世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
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【韓国は強気だが・・・】日本に首脳会談実施を申し入れる韓国②

2013-11-29 00:00:07 | アジア

前回からの続き)

 韓国の弱点が「借金」にあることは日韓両国にすでに広く知れ渡っているようです。実際、反日の姿勢を強める韓国に対して経済制裁を加えよ、と主張するわが国の一部の国会議員などからは「日本のメガバンクは対韓融資を引き上げるべきだ」といったような声が上がっています。まあたしかにわが国の金融機関がそんなアクションを取り始めたら韓国政府や韓国企業は資金繰りに苦労したり借入金利が上がって打撃を被るかもしれません。

 そんな日本側の議論の高まりを意識してか、韓国のほうはナーバスになっている気配が感じられます。韓国のメディアなどは「もともと日本の銀行の韓国への融資は多くない」とか「日本が貸してくれないのなら欧米の銀行から借りればよい」といった強気の(?)姿勢をみせていますが、本音はどうでしょうか・・・。

 これまたこちらに書いたように、たしかに韓国に対する貸付では邦銀よりも欧州(とくにイギリス)およびアメリカの銀行のシェアが大きくなっています。したがって、ジャパンマネーに頼る必要はないといった考え方が韓国で出てくるのはもっともだと思います。

 しかし、欧米系銀行が韓国のような借金を多く抱えた国の企業等に融資できるのは、いまの金融マーケットが「リスクオン」だから。いったんマネーの巻き戻しが始まったら、PIIGS国債とか不動産担保証券などのハイリスク資産を多く抱えて財務に難のある彼ら欧米系は、韓国の顧客に対して一斉に「貸し渋り」や「貸し剥し」を行うでしょう。これに対し、すでにバブルの後処理を終えている日本の金融機関はそんな「リスクオフ」への耐性が強いため、借り手には極端に厳しい対応はしないはず・・・。

 それでも「日本は気に入らないからメインバンクを邦銀から欧州系銀行に変更したい!」というのであれば、どうぞご自由に韓国さん、といった感じでしょうか。

 まあ個人的には、いくら韓国の朴政権が日韓首脳会談を拒否し、第三国で日本を中傷する発言を繰り返しているとはいえ、上記のような資金引き上げ策を含む制裁措置を講ずるのはいかがなものかな、と思っています。

 その第一の理由は、本来は迅速に何らかの対処をすべきタイミングであった昨年8月(李元大統領、竹島に不法上陸!)から時間が経ちすぎてしまったこと。そして第二の理由は、いまわが国が中途半端に経済制裁措置を発動したら、後になって韓国から「日本のせいでこうなった(経済破綻した)!」といらぬ批判を浴びかねない、と予想するからです。

 なので、わが国としては、いまは韓国に勝手にさせておけばよいのではないかと・・・。

続く


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【朴大統領、会談を拒否!】日本に首脳会談実施を申し入れる韓国①

2013-11-27 00:04:49 | アジア

 韓国朴槿恵大統領が日韓首脳会談の実施を拒んでいます。今年1月の大統領就任以来、かれこれ1年近くになるというのに・・・。距離的に近く、経済・文化などの面でこれだけ交流のある隣国の首脳と会おうとしないのは異常だと思います。もちろん日韓両国の間には韓国による竹島の不当占拠という重大な問題があることは事実。だからといって朴氏のかたくなな態度は一国の元首として狭量すぎるのではないか、と感じざるを得ません。

 一方の安倍総理ですが、いつでも日韓首脳会談を行う用意があるとの姿勢を明確にしています。至極当然のこととはいえ、個人的には、拒絶一辺倒の韓国の頑固さに比べると、安倍さんは度量が広いな~とすら思ってしまうほどです。

 まあわが国としては、現在の政府の対応、つまり首脳会議はいつでもOKですよ、というサインを韓国に送りつつ、朴大統領サイドが申し入れしてくるまで会談の実現にこれ以上の積極的な働きかけは行わない、というスタンスが適当と考えます。その理由は次の2つです。一つ目は、日本としては現状、上記の竹島問題を除けば、韓国に対して特段のリクエスト等がないこと。そして2つ目は、遅かれ早かれ韓国のほうから日本に首脳会議の開催を提案してくる可能性が高いこと。いうまでもなくそれは「お金」の必要から・・・。

