで綴ってきたとおり、QEマネーの供給終了で債券の「双子のバブル」が縮小に転じるとの観測から、世界の金融市場が動揺し、とりわけ米株価が激しく乱高下しながら徐々に下落基調を強めつつあります。で、アメリカにとってこれは超マズいわけです。だって、シツコク指摘してきたようにそれは悪夢の「資産デフレ」につながるため。だからといってこのタイミングでQEの再開を言い出せないアメリカとFRBは、結局、実質的なQE4―――このバブルを膨らませる低利マネーの供給を他の中銀に頼るしかなくなった。その依頼先が日銀、そしてECB(欧州中央銀行)、というわけです。FRB以外で、この巨大バブルを支えるだけの力のある中銀は、世界にこの両者しかありませんから・・・。

 で、先日こちらの記事に書いたとおり、従順なわが国の日銀は「ははーっ」とばかりに「異次元緩和」によってアメリカのこの思いに応えているところです。でも、日銀のおカネだけではちょっとパワー不足で、やっぱりECBにも協力してもらわないと・・・。ということでアメリカは、欧州の景気後退をさかんに問題視することにした―――それによってECBに緩和的な金融政策(つまりQEの実行)―――低利マネーのマーケットへの大量放出―――を促そうとプレッシャーをかけ始めた、といったあたりが今回冒頭「欧州不安」とやらの本当の背景なのではないでしょうか。

 このへんにアメリカのプライドの高さを感じますね~。あたかも相手(欧州)のほうが悪いとでもいうように(まあ欧州がヤバいのは間違いないけれど・・・)、欧州・ECBには行動が必要だ、みたいな風を装ってみたりして・・・。もっと素直に「ECBよ、たのむ!どうか量的緩和策を実施してわがステイツを助けてくれ~」って言えばカワイイのに・・・(うーん、そんな救済を求めたら「アメリカはそんなに厳しいのか」となって株・債券ともに暴落してしまうから、やっぱり無理ですね)。

 しかし・・・日銀と違ってECBはアメリカの期待に沿えないでしょう。ECBにはFRBや日銀がやっている「国債の買い入れ」ができないからです。そんなことをしたらEU圏内の脆弱な国々―――PIIGS諸国等が構造改革をサボり出し、次々に国債を振り出してECBに引き受けさせるから。それは結局、ECBと通貨ユーロの信認を崩壊させることになる―――だからECBはQEをするわけにはいかない―――といったあたりがEU・・・の盟主であるドイツの信念だと思われます。実際、オーストリアの中銀総裁が先日「もしQEが国債の買い入れと定義されるならば、現在それは協議されていない」といった趣旨の発言をしています。これはドイツのスタンスと合致するものです。

 というわけで、ECBは当てにできない―――アメリカは苦しくなりそうです・・・。さあ、ただいまFOMC(連邦公開市場委員会:FRBの金融政策決定会議)真っ最中のFRBよ、どうする!? 予定どおりQE3を終えるのか、それとも・・・

続く

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【株高・債券高:米金融市場の異様】危機の本丸:米金融システム③

2014-10-27 00:01:33 | アメリカ

前回からの続き)

 ふつう、好況・不況の景気循環においては以下のような関係が成り立つと考えられます。

  好況時:株価[高]、債券価格[低]、長期金利[高]

  不況時:株価[低]、債券価格[高]、長期金利[低]

 景気が良いときは好業績企業の株式や融資にマネーが回るため株価が上がる一方、安全資産からはマネーが流出するので国債等の価格は下がって長期金利が緩やかに上昇する。これに対し、景気が良くないときはこれとは逆の現象が起こる、ということです。その意味するところは、株価か債券価格のどちらかが高くなることはあっても、この両者が同時に高くなることは考えられない、ということ。

