世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
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どうするべきか資産の運用(この5年間を振り返る)③

2012-08-29 00:03:42 | 金(ゴールド)

(前回からの続き)



 本稿では表題に関連して、①金(ゴールド)、②預貯金(円)、③外貨(ドル、ユーロ等)、④株式(日経平均・ダウ平均)のそれぞれの価格の推移を概観しています(上記グラフ)。はじめに①の金と②の預貯金(円)から。

①金(ゴールド)
 まさに一目瞭然。この5年間に最高のパフォーマンスを示した投資対象は(ゴールド)という結果となりました。5年前から1.5倍以上の値上がり(100→156.4)となっています。これらの背景や推移の詳細などについては前回の投稿「金価格で測った各通貨(各中央銀行)のパフォーマンス 」をご覧ください。

 一方、ドル建ての金価格は同時期に約2.4倍(665.3→1,596.7ドル/トロイオンス)もの上昇となっています。円建て同価格上昇率の約1.6倍です。この差は為替の差。この間、1ドル121.7円から79.3円へと、円はドルに対して1.5倍以上もの上げとなりました。これも先日書いたとおり、金価格で測定した同期間の通貨の価値保全力の比較で、主要通貨中、円が最も高かったことによるものです。金の円建て価格の上昇率はどの外貨建て価格よりも小さいけれど、逆にいえばそれだけ日本人は金を最も有利な環境で買える立場にあるといえそうです。

②円建ての預貯金
 金に続く価値増加率で第2位の資産は円建ての預貯金となります。要するに日本国債といってもよいかと思います。上記グラフに預貯金のデータはありませんが、5年前、どの預貯金を選択していたとしても、現在の預貯金価格はおそらく元本の100にほんの少し毛が生えた程度と思われます。ご存知の通り、この数年間のわが国の預貯金金利は年率1%を切る超低金利となっているからです(ちなみに現時点の銀行普通預金金利は年0.020%!)。

 それでもここで重要なことは、預貯金には元本割れがないこと。受け取る利息の額はほんのわずかかもしれないけれど、もし5年前に後述するようなリスク資産(外貨、株式)を買っていたら、資産が増えるどころか元本割れとなり、大きな損失が生じていたところでした。その意味では、円預貯金は、元本がしっかり保全され、しかも利息が付く分だけ、このリスクオフの環境では有り難かったと考えるべきなのでしょう。

 ちなみにわが国のこの5年間の通算のインフレ率はほぼ0%。したがって微々たる金利収入しか得られなかったとしても、この間、堅実に円の預貯金をしておけば資産価値を保つことはできたということができそうです。極端な話、「たんす預金」(当然、利息はゼロ)でも外貨を買って損をするよりはよっぽどよかった、ということになりますね。

 現在の日銀の金融政策には批判も多いようですが、ある意味、少なくとも物価の安定や円の購買力維持の観点からは、日銀はこの期間、適切な通貨管理を行ってきたということができそうだと思っています。

(続く)

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どうするべきか資産の運用(この5年間を振り返る)②

2012-08-27 00:00:05 | 金(ゴールド)

(前回からの続き)


 上のグラフは、金(ゴールド)、外貨(ドル、ユーロ、豪ドル)、株式(日経平均、ダウ平均株価[円換算])の2007年7月時点の円換算の価格をそれぞれ100としたときの、その後の各月平均価格の百分率をプロットしたものです。金価格(円建て)については消費税抜き価格、日経平均株価は日経225種平均株価、ダウ平均株価は米NY市場ダウ工業株30種平均に当該月の平均円ドルレートを乗じて算出しています。

 結論から先に記せば、直近(2012年6月時点)における2007年7月価格に対する各資産の価格は次のようになります。

 プラス  1位:金(ゴールド):156.4
       2位:日本円の預貯金:ほぼ100(たんす預金の場合)
 -----------------------------------------------------------
 マイナス 3位:豪ドル:74.9
       4位:米ドル:65.2
       5位:ダウ平均(円換算):63.5
       6位:ユーロ:59.6
       7位:日経平均:52.2

 というわけで、この期間がいかに運用難の時期だったかを窺い知れる結果となっています。何せ2007年夏から5年後の現在、元本の100を上回ったのは(ゴールド)と円の預貯金だけなのですから。その一方、本来ならば金融のプロが運用の腕を競うべき投資対象である外貨外債株式といったリスク資産の価値が軒並みマイナス(元本割れ)となっています。