 以前もこちらの記事に書いたとおり、韓国経済の最大の弱点は「借金です。このあたりの現状を最近の報道等で簡単に確認しておくと・・・

 韓国が公表したデータ(今年6月末)によると、韓国の短期対外債務(1196億ドル)およびその外貨準備に対する比率(36.6%)はいずれも2006年以来の水準にまで下がっています。これだけをみると韓国の資金繰りは表面上は問題はなさそうに思えます。

 しかし、韓国の借金不安の本丸である個人債務のほうは史上最高額にまで膨れ上がり火の車といった感じ。制度変更前の住宅ローン融資の増加が大きな要因で、年内に1000兆ウォン(約100兆円)の大台を超える見込みだそうです。日本とは逆に、財政収支をキレイにみせて、もっとも脆弱な経済主体である家計に巨額の借金を背負わせているあたり、韓国らしいな、と思っています。

 これに加え、韓国では不動産公社とか電力・ガスといった公営企業の債務膨張にも懸念が出てきています。昨年末時点で前年比8.7%増の393兆ウォン(39.3兆円)と、同時点の国家負債額の445兆ウォンに近いレベルにまで増えてきました。韓国政府が公共料金を政策的に低く抑えてきたことが結果としてこれらの企業の借金増加につながったとのこと。

 ということで、韓国では個人の借金も公営企業の負債も貸し倒れの危機がますます高まっている状況です。もし債務不履行の連鎖が起これば、韓国の金融システムはたちまち機能不全を起こし、政府は公的資金の投入を余儀なくされるでしょう。これは韓国の財政負担を急増させます。しかしそんな事態に韓国が耐えられるわけはありません。あっという間にマーケットでの韓国の信認は急落、キャピタルフライトが起こり、ウォンが暴落して通貨危機に・・・といった、20世紀末の悪夢の再現が予想されます

続く


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【原発推進派「勝ち」、脱原発派「負け」】脱原発の条件:燃料代引き下げ④

2013-11-25 00:03:01 | 原発

(前回からの続き)

 というわけで、

 「原発推進派≒円安誘導」vs.「脱原発派≒脱円安」

 という構図を描いてみました。前者はアベノミクス支持派と言い換えられると考えています。かなり大雑把な区分ですが、それほどハズレてはいないのではないかと・・・。

 アベノミクスの支持者のなかには原発ゼロを主張する人もいるでしょう。しかしその場合は円安誘導がもたらす高い電気料金と輸入燃料価格の高騰という現状を肯定することになります。「それでもかまわない。とにかく脱原発だ!」で、どこまで頑張れるのか、そして支持を広げられるのか・・・。かなりツライのではないでしょうか。

 一方、円安修正は必要でもエネルギー安保などの観点から原発運転は継続すべきと考える方もいるでしょう。こちらは「アベノミクスは支持するけれど反原発!」という人たちよりは多いかも、と推察します。ですが、円安・円高の違いにかかわらず、原発推進には原発が持つ巨大な事業リスクが引き続きつきまとうことになる。たしかに原発は燃料コストに限定すれば火力発電より安いかもしれませんが・・・。

 まあ上記のような考え方も含め、「原発をどうするか」の今後ですが、個人的には、「アベノミクス」継続のもと、原発は次々と再稼動されていくことになるだろう、つまり「原発推進派≒円安誘導」の「勝ち」、そして「脱原発派≒脱円安」の「負け」となるだろう、と予想しています。その理由は、安倍政権の原発再稼動で火力発電依存度を下げて電気料金を引き下げようという方針に多くの国民が賛同すると思うから。

 「原発推進だ!」「いや、脱原発だ!」―――そんな一部の熱心な人々を除けば、輸入インフレが起こっているなかで、国民の大多数は(どっちでもいいから!?)とにかく電気代が下がってほしい、と切に願っているはず。これに応えているのは原発推進派、つまりアベノミクスを推進する現政権のほうです。一方、脱原発派は円安修正を含めた輸入燃料価格引き下げ策を国民に提示できていません。つまり「原発反対! だけどエネルギー価格高騰には無為無策!」―――ということで、勝負あった! 「負け」ですね、脱原発派の・・・