 ・・・その「ありえない!」はずの現象がいまのアメリカで起こっているわけです。これを上記の図式にならって表すと、

  株価[]、債券価格[]、長期金利[

ということになります。低い長期金利のもとでの「株高・債券高」という異様な状態―――まさに「双子のバブルです。前回書いたように、これはFRBによる量的緩和策(Quantitative EasingQE)によって生み出された、通常の経済的常識の視点から見て極めて「不自然」な状況といえるでしょう。

 ではなぜこんなことになってしまったのか?ですが・・・本ブログで何度も綴っていることなので端的にいうと、もうアメリカにはそれしかなかった、つまりQEによる債券買い支え―――低利マネーの大量供給と債券価格の高値維持および金利の低め誘導を図って資産バブルをあおり続けるしかなかった、ということだと考えています。その結果もたらされたのが、この瞬間、世界が目の当たりにしている2匹の巨大な「マシュマロ・マン」(80年代の傑作アメリカ映画「ゴースト・バスターズ」のクライマックスに登場する巨大ゴースト)・・・。

 本当は、サブプライムローン・バブルが崩壊した2007年の時点で、あるいは遅くとも2008年秋のリーマン・ショックの時点で、アメリカ、そしてFRBは不動産バブルの最終清算=不良債権の抜本的処理に着手しなければならなかったのでしょう。しかし・・・こちらの記事に書いたように、膨大な「双子の赤字」(財政&貿易赤字)を抱えるアメリカにはその手が使えなかったので、不動産価格が完全に下がり切っていなかったにもかかわらず、危険な「資産バブルよ、もう一度!」の道に突き進み、安易な「麻薬」=FRBの過剰流動性供給策(中銀マネタイゼーション)依存に陥ってしまった。そのあげくの果てが上記2つのバブルの誕生―――優良株とか高格付債券ばかりかボロ株やジャンク債に至るまで、アメリカのみならず世界各地の株式・債券両市場のありとあらゆる資産にQEマネーがパンパンに注入された状態―――になってしまったというわけです。

 で、この「双子のバブル」、おそらく現時点(というか先月中旬?)が史上最大サイズなのではないでしょうか。なぜなら間もなくQEマネーのマーケットへの供給が終わるからです。ということは、あとは勢いよくしぼむだけ―――株価・債券価格ともに「自然」なレベル、つまりそれらが持つ本来の価値のラインに向けて急落(金利は上昇)していくことになりそうですが・・・

続く

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【「双子のバブル」(株&債券)堂々誕生!】危機の本丸:米金融システム②

2014-10-25 00:01:27 | アメリカ

前回からの続き)

 一方、これだけスゴイ勢いで株価が上がっているわけだから、その分、債券は売られて利回りは上昇するように思えますが・・・アメリカ長期金利は低いまま。昨年末から今年初めにかけて一時、3%のラインを越えましたが、その後は徐々に下がって、今月初めまではおおむね2%台半ばを推移してきました。逆にいうと、米国債の価格がそれだけ高いということになります。

 ならば、きっと米国債以外の格付けの低い債券がかわりに売られているのだろう、と思って調べてみたら・・・まったく逆で、買われまくっていた・・・!

 たとえば、もっとも危険な国債の代名詞となっている(?)ギリシャ国債(10年物)の利回りですが、この夏から9月中ごろにかけては5%台半ばと、同国にしては異常なくらい(?)低いレベルで推移していました。これは欧州ソブリン危機前と同じ水準です。こちらの記事などにも書いたとおり、ギリシャ経済の構造改革はまったくといってよいほど進展していないのに、国債価格だけが不釣り合いに上昇している印象があります。

 ギリシャやアフリカ諸国など新興国の国債だけではありません。社債もまた高値で取引されているもようです。米調査会社の調べによれば、比較的信用リスクの大きな「トリプルB」「ダブルB」「シングルB」の格付け企業が発行する社債の全社債発行額に占める割合が2008年の21%から2014年は42%にまで上昇しているそうです。格付けがシングルA以上の企業に比べて債務不履行の可能性が高いこれら企業の社債がバンバン売れている理由について、ある資産マネジメント会社は「債券への需要があまりに大きかったため、投資家はどんな社債でもいいから、とにかく高い利回りを求めて格付けを見過ごすようになった」とのこと。