 次回以降、上記の各資産について、①金(ゴールド)、②預貯金(円)、③外貨(ドル、ユーロ等)、④株式(日経平均・ダウ平均)として、それぞれの価格の推移を概観してみたいと思います。

(続く)

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どうするべきか資産の運用(この5年間を振り返る)①

2012-08-25 00:03:11 | 金(ゴールド)

 先日来、このブログで2007年7月から現在までの5年間の各国通貨の円や金(ゴールド)に対する価値の推移を書いてきました。

 以前にも記したように、この「5年間」にこだわっているのは、起点とした5年前の2007年の夏が世界金融マーケットにおけるそれまでの「リスクオン」から現在に至る「リスクオフ」への大きなターニングポイントとなったタイミングだからです。この年の8月、フランスの大手銀行BNPパリバが同行傘下のファンドの解約凍結を発表したことがきっかけで、世界中でアメリカの「サブプライムローン」に対する投資家の懸念が一気に高まり、ドル、ユーロなどの通貨が円に対して急落しました。以来5年間にわたって、世界(おもに欧米)の金融市場はアメリカの住宅ローン問題や欧州PIIGS諸国のソブリン危機などの影響を受けて動揺し続けています。

 当然ながらこの長いリスクオフ期間では、リスク資産とされる各国の株式は売られて価格が低迷する一方、安全資産にマネーが集まって(ゴールド)や国債(PIIGS諸国債などを除く)の価格が上昇(利回りが低下)しました。また金融市場の混乱や景気後退入りを防ぐために、FRBやECBをはじめとする世界中の中央銀行が政策金利を下げてきたほか、非伝統的な金融政策(国債等の買い入れをベースとする量的緩和策など)を展開してきました。

 そして為替の方も、当時最も低金利だった(いまでもそうですが)日本円を借りて高金利通貨で運用するキャリートレードの巻き戻しが一気に始まったこと、そして上記金融緩和策によってドルやユーロ等の通貨価値の希薄化が進んだことなどから、円が買われて(外貨が売られて)円高外貨安となり、その傾向は現在も続いています。

 ところで、こうした情勢下では、資産運用のおもな対象も、それ以前のハイリスク・ハイリターンなリスク資産(株式や不動産など)から一転し、債券を主体としたローリスク・ローリターンなリスクオフ資産へ大きくシフトしました。金融政策や為替動向と同様、まさに180度の転換です。とくにわが国における資産運用環境は、それ以前からの低金利に加え、株価や外貨の下落などもあり、現時点も含めてなかなかに難しい状態ということができそうです。

 先日、この同じ5年間の国債AAA格通貨の対円価格および主要通貨の対金価格の推移について記してみましたが、本稿では、前段で「この期間、投資対象としての各資産の価格はどのように変遷したのか」について、そして後段では「この先、どの資産に投資すれば高い利益率を享受できるか」について、それぞれ私的な考察を進めていきたいと思います。

(続く)

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金価格で測った各通貨(各中央銀行)のパフォーマンス④

2012-08-23 00:03:07 | 金(ゴールド)

(前回からの続き)

 ということで、金価格から見た各通貨(各中央銀行の金融節度)の通信簿の「成績」を見てきましたが、あらためて現時点で評価の高い順に並べると、

 円、スイスフラン、中国人民元、豪ドル、ドル、ユーロ、韓国ウォン、ポンド

という結果になりました。これまで何度か紹介しているサブプライム問題後(2007年夏~)のリスクオフの不等式「金>円>ドル>ユーロ>新興国通貨」にほぼ一致する序列となっていることが分かります。

 ところで大事なのは、上記通信簿の「成績」が今後どのようになっていくか、ということ。これまでの成績がどんなに良くても、これからの金融政策次第ではいくらでも成績の上下があり得ます。

 このあたりについては、こちら(「リスクオフ深刻化のプロセスと金(ゴールド)との関係 )に書いたような理由から、今後、円を含むすべての通貨の金価格に対する価値が低下していく(すべての通貨建ての金価格が上昇していく)と予想しています。つまりどの中央銀行の「成績」も今より下がるだろうということです。

 とくに金価格に対する下落幅が大きくなりそうな通貨が、近い将来、大々的な量的緩和が想定されるドルやユーロあたりではないでしょうか。したがってFRBやECBの「成績」は顕著に下がるリスクがあるものとみています。

 一方、通貨価値の金に対する減価率が最も小幅に止まるのは、「金>円>ドル>ユーロ」のリスクオフモードがますます強まりそうなことから、引き続き「」となるでしょう。その次はスイスフランあたりでしょうか(SNBがフラン売りユーロ買い為替介入を断念すれば円以上に価値を保つ通貨となるかも)。

 そういった意味では、金価格で測った中央銀行の通信簿においていちばん成績が良いのは、いままでもこれからも「日銀(円)」ということになるのでしょう。もっとも日本政府・日銀ともに、減価を続ける外貨にお付き合いするかたちで金融緩和(円の増刷)を継続しそうだから、円建て金価格は上昇していく可能性が高そうだと思っているのですが、はたして・・・?

