世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
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【中国製原発に頼るトホホな英国】メルトダウンに向かうイギリスとポンド①

2015-10-29 00:00:45 | ヨーロッパ

 先日の中国・習近平国家主席の英国訪問は、英中関係の良好さを世界に見せつける外交イベントとなりました。両国、とりわけ中国にとっては、伝統的なアメリカ同盟国である英国と連携強化を図れたことは、アメリカ(そして日本)をけん制する意味でも効果的なものだったといえそうです。

 で、これに関連して注目されたのが経済面での関係促進、とくに英国内における新規の原子力発電事業への中国のエントリーでしょう。本件では、これを認める(しかない?)英国の事情等について考えるところを綴ってみたいと思います。

 内外の報道によれば今後、中国は英国内3か所(も!)の新規原発計画に参加します。いずれも同国の原子力企業CGNとフランスのエネルギー企業EDFの合弁事業となります。このうち英国南西部のヒンクリーポイントと東部サイズウェルの2か所はEDFが、南東部のブラッドウェルはCGNが、それぞれ過半を出資することになっています。

 費用総額180億ポンドと見積もられるヒンクリーポイント(EDF66.5%、CGN33.5%の出資割合)では、2025年の同原発完成後35年間(!)、英国政府はその電力を1MW/hあたり92.5ポンドで買い取るそうです(買い取り価格はインフレ率に連動させることになっている)。この金額は現時点の同国の電力卸売価格のおよそ2倍だそうで、これだけを見ると英国(の電気ユーザー)にとっては相当に高い買い物のように思えますが・・・(逆に、実勢価格がこの保証金額を上回ってもユーザーはその超過分を支払わなくてもよいとのこと)。

 ―――といったあたりが、このほど決定された中国による英国における原発事業参入の概要です。ここで個人的に驚かされたのは以下の2点。

 まずは、英国が自国における外国企業による電気事業の展開を容認していること。ご存知のとおり電気事業はきわめて公益性の高い事業。これを一部どころか100%外資にやらせるとは・・・英国にとっていろいろな意味でリスクが大き過ぎると想像されるわけですが、それでいいのでしょうか。自分が英国人なら間違いなく、外国人にライフラインを牛耳られることの気味悪さとか危うさを感じるところですが・・・

 そしてつぎは、そんな外資が手掛けるのが、よりによって原発プロジェクトであるということです。石炭・石油火力発電などではなく原発、しかも中国製の原発・・・って、よけいなお世話かもしれないけれど、この先、数十年間の長きにわたって安全運転・安定供給は保たれるのか、そして万が一のときの危機管理とか賠償等はどうなるのか、さらに上記ブラッドウェルなんてロンドンからたった80kmしか離れていない(東京にたとえると、小田原の手前あたりに原発を作るようなもの)って、コワ過ぎる・・・などなどの懸念が頭をよぎり、ホント英国、正気かよ・・・と心配になりますが・・・

 以上から透けて見えるのは、電気事業のような国家基盤を支える重要産業までも外資に頼らざるを得ないほどの英国の凋落ぶりです。

(続く)

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【ノーベル経済学賞は廃止すべき!?】祝・ノーベル賞W受賞で唯一、経済学のトホホぶり⑦

2015-10-27 00:04:28 | 世界共通

(前回からの続き)

 本稿の最後に、「ノーベル経済学賞」に関する私見を綴ってみたいと思います。

 さて、ノーベル賞受賞者の該当基準は、人類のために最大級の貢献をした人、となっています。たしかに今年の日本人お二人を含む自然科学分野(物理学、化学、医学・生理学)の歴代の受賞者は同基準にふさわしい偉大な功績を上げられた方々ばかりだと思います。

 しかし・・・経済学に限っては・・・あくまで個人的な見解ですが、上記基準―――人類への貢献―――に当てはめるのは無理があるように感じます。というのもそれは、万人に利益をもたらすものとはいえないから。つまり、本稿冒頭にご紹介した大村智先生が開発に携わった感染症の特効薬はこれに罹ったすべての人々を救いますが、経済理論は、たとえどれほど素晴らしいものであっても、それが適用可能なのは貨幣制度を導入している社会、それもほとんどの場合、国際通貨ハードカレンシー)を使用している国・地域に限定されるというようなことです(たとえば、北朝鮮みたいな国がノーベル経済学賞の受賞理論に忠実にしたがった経済政策[財政 and/or 金融政策]を実行したところで、単純にハイパーインフレが起こるだけでしょう・・・)。