 これを裏付けるかのように、シングルA企業とトリプルB企業の1年間のデフォルト率の差が小さくなっているそうです、前者は12ベーシスポイント(bp1bp=0.01%)で後者が16bpと、その差はわずか4bp。で、以前はこの差がずっと大きかった―――それだけ投資家が社債発行企業の信用度をもっとしっかりと見極めていた―――リスクマネジメントができていた。でもいまは・・・。

 といったように、米国債はもちろん、いまや低格付け国のソブリン債やジャンクっぽい社債までもスゴイ高値になっている(利回りが低くなっている)わけです。いや、この9月までは金融マーケットが「リスクオン」モードだったから、リスキー債券の価格がこうして上昇するのは、ある意味、自然だったのかも・・・。

 むしろ驚かされるのは、まるで「リスクオフ」のときみたいに相対的に安全度の高い米国債までもが高価格となったことでしょう。これが示唆するところは・・・信用リスクの大きな債券が売れに売れてアメリカの債券の価格とそれほど変わらなくなり、その結果、投資妙味が増した米国債にもマネーが流入した、といったあたりでしょうか。

 そんなわけで、もはや格付けがまったく意味をなさないくらい、すべての「債券」と名の付くものの価格は行き着く限りの高みに達した―――アメリカ等の債券市場は、まさに「債券バブル」というにふさわしい状態になっているといえそうです。

 この債券バブルに、前回綴った株バブル・・・この両者が並存するという、これまでの経済学の常識では「ありえない!」はずの異様な光景をいま、世界は目の当たりにしています。わたしは勝手にこれをアメリカの「双子のバブル」と呼んでいます。いやはや・・・「双子の赤字」(財政&貿易赤字)に続き、また何とも厄介な双子が誕生したものです・・・(ため息)。そしていうまでもなく・・・その「生みの親」は米FRBであり、そのカロリーたっぷり(?)の栄養源は、QEマネーです。

続く

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【米株価、9月中旬でピークは過ぎた?】危機の本丸:米金融システム①

2014-10-23 00:03:43 | アメリカ

 メディア曰く「世界経済の減速懸念で・・・」って違うでしょ!金融市場の波乱の元凶は「アメリカ」にあり!

 ここのところアメリカの株価が不安定な値動きをしながら徐々に下落している感じです。その理由は、もとよりぱっとしない世界各国の景況にあるのではなく、ましてやエボラ出血熱の患者数増加(!)でもなく、これまで米株価を押し上げるエンジンとなってきた米FRBの量的緩和策(Quantitative EasingQE)が(たぶん)今月で終了するため。ぱんぱんに膨らんだ風船に息が吹き込まれなくなれば急速にしぼむように、QEマネーの供給が止まれば株バブルが収縮するのは当たり前です。何せ米株価は、QEのせいで、実際の上場企業パフォーマンスを反映するにはあまりに高すぎるレベルに達しているわけだから・・・。

 それを象徴的に示すデータが株価収益率(PER)の高さ。表面上の数値をチェックしてみたら、S&P500種株価指数を構成する企業の過去10年のPERは平均13.8倍で、今後1年は15倍くらい、といった予想がどうも多いようですが・・・。

 ところが実態はだいぶ違うようです。ブルームバーグの報道によると、米イェール大学のロバート・シラー教授のCAPE(Cyclically Ajusted P/E Ratio:過去10年間のインフレ調整後のPER)は9月中旬時点で26.5倍と、長期平均値16.5倍を61%も上回っているとのこと。かりにいまの値がこの平均ラインまで下がるとすると、米株価は現時点の半値よりも下がることになるそうです。そして、株価が騰勢にあるときにアウトパフォームするように、下げ足を速めるときはしばしばアンダーシュートする―――この長期平均値をかなり下回るところまで落ち込むとのこと・・・。

