もう崩落は時間の問題でしょう。その前提で動かないとね・・・
ご存じのように、10日に発表されたアメリカの5月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で8.6%もの上昇(前月比では1%の上昇)と、4月の同8.3%をさらに上回って同比の伸び率の大きさを40年ぶりに更新しました。でその内訳ですが、ブルームバーグなどによると、生活必需品価格が2桁の上昇率を記録、エネルギー価格は前年比34.6%でとくにガソリン代は約49%も上がりました。電気代も12%上昇と2006年8月以来の上げ幅。そして食品は前年比11.9%上昇で、1979年以来の高い伸び率・・・などなど、となっています。
となると・・・当然ながら生活コストが上がるから、米勤労者の実質賃金は急速に減ってきています。インフレ調整後の平均時給額は5月において年初から3%マイナスと、2021年4月以降で最大の落ち込みとなりました。これで実質賃金は14か月(1年以上!)も連続でマイナスとなっています・・・
そんな、高進やまないインフレ、そして下げ止まらない米国民の実質賃金&ご自身の支持率(直近の調査によると支持39%、不支持58%等)にイライラ感&無力感を募らせたのか?ジョー・バイデン米大統領は、現下のインフレに関連して「食品とガスの両方に課されたプーチンの税金のようなもの」(anything like Putin’s tax on both food and gas)などと語り、これを(ウクライナに軍事侵攻した)ロシアのプーチン大統領のせいにしてみせました。が、それが間違っているのは、たとえば家賃が前年同月比で5.2%も上がっていることなどからも明らかでしょう。いくらプーチン氏でも、NYのアパートのそれを跳ね上げることなんてできませんって・・・
といった具合で、ウクライナ危機なんぞと何らかかわりなく・・・って、ようするに同危機が起こっていなくても(?)、アメリカではこうしてあらゆるモノとサービスの価格が上がり続けているわけです。ではその真因は?ですが・・・最近ではこちらの記事で書いた、実質マイナス金利状態・・・をアメリカはもう二度と(?)解消することができないため、ということになるでしょう。だからこそマーケットそして米国民は、あえて借金をしてでも、モノやサービスを買う・投資するという行動に出ることになります。
で、これを別の視点から捉えると・・・アメリカでは、あえて借金をしてでも、モノやサービスを買う・投資する・・・ほうがトクあるいはマシ、ということで、つまりは「真性インフレ」すなわちマネーとしてのドルの価値・信認の転落は食い止めようがない、というわけですね・・・
(続く)