 このあたりは本稿冒頭でご紹介した小泉純一郎元首相の記者会見における「原発ゼロの方針を示せば、必ずある人が良い案を作ってくれる」との発言に表れています。つまり「原発の代替案は無し」と言っているわけです。脱原発派は上述した通貨高のメリットを全面的にアピールすればいいのに・・・なんてことを思います。

 こうして日本の電力は、原発再稼動と原発比率の再拡大によって、円安インフレがもたらす電気料金の上昇を抑えようという方向に進むことでしょう(!?)。これによっていまよりも少しだけ、たとえば1~2%でも電気代が下がれば、多くの国民はホッとするのではないでしょうか。1年前の為替レートに戻ればいまより数%以上も料金が値下がりになることは忘れて・・・。

 東日本大震災、そして東京電力の福島第一原発の事故により、わが国ではいま、かつてないほど「脱原発」の気運は高まっています。しかし、相変わらずの(?)ロジック不足と「ドン引き」パフォーマンス(山本参院議員、天皇陛下に直訴状を手渡す!)により、脱原発派は一般国民の支持を得る好機を逃しつつある、とみているのですが、どうでしょうか。

(「脱原発の条件:燃料代引き下げ」おわり)


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【脱原発≒脱円安】脱原発の条件:燃料代引き下げ③

2013-11-23 00:00:08 | 原発

(前回からの続き)

 結論からいうと、脱原発派はLNG、石油、石炭といった輸入燃料価格をいかに低く抑えるか、について、明確なポリシーを打ち出さなくてはならない、と考えています。なぜなら脱原発派は、原発を選択しない以上、今後(代替エネルギーが開発されるまでの)少なくとも十数年間ほどは、火力発電に大きく依存せざるを得ないからです。したがって真に原発ゼロを目指す立場から「こうした方策によって火力燃料価格を引き下げてみせます!」といったアピールが不可欠となってきます。

 ではどうやって燃料価格を低いレベルに抑えるか、ですが、一番即効性があって効果的なのは、為替レートを輸入に有利な方向、つまりいまよりも円高ドル安に持っていくというもの。だからといって大げさなことをする必要はなく、いまの日銀の金融政策「異次元緩和」を微調整するだけで円安修正は進むとみています。たとえば目標インフレ率を現行の2%から以前の実質0%に戻す、あるいは1%に下げる、くらいでもよいかも・・・。

 ここで、もし日銀が金融政策の修正に難色を示す場合は、円安是正のために政府は円買いドル売りの為替介入を行うことになるかもしれません。しかしこれだとアメリカの金利上昇をもたらしてアメリカ様にご迷惑をおかけすることになりかねないため、政府が介入をほのめかせば日銀は折れる(異次元緩和を縮小する)と見ています。

 まあ金融政策「異次元緩和縮小」それとも為替政策「円買いドル売り為替介入」のどちらをとるにせよ、これによって円高になれば輸入燃料の円建て価格が下がり、燃料費調整額がマイナスとなって電気料金は下がるでしょう。先の例でいうと、為替レートが1ドル100円から昨年並みの同80円に戻れば電気代が6%ほども安くなる計算になります(東京電力:一般家庭平均モデル)。

 為替レートがいまより円高方向に進めば、アベノミクス開始以降、対前年同月で増え続けている貿易赤字の縮小も期待できます。先日こちらの記事に書いたとおり、政府・日銀の誘導で円安状態となっているのに日本の貿易収支は黒字どころか赤字が拡大する傾向にありますその最大の理由は輸入燃料の円建て価格の値上がりです

 一方、輸出額は輸入額の伸びに見合うほど増えてきません。自動車メーカーの多くがそうであるように、すでにわが国のおもな輸出企業は「完成品」の生産拠点をとっくの昔に海外に移転していること、そしていま日本の主要輸出品となっている資本財(企業が使う機械等)とか中間財(完成品のコアパーツ等)は円安になったからといって急に大量に売れたりする性質のものではないこと、などから、今後円安が続いても輸出は数量も売り上げも伸ばすことは難しいでしょう。