 それに・・・科学技術や芸術等と違って経済理論はしょせん、過渡的なものに過ぎない―――人類がもう一段、スピリチュアルに進化し、戦争や貧困といった惑星地球の諸悪の根本原因たる「貨幣」無き世界を創造すれば、マネーを前提とした経済学そのものも不要となる―――わけで・・・。これらのへんが「人類への貢献」という基準にフィットしていないのではないか・・・

 さらにいえば、経済学賞を受賞した経済学者の理論が、意図されたものかどうかは別として結果的にノーベル賞の理念とは正反対の方向に、つまり人々の多くを「経済的」苦境に追い込むことに「貢献」してしまうことが(とりわけ最近は)多過ぎるということにも違和感を覚えるところ。

 たとえば、M・フリードマン氏(1976年受賞;ケインジアン的財政政策を批判する一方で市場の自由放任主義を唱える、等)の考え方は、レーガノミクスに代表される1980年代以降の新自由主義の理論的支柱となり、株主・投資家への利益集中と労働分配率の引き下げ等に正当性を与えることで米国民間における貧富差増大の端緒となりました。そしてP・グルーグマン氏(2008年受賞)が有効性を訴えるインフレ・ターゲット政策は、資産家層をリスク資産投資で潤わせる一方、わずかな現金・預貯金に頼る大半の人々の資産価値をインフレで劣化させることで、これまた格差を拡大する方向に作用しています(その典型が、「アベノミクス」日本です・・・?)。

 このあたりでもうひとつ指摘できるのは、1998年に起こったロシア経済危機のあおりで破綻したLTCM(Long-Term Capital Management)でしょう。これは、ノーベル経済学賞受賞者2人のロジックを実践するために作られたヘッジファンド(ようするに金もうけを目的とするファンド)で、理屈上はつぶれるはずがないはずだったのに実際には派手にコケてしまったという、何ともトホホな顛末をたどったものです・・・。

 これら多くの事例を振り返ってみて分かることは、ノーベル経済学賞の受賞理論(の多く)は、他のノーベル賞の理念「世のため人のため」とは真逆の、これまた先述の日本経済学と同様(?)の「カネのため自分のため」の方便(?)であること。受賞者ご本人にはその気はなかったのかもしれないけれど、これらの考え方が結局はそんな「利己」主義に一部の人々を導いたことは否定できないでしょう。これは、ノーベル賞の精神、そして経済学賞以外の同賞受賞者の「利他」のに背くもの・・・

 以上をふまえた個人的な提言を記して本稿を終わりにしたいと思います―――「ノーベル経済学賞は廃止するべきである」。

(「祝・ノーベル賞W受賞で唯一、経済学のトホホぶり」おわり)

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【金を持つことで分かる真の経済情勢】祝・ノーベル賞W受賞で唯一、経済学のトホホぶり⑥

2015-10-25 00:03:25 | 日本

(前回からの続き)

 ちなみに経済を見る目は、何も経済の専門教育を受けた人だけのものではなく、法学者や会計士はもちろん、物理学者とか音楽家などでも、その気になれば誰でも身に付けることができるもの。前記の理由に加え、そんな意味でもわが国の若い人が経済学を専攻するインセンティブは高くはないはずです。

 で、経済系の学部に行かなくても経済観を養う方法として個人的にお勧めなのは、「ゴールド)を持つこと」金を通じて世界を見ると、メディア報道、とりわけ日本の新聞やTVの伝えるところとは(多くの場合、まったく)違った内外の経済事情が実感できると思います。ということで現在16万円台と少し高いですが、1トロイオンス金貨を保有してみるのもよろしいかと・・・(自己責任でお願いいたします)。まあこのブログも、そんな金の眼鏡越しに見えたことを綴っているわけで、そのせいか、この国の(主流派)経済学の考え方(金や円よりもドル等の外貨のほうに高い価値を見出す考え方?)とはかなり違ったことを記してしまうことが多いですが・・・