(「金価格で測った各通貨(各中央銀行)のパフォーマンス」おわり)

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金価格で測った各通貨(各中央銀行)のパフォーマンス③

2012-08-21 00:04:45 | 金(ゴールド)

(前回からの続き)

 前回、金価格をベースに、この5年間の各通貨の変動推移を概観してきました。ではこれに基づいて「通信簿」風に各通貨(および各中央銀行の金融管理の節度)に評価を与えてみましょう。

 当然ながら成績の良し悪しは各通貨の金価格に対する減価率の大小で測られます。減価率が小さければ、それだけその通貨は購買力や価値の保全力が高いことを意味します。そして当該通貨を発行する国の政府および中央銀行の金融節度も高く保たれている(物価や金融システムが相対的に安定している)ことを示しているといえるでしょう。

 第1位は何といっても「(日銀)で決まりですね。2007年7月以来の金価格に対する減価率は、他の通貨が50%に近いかそれ以上となっているのに対し、円だけは約36%の減価に留まっています(円建て金価格の上昇率は最も低い約56%)。

 さらに、上記グラフを見ると、この5年間で金価格に対する減価率が2008年のリーマンショック直後の一時期を除いて一度も他国の通貨を上回ったことがありません。ドルやユーロに対しては当然として、最も安全とされるスイスフランと比べても対金価格の減価率は小さくなっています。つまりこの間、円は他国の通貨に対して一貫して円高傾向をたどってきていることを示しています(まあこのあたりは円高悪者論者が以前より問題としているところですが、ここではあくまで金価格に対する各通貨[各中央銀行]の「通信簿」の成績を見ているので、円高の功罪に関する論考は本稿では行わないことにします)。

 円に続く第2位は「スイスフラン(SNB)でしょう。同減価率は約47%(スイスフラン建て金価格上昇率は約90%)と、わが国には及びませんが、ドルやユーロ建て価格の減価率を大きく下回っています。もしSNBがユーロ買いフラン売り為替介入を行っていなければこの数値はおそらくもっと小さいものになっていたでしょう。さすがは金融立国スイスといったところでしょうか。長年にわたる金融業の信頼やノウハウ等の蓄積に立脚した適切な通貨管理がいまも世界中から信認されている様子が窺われます。

 円、そしてスイスフラン以下の序列は、中国人民元、豪ドル、米ドル、ユ-ロなどとなっています。

 中国人民元がこの位置にあることが注目されます。最近はドルやユーロよりも人民元が金を買いやすいポジションに上昇してきているということでしょうか。中国は、米ドル(米国債)に偏った外貨準備の多様化を進めているほか、歴史的に見て市民の金に対する選好度が高いこともあり、今後もこうした有利な環境を活かして金購入量を増やしていくものと推測しています。

 昨年後半あたりから世界的な金融不安の最大の焦点が欧州に移っていることから、金価格に対するドルとユーロの減価率を比較すると、最近はドルよりもユーロのほうが大きくなっていることが分かります。ギリシャやスペインなどの救済策をめぐるゴタゴタ振りを見ていると、今後もユーロがドルや円に対して下落していく可能性が高いでしょう。したがって当然ながら金価格に対するユーロの下落率はドルや円よりも相対的に大きくなると思われます。

 それにしても何ともなさけないのは英ポンドですね。金価格に対する下落幅は、円やスイスフランはともかく、ドルや動揺するユーロを上回り、通貨安政策を取る韓国ウォン並みの大きさです。先日も書きましたが、これほどに価値保全を果たせない通貨を発行する国の国債(英国債)がどうして最高格のAAAなのか、本当に不思議です。

(続く)

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金価格で測った各通貨(各中央銀行)のパフォーマンス②

2012-08-19 00:03:56 | 金(ゴールド)

(前回からの続き)