 かくしてJカーブ効果は期待薄、貿易赤字は拡大し、わが国の国富はジワジワと減少していく―――。そんな事態はぜひ回避したいでしょ!? で、脱原発派は貿易収支の改善を図るという国益の観点からも「強い円」の利点を説くわけです。

 火力発電への依存度が高い脱原発派としては、上記のように、輸入燃料の調達コスト低減と貿易赤字の縮小をもたらす円安修正のメリットをアピールしつつ、これに逆行する「アベノミクス=円安誘導」の政策的な「愚かさ」を突けば、原発推進派に十分に対抗できるだけの支持を得ることができるだろうと思っています。なぜって、足元ではアベノミクスの円安インフレが国民生活を脅かしつつあるわけですから・・・。

 ということで、今回の表題のとおり、「脱原発」の必要条件は「脱円安」である―――このように考える次第です。

(続く)


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【アベノミクス≒原発推進】脱原発の条件:燃料代引き下げ②

2013-11-21 00:04:45 | 原発

(前回からの続き)

 前回、原発が止まって火力発電への依存度が高まっているわが国では、エネルギー資源をいかに安定的に、そして安い価格で調達するか、が重大な国家的課題であると記しました。

 さて、安倍政権と日銀が推進する「アベノミクス」ですが、はたしてこの課題に真摯に向き合っているか、といえば「?」なのではないでしょうか。それどころかむしろ逆行しているような気が・・・。

 こちらの記事を含めて本ブログでいろいろ書いてきたように、アベノミクスは日銀の「異次元緩和」による通貨安誘導で輸入品、とりわけ輸入燃料の円建て価格を意図的に引き上げることでデフレを解消しようという荒業に出ています。これが奏功し、この1年間(アベノミクス開始時点:昨年11月)で円はドルに対して20%も下落する一方、これに反比例するかたちで電気代、ガス代、ガソリン代や灯油代が大きく値上がりしているところです。東京電力を例にとると、燃料価格の変動を電気料金に織り込むという燃料費調整制度により、今年11月の電気代(一般家庭平均モデル)は7946円と、昨年11月(7464円)から6.5%も上がりました・・・。

 ある意味、これはアベノミクスの狙いどおりの成果といえるもの。なぜって、円安誘導で電気代などを引き上げたら・・・家計等のエネルギー支出の増→個人消費の増→GDPの増→消費税率引き上げOK!となったわけですから。高いGDP成長率達成と財政健全化へ一歩前進!で安倍首相や黒田日銀総裁のいまのお気持ちは「燃料代 上がってうれしい アベノミクス」といったところかな・・・?(ヘタな川柳ですみません)

 「いや、円安はうれしいのかもしれないが、いくら安倍さん黒田さんでも、電気代が上がってうれしいはずはないだろう」―――(おそらく・・・)そうでしょう。この日本で電気を使わない人なんていないはず。だから誰にとっても電気料金は安ければありがたいし高ければつらいわけです。これはアベノミクス支持者にとっても同じこと(だと思うけど、違うかも?)。

 かといって、いまの政府・日銀には電気代高騰の最大の要因である円安モードを解除することはできません。これまで書いてきたとおり、円安誘導こそアベノミクスの生命線だからです。

 それでもそろそろエネルギーコストを下げないと国民の不安が高まってアベノミクスの支持率が下がってしまう懸念が出てきます。「円安」はやめられない、けれど電気料金は安くしないとマズイ・・・で、安倍政権はどうするかというと、「原発再稼動」に乗り出すわけです。なぜなら原発は、発電コストに限れば火力発電よりも安い―――発電コストに占める燃料費の割合が火力発電よりも小さいうえ、その燃料代(ウランの円建て輸入額)はLNG、石油、石炭の円建て輸入総額よりもずっと安いというアドバンテージを持つからです。