 先日、文部科学省は国立大学について、人文社会学系の学部を大きく改編する方針を盛り込んだ来年度以降の中期目標・計画を発表しました。これですが、巷では文系軽視と捉えられたため、直後に文科省が、誤解を招いたなどと釈明をしたものの、実質的にはそのとおりの縮小化でしょう(もしこれが理工系教育の充実を意図するのであれば、こちらの記事等に書いた考えと一致するので個人的には賛成です)。で、同じ文系でも法学や文学などは別にして、経済学系に限ればこの方向性、つまり縮小等でOKと考えます。その理由はこれまで長々と書いたとおりです。これをきっかけに、当初は経済学部進学を検討していた有能な若年層が少しでも多くノーベル賞につながる分野(理、工、医、文など)をはじめとするフィールドに進路を変えてくれたら・・・なんて期待する次第です。

 ところで、上記文科省の計画に関連して滋賀大学の佐和隆光学長は、人文社会系の学派なくして批判精神なし、と語っています。批判精神・・・なるほど、その見地からも、やはり日本の経済学は存在意義を失いつつあるといえますね、100%礼賛なだけに、通貨安インフレを・・・

 ・・・などとあれこれ綴ってきましたが、本心をいえば個人的には残念でなりません・・・。というのも本来、経済学とりわけ日本経済を正しく捉えた視点に立つ経済学ほど興味深い学問ってないはずだから・・・

(続く)

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【「想定外」みんなで言っときゃ責められない!?】祝・ノーベル賞W受賞で唯一、経済学のトホホぶり⑤

2015-10-23 00:01:39 | 日本

(前回からの続き)

 今後、米欧中そして新興国の各種バブルがはじけて世界的な資産デフレが起こる可能性が高いでしょう。そのとき、「カブノミクス」(株のみ)と表現したように株高だけが取り柄の「アベノミクス」は日本株と外貨建て資産双方の価格急落という大きな危機に直面するはずです。なぜならアベノミクスは、年金基金半官半民の金融機関、高値で(?)ETFを買いまくる日銀などを通じて、あちらこちらでリスク資産投資に手を染めているからです。これらがおそらく多額の評価損を抱えるハメになって大問題に発展しそう(?)。あわせてそんなアベノミクスを100%支援してきた経済学者たちにも厳しい視線が注がれて・・・

 で、その際、日本経済学会は「想定外」というワードを連呼するのではないか、と予想しています。「このたびのリスク資産価額の急落はエコノミストの誰にとっても『想定外』の事態であった」みたいな感じです。世間的には経済専門家とみなされている人々100人が100人とも想定し得なかった、と言い訳すれば、株や外債の価格暴落も仕方がないな・・・ということになって、「年金原資がこんなに減っちゃったぞ!経済学者は危ない投資にわたしたちのオカネを突っ込むように仕向けた責任を取れ~!」みたいな批判の声が上がるのを防ぐことができますからね。もちろん上記バブル崩壊は想定外どころか素人目にも近い将来の出来事として発生確率がきわめて高いもの。ましてや経済学者なら、その危険性を事前に社会に広く警告して当然の立場のはずですが・・・

 それにしても・・・この国の経済学に将来はあるのだろうか、との疑念が募ります。繰り返しになりますが、そこにはアベノミクス以外に拠って立つところがなく、これがコケたら(資産バブルが崩壊したら)あとには何も残らないからです。そのとき経済学会は上述のやり方で責任追及を上手に逃れるのかもしれないけれど、経済学に対する幻滅が国民全体に広がるのは避けられないでしょう(って、円安インフレが国民生活を蝕むなか、大学入試の偏差値などにその兆しが表れているような気が・・・)。

 したがって個人的には・・・大学等への進学を予定している日本の若い人たちがいま、経済系の学部等を進学先に選ぶことはやめた方がよい、とすら思っています。その理由は上述のとおりで、付け加えると、おそらくこの先・・・アベノミクスの失敗(?)とともに、「経済学部卒」のステータスも下がると見込んでいるからです。そのかわり、同じ人文科学系では法学部や商学部等を進路に選択したほうが賢明だし、できることなら理工系の学部とか専門学校等に進んで新たな創造に携わってほしい。というのもそこには―――経済学以外のフィールドには―――本稿冒頭に書いたノーベル賞受賞者と同じ「世のため人のため」の志が息づいているためです。

(続く)

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【経済学だけが自由な考えを許さない!】祝・ノーベル賞W受賞で唯一、経済学のトホホぶり④