 上記のグラフは、2007年7月時点の各通貨建て金価格をそれぞれ100として、同月以降2012年6月までの各月の同金額で買える金の量を%で示したものです(各値は各月の平均為替レートおよび各月の平均金価格で算出)。まさにこの5年間の各通貨を発行する各中央銀行の月次通信簿といったところでしょうか。

 これを時系列に沿って見ていくといろいろ興味深いことが分かります。

 まずは、アメリカの住宅価格が下落し始めて「サブプライム問題」が深刻化し始めた2007年の夏から1年後の2008年半ばあたりまでは、どの通貨も金に対して一様に減価してきていることが分かります。

 そして2008年秋に「リーマン・ショック」が起こると、世界的に金融システムが激しく動揺し、資金繰りの観点から流動性へのニーズ(とくにドルに対するニーズ)が一気に高まったことから、金に対してドルが買われたことでドル建ての金価格が下がりました。そのため、金価格に対してドル、スイスフラン、そして円が上昇しています。とくに円は金価格に対して最も上昇(円建て金価格が下落)し、この時期は主要通貨で唯一、2007年7月の円/金を上回っています。

 これに対し、ユーロや英ポンドなどの通貨は、流動性への避難が顕著となったこの時期でも円やドルほどにはマネーを引き寄せることができなかったようで、金価格に対して横ばいか下落となっています(ユーロ建て・ポンド建ての金価格は横ばいから上昇に転じています)。

 リーマンショック後の2009年から昨年末くらいまでは、その後の米経済の不透明感や欧州ソブリン不安の高まり、およびこれに対応するかたちで実施されたさまざまな金融緩和策などの影響から金に対するマネーの価値が下がり、すべての通貨に対して金価格がおおむね一貫して上昇してきている様子が窺えます。とくに昨年8~9月ころには金価格が史上最高の1トロイオンス約1900ドルまで上昇しています(つまりドルを筆頭に各通貨の対金価格が大きく下がりました)。

 昨年秋~現在(2012年夏)までの期間は、「リスクオフ」の焦点がユーロに集中してきています。つまり欧州PIIGS諸国のソブリン危機がますます深刻化し、ユーロへの信認が揺らぐ中で、ドル、ポンド、そして円がユーロに対して買われています(ユーロがドルや円に対して下落しています)。一方でドルの代替通貨としての色合いを持つ金価格はやや下がって1トロイオンス1500ドル台~1600ドル台と、昨秋の最高値から15%程度低いレベルとなっています。

 そのため主要通貨の対金レートは逆に昨秋の水準から少しばかり上がってきています。昨年9月実績から同月金価格に対して一番上昇した通貨は中国人民元で上昇率は約12%でした。次いでドルの約11%、ポンドの約9%などとなっています(円は約7%)。

 これらに対してユーロおよびスイスフラン建ての金価格は昨秋とほぼ同じ水準。これは、ユーロについてはこの間に対ドルで減価しているためであり、スイスフランについては、スイス国立銀行(SNB)が同時期に1ユーロ=1.2フランのラインでの無制限のフラン売り為替介入をするとしてきているため、対ユーロのレートが大きく変化しなかったことによるものでしょう。

(続く)

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金価格で測った各通貨(各中央銀行)のパフォーマンス①

2012-08-17 00:02:02 | 金(ゴールド)

 かつて日銀の高官が、とある国際会議の席上で、金価格は中央銀行の通信簿のようなもの、というような趣旨のスピーチをしたことがあるそうです。「中央銀行が節度ある金融政策を行っていれば、国民は自国通貨を信頼し、無国籍通貨としての金(ゴールド)を買おうとはしない。ところが昨今は世界的に金価格が高騰している。これは各国通貨に対する信認の低下、つまり各中央銀行の通信簿の評価が芳しくないことを示すもの。そのことを肝に銘じておきたい」といったことのようです。

 アメリカのQE(量的緩和)やツイストオペ、ヨーロッパのLTRO(長期資金供給オペ)やPIIGS諸国の国債買い入れ、そして日銀の2月以降の金融緩和策などに代表されるように、新興国の利下げなどを含め、いま、世界中の中央銀行が量的緩和をベースとした金融政策を展開しています。

 これまでも書いてきたように、この金融政策の本質はマネーのバラマキ。つまりは同政策の重大な副作用として、単位あたりのお金の実質価値の低下とインフレがもたらされることとなります。巨額の債務返済の負担にあえぐ欧米大企業、そして何よりも国家は、インフレによって借金の実質負担を軽減できるメリットを享受できますが、一般市民にとっては、ほとんどの場合、収入の増加率よりもずっと高い上昇率となる物価高に生活を脅かされることになります。