 かくして、円安誘導にこだわるアベノミクスは必然的に原発推進路線を選択せざるを得なくなる、というのが私の読みです。円安状態を維持しつつ、原発再稼動によって火力発電への依存度を下げ、火力燃料の輸入量を減らしてエネルギーコストの上昇を抑えようという戦略です。うーん、それなりに筋が通っているように感じられますが・・・。

 さあ、そこでどうする? 脱原発派・・・。

(続く)


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【小泉元首相、脱原発発言】脱原発の条件:燃料代引き下げ①

2013-11-19 00:01:52 | 原発

 小泉純一郎元首相の脱原発発言が話題となっています。氏は12日記者会見し、脱原発について「首相が決断すればできる」と安倍総理に決意を促しました。国会議員を引退したとはいえ首相経験者である実力者のこの姿勢表明が政界に波紋を広げています。原発の再稼動や新設容認を含めて基本的には原発継続路線に立つ与党自民党は当惑しているように見受けられます。一方、以前から脱原発を掲げて与党との違いを明確にしたい野党は氏の発言をおおむね歓迎し、共産党に至っては氏との連携にまで言及するありさまですが・・・。

 これを機に、原発の今後に関する議論が盛り上がることを期待したいとは思っています。しかし、はたして小泉氏のこの「脱原発」、本当に世間の支持を得られるのか、微妙なところだな、というのが個人的な印象です。氏は会見の席でこう述べたそうです―――「原発ゼロの方針を示せば、必ずある人が良い案を作ってくれる」・・・ということはつまり、氏は現時点で「原発」に替わる有力な対案を持っていない、といっているに等しいわけです。で、「脱原発」という大胆な方向性を打ち出すのならば、多くの人々を納得させるロジックが必要だ・・・本稿ではこのあたりについて思うことを綴ってみたいと思います。

 ご存知のとおり、好むと好まざるとにかかわらず、現在、わが国は「原発ゼロ」状態となっています。国内の原発で唯一稼動していた関西電力の大飯原発4号機(出力118万キロワット)が定期検査のため9月に運転停止となったためです(再稼動は年明け以降の予定)。で、原発が全機止まって電力の供給不安が高まる!?となったかといえば、表面上はそんなことはなく、東日本大震災直後の一時期を除けば、国民の節電努力もあって、これまでのところわが国の電力供給には大きな支障は出ていない感じです。だから「原発ゼロでも日本の電力は大丈夫!」という考え方が脱原発派から出てくるのは無理からぬところ・・・。

 ここで留意しなければならないのは、原発の穴埋めをしたのが「火力発電だということ。決して水力でも、そして脱原発派がお勧めの太陽光、風力、地熱発電などではありません。たしかにこうした再生可能エネルギーは魅力的であり、政策的に普及を促進していくべきだとは思います。だからといって「原発を廃止して直ちに自然エネルギー発電に転換せよ!」なんてことはあまりに非現実的・・・。これらが原発に成り代わって何千万キロワットもの電気を安定して供給できるようになるまで、いったいどれぐらいの年月がかかるというのか・・・。

 ということで、「原発ゼロ」がもたらす当然の結果が火力発電への依存拡大となります。つまりわが国は現在、それだけよけいにLNG、石油、そして石炭等といった火力燃料を消費しているということです。そして日本はそれらのほぼ全量を外国からの輸入に頼らざるを得ない・・・。こうしたことは原発推進派も脱原発派も、目をそらしてはならない冷厳な「現実です。だからこそ、エネルギー資源をいかに安定的に、そして安い価格で調達するかが(決して大げさではなく)わが国の存亡にかかわるほどの国家的な重大課題であることをわたしたちはあらためて認識する必要があると考えます。

(続く)


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【ルノーには日産の「子会社化」しかない?】ルノーは日産を手放すのか④

2013-11-17 00:03:09 | ヨーロッパ

前回からの続き)