 さらにコワいのがこの先の米株価の見通しです。このシラーCAPEはこの20年間のほとんどにわたって平均値を上回ってきたために、(この平均値が正しいとしたら)これからは何年にもわたって16.5を下回る水準の低い株価の期間が続くだろう、というのです・・・。

 とまあ、つい先日(9/18)、株価が史上最高値(ダウ工業株30種平均:17266ドル、S&P500種:2011)をつけたばかりのときに、そしてまもなくQEが終わろうというこのタイミングで、何とも不気味な現状分析&予想が出てきたものだ、と感じます。

続く

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【右でも左でもなく「日本愛」を!】右翼とは何か④

2014-10-21 00:04:52 | 日本

(前回からの続き)

  前回、日本における右翼・左翼の判断基準は、「アメリカとの距離感」という個人的な見方を綴りました。アメリカと緊密な関係、ときには従属的な関係を築こう、あるいは保とうという勢力が「右翼」、その逆にアメリカとは距離を置こう、という勢力が「左翼」ということです。ここでは右・左の世界共通の判断基準―――「小さな政府」か「大きな政府」か、はほぼ無関係です。

 そしてこの日本独自の見方においては、アメリカ以外の他国に対する好き嫌いの感情や愛国心の強さなどは、右・左の区分を決定づける要素にはならないようです。

 たとえば・・・安倍政権は先述のとおり「極左」北朝鮮に対して拉致被害家族の方々さえ懸念するほどの「すり寄った感」の強い対応をしていますが、上記の基準からすれば、同政権が対米従属スタンスを維持する限り、これは右翼の批判対象にはなりません。一方、どんなに反・共産中国の言説を唱えても、そしてどれほど日本の素晴らしさを熱く語っても、その人がアメリカのネガティブ面を少しでも指摘していたら、もうその人には「左翼」のレッテルが貼られてしまう(!?)。で、やはりこの国の「右翼」は、「反中」とか「嫌韓」とか「愛国」である以前に、まずは「従米」でなければならないのだろう―――そんなふうに感じています。

 政府の規模でもなく、ましてや中国でもなく、「アメリカ」こそがこの国のイデオロギーの基準である―――ということで、いまの日本では・・・現政権のもと、かなり「右寄り」つまり「アメリカ寄り」の考え方や論調が支配的になっているように感じられるわけです。アメリカに対するポジティブな見方は何でもOKで、その逆はNGといったところです(そう見ると、わが国が国連の安全保障理事会常任理事国になる意味はそれほどない―――日本はアメリカのYesにはYes、NoにはNoというだけでしょうから・・・。アメリカが対日制裁案を同理事会に提案したら、日本代表はYes票を投じたりして!?)。

 この風潮は危険だと思います。アメリカに限った話ではありませんが、過ちを犯さない国なんてないなかで、ひたすらアメリカ一国の状況や政策を肯定するばかりだと国益を損なうおそれがあると考えるからです。このあたりは外交面や軍事面でいろいろ思い浮かびますが、とりわけ直近でマズイな・・・と感じているのは、米経済に対するあまりに楽観的な見通しに賛同し協調すること。裏を返せばそれは「アメリカはバブルなんじゃないの!?」という至極当然のことを誰も言えないようなことを意味します。それは結局「売国」への道―――金融政策や為替政策をはじめ、企業や個人の投資戦略等をミスリードして、わが国に大きな損害を与えかねない、と心配しているところですが、「右翼」の方々のそのへんの認識はいかがなものなのでしょうか・・・。

 まもなく始まる資産バブル崩壊の前触れなのか、世界の金融マーケットには黒雲が立ち込めてきたようです。この先、あまりに右(アメリカ)に寄り過ぎて痛い目に遭わないよう、国もわたしたちも気を付けないと・・・(米株価暴落・ドル急落局面で、どうか円売りドル買い為替介入なんてことを政府・日銀がしませんように!)。こんなときでも、やはり拠って立つところは右でも左でもなく、真の「日本愛」なのではないか―――そんなことを思います。