 このような金融緩和を通じたインフレ政策で通貨に対する信頼が下がり、その裏返しとして、有史以来の世界共通通貨である金(ゴールド)の価格が上昇を続けています。その意味では、冒頭の表現どおり、まさに金価格は各中央銀行の金融節度の度合いを反映する評価基準となり得るといえるでしょう。

 その評価がどのように推移してきているのか、について、次回以降、今般の世界金融不安のきっかけとなった米サブプライム問題の顕在化(2007年夏~)以降の主要通貨の金価格に対する変動の様子を辿りながら、金価格を評価のベースにした各主要通貨(各主要中央銀行)の通信簿の「成績」を見ていくことにしたいと思います。

(続く)

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雑感:終戦記念日

2012-08-15 00:02:03 | 日本

 今日は終戦記念日。

 わが国は戦後67年間、国権の発動に基づく戦争を行っていないし、国家として一人の外国人も殺傷していません。「正義」―――戦争に関与している国々が好んで使うこの言葉を日本人があまり口にしないのは、その必要がないからではないでしょうか。

 「支えてくれた多くの人たちに感謝したい。」―――競技を終えたすべてのオリンピック日本代表選手は必ずこう言いました。サッカー日本代表チームは「フェアプレー賞」の常連、そして日本人サポーターのマナーの良さには定評があります。そんな若い彼ら彼女ら、そして周囲の人々が引っ張るこれからの日本の未来はきっと大丈夫でしょう。

 英BBCが各国マスコミと共同で行った「世界に良い影響を与えている国」に関する世論調査で、そのトップとなったのはわが国でした。昨年、シンガポールのNPOが実施した「他者に最も親切だと思う国」意識調査で第一位に選ばれたのも日本でした。

 わが国には約1.3億人もの様々な人々がいます。一人ひとりが異なった価値観や考え方を持っています。それでも、その総体としての日本人が上記のように振る舞い、そして世界中から評価されていることをわたしたちは知っていてもいいと思います。

 「戦後」についてはいろいろな見方や批評はあるかもしれないけれど、「クール・ジャパン」に象徴されるように、わたしたち戦後の日本人には、新しい世界の担い手となる資質と品格が備わっていると思っています。

(「雑感:終戦記念日」おわり)


 過日、伊勢神宮に参拝し、国家安泰を祈念しました。写真は外宮(豊受大神宮)正宮。

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ドル(米国債)が取り持つ米中関係③

2012-08-13 00:00:23 | 世界共通

(前回からの続き)

 ドル・米国債を巡る米中両国の駆け引きからはこれからも目が離せませんが、貿易・財政の巨大赤字を抱えるアメリカとしては今後もチャイナマネーを借り入れたいし、中国としても「ドル本位制」(人民元売り為替介入等)を維持してこれからも貿易黒字を稼ぎ続けたい、といった思惑がそれぞれにあることでしょう

 結局、両国ともにドル基軸通貨制のメリットを享受していることから、この持ちつ持たれつの関係は今後もしばらくは続きそうです。つまり、両国が決定的な対立関係に陥る可能性は低そうだということ。わが国としても、米中関係を見るときは、人権問題やミリタリーバランスなどの論点の如何によらず、その根幹に両国のこのマネーの貸し借りの関係があることを忘れてはならないと思います。

 そんな米中両国にとっていちばん怖いのはドルの暴落。世界一かつ慢性的な経常赤字国であるアメリカにとっては中国などの海外マネーのキャピタルフライトや金利の急騰は何としても避けたいところ。中国にとっても虎の子の外貨準備がドルの急激な減価で大きく目減りする事態は同国の経済力を揺るがす危機に直結しかねないはず。

 だから、決してそんなことにならないよう、せっせとドル(米国債)を買い入れて結果的にドル不安の発生を防いでいるのは中国なのかもしれないな、などと思っています(これまではその役割はわが国が担ってきたわけですが)。もっとも今後、世界的な金融不安やリセッションがさらに深化し、アメリカがQE3(量的緩和第3弾)を発動してドルの価値希薄化をさらに進めたりしたらどうなるか分かりませんが・・・。

 なお、日本の外貨準備も1.3兆ドル近くと、中国ほどではないにせよ十分に巨額なレベルといえそうですが、最近のリスクオフモードのなかでは通貨の序列が「(金>)円>ドル>ユーロ>新興国通貨」となるために、ドルを筆頭にほぼすべての外貨が円に対して目減りしているものと考えられます。当然、利息相当額の受け取りはありますが、とてもその目減り分(為替差損分)を埋め合わせるほどにはならないでしょう。だから単純に「外貨準備が多い(増えた)!」などと喜んでいる場合ではありません。