2015-10-21 00:02:53 | 日本

(前回からの続き)

 アベノミクス」礼賛一色に染まったこの国の(主流派)経済学者らは、その本来の理念である「経世済民」をすっかり忘れ、「カネのため自分のため」のロジックで日本を一握りのリッチ層と大多数の困窮層で構成される「アンチ一億総活躍社会」に換えようとしている―――前回、そんな見方を記しました。

 さらにいうと彼ら彼女らは「(アベノミクスは)100%正しい!」と断じる一方で、異なる考え方を一切受け付けようとしません。自然科学や文学・音楽など、日本のほとんどの学問等には無限の考察やアイディアそしてインスピレーションが満ち満ちている―――それらのなかからノーベル賞クラスの偉大な業績や人々を魅了する芸術が生まれるわけです。ただひとつ、経済学だけにはそうした自由闊達な学究的風土がない。なぜならアベノミクス(≒円安誘導とそれがもたらす資産効果とか格差拡大など)が100%で、それ以外に正しいものがないとみんなで結論付けているからです。自由な議論を封殺!―――このあたり、わが国のいまの経済学はすでに学問とは言えなくなりつつある・・・

 そんな環境のせいか(?)、たとえば某大学経済学部の、とあるゼミナールでは最近、次のような会話が聞かれるそうな・・・???

  学生「意図的な円安で石油価格を高くするのは生活に苦しむ人を増やすので問題では?」

  教授「アベノミクスつまり円安誘導は前から完璧といっておるじゃろ。ところで君は日銀で働きたいのじゃないのかね、ん?」

  学生「そ、そうでした、え、円安インフレばんざ~い・・・」

 ・・・そりゃそうでしょう、内心で何かおかしいと感じていても、権威ある教授に盾突いて落第にされたら有力官庁や大企業に就職できませんからね。もっとも、ここのゼミの学生は、権威には迎合するほうが身のため!という処世術は身に付きそうですが・・・(って、それも「カネのため自分のため」には大切なスキルかもしれないけれど・・・)

 以上、ヘンなたとえを綴りましたが、これがあながち的外れとも言い切れないと感じさせられるのが・・・日銀金融政策決定会合の雰囲気です。同会合ではここのところ毎回、現行の金融政策「量的質的金融緩和QQE)」をどうするかが主要テーマになるわけですが、委員9名(総裁、2副総裁、6審議委員)の審議結果はつねに8対1と、圧倒的大差でその継続が決定されています。

 アベノミクスとほぼ同義といえるQQEは俗に「異次元緩和」と呼ばれるように、その名に「異」の字が入るほどアク(?)の強いもの。事実、これが日本経済と国民生活にもたらしたのは、本ブログでさんざん紹介しているようなトホホなありさま・・・だと感じるところです、個人的には。したがって経済専門家が9名も揃えば、全員とはいかないまでもかなりの人数がQQEに対して反対なり修正等を主張するのが自然だと思うのですが、実際にそうしているのは木内登英審議委員だけで、あとの8名はオール賛成・・・

 このあたりに、同会合を支配する経済学の「これ(アベノミクス≒QQE)しかないだろ!」的な無言の圧力(?)を感じるわけです。まあそんな息苦しさのなかでQQEに物言いをつけるなんてホント、木内委員は度胸があるな(そしてもちろん、同委員のお考えのとおりだな)~と感心する次第ですが、同委員の任期は(個人的には残念なことに)2年後の2017年7月まで。ということはその後は9名全員がQQEにノーチェックでセイ・イエスでしょう・・・。これは日本にとって本当に危険に思えます。わたしからすれば、これほどツッコミどころ満載の金融政策に誰も一言も口を挟まない、いや挟めないって、やはりこの国の経済学は「異常」なくらい狭量だよ、とため息が出ちゃいますが・・・

 もっとも、世界(の資産&借金バブル)もアベノミクスも、2年先まで保つようには思えませんけどね・・・

(続く)

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【経済学、「一億総窮乏社会」をめざす!】祝・ノーベル賞W受賞で唯一、経済学のトホホぶり③

2015-10-19 00:01:19 | 日本

(前回からの続き)