(「右翼とは何か」おわり)

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【わが国の左右の判断基準:従米か離米か】右翼とは何か③

2014-10-19 00:04:14 | 日本

(前回からの続き)

 前回、右翼左翼か、というときの判断基準が、アメリカなどの世界各国では経済・社会における「政府」が果たす役割の大きさ―――「小さな政府」→右、「大きな政府」→左―――であるのに対し、どうも日本ではそうではないようだ、といった私的な印象を綴りました。現在の安倍政権が、2年前までの民主党政権に比べて政策的には左寄り、つまり「大きな政府」的な取り組みがけっこう目につくにもかかわらず、世間一般の捉え方からすると「右寄り」に位置付けられているように感じられる、などのためです。

 では、わが国において右か左かを見分ける基準は何か、ですが・・・個人的には「アメリカとの距離感」だと考えています。親米、つまり日米間のさまざまな距離を縮めていこうという勢力が「右翼」、一方、離米、つまりアメリカから離れようという勢力が「左翼」ということです。

 この基準に照らせば、いまの安倍政権が「右寄り」というのもうなずけるところです。それどころか「極右」(?)といえるかもしれません。違憲の疑いが濃厚な集団的自衛権行使を容認し、アメリカ軍に「従って」(「従米」して)広く世界各地の武力紛争地域に自衛隊を派遣しようとしているようにみえるからです。それに金融政策の面でも日本国民に通貨安の痛みを強いてまで資産バブル再膨張に手を貸してアメリカをアシストしているわけで・・・。

 これに対し、前の民主党政権ですが・・・こちらの記事に書いたように、少なくとも鳩山内閣には「左寄り」、つまりアメリカと距離を置こうという政策的意図があったように感じられます。政権発足当時、中国に党の大ミッション団を派遣したり、アメリカ抜きの「東アジア共同体」構想を進めようとしたりしたからです。まあこれらは20109月に偶然(?)発生した中国漁民の尖閣諸島上陸騒動やその後の日中関係悪化によって頓挫してしまいましたが・・・。

 他方、日本では本来的な右翼・左翼論―――小さな政府・大きな政府のどちらがのぞましいのかといった議論―――はほとんど存在しないといってもいいでしょう。かつての西側陣営(資本主義陣営)には、「政府100%」つまり自由な企業活動を認めない社会だからこそ共産ソ連・中国を敵視してきた面があるわけですが、わが国が中ソと対立関係にあったのは、べつに共産党の「大きな政府」に嫌悪感を持っていたからではなく、両国が当時、西側の盟主・アメリカの仮想敵国だったため。そのアメリカの方針に同調する立場、つまり「右」は反中ソになり、その逆の「左」は中国やソ連寄りとみなされるようになった―――「小さな(大きな)政府」志向などとはまったく無関係に―――ということだと認識しています。

(続く)

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【左翼的な?安倍政権】右翼とは何か②

2014-10-17 00:03:20 | 日本

(前回からの続き)

 前回、右翼」か「左翼」か、というときの判断基準は、社会・経済における「政府」の役割の「大きさ」と書きました。この役割をできるだけ小さく、つまり小さな政府」を志向する勢力が右翼(右寄り)、その逆に「大きな政府」を志向しようとする勢力が左翼(左寄り)といったように色分けできる、ということです。

 この左右両翼の考え方の違いは、たとえば、アメリカにおける「オバマケア」(公的医療保険制度改革)の推進をめぐるオバマ現「民主党」政権(当然、推進派)と、「ティーパーティー派」(これを連邦政府の権限の拡大―――「大きな政府」[富裕層に対する課税強化等]につながる動きとして反発)の対立の構図などに表れていると思います。