 不思議なのは、これほどに外貨が減価して為替差損額が積み上がっていると推測されるのに、わが国にはそれを問題にする風潮がないこと。消費増税議論で分かるように、多くの政治家や大企業経営者、経済学者等が財政赤字の拡大にたいへんネガティブになっているにもかかわらず、円売りドル買い為替介入や(これから実施されるかもしれない)日銀による外債買いのデメリットとしての為替差損の累増リスク(=重大な国富の損失)を指摘する声がほとんど上がりません。

 わが国としては、今後も目減りする可能性の高い外貨準備を過度に増やすことの是非を早急に議論したうえで、そのマイナス面を是正するための対策として、当該外貨を原資とした公共インフラ整備事業を行うか(それによって建設される設備は国家資産となる)、今後も一定額の外貨を持ち続けるのならば、それらのこれ以上の減価を避けるため、「金>円>外貨」の不等式に基づいて世界共通通貨としての金(ゴールド)の全外貨準備に占める割合を高めるなどのリスクヘッジをすべきと思っています。

(「ドル(米国債)が取り持つ米中関係」おわり)

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ドル(米国債)が取り持つ米中関係②

2012-08-11 00:01:49 | 世界共通

(前回からの続き)

 中国の強さの源泉であるこのドル資産(米国債)ですが、アメリカとしてはこれを安全保障の観点から見た脅威とみなしていることでしょう。おそらく「どうしたら中国のマネーの力を抑制できるか」がアメリカの国家戦略上の重要課題となっているものと推察されます。

 その対策としてまず考えられるのは、増え続ける中国の対米貿易黒字を抑制することでしょう。そのための有効な手がいうまでもなく為替政策

 1980年代、アメリカは巨額の対日貿易赤字に苦しむ中で「プラザ合意」(1985年9月)によって急激な円高ドル安を演出して同赤字額の削減と日本産業の構造変化(自動車メーカーの米本土への直接投資等)を促しました。

 これと同様の流れに中国を持っていこうとしているためなのか、アメリカは中国に対してたびたび人民元のドルに対する切り上げを要求しています。実際、米財務省が半期に一度発表する為替政策報告書では、最近はいつも中国が為替操作国に認定されるかどうかに注目が集まります。米議会からも繰り返し「人民元の対ドルレートを切り上げよ!」といった声が上がります。

 このあたり中国は日本よりはずっとしたたかな感じ。アメリカのこうした要求に対しては人民元の対ドルレートをほんの少し切り上げるくらいでお茶を濁しています。中国は、プラザ合意後の日本経済の成り行きを重要な教訓にして、通貨高がもたらす輸出減少や産業空洞化(国内雇用の縮小)を回避するため、今後も当面は人民元の「ドル本位制」を継続し、対ドルレートの激変をもたらしかねない人民元の取引自由化は進めようとはしないつもりでしょう

 そしてアメリカの対中経済戦略としてもうひとつ重要と思われるのは、ドルの価値を緩やかに落としていくインフレ政策(とくに外国に対して)巨額の借金をしているアメリカの側からすれば、少しずつインフレにしていけば(ドルの価値を落としていけば)、時間が経過すればするほどドル建て借金の返済負担が軽減されることになります。

 これは中国に対してばかりではなく、わが国などアメリカにお金を貸しているすべての国々に対する戦略としても有効でしょう。そういった意味でも巨額のドル債務の存在は必然的にドルの実質的価値の低下をもたらすので、長い目で見ればドルは、アメリカに多くの資金を貸している国々の通貨(円など)に対して下落していかざるを得ない(円高ドル安にならざるを得ない)だろう、とみています。

 一方の中国ですが、そんなことは百も承知。だから「大半がドルベースとなっている外貨準備をいかにドル以外の資産に分散させるか」が中国にとっての国家的なマネー戦略となるでしょう。

 実際、中国はこの潤沢なドルを使って外国の企業や各種の権益を買いまくっています。最近でも中国石油化工がカナダ・タリスマン社の北海油田事業の権益の49%を取得するほか、中国海洋石油が同じカナダのエネルギー大手・ネクセン社を151億ドルで買収しようとしています。このような中国の企業や権益の買収にはドル減価リスクのヘッジという意味合いがあるものと推察されます。

(続く)

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