 自然科学など、ノーベル賞に代表される輝かしい功績を重ねてきたこの国の発明・発見・創造は「世のため人のため」という研究者らの崇高なの賜物であるのに対し、唯一、(主流派の)経済学だけはこれとは正反対の「カネのため自分のため」という志、ではなくgreed(強欲)?によって突き動かされている―――前回、そんな見方を綴りました。

 で、これがどうして先述したことにつながるのか―――経済学が、他の学問等の有益な成果を無にしかねないほどのダメージをわが国に与えるのか―――の理由を以下に考えてみましょう。

 ご存知のとおり、そして本ブログのあちこちで書いているように、この国の経済学が「100%正しい」と絶賛する「アベノミクス」は現在、円安誘導を通じて通貨安インフレ(ブラジル等の新興国の人々が苦しんでいるものと同種の現象・・・)と「カブノミクス」(株のみ:一握りの金持ちだけをリスク資産投資で潤わせるもの、ただし成功の確率は低い・・・?)等を通じて日本を貧富差の大きな社会に転換しようとしているわけです。

 で、経済学がそう目論むとおりになるとわが国は・・・

 ・教育格差と貧困が広がり、若人の多くが希望する進路を断念せざるを得なくなって、将来のノーベル賞受賞者とか世界的な芸術家、演奏家、ダンサー等が誕生する可能性が大きく失われる

 ・「苦しむ人たちを助けたい」という善意の情熱でせっかく生み出された科学技術(たとえばiPS細胞を使った新治療法など)の恩恵がリッチな人だけに独占され、大多数の国民には行き渡らない(先進治療の多くが自由診療[保険適用外]扱いの「高嶺の花」になる、など)

・・・みたいなことになってしまう・・・

 こうして、アベノミクスの神輿をこぞって担ぐこの国の経済学は、経済学以外の学問等が苦闘の末にもたらした「世のため人のため」の成果の人々への浸透を阻害するばかりか、円安インフレが引き起こす国民窮乏化によって若い才能が花開くチャンスを早々と断つことで未来の偉業の芽を摘むようなことをしていることになります。

 そのような意味で・・・アベノミクスとこれに加担するばかりの日本経済学はいま、皮肉なことに経世済民とは正反対の「一億総窮乏社会」(=アンチ一億総活躍社会?)の構築に貢献しているといえるのではないか・・・。そんな社会では「カネのため自分のため」となるのも無理はないでしょう。なぜならここで「世のため人のため」なんてきれいごとを言っていたら自分が食えなくなるからね・・・

(続く)

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【自然科学「人のため」経済学「自分のため」】祝・ノーベル賞W受賞で唯一、経済学のトホホぶり②

2015-10-17 00:02:24 | 日本

(前回からの続き)

 前回、今年の日本人のノーベル賞ダブル受賞(医学・生理学賞と物理学賞)に関連し、わが国の学究水準と業績はほとんどすべてのジャンルにおいて世界最高峰に達しているなかで唯一、「経済学」だけが大きく劣っている、という個人的な印象を綴りました。

 このようすを「日本」をひとつの大学になぞらえてみたとき、文学部、理学部、工学部、農学部、医学部、芸術学部などはどこも一流なのに、経済学部だけが「お荷物」になっている・・・どころか他の学部が成し遂げた輝かしい成果を無にしかねないほどの害毒を発している、といった感じ・・・。まあ「天は二物を与えず」というように神さまは、「自然科学」などをまとめてプラスにするかわりに「経済学」だけを超マイナスにすることで日本国の学問レベル全体を他国と比較して突出し過ぎないように、と配慮して下さっているに違いない!・・・なんて半ば本気でそう思っています。

 以前もこちらの記事に書きましたが、同じ人文科学でも法学とか会計学などと違って経済学は実学ではなく理論を考察するもの。ということでその理論が大切になりますが、内容がどんなものであっても根底には、すべてのノーベル賞日本人受賞者の胸の内と同じく、「世のため人のため」という崇高な理念があってしかるべき。というのも経済学とは、もともと「経世済民」(世を経(おさ)め民を済(すく)う)ための学問だった(過去形)からです。