 前回までに書いたとおり、ルノーは非常に厳しい状況に追い詰められてしまった感じです。どうしたらよいのでしょうか・・・。

 そこで考えられる策のひとつが、本稿のタイトルにあるように、手持ちの日産株の売却です。1999年、ルノーは日産を傘下におさめるために66億ユーロを投じました。現在、ルノーが持つ日産株は発行済み株式の43.4%、時価総額はおよそ136億ユーロ(約1.8兆円)ほどになります。かりにルノーがこれら全数を売れば70億ユーロ(9100億円超)もの売却益を手にすることができる計算になります。このお金を元手に経営再建を・・・といった想定も可能かもしれませんが・・・。

 しかしこれではルノーの未来はまったく見えなくなります。なぜならいま日産株を手放してしまったら、ルノーは日産から得ていた配当収入も、高い生産技術も、そして日産車を自社工場で作らせてもらう機会も、何もかも失ってしまうからです。そんなことをしたら、他の自動車メーカーと比べて車作りの「強み」を何も持っていないルノーはジリ貧必至です・・・。

 で、ルノーにとってもっと現実的で有効な手は、日産の「子会社化ではなかろうか、などと考えています。つまり、日産株をあと7%ほど買い増して所有率を50%超へ持っていくというもの。こうすればルノーは日産の経営権を得ることになり、もっと自由に日産の事業に介入できるようになるはずです。本国フランスの雇用を守るため、日本などにある日産の生産ラインを稼働率が低迷する自社工場に移管させることや、日産が持つさまざまな技術とか特許を(産業スパイ行為を通じて、などではなく)堂々と中国企業に売却する、なんてこともできるようになるかもしれません・・・。

 現在の株価(11/15終値924円)で計算すると日産株7%分の金額は2900億円ほど。経営不振に陥っているルノーにそんな大金を出せるわけはないでしょう。そこで登場するのがルノーに15%出資するフランス政府だったりして。社会主義色の強い(?)現オラント政権が日産の子会社化を推進するようルノーに働きかけて資金援助するかも。さらに「買収してください」と言わんばかりに「アベノミクス」がユーロ高円安を演出しているわけだし・・・。心配性の私はそんな懸念を抱いています。どうか杞憂に終わりますように・・・。

 ・・・といったことを含め、苦境にあえぐルノーがパートナーの日産に対してこのさき、何らかの大胆なアクションを取ることは避けがたいだろうと予想しています。日産はルノー工場での日産車の生産拡大とか韓国等の海外事業への協力などをさらに求められそう。これらの多くは日産の生産性、ひいては日産の企業価値を低下させるおそれが高いもので、日産の経営陣としてはあまり深入りしたくないのが本音でしょう。このあたり、大株主ルノーの過剰な(?)要求と日産自らの利益確保とをどうバランスさせるのか―――14年もの長きにわたって日産に君臨するカルロス・ゴーン氏の経営手腕が問われるのは、本当はこれからなのかもしれない、と思っています。

(「ルノーは日産を手放すのか」おわり)


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【ルノーの時価総額の3/4は「日産株」・・・】ルノーは日産を手放すのか③

2013-11-15 00:02:49 | ヨーロッパ

前回からの続き)

 直近のルノーの業績は近年にないほどの落ち込みとなった2012年と比べてさらに悪化しています。日経新聞によれば、今年1~6月期の純利益は9700万ユーロと、昨年同期の7.7億ユーロから激減しています。昨年と同様、地元の欧州での販売が低迷したほか、韓国の合弁プロジェクトであるルノー・サムスンの経営不振が響いたもようです。

 そんな落ち目のルノーにとっては、いまや同社グループ傘下の日産だけが頼りといったところではないでしょうか。前回書いたように、すでにルノーは日産に対して稼働率が低いルノーの工場で日産車を生産させようとしているほか、日産から電気自動車(EV)関連をはじめとするさまざまな技術供与等をしてもらっています。

 そしてお金の面でも・・・。ルノーは日産の発行済み株式の約43%を保有してます。ここから得られる年間の配当金額は600億円近くになると思われます(今年度の日産の1株当たりの配当予定額「30円」で計算)。これは本業での売り上げや利益が落ち込んでいるいまのルノーにとってはとても貴重な収入でしょう。もし日産がもたらす配当金が無かったとしたら、今年上半期の黒字確保は難しかったかもしれません。