 さて、この基準をいまの日本にあてはめてみるとどんな具合でしょうか。個人的な結論を先にいうと、現在の安倍政権のスタイルは・・・「社会主義的」「左翼的」「左寄り」に感じます。というのも同政権は、アベノミクス≒円安誘導による輸入インフレおよび消費増税によって意識的に「民間」活力を抑制する一方、それを穴埋めするために(?)「政府」の出番を増やそうという姿勢を示しているからです。このあたりは、民間勤労者の実質所得が下がっているなかでの国家公務員給与の「引き上げ」実行や公共事業の展開の仕方―――前倒し実施とか「地方再生」の旗印の下で計画されている諸事業等―――などに反映されていると思います。自民→公共事業→地方→非効率、なんて連想が浮かぶなあ。ミョーな財政出動をするより円安誘導を止めてガソリン、灯油、飼料、肥料等の輸入原材料の円建てコストを下げるほうがよっぽど地方のためになるのに・・・。

 ついでにいえば外交にも左翼的な面が・・・。いまや地上唯一の共産主義国といえる(?)北朝鮮に対する宥和的(?)な態度です。誰が日本国総理大臣でも、拉致問題解決を図ろうとするのは当然ですが、米中を含む周辺国が核開発を進める北朝鮮に対して厳しいスタンスを取っているときに安倍政権は、かの国がろくな再調査ができていないにもかかわらず、そして拉致被害者家族が懸念を表明しているのに、訪朝団を派遣する方針を固めたもよう。何ともハラハラさせられます。失政を挽回しようと功を焦るあまり(?)、戦没者遺骨収集事業の推進等の名目で法外な「身代金」の支払いを「極左」勢力に約束してしまうのではないかと・・・。それこそ売国的行為なのでは!?

 この北朝鮮の件は別にして、先の民主党政権の政策運営には・・・「右翼的」「右寄り」な面がけっこうあったように思えます。それを象徴するのが「コンクリートから人へ」のキャッチフレーズ。これがさかんに唱えられていた頃、つまりいまから4年前の2010年度予算をみると、まさにそのとおり、公共事業費が前年度から約1.3兆円、率にして18.3%も削減されています。これにも関連しますが、同年度予算編成から「事業仕分け」(行政刷新会議)も導入されました。これらはいずれも財政支出の削減を意図したもの、つまり「小さな政府」をめざす政策だったといえるでしょう。

 というように、右翼・左翼の世界一般的な判断基準―――「小さな政府」か「大きな政府」か―――でみたとき、いまの自民党政権は左寄り、そして以前の民主党政権は右寄り、といった見方ができると思っているのですが・・・日本人の普通の感覚ではこれとは逆―――自民:右、民主:左でしょう。ではなぜ、上記のように「大きな政府」志向が感じられる安倍政権が「右翼」となるのか?ですが・・・

 (続く)

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【右と左の違い:政府の関与の大きさ】右翼とは何か①

2014-10-15 00:01:52 | 日本

 インターネットの普及や最近の世論を反映してか、「ネトウヨ」と称される方々の言論活動が盛んになっている印象があります。いうまでもなくネトウヨとは「ネット右翼」のことですが、以前からこの「右翼」という言葉、そしてこれに対する「左翼」という言葉には、日本独特の意味合いがあるように感じています。本稿ではこのあたりについて考えることを綴ってみたいと思います。

 Wikipedia等によれば、右翼とはフランス革命中に作られたワードで、仏国民議会で旧体制の維持を支持する勢力(王党派や貴族派など)が議長席からみて右側の席を占めたことに由来するとのこと。彼ら彼女らは権利や財産などの既得権益を守ろうとする人々だったのに対し、共和派など、この体制構造を変革し、より平等な社会を目指そうとするグループが左側の席に陣取っていました。これが左翼ということになります。