 ではこの経世済民≒「世のため人のため」に照らしていまの日本の主流派経済理論・・・を体現した「アベノミクス」はどうかといえば・・・まったく逆としかいいようがないでしょう。本ブログでさんざん書いているところですが、「100%正しい」などと経済学会がこぞって絶賛するアベノミクスのやったことは、マイナス金利&円安誘導、輸入必需品(エネルギー費&食費)の意図的な値上げ、そんななかでの消費税率引き上げ敢行など。これによってもたらされたのは・・・マクロ経済的には経常収支の悪化、世界史的な超マイナス成長国富の著しい喪失などであり、ミクロ面では実質賃金の低下、エンゲル係数の上昇、これらを通じた貧富差の拡大子どもの貧困状態の悪化、などなどの「世のため人のため」とは真逆の悲惨なありさま・・・

 いや、プラスになり得る要素がひとつだけ(?)あった、「カブノミクス」が―――ということでアベノミクスは、インフレで円の現金・預貯金が時間とともにどんどん目減りしちゃうよ~と、一握りのお金持ちを株に代表されるリスク資産投資に駆り立てます。で、なかにはそれなりに潤う人も出てくるわけで(もちろん理屈上、少なくとも半数?は逆に損をしてしまうが)・・・。

 で、この意味することは・・・アベノミクスに託す(?)日本経済学の理念とは・・・「カネのため自分のため・・・

(続く)

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【お二人の栄誉を大いに称えたい】祝・ノーベル賞W受賞で唯一、経済学のトホホぶり①

2015-10-15 00:03:51 | 日本

 今年のノーベル賞において2人の日本人―――大村智・北里大特別栄誉教授が医学・生理学賞を、梶田隆章・東大宇宙線研究所長が物理学賞をそれぞれ受賞されました。お二人の偉大な業績に心から敬意を表し、その栄誉を大いにたたえたいと思います。

 大村先生が苦難の末に開発に成功した感染症特効薬は熱帯地方の10億人の命を救ったといわれます。梶田先生はニュートリノに質量があることを証明し、宇宙物理学のブレイクスルーに貢献されました。分野こそ違いますが、ご両名に共通するのは「世のため人のため」というの気高さ。これこそ世界最高賞にお二人を至らしめた最大の原動力でしょう。

 それにしても、今回を含む近年の日本人のノーベル賞受賞ラッシュは、わが国の科学技術力の高さを証明するもので、たいへん好ましいことと思います。しかも2000年以降、医学・生理学賞2名、化学賞6名、物理学賞8名と、各賞をまんべんなく受賞しているのも立派なこと(受賞時に他国籍の方も含む)。これはわが国の自然科学分野全般の研究や成果がトップクラスの水準にあるとともに、人類の進歩に大きく貢献していることを示すものです。

 もちろん自然科学だけではありません。「もののあはれ」に起源をもつ日本文学もまた、世界各国で広く評価されているところです。今回は残念でしたが、川端康成氏、大江健三郎氏に続き、村上春樹氏(あるいは他の日本人作家)が日本人3番目の文学賞の受賞者になる日もそれほど遠くないことでしょう。

 さらにいえば・・・ノーベル賞のジャンルにこそないものの、芸術等の分野でも日本人の活躍は顕著です。音楽や舞踏などの有名なコンクールでは毎年のように多数の日本人が上位の受賞者に名を連ねます。彼ら彼女ら、将来有望な若き才能が、わたしたち日本人が持つ感性で世界中の人々を魅了することを期待したいですね。

 こうしてみると、日本の各界の業績はあらためて世界の一級品だと感じます。このようすを大学の学部でたとえると、文学部、理学部、工学部、農学部、医学部、そして芸術学部と、どこにもピカ一のものがある、といったあたり。これほどの学究環境を築き上げた日本という国は稀有であり、本当に素晴らしいと思います。だからこそ若い人にとっては、語学や芸術などの特殊な分野を除けば、日本の大学あるいは教育機関を進路に選ぶのが賢明だと考える次第です。

 しかし・・・あらゆる学問領域がノーベル賞レベルに達しているわが国にも例外―――自然科学などと比べて見劣りするどころか逆に人類の進歩や世界・日本の発展の足を引っ張るような分野―――があったりします。それが・・・「経済学ではないか・・・

(続く)

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【アベノミクスは診断・治療法を間違えている!?】なぜアベノミクスのインフレは悪質なのか⑧

2015-10-13 00:01:53 | 日本

前回からの続き)