 さらに、日産株の取得時からの価格上昇がルノーの財務改善に大きく寄与しています。ルノーが所有する日産株の時価評価額は1.8兆円ほどの金額になります。ルノーにとっては66億ユーロの日産への投資が2倍以上(約136億ユーロ)にもなったわけで、この出資は大成功だったといえるでしょう。「あのとき(1999年)日産株を買っておいて本当によかった~」いまルノーの幹部はそんなふうに感じているのではないでしょうか。

 ところで、先日書いたように、現在のルノーの時価総額は2.3兆円(約180億ユーロ)くらい。そしてルノーが持つ日産株の評価額は約1.8兆円―――ということは、投資家はルノーの資産価値の3/4以上は日産株が占めていて、それ以外のルノー本体およびルノーの海外事業等の合計の価格は全体の1/4以下、日本円で5700億円程度の価値しかない、と判断しているということなのでしょうか・・・? 個人的には「そういうことなのだろう。いまのルノーと日産を比べれば・・・」と思っています。マーケットは、ルノー・日産アライアンスとは、実質的には「ルノーの皮をかぶった日産」といった見方をしている、といった感じでしょうか・・・。

 自動車メーカーとして販売台数がフランスで第1位、欧州全体で第2位(いずれも2012年)、そしてフランス政府が出資する国策会社でもあるルノーの市場価値は、所有する日産株を除いてしまうと、年間の販売台数が100万台あまり、時価総額で日本で6番目の自動車メーカーである三菱自動車(7000億円弱)にも及ばない・・・。それほどにルノーは落ちぶれたと見るべきか、日産が立ち直ったというべきか・・・。まあ両方なのでしょうね・・・。

続く


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【ルノーを助ける日産・・・】ルノーは日産を手放すのか②

2013-11-13 00:01:52 | ヨーロッパ

前回からの続き)

 1999年、経営危機に陥っていた日産は、仏ルノーの66億ユーロの出資を受け入れ、同社の傘下に入りました。ルノーからやってきたカルロス・ゴーン氏の指揮のもと、日産は経営改革に着手。以来数多くの課題を乗り越え、前回ご紹介のとおり、いまでは年間の売上高10兆円・世界販売数500万台に手が届くほどの大自動車メーカーに生まれ変わりました。

 これに対し、当時は日産を助ける立場にあったルノーは、その後は業績を伸ばすどころか低落傾向をたどり、現在では販売台数が255万台(2012年)まで落ち込むなど、不振が続いています。ルノーの自動車メーカーとしての実績だけを見れば、日産に逆転された格好となっています。

 とはいえ、ルノーは日産の発行済み株式の43.4%を保有する筆頭大株主。日産もルノーに出資しているとはいえその持分比率は15%。両社の関係は「アライアンス(資本提携)」とはいうものの、この出資比率の違いからいえば日産が「子」でルノーが「親」のような上の立場にあります。資本の論理でいえば、日産はルノーの意向に従わざるを得ません。まあこのあたりは過去の経緯からすれば仕方ないでしょう。ルノーの出資で救済されたからこそ日産の今日があるわけだから・・・。

 それでもルノーの低調ぶりが目立つここ数年は、以前とは逆に子(日産)が親(ルノー)を助ける場面が多くなってきています

 はじめに指摘できるのは、ルノー工場での日産車の生産要請です。すでにルノーおよびルノーに15%出資しているフランス政府より、生産性が低いために稼働率が低迷している同社のフランス内にある工場で日産車を作らせろ、といった声が上がっています(たしか両社は、自社の車は自社の工場で製造するというルールでアライアンスを組んでいたはずですが・・・)。先日、現オラント政権の担当閣僚がそんな要求をしたうえ、日産がルノーを助けるのは当然、といった主旨の発言をしています。

 そして本稿冒頭でご紹介した日産と三菱自動車との連携強化もルノー支援策の一環といえるでしょう。今後、三菱はルノーとサムスンの合弁会社の韓国工場で作られたルノーをベースにしたセダン車を自社ブランドとして北米市場に投入するそうですが・・・。