 これらが転じて、いまは、大ざっぱにいうと、左翼は社会主義や共産主義をめざす勢力、そして右翼はこれらに反対して資本主義を擁護する勢力と位置付けられているわけです。細かく見れば、右翼、左翼のそれぞれにはもっとたくさんの区分があるみたいですが、まあだいたいこんな感じ―――右翼:資本主義者・自由主義者、左翼:社会主義者・共産主義者―――でしょう。

 で、資本主義とか共産主義などというとき、これらの比較で何がもっとも違うのか、といえば、それは・・・「経済・社会への『政府』の関与の度合い」だと考えています。つまり、右翼(資本主義者等)はできるだけ政府(各種権限や課税や財政支出など)の関わりの小さな社会をめざそうとし、一方で左翼(社会主義者等)は、できるだけ政府の関わりが大きな社会をめざそうとする、ということ。右翼:「小さな政府」派、そして左翼:「大きな政府」派といったところで、右から左に行くにしたがって政府の存在感が大きくなります(逆に、左から右に行くにしたがって小さくなる)

 このあたりをいまのアメリカのおもな政治勢力名を使って並べてみるとこんな感じでしょうか―――。

 リバタリアン(Libertarian:自由至上主義者[とでも訳すべきか?])<政府0%!?>

 ティーパーティー(Tea Party:ティーパーティー運動賛同者)

 リパブリカン(Repubican:共和党支持者)

 デモクラット(Democrat:民主党支持者)

 ソーシャリスト(Socialist:社会主義者)

 コミュニスト(Communist:共産主義者)<政府100%!?>

 ―――この分類では一番上のリバタリアンが「極右」つまり(さすがに0%とはいわないまでも)政府の社会・経済への関与の割合を極端に小さくしようというグループで、ここから下に行くにしたがって徐々に右から左、つまりこの割合が高まり、一番下のコミュニストが「極左」つまり政府が社会・経済活動のほとんどをコントロールすべきだと考える人々ということになります。もっとも現在のアメリカに下の2つはほとんど存在していないようですが・・・(?)

 このように、イデオロギーとか政策が右か左か、というときの判断基準は、「政府」の「大きさ」だ、と個人的には思うわけです。

(続く)

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【米中両国、日ロ対立を対日戦略に利用】北方領土返還交渉、水面下で進展の兆し⑤

2014-10-13 00:02:24 | 日本

前回からの続き)

 わが国の安全保障にとってもロシアとの国境画定はたいへん重要です。それによって「北の守り」にかかる国防コストが軽減されることはもちろん、日本に対する周辺各国からの様々な圧力を和らげることが期待できるからです。

 中国、韓国、北朝鮮、そしてアメリカ・・・周囲にあるこれらの国々は、わが国をけん制する目的で、あるいはわが国から利益を得る目的で、北方領土問題を巡る日本とロシアの対立を利用してきました。たとえば中国は、中国が北方領土のロシア帰属を、そしてロシアが尖閣諸島の中国帰属を、それぞれ認め合う「クロス承認」をロシアに働きかけたことがあるようです。同盟国のアメリカにしても、対日武器セールス等を推進するうえで、これまでソ連そしてロシアの脅威を日本側に強調してきたはずです。

 北方領土問題という日ロ間の最大の支障がなくなれば、もはや周辺国は上記のような、日本の国益にとってマイナスとなる働きかけができなくなります。そうした意味でも、わが国はロシアと一刻も早くこの懸案を解決するべき―――そしてそのための現実的な選択肢が「面積等分方式だと思っています。

 とはいえ、日本としてはこのラインが譲歩できる限界というスタンスで返還交渉に臨むべきでしょう。なのでロシアが相変わらずの歯舞・色丹2島返還での妥結を求めてきたら「話にならない!」と席を立つ気概を示すべきと考えます。それでは永久に北方領土は返ってこない・・・ってことはないと思います。先述の理由から、わが国との関係を深めたいロシアは、遅かれ早かれ交渉のテーブルに戻ってくると楽観しているからです。以下のような事情もあるし・・・。