 ちなみにアベノミクス」(≒日銀「異次元緩和」を通じた円安誘導)は前回までに書いた、円高デフレの恩恵を利した場合の政策が打てません。というのもアベノミクスは、本当ならこの国益増進に使えるはずの円貨を空しく対外流出させるばかりか、毒でしかない通貨安インフレで生活費を急騰させて個人消費を冷え込ませるとともに、それによって増税への耐久力を国民から奪うためです(だから消費税率の引き上げは困難となり、財政再建も遅れてしまう)・・・

 結局のところアベノミクスは、アメリカがやっていること(≒リフレ政策)だから日本もやればいいんじゃね?という情緒的なノリで、わが国の経済状態について、はじめから診断ミスをしているといえそうです。これは、高血圧の人向けの血圧降下剤を低血圧の人に服用させるようなもの・・・。

 かくして、間違った診断に基づいて間違った処方を受けた大和撫子の症状は悪化するばかり・・・で、「おかしいな・・・じゃ、もっと強い緩和剤、じゃなくて降下剤を追加しときますからね~」(by クロダ先生)、セカンドオピニオンの結果は、緩和剤もとい降下剤治療は「100%正しいです」(by タケナカ先生)、そしてとどめは「これしかありません」(by アベ先生)ときたもんだ・・・

 ああ、このままだと日本経済は、よりによって経済科の(?)「〇〇医者」たちにボロボロにされてしまうよ~・・・って、じつはそれがねらいだったりしてね、「これしかない」そうだから・・・!?

(「なぜアベノミクスのインフレは悪質なのか」おわり)

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【日本の政策は欧米と180度違って当然】なぜアベノミクスのインフレは悪質なのか⑦

2015-10-11 00:01:00 | 日本

前回からの続き)

 これまで長々と綴ってきたように、わが国においては安倍政権黒田日銀が目論む通貨安リフレーションは弊害のほうが圧倒的に大きいため、政策として選択されるべきではないと考えています。

 そもそもインフレ政策とは、本来はアメリカに代表される債務国経常赤字国向けの政策のはず。なぜなら、インフレすなわち通貨価値の下落こそは債務負担の軽減にもっとも望ましい現象だから。そこで採用されるのが、通貨量を増やすための超緩和的な「金融政策」(QEとなります。いうまでもなくこれは劇薬。マネーのバラマキが制御不能の資産バブル(およびその崩壊がもたらす激しい資産デフレ)やハイパー・インフレそして金利の急騰を引き起こす巨大リスクがあるわけです。現にアメリカはその恐怖に耐えられず、この薬物依存から抜けられなくなっている(利上げなど、反インフレ策への転換が絶望的となっている)とみなすべきでしょう。

 日本は、そんなアメリカなどとは真逆の経済環境にあります。つまりわが国は債権国であり、経常黒字国であり、貯蓄超過だということ。しかも米欧中よりも有利なことにわが国は、すでに資産バブルの後始末を終え、金融システムも基本的に健全です(一部、リスキーな外貨建て資産投資にのめり込んでいる?半官半民の金融機関は要注意だが・・・)。だから主要政策もアメリカとは180度異なるものとなって当然のはずです。

 まずは「財政政策」が考えられます。世界的な資金運用難のなか(というか、円>ドル>ユーロ>新興国通貨」で実質利回りが最高の日本の観点からマトモな運用対象が世界のどこにも見当たらないなか)、そして民間の資金需要が乏しいなかで日本政府は、アメリカみたいに何もQE(中銀による事実上の財政ファイナンス)に頼ることなく、おのずと低金利で当該貯蓄を借り受けることができます。これを活用して、たとえば対象を厳選した公共投資を行えば有意義な景気対策になるし、わが国の老朽インフラの更新・再生を進めることもできるでしょう(これに対し、金利急騰等が怖いので?十分な財政出動ができない純債務国アメリカのインフラはいま、道路、橋、空港、鉄道・・・どれもとっても、ボロボロです・・・)。

 そして通貨高デフレの恩恵を日本人同士で分かち合うことで経済発展に活かすこと。先述のような、円高で外国への支払いが浮いたおカネを勤労者の賃金アップや国家の財政強化に回すという手です。これらの達成をめざす政策を無理のない範囲で、つまりインフレが起こらない程度に実行すれば、円高エネルギー安&輸入食材価格低下との相乗効果でGDPの6割を占める日本の個人消費は息を吹き返すとともに、財政再建のほうも少しずつ進展するでしょう。

続く

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