 日産からルノーへの技術協力も重要です。技術面でめぼしい分野のないルノーはこれまで日産から多くの技術供与を受けたものと思われます。これらのなかには日産が開発に力を入れている電気自動車(EV)に関するものも含まれているでしょう。自己資金に乏しかったためHV車の製品化でトヨタやホンダに遅れをとったぶん、日産としては開発コストが比較的安いEV車で巻き返そうという戦略のもとで培ってきた大切な技術ですが・・・。

 ここで思い出されるのは2011年1月に露見したルノーに絡む産業スパイ事件複数のルノー幹部が関与したとみられるこのスキャンダルで取引されたのは日産から提供されたEV関連技術とのこと。この貴重な技術が不正な手順で中国に漏洩したもようです。一部の役員に限られるとはいえ、提携先のルノーに裏切られた格好となった日産EV開発陣の胸中やいかに・・・?

 その他、日産、そして三菱は、ルノーが手がけたものの不振が続く外国事業の下支えもしています。上記の韓国事業では三菱がルノー車の販売を手伝わされるほか、日産も一部の車種の生産をルノー・サムスンの工場に委託するそうです。そしてルノーと出資したロシア最大手アフトワズ社の経営改革も、ルノーの手際の悪さから、実質的には日産が主導するかたちで進められています。まあ日ロ関係の進展につながることから、個人的にはこのロシア事業には成功を期待しているのですが・・・。

続く


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【日産がルノーを倍近く引き離す】ルノーは日産を手放すのか①

2013-11-11 00:04:36 | ヨーロッパ

 「助けてもらったご恩はあるけれど、いまは何ともフクザツ・・・。」日産の本音を代弁すればそんなところなのではないでしょうか。

 先日、資本関係にある日産自動車とフランスのルノーが三菱自動車との事業提携を拡大することで合意しました。以前から日産と三菱は軽自動車分野で合弁事業を進めてきましたが、今回はルノーも交えて製品開発や工場設備の相互利用などで協業関係をいっそう深めていくとのことです。日産・ルノー両社の最高経営責任者であるカルロス・ゴーン氏は、「日産と三菱の協力関係の拡大検討を喜ばしく思うとともに、これらはルノーにも新たな機会をもたらすことになる」と述べています。

 市場関係者の多くが分析しているように、日産が三菱との関係をルノーにまで広げた背景にはルノーの業績不振があるのでしょう。その一方、これまでのさまざまな改革の成果もあって、直近の日産のパフォーマンスは良好といえそうです。

 上の表はルノーと日産の2012年のおもな業績を比較したものです。これを見ると両社の現状の違いがはっきりと感じられます。

 はじめに販売台数です。ルノーの2012年の世界販売台数は255万台と、前年(2011年)から6.3%減となってしまいました。新興国等で低価格車の売上は延びたものの、お膝元のフランスを含む欧州で同18%も減少したことが全社大での落ち込みの主因となっています。これに対して日産は2012年、対前年比5.8%プラスの494万台を世界で売り上げました。ルノーの倍近い数量です。中国、そして同社として過去最高を記録したアメリカでの販売数がともに100万台を超えたほか、ルノーの本拠地である欧州では販売シェアをちょっぴり増やしています(0.1ポイント増の3.9%)。日産の今年の予想販売台数は530万台と、世界的自動車メーカーとみなされる「500万台」のラインをクリアすることは確実です。

 続いて両社の2012年の営業成績ですが、1ユーロ120円換算(今年1月ごろのレート)とするとルノーの売上高5兆円弱に対して日産は9.6兆円、そして営業利益はルノー876億円に対して日産はその6倍近い5235億円となります。上記の販売台数の好不調の差がこれらの数字にも反映されています。

 そんな両社の足元の時価評価(11/8時点、1ユーロ130円換算)はルノーが2.3兆円(180.7億ユーロ)で日産がちょうど4兆円くらい。これまた両社の販売台数や売上高の違いの割合に近い結果が出ています。

 このように現在のルノーと日産の各数値を比較してみると、あらゆる面で「日産がルノーを倍近く引き離している」ということが分かります。

続く


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