・・・今年2月に開催されたソチ五輪にロシアが投じた費用は約510億ドルだったとのこと。これはロシアのGDP(2013年:約2.1兆ドル)の約2.4%にも達する巨額です。モスクワなどの大都市から遠く離れた「点」にそんな大金を注ぎ込む余裕なんてあるわけないような・・・。そして2018年、ロシアは今度はサッカーW杯の主催国になりますね。そうですか~。では次回もソチ以上に立派な、つまりたっぷりおカネをかけた大会にしてもらおうではありませんか~。それによって財政支出が増え、原油価格の採算ラインが上がっていけば、おのずとロシアは日本に接近してくるでしょう・・・。

・・・とまあそこまで長い時間をかけることなく、できるだけ早期に領土問題を解消することが日ロ両国にとってのぞましこと。わが国にとっては親日家といわれるプーチン大統領の在任期間中(2018年まで?)がチャンスと思います。さすがに次(今秋?)の訪日時にすべてが決着するとは思えませんが、何らかの進展のサインなりシグナルが示される可能性はありそうです。ということで、両国政府が過去の「こだわり」を乗り越え、未来志向で領土交渉を進めますように!

(「北方領土返還交渉、水面下で進展の兆し」おわり)

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【十分に検討に値する面積等分方式】北方領土返還交渉、水面下で進展の兆し④

2014-10-11 00:01:19 | 日本

前回からの続き)

 安全保障強化という目的のため、そしてそれ以上に石油・天然ガスの一層の購入を求めるため、ロシアは日本との関係改善を進めたいに違いない。その際の最大障壁である北方領土問題の解決を図るため、ロシアは平和条約締結後の歯舞・色丹「2島」返還を規定した日ソ共同宣言1956年)を大きく踏み越え、「3.5島」(2島+国後島+択捉島西端部)を日本に引き渡すという「面積等分方式」を内々に提示し、日本に妥結を迫ってきている―――。本稿冒頭でご紹介したロシア高官の択捉島「中央部」(面積等分方式によればロシア領になる部分の)訪問とか、先述したロシアの苦しい経済事情などから、こう推察する次第です。

 どうやらロシアは面積等分方式を持ち出してくるようだ―――こうした憶測はずいぶん前からありました。これに対し、「いや、これはロシアが日本からの経済協力を引き出させるための交渉戦術にすぎない。結局、2島返還での決着を要求するつもりだ」といった見方もあるようです。ですが個人的には、これまでに記したような理由から、ロシアのこの提案はけっしてブラフではないと思っています。そしてこれはわが国としても十分に検討の価値があるものだと感じています。

 先述のとおり、北方4島はわが国固有の領土であることは国際法上からも疑いのないものであり、ソ連・ロシアの占拠は極めて不当だと認識しています。しかし、これまでもそうだったように、この先、わが国の原則「4島一括返還」をいくらロシアに訴えてもそれが実現する可能性は非常に小さいでしょう。ロシアそしてプーチン政権としては、隣接する各国と面積等分方式等で国境を画定させてきた手前、日本に対してだけ全面譲歩するわけにはいかないからです。そんなことをしたら国民の保守層、そして何よりも軍部の反発を招き、大きな混乱を引き起こしかねない。そしてそれは隣人であるわたしたちにとっても危険なことです。

 むしろそろそろ実利を取るべき道を模索すべきではないでしょうか。日ロ間の懸案の妥結に関してはマイナス面よりもプラス面に目を向けるべきと考えます。プラス面―――それによって、失われた領土の多くとそれに付随する領海ならびに広大な経済専管水域を取り戻すとともに、日ロ間(北海道・サハリン間)の天然ガス供給パイプライン敷設プロジェクト等が進むようなことになれば、日本の国益はいまよりずっと高まることが想像できると思います。もちろんロシアにとってもそれは同じでしょう。こうした日ロ両国の前向きな未来のための妥協策―――それが面積等分方式だと考えています。

続く

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