(前回からの続き)
以上により、いつもの結論になりますが、ユーロ圏は、いまの枠組みで居続けるならば、欧州中央銀行(ECB)の量的緩和策(QE)を停止することはできず、よってその共通通貨ユーロの大量放出も止まらないために、インフレの害悪を避けることはできないだろうと考えています。
このあたりをドイツは以前から嫌がっているわけですが、いくらドイツ・・・連邦銀行(独中銀)のイェンス・ワイトマン総裁がQEをやめよ!と訴えても、ECB内では残念ながら(?)多勢に無勢、全体の真ん中を取ったかのような決定つまりQE続行が延々と繰り返されるため、その主張が通ることはまずあり得ないでしょう(?)。ワイトマン氏には来年、ECBの次期総裁になる可能性がありそうですが、たとえトップになったところでユーロ圏ではご自身の理念を実現させることはできず、フラストレーションがたまるばかりになってしまいそうで心配です。やはり同氏には、こちらの記事等で書いたように、日銀にお越しいただくべきだった・・・って、もう遅いけれど・・・(?)
もっとも、ユーロと同じく、基軸通貨の米ドルもまたインフレ通貨であるわけです。しかも米トランプノミクスをみる限り、いまの勢い(?)は後者の方が断然勝っている感じです。したがってユーロはドルに対しては高くなりそうで(?)、欧州市民にとってはエネルギーコストの面ではインフレのダメージは少しは小さいかも・・・って、あくまでもアメリカと比較して、ですが・・・
ユーロそしてドルの2大通貨はこうしてインフレで沈んでいくことになります。ついでにいえば英ポンドとか豪ドル、カナダドルなども同様でしょう。よって、主要通貨でほとんど唯一インフレではない(=名目金利-インフレ率>0)通貨「円」を持つわが国は、本来ならば世界最強のポジション「円>スイスフランを含むすべての外貨」にいるわけです。この有利な立場こそを最大限生かした国家経済運営を図るべし―――上述、ユーロ圏各国のバラバラ具合や通貨ユーロの必然的失敗(=インフレを制御できないこと)は、わたしたちにこう告げています(?)。
(「ユーロ圏のインフレ依存も止まらない」おわり)
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